下剤・便秘薬に注意!いつ流性便失禁

高齢者の場合、さまざまな生理機能が低下しているため、便秘と便失禁が同時に起きている例が多くみられます。加齢などが原因で、肛門括約筋の収縮力が低下したり、直腸の感覚が鈍くなったりすると、便が排泄されず、直腸に肛門を通らないくらい“大きな便の塊”ができてしまうことがあります。
そこで、その便秘を治すため、一般的によく服用するのが下剤・便秘薬です。下剤は、大きく固まってしまった便には効果はなく、それ以外の便が緩くなります。このような状態になると、緩くなった便が、固まった便の周りを通って肛門へと下りてきます。大きな便の塊がしばらくあったことで、肛門括約筋の感覚はさらに鈍くなっているため、緩くなった便がもれてしまうのです。これは、「いつ流性便失禁」といって、高齢者に比較的多い便失禁です。
便が直腸内に大きく固まってしまった場合は、一度、浣腸(かんちょう)などで直腸内を空にした後、薬を使って便の硬さの調整をすると良いでしょう。便秘気味の方は、日頃から非刺激性の下剤や便秘薬を上手に使用するなどして、定期的な排便を心がけてください。便秘を予防するのも、便失禁を防ぐには重要なことなのです。