詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年7月 号に掲載されています。

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夜間、尿をするためにトイレに起きなくてはならなくなる症状を「夜間頻尿」と言います。悩んでいる人は4500万人いると推定されており、加齢とともに増加します。夜間頻尿になると慢性的な睡眠不足を引き起こすほか、転倒のリスクも増えてしまいます。夜間頻尿を治療するためには原因の究明が不可欠。そのために行うのが排尿の記録をつけることです。古くなった計量カップやコップに目盛りをつけた容器を用意して24時間分の尿量を量り、時刻ともに記録していきます。
夜間頻尿の原因のひとつが「夜間多尿」。通常、寝ている間は抗利尿ホルモンの働きで、尿を作る量が制限されます。そのため、夜間は排尿をしなくてすむため安眠することができます。しかし、加齢に伴って抗利尿ホルモンの分泌量が減ると、寝ている間も尿が多く作られるため、起きる回数が増えてしまうのです。夜間尿量が1日の尿量の33%以上ならば、夜間多尿が原因だと考えられます。
水分の取り過ぎは避けましょう。食事以外の水分は、20~25×体重=適切な水分摂取量(mL)となります。ただし、水分摂取量を減らしすぎると熱中症などの危険も高まるので、注意します。また、適度な運動をすることもオススメです。下半身にたまった水分を心臓に戻すことができ、夜間の尿量を減らすのに役立ちます。また、余った水分を汗として排出するのも効果的だとされています。
膀胱(ぼうこう)は筋肉でできていますが、加齢によって筋肉組織のしなやかさが失われると、膀胱があまり広がらなくなります。そのため膀胱内にためられる尿の量が減り、夜間頻尿になってしまうのです。膀胱が小さくなった場合には、1回の尿量が200ml以下のことが多く、また夜間だけではなく、昼間も頻尿があらわれます。治療は薬による治療が基本で、膀胱の筋肉を緩める作用のあるβ3作動薬、膀胱が収縮するのを抑える抗コリン薬が使われます。
睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害があると、眠りが浅くなり、トイレに起きてしまいやすくなります。また、抗利尿ホルモンが分泌されにくくなり、尿の量も増えてしまうのです。こうした睡眠障害で夜間頻尿が起きているケースでは、昼間はしっかり尿をためることができているのに、夜間だけ頻尿があらわれていることが多くなります。睡眠時無呼吸症候群に対してはCPAP(シーパップ)という鼻につけるマスクによる治療が有効です。そのほかの睡眠障害に対しては、生活改善とあわせて睡眠薬の使用も考慮します。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年7月 号に掲載されています。