NHK「ウワサの保護者会」7月27日放送回では、性的マイノリティーの子どもたちの学校生活の悩みをテーマにモデルのイシヅカユウさんを取材させてもらいました。

ユウさんは、トランスジェンダー。男として生まれましたが、小さな頃から「自分は女の子」と思っていて、
黒いランドセルや、男子用の制服がイヤ。男女で分けられる体育の時間などがつらくて、ストレスで髪を抜いてしまいました。さらに中学生になると、男女に分かれる機会が増えたり、学ランを着るのがつらくて、学校に行けなくなってしまったそうです。
ユウさんは、学校で、職員用トイレや、多目的トイレを使用していいと言われましたが、自分だけ友達から離れて、全然違うところに行くこともイヤでトイレに行くことを我慢していたそう。
最近は、トイレや制服に対して、学校でも特別な配慮が行われていますが、ユウさんのように、目立ちたくないという気持ちがある子どももいるので、ひとりひとりの希望に合わせた、個別の配慮が求められています。
学校生活がつらかったユウさんですが、自宅では好きな服装を選べたことが心の支えだったそう。
ミュールのようなかわいいサンダルや、Tシャツもかわいいのを自分で選んで着ていました。また、不登校の時期に通っていたのが、小さい頃から通っていた画の教室。好きな場所で過ごすうちにだんだん元気になったといいます。
ユウさん「自分の表現のひとつとして、絵や服装があることで、自分を肯定できたり、自分を認めてあげられるみたいなことがあった。」
そんなユウさんですが、ある高校に"女子生徒"として入学できることになりました。日中に通える定時制の公立高校で、制服や髪形などに規則がなく、様々な生徒がいたそう。
ユウさん「金髪もいたし、ギャルみたいな人もいたし、年齢が上の人もいた。いろんな人がいて、それが世界なんだと思った。それまでの世界は、ごく一部の狭い、閉鎖されたもの。中学までの生きているのがつらいような不安感とは、全然違った。」
ユウさんは、とびっきりのおしゃれをして高校に通い、友達もたくさんできたそうです。このとき心から学校生活を楽しむことができた経験が、今のモデルとして活躍する自分につながっているといいます。
ユウさん「高校は、ありのままの姿で"そこにいていい"って言ってもらえたということ。"生きてていい""いていいんだ"と思った。学校というのは、ひとつの社会なので、その後、もっと大きな社会に出て行く中で、すごい力になって、勇気になった。」
また、ユウさんは、身体的性が男性であることを、高校生活の3年間友だちにカミングアウトすることなく通いました。20歳になって高校の友達にカミングアウトをしたとき、気づいている人もいましたが、ありのままで接してくれていたそうです。