においが分からない「嗅覚低下」は認知症にも関係。鼻づまりなど原因や予防の方法を解説

更新日

セルフケア・対処 副鼻腔炎 認知症 サルコペニア 鼻がおかしい

においが分からない原因は?

生活を華やかにしてくれるだけでなく、時に命を守る大切な感覚でもある嗅覚。鼻の奥にある嗅細胞がにおいの分子を捉え、その情報を脳に伝えることにより、私たちはにおいを感じることができます。

嗅覚のメカニズム

その嗅細胞ににおいの分子が届かなくなったり、嗅細胞が変性し脱落したりすると嗅覚が低下し、においを感じにくくなったり、感じなくなったりします。その原因としてあげられるのが、鼻の病気やかぜ、加齢、認知症などです。

鼻の病気

慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎のため鼻づまりが起こったり、鼻の中にポリープがあったりすると、においの分子が嗅細胞に届きにくくなります。こうした鼻の病気が原因の場合は、その病気を治療すれば、すぐに嗅覚が回復することもよくあります。

かぜ

かぜの原因になったウイルスによって、嗅細胞が障害されると、細胞が再生するのに時間がかかり、嗅覚が回復するまでに数か月かかることもあります。

加齢

嗅覚は、男性では60代から、女性では70代から低下が目立つようになります。嗅覚の低下に男女差がある理由ははっきりとはわかっていませんが、男性の喫煙率が高いことや、女性は調理や化粧品の使用などで男性よりもにおいに接する機会が多いことが関係しているのかもしれません。

認知症

認知症と嗅覚障害も関係が深いことが分かっています。認知症で起きる脳の病変の影響が、嗅覚にも及ぶと考えられています。

嗅覚低下の影響

においが分からないと、どんな不都合があるのでしょうか。

嗅覚が低下するとどうなる?

嗅覚障害の患者さんへのアンケート結果では、「食品の腐敗臭に気づかない」「ガス漏れに気づかない」「食事がまずい」「煙を感知できない」など、さまざまな支障があることがわかってきました。食中毒やガス漏れ、鍋を焦がすことなどにより、ときには命の危険にさらされることもあります。また、においと味は密接に関わっているので、嗅覚の低下が食欲不振を招き、栄養不足になったり、味付けが濃くなって塩分や糖分過多になり、脳卒中や心筋梗塞などにつながることがあります。

最近の研究では、嗅覚低下が運動機能の衰えを招くことも明らかになってきました。運動機能が低下しているサルコペニアの人と運動機能が正常の人を比較した場合、サルコペニアの人の方が圧倒的に多く嗅覚低下が見られたのです。

嗅覚低下と運動機能

嗅覚トレーニングとは?

ドイツでは嗅覚低下を回復させるためのトレーニングがあり、治療にも使われています。その方法は、朝と晩の1日2回、レモン、ユーカリ、バラ、クローブのにおいのエキスを数十秒ずつ嗅ぐというもので、嗅細胞の再生を促すと考えられています。自分で意識してにおいをかぐことも、嗅覚トレーニングになります。嗅ぐにおいは何でも構いません。料理しながら食材のにおいを意識して嗅いだり、入浴剤の香りを楽しみながら入浴したり、生活の中でにおいを意識してみましょう。

においを楽しみ、健康的な生活を送るために、次のようなことが勧められます。

においを楽しむための4か条

  • 鼻の病気があれば治す
  • タバコをやめる
  • 週に3回は運動する
  • 意識して嗅ぐ習慣をつける

病気の治療や生活習慣だけでなく、普段の生活の中でにおいを楽しむことが、嗅覚の回復や低下を防ぐことにもつながります。生活を豊かにしてくれるにおいを楽しみながら、健康な生活を続けましょう。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年3月号に詳しく掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    気になる鼻の症状「においが分からない」