【患者体験談】突発性難聴だと思ったら脳腫瘍!?

更新日

難聴突発性難聴耳がおかしい

聴神経腫瘍になったとき -私のチョイス-

左耳に異変が起きる

最初は「突発性難聴」と診断され

3年ほど前、突然Aさん(女性・23歳)の左耳に突然異変が起きました。
「朝、耳に膜が張ってプールから出たときみたいな感覚。同時に耳鳴りがあり、違和感があった。」

アルバイトにも、支障が生じるようになりました。
「バイト中に着けていたインカムの音がかなり頭に響いていた。音がすごく遠くから聞こえているような感覚で、直接耳に届いている感じがしなかった。」

そこでAさんは、近所のクリニックをすぐに受診しました。「突発性難聴の疑い」と診断されてステロイド薬を処方されのんだところ、聞こえや耳の違和感はなくなりました。
しかし、他の病気の可能性に後から気づいた医師から、別の病院で詳しい検査を受けるようにすすめられたのです。そこで、大学病院でMRI検査を受けると、聴神経に約2cmの腫瘍が見つかりました。

聴神経腫瘍とは

聴神経腫瘍とは

聴神経には、内耳にある音を脳に送る蝸牛(かぎゅう)神経と平衡感覚を司る前庭(ぜんてい)神経の2つがあります。聴神経腫瘍はほとんどの場合、前庭神経にできます。腫瘍の多くは良性ですが、神経や脳を圧迫するとめまいや難聴、耳鳴りなどの症状が現れます。

治療をどうする?

Aさんを困惑させたのは治療法でした。医師から提示された3つの治療法から、自分で
どの治療法にするか決めなければいけなかったのです。聴神経腫瘍には、「手術で腫瘍を取り除く」「放射線を当てて腫瘍の成長を止める」「半年から1年ごとに検査をしながら経過観察していく」という3つの治療法があります。

聴神経腫瘍 治療のチョイス

聴神経腫瘍 3つの治療のメリットとデメリット

3つの治療には、それぞれメリットデメリットがあります。

  • 手術
    腫瘍が3cm以上の場合は手術となります。また、3cm以下の場合でも、腫瘍が大きくなるタイプの人で、若い人や一度急性難聴になった人は、将来的に難聴が進行しやすいため手術を選択するケースがあります。一般的には聴力温存率は約50%です。
  • 放射線治療
    放射線治療は、腫瘍が2.5cm以下の場合に行うことができます。体への負担は少ないですが、治療後5~10年で聴力が低下するケースが多いため、高齢ですでに難聴が進行している人に向いています。
  • 経過観察
    聴神経腫瘍は、およそ半数が大きくなっていくタイプ、半数が大きくならないタイプです。腫瘍が小さい状態で見つかった場合は、半年から1年ごとにMRI検査をしながら、経過観察を続けていきます。

手術を選んだ理由

Aさんがチョイスしたのは「手術」でした。
「腫瘍がまだ残ったままで、何か症状が出る可能性がある状態でその後生活していくのが嫌だった。」

実はAさんは中学生のとき、3週間ほど耳が聞こえづらくなったことがありました。もし、それが聴神経腫瘍によって引き起こされた症状だったならば、今後も同じような症状を繰り返すかもしれないと考えたのです。

手術は耳の後ろを切って、腫瘍ができた前庭神経を含めて腫瘍を切除するというものでした。現在手術後、Aさんは、耳の閉塞感がなくなり、聞こえも正常な状態を保てています。
「MRI画像に写っていた腫瘍がなくなっていたことに安心感があった。リスクがなくなったんだなと。手術をしてよかった。」

この記事は以下の番組から作成しています

  • チョイス 放送
    聞こえを取り戻す 難聴対策最新情報