肝臓の病気を早期発見する「肝機能検査」 検査の種類・二次検査がすすめられる人の特徴

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肝臓の病気は自覚症状が現れにくい

肝臓の病気は自覚症状が現れにくい

肝臓病にはさまざまな種類がありますが、もっとも大事なのが、肝臓が硬くなって機能が大きく低下する「肝硬変」や、「肝臓がん」という危険な病気になるのを防ぐことです。その主な予備群が、B型やC型などの「ウイルス性肝炎」と、肝臓内に脂肪がたまる「脂肪肝」です。こうした病気がある人は、国内で1300万人以上いると考えられています。

ところが、肝臓には痛みを感じる神経がないため、多くの場合、病気がかなり進行しないと症状が現れません。肝臓の病気を早期発見するためには、定期的に健康診断を受けて、「肝機能検査」で自分の肝臓の状態を把握することが大切です。

肝臓病を発見する手かがりは 健康診断で受けられる「肝機能検査」

健康診断で受けられる肝機能検査

健康診断で受けられる肝機能検査には、AST、ALT、γ(ガンマ)-GTPの3項目があり、血液検査で調べます。いずれも肝臓の中で働く酵素です。肝臓の病気により肝臓の細胞が壊れると、これらの酵素が血液中に流れ出るため、血液検査の数値が高くなります。

検査の結果、1項目でも基準範囲より高い値があると、「肝機能異常」と診断されます。成人男性の場合、およそ3人に1人が肝機能異常と診断されていると推定されています。肝機能異常と診断された場合、「二次検査」を受けることがすすめられます。

特に「二次検査」がすすめられる人

肝機能異常と診断されて、次に挙げる項目が1つでも当てはまる場合は、肝臓病になりやすい、あるいは、すでに肝臓病である可能性があるため、二次検査を必ず受けることをおすすめします。

特に二次検査をすることをおすすめする人

家族に肝臓病のある人がいる

C型やB型などのウイルス性肝炎は、血液・体液を介して感染するため、家族は感染する可能性があります。

尿の色が濃くなった

古くなった赤血球を肝臓が分解する過程でつくられる、「ビリルビン」という黄色や緑色をした物質の影響によるものです。

ビリルビンの影響で尿の色が濃くなる

ビリルビンの多くは、肝臓から胆管を通り十二指腸に運ばれ、便に含まれて排せつされます。

肝機能は低下するとビリルビンが血管に漏れ出す

ところが、肝機能が低下すると、ビリルビンは胆管をすばやく通過できなくなり、周りの血管に漏れ出します。それが尿として排せつされるため、オレンジや褐色(紅茶のような色)に尿の色が濃くなるのです。

あぶらっこいものを食べなくなった

肝臓は食べ物から吸収された脂肪を処理する働きをしています。肝機能が低下すると、脂肪を処理しきれなくなるため、あぶらっこいものを食べたくなくなってきます。

年々体重が増えている

肝臓に脂肪がたまる「脂肪肝」が起こっている可能性があります。特にへそ周りが太くなる「内臓脂肪型肥満」の人は注意が必要です。

「内臓脂肪型肥満」についてはこちら

お酒を毎日のように飲んでいる

肝臓にはアルコールを処理する働きもありますが、その量が多くなるほど肝臓に負担がかかるため、肝臓の機能が低下している可能性があります。

必ず二次検査を受けないといけない人は

こうした項目で当てはまるものがない場合でも、健康診断などで3つの値がいずれも2年続けて高かった人は、肝臓の病気の可能性が高いと考えられます。その場合も必ず二次検査を受けて、肝臓の状態を詳しく調べることが大切です。

肝臓の病気を確定診断する「二次検査」

肝臓の二次検査

二次検査では、次のような検査が行われます。

肝炎ウイルス検査

C型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルスに感染していないかどうかを、採血して調べます。

肝線維化マーカー検査

線維化マーカー検査

採血により肝臓の硬さを調べるのが、「線維化マーカー検査」です。健康な肝臓の場合、細胞と毛細血管の壁の間には特に何もありません。

肝臓の炎症が続くと、肝臓が硬くなっていく

ところが、肝炎ウイルスの感染や脂肪肝などで肝臓の炎症が続くと、細胞と毛細血管の壁の間に「線維」ができるため、肝臓が硬くなっていきます。線維化の進行に伴って、血液中にこの線維の成分である「Ⅳ型コラーゲン」などが増えます。このⅣ型コラーゲンなどの量を調べることで、肝臓がどの程度硬くなっているかがわかります。

腫瘍マーカー検査

肝臓がんの可能性を、採血して調べます。

超音波検査

体の外側から肝臓に超音波を当て、肝臓の断面の画像をみることで、肝臓の状態を調べる検査です。脂肪肝がないかどうかがわかります。

肝臓の超音波画像

超音波画像で、肝臓が白っぽく写ると脂肪肝と診断されます。上の画像では左の健康な人では、肝臓と腎臓の色の濃さにあまり差がありません。それに対し、右の画像では、肝臓よりも腎臓のほうが色が濃く、黒っぽく写っています。これによって脂肪肝であることがわかります。

肝硬変を調べる検査

二次検査で肝硬変を発症しているか調べる必要がある

二次検査で、肝炎ウイルスの感染や、脂肪肝、肝臓が硬くなっている線維化などがわかった場合は、「肝硬変」を発症しているかどうかを調べる必要があります。そのために行われるのが、超音波エラストグラフィMRエラストグラフィなどの画像検査です。

MRエラストグラフィ

MRエラストグラフィは、皮膚の上から肝臓に振動を与え、その波が伝わる速度を計測することで、肝臓の硬さを色分けして表示します。上の画像の右側がエラストグラフィで、やわらかい部分は青く表示され、硬い部分は赤く表示されています。右下の画像は肝臓の多くの部分が赤くなっており、肝硬変であることがわかります。

これらの検査で肝臓の状態を詳しく確認して、肝臓の病気の診断と治療が行われます。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年11月号に詳しく掲載されています。

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