尿道括約筋の傷による腹圧性尿失禁に効果的
男性の場合、腹圧がかかったときに尿もれする「腹圧性尿失禁」は多くないのですが、例外もあります。前立腺肥大症の場合、電気メスで前立腺をくり抜いたり、レーザーで前立腺をくり抜いたり、蒸発させたりする手術を行う場合がありますが、その手術の際、まれに、前立腺の出口側にある「尿道括約筋」が傷ついてしまうことがあります。

「尿道括約筋」は、尿がもれないように尿道を閉める役割を果たしています。この筋肉に傷がつくことで、尿道をしっかり締めておくことができなくなり「腹圧性尿失禁」を起こしてしまいます。このようなタイプの尿もれは、前立腺がんの手術の後にも起こることがあります。

このようなケースで有効となるのが、「人工尿道括約筋埋め込み術」です。この手術は、陰嚢(いんのう)の裏側数㎝と下腹部を数㎝切開して、尿道括約筋の代わりとなる「カフ」、「コントロールポンプ」、「バルーン」を埋め込みます。普段、尿を膀胱内にためている時は、「バルーン」から尿道を取り囲む「カフ」に液体を送って尿道を閉じておきます。尿意を感じたときに、陰嚢内に埋め込んだ「コントロールポンプ」を皮膚の上から押して、トイレで排尿をします。
治療効果は非常に優れています。保険適用で受けられるのは、国から認められた認定病院のみとなります。希望される方は、主治医の先生によくご相談ください。