不整脈を見つけるには


心臓の拍動が異常になる病気が不整脈です。拍動が「正常より速くなる頻脈」「正常より遅くなる徐脈」「拍動が乱れるもの」など、さまざまな不整脈があります。
自分で脈をとることや動悸(き)・息切れ・めまいなどの自覚症状がきっかけで不整脈が発見されることがあります。しかし自覚症状のない不整脈も多く、確実な診断には心電図の検査が欠かせません。
心電図 さまざまな検査法

心電図の検査は一般の健康診断でも行われています(上)。ただし、健康診断では年に1回だけ15〜20秒の心電図を調べるだけなので、そのときに不整脈が起こらなければ見逃されてしまいます。より確実に不整脈を発見するにはどうしたらいいのでしょう。

1つは心電図を24〜48時間継続して測定することです。「ホルター心電計」という装置を使います。体に装着して普段通り生活していれば、心電図が自動的に測定・記録されます。

もう1つ「携帯型心電計」(上)を使う方法があります。これを常に持っておき、なにか自覚症状を感じたらすぐに素肌の胸に当てて作動させると、そのときの心電図がわかります。
最新!植込み型心電計


心電図を測定するまったく新しい医療機器が最近登場しました。「植込み型心電計」です。胸の皮下に簡単な手術によって植え込みます。すると、この機器が心臓の電気信号をとらえ心電図を記録して保存します。
記録された心電図は患者さんのスマートフォンなどを介して送信されます。医師は送信された心電図を病院などの離れた場所にいながら確認することができます。「遠隔モニタリング」と呼ばれます。
植込み型心電計は現在3社の製品が日本で使われています。どれも長さ5〜8cm程度。遠隔モニタリングにスマートフォンではなく専用の装置を使う製品もあります。

植込み型心電計を使うケースは2つあります。1つは脳梗塞を起こしたものの原因がわからないケースです。脳梗塞は「心房細動」という不整脈によって起こることがあり、その有無を確かめるのです。もう1つは失神がよく起こるものの原因がはっきりしないケースです。失神には突然死につながる危険な不整脈が隠れていることがあり、詳しく調べる必要があるのです。
長年失神を起こしながら原因不明だった患者さんが、植込み型心電計を使うことで、ついに原因の不整脈が見つかり、治療を受けて現在は元気に過ごされている例もあります。
最新!スマートウォッチで心電図


最近はスマートウォッチでも簡単な心電図がとれるようになりました。腕を机やひざの上に置いて安静にしたあとアプリを立ち上げ、人差し指を竜頭の上に置くと、心電図を30秒間、測定・記録して表示します。同時に「心房細動」の兆候があるかないかをチェックしその結果も表示します。正常な脈の場合は「洞調律」と表示されます。なお、この製品はスマートフォンと一緒に使います。
この製品は不整脈の人も一般の人もよく使っています。20年間も動悸が続いていたある患者さんは、この製品を購入してすぐに心房細動が見つかりました。治療を受けて根治することもできました。
ただし、スマートウォッチの結果だけで病気の診断はできません。医師に心電図の記録を見せて不整脈かどうかを判断してもらってください。
また現在医療機器として認められているのは1種類ですが、今後さらにさまざまなタイプのスマートウォッチの登場が予想されています。