ひきこもりの子どもに家族はどう向き合う?会話の仕方やひきこもり地域支援センターの活用

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うつ病社交不安症発達障害統合失調症眠れない・眠りが浅い食欲がないこころ

まず、どんなふうに声をかければいい?

自分の子どもが一日中誰とも話すことなく、部屋でじっと過ごしているというのは、親にとっては、心配でたまらないものです。ひきこもりの期間が長くなるほど、声をかけるタイミングや、そもそも何を話せばよいのかがわからなくなります。これまでに声をかけることがうまくいかなかった経験があると、なおさら悩んでしまうことでしょう。
心配なあまり、自分の価値観を押しつける発言や、同級生・兄弟姉妹など第三者と比較するような言葉をかけてしまうことがよくあります。

ひきこもりの息子にかけてはいけない言葉
第三者と比較するような言葉をかけてはいけない

こんな声かけはかえって本人を傷つけてしまいます。

声をかけるときには、「私はあなたを心配している」「私はあなたを助けたい」という、親としての素直な気持ちを伝えることが大切です。一般論や、世間を例にするのではなく、「私はあなたに関心をもっている」と伝えることが、新たな一歩につながります。現在、全く会話がない場合、声をかけるのはより難しいことかもしれませんが、「おはよう」「おやすみ」などのあいさつや、食事の献立について聞いたり、簡単な用事を頼むなど、日常のちょっとしたことから話を始めてみましょう。
どうしても声をかけるのが難しければ、メモを渡すことから始めてもよいでしょう。

日常のちょっとした会話から始める
「私はあなたに関心をもっている」と伝えることが、新たな一歩

子どもの訴えを真摯に受け止める

本人から恨み・つらみをぶつけられるケース

会話をしていくうちに、

「こうなったのはあんたたちに育てられたからだ」
「何でも押しつけられてつらかった」

など、本人から恨み・つらみをぶつけられるケースは少なくありません。
物事に対する受け止め方は人それぞれ異なります。心当たりがなくても、子どもにとってはそれが真実であると捉えるようにしましょう。親としてはショックを受けると思いますが、そう訴える本人の気持ちを、まずは真摯に受け止めてください。このような局面を乗り越えてこそ、解決の糸口が見えてくることがあります。

相手の話に耳を傾けて、丁寧に聞き取ること【傾聴】を心がけてみましょう。相手の言葉や態度への批判、反論は、いったん抑え、聞くことに努めます。
また、うなずいたり、相手の言葉をそのままくり返すと(「〇〇なんだ」と相手が言ったら、「〇〇なのか」と、相手が出した言葉をくり返す)、相手の話をきちんと聞いていることがよく伝わります。
話が終わったら、「悔しかったな」「つらかったな」など、相手の気持ちを考え、共感を込めて返事をしてみましょう。

相手の話に耳を傾けて、丁寧に聞き取ること傾聴を心がける
相手の気持ちを考えて共感をこめて返事をする

「うつ病のサイン」を見逃さないで

誰でも、つらいことがあれば落ち込むことはありますが、通常はある程度の時間がたてば、回復してくるものです。気分の落ち込みがいつまでも戻らず、長期間続くときは、「うつ病」の可能性があります。

ひきこもりの状態にある人は、うつ病を伴っていることが少なくありません。うつ病の症状としては、「気分がひどく落ち込む」「やる気・意欲が低下する」などがよく知られていますが、実は「食欲がなくなる」「眠れなくなる」などの症状も多くみられます。

うつ病のサインを見逃さない

「死んでしまいたい」と考えるのもうつ病の症状の1つです。これらSOSを見逃さないようにしてください。

家族だけで解決することは難しい 相談することをためらわないで

ひきこもり地域支援センター

子どもがひきこもっていることを〝恥ずかしい〟〝他人には話せない〟と考える親は少なくありません。しかし、家族だけで抱え込んでしまうと、本人も家族も、社会から孤立してしまい、ますますつらい状況につながってしまいます。
ひきこもりを解決するには、必要に応じて、専門家に相談し、適切な支援を受けることが勧められます。各都道府県や政令指定都市には、「ひきこもり地域支援センター」が設置されています。

安心できる場所ということを本人に伝える
嫌がる場合は決して強要しない

いきなり本人を連れていこうとするのではなく、まずは親が相談に行きましょう。本人と相談先の相性などをよく考慮したうえで、安心して相談できる場所だということを本人に伝え、行くことを提案してみてください。本人が嫌がる場合は決して強要せずに、時間をおいて、再度提案するようにしましょう。

家族だけで抱え込まず、できるだけ早く支援を求めてほしいと思います。

ひきこもりのQ&A

『Q&Aひきこもり』はこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年11月 号に掲載されています。

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    “ひきこもり”総力特集「家族ができること」