絶対に知っておきたい!がん治療の“うそ”情報を見抜く方法

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WEB上にあふれる“うその情報”に注意!

「このサプリメントは学会で報告されている。がんを治せる優れたものだ」
「最先端のこの治療は保険こそ効かないものの非常に効果がある」
といったWEBの情報、実はこれ“うそ”かもしれません。

インターネットから「がん情報」を得ているという人は約5割というデータがあります。しかし、そこには“落とし穴”があるので注意が必要です。事実、ネット検索をして、まず表示されるサイトのなかで信頼できるのは、わずか10%程度なのです。突然“がん”と宣告されて頭が真っ白になっているとき、果たしてあなたは正しい情報を見抜くことができるでしょうか?ネット上の“うそ”を見抜く方法をご紹介します。

“うそ”を見抜く方法

“うそ”情報を掲載するホームページ

実際にあった例を集めて、「“うそ”情報を掲載するホームページ」を作成しました。あなたはどれが怪しいと思いますか?特に怪しいものを解説します。

ここが怪しい!①

《※厚生労働省の許可を受けた付属施設で免疫細胞を培養》

【解説】

厚生労働省の許可を受けた付属施設で免疫細胞を培養することは、実は“当たり前”。書かなくてもよいことをわざわざ書いて、厚生労働省のお墨付きを得ていることをあえて強調している誇大広告のようなものです。

ここが怪しい!②

《ほぼすべてのがんに対応》

【解説】

がんは遺伝子の変異により発生する病気。個々のがんによって変異する遺伝子が異なります。したがって、すべてのがんに効くというのは今の科学ではあり得ない話です。非常に魅力的な言葉ですが、そう簡単ではありません。

ここが怪しい!③

《ステージ4・末期ガンにも対応》

【解説】

クリニックには入院施設がないため、本当の末期になると治療できないとみなされることが多いです。

ここが怪しい!④

《標準治療と併用可》

【解説】

最近増えてきた表現です。そもそも保険の効く「標準治療」と保険の効かない「自由診療」を併用した場合、混合診療となるため、「標準治療」の保険が使えなくなります。それをあえて「今の治療を続けて受けられる」とハードルを低くしています。

ここが怪しい!⑤

《関連グループの免疫研究所で開発した最新の治療法が米国の●●学会のHPに掲載されました!》

【解説】

「学会」は自分たちの研究を発表する場のため、専門誌に比べ発表のハードルが低く、概要がホームページに掲載されることもあります。しかし実際には、学会場には発表者が姿を現さなかったという例もあります。「学会で発表されたすごいものなんだ!」と思わせる印象操作です。

ここが怪しい!⑥

《国際科学雑誌に多数掲載された科学的根拠に基づく治療》

【解説】

実際は科学的根拠がなくても、お金さえ払えば掲載される「国際科学雑誌」が存在します。実際に、英語の論文でたくさん「国際科学雑誌」に研究を載せているクリニックも存在します。外国の論文にたくさん掲載されているからといって信用してはいけません。量よりも掲載誌の質が大切です。

ここが怪しい!⑦

《他では受けられない独自開発の治療》

【解説】

本当に効果のある治療法であれば、自分たちで抱え込まないで広く世界に広げるのが常識的な対応です。逆に「誰も手をつけたがらない治療をわざわざ自分たちはやっている」と考えるとよいでしょう。

ここが怪しい!⑧

《院長著書の紹介》

【解説】

一定数の人は、本が出版されていることは素晴らしいものと思ってしまいがちですが、本は自費出版することも可能です。「科学的根拠があるかどうか」と「本が出版されていること」は全く別の話です。

信頼できる情報を見極めるためのコツ

情報を見極めるときにお勧めなのは、次の点をチェックすることです。
「か・ち・も・な・い」と覚えてください。

  • 「か」→かいた人は誰?発信しているのは誰?
  • 「ち」→違う情報と比べた?
  • 「も」→もとネタ(根拠)はなに?
  • 「な」→なんのための情報か?(商業目的かも)
  • 「い」→いつの情報?

信頼できる情報はどこにある?

国立がん研究センターが運営している「がん情報サービス」というWEBサイトは、「がん対策基本法」に基づいて始まったもので、患者・家族・市民むけに発信しており、がんの治療や療養生活、がんの統計、医療機関などの情報を提供しています。
科学的根拠に基づくガイドラインや刊行物を情報源として、医師・看護師・薬剤師などの複数の専門家がつねに査読して内容をチェックしています。また、患者や市民の意見も取り入れ、「患者さんにとってつらい表現になっていないか」「わかりやすいか」ということも確認していますので、参考にしてみてください。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年1月 号に掲載されています。

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