詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年2月号に詳しく掲載されています。

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「家族」が、ストレスの原因になっていることがあります。平成28年の国民生活基礎調査によると、約48%の人が、「悩みやストレスがある」と訴えています。さらに、「悩みやストレスの原因」の約30%が、人間関係によるものでした。
その内訳は、「家族との関係にストレス」によるものが約14%、「家族以外との人間関係」によるものが約15%。人間関係によるストレスの約半数は、家族が原因という結果が出ました。特に、女性では、「家族との人間関係」にストレスを感じている人が多いことも分かりました。
生活の多くを共にする家族がストレスの原因になると、心の支えがなくなり、逃げ場もなくなるため、「ストレス反応」はよりいっそう大きくなります。家族の間にあるストレスに向き合うためのヒントについて解説します。
人との関係でストレスをつくらないようにするためには、まず自分のことを知り、理解することが大切です。心理学の「エゴグラム」という分析方法では、私たち一人一人のなかに、性格の異なる特徴的な"5人の私"が存在すると考えます。
私たちは、この"5人の私"を無意識のうちに使い分けており、人と接するときには、そのうちの"誰か"が表に現れていると考えます。
(1)「批判的な親のような私」
?非常に厳格で、責任感がある。
(2)「保護的な親のような私」
?優しい、愛情深い、世話好き。
(3)「大人の私」
?論理的で知性を重視し、合理的。
(4)「自由な子どものような私」
?自己中心的で、自由奔放、ユーモアがある。
(5)「順応する子どものような私」
?従順で遠慮がち、他人からの評価を気にする。
人との関係にストレスを感じる場合は、自分のなかにある"5人の私"の、人間関係の築き方に"癖"があり、それが原因となっているのかもしれません。好ましくない"誰か"が強い場合は、修正していくことで、より良いコミュニケーションをとることができます。
「いつも頭ごなしに息子を叱ってしまう」父親の場合、「批判的な親のような私」が強く現れています。「父親の前では萎縮してしまう」息子の場合、「順応する子どものような私」が強く現れていると考えられます。
このような関係が固定してしまい、お互いに居心地の悪い状況に陥っている場合には、相手に「自分のストレスに気付いてほしい」と願うだけでは、なかなか解決につながりません。関係を改善したい場合は、強く現れている"私"を変えてみましょう。
父親は、「保護的な親のような私」や「大人の私」になることを意識し、落ち着いて話しかけるようにします。それによって、萎縮していた息子からは、論理的な「大人の私」、伸び伸びとした「自由な子どものような私」として答えを引き出しやすくなります。
人間関係をよくするには、「関係性を調整」するとよいでしょう。わかりやすく示すために、「批判的な親のような私」と「保護的な親のような私」を合わせて「親のような私」、「自由な子どものような私」と「順応する子どものような私」を合わせて「子どものような私」として、家族の間でのやり取り・交流を、"矢印(ベクトル)"で図式化します。矢印が平行であれば関係が良好なことを示し、平行にならない場合は、お互いにストレスがかかっていると考えられます。
※心理療法、交流分析を応用
主婦の康子さんは、最近、強いストレスを感じてイライラしている。原因は、夫が定年退職後、ずっと家にいるようになったことで、煩わしく感じている。
一方、夫の健(たけし)さんも、退職後は家でテレビを見るばかりで、趣味もなくうつうつとしている。「何か趣味をもてば?」と康子さんに毎日言われるので、健さんは、つい「うるさい!」とどなりがち。夫婦ともに、強いストレスを感じている。
【関係改善のヒント!】
お互いの「一人の時間」や「快適な過ごし方」を認め合うようにするとよいでしょう。一緒にできる趣味や活動、運動を見つけたり、食事に行ったりすることで、気の置けない関係がつくれるかもしれません。
社会人1年目の女性。慣れないことはあるが、張り切って仕事をしている。ところが、同居中の母親から、「今、何をしているの?」「昼食は食べた?」「仕事は順調?」などのメールが、仕事中に何十通も送られてくる。帰宅後も、母親のおしゃべりが続き、会社にいても、家にいても、強いストレスにさらされている。
【関係改善のヒント!】
(1)冷静に「メールを送る回数を減らしてほしい」「仕事中はメールを見られない」と伝えます。「昼休みなら連絡を取り合える」など、少し譲歩した提案をするのもよいでしょう。お互いが「大人の私」でやり取りをするように心がけると、関係の修復につながります。
(2)家族の間では、けんかや争いの状態にある場合でも、本音では「相手と仲よくしたい、わかり合いたい」と願っている場合もあります。自分と相手との関係のあり方を客観的に観察できると、その本音の部分が"読める"ようになり、よりよい人間関係の構築につながるでしょう。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年2月号に詳しく掲載されています。