意外?乳がん診断後に体重が増加する人が多い

多くの人を悩ませる体重の増加。実は、乳がん患者の中にも体重の増加に悩む人が多いといいます。
筑波大学と聖路加国際病院の研究者が、ステージ0~Ⅲの乳がん患者292人を対象に行った調査によると、なんと7割の人が乳がんと診断された後に体重が増えていたことが明らかになりました。平均で3.3kg、最も多い人で21kg体重が増えていたということです。
なぜ、乳がん診断後に体重が増えてしまうのでしょうか?
1つは、乳がんを発症しやすい年代が更年期と重なるため太りやすいこと。もう1つは、乳がんの治療の影響です。たとえば、手術後、なんとなく不安で体を動かさなくなる。ホルモン治療や抗がん剤治療からくる倦怠感や関節痛などの副作用から運動不足になる。抗がん剤の副作用対策で使われるステロイド薬が、血糖値の上昇や食欲の増進を招く。こうしたことが背景にあるのでは?と考えられています。
体重の増加が再発リスクを高める
最近、世界中のさまざまな研究から、乳がんの発症や再発に肥満が大きく影響していることが分かってきました。脂肪細胞から出るエストロゲンが乳がんの“エサ”になることや、「ホルモン治療のせいで体重が増えた」と思って治療をやめてしまう人もいることなどが理由として考えられます。
「乳癌診療ガイドライン 2018年版」には、以下のことが明記されています。
- 乳がん診断時の肥満は、再発リスクや乳がんでの死亡リスクが高い…確実
- 乳がん診断後に肥満度が上昇した患者は、再発リスクや乳がんでの死亡リスクが高い…ほぼ確実
乳がんサバイバーにとって、体重を適切にコントロールすることは、再発予防につながる重要なポイントなのです。
体力は落とさず 体重を落とすには?

体重コントロールの基本は、食事と運動です。特に、食事のダイエット効果は運動の3倍と言われています。そのため、短期間で効率よく体重を落とすには、食事の改善が欠かせません。
けれども、乳がんの再発予防のためには、やみくもにやせればいいというわけではありません。糖質制限など、極端な食事制限をすると、がんと戦うために必要な筋肉まで減ってしまいます。乳がんサバイバーの場合、体力は落とさず、ゆっくりと無理のないペースで体重を落としていくことが大切です。
<健康的なダイエットのために>
- 摂取エネルギー:1日1500kcal程度
- 減量のペース:1か月1~2kg
- 目標体重:標準体重(身長 <m> × 身長 <m> × 22 <BMI>で計算)
4つの食品群を意識してバランスよく

摂取エネルギーを抑えつつバランスよく栄養を取るには、食品を4つのグループに分けて考えるのがお勧めです。
- 第1群:卵や牛乳、乳製品
たんぱく質やカルシウムがとれる。 - 第2群:肉や魚介類、豆製品
筋肉や血液の元になる良質なたんぱく源になる。 - 第3群:野菜、海藻、きのこ、いも、果物
ビタミンやミネラル、食物繊維がとれる。 - 第4群:炭水化物や油脂、砂糖、調味料など
エネルギー源。菓子やジュース、お酒といった嗜好品もここに含まれる。
1日の摂取エネルギーを1群:2群:3群:4群=1:1:1:3の割合になるように考えて、食事をとるように心がけてみてください。
乳がんサバイバーにもオススメ!お手軽サバ缶サンド

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで手に入る食材で作ることができます。
【材料(1人分)】
※1人分 約485kcal
・1群: カップヨーグルト 1個
・2群: サバの水煮缶 50g
・3群: ごぼうサラダ(市販品) 80g
・3群: カット野菜 60g
・4群: 食パン(6枚切り) 1枚
・4群: マヨネーズ 小さじ1
・4群: 塩・こしょう 少々
- ボウルにサバを入れて、フォークなどですりつぶす。
- 1にごぼうサラダとカット野菜、マヨネーズ、塩こしょうを加えて、よく和える。
- 半分の厚さに切ってトーストした食パンに挟む。ヨーグルトを添えてできあがり。