鍼灸によるうつ病の治療 心に効く「ツボ」の存在

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うつ病

なんだか気分が晴れない。病気ほどではないけど、体調がすぐれない。そんな人たちの悩みを解消する手段として、東洋医学が注目を集めています。イギリスでは、うつ病治療の選択肢として、薬が効かない患者への効果が確認され、日本の研究からは、「脳活動の活性化」が期待される結果も出てきました。
心に効くツボとは?研究の最前線と、セルフケアをご紹介します。

世界で普及が進む 鍼灸治療

イギリスの街のあちこちで見かける 鍼灸クリニック
イギリスの街のあちこちで見かける 鍼灸クリニック

日本に鍼灸(しんきゅう)院がどれくらいあるかはご存じですか?なんと6万軒以上。実は、コンビニエンスストアの数を上回ります。読者の皆さんの中には、一度は鍼灸を経験した方も多いのかもしれません。実は、イギリスも、鍼灸大国の一つ。大学で、鍼灸学の学位を取ることができるのはもちろん、がんの緩和ケアなどで人気に火がつき、イギリスの皆さんにとっても、「身近な」存在のようです。町ゆく皆さんに聞いても、「もちろん行ったことがある」「もう30年も通っている」など、私たちの予想以上に、鍼灸が浸透していて驚きました。

鍼灸は海外にも浸透している

うつ病治療の選択肢となりつつある 鍼灸

鍼灸によって症状が回復したコリン・マシューズさんと家族
鍼灸によって症状が回復したコリン・マシューズさんと家族

そんなイギリスで、今、注目を集めているのが「うつ病」に対する、鍼治療です。うつ病患者の3割は薬が合わずにやめてしまう他、使用しても効果が認められないケースがあるといいます。そのような中、イギリスで行われた大規模研究に注目が集まりました。うつ病患者755人に対して、「カウンセリング」と「鍼灸治療」の効果を比較したところ、同等の効果が確かめられたというものです。研究を率いた、ヨーク大学のヒュー・マクファーソン教授は「鍼灸がうつ病治療の新たな選択肢になる」と考えています。

実際に治療を受けた患者も取材することができました。
鍼灸治療を受けて3か月という、コリン・マシューズさん(48歳)は、最初、「鍼が薬の代わりになるなんてばかげている」と感じていたそうです。ただ、薬の副作用がつらく、他にやることもなかったため、試しに鍼灸をやってみたところ、その効果はてき面だったといいます。

『初めて鍼治療を受けた後、頭の中が前向きな考えで満たされ、とてもリラックスできていたんです』。
家族も、この変化には驚いていました。妻のジェマさんによると、以前は、テレビを見たり読書したりするのもままならなかったのに、すっかり落ち着きを取り戻し、家族の事も考えられるようになったそうです。

鍼でなぜ、うつ病の症状が改善するのか?詳しいメカニズムはまだ研究途上ですが、鍼によって、脳にも変化が起きることが、最新の研究でわかりつつあります。鍼治療の前後で、脳の血流量を見たところ、特に、前頭葉で大きく改善。脳活動が活発に炎症物質を減らしたことが、脳の神経細胞の活動を活性化し、その結果、うつ病の症状が改善したのではないか?今、検証が進められています。

心に効くツボとは?

心に効くツボ「合谷(ごうこく)」
合谷(ごうこく)
心に効くツボ「百会(ひゃくえ)」
百会(ひゃくえ)

うつ病治療に使われるツボは、実は、健康な人たちに対しても、「脳の活性化」につながることも、最近わかって来ました。つまり、心をすっきりさせることが期待できるのです。

そこで、簡単にできる「心に効くツボ」を2つご紹介します。
一つ目は「合谷(ごうこく)」。手の親指と人差し指の間くらいにあります。もう一つが、「百会(ひゃくえ)」。いわゆる頭のてっぺんにあるツボで、押すとちょっと、他の場所よりやわらかく感じやすい場所です。基本的なツボの押し方は、①指で3秒~5秒押す。②指を離し、同じ時間休む。③5回ほど繰り返す。ポイントとして、ツボを押す強さはハンコを押す程度。くれぐれも、押しすぎには注意してください。ツボを押すと、最初痛みがあるかと思いますが、「がまんできる範囲で」続けると、それが和らいでいくといいます。