音読の効果(認知機能・口くう機能の改善)とやり方について

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認知症物忘れをする言葉が出ない食欲がない脳・神経口・あごのど

音読と脳の関係

脳の働きは、使わないと次第に衰えてくることがわかっています。しかし、筋肉を動かして体を鍛えることができるように、脳も適度な刺激を与えることで、働きをよくすることができます。お勧めなのが「音読」です。音読は、自宅で行うことができ、一人で簡単に始められます。

熟読、音読した時の脳のMRI画像

こちらは、黙読と音読をしているときの脳のMRI画像です。赤い部分は血流量が増えて活性化している箇所です。黙読よりも音読のほうが、脳全体が活性化しているのがわかります。音読は、「活字を読む」だけでなく、「声に出す」、その声を「耳から聞く」など、黙読に比べて複雑な処理を脳が行っているためです。

音読しているときの前頭前野のMRI画像

特に音読で活性化されるのが脳の前側にある前頭前野です。前頭前野は、記憶・学習、他者とのコミュニケーション、思考、感情などをつかさどります。

音読と計算の効果

音読・計算による脳機能の変化

70歳以上の人が音読と計算問題を週に3~5回、半年間続けるトレーニングを行いました。認知機能を調べるテスト(MMSE)を行ったところ、トレーニングを行わなかった人は認知機能テストの成績が低下したのに対して、トレーニングを行った人は成績が維持されていたことがわかりました。
前頭前野の機能を調べるテスト(FAB)を行ったところ、トレーニングをしている人は、成績が上がっていることがわかりました。

口も鍛えられる

口腔機能のコロナ流行前後を比較したグラフ

会話が少なくなることは、ものをかんだり、飲み込んだりする力、口くう機能の低下につながります。老年医学が専門の東京大学の飯島勝矢教授が、新型コロナウイルス感染症流行下における高齢者の口の機能について調査したところ、滑舌が低下している人は約50%に上り、約30%の人が「衰えた(主観的衰え)」と感じていることがわかりました。

音読をすると唇や舌をよく動かすので、継続すると、口の機能の改善や、食事や会話を楽しむ余裕が生まれることが期待できます。口くう機能の低下は誤えん性肺炎にもつながるため、声を出して読む「音読」は口くう機能の改善につながることが期待できます。

Let’s 音読!4つのポイント

音読をしている白鳥アナ

  1. できるだけ速く読む
    速く読むと、情報を処理するために脳に大きな負荷がかかり、前頭前野の活性化につながります。感情を込めて読む必要はありません。
  2. 読む内容は何でもよい
    好きな本、新聞など。目安は、新聞の社説欄、あるいは文庫本2ページ程度の量です。
  3. 毎日継続して読む
  4. 間違っても気にしない
    正しく読むことにとらわれず、読み間違えたり、詰まったりしても気にしないで先へ進みましょう。
    楽しみながら読めると、さらにgood!

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2022年1月 号に掲載されています。

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