詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年4月号に詳しく掲載されています。

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声帯ポリープは、声帯にできる良性のこぶのことです。声帯の血管が破れてできた「血豆」のようなものです。
声帯は気管の入り口にあり、左右の声帯が閉じることでのどを塞ぐ構造になっています。声を出すときには声帯が閉じて、左右の声帯の間を空気が通過することで、声帯自体が1秒間に100~400回ほど細かく振動して声になります。
声帯ポリープができると、左右の声帯がしっかり閉じなくなり、振動が不規則になって声がかれる“声がれ”など発声の障害が現れます。
声帯ポリープは、声の出しすぎで声帯を酷使することなどが原因でできます。教師、歌手、アナウンサーなど、日常的に声を出す人は、リスクが高くなります。
また、ふだん大きな声を出すことが少ない人が、運動会の応援などで急に大声を出したりすると、声帯ポリープができることがあります。さらに、不眠が続くと声帯が腫れやすくなります。水を飲まないと体内の水分が少なくなり、声帯が乾燥しやすくなります。また、たばこを吸っていたり、毎日のように多量の飲酒をしている人は、声帯に負担がかかり、声帯ポリープができやすくなります。
声帯ポリープの主な症状は「声がれ」です。そのほかに「発声時にのどの違和感が強くなる」「発声が続かなくなる」などの症状もあります。
日頃から自分の声の調子を知ることは大切です。簡単なチェックで判断できます。
【チェック方法】 ※立っていても座っていてもよい
(1)口を閉じ、鼻からたっぷり息を吸う。
(2)「あー」と、ひと息で何秒間、声を出し続けられるか計る。
目安として、15秒以上出し続けられれば健康な状態です。もしそれより早くかすれたり、途切れてしまう場合は、声帯に何らかのトラブルが起きている可能性があります。
「声がれが10日間以上続く」「15秒間以上続けて声を出せない」に加え、「のどに異物感がある」場合は、声帯ポリープなど声帯の異常が疑われます。のどを専門とする耳鼻咽喉科を受診することが勧められます。
声帯ポリープの診断のためには、一般に「喉頭ファイバースコープ」を使った検査が行われます。ただ、ファイバースコープだけでは高速振動している声帯とポリープの状態を正確にとらえきれない場合があります。そこで「喉頭ストロボスコープ」を使い、特殊な光で、発声中の声帯の振動の様子をスローモーション画像や静止画像で捉えて調べます。
正確な診断ができなければ適切な治療は行えません。そのため、喉頭ストロボスコープによる検査が重要です。なお、のどを専門とする耳鼻咽喉科であれば喉頭ストロボスコープによる検査が受けられます。
声帯ポリープの治療は手術と手術以外の方法に分けられます。通常、初期の声帯ポリープは、手術以外の次のような治療が行われます。
呼吸の妨げになるほどの大きな声帯ポリープがある場合や、喉頭がんが疑われる場合などには、早めに手術で声帯ポリープを切除する必要があります。また、初期の声帯ポリープ治療を1~2か月続けても改善しない場合も、手術を検討します。
声帯ポリープの手術は、声帯を手術用の顕微鏡で拡大して行う喉頭顕微鏡下手術が基本となります。この手術は、全身麻酔をしたうえで行い、一般に2~5日間程度の入院が必要です。
手術後は一時的に声帯が傷ついているため、3日間~1週間程度は声を出さずに安静にする「沈黙療法」が必要になります。声を出すことが多い職業の人でも、手術後およそ3~4週間で仕事への復帰が期待できます。
声帯ポリープを疑う症状がある場合は、のど専門の耳鼻咽喉科へ。あらかじめ喉頭ストロボスコープ検査ができるかどうか、言語聴覚士がいるかどうか問い合わせてから受診するとよいでしょう。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年4月号に詳しく掲載されています。