【患者体験談】繰り返す心不全を生活習慣の見直しで改善

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慢性心不全といわれたとき -私のチョイス-

繰り返す心不全の原因は不整脈

Aさん(76歳・男性)は、30代から不整脈があったといいます。しかし、特に痛みもなく、生活に支障がなかったため病院へは行かず、そのままにしていました。

ところが63歳になったとき、今までにない症状が現れました。心臓がぎゅーっと締め付けられるように苦しくなり、恐怖を感じるほどでした。初めはそんな症状がときどき起こる程度でしたが、徐々に頻度が高くなってきました。

不安になったAさんは、ようやく病院へ行くことにしました。検査の結果は心不全でした。Aさんが心不全になった原因は2つ考えられましたた。1つは高血圧。もう1つは心房細動という不整脈です。
心房細動とは、心臓の心房が細かく震えるために心拍数が1分間で300回以上になり、心臓の機能が不安定になる状態のことです。心房細動になると心房の中で血液がよどみ、血栓ができやすくなります。その血栓が血流にのって脳に運ばれた場合、脳梗塞を引き起こす危険もあります。そこで、血栓ができるのを予防する「抗凝固薬」「抗不整脈薬」で治療を行いました。すると1か月ほどで症状が落ちついたためAさんは退院しました。

心房粗動の治療「カテーテルアブレーション」

しかし3年後、Aさんの心臓にまた異変が現れました。今度は強い息苦しさを感じるようになったのです。病院で検査を受けたところ、今度は心房粗動という不整脈が止まらなくなり、心不全になっていました。

心房粗動は、主に右心房が1分間に240回以上も拍動してしまう状態です。心臓は筋肉に電気信号が流れることで収縮と拡張を繰り返していますが、心房粗動はそこに異常な電気信号が加わるために起こります。心房粗動になると、強い動悸や息苦しさが長時間続きます。

そこで、治療として行われたのが「カテーテルアブレーション」です。カテーテルという管を足の付け根の血管から入れて心臓まで進め、異常な信号を出している筋肉の部分を焼いて信号をカットします。Aさんの治療は無事成功しました。

高血圧も心不全の原因に

しかしAさんは、翌年、そしてまた翌年と心不全を繰り返しました。高血圧と加齢による心臓の機能低下が原因でした。心臓は、高血圧と加齢によって徐々に硬くなりしなやかさが失われます。すると、心臓が十分に拡張できなくなり、心不全になってしまうのです。このような状態を拡張不全といいます。

そこでAさんは、あるチョイスをしました。それは生活習慣の改善です。まずは塩分の取りすぎに注意をすること。さらに体重が増えないように気をつけること。そして血圧の管理。毎朝決まった時間に血圧を測り、体調の変化をチェックしました。降圧薬や血栓を予防する薬も忘れずにのみ続けました。さらに、居合を始めるなど体を適度に動かす努力をしました。このような対策によって、Aさんは退院してから10年間、再び心不全で入院することはなくなりました。

この記事は以下の番組から作成しています

  • チョイス 放送
    「気になる心不全」