災害に見舞われたときに起こる症状

被災すると、ストレスによるさまざまな反応が心身に起こります。
宮城県と岩手県で6万3千人あまりを対象にした調査によると、東日本大震災の直後、4人に1人以上が気分の落ち込みを自覚しました。
ほかにも、次のような症状が出ることがあります。
動悸・血圧の上昇
ストレスを受けると交感神経が優位になり、心拍数や血圧が上昇します。通常は、このような反応が起こると、これを抑えるために副交感神経が働いて心拍数や血圧は次第に下がっていきます。しかし、災害による強いストレスが長期間続くと、交感神経の働きが高まったままになり、心臓に負担がかかります。
不眠・睡眠障害
災害時にストレスが続くと、不眠や睡眠障害が起こりやすくなります。不眠は抑うつを助長します。また、眠っている間交感神経は活動を休め、血圧は低くなるように調節されますが、眠れないと交感神経が活発なままになってしまうため、翌日の血圧まで高くなります。
首や肩のこり
不安やストレスがあると、筋肉や神経の緊張が高まり、血流が悪くなることで筋肉がこわばります。その結果、痛みを引き起こす疲労物質がたまり、首や肩のこりの原因になります。
こういったストレス反応は、被災すれば誰にでも起こる可能性があります。症状を自覚したときは、以下のリラックス法を実践してみましょう。
ストレスを緩和するリラックス法
呼吸法
ストレスを受けると心拍数が増加し、呼吸も速くなります。意識して深くゆっくりと呼吸することで、気持ちを落ち着かせリラックスすることができます。特に腹式呼吸は効果的です。
筋弛緩法

筋弛緩法は、一気に緊張を高めてゆるめることで、リラックスする方法です。
- いすに座り、背すじを伸ばして、両腕をまっすぐ下ろします。両肩をグーッと上に持ち上げて、5秒間保ちます。
- 一気に力を抜いて、両肩を下ろします。
ストレッチ
ストレッチで筋肉の緊張をゆるめると、血行がよくなって、リラックス効果が得られやすくなります。
- 右手を、頭のてっぺんよりやや左側に添えます。
- 首の左側を伸ばすように、首をゆっくり右横に倒し、10秒間保ちます。このとき、添えた右手に力を入れ過ぎて、首を痛めないように注意します。反対側も同様に行います。
ウォーキング

ストレスの軽減や質のよい睡眠には、ウォーキングが効果的です。天気のよい日に五感を刺激しながら歩くと、リラックス効果が期待できます。
日頃から心がけたいこと
生活リズムを整える

1日の生活リズムを整えると、自律神経が整い、ストレス反応が起こりづらくなります。朝は太陽の光を浴びて体内時計を整え、日中は適度に体を動かし、夜はしっかりと睡眠をとりましょう。日頃から意識して習慣づけることで、リラックスしやすい体づくりをすることができます。
過度の飲酒や喫煙に注意
被災して不眠や不安があると、飲酒や喫煙に頼ってしまうことがありますが、そこから依存につながってしまう可能性があります。それを避けるためにも、ふだんから過度の飲酒や喫煙は控えるようにしましょう。