危険な鼻血に注意!正しい鼻血への対処法

更新日

セルフケア・対処 鼻がおかしい

大人の鼻血は注意が必要

鼻を打ったり、かみすぎたりした時に出る鼻血。そのほとんどは鼻の入り口近くのキーゼルバッハ部位からの出血です。この部位からの出血であれば、多くは大きな心配はありません。

鼻の入り口近くのキーゼルバッハ部位

しかし、まれに鼻腔内の奥に通っている動脈から出血している場合もあります。この場合は出血量も多くなかなか止まらないので、すぐに医療機関へ向かう必要があります。

その他にも注意が必要な鼻血があり、原因には、高血圧動脈硬化、肝臓や腎臓の疾患、血液の疾患、腫瘍などがあります。また服用している薬が原因になることもあります。さらに、オスラー病という病気が原因になることもあります。特に大人では、鼻を打ったり傷つけたりしたわけでもないのに鼻血を繰り返すようなら、何らかの病気が潜んでいるかもしれませんので、注意が必要です。

高血圧や動脈硬化

高血圧や動脈硬化によって血管がもろくなると、動脈から出血することがあります。こうした鼻血は特にきっかけがなく、突然出てきて止まらなくなることがあります。ドクドクとかなりの量が出て、血液がのどに下りて誤えんや窒息につながる場合もあり、注意が必要です。

肝臓・腎臓・血管の病気

肝臓には、もともと「血液を固まらせる成分」をつくる働きがありますが、肝硬変などでその働きが衰えてしまうことがあり、その場合は、鼻血が出やすくなったり、止まりにくくなったりします。腎臓の病気や、血友病・白血病といった血液疾患の場合も同じようなことが起こります。

心筋梗塞や脳梗塞などの治療に使われる血栓予防のための抗凝固薬が原因で、鼻血が止まりにくくなるケースも最近増えています。

オスラー病

「オスラー病」は、遺伝性の病気で、血管がもろくなり体のあちこちから出血する病気です。鼻血だけではなく、肺や脳などからも出血しますが、鼻血で気づかれることが多くなっています。

実は知らない!?鼻血の正しい対処法

上を向いて、首の後ろをトントン?冷やせば止まる?残念ながら、それでは鼻血は止まりません。ティッシュを詰めるのも止血には効果がありません。傷口を広げることもあり、逆効果になってしまいます。また、上を向くのは厳禁。鼻血がのどに流れて飲み込んでしまうからです。血液は毒ではありませんが、胃の中で酸化されると吐気をもよおします。その血液がのどに詰まって窒息してしまうことがあるのです。
では、突然鼻血が出て来た時、どうすれば良いのでしょう?

鼻血の正しい止血の方法

突然の出血には、まず落ち着くことが大切です。横にならずに、椅子などに座ると良いでしょう。そして、少しうつむいて出血している側の鼻を押さえます。押さえる場所は、小鼻の上です。5分間、手を離さずにじっと押さえ続けましょう。ダメなら2回続けます。ほとんどの鼻血はこれで止まります。

危険な鼻血の見分け方

危険な鼻血の見分け方

次のような場合は、危険な鼻血の可能性があります。たかが鼻血と侮らず、大量に出る場合や止まらない場合は迷わず医療機関を受診しましょう。

  • 押さえても止まる気配がない
  • 出血量が明らかに多い
  • 顔色が青ざめている
  • 歯茎など他の部位からの出血
  • 10分経っても止まらない

なお医療機関では、まず止血剤を染み込ませたガーゼや、血液を吸収することで膨らむスポンジのようなものを詰めるなどして処置します。それでも止まらない場合は、止血用のバルーンカテーテルを入れて破れている血管を圧迫します。このように、医療機関の処置も、まず鼻の出血部位を押さえることになります。突然の鼻血は、慌てずに鼻を抑えることが大切です。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年3月号に詳しく掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    気になる鼻の症状「鼻血への対処法」