【患者体験談】突然の危険なめまい「小脳梗塞」の原因となった持病とは?

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脳梗塞めまいがするおう吐がある脳・神経

小脳梗塞になったとき -私のチョイス-

体力自慢のAさんを突然襲っためまい

Aさん(69歳・男性)は、定年退職するまで消防署に勤務していました。自転車で富士山の5合目まで登ったり、100キロマラソンに挑戦したりしたこともあり、体力には自信がありました。

ところが、今から3年前のある日の朝、そんなAさんを突然めまいが襲いました。日課の散歩に出かけると、急に、まるで地震が起きているかのように体が激しく揺れる感覚に見舞われました。揺れは長く続き、立っていることもできなくなって、その場にうずくまってしまったAさん。そのうちに気持ちが悪くなり公衆トイレで吐いてしまいました。

脳に異変が?

おう吐した後、フラフラになりながらも、なんとか自宅へと戻ったAさん。しばらく横になって休みましたが、めまいは治まりませんでした。
ついに耐えられなくなったAさんは、息子の運転する車で市内の神経内科がある病院へ向かいました。最初に症状が起きてから既に4時間が経過していましたが、めまいは続いていました。さっそく医師が診察すると「眼振」が認められました。眼振とは眼球が無意識に細かく横に揺れたり、回転したりすることです。この眼振のために、実際には動いていない景色が揺れたり、自分が揺れているように感じたりするのです。さらに、安定してまっすぐに立っていられないことから脳に原因があるのではないかと疑われました。そこでМRI検査をすると、小脳の血管がつまっているのが見つかりました。Aさんは小脳梗塞を起こしていたのです。

小脳梗塞でなぜめまいが?

人間は、耳(三半規管や耳石器)からの情報、目からの情報、筋肉の収縮による体の傾きの情報から平衡感覚を保っています。その3つの情報をまとめて処理し、体をコントロールしているのが脳の後ろ側にある小脳と脳幹です。そのため、小脳や脳幹で脳梗塞脳出血が起きると、しばしば平衡感覚が乱れ、めまい症状となって現れます。

小脳梗塞を引き起こした持病

同じ脳血管の病気でも、「脳出血」の一番の原因は血圧が高いことです。一方、「脳梗塞」は、大きく分けて2つ。ひとつは動脈硬化の進行によって血管がつまってしまう血栓性の脳梗塞。もうひとつは、不整脈によって心臓の中に血液の塊ができて、それが脳の血管に飛んで詰まる、心源性と呼ばれる脳塞栓症です。

Aさんは、15年ほど前に糖尿病と診断されていました。糖尿病は動脈硬化を進行させてしまいます。さらに、この小脳梗塞のため入院した際の検査で不整脈も見つかりました。つまり、Aさんは「動脈硬化」と「不整脈」という脳梗塞の2つの原因を両方とも持っていたのです。
Aさんは、血液をサラサラにする薬を朝晩欠かさずのみ続けています。

Aさんの反省

消防署に勤務していたAさんは、めまいを起こしたときにすぐ救急車を呼ばなかったことを今でも反省しています。

「住民に脳卒中という病気の怖さを伝えていたし、脳に異常を感じた場合には遠慮せずに救急車を使うようにお願いしていました。それなのに、なぜ自分がああなったときに救急車を呼べなかったのか今でもわかりません。あれは大きな過ちだったと思います。」

この記事は以下の番組から作成しています

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