眼球が変形!?失明のリスクが高まる病的近視 通常の近視とどう違う?

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近視 視力や見え方の異常

通常の近視と病的近視の違いは?

通常の近視と病的近視の違いは?

近視になると、遠くの物がぼやけて見えます。なぜでしょうか?正常な眼球はきれいな丸い形をしていますが、近視では眼球が後ろに伸びているのがわかります。そのため、網膜の上にうまく焦点を結ぶことができず、映像がぼやけてしまうのです。

病的近視の眼底変化

病的近視は、このような近視の中でも、眼底に特有の変化を生じたものを言います。病的近視では、網膜や脈絡膜が広範囲に薄くなる「びまん性萎縮」や、眼球の後ろ側が突出していびつな形になる「ぶどう腫」といった変化がみられます。近視が強くても、こうした眼底の変化がみられなければ、病的近視ではありません。

近視の割合をあらわす図

日本で行われた疫学調査によると、40歳以上の人のうち、病的近視の人は1.7%と報告されています。

ここが怖い!病的近視

病的近視の主な合併症

一般的な近視は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正すれば、よく見えるようになります。しかし、病的近視の場合は、矯正しても視力がよくならない場合があります。

また、病的近視では網膜や視神経に大きな負担がかかっているため、

  • 脈絡膜新生血管
  • 網膜剥離
  • 緑内障

などの、失明につながることもある合併症が起こりやすくなることが分かっています。

脈絡膜新生血管とは?

脈絡膜新生血管とは、網膜の下にある脈絡膜の血管から「新生血管」と呼ばれる異常な血管が伸びてきて、網膜を押し上げている状態です。

脈絡膜新生血管とは?

特に、網膜の中心にある黄斑部に新生血管ができると、下記のような症状が現れます。

  • 最近急に視力が落ちた
  • 以前より暗く見える
  • 物がゆがんで見える

脈絡膜新生血管を放置すると、5年から10年後には、およそ9割の人が矯正視力0.1以下になってしまうといわれているため、注意が必要です。

病的近視に気づくには?

実は、病的近視そのものの自覚症状はありません。そのため、自分が病的近視かどうか知るためには、眼科で検査を受ける必要があります。

病的近視 早期発見のために定期的に眼科を受診した方がよい場合

  • 子どものころから近視が強い
  • マイナス6ジオプトリー(特にマイナス8ジオプトリー)を超える強度の近視
  • 20代後半を過ぎても近視が進行している

こうした場合は、病的近視に進行するリスクが高いので、自覚症状がなくても1年に1度は眼科を受診して、目の長さの測定や眼底検査を受けることが勧められます。特に、40代くらいから眼底の変化が起こることが多いといわれています。

病的近視や合併症の治療

残念ながら、今のところ病的近視そのものを治す治療法はありません。そのため、治療は合併症が起こったときに行われることになります。網膜剥離であれば手術。緑内障は初期であれば目薬で治療を行い、進行した場合は手術が検討されます。

脈絡膜新生血管に新しい治療が登場

これまで脈絡膜新生血管に対しては有効な治療法はありませんでしたが、最近、抗VEGF薬という注射の治療が登場し、広く行われるようになりました。

抗VEGF薬を目の中に注射すると、できてしまった新生血管をなくしたり、新たに作られるのを妨げることができます。その結果、網膜の盛り上がりが解消して、物がゆがんで見えるなどの症状が改善します。

近視の人は目を大切にしよう

病的近視の人はもちろん、近視であるということは、それだけで目に大きな負担がかかっています。目を強く閉じるだけでも眼圧が上がるため、ふだんから「目を強く閉じない」「こすったり押したりしない」といったことを心がけて、目を大切にしましょう。

子どもの近視予防についてはこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年10月号に詳しく掲載されています。

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