しみの種類と原因

しみにはいくつかの種類がありますが、今回は「老人性色素斑」と「肝斑」について解説します。
「老人性色素斑」は、30歳〜40歳以降に発症しやすく、5mm〜1cm程の大きさで、丸い形、濃い褐色をしているのが特徴です。単発の場合や数か所できることもあり、顔や腕などの日光を浴びやすい部分にできます。
もう1つの「肝斑」は、左右対称に薄茶色のしみとして両ほほ、鼻、額などに現れます。他の色素斑とは違い、根治させるのが難しいしみになります。
しみにはさまざまな種類がありますが、主な原因は紫外線です。

紫外線は太陽から届く光の中に含まれており、3種類あります。
- UVC
大気の層で吸収されて、地表にはほとんど届きません。 - UVB
大部分は大気の層で吸収されますが、およそ1割は地表に届きます。肌に強いダメージを与える1つです。 - UVA
太陽から届く紫外線のおよそ9割を占め、皮膚の奥深くまで到達してダメージを与えます。
紫外線は、5月から9月ごろまでは非常に多く地表に届いているので、注意が必要です。
※地域により、紫外線量は異なります。
しみができる仕組み

「老人性色素斑」の場合、紫外線を大量に浴び、肌の細胞の遺伝子が傷つくことによってしみができます。
遺伝子に傷がつくと、ケラチノサイトという肌の細胞が異常を起こし、黒っぽい色素であるメラニンを作れ!と指令を出すようになります。指令を受けて、さらに皮膚の深いところにあるメラノサイトという細胞が、メラニンを大量に作ります。メラニン自体には、肌の細胞を守る役割があるのですが、たまり続けた結果、しみとして出現するのです。
「肝斑」は、紫外線による皮膚の変化に加えて、女性ホルモンにより悪化します。女性に多く見られますが、男性の発症例もあります。
しみの治療法
しみの治療にあたり、医療機関では、しみの種類や皮膚がんではないのかといった鑑別を行います。ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を用いて判別します。
少し心配だなと思った方は、皮膚科を受診するとよいでしょう。
しみの種類がわかったら、治療を開始します。
主な治療法は4つあります。レーザー治療、光治療(フォトフェイシャル)、ケミカルピーリング、美白剤です。

老人性色素斑に用いる治療法は、この4つから患者さんの肌の状態によって選択します。
レーザー治療では、1回の治療でしみが取れますが、かさぶたが1週間ほどできる期間がありますので、医療機関で相談の上、治療を受けてください。
肝斑の治療では、老人性色素斑に用いるレーザー治療は行えません。刺激が強すぎ、肝斑が悪化してしまう可能性が高いためです。

肝斑は主に美白剤で治療を行います。美白剤には、塗り薬のトレチノイン、ハイドロキノン、ビタミンCや、のみ薬のトラネキサム酸があります。
肌のケアのポイント
しみの悪化因子は紫外線ですので、しみを防ぐための肌のケアは、日焼け止めをしっかり塗るのがポイントです。
日焼け止めの表示についても知っておきましょう。

「SPF」はUVBの紫外線を防ぐ効果指数のことで、何も塗らないときに比べてどれだけ防止できるかを示しています。1~50までの数字で表され、数字が大きくなるほど、効果が高くなります。もう1つの「PA」は、UVAの紫外線を防ぐ効果の目安です。4段階の+(プラスマーク)で表記され、プラスマークが多いほど効果が高いことを示しています。
屋外で、直射日光を長時間浴びる場合は、SPF50 PA++++が推奨されますが、日焼け止めにより肌が荒れた、炎症が起きたなどの場合は、ご自身の肌に合う日焼け止めに切り替えていくとよいでしょう。
また、ウォータープルーフタイプの日焼け止めが多いのですが、汗などで剝げ落ちることがありますので、汗をかいた場合は、そのつど塗り直しが必要となります。
スキンケアでは、顔をゴシゴシこすらずに洗うことが大切です。また、洗い過ぎて皮脂を取り過ぎてしまうと、炎症などのトラブルにもつながりますので注意が必要です。
保湿も大変重要ですので、洗顔後や、寝る前などには化粧水をつけるようにしましょう。