起立性調節障害とは 朝起きられないのは体の不調!?

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起立性調節障害めまいがする頭が痛い体がだるい脳・神経

朝起きられない 起立性調節障害とは?

起立性調節障害は思春期によく発症する病気です。“怠け”と誤解されることもありますが、小学生の約5%、中学生の約10%、また不登校の30%がこの病気を患っているとも言われています。

起立性調節障害の主な症状

主な症状は「朝、身体や頭が重く起きあがることができない」ですが、午後には回復してくることが多くあります。そのほかの症状では、食欲不振・全身がだるい・頭痛・立ち続けていると気分が悪くなる・強い立ちくらみ・失神などがあります。

なぜ、朝起きられないなどの症状が起きるのか

思春期は身体が急速に成長する時期です。背も伸び、神経も成長します。
そのため、自律神経のバランスが崩れやすくなり、立ち上がるなどの姿勢を変化させたときに身体や脳への血流が低下することや心拍数が過剰に増えたりしてしまうことが原因と考えられています。

睡眠が足りてないかも?

中学生から高校生ぐらいの睡眠時間の目安は8〜10時間と言われています。人によって必要な睡眠時間というのは異なり、おおむね3時間ぐらいの幅があるため、本人にとって必要な睡眠時間を見つけることが大切です。睡眠も自律神経の影響を受けますので、朝起きることができないことにも関わってきます。特に日本は、あらゆる年代で睡眠不足が顕著ですので、これらの問題にも目を配らなくてはなりません。

体内時計がズレることも原因の1つ

思春期は、体内時計が後ろにズレてしまいがちになります。

正常な時とリズムがずれた時の体内時計

治療法

血液が下半身にたまりやすい状態の改善を目的に薬物療法を行います。
しかし、脱水の状態では効果が乏しいので、1日1.5〜2Lの水分摂取を心がけてもらいます。ただし、この治療は、根本の自律神経が治るわけではありません。自律神経の乱れにつながるような睡眠不足や悪習慣、過度なストレスなどがあれば、それらも並行して改善させていく必要があります。

軽症であれば1年で約5割の人が改善しますが、重症の場合では段階的に治していく必要や、環境調整、タイミングなども大事になるので、年単位(2〜3年など)でかかります。周りの人は焦りすぎないことも大切になります。

周囲ができるサポート

リビングを過ごしやすい環境にする

まずは、リビングで過ごしやすい環境を作ることから始めましょう。
登校できなくなった初期は、親と顔も合わせたくないため、部屋にこもりがちになります。そういう時期もある程度は必要かもしれませんが、ベッドやソファーなどで横たわる時間が増えると、重力に抵抗する機会が減ることになります。すると、自律神経の働きはさらに鈍り起立性調節障害もさらに悪化します。頃合いをみて、部屋から出てリビングで過ごせるように、環境を整えておきましょう。リビングへ自然と出てきて、家族で楽しく話をしたり、テレビやゲームなどをして笑いあえるようになったら良い状況になっている兆しが見えてきていることが多いです。しかし、ここで周囲の人たちは焦らないことが大切です。

【ポイント】

「学校に行く」「体をよくする」この2つをしっかりと分けて考えることが大切です。
周囲は起きられるようになったら、「じゃあ学校に行ってきたら?」と言いがちですが、体をよくすることと、学校に行くことは切り離して考え、焦りすぎないことが大事です。

日中に外へ出て体を動かすように声をかける

体を動かさないと人間の機能は、どんどん落ちていってしまいます。
低下した体力を取り戻すには日光を浴びることや、散歩などを30分程度・週3、4回を目安に体を動かすことが大切です。また、友達と遊ぶことも有効です。体力面の回復にもなりますし、友達とのつながりを持つことで心のエネルギーの充電にもなります。“治療”の1つと考え、周囲が温かく見守るようにしましょう。

立ちくらみ・失神を防ぐ方法

横になった姿勢や長く座った状態からから急に立ち上がると、立ちくらみや失神が起こりやすくなります。立ち上がるときには、できるだけゆっくりと頭を最後に上げるように起き上がるようにします。急に気分が悪くなったり、冷や汗をかくような場合は、すでに脳への血流が低下し始めている状態で、失神の危険があります。

混んだ電車の中など、その場から抜けたりしゃがんだりできない場所では、次のような動作を行うとよいでしょう。

「その場で足踏みをする」

足をクロスして太ももに力を入れる

「足をクロスして太ももに力を入れる」

手の指をかぎ状にして組み、左右に強く引っ張る

「手の指をかぎ状にして組み、左右に強く引っ張る」

こうした動作を行うと、血圧の低下を防ぐ効果があり、下半身にたまった血液が心臓や脳に戻りやすくなります。

NHK福祉情報サイトでも、「起立性調節障害」に関する情報をまとめています
起立性調節障害と診断された子どもたちの体験談などはこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年3月 号に掲載されています。

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