耳鳴りには補聴器が有効 耳の聞こえを改善する治療とは

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耳鳴り治療の基本は「教育的カウンセリング」

耳鳴り治療の基本は「教育的カウンセリング」

耳鳴り治療の基本は「教育的カウンセリング」です。教育的カウンセリングでは、耳の仕組みや耳鳴りが起こるメカニズム、そして耳鳴りが続くことで聴力が失われるわけではないこと、さらに耳鳴りが脳などの病気の前触れではないことを詳しく医師が説明します。そうすることで、耳鳴りに対する不安や疑問が解消され、耳鳴りが気にならなくなったり、治まる場合があります。また、耳鳴りを完全になくすことは難しくても、軽減する治療法があることも説明します。

耳鳴りの原因になっている病気には「薬による治療」

耳鳴りの原因になっている病気には「薬による治療」
耳鳴りの合併症 薬による治療

耳鳴りの原因になっている病気や耳鳴りによって起こる合併症に対しては、薬を使って治療します。まず、メニエール病の治療では、三半規管や蝸牛の中に増えすぎたリンパ液の排出を促してむくみを抑えるために「利尿薬」や「ステロイド薬」を使います。突発性難聴の治療でも「ステロイド薬」を使います。
耳鳴りが続くことで「うつ病」「不安障害」「不眠症」などの合併症が起こることがあります。「抗うつ薬」「抗不安薬」「睡眠薬」などを使って改善を図ります。

「補聴器」を使った治療

補聴器の種類 耳かけ型と耳穴型

耳鳴りの主な原因は難聴で聞こえにくくなった音を脳が補おうとして、本来ない音をつくり出してしまうこと。補聴器で低下した聴力を補うことで耳鳴りを改善することが可能です。耳鳴りの治療で使われる補聴器には、大きく分けて2つのタイプがあります。耳かけ型は機能の調整がしやすく「高音だけが聞き取りにくい」などの軽度の難聴から重度の難聴まで対応できます。一方、耳穴型は耳の穴にぴったり収まり目立ちにくいタイプです。ただし、耳かけ型に比べ音を増幅させる性能が低く、重度の難聴には向きません。また、使う人の耳穴に合わせて作るため価格が高くなります。
補聴器を使い始めても、装着したときの際の不快感などから使用をやめてしまう人が少なくありません。

補聴器の注意点

補聴器の使用開始時には1日10時間を目安に長時間装着して補聴器に慣れるとともに、音をやや小さめに設定することが重要です。また、1~2週間に1回は受診して補聴器を調整してもらうようにしましょう。

耳鳴りを気にならなくする治療 耳鳴り順応療法(TRT)

耳鳴りを気にならなくする治療 耳鳴り順応療法(TRT)

補聴器には耳鳴りに近い音を出す「サウンドジェネレーター」機能が付いたものがあり、その機能を使った耳鳴り順応療法(TRT)があります。TRTでは耳鳴りの8割~9割の音量を補聴器から流して聞くことで耳鳴りがあっても気にならないようにすることを目指します。ただし、TRTの効果が現れるまでの期間は個人差が大きく、早くて数か月、長いと2年ほどかかることもあります。

耳の聞こえを改善する手術とは

耳の聞こえを改善する手術(人工内耳)

補聴器を装着しても聞こえないほどの重度の難聴がある場合は、聞こえを改善するために「人工内耳」を埋め込む手術が検討されます。耳に装着した集音マイクで捉えた外部からの音は側頭部に埋め込まれた音を電気信号に変換する装置に送られます。その電気信号が電極を介して脳に伝わり、音が聞こえるようになります。手術によって、聴力が回復すると、耳鳴り以外の音が聞こえるようになり、静寂が避けられるので耳鳴りの緩和に効果があります。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    放置しないで 耳鳴り「最新治療」