マスク頭痛はなぜ起きる?
コロナ禍で頭痛が増えた・悪化した人の中には、マスクによって頭痛が起きたというケースがあります。最近では、「マスク頭痛」という言葉も登場しています。いくつかの原因が考えられます。
蒸し暑さ
マスクの中の温度や湿度の上昇、さらに脱水は片頭痛の誘発因子になります。マスク内は湿度が高くのどの渇きに気付きにくいことに加え、マスクを着脱する面倒から水分補給の回数が減り、脱水を引き起こしやすくなります。
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耳への負担
マスクのひもが耳に負担をかけ、それが首や肩のコリにつながり頭痛を引き起こすケースがあります。またゴーグルやヘルメットを着けた時など、頭の外側から圧迫されたり引っ張られる力がかかると頭痛になることがあるように、マスクのひもによって引っ張る力がかかり、頭痛につながります。
さらに、片頭痛患者のおよそ50~80%には通常は痛みとして感じられないようなわずかな触覚刺激などを痛みと感じる「皮膚アロディニア」という症状が見られます。眼鏡やピアス、耳にかけるマスクのひもなど、わずかな刺激がきっかけとなり片頭痛につながってしまうことがあるのです。
ストレス
マスクを着けていてさまざまなストレスを感じることも頭痛の原因になります。息苦しさや蒸し暑さ、耳が痛いなどの直接的な不快感に加えて、マスクのせいで肌が荒れた、人とのコミュニケーションがとりにくいなどの間接的なストレスも発生します。
マスク頭痛を防ぐには
マスクを「賢く」外す
頭痛の原因となるマスクを外すことが最も有効な手段です。「外せる状況」を見つけて賢くマスクを着脱することが重要です。
一人でジョギングや散歩をしている時、一人で車を運転している時など他者との距離がしっかりとれる場合には、マスクを外してもかまわないでしょう。
また30秒程度の短い時間マスクを外すのでも意味はあります。職場など人との距離がとりにくい場合は、トイレなどの個室に入るとき、水分補給のときなどに短い時間でもマスクを外し、深呼吸や腹式呼吸で息を整えましょう。

さまざまな工夫のあるマスクも
最近では、着けた時の不快感を減らすために、いろいろな工夫がされたマスクが登場しています。これらのマスクが頭痛の予防にも効果のある可能性があります。
ひもの長さを調節できるアジャスターがついているマスクや、耳にかけずにひもを留められるバンドなどは、ひもによる耳への負担を軽減する効果があります。触ると冷たさを感じる冷感マスクは、顔の温度の上昇やそれによる不快感を軽減してくれます。マスクの中に空間を作り、息苦しさや蒸れを改善できるインナーフレームも登場しています。
その頭痛、コロナ感染が原因かも!?
新型コロナウイルスに感染した際に、頭痛が症状として現れることがあります。海外では、入院した患者の11~34%が頭痛を訴えたという報告もあります。
(Bolay H, et al. COVID-19 is a real headache! Headache 2020)
コロナ感染による頭痛の特徴は次のようなものです。

①新たに頭痛を感じるようになった
②持続性のある強い痛みがある
③ドクンドクンとした拍動性の痛み、もしくは、圧迫されるような痛みがある
④頭の両側が痛む
⑤鎮痛薬の効果が少ない
見分けるためのチェックポイントはまず、コロナ感染によるほかの症状を併発しているかどうかです。発熱やせき、息切れ、けん怠感、嗅覚・味覚障害など、コロナ感染による特徴的な症状が頭痛と共にあれば、コロナ感染の可能性を疑ってもよいと言えます。
ただしこれらの症状に先行して頭痛が起こっている可能性もあります。今までに経験のない頭痛で、鎮痛薬が効かない頭痛である場合は、コロナ感染による頭痛を疑ってみてください。
※この記事では、掲載当初、マスク着用により「血液の中で酸素が少なくなる」と記載していましたが、正確性に欠ける記述でした。
おわびして該当部分を削除・訂正いたします。