口のフレイルを防いで健康長寿に!地域ぐるみの取り組みと口腔トレーニング

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口の衰えから要介護・死亡に!?

口の衰えが要介護・死亡につながることも

健康長寿を妨げる心身の衰え。それは体の思いがけない場所から始まります。口です。年を重ねると「口の機能が落ちる」→「かみにくい」→「やわらかいものを食べる」といった、ささいな口のトラブルから始まる悪循環が生じます。それが進むと「食欲・栄養状態の低下」「誤えん性肺炎」などが起こり、要介護や死亡にまでいたるのです。

オーラルふれいるの要介護・死亡リスク

歯や、かむ力・のみこむ力が衰えることを「オーラルフレイル(口のフレイル)」といいます。オーラルフレイルは要介護のリスクを2.4倍、死亡リスクを2.1倍にも高めることがわかってきました。

歯を残そう そして口を使おう

オーラルフレイルを防ぐにはどうしたらいいのでしょう。1つは歯を大切にすることです。80歳まで20本以上の歯を残そうという「8020運動」が30年以上前から行われ、ようやく成果が上がってきました。さらに現在では「残した歯のある口をいかにして使うか」がオーラルフレイル対策として注目されています。

香川県まんのう町の「買い物ツアー」

香川県まんのう町の琴南地区では、そうした新しい発想のオーラルフレイル対策を地域ぐるみで実施しています。地区のお年寄りたちは交通手段がないため、買い物に出かけるのが難しく、栄養の良い食事がなかなかとれません。人と会って楽しく食べたり話したりする機会も少なくなっています。そこで企画されたのが、お年寄りたちをサポートして行う買い物ツアーです。

香川県まんのう町の「買い物ツアー」
お年寄りたちをサポートして買い物を行う

お年寄りたちは、マイクロバスで町中のスーパーまで連れて行ってもらい、好きな食品を思う存分購入します。ある参加者は「一人ではとても来れません。きょうは焼き肉や鍋物の材料をたくさん買いました」と話していました。

買い物後は地区のコミュニティーセンターで食事会
大勢で集まって食べたり楽しく話したりして、大いに口を使うことがオーラルフレイルの対策となる

買い物がすんだら、地区のコミュニティーセンターで食事会です。大勢で集まっておいしく食べたり楽しく話したりすれば、大いに口を使うことになります。それこそがオーラルフレイルの対策なのです。歯科医師や歯科衛生士も参加し、お年寄りたちと自然に会話する中で、口や歯のケアをすすめます。

究極の口腔トレーニングとは?

一人でできるオーラルフレイル対策も1つお教えしましょう。うがいです。だれもが慣れ親しんでいるものですが、口を鍛えるトレーニングとしてきわめて有効なのです。

口を鍛えるトレーニング「ブクブクうがい」

まず「ブクブクうがい」。口をしっかりつぼめ、頬をしっかり膨らませて行いましょう。口の中の筋肉がフルに活動し協調して動いているはずです。

口を鍛えるトレーニング「ガラガラうがい」

次に「ガラガラうがい」。こんどは気管が開いていますが、絶妙に息を調節することで、水を飲み込んだり外にこぼれたりしないようにしています。

こうしたうがいを普段より長めにしっかり行うことが、口腔トレーニングになります。1日3回ほど食事の後などに行うといいでしょう。なおガラガラうがいは、顔を上げ過ぎると首を痛めることがあります。無理しないようにしてください。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2022年4月 号に掲載されています。

きょうの健康テキスト
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