高血圧や糖尿病などの生活習慣病とは

「生活習慣病」は、日々の食事や生活習慣からなってしまう病気です。代表的なものに、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病などがあります。
いずれの病気とも、普段の食生活が関係し、子どものうちから注意する必要があります。
たとえば、動脈硬化は小児期に始まり、若年成人期に進行し、中年以降に発症すると考えられています。
また、小児期に形成された食習慣が成人に持ち越され、生活習慣病の発症につながることもわかっています。
生活習慣病のリスクが高くなる飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は、血中のLDL悪玉コレステロールを上げる作用があり、心血管系の病気のリスクを高めます。過剰にとれば肥満にもつながるので、とりすぎに注意が必要です。
飽和脂肪酸が多く含まれている食品は、肉の脂身、バターや生クリーム、プロセスチーズなどの乳製品、ソーセージ、ベーコン、カップ麺などに含まれています。
飽和脂肪酸摂取量を減少させると、血中総コレステロール及びLDLコレステロールが有意に低下することが報告されており、今回、小児の目標量が新たに設定されました。

【新たに設定された目標値】
3歳~14歳で摂取エネルギーの10%以下。
15~17歳で8%以下。
18歳以降は7%以下。(目標量・男女共通)
前の基準では18歳未満の基準はありませんでしたが、今回3歳以上からの基準が新たに加わりました。
摂取エネルギーの10%以下を食品におきかえると、ソーセージだと6本分、ファストフードのハンバーガーだと2個分にあたります。ホイップクリームたっぷりのケーキやパフェなどは気をつけた方がよいでしょう。
生活習慣病の予防 注目の栄養素
カリウム

カリウムは、ナトリウムとともに血液に含まれる重要なミネラルで、生体機能の調節に欠かせません。
日本人は、ナトリウム、食塩の摂取量がもともと多いですが、カリウムにはナトリウムの尿への排泄を促す働きがあるので、カリウムを増やすことでバランスをとり、血圧の上昇を抑えることができます。
カリウムは野菜や果物、豆類などに多く含まれています。今回新しく設定されたのが3から5歳の目標量で、1日1400mg以上の摂取が目標となりました。
通常の食生活において、カリウムが不足することはありませんが、ナトリウムとのバランスの上で、カリウム不足の懸念はあります。また、子どもの野菜嫌いを放置しておくと、「食物繊維」が不足してしまう恐れがあります。
食物繊維
食物繊維は、人体に有害な物質の吸収を妨げ、便として排泄させる働きがあり、糖尿病、動脈硬化、高血圧など生活習慣病の予防に役立つ栄養素です。
食物繊維は、海藻、穀物類、芋類、豆類、野菜、きのこなどに多く含まれます。今回新たに3歳から5歳の目標値が設定され、1日8g以上の摂取が目標となりました。
食育の重要性
生活習慣病の発症予防を考えた場合、甘いお菓子やジュースなどに含まれる糖類の過剰摂取は禁物です。小児肥満から糖尿病発症へつながるおそれがあります。また、食生活の基礎となる「食育」は最も重要なことです。
好き嫌いはこれで解決!子どもが食べたくなる食事作りのコツ

子どもの好き嫌いを解決するコツや、野菜嫌いを克服してもらう方法を女子栄養大学栄養クリニック教授の蒲池桂子さんに教えていただきました。
子どもの好き嫌いでお悩みの方へ
好き嫌いがあっても、無理に食べさせようとしないで、まずは子どもが食べたくなるような工夫が必要です。
野菜を食べやすくするコツ
子どもの嫌いな食べもので代表的なものが、ピーマン、なす、ゴーヤー、にんじん、トマトなどで、子どもは“苦み”があるものが嫌いです。
しかし、ちょっとした手を加えるだけで苦みが消えて、とても食べやすくなります。
【食べやすくする例】
- ピーマン
ピーマンの苦みは、えぐみの素が「クエルシトリン」という成分で、さらにピーマンのにおいと合体して、苦みを連想させます。
ピーマンを食べやすくする調理法のコツは、なるべく炒める、またはしっかりと時間をかけて焼くことでとっても甘みをひきだしておいしくなります。 - なす
なすを食べやすくする調理法のコツは、なすのアクを取り除くための下処理として、塩水に10分ぐらいつけ込んでおきます。
大人がおいしく食べる姿を見せる
子どもと一緒の食卓で、大人がおいしそうに食べているのを見ると、子どもも食べたくなります。特に、その子の大好きな人がおいしそうに食べていると、自分も食べたくなることが多いです。
幼少期からの味覚の形成が重要
子どもは、幼少期から味覚を養うことがとても大切です。子どもの頃の味覚は大人になっても継承されます。
子どもの頃に味の濃い、塩辛いものばかり食べていると、大人になってもうす味のだしや繊細な味の食べものに満足できなくなり、それが生活習慣病の原因になりかねません。
子どもの食事は、家庭あるいは社会の状態を反映します。子どもの理想の食事を考えるのにあわせて、大人自身も自分の食事を見つめ直しましょう。