睡眠の質を低下させてしまう「いびき」。本人の睡眠の質が低下するだけでなく、同居している人の睡眠を妨げてしまったり、周りに気が引けて泊まりがけの旅行をためらうようになってしまうことがあります。さらに、いびきが起こる原因によっては、脳卒中や高血圧、糖尿病、心筋梗塞などのリスクが高まることがあるので注意が必要です。いびきの原因や対策、治療法について紹介します。
どうして“いびき”が起こる?

いびきは、あおむけになったときに何らかの原因で舌の根元の落ち込みなどにより、気道が狭くなることで起こります。そして、狭くなった気道を空気が通る際に周囲の粘膜が振動して“いびき”が起こります。
いびきの原因

- 口での呼吸
寝ているときに口呼吸をしていると、舌の根元が落ち込みやすくなります。鼻呼吸よりも吸い込む空気の量が多いので、大量の空気が気道を通り、いびきが起こりやすくなります。朝起きて口が渇いていると感じたら、口呼吸をしている可能性があります。 - 花粉症やアレルギー性鼻炎
花粉症による炎症や、アレルギー性鼻炎で鼻茸(はなたけ)というポリープができて鼻の気道が塞がったりすると、息苦しくなって口呼吸をしやすくなります。 - 飲酒
アルコールを飲むと舌やのどの筋肉が緩み、舌の根元が落ち込みやすくなったり、のどの奥の気道が十分に開きづらくなります。 - 疲れ
疲れがあると舌やのどの筋肉が緩み、舌の根元が落ち込みやすくなります。また、体の回復を促すために、ふだんよりも多くの量の酸素を体の中に取り込もうとして、口呼吸をしやすくなります。 - 閉塞性睡眠時無呼吸症
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の1つで、あおむけになったときに舌の根元の落ち込みや、のどの奥の部分が狭くなることで気道を塞ぎ、呼吸が一時的に止まっては再開するのを繰り返す病気です。呼吸が再開するときに、塞がった気道を空気が無理に通る際にいびきが生じます。
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いびき対策と治療法
いびきは、肥満を解消することで改善することが期待できます。肥満があると舌の根元やのどの奥の部分に脂肪がついて気道が狭くなります。一方、肥満がなくてもいびきをかくケースもあります。特にあごの小さい方は気道が細い傾向があるので、いびきをかきやすいといえます。
また、加齢によって舌やのどの筋肉が衰えて、舌の根元が落ち込みやすくなったり、のどの奥の部分が十分に開きづらくなることもあります。このような場合は、睡眠の質を上げるための生活習慣の改善に取り組むことが効果的だと考えられます。
花粉症やアレルギー性鼻炎が原因であれば、病気そのものの治療を行います。鼻の気道にできたポリープが原因である場合、内視鏡手術で取り除くこともあります。
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