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平成29年度 第2回
視聴者のみなさまと語る会in松江
(平成29年5月20日(土))

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成29年度第2回は、松江放送局で実施し、「公共放送の役割」などNHKの経営全般に関すること、「NHKの全国放送や地域放送のあり方」など放送に関すること、の2つのテーマについて、公募による20名の視聴者から意見を聴取した。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会in松江

 

<会 合 日 時>

平成29年5月20日(土) 午後0時30分〜午後2時35分

 

<出  席  者>

〔参 加 者〕

視聴者の皆さま20名

〔経営委員〕

石 原  進   (委員長)

 

小 林 いずみ  (委員)

 

長谷川 三千子  (委員)

〔執 行 部〕

松 原 洋 一  (理事)

 

黄 木 紀 之  (理事)

 

木 村  靖   (松江放送局長)

〔 司 会 〕

中 川  緑    シニア・アナウンサー

 

< 会    場 >

 松江放送局 第1スタジオ

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの経営全般について

 (2) NHKの放送について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「『ブラタモリ』の歩き方」出演:山名 啓雄 エグゼクティブ・プロデューサーによる講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき、ホームページを通じて72名から参加の申し込みがあり、会場スペースの関係から抽選を行い、43名に参加案内を発送した。

  • 語る会には、20名が参加し、「公共放送の役割」などNHKの経営全般に関すること、「NHKの全国放送や地域放送のあり方」など放送に関すること、の2つのテーマについて意見や提言を募った。

  • 参加者からは、「受信料の公平負担」「NHKグループのガバナンス」「2020年に向けた取り組み」「難視聴対策」「地域放送の充実」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 語る会終了後に行ったアンケートには、19名から回答があった。主なアンケートの結果は次のとおり

    <参加者の満足度>
     「大変満足」8名、「満足」9名、「普通」1名(未記入1名)

    <経営委員会の仕事について>
     「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「経営委員会の活動について理解が深まった」との回答が14名からあった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

 (小林委員)

 経営委員会の役割は、放送法に明文化されており、NHKの経営の基本方針などの議決や、会長以下、NHK執行部の役員の職務の執行の監督、会長の任命、副会長および理事の任命の同意など、NHKの経営に対して重い責任を負っています。
 経営委員会は12人の委員で構成されています。委員の選任については、公共の福祉に関し公正な判断ができ、広い経験と知識を有する者の中から、教育・文化・科学・産業その他の分野および全国各地方が公平に代表されることが考慮され、国会の同意を得て、内閣総理大臣が任命します。
 経営委員の任期は3年です。再任されることもあります。
 また、経営委員の中から、監査委員が任命されることになっており、経営委員を含めた役員の職務の執行を監査する役目を担っています。
 経営委員がただいま申したような重責を果たすため、視聴者の皆さまのご意見を直接伺うということも、放送法に定められており、本日はその機会として、皆さまからNHKに対するご意見をお聞かせいただきたいと思っています。
 なお、放送法には、「経営委員が協会の基本方針や重要事項を説明すること」ということも定めもありますので、「公共放送の役割」と「平成29年度収支予算と事業計画」について、簡単に説明させていただきます。
 「公共放送の役割」は、まず、「命と暮らしを守る」、ということです。NHKは災害対策基本法で、報道機関として唯一、指定公共機関に定められています。「防災・減災報道」はNHKの最大の使命の一つです。地震・津波・台風などの災害、人命や国民生活に重大な影響を及ぼす非常事態が起きた時、NHKは、公共放送として正確でわかりやすい情報をより早く伝えるために、全力をあげて取材と報道に取り組んでいます。
 NHKには、公共放送として、正確で公平公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与するという役割があります。そのためにも、報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されず、ニュースや番組が外からの圧力や働きかけによって左右されてはなりません。NHKは放送の自主・自律を堅持することを徹底しています。
 豊かで、かつ、よい番組の放送を行うこと。それにより文化水準の向上に寄与すること。これは、放送法でも定められているNHKの役割です。この基本理念のもと、NHKは多様な番組をつくり続けています。NHKは、地上、衛星、ラジオにおいて、それぞれ特徴を持った7つの放送波を使い、あまねく日本全国に放送を届けることで、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くします。
 放送の発展の歴史において、NHKは放送技術の進歩における先導的な役割を果たしています。現在、情報技術の進展やインターネットの加速度的な普及などを背景に、放送を取り巻く環境は大きく変化しつつありますが、そうした新しい時代においても、NHKは新たなサービスやメディアの創造に向けたさまざまな取り組みを積極的に進めています。
 NHKは、すべての都道府県で地域に根差したさまざまな番組を制作するほか、地域の活性化や地域貢献活動にも取り組んでいます。全国のNHKでは、夕方6時台のニュースをはじめ、さまざまな地域放送番組を放送し、イベントを開催しています。
 日本発の情報を世界に発信していくのは、公共放送の重要な責務の一つです。NHKでは、日本から世界へ、英語で情報を発信する国際テレビ放送『NHKワールドTV』をはじめ、4つの海外向けサービスを行っています。
 公共放送としての役割を果たすための財源は、皆さまからの受信料です。受信契約の締結は、放送法でも定められていますが、税金でも広告収入でもなく、皆さまに公平に負担していただく受信料だからこそ、特定の利益や意向に左右されることなく、公共放送としての役割を果たすことができます。
 続いて、「平成29年度収支予算と事業計画」について説明いたします。
 平成29年度は、3か年経営計画の最終年度として、経営計画の5つの重点方針に沿った、事業運営を着実に実施してまいります。事業収入は、受信料収入の増などにより、前年度予算に対して101億円の増収となる7,118億円を見込んでいます。事業支出は、4K・8K番組の制作強化やピョンチャンオリンピック・パラリンピック放送を実施するなど、国内放送や国際放送を充実する一方で、給与の削減をはじめ、事業運営の一層の効率化により、前年度予算に対し、83億円増となる7,020億円を見込んでいます。
 以上により、事業収支差金は98億円となりますが、平成30年度以降の新サービスの充実に備え、全額を財政安定のための繰越金に繰り入れます。
 経営委員会としては、平成29年度予算の執行にあたっては、受信料の重みを自覚し、コスト削減や効率的な事業運営に心がけ、予算・事業計画の着実な実行に努めることを求めています。
 ただ今、説明いたしました「公共放送の役割」および「29年度収支予算・事業計画」を着実に実行するためにも、視聴者の皆さまからいただくご意見やご要望は、大変、貴重なものとなると考えております。
 本日、松江放送局にお集まりの皆さまから頂戴するご意見・ご要望は、私ども経営委員全員はもちろん、執行部とも共有して、今後のNHKの経営に反映させて参りたいと考えています。よろしくお願いいたします。

 

 

《視聴者のみなさまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの経営全般について

(司会)
 皆さまからご意見を伺う前に、事前のアンケートでいただいたご意見・ご要望の中から、「受信料の公平負担の徹底」について、経営委員と執行部からお答えします。

(長谷川委員)
 皆さまからいただく受信料は、NHKが公共放送としての役割を果たすための生命線であり、27年度末の都道府県別支払率で全国2位のお支払いをいただいている島根県の皆さまに心からお礼を申し上げます。
 一方、島根県の皆さまは、「支払率が低い県があることは不公平ではないか」というお気持ちを強くお持ちなのではないか、と思います。NHKとしても、公平負担を徹底し、不公平感を解消するために営業担当者が日々、額に汗して取り組んでいるところです。

(松原理事)
 受信料制度で成り立つ公共放送NHKとして、公平負担の徹底は、大きな課題のひとつであり、3か年経営計画において受信料の支払率を毎年1ポイントずつ上げ、29年度末には過去最高となる支払率80%の達成を目標に掲げ、取り組んでいるところです。
 都道府県別に支払率を見ると、大都市圏を持っている地域の支払率が低くなっています。大都市圏は、単身者や集合住宅の割合が多く、世帯の移動も多いため、お客様と面接をすることが難しいという課題がありますので、支払率向上に向けたさまざまな営業施策に取り組み、29年度も取り組みを強化してまいります。
 また、不公平感の解消に向けて、契約があっても支払いが滞っている方に対する支払督促の申し立てを平成18年から行うとともに、放送受信契約をいただけない未契約の方や事業所に対して、準備が整ったところから民事訴訟を提起し、受信契約の締結と受信料の支払いを求めています。
 このように、公平負担の徹底に向け、できる限りの施策を行い、平成29年度末に支払率80%を達成したいと考えています。

(司会)
 それでは、経営計画に関すること、そして受信料のことなど、経営全般をテーマにご意見をお持ちの方から伺いたいと思います。

【会場参加者】
 受信料の公平負担や収入を増やすことは当然のことだと思いますが、経営という点で考えると、受信料を増やすだけでよいのでしょうか。お金があればあるだけ使ってしまうということもありますので、経営の合理化や無駄を無くし、経費削減の面でも努力してほしいと思います。

【会場参加者】
 「受信契約を解約することができない」と聞いたことがあります。例えば、高齢者のひとり暮らしでテレビを持っていてもテレビを見ない、テレビを見ても意味がよくわからない、ということもあると思いますが、そのような場合でも受信料を支払い続けなければならないのでしょうか。

【会場参加者】
 4K・8Kサービスなど、将来を見越した投資をしていると思いますが、「○○は、10年後の完成に向けて取り組む」など、もう少しわかりやすく目標を示してもらうことで、NHKの予算に対する私たちの理解もより深まるのではないか、と思います。
 例えば、地方局で制作する番組を充実させるためには、予算を配分するための原資が必要となります。予算の中に、将来に向けた投資や、さまざまな施策に配分するための原資を含めているのかなど、もっとわかりやすく説明してほしいと思います。

(石原委員長)
 皆さまから受信料をお支払いしていただくことは大切なことですが、同様に無駄な支出や投資を行わないなどコスト意識を持ち、経費を抑制することにも最大限努力しなければならない、と思っています。
 28年度予算では、事業収支差金が80億円となる計画でしたが、受信料の増収と経費削減により、28年度の決算における事業収支差金は、280億円となりました。
 NHKでは、給与体系の見直しに取り組んでおり、努力や成果をより反映させる給与制度に見直すとともに、おおむね5年で基本賃金の10%を目安に引き下げる賃金改定を実施することによって給与費が抑制されたこと、毎年800億円くらい行っている設備投資について、質を落とさずにできる限り安価にする努力などを積み重ねた結果が、事業収支差金が予算よりも200億円あまり増加したことにつながった、と考えています。なお、事業収支差金の増加分については、番組の充実や将来の新しいサービスの充実に備え、財政安定のための繰越金に繰り入れています。
 高齢化などにより、テレビを見ていない方が今後増えてくることは、非常に大きな問題だと認識しています。しかし、受信料は、見ている人が番組の対価として支払うものではなく、国民の皆さまの命と暮らしを守る情報を的確にお伝えすることや、政治や経済の動きなどを公平公正に伝え、皆さまの判断のよりどころとなるような情報を発信する民主主義のインフラであるNHKを維持するために、視聴者・国民の皆さま全員からお支払いいただくことが原則です。
 そして、テレビや放送を見ることができるデバイスをお持ちの方に、世帯単位で受信料をお支払いいただくことになっているということも、ご理解いただきたいと思います。
 また、新たな技術や番組の充実に最大限投資することは、とても大切なことです。併せて、NHKが優れたよい番組を放送することも受信料制度への理解にもつながりますので、NHKの大事な仕事として、引き続き取り組んでいかなければならない、と思っています。

(松原理事)
 「テレビを見る、見ない」という観点ではなく、放送法第64条1項において「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定められています。
 また、総務大臣の認可を受けた放送受信規約において「放送受信契約者は、放送受信料を支払わなければならない」ということが定められています。
 ただし、テレビを撤去されるという場合は、NHKにご連絡をいただき、確認させていただければ、受信契約の解約の手続きをさせていただきます。

(黄木理事)
 「将来への投資について、もう少しわかりやすく目標などを示してほしい」というご要望をいただきました。
 4K・8K放送は、昨年8月に試験放送を開始し、来年12月に実用放送を開始することを目標としています。そして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際に、できるだけ多くの方に、高精細な映像で臨場感あふれる中継を届けることを目指して、さまざまな投資を行っています。
 29年度の事業計画では、国内放送費で4K・8Kの番組を制作するための予算を前年度よりも37億円増の78億円と計画していますが、29年度の国内放送費全体では、前年度から31億円増にとどめているように、4K・8K以外の支出を抑えて新しいサービスに配分するようにしています。
 また、インターネットの配信についても、2020年をひとつの目標として、テレビだけでなくスマートフォンやタブレット、パソコンでもNHKの情報をよりわかりやすく見ていただくことができる環境の構築を目指し、取り組みを進めているところです。

【会場参加者】
 NHKの子会社で不祥事が続いています。これは、NHK本体による子会社へのガバナンスが効いていないからではないでしょうか。

【会場参加者】
 NHKとして、4K・8Kを推進していることはわかりましたが、4K・8Kのニーズがどこまであるのでしょうか。
 家庭で視聴するテレビのサイズで4K・8Kの画質のニーズが本当にあるのでしょうか。私は、いま放送されている画質で十分ではないかと思っています。

【会場参加者】
 私は、受信料を支払っていない人がいることが許せません。支払率が100%になれば、現在よりも事業収入が1千億円以上増えることになると考えると、全ての人が受信料を支払うようになることで、現在よりも事業運営は楽になるのではないかと思います。
 例えば、民間の有料放送と同じように、契約しないと見ることができない仕組みにするなど、「ただでは見ることができない」仕組みとすることはできないのでしょうか。
 また、海外にも公共放送があると思いますが、海外の公共放送では、財源をどのように集めているのでしょうか。

(石原委員長)
 私は、NHKでは、いろいろな不祥事が起こりすぎだと思っています。NHKで最も大切なのは、視聴者・国民の皆さまからの信頼です。信頼をいただき、受信料をお支払いいただくこと、そして、よい番組をつくることがNHKにとって大切なことです。NHKでも不祥事をなくすために、一生懸命取り組んでいますが、数は減ったとしても相変わらず不祥事が起きてしまっています。
 不祥事をなくすためには、NHKグループ全体として、ガバナンスを構築していくことが非常に大切です。いまのNHKには、「悪いことをしてはいけない」「隠し事をしてはいけない」「正しいことをしなければいけない」という当たり前のことについて、組織として欠けている点があるのではないか、と思うところがあります。
 また、NHK職員の個々の意識という問題もありますが、根底にあるガバナンスの問題を改善する必要があります。人間ですから、何か間違いを起こすことはありますが、万が一、問題が起きた際には、組織として再発防止施策も含めて、積極的に情報公開していくような姿勢も必要なのではないか、と思っています。

(黄木理事)
 私は、この1年、関連事業統括として、NHKの子会社が不祥事や不正を起こさないように、内部統制やガバナンスの向上に向けて取り組んできました。
 26の関連団体のうち、株式会社の子会社13社については、上場企業並みの内部統制やガバナンスの仕組みを取り入れ、不正防止対策として、定められた出金管理のルールが守れているかをチェックできる仕組みづくりなどに取り組んできました。併せて、主だった子会社には、外部の公認会計士に常勤の監査役として入っていただき、外部からの視点でもチェックできる体制づくりを進めています。
 NHKグループの関連団体や子会社は、「NHK」という3文字を組織名につけて業務を行っています。また、グループ会社の業務のうち約65%は、NHKから委託を受け、受信料を元に、NHKの放送や事業を運営するために仕事をしていますので、NHKグループ全体として、公金意識やコンプライアンス意識をNHK本体と同じように高めていかなければならない、と考えています。
 内部統制やガバナンスの向上に向けた取り組みには終わりがなく、不断に続けていく必要がありますが、二度と不祥事が起こらないように、日々緊張感を持って、グループ全体で業務に取り組んでまいりたい、と思っています。

(長谷川委員)
 支払わない人は見ることができない仕組みを「スクランブル」と言いますが、受信料をめぐる議論の中で、「スクランブルをかけ、受信料を支払っていない方には、放送番組を視聴できなくするべき」という意見が出てくることがありますが、「公共放送としてスクランブル方式は採用できない」という結論に至ります。
 NHKは、公共放送として災害発生時などにおいて「皆さまの命と暮らしを守る」ために、情報を提供する責任があり、受信料をお支払いいただいていないことを理由に、命に関わるような情報を遮断することはできない、ということをご理解いただきたい、と思います。
 また、「4K・8Kの画質のニーズがあるのか」というご意見をいただきましたが、私も同じような疑問を持っており、先日、放送技術研究所の方に同様の質問をしたところです。皆さまも松江放送局のロビーにある8Kモニターを実際にご覧いただければおわかりになるかと思いますが、8Kになると、画面の迫力がこれまでと全く異なります。今後、8K受信機も販売されますが、徐々に値段が下がっていくと思いますので、楽しみにお待ちいただきたいと思います。

(松原理事)
 「支払率100%を目指して」というご意見をいただきましたが、NHKとしても受信料の支払率向上に取り組み、お支払いいただいている方々の負担を減らす努力をしていきたいと考えています。
 スクランブル方式に関するご意見をいただきましたが、NHKの目的を定めた放送法15条において「あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による放送を行う」ということが定められており、受信料は、サービスの対価としてではなく、「公共放送NHKの維持運営のための特殊な負担金」と解釈されていますので、公共放送では、スクランブル方式は取り得ない、ということです。
 また、海外の公共放送の状況についてですが、イギリス、フランス、イタリア、韓国など海外の公共放送料金の支払率は、NHKよりも高い、90%台となっています。これは、日本とは制度が全く異なっているからであり、例えばイギリスのBBCでは、受信許可料を支払わなければ、最終的には刑事罰となって収監されるという制度になっています。このように、海外の公共放送の支払率が高い理由のひとつとして、未払いに対する罰則がある、ということが挙げられます。
 また、視聴者の方が引っ越された際、NHKでは訪問による確認を行っていますが、海外の公共放送では、法律に基づいて住民移動情報を自動的に取得できる仕組みがあります。イタリアでは、「テレビ未設置を申告しない限り、テレビを設置しているとみなす」として、受信料を請求できる仕組みになっています。このように、NHKと海外の公共放送には、制度面でさまざまな違いがあり、特に罰則も含めた制度の違いが、支払率に大きな影響を与えていると認識しています。

【会場参加者】
 税金の場合は、選挙などにより支払っている人の意思を表明することができる機会がありますが、受信料の場合、支払っている人たちの意思を示す機会があまりないように思います。
 この数年間、報道の公平性を疑問視する声が多くあったかと思いますが、そのような状況では、「もう受信料を支払いたくない」と思うことがありました。
 また、「報道の自由度ランキング」で日本の順位が低位にある、という報道がありましたが、NHKでは「公平公正な報道を行っている」と言っていても、そのように思っていない人もたくさんいると思います。NHKでは、このことについてどのように考えているのでしょうか。

【会場参加者】
 「平成29年度収支予算と事業計画」の事業支出に「その他の事業支出」という項目がありますが、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。

【会場参加者】
 私は朝早くから夜遅くまで仕事をしており、自由になる時間が1日に2、3時間しかありません。最近は、スマートフォンやパソコンなどでいろいろなコンテンツを視聴することができ、テレビを全く視聴しない日もあります。また、視聴したとしても、NHKを視聴しない日もあります。テレビのチャンネル数が現在よりも少なかった頃は、NHKの情報に頼る割合も高かったと思いますが、チャンネル数が増えたことにより、NHKの情報に頼っている人の割合も減ってきているのではないでしょうか。
 NHKの中でもチャンネル数を増やし、内容を充実させているとは思いますが、個人が割ける時間は変わらない中、「これくらいの受信料額は当たり前」と押しつけられているように感じてしまいます。私は、現在の受信料額が高いと思っており、もっと安くするような議論は行われていないのでしょうか。

(松原理事)
 受信料収入以外の主な収入として、副次収入、財務収入、交付金収入、特別収入があります。
 NHKの28年度決算速報では、事業収入は7,073億円で、95.7%にあたる6,769億円が受信料収入となっており、その残りが副次収入などとなっています。
 「受信料の額が高い」というご意見をいただきましたが、現在のNHKの受信料額は、口座・クレジットの場合、地上契約で月額1,260円、衛星契約で月額2,230円となっており、新聞や有料放送と比べると、それほど高いものではない、とも言えるかと考えています。
 また、NHKでは、毎年コストに見合う放送の成果を図るVFM(Value for Money)を算定するための調査を実施していますが、VFMが1以上であれば、「支払いに見合った価値を提供できている」という評価となる値が調査を開始した平成17年度からこれまでの間、ずっと1以上を維持しています。平成27年度の調査では1.85という値になっており、視聴者の皆さまには、ある程度満足いただいているサービスを提供できているものと思っています。
 なお、NHKでは平成24年10月に受信料額の値下げを行っています。受信料額の値下げは初めてのことであり、このような取り組みも、ぜひご理解いただきたいと思います。

(長谷川委員)
 現役世代や若い世代の方々には、テレビを見る時間がなく、見ようと思ったときには、放送が終わっているという課題がありましたが、通信と放送の融合が進む中、NHKでは、「NHKオンデマンド」で見逃し視聴のサービスを提供しています。ぜひ、このようなサービスをご活用いただくとともに、「もう一回見たい」と思っていただける番組を、できるだけたくさん提供していきたい、と思っています。
 また、「受信料を支払っていても、NHKに意思を示す機会がない」とのご意見をいただきましたが、NHKにご不満を思われたとき、受信料のお支払いを停止するのではなく、受信料をお支払いいただいた上で、「支払っているからこそ、NHKに意見を言う機会がある」と、この「視聴者のみなさまと語る会」やNHKのコールセンターなどにご意見をいただきたいと思います。

(小林委員)
 私は、経営委員を務める前に中央番組審議委員を務めており、番組審議会という経営とは切り離された会に出席し、NHKの番組についての意見を率直に言う機会がありました。番組審議会は、各地域に設置されており、私は、中央番組審議会委員として、月に1回、東京で開催される審議会に参加していました。
 この番組審議会に参加していた経験から、1つの番組に対していろいろな方がいろいろなご意見をお持ちであること、そして、さまざまなご意見について執行部や番組の制作担当者と議論をしたり、番組に寄せられた視聴者の皆さまからのご意見を番組の改善等に生かす取り組みが行われている、ということをご紹介させていただきたい、と思います。

【会場参加者】
 平成29年度の収支予算・事業計画では、国際放送に256億円を使う計画となっていますが、私たちが支払っている受信料で負担しなければならないのでしょうか。公共的な意味を持つのであれば、そのうちのいくらかは税金で賄ってもよいのではないでしょうか。

(石原委員長)
 国際放送では、国からおよそ39億円が「国際放送関係交付金」として交付されています。
 また、国際放送費全体では、250億円ほどの予算を計画していますが、5、6年前までは100億円台の規模でした。グローバル化が進む中、日本のすばらしい文化や情報を海外に発信し、海外からたくさんの観光客の方に来ていただくことで地域の活性化につなげたい、という声にこたえるため、国際放送を充実させてきました。その結果、「最近は、国際放送がよい方向に変わってきた」「もっと充実させてほしい」という声を多くいただくようになりました。

(長谷川委員)
 国際放送では、地域と海外を直接つなげることが、ひとつのコンセプトになっています。例えば、「松江はすばらしい街です」ということを直接海外へ発信して、海外からの観光客にアピールするような取り組みを推進しており、松江局としても地域情報の海外発信を進めていただきたい、と考えています。

 

 

第2のテーマ:放送について

(司会)
 皆さまからご意見を伺う前に、事前のアンケートでいただいたご意見・ご要望の中から、「地域放送の取り組み」について、経営委員と執行部からお答えします。

(小林委員)
 NHKは全国の視聴者の皆さまからお支払いいただいている受信料で支えられていますので、地域の視点に立った業務運営が大変重要であると考えております。現経営計画の議決にあたり、経営委員会から執行部に対する経営委員長見解として、「地域番組の全国・海外発信や地域社会への貢献を評価する手法の開発等、地域を重視する姿勢も重要である」と申し入れています。
 そして、経営委員は、「全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならない」という定めによって選ばれていますので、各地域を拠点とする経営委員を中心に、経営委員会の場において地域の視点に立った発言や積極的な議論が行われています。

(木村局長)
 経営計画にもありますように、地域放送でも災害報道への対応や防災・減災報道の視点を忘れることなく、情報発信をしていきたいと考えています。
 また、島根県には出雲、石見、隠岐の各地域にさまざまな文化がありますので、きめ細かく取材し、視聴者の皆さまの期待に応えることができる情報発信に努めています。
 島根県には、文化的、歴史的な資産が数多くありますので、県内向けの放送に限らず、全国・海外に向けて発信することも目標に掲げて、番組づくりに取り組んでいるところです。
 いま、島根県では、人口減少問題が非常に大きな課題となっており、その1つの例として来年3月には「JR三江線の廃止」が決まっています。直面するさまざまな課題に正面から向き合い検証していく中で、未来につながる提起をしていく視点を持って番組を発信できるよう、努めています。

【会場参加者】
 NHKの天気予報の地図を見て、北海道と九州が同じぐらいの大きさで表示されていることに、違和感があります。北海道は、四国と九州を足してもまだ足りない大きさにもかかわらず、地図では小さく表示されています。NHKには、正確な放送に努めてほしいと思います。

【会場参加者】
 『NHKのど自慢』のエンディングで伴奏者の紹介がありますが、ときどき無愛想な方がいます。見ていて不快に感じることもありますので、もう少しにこやかな表情をしてほしいと思います。

【会場参加者】
 最近、フェイクニュースということばをよく耳にします。フェイクニュースではないかもしれませんが、先日NHKバージョンで編集されたアニメで、商標などのロゴを消しているシーンがありました。アニメの本来の魅力を伝えるのであれば、お金をかけて編集するのではなく、そのまま放送したほうがよいのではないか、と思いました。
 また、編集することで作品が本来伝えたかった魅力や本質の部分が抜かれてしまうことも、一種のフェイクなのではないでしょうか。

【会場参加者】
 三江線は来年3月に廃線が決まり、新たにバス路線の運行をすることになりました。いま、バス路線の運行について住民に対するアンケート意見聴取が行われていますが、そのような状況をもっと掘り下げて伝えてほしい、と思っています。
 これまで多くの経費を費やしてきた路線の廃止は、国民にとっても大きな損失だと思いますので、NHKでもっと取り上げてほしいと思います。
 また、NHKでは、4K・8Kを推進しているとのことですが、私の家は大画面のテレビを置くだけの広さがありません。NHKは、私たちにどれほど4K・8Kのニーズがあると思っているのでしょうか。新しい技術を使った受信機を販売することが本当の目的ではないでしょうか。

(木村局長)
 三江線についてのご意見は、ぜひ参考にさせていただきたいと思います。この「JR三江線の廃止」を単に地域の出来事として捉えるのではなく、地域がどのように課題に向き合っているのか、という視点も踏まえながら、今後もきめ細かく取材を続けていきたいと思います。

(黄木理事)
 『NHKのど自慢』の伴奏者紹介に関するご意見をいただきました。『NHKのど自慢』は、生放送の番組ですので、時間管理が難しく、ご不快な印象を与えてしまっているのかもしれません。決して意図的に無愛想にしているわけではありませんので、ご理解いただければと思います。このようなご意見があったことを担当者に伝えたい、と思います。
 天気予報の地図についてご意見をいただきましたが、NHKでは地図を表示するときに、「メルカトル図法」を採用しています。テレビをご覧いただいている方が一番わかりやすい表示を選んでいるということを受け止めていただきたいと思います。
 フェイクニュースのご意見をいただきましたが、公共放送NHKの役割は、正しい情報を迅速に伝えることであり、そのような報道を続けていくことです。アニメを特別バージョンで編集することは、フェイクニュースとは異なりますが、さまざまな編集方法があり、もともとの原作の趣旨や世界観を忠実に表現するために、あえて商標をそのまま放送するという判断をする場合もあります。一方で、原作の世界観と若干異なる部分があったとしても、NHKの番組として広く見ていただくことを選択する場合もあります。これは、番組を担当するプロデューサーやディレクターが最善の作品をお届けできるよう自律的に判断している、ということだと思っています。
 番組に関するご意見がございましたら、NHKのコールセンターにお電話やメールでお寄せいただきたいと思います。いただいたご意見は、全て登録され、番組担当者に直接伝わるシステムになっていますので、これからも、ぜひご意見をいただきたい、と思います。
 4K・8Kに関するご意見をいただきましたが、NHKでは、前回の東京オリンピックの時、テレビ放送を白黒からカラーへと変革する大きなチャレンジをしました。その後も、NHKは放送技術研究所を中心にメディアの高度化に取り組んでおり、現在、次世代のテレビ放送として、さらに高精細な4K・8Kの研究・開発に取り組んでいます。
 ご指摘のように、大画面のテレビがそれぞれのご家庭に入るわけがない、ということは承知しており、放送技術研究所では、薄型で紙のように巻き取り可能なモニターの研究なども進めています。そのような技術開発が進むことで、さまざまなご家庭で4K・8Kを体験していただけることに繋がるのではないかと考えています。
 現在は、まだ実験的な取り組みを行っている段階ですが、さまざまなご意見を受け止めながら、4K・8Kのすばらしさを、皆さまに役立てていただけるように、取り組んでいきたいと思いますので引き続きよろしくお願い致します。

【会場参加者】
 NHKと視聴者が直接触れ合うことができる公開収録番組や、いつでも見学できる生放送の番組を増やしてほしいと思います。そうすれば、もっとNHKを身近に感じることができると思います。

【会場参加者】
 ラジオの受信環境についてですが、島根県は東西に長く、大きい建物がないので、夜になると外国波の混信があり、ラジオ放送が聴きとりにくくなることがあります。ラジオの混信に対して、具体的に、どのような対策をしているのか、対策できるものなのかについて教えてください。

【会場参加者】
 最近、若者を対象とした番組が多く、年配者にとってはテンポが速過ぎると感じており、専ら朝から晩までラジオを付けています。
 テレビの天気予報では、最初に九州・沖縄から始まり、東に向かって順番に放送していますが、『ラジオ深夜便』の中で聴く天気予報では、北海道から始まり、西に向かって放送されることがあります。天気は西から東、南から北に移るので、最初に北海道から言われると頭が混乱してしまいます。通常のニュースと同じように、『ラジオ深夜便』でも西から順番に天気予報を放送してほしいと思います。
 また、ニュースの天気予報で、松江の気温が伝えられないときがあります。山陰地方は山陽地方とは気候や温度が異なり、山陰地方の気候や温度が伝えられないと、何を着ればよいのか困ってしまいますので、山陰地方の代表として松江の気候や気温は必ず伝えてほしいです。

(司会)
 日ごろからNHKのラジオを聴いていただいているからこそのご意見だと思います。ありがとうございます。

(木村局長)
 山陰地方の民放は、鳥取県と島根県を放送対象区域としており、同じ放送内容となっています。NHKは鳥取県と島根県で別々にローカル放送をしていますが、鳥取放送局との連携を強めて、ニュースなどの交換を行っています。
 公開収録番組ですが、島根県内での実施の機会は限られてしまいます。ことしは、安来市で『NHKのど自慢』を開催いたしますので、こうした機会を、ぜひお楽しみいただきたいと思います。
 ラジオの受信環境について質問がありましたが、島根県は地理的に大陸から近いため、夜間になると外国からの電波の影響を受けやすいという特徴があります。受信方法のアドバイスも行っていますので、ご相談いただければと思います。受信環境を改善する対策事例のひとつとして、AMラジオの放送をFMの周波数で放送する中継局を設置した事例があり、現在、島根県内では、4か所に置局しています。引き続き、皆さまからいただいた情報に基づき、対策に向けた検討を行っていきたいと考えています。

(黄木理事)
 「若者向けのテンポの速い番組ばかりになってしまった」というご意見をいただきましたが、決して若者におもねるつもりで番組をつくっているわけではありません。いろいろな世代の方に番組を視聴していただきたいと思っていますが、NHKの視聴傾向や視聴者層を調査すると、ご高齢の方ほど視聴していただいている傾向となっており、これは、若い年齢層の方々がNHKの番組を視聴されている割合が年々減少している、ということだと考えています。
 NHKには、あまねく国民の皆さまに情報を伝える使命がありますが、見ていただけなければ、いくら放送しても、お伝えすることができません。若い世代や、働き盛りの世代の方々にも届くような内容で、かつ高齢者の方々のご支持をいただけるような番組づくりが必要だということを痛切に感じています。

【会場参加者】
 3か年経営計画の重点方針3に、「インターネットを活用した新たなサービス」と記載があります。
 昨年放送された『大河ドラマ 真田丸』のホームページには、時代背景や美術の方のさまざまな工夫、出演者の話題などが事細かに掲載されており、楽しませていただきました。『真田丸』の番組ホームページは、番組内容の補助的な役割だけでなく、ホームページ自体がひとつの作品であったと思っています。また、英語の番組ホームページもつくられていたので、海外の友達にドラマの紹介をするときに、活用していました。
 放送終了後、ホームページが閉鎖されてしまいましたが、その後、台湾でも『真田丸』が放送されると聞き、「もし、英語のホームページが残っていれば、日本のPRにもつながったのではないか」と残念に思いました。
 NHKでは、番組が終了すると、ある程度の期間で番組ホームページも閉鎖されてしまうようですが、番組ホームページもNHKの財産のひとつとして、何かしらの形で残していただきたいと思います。

【会場参加者】
 6月からクールビズが始まり、アナウンサーもクールビズとなりましたが、炎天下で腕まくりをしながらもネクタイを締めてリポートしている人を見たことがあります。また、『おはよう日本』では、カジュアルな服装をしていますが、正時のニュースではスーツでニュースを読み上げています。アナウンサーの、服装の基準はどのようになっているのでしょうか。

【会場参加者】
 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は、被爆75年の年になります。オリンピックの開会期間中に8月6日を迎えますが、被爆75年の被爆や平和に関する放送について、どのように取り組むのか、地域放送や国際発信の視点も含めて、お伺いしたいと思います。

【会場参加者】
 NHKのニュースは、ニュースと解説が一緒になってしまっている気がします。例えば、『おはよう日本』の「ここに注目!」のコーナーでは、ひとつのニュースを解説委員がとてもわかりやすく説明していますが、何か狙いのある言い方に感じます。ニュースは、そこにあったことをそのまま伝えることがニュースだと思いますので、解説は、ニュースと分けて伝えるべきだと思います。

(黄木理事)
 番組ホームページに関するご意見は、そのとおりであり、『真田丸』のホームページも含めて、NHKで提供しているホームページも受信料でつくられており、貴重な財産になるものと思っています。しかしながら、現在の放送法では、ホームページも含めたNHKのインターネット利用は、「放送する放送番組や番組の理解の増進に役立つ情報」と定められており、コンテンツそのものをインターネットで出すことは、NHKの本来業務として認められていません。
 これからは、NHKは放送だけではなく、インターネットでも発信し、放送と通信の融合時代にふさわしい、公共放送から公共メディアへと進化していきたいと考えており、さまざまな試験を行っています。また、ご意見をいただきましたように、海外での二次展開時に役立つように情報発信ができるよう、インターネットの利点をできる限り生かした取り組みを行っていきたいと考えています。
 アナウンサーの服装の基準に関するご意見は、非常に難しい問題です。例えば、正時のニュースのように、短時間で的確に伝えるようなニュースでは、クールビズだからといってネクタイを外していると、「ネクタイを着けたほうがよい」というご意見をいただきます。一方で、『おはよう日本』や『ニュースウォッチ9』などのようなニュース番組では、「ネクタイを着けないほうがよい」というご意見をいただきます。ニュースの服装は、毎回、相談しながら考えており、特に決まった基準を設けているわけではなく、その時々で判断しています。
 2020年の被爆75年に向けた取り組みについてご意見をいただきました。NHKでは、毎年『NHKスペシャル』やドラマなど、さまざまな番組を制作していますが、被爆75年にあたる2020年の東京オリンピック・パラリンピックを、スポーツの祭典を東京で行うだけではなく、日本の文化や歴史、日本が体験してきたさまざまなことを世界の人たちと共有し、世界が日本に注目する絶好のチャンスだと考え、NHKとしてもしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
 ニュースと解説に関するご意見についてですが、NHKには報道局にニュース番組をつくる記者やディレクターがいて、解説委員室に記者やディレクターの経験を経た専門領域を持つ解説委員がいます。今のニュースは、短い時間で的確に伝えるというだけではなく、ひとつの課題について掘り下げ、皆さまにわかりやすく伝えることも求められており、ニュースとニュースの持つ意味を一緒に伝えるという部分が、この度ご意見いただいたことにつながっているものと思いますが、事の本質をきちんと掘り下げて伝えることもNHKの役目として必要なことだと考えており、適宜適切に選択しながら、ニュースを伝えていきたいと考えています。

(司会)
 では、最後に、皆さまからご意見やご要望を伺いました経営委員から、感想をいただきます。

(石原委員長)
 本日は、ありがとうございました。大変参考になる、また、役に立つすばらしいご意見をいただきました。
 「視聴者のみなさまと語る会」では、受信料に関するご意見を必ずいただきます。支払率が80%近くまで上がってきましたが、まだお支払いいただいていない方がいるということは、不公平であることに違いありません。支払率が高くなると、さらなる向上は次第に難しくなりますが、NHKの課題として、支払率100%を目指して、努力していかなければならないと、改めて思いました。
 また、不祥事に関するご意見を伺い、ガバナンスについてさまざまな努力をしていく必要があることを改めて感じました。
 本日は、多くの率直なご意見をいただき、本当にありがとうございました。いただいたご意見を今後のNHKの経営に生かしてまいりたいと思います。

(長谷川委員)
 来週、経営委員会がありますが、まだ皆さまのご意見がフレッシュに耳に残っているところで、ほかの経営委員の方々に、皆さまのご意見をできる限り伝えたいと思っています。ありがとうございました。

(小林委員)
 本日は、とても身近に皆さまのご意見を聞くことができましたこと、経営委員としてとてもありがたいことだと思っています。
 また、インターネット展開についても貴重なご意見もいただき、これからメディアの放送と通信の融合ということについて、議論を発展させていきたいと思っています。
 視聴者の皆さまからのご意見・ご要望は、電話やインターネットでも受け付けていますので、ぜひご活用いただき、今後も私たちにいろいろなご意見をいただきたいと思います。
 本日は、ありがとうございました。

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in松江>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
14 4 1

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代
0 0 2 3 4 5 3 2

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送(テレビ) 放送(ラジオ) ホームページ 新聞 メール Twitter その他 未回答
4 0 4 2 6 1 1 1

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
8 9 1 0 0 1

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営重要事項 経営など全般 放送について 講演会 特になし 未回答
1 5 4 7 1 5

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他
2 9 8 0

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 特に変わらない わからない その他
14 3 2 0

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営全般について

  • 受信料収入や支払率の向上は難問だが、これからもがんばってほしい。
  • 受信料に関する質問が多かったが、説明は不足しているのではないか。もっと視聴者に説明する努力が必要。
  • 時代の変化に伴い、NHKの対応も変化していくと思うが、対応経費をどのように捻出するのか。
  • NHK自身が放送法改正の必要性を感じているのか。
  • 税金と同様に、低所得の場合は受信料の負担を軽減するべきではないか。

 

放送について

  • NHKには、すばらしい番組がたくさんある。NHKオンデマンドではなく、BS放送などを活用し、テレビでの再放送を充実させてほしい。
  • 公開番組をもっと充実してほしい。
  • 最近のEテレの番組は面白く、感心することも多い。
  • 民放の幼児番組が少なくなる中、NHKにはいつまでも「子どもの知育」のためにがんばってほしい。
  • 国際放送でどのような番組を発信し、どのような反響があったのか、総合テレビで紹介してほしい。
  • 島根県西部はNHK第2放送の受信が困難な地域であり、改善してほしい。
  • ニュースの中でバラエティー番組の宣伝が多いように感じる。
  • 番組に仕込みがありすぎる。クリエイティブな放送を期待する。
  • これからもNHKらしい放送を続けてほしい。

 

運営、その他について

  • NHKのことがよく理解できて、参加した意味があった。
  • 参加者の意見を聞き、実にさまざまな考えをもった人達がいることに驚いた。
  • NHKに意見を述べる参加者の姿勢に感心した。
  • 年配の男性の参加者が多かったことに驚いたが、若い層がNHKを見ていないわけではないと思うので、このような機会を多く設けてほしい。
  • また機会があれば参加したい。
  • 登壇者ひとりひとりの誠実な姿勢がすばらしかった。
  • 経営委員の丁寧な回答が印象的であり、参考になった。