【患者体験談】腎臓病なのに、扁桃腺の手術?IgA腎症の治療

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IgA腎症 扁桃炎 排尿がおかしい 腎臓

IgA腎症になったとき -私のチョイス-

突然のたんぱく尿

Aさん(76歳・男性)は、60歳のとき職場の健康診断で、たんぱく尿が出ていると指摘されました。そこで精密検査を受けたところ、慢性糸球体腎炎の1つIgA腎症だと診断されました。それまで自覚症状は何もありませんでした。

「それまでは一切気にしてなかったんです。家族とか親戚関係にも腎臓が悪いという人は1人もいませんでしたので、まさか私が、というふうに思いましたけどね。」

IgA腎症とは?

IgAとは、扁桃腺炎(へんとうせんえん)などが起こったときに、ウイルスや細菌から体を守ってくれる免疫物質です。しかし、ときには異常なタイプのIgAも作り出されることがあります。それが、腎臓の中でろ過装置の役割をしている糸球体という、いわば毛細血管の塊のような部分に蓄積し、炎症を引き起こすのがIgA腎症です。糸球体は、左右の腎臓に約100万個ずつありますが、放っておくと腎臓はかなりのダメージを負い、人工透析や腎移植をすることになってしまいます。

腎臓の病気なのに、扁桃腺の手術?

Aさんは直ちに入院となり、治療が行われました。それは、Aさんにとっては意外な治療方法でした。
腎臓の病気なのに、扁桃腺を摘出するというのです。実はAさんは、扁桃腺に慢性の炎症がありました。そのため、扁桃腺で異常なタイプのIgAが作られていたと考えられたのです。

治療では、扁桃腺を摘出すると同時にステロイドを点滴で大量に投与して血液や腎臓の中の異常なIgAの働きを抑え、炎症を鎮めました。さらに、腎臓を守るために、血圧を下げる「降圧薬」や血液をサラサラにする「抗血小板薬」などを使った治療も行われました。

退院後も続く治療

50日間の入院生活を経て、Aさんは無事退院しました。
しかし、一度腎臓病になってしまうと、腎臓は元の状態には戻りません。Aさんは、現在も薬による治療を続けています。さらに、妻の協力の下、塩分を控えた食事療法や毎日1万歩歩く運動療法なども行っています。
生活習慣を変えるチョイスをしたことで、3か月に1回の病院の検査でも特に異常はなく、たんぱく尿もなくなりました。

「一番恐れているのが透析ですからね。透析だけはやりたくないという気持ちがありますので。女房の援助を得ながら頑張っています。診察に行っても、奥さんのおかげだなといつも言われますけど、まさしくその通りだと思います。」

この記事は以下の番組から作成しています

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