俳優・武田真治 筋肉美の背景に“顎関節症”!?

更新日

顎関節症頭が痛い口・あごが痛い口・あご

筋骨隆々な筋肉美でも知られる、武田真治さん。
16歳のときに雑誌のオーディションでグランプリを受賞し、フェミニンなファッションに身を包む「フェミ男(お)」の代表格として一世を風靡しました。
その後は俳優として多くの作品に出演。
サックスプレイヤーとしての顔を持つ武田さんは、紅白歌合戦にも2年連続で出演しました。

すべてが順調に見える武田さんですが、実は25歳の頃、芸能界引退を考えるほどの病気を経験しています。
それが顎関節(がくかんせつ)症でした。

顎関節症とは?

側頭筋と咬筋の場所

あごの関節や周りの筋肉に異常が生じて、痛みなどが起きる病気です。
その原因はさまざまあります。例えば、あごの関節が、構造上弱いことです。上下の歯がうまくかみ合っていないかみ合わせの異常や、他にも、精神的なストレス、歯ぎしりや食いしばりなどによっても起こります。
こうした原因によって、あごの周りにある咬筋(こうきん)や、こめかみのあたりにある側頭筋が凝り固まってしまい、痛みが生じるのです。武田さんの場合、初期の頃は原因がわからず、イライラしたり、頭痛を感じていたと言います。

あごが「ミシミシ」音が鳴る?顎関節症の原因と症状セルフチェックはこちら

初期症状は頭痛

武田さんは、顎関節症とわかる前、仕事で多忙な日々を過ごしていました。当時はイライラしたり、頭痛がありました。ところが、症状はそれだけではありませんでした。

武田真治さん

武田:口が開かないんですよ。口が開かないから、食事も細くなりますね。で、細くなったら、まあ筋肉もなくなるんで、余計動かなくなって。動かないとお腹もすかないから、食事そのものも遠ざかってくとか、欲しくなくなっちゃうんですね。そうすると、どんどん、どんどんやせていく。

陥りやすい「悪循環」

悪循環

顎関節症の特徴の1つとして挙げられるのが悪循環です。
これは顎の痛みを無意識にかばってしまい、顎関節に余計な負担がかかることで起きると考えられますが、武田さんの場合、次のような悪循環がありました。

食べられずやせるも モデルとしては評価

武田:僕の場合よくなかったのは、そうやって食が細くなって、体のラインも細くなったら、余計、中性的なファッションアイコンみたいなことで、余計仕事増えちゃって。だから大人も「やせて大丈夫か?」じゃなくて、「かっこいいね」みたいな。体調的な悪循環なんですけど、芸能の仕事としてはすごく出世しちゃってるんですよね。そのことで。あれはだから究極の悪循環だったと思います。

顎関節症と診断されて

武田さんは歯科を受診し、顎関節症と診断されました。そこで、医師から思いがけないことを告げられます。

武田真治さん

武田:まず最初に、お医者さんには「もう二度とサックスは吹けないですよ」って言われましたね。
「サックス吹くことを一回忘れないと、絶対に治らない」って。
切り札がなくなっちゃったらもう、撮影現場でかっこいいせりふとか言えないんですよ。もうなんか、挙動不審になっちゃって。
支えがないんで。「何もできない。どこにも力が入らない。軸がない」ってなったときに、そこで改めて、サックスを失ったことも、俳優業できないってことも、結構絶望しましたね。

「これって顎関節症?」と思ったら 歯科を受診

武田:もしかしたらと思う方の基準として、一つお伝えしたいのは、人間って普通にしてるときって、上下の奥歯はあたってないらしいんですよ。一日の中で奥歯と奥歯が触れるのって、本当にわずかな時間らしくて。それぐらいこう、強いものらしいんですね。
だから僕は顎関節症のときは、もう両方がもうがっちがちに、がっちりくっついちゃってて。それが片頭痛だったり、食欲不振だったりを招いてたんですけど、もしそういう症状が出てる方がいたら、お医者さんに一回見てもらうのもいいかもしれないです。

顎関節症の治療に「縄跳び」!?

武田さんは受診当時、あごの筋肉が凝り固まっている状態でした。
医師からは、「筋肉をゆるめるには、全身に筋肉をつけないといけない」と、運動の指導を受けます。そこですすめられたのが縄跳びでした。

武田真治さん

武田:「なぜ縄跳び?こんな簡単なもの」って思いませんか?筋肉をもうちょっとゆるめなきゃいけないということで勧められたんですが、その場でできる心拍数を上げて、筋肉をゆるめられて、自分の、その日その時の健康状態や体力の状況を知ることができるという意味で、縄跳びはすごく、一番いいと言われて。

半年で症状が軽減

医師からは、1つの目標としてつまずかずに100回連続で跳ぶ指導を受けました。
実践当時は、連続で跳べたのは10〜20回程度でしたが、引っかからずに自分のペースで跳ぶように意識してからは徐々に連続で跳べる回数が増えました。
この運動を半年ほど続けたところ口が開かないといった症状が軽減したと言います。

筋トレのきっかけは顎関節症

顎関節症の診断からおよそ3年後、武田さんは現在のような筋肉美を手に入れました。筋トレを始めた理由や、運動を長く続ける秘けつについて聞きました。

武田:幸か不幸かやっぱり病気になったことで、あごだけの力を入れる癖をなくすためには全身を鍛えなきゃいけないという、もう選択肢がなかった。これから何をするにしても、あごは生命線で、あごが上手に使えるようにもう一度なるには、体を鍛えるしかないということだったんですよね。

武田:ジョギングをするにしても、ベンチプレスを上げるにしても、一番つらいのは最初の一歩。最初の一発目ですね。
あとは習慣になってしまえば、途中でやめることのほうが気持ちが悪いので、最後までやるんですよ。人間って。
だから運動になかなか向き合えないっていう方は大多数いらっしゃると思うんですけど、始めちゃえば終わるんで。ぜひ、最初の一歩を踏み出してほしいなとは思いますね。

顎関節症による悪循環を断ち切り、症状を克服した武田さんからのメッセージは好循環でした。

武田真治さん

武田:きっかけは病気だったんですけれども、そこから体力をつけ、筋トレもして。それが、「みんなで筋肉体操」だったり、紅白歌合戦のステージにつながるんですけど、やっぱり、健康であるということは、人生を好循環させてくれるのかなと思います。
元気があれば何でもできるし、何でもやってやろうっていう人のところには、いろんなチャンスが巡ってくるのかなって。

武田:僕は今年49歳になるんですけど、まだまだ叶えたい夢もありますし、若い頃、途中で投げ出しちゃった夢とかもあったりするんですが、今からでも「遅くないかも」って心の底から思えるんです。「まだまだやれる」って本当に思えるんですね。それはやっぱり健康がベースにあるからだなと思っています。皆さんも、ぜひ、健康な体を手に入れて、人生を楽しく生きていただければと思います。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    あの人の健康法 「武田真治」