2017年8月26日(土)特集 フロントライン

急拡大!クラウドファンディング最前線

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野口
「インターネットを通じて、多くの人から資金を募る『クラウドファンディング』。日本では東日本大震災の被災地支援などを通じて、広く知られるようになりましたが、クラウドファンディングには大きく言って2つあります。まずは、出資者に見返りのない“寄付型”なんですけど、今日(26日)、私たちが注目するのは“購入型”です。購入型というのは、お金を出した人が、その結果、開発された製品などを手に入れることができる、言ってみれば“見返りのある”もので、さらにその市場は、拡大しています。寄付型が一昨年(2015年)で4億円にとどまっているのに対して、購入型の資金調達額は58億円と推計されています。」

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八木
「そのクラウドファンディングの仕組みですが、事業者とお金を出す個人を結ぶ、このようなサイトがあります。例えば、こちらの『七色に光るマス』。事業者は開発したい製品と集めたい金額を載せます。この場合の目標金額は150万円です。この内容を見て賛同する人が出資。このマスには87人が161万円を出しました。目標金額を達成できれば、事業者はそのお金で製品開発を進めることが、お金を出した人は製品を優先的に手に入れることができます。」

野口
「成長するクラウドファンディングの可能性。まずは、1億円を超える資金を集めることができた、あるベンチャー企業のケースをご覧いただきます。」

●急速に広がるクラウドファンディング

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八木
「スタジオには、クラウドファンディングに詳しい神戸大学大学院准教授、保田隆明(ほうだ・たかあき)さんにお越しいただいています。保田さん、企業にとってクラウドファンディングの強みや利点は、どういったところにあるのでしょうか?」

神戸大学大学院准教授 保田隆明さん
「VTRにあった自転車のケースですと、1,000台と言っていました。通常の新商品開発でいくと、1,000台だと多分ロットとしては小さいです。なので、少数のものでも作れる、ちょっとしたニーズがあれば対応できるというところは強みだと思います。」

野口
「そういう意味では、クラウドファンディングはもう何年か前にアメリカで始まったものかと思うんですが、日本ではここ最近ですか?」

神戸大学大学院准教授 保田隆明さん
「この数年、盛り上がってきています。そういう意味では、ベンチャー起業をこういうかたちで立ち上げやすくなった。あるいは、新しい事業を開始しやすくなったという意味では、日本は非常に開業率が低いんですけれども、その開業率を高めるきっかけにはなるかもしれないです。」

野口
「クラフトさんは、どんなふうに見ましたか?」

金融コンサルタント ジョセフ・クラフトさん
「ベンチャー精神が大好きなアメリカ人から始まったんですけれども、それが日本に入ってきている感じが見受けられます。」

●クラウドファンディングは その課題は

野口
「リスクみたいなものはあるんですか?」

神戸大学大学院准教授 保田隆明さん
「リスクは、やはり詐欺の案件が出てきたり、あるいは、悪意はないんだけども、お金は集めたけれどもプロジェクトが途中で頓挫しちゃうとか、そういうことがあったら困りますので、クラウドファンディングをうやる事業者は、リスクを小さくする、審査をちゃんとする。そういう体制を取ろうとしています。」

野口
「サイトの運営会社がしっかりしていかなきゃいけないし、逆に言うと、今これだけ日本でできてきたのは、運営会社がちゃんと審査をできるようになったから?」

神戸大学大学院准教授 保田隆明さん
「それが1つと、あと、これは“クラウド”なんです。“私も出資したい”という人が出て初めて案件が成立する。そういう意味では、皆さんも審査員になっている、二段構えの審査ができているということだと思います。」

●クラウドファンディングは その可能性は

野口
「クラフトさん、そういう意味ではアメリカもそうでしょうけど、もともとはお金を出す人が審査員というのが大事な要素?」

金融コンサルタント ジョセフ・クラフトさん
「まったくその通りです。」

野口
「クラウドファンディングの持つ力は資金集めにとどまりません。今これに大企業さえも注目しているのは、マーケティングやPRに威力を発揮するからです。」

●クラウドファンディング 広がる活用

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野口
「ソニーと福井銀行の取り組みをご覧いただきました。保田さん、すごくいじわるな言い方ですが、ソニーなんてお金いっぱい持っているわけじゃないですか。研究開発やればいいのに、“なんでクラウドファンディングなんだろう”という見方もできなくもないんですけど、どう考えたらいいですか?」

神戸大学大学院准教授 保田隆明さん
「まさにその通りなんですが、日本の大企業が抱えている課題だと思うんですけれども、今までは“新しい技術ができた”あるいは開発者が“こういうものを作りたい”ということで作ってきました。『プロダクトアウト』とか言ったりするんですけども。一方で“マーケットや消費者は何を欲しているんだろう”という市場と企業の距離が遠くなってしまったかもしれないです。ですので、欲しいのはお金ではなくて、テストでちょっとアイデアを出してみて、どういう反応を顧客がするかを見たいんだと思うんです。」

野口
「そういう意味では、ソニーから見ればツールみたいなものですか?」

神戸大学大学院准教授 保田隆明さん
「そうなんです。結局、クラウドファンディングはアイデアの品評会みたいなところがありますので、“出してみた。(消費者に)うけるか、うけないか。うけたぞ。じゃあ、開発しよう”という流れだと思います。そうすると失敗するリスクも低減することができるということです。」

野口
「クラフトさん、VTRにあったソニーと福井銀行の取り組み、どうご覧になりました?」

金融コンサルタント ジョセフ・クラフトさん
「私が今回受けた印象は、融資を募るほう、投資をするほう、企業、金融機関、みんなに共通しているのは、リスク軽減ができるのではないかなということで、これは今後、さらにイノベーションというか、こうしたアイデアを大きく作っていくのに有利かなと思います。」

野口
「リスクを減らすことによって、お金も出しやすくなるのではないかと?」

金融コンサルタント ジョセフ・クラフトさん
「そうですね。」

●クラウドファンディング 将来の可能性は

野口
「保田さん、クラウドファンディングがベンチャー支援というかスタートアップにいい方法というのは分かりましたけど、日本経済全体にとっては、どんなメリットがあるのでしょうか?」

神戸大学大学院准教授 保田隆明さん
「福井銀行の事例が1つ物語っているんですが、地方経済への波及効果は大きいと思います。ベンチャーと聞くと“インターネット系、東京でゴリゴリ”みたいなイメージだと思うんですけど、上場する必要ないんです。地域では数十万円、数百万円で始められるビジネスがありますと。ただ、そこに金融機関が最初から融資をするのは、ややリスクが高い。でも、地域の人たちはそれを欲している。そういうことでは、地方創生につながっていく可能性があるんじゃないかなと思います。」

野口
「そういう意味では、1人が100万円出すんじゃなくて、100人が1万円出す。ただ、100人を探してくるには、その地域じゃなくて、もっと全国にいるはずだ、ということですよね?」

神戸大学大学院准教授 保田隆明さん
「そうなんです。いろんな地域で“こういう成功が出てきた”というのがメディアで、ソーシャルネットワーキングでほかの地域にも波及します。そういう意味では、1つの成功が日本全国でどんどんまねされていくということもあると思います。」

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