2月12日放送 NHKガッテン!「寝たきり予防の最新メソッド"小脳力"トレーニングSP」

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前庭神経炎 めまいがする 脳・神経

ガッテン!画像 転倒による医療・介護の費用年間9308億円

年間9308億円――これは、転んでしまい、けがや骨折をしたことでかかった、医療や介護費用の総額を試算したものです。転倒から寝たきりになってしまうケースも少なくありません。つまり、転倒を予防することは寝たきりを予防することにつながるのです。今回は、最新の研究で明らかになった転倒予防の最新メソッドをご紹介します。

転倒の原因は"筋力"と"○○力"?

転倒の原因といえば...まず思い浮かぶのは"筋力"ですよね? もちろん筋力は転倒予防に欠かせない大切な力です。番組でも、これまで何度も筋力アップの方法をご紹介してきました。

けれども、最新の研究で、どうやら筋力以外にももう1つ転倒に関わる重要な"力"があることがわかってきました。その力とは...「小脳の力」です。

小脳と転倒の関係とは?

ガッテン!頭部画像でみる小脳の位置

小脳は、脳の奥深くに位置し、手足のバランスや体の平衡感覚をつかさどっています。小脳が活発に働いていれば、つまずいて体のバランスが崩れても、小脳の働きによって姿勢を立て直すことができます。一方、小脳が活発に働いてくれないと、つまずいたあと、姿勢を立て直すことができず、転んでしまいます。
つまり、転んでしまうかどうかは、その人の小脳が活発に活動しているかどうかに大きく関係しているのです

筋力があっても転びやすい!? 転倒実験

番組では、転びやすい人の小脳を詳しく調べるため、ある実験を行いました。実験に参加してくれたのは、40代の女性、Aさん。Aさんの日課は愛犬の散歩で、趣味は10年以上続けているラテン系ダンスです。そのため、体力には自信があるといいます。実際、専門家が行った体力測定でも、Aさんは同年代の女性の平均値を上回り、筋力には何の問題もないことを証明しました。ところが...

ガッテン!転倒実験に協力してくれたAさん画像

Aさんに、人をつまずかせるための仕掛けを施した特殊なウォーキングマシンの上を歩いてもらったところ、何度もつまずいて、転びそうになってしまったのです。

ガッテン!転倒実験の様子

※実験は、専門家の立ち会いのもと、安全に配慮して行いました。

Aさん
「難しかった! 誰も支えてくれなかったら、絶対倒れてますね」
スタッフ
「ふだんから転ばれたりは?」
Aさん
「あります。なんていうか、つんのめる感じ」

ガッテン!転倒実験に協力してくれたAさんインタ

転びやすい人の"小脳力"を徹底検証!

なぜ筋力にはなんの問題もないのに、転びやすいのか? 続いてAさんには、"小脳力"の測定に臨んでもらいました。

ガッテン!小脳力検証実験の様子

Aさんに、目の前の物が少しズレて見える特殊なゴーグルをかけてもらい、画面に表示される点をタッチしてもらいます。小脳には、見た目のズレを補正する力があります。これが"小脳力"です。"小脳力"がある人なら、最初は正確な位置を指すことができなくても、回数を重ねるごとにズレが修正され、次第にゴーグルをかけたままでも正確な位置を指すことができるようになります。しかし、Aさんは実験開始からおよそ5分たっても、うまくタッチすることができませんでした。
この実験から、Aさんの"小脳力"が衰えていることが明らかになったのです。

なぜ"小脳力"は低下する?

"小脳力"が低下する主な原因には、下記のようなものが挙げられます。

● 加齢
● アルコールのとりすぎ
● 運動不足

これらに加えて、"小脳力"には個人差も大きいと考えられています。実際、街頭で20代から80代の方100人の"小脳力"をチェックしたところ、全体の平均で4割が転倒リスクが高くなっているのではないかと考えられる結果になりました。つまり、若いからといって油断はできないんです。

ガッテン!小脳力セルフチェック年代別グラフ 全体平均4割で転倒リスクが

20秒ですぐ分かる!"小脳力セルフチェック"のやり方は、ガッテンホームページで詳しく紹介!

簡単で効果大!転倒予防のための"小脳トレーニング"とは?

自分の"小脳力"は大丈夫?と心配になったあなた。めまい・ふらつきがあり、転倒リスクが高い場合でも大丈夫!今からでもできることがあるんです。東海大学医学部付属病院 耳鼻咽喉科 准教授の五島史行さんが、実際の医療現場で勧めているトレーニングをご紹介します!

小脳トレーニング①

ガッテン!小脳トレーニングを紹介する東海大学耳鼻咽喉科五島史行准教授

● 両腕をまっすぐ前に伸ばし、両手の親指を立てる。
● 顔は動かさず、目だけを動かして左右の親指を交互に見る。これを10往復行う。
  ポイント! できるだけ速く目を動かす

小脳トレーニング②

ガッテン!小脳トレーニングを実践する志の輔さん

● 親指を立てた状態で片手を前に伸ばし、もう片方の手であごを固定する。
● 伸ばしたほうの手をゆっくり左右に動かし、親指の先を目で追う。これを10往復行う。

このトレーニングは、朝・昼・晩1日3回行うと効果的です。2つのトレーニングを1セットとして、1回につき3セット行いましょう。

注意!
ふらつきを感じる場合がありますので、必ず座った状態で行ってください。気分が悪いと感じたら、無理をせず中止してください。

このトレーニングは、耳の中の異常によるめまい・ふらつきのある人に勧められることがあります。

ワッキーさん
「筋トレはキツいけど、これは別にキツくないですもんね」
五島史行さん
「でも、つまんないですから。つまんないから続かないんですよ」
柴田理恵さん
「先生考えたのに!」
ワッキーさん
「じゃあ、楽しいやつ考えてくださいよ!」
立川志の輔さん
「いや~。長年この番組やってきて初めてですよ。自分で紹介しといて、『これつまんないでしょう?』って」

小脳トレーニングを紹介する東海大学五島史行准教授

...な~んて先生はおっしゃっていますが、このトレーニング、すごい効果があるんです!

衝撃ビフォー・アフター! "小脳トレーニング"を1か月やってみた

この"小脳トレーニング"を転倒リスクが高いと言われたAさんにやってもらいました。期間は1か月。果たしてその結果は...?

ガッテン!小脳トレーニングを1か月したAさん

再び、転倒実験用のウォーキングマシンで歩いてもらったところ......、つまずきそうになっても自力で体を立て直すことができるようになったんです! 実際、実験を監修した専門家も、「体の立ち直りが早くなった」と評価していました。

ガッテン!転倒実験の比較小脳トレーニング前後

Aさん
「前回は本当に倒れていっちゃったのが、(今回は)よろけながらも、自分でもち直せるなと思ってビックリしました」

ガッテン!小脳トレーニング後のAさんインタ

さらに、こんな研究も発表されています。めまいやふらつきなどで転倒リスクが高い人20人にこの"小脳トレーニング"を1年間やってもらったところ、なんと95パーセントの人で症状が軽減したというんです。

ガッテン!小脳トレーニングの効果の論文画像

ただし、症状が改善したからといって"小脳トレーニング"をやめてしまうと、また小脳の働きが低下してしまうと考えられています。トレーニングは無理せず、長く続けることが大切です。
皆さんも、"小脳トレーニング"で将来の転倒・寝たきりを予防しましょう!