足のかゆみや皮膚がふやける「水虫」 症状と予防法、治療について

更新日

セルフケア・対処水虫(足白癬・爪白癬)かゆみがある足・脚

水虫って何?

水虫は、日本人の5人に1人が悩まされると言われる、身近な病気です。*1
その原因は、カビ(真菌[しんきん])の一種である「白癬菌(はくせんきん)」の感染です。

カビの一種である白癬菌(はくせんきん)

白癬菌は、床やバスマット、スリッパなどさまざまなところに存在しています。ですから、日常生活の中で白癬菌に触れるのは、避けられません。ただ、付着したからといって、必ず感染するというものではありません。

水虫発症のメカニズム
水虫発症のメカニズム。菌が角質層の内部に入り込んでしまうと、白癬菌が角質を食べてしまう

水虫の原因となる白癬菌が付着していても、皮膚の表面にあるだけの状態では、発症はしません。
ただ、菌が角質層の内部に入り込んでしまうと、白癬菌が角質を食べてしまいます。その結果出てきた成分に反応して、炎症や水疱ができ、かゆみが起こります。これが水虫の症状です。

足に感染する「足白癬」の症状

水虫で多いのが、白癬菌が足に感染する「足白癬(あしはくせん)」です。足白癬は、日本人全体の約2割、特に50~60歳代では約3割に起こっているとされています。*1
症状としては、初期には足の指の間が白くなります。進行すると、皮膚がふやけてむけたり、かゆみが出ることがあります。

足白癬(あしはくせん)の症状 足の指の間が白くなる、皮がむける
足白癬で皮がむけている

また、足の裏に小さな水泡ができ、かゆみが出ることがあります。

足白癬で足の裏に水泡ができている

足の裏やかかとの皮膚が厚く、硬くガサガサになり、痛みが強く出ることもあります。

足白癬(あしはくせん) 足のがさがさや強い痛み
足白癬で足の裏がかさかさしている状態

足白癬を放置すると爪に感染する「爪白癬」が起こる

足白癬を放置していると、白癬菌が爪に感染して、「爪白癬(つめはくせん)」が起こることがあります。爪白癬は、国内でおよそ1000万人が発症していると考えられ、加齢とともに増加し、特に高齢者の男性に多くみられます。

爪白癬(つめはくせん)の症状

爪白癬になると、爪が白色から黄色に濁って厚くなり、やがて爪がボロボロになってしまいます。爪白癬が重症化すると、自分では爪が切れなくなるほど爪が分厚くなり、変形、皮膚もただれ、水泡も出来ます。こうなりますと、靴を履くのも困難になります。また、体のバランスがとりにくくなり、転倒して骨折し、歩けなくなることも少なくありません。

爪白癬で黄色に濁っている爪
爪の形が変形している状態

水虫と間違いやすい皮膚の病気

水虫を疑って皮膚科を受診した人のうち、約3分の1の人は水虫ではなく、次のような皮膚の病気と診断されています。*1

乾せん

皮膚が赤くなって盛り上がり、慢性的に皮膚の表面に銀白色の“粉”のようなものができて剝がれ落ちます。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

膿(うみ)が溜まった「膿胞」が、手のひらや足の裏に数多くでき、よくなったり悪くなったりを繰り返します。

汗疱(かんぽう)

強いかゆみを伴う水疱が、手のひらや指、足の裏や指などに慢性的にできます。

接触皮膚炎

特定の物質が皮膚に接触すると、その刺激やアレルギー反応でかぶれが起きます。

水虫の予防法

水虫(足白癬)にならないための予防法

水虫の予防として重要なポイントは、角層の中に入る前に白癬菌を除去することです。およそ12時間~48時間で侵入することがわかっているので、それまでに対処する必要があります。

具体的には、それまでに足を洗う、または、乾いたタオルで拭うだけで、ほとんどの菌が落ちます。また、白癬菌は高温多湿の環境で増殖するため、長い時間靴を履き続けないようにするなど、足を蒸らさないようにすることが重要な予防法です。例えば、職場でサンダルのような通気性のよいものに履き替えるなどするとよいでしょう。

足白癬 爪白癬の治療法

足白癬には、抗真菌薬の塗り薬を1日1回塗るのが基本です。指の間からつま先、足裏、かかと、アキレス腱まで広い範囲に塗っていきます。2週間ほどで症状は軽減しますが、まだ菌は残っているため、症状がなくなってから最低1か月程度は塗り続けることが必要です。

爪白癬にはのみ薬が推奨されています。3か月から6か月の服用が必要ですが、患者さんの体質やほかの薬とののみ合わせもあるので、医師と相談しながら治療を進めていきます。
のみ薬が使えない場合は、塗り薬を使いますが、1年以上かかる場合もあるので、治療には根気が必要です。
白癬は、家庭内が一番感染しやすいと言われています。早期に白癬に気が付き、白癬を患う家族全員が早めに治療することが、最大の予防法です。

*1 1995年「日本皮膚科学会雑誌」

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2022年9月 号に掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321 まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    どう治す?気になる水虫・イボ「今すぐ始める!水虫対処法」
  • きょうの健康 放送
    人に言いづらい体の悩み 水虫