夏なのに寒い 原因は? 体の冷え対策、自分でできる予防法とは

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冷えの症状

夏の冷えの症状

多くの人が寒さを感じないくらいの温度でも、手足や下半身など体の一部、または、全身につらい症状が現れるのが冷えです。冷えによるつらい症状には、指先が冷え続けて手がかじかんで動かしづらくなったり、手足が冷えてジンジンと痛んだり、背中がゾクゾクするほど寒かったりするなどがあります。また、手足は冷えているのに、顔がのぼせることがあります。

冷えは、疲れやすさやめまい、頭痛、腰痛などの不調の原因にもなります。また、男性よりも女性のほうが5倍くらい多いとされています。冷えは寒い時期に起こるというイメージがありますが、夏は冷房の効いた職場などで長い時間過ごすことで、冷えに悩まされている女性が多いといえます。

夏の冷えの原因

夏の冷え 原因

女性に冷えが起こりやすい原因は様々あります。
まずは筋肉量です。1日に発生する熱量の約6割が筋肉でつくられます。一般に女性は、男性に比べて筋肉の量が少ないため、寒い環境に対応するための熱をつくり出しにくいことから、冷えが起こりやすいとされています。

また、冷房の効き過ぎも冷えの原因になります。働く女性では、冷えを感じる環境で最も多いのが職場だといわれています。暑い時期の職場は、エアコンの設定温度が低かったり、エアコンの冷風が流れる位置にデスクがあったりなど、冷えやすい環境にさらされている場合があります。

そして、次に服装です。職種や職場によっては、女性の服装がスカートと決まっている場合や、夏は半袖などの制服というところもあります。冷房が効き過ぎた環境で、こうした服装で長い時間過ごすと、冷えが起こりやすくなります。

また、冷たい飲食物のとり過ぎも冷えの原因になります。飲食物の消化に適した胃や腸の温度は37℃前後です。暑いからといってアイスクリームや冷たい飲み物などをとり過ぎると、胃腸が冷えて消化機能が低下し、冷えにつながりやすくなります。

夏の冷えの予防・改善策

夏の冷えの予防策・服装
夏の冷えの予防策・生活習慣

夏の冷えを予防したり、改善したりするためには、「服装の工夫」、「使い捨てカイロの利用」がオススメです。

まずは服装の工夫が大切です。冷房が効いている職場などでは、カーディガンなどを羽織るようにしたり、ひざ掛けを使ったりしましょう。また、体の中でも足先は冷えやすい場所なので、足の冷えがつらい人は、ストッキングの上から靴下を重ねて履くのもよいでしょう。

そして、使い捨てカイロは、貼るタイプのものを使うと手軽に体を温めることができます。効率的に体を温めるためには、筋肉が凝って血流が悪くなりやすい腰や、肩甲骨と肩甲骨の間などに使い捨てカイロを貼るとよいでしょう。

また、適切な入浴も冷えの予防や改善に効果があります。夏は入浴をシャワーだけで済ませてしまう人もいますが、冷えを予防・改善するためには、きちんと湯につかることが大切です。38~40℃くらいのぬるめの湯にゆっくりつかることで、自律神経のうち副交感神経が優位になり、手足などの抹消の血管が拡張することで全身の血流がよくなります。

また、浮力と水圧によって足腰などの筋肉の緊張が緩み、血流が良くなって抹消まで血液が行き渡るので、冷えやむくみの改善に効果があります。お湯につかる時間は、10分間くらいを目安にします。連続して湯につかっている必要はありません。体や髪を洗いながらなど、何回かに分けて合計10分間、湯につかるとよいでしょう。

入浴剤を使うのも、冷えの予防や改善には効果的です。炭酸の入浴剤は、血流をよくしてくれます。また、好きな香りの入浴剤は、リラックス効果を高めてくれますし、メントールを含む入浴剤などを使うと、清涼感が得られます。

夏の冷えに使われる代表的な漢方薬

また、冷えの改善には、漢方薬を使った治療が行われることがあります。漢方薬は、夏の冷えの原因や症状などによって大きく3つのタイプに分けられ、タイプに応じたものが処方されます。食欲不振や倦怠(けんたい)感がある新陳代謝低下型の冷えには、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方薬が処方されることがあります。胃腸の働きを整え、代謝を高めて熱をつくり出す効果が期待できます。

また、肩こりやのぼせがある血流障害型の冷えには、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などの漢方薬が処方されることがあります。血流を改善し、全身の血行をよくする効果が期待できます。そして、むくみや頭痛、めまいがある水分貯留型の場合によく処方される漢方薬は、五苓散(ごれいさん)などです。体内の水分バランスを整える効果が期待できます。現在、多くの医師が、漢方薬を処方しているので、どのような漢方薬が適しているかは、医師に相談してください。

市販の漢方薬を使用する場合は、薬剤師に相談するとよいでしょう。ただし、市販の漢方薬は、医師が処方する漢方薬に比べて作用が抑えられているものもあるので、冷えによるつらい症状がある場合は、まず内科などを受診することが勧められます。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年8月 号に掲載されています。

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