2017年6月3日(土)特集 フロントライン

欧米からの観光客をつかめ!

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野口
「“外国人が多くなったな”と感じるのは、何も東京だけではないと思います。
政府は当初、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に訪日する外国人旅行者の数を2,000万人と目標を掲げていましたが、すでに去年(2016年)、2,400万人を記録して、どんどん増えている状況です。
そうした外国人旅行者に、日本でどれだけお金を使ってもらうかが、日本経済にとっては大事な話です。」

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八木
「こちらをご覧ください。
どの国や地域からの旅行者が多いのかを示したものです。
上位はアジア一色、全体の8割以上を占めています。
一方、こちら(右側)は1人当たりが旅行で使う支出額です。
最も多いのが、オーストラリアで25万円ほど。
2位の中国以外は、上位をヨーロッパの国々が占めています。
欧米やオーストラリアからの旅行者は、滞在日数が長く、宿泊や飲食などに使うお金が多くなる傾向があるんです。」

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野口
「今週、発表された国の観光白書です。
この中では、“地方がカギ”ということと並んで、欧米、さらにはオーストラリアからの旅行者の拡大が、観光政策の重要なカギを握るとされています。
彼らは日本のどんなところに興味を持っているのか、取材しました。」

●欧米からの旅行者 意外な人気スポット

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八木
「VTRで紹介した旅行会社に、欧米などからの旅行者が訪れる都内の人気スポットを聞きました。
VTRで紹介した以外にも2つあるんですが、真山さん、どんなところだと思いますか?」

作家 真山仁さん
「築地?」

野口
「場所じゃなくて、何となく、そういう業態のお店みたいな感じです。」

作家 真山仁さん
「すみません、思いつかない。」

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八木
「実は、『動物カフェ』。
フクロウカフェだったり、猫カフェだったりするところが人気だということなんです。
そして、もう1つが『カラオケボックス』。
意外と身近なところに人気スポットがあるんですね。」

野口
「私たちも行くところですよね。
動物カフェは、あまり行きませんけど…。
やっぱり中国や韓国、特に中国の人がそうでしたけど、団体客で来られて、ぐーっと回って買い物して、っていう感じでしたけど、アメリカやヨーロッパの人はそうでもなくて、私たちの暮らしに近いところで味わいたいと思っているみたいですけど、VTRをご覧になってどうでしたか?」

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作家 真山仁さん
「先進国である、特にヨーロッパの人たちは歴史も長い。
いわゆる見物に来る観光は、もうとっくに終わっている。
言い方は悪いですけど、先に先進国になっている日本を見物に行って、いい物は買いたいっていうマインドですよね。
それから言うと、伝統を持っているからこそ、ものを見たときに自分たちと比べられる。
“生活を知ることで、もっと本質を知ろう”という人が来る。
ヨーロッパからはわざわざ来ないと、極東ですから。
そういう意味では、ものすごいファンなんですよ。
逆に言うと、ヨーロッパの人たちをどれだけファンにできるかが、本当のインバウンドで観光立国ができるかどうかのカギだと思います。」

野口
「“欧米”という言い方を、観光白書でしていますけど、真山さんは、そういう意味ではヨーロッパはヨーロッパ、アメリカはアメリカ?」

作家 真山仁さん
「アメリカの人に失礼ですけど、アメリカ人は少し中国人ぽいと思っているので。」

野口
「それは、どうして?」

作家 真山仁さん
「歴史に対してコンプレックスしかない。
ひどい言い方ですけど、結局、彼らはヨーロッパから流れて来た人っていう感覚があるので、歴史を訪ねるっていうことになると、多分、アメリカ人はまずヨーロッパに行く、自分たちの原点だから。
そうすると、さらにアメリカは、何となく日本を全部飲み込んでいると思っているところもあるので、わざわざ行くなら、なにも日本に行かなくても、リゾートのほうが楽しい。
楽しみ方が、肉体的な楽しみ方と、知的な楽しみ方という意味では、欧米は一緒にしないほうがいいと思います。」

野口
「そうやって考えると、日本から行くときもアメリカに行く人と、ヨーロッパに行く人は、ちょっと違いますよね。
やっぱりヨーロッパで歴史を見たいっていうこともあれば、アメリカは、ハワイもそうでしょうけど、リゾートという感じになるんですかね。」

作家 真山仁さん
「ニューヨークに行くってなると、ヨーロッパに近くなりますけど、どちらかというと、アメリカに行くときって“大きな大陸に行きたい”とか“憧れのところに行きたい”って言いますけど、ヨーロッパは、しっかり予習して文化財や美術館、あるいは“自分がずっと歴史で学んできたことを知りたい”みたいなこと。
ヨーロッパって言わないで、“イギリスファン”“フランスファン”、もっと言うと“パリファン”みたいに、きっちり細かく行きますよね。
“日本人がどこに行くのか”と反対の感覚というのは、本当に外国人を呼びたければ、考えるべきですね。」

野口
「例えば、ヨーロッパの人が日本に来る場合は、フライトにすごいお金と時間がかかって来るわけですけど、日本でどれだけ使っていただけるか、ということですね。」

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八木
「まだまだ外国人旅行者による経済効果の余地は残されているようで、こちら、外国人旅行者からの観光収入がGDPに占める割合です。
日本は各国より低く、0.6%にとどまっています。
つまり、“日本は観光でもうけ損なっている”とも言える状況です。
続いては、もうけるための潜在的なニーズを掘り起こそうという地方の動きです。」

●欧米からの旅行者 地方に呼び込め!

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野口
「いわゆるゴールデンルートから外れているというか、地方のところで見てみると、やっぱり“歴史と伝統”、“ヨーロッパの人”と見えてきましたけど、どうですか?」

作家 真山仁さん
「VTRにあった最初の四国の話の中で、すごい喜んでいたのが、自分たちの名前を祈願してもらう、これは“パーソナル”なんですよ。
ところが、日本だと40人ぐらい、ずっと読み上げるわけですよね。
ただ、この“パーソナル”っていうのは、すごい重要な要素だと思います。
それと、特に奈良の場合は、日本でも指折りの歴史を持っているところなんですけど、ここも日本の弱点で“古ければいいだろう”と。
“日本人はこことここに行くんだ”と。
例えば、“法隆寺に行きます”とか、“東大寺に行きます”とか。
そうではなくて、例えば、スペイン人の人はどういう歴史に興味を持っているのか。
スペインと日本が交流していた場所、それこそ鉄砲とかキリスト教とか。
本当は、もっと踏み込んで文化を勉強しなきゃいけない。
日本人は、スペインに行くときは文化を勉強するくせに、スペイン人を呼ぶときに文化を勉強していなんです。
だから“古ければいい”っていう発想は、珍しいから、もしかしたら奈良に京都のファンは行くかもしれないですけど、京都の差別化と京都の長年培ってきた観光ビジネスのうまさからすると、奈良は素朴なところがあります。
そういう意味では、物珍しさだと“爆買い”と同じなんです。
もう1回来てもらわないといけない。
そのためには、もちろんホスピタリティも大事なんですけど、ここは1回で見切れなかったなっていう、自分たちの歴史を刺激する何かを用意することをしないと、“あーおもしろかった、次行ってみようか”となると思います。」

●外国人旅行者 呼び込むカギは?

野口
「去年、2,400万人も来たっていうことは、“初めて日本に来た”って人もいるはずで、この人たちが“もう1回、来よう”と思うために、何が必要になってきますか?」

作家 真山仁さん
「初めて来た人の帰り際に、もっとインタビューするべきなんです。
文句を言ってくれると思います。
欧米人の人が多いですけど、荷物がものすごい多いんです。
新幹線に乗っていて、“気の毒に”って思うぐらい荷物が多い。
例えば、もっとポーターがいないのか、大きなエレベーターはないのかとか。
大体、日本人って来た人に“どこ行きますか?”って聞くんですけど、帰る人に聞かないんです。
帰る人ほど、貴重な情報を持っている。
もちろん、いいところがどこかも聞くんですけど。
だから、そういうリサーチをしっかりやらないと、対策も立てられないと思います。
ブームは来ているし、インターネットのおかげでYouTubeがあったり、ブログがあったりするので、楽しかった人は“いいよ”って言ってくれますけど、そこから先の継続は、もっといろんな声を集めなきゃいけないと思います。」

野口
「2020年には、日本は“4,000万人来てほしい”ということなんですが、オリンピックで1,000万人くらい、あとは3,000万人がずっとそのあとも続くようにするには、まだまだやらなければいけないことがありそうです。」

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