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平成26年度 第4回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in岐阜
(平成26年9月13日(土))

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成26年度第4回は、岐阜放送局で実施し「経営全般」「放送」の2つのテーマについて公募による23名の視聴者から意見を聴取した。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in岐阜

 

<会 合 日 時>

平成26年9月13日(土) 午後2時〜午後4時

 

<出  席  者>

〔視聴者〕

公募による視聴者23名

〔経営委員〕

上 村 達 男  (委員長職務代行者)

 

中 島 尚 正  (委員)

〔執 行 部〕

木 田 幸 紀  (理事)

 

森 永 公 紀  (理事)

 

山 内 雄 敦  (岐阜放送局長)

〔司 会〕

黒 沢 保 裕  シニア・アナウンサー

 

< 会    場 >

 NHK岐阜放送局 2階 スタジオ

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの経営全般について

 (2) NHKの放送について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「大河ドラマ『軍師官兵衛』制作の舞台裏」と題して、ドラマ番組部の中村高志チーフ・プロデューサーによる講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき、ホームページなどを通じて33名から参加の申し込みがあった。

  • 語る会には、申し込みがあった33名のうち23名が参加し、「経営全般」と「放送」の2つのテーマについて意見や提言を募った。

  • 参加者からは、「会長や経営委員の発言」「放送の公平・公正、不偏不党」「正確な報道」「受信料の公平負担」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 語る会終了後に行ったアンケートには、22名から回答があった。主なアンケートの結果は次のとおり

    <参加者の満足度>
     「大変満足」3名(13.6%)、「満足」10名(45.5%)、「普通」3名(13.6%)、「不満」1名(4.6%)
     ※未記入5名(22.7%)あり。

    <経営委員会の仕事について>
     「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「経営委員会の活動について理解が深まった」との回答が14名からあった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

 (上村代行)
 私と岐阜の関係を少しだけ申しますと、岐阜は3度目です。楽市楽座の非常に先進的な町、豊かな土地ということを非常に痛感しました。今でいうと、規制緩和をして成長戦略をやったというのが多分、楽市楽座ではないかと感じ、非常に進取の精神に富んだ土地柄という印象を持っています。
 最初に、経営委員会の役割についてご説明します。経営委員会の役割は放送法に明文化されており、NHKの経営の基本方針などの議決や、会長以下、執行部の役員の業務の監督などNHKの経営に対して重い責任を負っています。
 こうした役割を持つ経営委員会の委員は、衆参両議院の同意を得て、内閣総理大臣より任命されます。委員の選任に当たっては、教育、文化、科学、産業、その他の各分野、及び全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならないと放送法で定められています。
 経営委員の任期は3年です。再任されることもあります。委員の定数は12名です。
 また、経営委員の中から監査委員が任命されることになっており、経営委員を含めた役員の職務執行を監査する役目を担っています。監査委員は、常勤委員でもあります上田委員と室伏委員、渡委員の3名が務めています。
 そして、私たち経営委員がその重責を果たすため、視聴者の皆さまのご意見を直接伺うことも定められています。本日はその機会として、皆さまからNHKに対する忌憚のないご意見をお聞かせいただきたいと思っています。
 その前に、「会合においては、経営委員会の委員が協会の基本方針その他協会の運営に関する重要な事項を説明すること」という定めもありますので、いま少しお時間をいただき、平成24年度から26年度3か年のNHK経営計画と、平成26年度の収支予算と事業計画について、簡単に触れさせていただきます。なお、平成27年度から29年度の次期経営計画につきましては、現在、策定しているところです。
 平成24年から26年度のNHK経営計画は3か年の基本方針のもと、4つの重点目標で構成されており、基本姿勢として、公共放送の原点に立ち返り、その役割の達成を目指すことを強く意識しています。
 重点項目の1つ目は「公共」です。東日本大震災でのさまざまな体験や教訓を生かし、いかなるときにも皆さまの安全・安心を守るための情報をいち早く正確に提供するため、放送機能を強化します。
 2つ目は「信頼」です。これは世界に通用する質の高い番組、そして日本、地域の発展につながる放送やサービスの充実に取り組むというものです。
 3つ目は「創造・未来」で、進展する放送と通信の融合時代にふさわしい新しいサービスを充実させるということです。
 4つ目は「改革・活力」で、効率的な経営を行い、公共放送の価値を高めるとともに、受信料制度をご理解いただき、受信料の公平負担に向けて努力します。また、視聴者の皆さまへ受信料を還元するためにNHKにとっては事実上初めてとなる受信料の値下げをお約束し、平成24年10月から実施しています。
 次に、26年度収支予算と事業計画についてです。
 26年度は、先ほどご説明しました3か年経営計画の最終年度として、掲げた4つの重点目標の達成に向けた取り組みを推進しています。
 事業収入は受信料の増収などにより、25年度に対して150億円の増収となる6,629億円となっています。事業支出は、国内放送・国際放送の充実や大規模災害に備えた公共放送の機能強化を図るとともに、スーパーハイビジョンなど次世代サービスの開発・推進に予算を重点配分することにより、25年度に対して60億円の増加となる6,539億円としています。以上により、事業収支差金は90億円となり、このうち80億円を老朽化の進む渋谷の放送センターの建て替え等に備えて建設積立資産に繰り入れ、残る10億円は財政安定のための繰越金に繰り入れられます。
 3か年の合計では、経営計画に対して事業収入の増収などにより、413億円の収支改善を見込んでいます。この413億円のうち、47億円を25年度の経営計画で想定した赤字の解消に充てて、残る366億円の全額を建設積立資産に繰り入れます。建設積立資産は、渋谷の放送センターの建て替え等に備え、これまでに確保した事業収支差金の中から積み立ててきた資金であり、26年度末の残高は950億円となる見込みです。
 渋谷の放送センターは、昭和40年の第1期工事の完成から半世紀近くが経過し、老朽化と狭隘化が進んでおり、いかなる災害時にも放送の中枢機能を維持するためには建て替えが必要です。建て替えには多額の資金を要しますので、建設積立資産を積み立てていきます。なお、新しい放送センターにつきましては、放送開始100周年に当たる平成37年度の運用開始を想定しています。
 次は、受信料収入についてです。26年度の受信料収入は、受信契約件数の増加等により、6,428億円を見込んでいます。また、受信料の公平負担を徹底し、支払い率は75%、収納率は97%の達成を目指しています。26年度の受信契約件数については、契約総数で49万件の増加、未収数は13万件の削減、衛星契約は68万件の増加を目指しています。
 26年度の重点事項の具体的な内容をご説明します。
 「1.公共」は、公共放送の機能強化と東日本大震災からの復興支援です。想定される首都直下地震や南海トラフによる巨大地震など、いかなる災害時においても放送を止めることがないよう、放送設備や体制を強化します。
 渋谷の放送センターの機能が停止した場合に、大阪放送局から放送衛星を使って全国ニュースを送出できるようにバックアップ機能を整備し、さらに大阪放送局から送出できない場合は福岡放送局から送出できるよう、これまで設備の整備を取り進めてきました。26年度にはこれらの整備を完了させて、運用を開始する予定です。
 「2.信頼」は、世界に通用する質の高い番組と地域放送サービスの充実についてです。国内放送では、各チャンネルの特性を生かして、多様で質の高い番組を放送するとともに、平成26年度はワールドカップサッカーブラジル大会を放送したほか、放送開始90周年に関連した番組を実施しています。地域放送では、より地域に密着した情報を提供するほか、ドラマなど地域を舞台にした番組を充実していきます。
 国際発信力の強化については、日本やアジアの情報を海外に的確に伝えるため、NHKはテレビ国際放送として、外国人向けに英語による「NHKワールドTV」と邦人向けに日本語による「NHKワールド・プレミアム」、ラジオでは日本語と17の言語で「NHKワールドラジオ日本」を放送し、インターネットによる配信も実施しています。26年度は、「NHKワールドTV」の1日の基本編成の単位を4時間から6時間に拡大し、番組ラインナップの充実化を図りました。
 「3.創造・未来」は、放送と通信が連携する時代にふさわしい新しいサービスについてです。現行のハイビジョンの16倍の超高精細映像である8Kスーパーハイビジョンについては、2020年の東京オリンピック開催年には、多くの方々に視聴していただけるよう研究開発を進めています。
 また、インターネットを活用したハイブリッドキャストについては、昨年から総合テレビでサービスを開始していますが、26年度は教育テレビや  BS1、BSプレミアムにも拡大します。番組を有料配信するNHKオンデマンドについては、コンテンツの充実や利便性を向上させ、利用者の拡大を図っています。
 「4.改革・活力」として、NHKは3か年経営計画の達成に向けて、世論調査を実施して経営計画の進捗状況を把握・検証し、事業運営に役立てています。業務別予算は、円グラフで事業支出を分野別に区分してお示ししており、事業支出の75.8%を国内放送番組の制作と送出に充てています。建設費については、公共放送の機能強化に向けた設備投資を重点的に行うほか、スーパーハイビジョンの設備整備も進め、全体で750億円としています。以上が、平成26年度収支予算、事業計画の説明です。
 最後に、ただいまご説明しました経営計画、26年度の事業計画を着実に実行するためにも、視聴者の皆さまからいただくご意見やご要望は大変貴重なものだと考えています。本日、岐阜放送局にお集まりの皆さまから頂戴するご意見、ご要望は、私ども経営委員全員はもちろん、執行部とも共有し、今後のNHKの経営に反映させてまいりたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

《視聴者のみなさまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの経営全般について

【会場参加者】
 「ニュースウオッチ9」で大越キャスターが「在日コリアン1世が強制的に連れてこられた」という旨のコメントをしたことに対する百田委員の指摘および上村委員の発言について。
 NHKが事実無根の捏造報道や偏向報道をしているときに、経営委員がそれを正す発言をするのは経営委員の義務であり、その発言を封じて偏向報道を継続させようとした上村委員こそ放送法の精神に違反していると言わざるを得ないと思う。
 今、NHKは中国や韓国寄りの反日偏向報道、反日プロパガンダ報道ばかりしていて公共放送として異常な事態。籾井会長と百田委員たちがしようとしている大手術を邪魔する人間は、今すぐNHKを去るべきであり、上村委員は今すぐ経営委員を辞任すべき。
 NHK退職者有志が、籾井会長に対する辞職勧告または罷免を求める署名を経営委員会に提出したが、この退職者有志こそNHKを反日放送にして、ここまで腐敗させた張本人の集団であり、経営委員会は署名の受け取りを拒否し、不当な介入に対し強く抗議すべき。

【会場参加者】
 例えばカーナビにワンセグがついていて、家にテレビがないという方も受信料を取られてしまう。本来はカーナビ主体で機器を買ったのにもかかわらず、NHKの受信ができてしまうことで受信料を払わないといけないのは不公平。不公平を解消させるために、NHKの一部の番組、チャンネルに対し、スクランブルをかければ、皆が納得するのではないか。

(上村代行)
 放送法で経営委員は具体的な個別の番組について干渉または規律づけをしてはいけないと規定されています。しかし、感想や意見を言うことは構いません。百田委員に「感想や意見ですよね」と私が確認したところ、「そうです」というふうにおっしゃった。感想や意見との場合には、執行部は答えなければならない義務はありません。
 また、「今度はこうせよ」とか「こうしなければならない」ということを言いますと、経営委員会というのは非常に強い権限を持っており、それは規律づけ、あるいは干渉になります。百田委員の件につきまして、干渉あるいは規律づけになる恐れがあるので、「これは感想ですよね」ということを申しましたら、「感想です」というふうにおっしゃっていたので、そのまま処理されています。
 経営委員会の場は「これが正しい」とか「これが正しくない」ということを確認する場ではありません。放送法にあるように、健全な民主主義の発展に資するということから、多様な意見をさまざまな角度から提示するというのがNHKの使命であり、「これが正しいに決まっている」とか「これは間違っているに決まっている」ということを確認することはしませんし、できません。そういう意味では、放送法にのっとって意見や感想を言っていただくことは大いに結構なことです。
 私が辞任するべきだというようなことをおっしゃっておりましたが、そのような理由はないと言ってよろしいかと思います。
 「退職者の声明を受け取るな」というご意見ですが、いろいろな申し出が来ますが、全部受けています。「これは受けるけど、これは受けない」というようなこともしていませんので、「これは受けるべきでない」という主張には納得することはできないということだろうと思います。
 スクランブルについて、お気持ちはわかりますが、払っていない人は払ってもらうべきだし、そのための努力をNHKはしています。払っていないから見せないということよりも、払っていない方も見ているということで公共放送の恩恵を受けています、だから「払っていただきましょう」という方向で前向きに取り組むのがよいのではないかと思っています。

(木田理事)
 スクランブルについてですが、確かに放送法にはNHKの放送を受信できる機器を設置したら、受信契約をしなければならないとなっています。ただ、放送法あるいは受信料制度ができたとき、カーナビのようなものは全く想定しておらず、カーナビでしか受信できるものがない人に対しては、不公平な面があるというお気持ちは、よくわかります。それでもカーナビは「受信契約をしてください」と言わなければならない立場ですが、そういう方にお会いするのは、実際は難しいと思います。
 受信料制度を巡っては、そのほかにもいろいろな不公平というのがあり、例えば現状では全国の推計世帯支払率は75%ぐらいです。つまり4世帯に1世帯は払っておらず、カーナビに比べるとこちらのほうがはるかに不公平を醸しているのではないかと思います。我々は一日も早く公平負担を完全に実施できるように日々取り組んでいますが、実情はそういうことです。支払率は、上がってはきていますが、急に90%になるというわけではありません。そういった状況が現実的にある中で、全国どこでもどなたにでも見てもらうのが公共放送の大きな役割の一つであり、スクランブルをかけると、一見合理的な面もあるとは思いますが、公共放送の根幹である「全国どこでも誰でも」というところには、ちょっとなじまないのではないかと考えています。
 世界中の公共放送でスクランブルを実施しているところはありません。ヨーロッパの公共放送もスクランブルというのは公共放送の本質と合わないのではないかということで実施していません。現在、我々はスクランブルをせずに、契約されていない方にお会いして、お話をして、理解していただいて、契約をしていただくという努力を日々続けています。不公平を感じられている面もあることは重々承知していますが、我々は今、そういう方向で取り組んでいるとことをご理解いただければと思います。

【会場参加者】
 朝日新聞が東電の福島第一原子力発電所所長が、現場を放棄して逃げたという印象を持たれるような報道をしたことに対し、状況と全然違ったということが問題になっている。報道機関として、一方に偏った印象を与えるような報道は、すべきではない。このような問題が取り上げられるということは、報道の仕方に何かおかしな点があったということではないか。状況を十分に把握し、正確、迅速に視聴者に伝わるような放送の仕方というものを基本から検証してみるべきではないか。
 また、「紅白歌合戦」は多くの年代の人が見ており、どの年代でもわかる、受け入れてもらえるように、出演者の基準というものをもう少し考えてみていただきたい。

(森永理事)
 朝日新聞の件は、我々としても非常に重く受け止めています。取材の経緯等、細かなことはわからないので、朝日新聞のことについてはコメントを控えますが、今、非常に多くのこと、科学的なこと、あるいは社会的なことも次々に起こっていて、しかもそれが複雑で難しい形になっています。すぐに速報が出て、それがただちにネットで流れるという時代を迎えており、以前のようにゆっくりしたペースでよく調べてというよりも、ただちにわかることから伝えていかなければいけません。そのためには、日頃から専門性を深め、知識を養うとともに、速報もやりながら、もし違っていた場合は速やかに修正していくということを心がけていかなければいけないと思っています。朝日新聞のことは、決して他人事ではなく、我々全てのメディアは重く受け止め、今後も正確な情報を迅速に発することができるように努力をしていきたいと思っています。

(木田理事)
 「紅白歌合戦」についてのお気持ちは大変よくわかります。同じようなご意見が「紅白歌合戦」だけではなく、いろいろな番組について数多く寄せられています。私でも「ついていけないな」という歌手もいることも確かです。ただ、その逆もまたあります。若い方から見ると、「どうして最後はいつも演歌の人なんですか」「もっとああいう人たちを出してほしい」といったご意見もたくさんあります。
 「紅白歌合戦」というのは年末にその年、いろいろなことで活躍されたり話題になったり、それから頑張った歌手やグループの人たちに、年齢や世代などの区別なく一堂に会してもらい、生放送で1年を明るい気持ちで終わりたいという趣旨の番組ですので、いろいろな方からの要望を踏まえて選んでいます。「何だ、これは」という人も確かに出てきますが、年末につき、いろいろな人たちが、いろいろな形で出てくるというところをぜひご理解いただきたいと思います。
 考え方として、8時から9時までは若い人向けにするという考え方もないわけではありませんが、生放送で、ステージ全体が大みそかに送る一大プログラムという位置づけですので、我々も並び方などいろいろ考えておりますが、時々気に食わないというか知らない歌手が出てきたら、時間をずらしていただいて、ごひいきの歌手が出てくるまで少しばかりお待ちください。
 「紅白」の出場者をどのように決めているかと、これもよく質問をいただきます。これは企業秘密の一番最たるもので、お教えできないのですが、言えることは、いろいろなデータ、例えばCDの売り上げだとか、インターネットからのダウンロード数とか、客観的にわかる数字を参考の一つにしています。そのほかにも我々が独自でいろいろな方にアンケートもしています。その他いろいろなデータもそろえ、プロデューサーやディレクターの意見も加味しながら、総合的に選んでいます。
 例えば、アイドル歌手とクラシックの新鋭というと、ファンの数などが違うわけです。それを同じように比べるというのは意味が違うので、その人の音楽性であるとか、世の中で大きなインパクトを与えたとか、いろいろな理由を勘案し、我々の責任で選ばせていただいているということです。
 もちろん、皆さんから電話やメールでたくさんのご意見をいただきます。それも全部見ています。総合的というところの一助として、ぜひリクエストをいただけると、参考にさせていただくこともあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

【会場参加者】
 籾井会長の就任記者会見で従軍慰安婦について「戦争をしている国はどこにでもあった」「オランダに今でも飾り窓があるのはなぜですか」「日韓基本条約で解決している」という発言があった。会長の発言は公しょうと慰安婦を混同しており、しかも、それに対する発言を会長が行うというのは、女性への人権侵害ではないかと思う。そういう発言は控えていただきたい。

【会場参加者】
 政府寄りの報道が多いのではないかと思う。籾井会長の発言は干渉にあたるおそれもあるのではないか。
 NHKは放送法にあるように公平公正を保ち、権力から独立し、国民の知る権利に応えていく、という使命を果たしていくため、組織改革をしていただきたい。そして、籾井会長、長谷川委員、百田委員の罷免を要求する。上村委員、ぜひ頑張ってください。

【会場参加者】
 公共の定義とは何か。昔、長良川河口堰の報道について「ここまで真実を報道するのならすごいよな」と思ったが、それ以来、そういったことは一つも見ていない。何らかの政治的な力が働いたのではないか。だから、公共放送ではなく、まだ国策放送の域を出ていない。国策放送だったら、お金を払ってまで見る価値はないので「公共放送とは何ぞや」と定義をしっかり決めてほしい。
 NHKを見る人も見ない人もいると思う。見ない自由というのもあってもいいのではないか。放送法が現代の制度に合わないのであればNHKから声を上げて改革していくべきだと思う。

(森永理事)
 大変厳しいご意見をいただきました。放送法の第1条あるいは3条に書いてありますように、我々は事実を報道すること、政治的に公平であること、その他やらなければいけないことを放送法だけではなく、放送ガイドラインにも定め、報道の現場では、日々、それに沿って行うべく努力をしています。
 今、国論が大きく右、左に分かれるような事案もたくさんあります。例えば原発の再稼働の問題、集団的自衛権の問題について賛否の世論調査をしますと、大体賛否がほぼ同数です。一番多いのはよくわからないという意見です。国論そのものも大きく割れ、皆さんのお考えも割れるという中で、我々がまずやらなければいけないことは、できるだけ多くの見方、それから多くのご意見を公平に伝えるということが第一です。
 見方によれば「一方に偏っているのではないか」というご批判を受けます。我々もチェックをしますが、新聞社の編集主幹の方々、産業界、経済界、労働組合、農協の代表の方などで組織される中央放送番組審議会において、毎月、意見を伺っています。ここでもいろいろなご意見やお叱りを受けます。そういうものを勉強にさせていただき、反映させていただきながら、放送ガイドラインの趣旨に沿った報道を進めていきたいと思っています。
 きょうも、皆さまの意見を真摯に受け止めて、さらによりよい、より適切な報道をやっていきたいと考えています。

(上村代行)
 公共の定義とか、NHKの報道機関としての役割とか、非常に本質的、重要なご質問をいただいたと思っています。
 会長発言については記者会見の場での発言は取り消しています。取り消していますが、個人的な意見には変わりがないというふうにおっしゃっていて、それがちょっとはっきりしないところがあります。経営委員会としては、会長発言等について厳重に注意し、その後の状況を見守るという、立場です。
 経営委員の罷免というような話もありましたが、経営委員は国会の同意人事によって選任されており、これを経営委員会で罷免するということはできません。会長については経営委員会が選任、罷免の権限がありますが、その後の会長の動向などを経営委員12名が慎重に評価し、そして判断をしていくという立場です。
 最後にご質問の公共ということですが、これはなかなか難しい問題です。例えば、見ない自由ということもわかります。ただ、見ない方にNHKの存在が何らかのメリットを全く与えていないということではありません。災害報道をはじめとして、見ていない人にとってはどうでもいいことで、見ている人にとってだけ大事ということではありません。多くの被害者がおられた場合、その被害者の方が受信料を払っているか払っていないかとか、そこで一生懸命ボランティアの方が参加しているときに、この人は払っているとか払っていないとか、そういうことは無関係に公共、日本の国民全ての人にとって役に立つようにという視点でNHKが放送しなくてはいけない、そういう立場だろうと思っています。
 例えばドイツやフランス、イギリスなどの場合は、税金のような仕組みで徴収しているところもあれば、見ようが見まいが世帯ごとに集めているところもあります。イギリスのように、場合によっては拘置所に収監されるというところもあります。つまり、放送は国民にとって必要な公共財であるという認識が前提になっているところでは、見ても見なくても払うというのも一つのあり方です。そのためにはNHKがそれにふさわしい番組内容を提供していなければ偉そうなことは言えないということでもあります。
 日本の社会が非常に成熟した社会になっていくために、NHKの役割というのは非常に大きいと思っていますので、そこで受信料というものをどう考えるかというのは、NHKとしても、あるいは経営委員会としても問題提起をしていく必要があるのではないかと思います。目標を達成するためにただ金を集めればいいとか、見ていない人と見ている人を区別するというようなことよりも、見ていない人にとっても役立つのだから、なるべく多くの方にある程度負担をしていただきたいという方向で物事を考えていくということがいいと考えています。ただいまご質問、ご意見をくださった方が提起した問題は、極めて本質的な問題だと私は理解しています。

【会場参加者】
 NHKOBです。OBとして、皆さんからの批判や意見について強い責任を感じている。会長の言動はとても品格を欠いた、日本を代表するジャーナリズムや公共放送の代表としては到底ふさわしくないということはいろいろなところから指摘されているとおりで、とても恥ずかしく思う。
 去年11月に、経営委員会がつくられた会長の資格要件の6項目というのがあったが、現時点でこの6項目は生きているのか。

(上村代行)
 受信料を払っている方には、さまざまな意見や信条があります。NHKの予算というのは、昨年までは国会は全会一致して承認してきました。そういう意味で視聴者あるいは国民全部の方向に目が向いた予算として形成され、それを執行してきましたが、今は残念ながら、与党のみの賛成になってしまいました。私は、それは残念な事態だと思っています。
 受信料を払っている視聴者の皆さまには、極めて多様な政治的な信条、あるいは生活上の信条などを持った方がおり、「この意見が正しい」とか、「これが間違っている」とか、そういうものをNHKの側で「こうなんだ」というようなことは言うべきではないと思っています。そういう意味では非常に多様な意見をNHKの放送の中に生かしていくという姿勢が常に求められるということだろうと思っています。
 最後にいただきました6項目要件についてです。我々は、会長選任の手続についての内規を一生懸命つくってきたわけですが、次期会長選任についてはもう一度、つくった内規が十分なものであったかどうかということも含めて再検討することになります。6項目については、かなり普遍的な価値を示したものであり、そのうちのどれかが必要ないということにはならないのではないかと思っています。

(木田理事)
 放送法は確かに昭和25年にできています。その後、改定はされていますが。放送法第15条に「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組を放送する」というNHKの設立された目的が書いてあります。NHKは、この目的を追求するためにつくられた組織です。ここに「公共の福祉のために」とありますけれども、恐らくこれは「国民」と言いかえても、実際は余り変わらないのではないかと思います。
 受信料とは一体どういうものかというと、電気やガスのような公共料金とは、ちょっと違います。電気やガスですと使っただけの対価として請求がくるわけですが、受信料というのはNHKを支えるための負担金です。対価で支払っているのではなく、こういう仕組みを維持するために受信設備をお持ちであれば契約していただいて、NHKを支えるお金を負担してくださいということで、「見る、見ない」ということとは違います。「全然見ていないのに払えるか」というご意見も当然あります。そこではNHKの放送が信頼されなければいけません。信頼されないと負担金をお願いしても全く説得力が出てきません。信頼されるためには、自主自律が生命線になります。
 つまり、誰からもご意見は聞きます。聞きますけれども、自分たちのつくるものについて、ニュースであれ番組であれ、自分たちの責任で判断して放送をつくる。どこからも干渉されない。例えば,外からは言うまでもありませんが、中で誰か、例えば我々みたいな役員が、会議の場で仕事として編成を考えていくのは別ですけれども、理由もよくわからないで「これをやめようよ」とか「あの人をもう使うなよ」とか、そういうようなことがもしルールどおりではない形で言われたとすると、それは自主自律ではなくなってしまいます。ルールどおり皆が話し合って意見をまとめ、決定権限を持っている人が決めるというルールどおりに進んでいかないものは、やはり「横やりだ」ということになります。
 外からも中からも編集権を侵すような出来事があれば、それはNHKが終わったときだと思います。そういうことは一切ないように努めており、これからも努めます。そういうことには非常に神経を使って業務運営にあたっています。

【会場参加者】
 NHKのインターネットサイトが見づらいときが多い。高性能のパソコンを常時、高速通信で使う人が使いやすいものになっている。
 高度なものは見られなくていいので、機械や回線に恵まれていない者も見やすいようなサイトをつくっていくことを新しいサービスの中に常に考えていただきたい。

(森永理事)
 確かに回線の速度も速くなっていますので、動画もあわせて流すようにしています。確かに動画を見ようと思えば回線のスピードは速くなくてはいけませんし、CPUの処理能力が高くなければいけません。そうすると、その能力が劣るCPUの装置を持っているような機械とか、速度の遅い回線であれば、確かに動画は見にくいというようなことになるかと思います。

【会場参加者】
 スマートフォンからPCサイトを見ようとすると他局のサイトよりも手間がかかる。

(山内局長)
 以前、デジタルサービス部というところにおりましたので、岐阜局の局長というよりはそういう立場だったということでご説明します。
 スマホをお持ちの方が今、増えていて、スマホで見るときに、スマホで一番見やすい形で見ていただこうということで、スマホのページに合わせてあげようというのが逆にNHKの考え方としてあります。あるところではPCの画面が見られたりもしますが、逆に見やすいことを我々として追求してサイトづくりをしてしまっているところがあり、ご要望のとおり、例えばスマホでPCのサイトが見たいという場合、そのための工夫をしないといけないところもあると思います。また、これは要望があったということを伝えたいと思います。

【会場参加者】
 経営の方たちの中で、サイトの評価会のようなことはしていないのか。

(山内局長)
 相当なサイト数がありますが、サイトについての大方針は経営にも説明しています。我々現場としては「使われる方が見やすいほうがいい」という判断で行っています。今後、さまざまな要望を受け止めて検討させていただきたいと思います。

 

 

第2のテーマ:放送について

【会場参加者】
 原発や憲法などの日本の平和とか安全の根幹にかかわることは日本の将来を大きく左右する問題なので、もっと時間を割いて報道するべき。政権の支持率調査発表のニュースの中で、憲法関係についての項目が全く含まれていなかった。なぜ入れなかったのかというのを不審に思う。
 NHKが不偏不党、公正公平な立場に戻って、対立を激化させる内容であっても、賛成と反対の議論をそのまま報道し、国民に示すことが公共放送の大きな義務ではないか。

【会場参加者】
 災害時の画面について、情報がL字で出るときや普通に文字で出てまた 1回消える、などパターンがいろいろあるが、できれば統一してほしい。

【会場参加者】
 東京都議会のセクハラやじ問題のニュースでやじを飛ばしている議会の映像が流れたが、テロップでは「自分が早く結婚したほうがいいんじゃないか」と出ていた。実際の音声は「みんなが結婚したほうがいいんじゃないか」と聞こえた。NHKふれあいセンターに電話をしたが、論点がそれた返答だった。
 いろいろな人によって聞こえ方の違いがあるとも思うが、断定してテロップを流してしまうのはどうなのか。

(森永理事)
 流れる情報によって、NHKの場合、逆Lという形と門の形ようにして出す流し方、左の肩のほうに常時出す方法があり、必要性に応じて変えています。今回のように、局地的に短時間に大雨が降るような場合、それが皆さまのお命や財産を守るために非常に大事な情報なので、積極的に流していきたいと思っています。ご指摘のように、ドラマを録画している方などから、「L字があるからちゃんと見られないじゃないか」というご意見をいただくこともあります。大河ドラマの場合などは再放送の機会もあります。ただし、緊急報道の場合、テロップの流し方は、また再検討させていただきたいと思いますが、安全ということで出させていただいています。

【会場参加者】
 出すならずっと出していればいい。出したのが消えて、また出てくると、また何か違うことが発生したのかと思ってしまう。

(森永理事)
 必要性が少し薄れたときには落とします。やはり必要になればまた出すという形です。確かに見にくいのですが、今はそのような形でやらせていただいています。
 テロップの件については、音声を文字でダブる場合、字数に制限があり、話した言葉を全部そのまま正確に書くとは限らない場合があります。しかし、意味が違うようなことがあってはなりません。東京都議会のセクハラ発言についての音声については、何種類も意見があったのではないかとか、複数の人が発言しているのではないかということで、音声分析の専門の人にお願いして、音声の分析を含めた特集もやらせていただいています。
 憲法第9条など、報道していないのではないかというご意見をいただきました。憲法については毎年、憲法記念日のときに特集を組んでいますし、集団的自衛権については、「NHKスペシャル」でも取り上げ、「日曜討論」でも複数回やっています。国の重要なテーマであり、意見も大きく分かれるテーマであり、いろいろな事情によってご意見も変わってきますので、そのたびに取り上げていきたいと思っています。
 また、9月のアンケートでは、憲法関係についての項目を意図的に落としたわけではありません。特に9月は組閣があった直後で、組閣に対する反応などを主に聞いています。NHKとして、この問題を軽んじているとか、この問題を触れるのを避けているということはありません。

【会場参加者】
 「クローズアップ現代」についてあまりにもタイムリーな話題なので、寝ずにつくっているのではないかと思う。少しゆとりを持ってつくったほうがいいのではないか。
 私は「軍師官兵衛」の大ファンだが、主人が「史実に基づいていない」といって見ない。脚本家が史実を曲げてつくっているように感じられるところもあるらしく、そういうところも気をつけてドラマをつくられるといいかなと思う。
 また、女性アナウンサーの服装が気になっている。服装のチェックをしているのか。自分好みの服を着るのではなく、公共放送だったらもうちょっときちっとしたほうがいいのではないか。

【会場参加者】
 NHKはパチンコ依存症、ギャンブル依存症について、ことしの初めにも放送しているが、パチンコの存在そのものに対しての是非を問うような報道は一切していない。特に東日本大震災の被災地でギャンブルを開いていいものなのか。
 1万店のパチンコ店があって、ギャンブル依存症に苦しんでいる、亡くなった家族がいる、自殺された方がいる、一家離散された方がいる。こういったものを放っておかれるのか。報道していただきたい。

(森永理事)
 「クローズアップ現代」は、徹夜でつくるものもありますが、多くは1カ月ぐらい取材と制作の時間をかけます。緊急のものを除いて、少なくとも大体2週間前には提案が上がってきて、ラインアップが決まります。ただし、今回の広島の集中豪雨や錦織選手が準優勝したというようなものについては、機動的に速やかにつくろうということにしています。ネットの時代ですから、ネットで一報が流れるだけではなく、それを深く、かなり詳しく、できるだけ早く皆さまにお届けしようということを意識して「クローズアップ現代」はつくっています。緊急につくる割合は恐らく1割ぐらいだと思います。ただ、何かあったときに、瞬発力ですぐつくるという能力、瞬発力を持つということも大事ではないかと思っています。
 また、確かに震災の取材をしていますと、結局いろんな資金をいただいて、働く仕事がなく、パチンコや居酒屋に行くというような例があり、それをニュースで取り上げたこともあります。それとは別に、ギャンブル依存症、アルコール依存症も含め、依存症は社会的な問題を引き起こし、家族の崩壊につながりますので、先ほどの「クローズアップ現代」や「あさイチ」などで、これまでも取り上げてきました。ギャンブルも娯楽も時代に応じて変わっていきます。それは大人だけではなく、子供がゲームに夢中になって有料でやっつける武器を買うとか、そこにはもう依存ができて問題が起こってきます。こういう問題は折に触れて問題提起をさせていただくということをこれからもやらせていただきたいと思っています。

【会場参加者】
 健康問題と同じように是非を問うてほしい。対症療法では救われない。

(森永理事)
 対症ではなく、そういうものがあって、それがこういう崩壊を招く危険はありますよということを報道させていただくことで、そこの意図は伝わるのではないかと思っています。

【会場参加者】
 これをギャンブルと認めない政府に対して追及してほしい。

(森永理事)
 わかりました。ご意見として承ります。

(木田理事)
 基本的にドラマはフィクションということなので、特に歴史ドラマについては、はっきりしている歴史的事実というのは揺るがせられないですが、わからないことというのは結構あり、わかっているといっても、実はもともと伝説だったとか、裏づけがないものであったという、白黒つけられないグレーの部分というのが多くあります。特に戦国時代を見ていた人は誰もおらず、残っている歴史資料と言われるものも曖昧だったりしているということを逆手にとってというのは変ですが、ドラマとして、まず楽しんでいただくということをある程度優先してつくっています。
 例えば、今回は黒田官兵衛ですので、秀吉側から見た歴史になっていますけれども、かつて「毛利元就」という大河ドラマをつくったときは、全く逆の設定でした。主人公が違うと、どちらに義があるかということの描き方が全然違ってきます。どちらが正しいかということは、歴史学の研究であれば、また別ですが、ドラマ上は実はどちらも正しいと、そのときの主人公のほうで見ていただくしかないということでつくっています。
 歴史的な事実をどのように扱うかということもありますが、「時代考証がむちゃくちゃではないか」「その時代にはこんなことをやっていたのではないのではないか」とか「これは全然衣装がちがうのではないか」と、そういうご意見もよくいただきますが、これも実は作り手と見ていただく方との約束事の部分がかなりあります。例えば戦国時代にどうしてサラブレッドがいるかというようなことは、これはもう約束事として見ていただくしかないのです。当時の馬は、今、どこにもいませんし、しかもサラブレッドでないと迫力が全然出ないのです。それは我々も重々わかっていますが、サラブレッドではない武田の騎馬軍は、ちょっと考えられません。ポニーが走っていたのでは、迫力が出ません。そのような風俗や歴史的な出来事もあわせて、「歴史どおりではないのではないか」と言われれば、「それはそうです」と言うしかありませんが、全く無視してやっているということではなく、わかった上で、ここら辺まではできるのではないかということなのです。
 例えば、篤姫が大奥へ入るところまでは歴史的事実ですが、入っての資料が全くありません。そこで、そこから先は全部フィクション、想像です。あの2人が実は仲良しだって、そこは全然わからないのです。ドラマとして、ぜひご主人にも楽しんでいただければと思います。
 アナウンサーの服装については、これはアナウンス室にご意見をお伝えしておきます、ということでご了解いただければと思います。

(司会)
 基本的に番組に出演するアナウンサーの衣装は、自分のものではないことが多いです。番組として準備されたものを着ているということが多いです。

(木田理事)
 本人の好みもあるとは思いますが、スタイリストなどがついて選んでいます。今のようなご意見が伝わるようにはしておきます。

(司会)
 ちなみに名古屋で、デイリーニュースを担当する私たちの衣装は自前です。お金はついておりません。

【会場参加者】
 このような事業計画がつくられているということも知らなかった。長期展望を持って計画を立てられ、それに基づいていろいろなご意見を頂戴しながら計画をつくっていると思うが経営委員の考えやNHKの現在の動きや放送センターの建て替えの状況などを発信していっていただく機会や場が必要なのではないか。

【会場参加者】
 不登校とか集団、学校、職場でのいじめ、ネットのいじめなど陰湿ないじめが社会問題として時々出てくる。「クローズアップ現代」やニュース特集などで、社会問題を取り上げているが、事実があったことを報道しているだけに思える。具体的な検証や対策についても報道してもらったほうがいいと思う。

(森永理事)
 ご指摘のとおり、これまでいじめの実態、あるいはどうしてそれが起こったのかということを何回か取り上げてきました。また、いじめる側の論理も取り上げてきました。去年は1年間通して「いじめストップキャンペーン」を実施し、参加した皆さんに「いじめをやめよう」と宣言していただき、いじめているのを見ているだけではなく、周りの人間が積極的に止めようというような運動もやりました。この問題で、能動的にNHKの中で実施した初めての取り組みでしたが、それで十分ということはありません。今もいじめや不登校やネットのいじめ等、形を変えていろんな形で起こっており、今後もニュースや番組で取り上げ、また次に我々に何ができるのかということも積極的にかかわっていきたいと思います。

(木田理事)
 もっとNHKの情報の発信の仕方をいろいろ考えたらどうかというご要望がありました。NHKのホームページには結構出しているつもりですが、ホームページというのは全国、国民の皆さん全員が使えるということでもありません。日曜日の午前中に、NHKの取り組みをご紹介する番組もありますが、これも長い時間ではありません。ご意見はごもっともだと思いますので、これから我々の考えていることが伝わるよう、どうすればいいかという方法について、また現場で検討したいと思います。

(上村代行)
 事業計画について経営委員会としての考え方、それを発信すべきではないかというお話がありました。経営委員会というのは経営委員12名だけでやっている会議と、理事たち執行部側と合同でやっている会議があります。合同の会議のやりとりは、議事録が公表されており、我々がどういう問題意識で執行部とかかわっているのかということはわかりますし、経営委員のみの場合は、問題によりますが、概要が公表されることも多いです。全部見るわけにもいかないということもあろうかと思いますが、議事録が公表されているということは申し上げておきたいと思います。
 例えばセンターの建て替えというような問題については非常に重要視しており、つまり執行部側が「こういうことをしたい」「こういうことをやりたい」というときに、経営委員会が「大いにやるべきだ」ということを言うことは、執行に対して大きな背中を押すことにもなります。問題によっては、「それはもう少し慎重にやったほうがいいのではないか」ということもあると思います。
 これだけ公共性の高いNHK、放送法に基づく業務、銀行や金融という世界ですと行政の関与もあるのですが、放送法の主管官庁である総務省は、放送には介入しないという前提でやっております。そうしますと、我々経営委員会がそれにかわる機能、自律的な機能、つまり監視や監督という機能を発揮しなくてはなりません。しかし、監視や監督ばかりではなく、タッグを組み、問題を共有し、推進するための後押しをしていくという役割も非常に重要だと思っています。経営委員会のホームページには確かに必要な情報はあると思いますが、わかりやすい形になっているかというと、まだ工夫の余地があるのではないかと思います。
 例えば、私が監査委員のときに大阪の放送局に行きましたら、渋谷の放送センターの機能が停止したときに備え、何か起きたら大阪ですぐやれるという対応を毎日していました。こういう目に見えない努力というものを知って、それを皆さんにお伝えするというのも経営委員の役割の一つだと思っています。
 いじめとの関係のご意見ですが、これはかなり本質的な問題だと思います。事実の報道というのはもちろん大事です。事実といっても、これは多様な評価、多様な意見があり、多様な意見を平等に示すということは大事です。しかし、NHKはNHKなりの強い主張というのはできませんが、民主主義の発展など放送法に書いてある価値については、何かそこににじみ出る方向性といったものもあっていいのではないかというのは、非常に大事な視点だと思います。時代というのは右にも左にもぶれますので、どんな時代も真ん中を行っていればいいのかということもあろうかと思います。ご意見は非常に本質的な問題だと思います。
 ただし、最低限、事実は事実として「国がこう思っている」ということも伝え、「こういう反対意見もある」ということも伝える。そのために経営委員会としても重大な役割を果たしていかなくてはならないと思っています。

(中島委員)
 経営などにかかわる長期展望に関しましては、現在、3か年にわたる将来の計画を鋭意検討中で、経営委員と執行部が意見を交わす場も多々あります。  
 まだ検討のプロセス途上ということで、議事録などが今の段階では公開されていませんが、いずれ公表されるはずです。
 なお、執行部の長期計画についてはパブリックコメントを求めています。

(司会)
 予定の時間がまいりました。皆さまのご意見、ご要望、どうもありがとうございました。では、最後にこの会全体を通しての感想を各委員からお願いします。

(上村代行)
 本日は2時間という短い時間でしたが、さまざまなご意見をお寄せいただき、受信料の話、公共とは何かなど極めて大事な問題を視聴者の皆さまからいただいたと思っています。
 例えばネットを使って放送を見る方は受信料を払っておらず、ネットが広がると受信料がどうなるのかということが大変心配です。また、受信料で国際放送を実施していますが、受けている海外の方は受信料を払っておりません。国際放送を拡大した場合、受信料はどうなのかという問題があります。それを議論すると、今度は必ず「見ているか見ていないか」という話になり、「公共とは何か」という話になります。必然的に「NHKは公共と言うにふさわしいだけのことをしているのか」ということが常に問われるという関係になるかと思います。きょう、皆さまから極めて大事な問題全てにかかわるご指摘をいただいたと思っています。経営委員会の中で共有し、執行部に対して必要なことは申し上げていきたいと思っています。きょうは皆さま、本当にありがとうございました。

(中島委員)
 私は日々、中学生、高校生と全寮制で一緒に生活しながら教育にかかわっていますが、昔も今も変わりなく、NHKの存在というのは、青少年を心身ともに健全に導く上で非常に重要なものだと思っています。直接的ではないにせよ、大人が子供に接する時の接し方も、様々な番組から影響を受けることが少なくないとも思っています。
 そのためにも視聴者と信頼関係を築くことが非常に大切です。多々ご指摘いただきましたように、グローバル化し、さまざまな政治、生活、文化に対する価値観が多様化している現在の状況においては、多くの人の信頼を得ることは、昔よりも難しくなっていると思いますが、だからこそNHKに期待したい、NHKだからできることだと思っており、それを一委員として期待しているところです。
 きょうのさまざまなご意見は、非常に多くのことを含んでいると思いますので、ぜひ経営に反映させていただきたく思っています。

(司会)
 皆さま、きょうは大変貴重なご意見、ご要望どうもありがとうございました。

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in岐阜>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性
14 8

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 未回答
0 0 2 3 4 9 3 1

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送(テレビ) 放送(ラジオ) ホームページ 新聞 知人 その他
3 1 10 3 6 0

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
3 10 3 1 0 5

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営重要事項 経営など全般 放送について トークショー 特になし
3 10 6 5 2

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他
2 10 9 1

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 特に変わらない わからない その他 未回答
14 2 3 1 2

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営全般について

  • 権力を監視する立場を守り、権力から独立した公正、不偏不党な立場をとってほしい。そして、権力からの独立のため組織改革をしてほしい。
  • 会長への批判が多かった印象だが、会長発言の主旨はおおむね支持する。
  • さまざまな姿勢を公平・公正に放送する困難さを強く受けた。しかし、その中にあって、NHKには国民が満足を得る報道に努めてもらいたいと感じた。自主自律に徹し、どこからも影響を受けない体制を確立願いたい。
  • 会長についてはやはり不適格だと思う。
  • 公共料金は医療保険のようなもので、視聴しなくても払うべきである。協力ではなく税金のように徴収してもよいのではないか。
  • NHKの放送に携わる特に管理職への女性の登用率はどのようになっているのか。NHKの番組や方針などを大きく左右する場に女性の登用を広げていっていただきたい。

 

放送について

  • 最近、特定の問題について一般の社会人が目にしにくい時間帯のニュースでは報じるのに、19時以降のニュースでは報じない傾向を感じる。また、反原発などのデモは報じるのに朝日新聞に対する抗議や都知事に対する抗議デモなどについて報じないのは、バランスを欠いているのではないか。
  • この一年のニュースについて、すばらしい報道も多くあることは大前提として、必要のない「首相動静」「閣僚コメント」が増えている。プロパガンダと見まごうばかり。
  • 政策批判論者のコメントが減っている。“いろいろな意見”が反映されて、独立があってのジャーナリズム。
  • 「自主自律」を最も大切にしている、これがNHKに対する信頼になる。是非、どこからも誰からも圧力をうけず、全ての国民の為に偏らず、あらゆる多様な意見を生かす番組をつくってもらいたい。
  • 自主自律と言いながら、競争がないから保証されない。
  • これからも外部の決めつけに屈せず、独立した報道を目指してほしい。
  • 新聞各紙を賑わしている朝日新聞の報道を真剣に受け止め、今後の報道に注意してほしい。
  • BS番組の宣伝を地上波でもっとやってほしい。
  • ETVの障害者や性的マイノリティーの方のための番組は、民放では絶対ない番組と評価する。すべての国民の為の放送という意味がわかる。
  • 先日放送された「歴史秘話ヒストリア」で沖縄が日本に無理やり合併させられたかのような放送がされたが、そもそも沖縄の人は日本からの渡来人であり、日本人となるのが普通の事だと思う。NHKは沖縄で内乱が起こるよう誘導しているのか。
  • ギャンブル依存症としてのみパチンコを報道するのではなく、パチンコの「存在の是非」を問うて欲しい。また、パチンコをギャンブルと認めない警察や公安委員長を追及して欲しい。東日本大震災後、パチンコ依存症になる人が増えていると聞く。友人・知人・家族を亡くし、絶望している時に復興給付金が入る。その流れの中でギャンブル依存症になるのは非常に痛ましい事である。
  • ラジオ、テレビを通して視聴覚教育の更なる普及をお願いしたい。

 

運営、その他について

  • 若い世代の人からの意見も聞いてみたかった。
  • 経営委員から直接現況を知ることができ、今後のNHKに期待していきたい。
  • 回答が一般論に終始していて、質問した意味が薄れる。
  • 自己主張が強い人がおり、聞いていて不快であったが、経営委員の方が冷静に的確に応答されていて感心した。
  • 自分勝手な思い込み発言があり残念だった。
  • 活発な意見もありNHKへの要望も多数あったので、今後の改革へつなげてほしい。
  • NHKの努力がうかがえ、信頼が増す思いがした。参加できて良かった。
  • NHKの仕事は、本当に大変だと思った。公共を大切にこれからもがんばって。応援している。
  • 実際に意見が聞けて良かったと思う。いろいろ問題があるかと思うが、 HPなどに頼るだけでなく、広く国民が理解できるように広報してほしい。
  • ここ10年のNHK経営委員会やBPOは、NHK職員・民放社員にとって過保護な母親のように見える。もう少し、NHK職員・民放社員は厳しい意見にさらされて強くなるべきでは。甘えを感じる。
  • 籾井会長の言いたいことも分かるような気がする。感想や意見として出す場合ならよくてもNHKトップとしての配慮などの話を興味深く聞いた。
  • アナウンサーの方の声を聞くのが、こんなに心地よいとは思わなかった。