平成26年度 第3回 視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in室蘭 (平成26年7月12日開催) |
<会 合 の 概 要>
「経営委員会による受信者意見聴取」の平成26年度第3回は、室蘭放送局で実施し「経営全般」「放送」の2つのテーマについて公募による26名の視聴者から意見を聴取した。
<会 合 の 名 称>
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in室蘭
<会 合 日 時>
平成26年7月12日(土) 午後2時〜午後4時
<出 席 者>
〔視聴者〕 |
公募による視聴者26名 |
〔経営委員〕 |
浜 田 健一郎 (委員長) |
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美 馬 のゆり (委員) |
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渡 |
〔執 行 部〕 |
塚 田 祐 之 (専務理事) |
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福 井 敬 (理事) |
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中 川 寛 (室蘭放送局長) |
〔司 会〕 |
高 橋 美 鈴 シニア・アナウンサー |
< 会 場 >
NHK室蘭放送局 1階 スペース2
< 開 催 項 目 >
以下のとおり進行した。
1 開会あいさつ
2 経営委員による説明
協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について
3 意見の聴取
(1) NHKの経営全般について
(2) NHKの放送について
4 閉会あいさつ
視聴者のみなさまと語る会」終了後、「『マッサン』制作の舞台裏」と題して、大阪放送局の櫻井賢チーフ・プロデューサーによるトークショーを開催した。
<概要・反響・評価>
- 公募の結果、はがき、ホームページなどを通じて45名から参加の申込みがあった。
- 語る会には、申込みがあった45名のうち26名が参加し、「経営全般」と「放送」の2つのテーマについて意見や提言を募った。
- 参加者からは、「会長や経営委員の発言」「受信料の公平負担」「放送の公平・公正、不偏不党」「災害報道」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。
- 語る会終了後に行ったアンケートには、25名から回答があった。主なアンケートの結果は次の通り
<参加者の満足度>
「大変満足」2名(8.0%)、「満足」10名(40.0%)、「普通」5名(20.0%)、「不満」3名(12.0%)、「大変不満」1名(4.0%)
※未記入4名(16.0%)あり。
<経営委員会の仕事について>
「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「経営委員会の活動について理解が深まった」との回答が11名からあった。
◆協会の基本方針・重要事項の説明
(美馬委員)
NHK経営委員会の美馬でございます。よろしくお願いいたします。
私は、ずっと東京で生まれて育ち、今勤めている公立はこだて未来大学が2000年に開学しましたので、それにあわせて家族で北海道に移住してまいりました。とてもいいところですね。私はとても気に入って、日々暮らしています。今回、室蘭に来させていただいて、気候も地形もよく似ているなと思いました。測量山は函館山のようですし、地球岬は立待岬のようですし、さわやかなこの気候、とても大好きです。
それでは、私たち経営委員会の役割について、ご説明をさせていただきたいと思います。
経営委員会という我々の役割ですが、放送法に明文化されています。私もこの委員になるまであまり知らなかったのですが、NHKの経営の方針、基本方針などを決めたり、会長やNHKの執行部の役員の業務を監督する、NHKの経営に対して重い責任を負っています。
このような役割を持つ経営委員会というのは、衆議院、参議院の同意を得て、内閣総理大臣より任命されています。その委員の選任に当たっては、きょうも弁護士の方とか会社の経営の方とかいらっしゃいますように、教育や文化、科学、産業、その他いろいろな各分野の専門性、あるいは全国各地が公平に代表されるということを考慮しなければならないとして放送法で定められています。私は北海道からの委員ということになっております。
経営委員の任期は3年で、再任されることもあります。委員の定員も定められていて、12名になっています。
また、経営委員の中から監査委員が任命されることになっています。経営委員を含めた役員の職務の執行を監査する役目を担っているんですね。現在その監査委員は、常勤委員でもある上田委員のほか、室伏委員、渡委員の3名が務めています。
そして、私たち経営委員は、その重責を果たすために、視聴者の皆さまからご意見を直接伺うことも放送法で定められています。きょうは、そういった機会として、皆さまからNHKに対する忌憚のないご意見をお聞かせいただきたいと思っております。
その前に、「この会合においては経営委員が協会の基本方針や重要事項を説明すること」ということも法律で定められておりますので、少しお時間をいただいて、平成24年度から26年度3カ年のNHK経営計画と平成26年度の収支予算と事業計画について簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
まず、平成24年度から26年度NHK経営計画についてです。お配りした資料の中に、「豊かで安心、確かな未来へ」という経営計画の冊子がお手元に届いているかと思います。あわせてごらんいただきながらお聞きいただければと思います。
まず経営は3カ年の基本方針というのがございまして、その下に4つの重点目標で構成しています。基本姿勢として、公共放送の原点に立ち返り、その役割を達成することを目指すことを強く意識しています。
重点項目の1つ目は「公共」です。東日本大震災でのさまざまな体験や教訓を生かし、いかなるときにも皆さまの安全・安心を守るための情報をいち早く正確に提供するために、放送機能を強化しています。
2つ目は「信頼」です。これは世界に通用する質の高い番組、そして日本、地域の発展につながる放送やサービスの充実に取り組もうというものです。
3つ目が「創造・未来」です。進展する放送と通信の融合時代にふさわしい新しいサービスを充実させていきます。
4つ目は「改革・活力」で、効率的な経営を行い、公共放送の価値を高めるとともに、受信料制度をご理解いただいて、受信料の公平負担に向けて努力をしていくということです。また、視聴者の皆さまへ受信料を還元するために、NHKにとっては事実上初めてとなる受信料の値下げをお約束し、平成24年10月から実施してきています。
続いて、平成26年度収支予算・事業計画についてご説明します。平成26年度は、先ほどご説明した3カ年計画の最終年度に当たります。掲げた4つの重点目標の達成に向けた取り組みを推進していくものです。
事業収入は、受信料の増収などにより、平成25年度に対して150億円の増収となる6,629億円としています。事業支出は、国内放送・国際放送の充実や大規模災害に備えた公共放送の機能強化を図るとともに、スーパーハイビジョンなど次世代サービスの開発・推進に予算を重点的に配分しました。それで、平成25年度に対して60億円の増加となる6,539億円としています。これにより、事業収支差金は90億円となり、このうち80億円を老朽化が進んでいる渋谷の放送センターの建て替えなどに備えて建設積立資産に繰り入れています。残る10億円を財政安定のための繰越金に繰り入れます。
次は、3カ年経営計画との比較です。3カ年の合計では、経営計画に対して事業収入の増加などにより413億円の収支改善を見込んでいます。この413億円のうち、47億円を25年度の経営計画で想定した赤字の解消に充てて、残る366億円の全額を建設積立資産に繰り入れます。この建設積立資産というのは、渋谷の放送センターの建て替えなどに備えて、これまでに確保した事業収支差金の中から積み立ててきた資金です。26年度末の残高は950億円となる見込みです。
渋谷の放送センターは、昭和40年に第1期の工事が完成して、その完成から半世紀近くたっています。老朽化と狭隘化が進み、すごく狭くなってしまっています。いかなる災害が起きても放送の中枢機能を維持し、皆さまにニュースや番組をお伝えしていくということでは建て替えが必要です。建て替えには多額の資産を要しますので、建設積立資金というのを積み立てているというわけです。
なお、いつ頃新しいものがということですが、新しい放送センターにつきましては、放送開始100周年を迎える平成37年度に運用開始を想定し、準備に入っています。
次は、受信料収入についてです。平成26年度の受信料収入は、受信契約件数の増加などによって、6,428億円を見込んでいます。また、受信料の公平負担を徹底し、支払い率は75%、収納率は97%の達成を目指しています。平成26年度の受信契約件数については、契約総数では49万件増加しています。未収数は13万件の削減、衛星契約は68万件の増加を目指しています。
今度は、平成26年度の重点事項の具体的な内容です。「1.公共」では、公共放送の機能強化と東日本大震災からの復興支援です。想定される首都直下地震や南海トラフによる巨大地震など、いかなる災害時においても放送を止めることがないよう、放送設備や体制を強化していきます。
渋谷の放送センターの機能が停止した場合には、大阪放送局から放送衛星を使って全国ニュースを送信できるようにバックアップ機能を整備し、さらに大阪放送局からも送出できない場合は、福岡放送局から送出できるよう、設備整備を進めてきました。平成26年度中にはこれらの整備を完了させて、運用を開始していく予定です。
「2.信頼」については、世界に通用する質の高い番組と地域放送サービスの充実について示しています。国内放送では、各チャンネルの特性を生かして、多様で質の高い番組を放送するとともに、平成26年度は、現在放送されているワールドカップサッカーや放送開始90周年に関連した番組を実施していく予定です。地域放送では、より地域に密着した情報を提供するほか、ドラマなど地域を舞台にした番組を充実させていく予定です。
国際発信力の強化も重要です。日本やアジアの情報を海外に的確に伝えるため、NHKはテレビ国際放送として、外国人向けに英語による「NHKワールドTV」と邦人向けに日本語による「NHKワールド・プレミアム」が、それからラジオでは、日本語と17の言語で「NHKワールドラジオ日本」を放送しています。インターネットによる配信も実施しています。また、平成26年度は、「NHKワールドTV」の1日の基本編成の単位を4時間から6時間に拡大して、番組のラインアップの充実化を図りました。
「3.創造・未来」では、放送と通信が連携する時代にふさわしいサービスについて示しています。現行のハイビジョンの16倍の超高精細映像である8Kと言われるスーパーハイビジョンについては、2016年の試験放送開始、2020年の東京オリンピック開催の年の本放送開始に向けて研究開発を進めてきているところです。
インターネットを活用したハイブリッドキャストについては、昨年から総合テレビでサービスを開始しています。平成26年度は、教育テレビやBS1、BSプレミアムにも拡大していく予定です。ご利用なさっている方もいらっしゃると思いますけれども、番組を有料配信するNHKオンデマンドでは、さらにコンテンツを充実し、利便性を高め、利用者の拡大を図っていこうとしています。
「4.改革・活力」として、NHKは3カ年計画の達成に向けて、世論調査を実施して経営計画の進捗状況を把握・検証して、事業運営に役立てていきます。業務別予算は、円グラフで事業支出を分野別に区分してお示ししております。事業支出の75.8%を国内放送番組の制作と送出に充てています。建設費については、公共放送の機能強化に向けた設備投資を重点的に行うほか、スーパーハイビジョンの設備整備を含めて、全体で750億円としています。
以上が、平成26年度収支予算、事業計画のご説明でございます。
ただいまご説明させていただいた経営計画、26年度の事業計画を着実に実行するためにも、今回視聴者の皆さまからいただくご意見、ご要望というのはとても大事で貴重だと考えています。きょうは、室蘭放送局にお集まりいただいた皆さんから直接ご意見を頂戴すること、ご要望いただくことというのは、ここにいる経営委員だけではなくて、残りの経営委員はもちろん、執行部とも共有して今後のNHKの経営に反映させていただきたいと考えています。きょうはよろしくお願いいたします。
《視聴者のみなさまからのご意見とNHK側からの回答》
第1のテーマ:NHKの経営全般について
【会場参加者】
受信料について営業を委託された会社が結構乱暴なことをやって、ドアをどんどん叩いたりとかやっていることが、ユーチューブで上げられている。控えも渡さないという話もある。
【会場参加者】
毎週新聞で発表される視聴率を見ると、テレビランキング20の中で、6月23日から29日は2位に「花子とアン」、それから、6月30日から7月6日の1週間は1位に「花子とアン」、サッカーワールドカップ。いかにNHKが人気ないかということが顕著にあらわれている。にもかかわらず、受信料は高い。
私は、過去5年ぐらいは、NHKを見る機会が90%ぐらいだったが、最近は50%まで激減している。その理由は番組の低俗化だと言っても過言ではない。
【会場参加者】
NHKのストロングポイントをもっとアピールして視聴者および未納の方にNHKに加入すればメリットがあるということを、積極的にアピールするべき。
視聴率を気にするのは、本末転倒。NHKは、公共放送、メンバーシップの放送機関であるということを十分理解し、国民の意見をくみ取って放送していただきたい。
【会場参加者】
受信料については、放送法で決められている。でも、放送法には、NHKは公平・公正な放送をしなければならないとある。ところが、籾井発言、百田発言は全く公平・公正だと思えない。ニュースを見ていても公平・公正とは思えず、放送法に反しているので、私も放送法に反して受信料を払わないということを周りの者に言っている。
(福井理事)
最初の質問についてですが、受信料の公平負担ということで、営業改革を今進めていまして、外部法人への委託を平成20年以降順次拡大していっています。
それまでNHKは地域スタッフに委託をして、受信料の契約と収納業務をやってきましたが、どうしても非効率という部分がありまして、NHKの場合は経費負担も低減させるということがございますので、新たに法人委託を導入しました。訪問活動においてクレームがあるというのもこれは事実です。
どうしても地域スタッフと法人委託が競合関係で、業績を確保する関係で夜の9時を過ぎて訪問したり、それから勧誘が若干強引だということもありますが、我々としましては、順次いろいろな報告が上がってきますので、個別に改善要望を出しております。最近は相当クレームの数も減少してきていますが、今後も営業改革を推進し、さらに法人委託については拡大していこうということでやっています。あくまでもこれは受信料の公平負担の徹底ということで取り組んでおります。
営業活動は全国で行っており、訪問しても視聴者の方になかなか会えません。多分1日5〜6回訪問してようやく会えるということです。直接、視聴者とお会いし、説明をして、契約をいただくということで活動しておりますので、訪問活動における適正な対応の指導について、今後さらに徹底してまいりたいと思っています。
(美馬委員)
視聴率の測り方ってなかなか難しいですよね。私もそうですけれども、録画をしておいて後で見ることのほうが多くあります。昔ながらにずっと放送と同時に見ている方というのは、だんだん少なくなっているのではないかと思います。
一方で、視聴率なんか気にしないで、公共放送としての役目をというのはとてもありがたいお言葉だと受け止めています。特に、NHKの大きな放送の枠組みとしては、報道、それから教育、スポーツ、娯楽番組といろいろあります。先ほどの4つの使命の中の重点項目の一つでもありましたように、公共というところでは、東日本大震災のとき、けさも地震がありましたけれども、地震があるとテレビをすぐつけて見るのはNHKですよね。そういうとき、皆さんに信頼いただけているというのは、NHKがこれまで皆さまと一緒につくってきた番組が信頼されているというふうに思います。
そこにあぐらをかくということはせず、よりよいものをいろいろな視点から取り上げて、全国のもの、それから世界で起こっていること、それから地域で起こっていることを皆さまに知っていただくために、公共の福祉に資する番組づくりを行っておりますし、これからも続けていきたいと思っています。
(浜田委員長)
就任会見での籾井会長の発言は、公共放送のトップとしての立場を軽んじた発言であったと言わざるを得ないと思っております。その後、国会や視聴者の皆さまから多数の厳しいご意見を頂戴いたしました。また、NHKの今年度の予算が、国会において今までは全会一致で大体ご承認をいただいていたわけですが、ことしは残念ながら全会一致のご承認をいただくことはできませんでした。これはやはり会長の一連の発言の影響だというふうに経営委員会も認識をしております。
会長に対しては、経営委員会として、二度にわたって注意をいたしました。会長も反省をされ、業務執行に当たっては放送法を遵守すると明言をされております。また、4月には「とっておきサンデー」に出演されて、おわびと今後の決意を述べております。併せて、自身の発言に対する説明は今後も続けていきたいと記者会見で表明をしております。
私ども経営委員会としては、こういった地道な努力を会長以下執行部に続けていただくと同時に、NHKが公共放送の使命を果たしていけるよう、経営委員会としても監視・監督の役割を果たしていきたいと思っております。
(渡委員)
私は東北で生まれ、東北で育ち、就職で東京に出てまいりました。東日本大震災のときは、まだ経営委員になっていませんでしたが、生まれは福島で、親戚も福島にたくさんおり、宮城にもおります。ご存じのとおり大変な津波の被害だったところです。
当日は、東京から電話をしたのですが電話も通じない。そのときに真っ先に何をしたかというと、NHKをつけました。それを見て、また電話をかけ、通じず、NHKを見て、また電話をかけるという状況でした。
これは何か経営委員の立場として申し上げるのか、一視聴者として申し上げるのか、区別がつきにくいのですが、やはり、そういうときに、24時間、しかも間に間断なく、継続して現地の状況を見ることができる、アクセスできるということが、私にとって非常に大事なことでした。
家族が無事だと確認できたのは1週間以上後だったのですが、その間、放送がなかったら、もっとパニックになっていたかなと思いますし、そういう意味では、理屈、学問的検証、法の解釈といったことはひとまずおいて、NHKがいつでも確実にアクセスできるというインフラの役割を果たしているということに大きな意味があると思っています。
そして、受信料については、皆が公平に負担して、このインフラを守ってほしいと思っています。受信料の公平負担については、「語る会」をはじめとしていろいろな場で皆さまのご不満をいろいろ伺っています。そういった場を通じて、受信料については公平に負担して、このインフラをなくさないようにしてほしいというのを強く思うようになり、この機会に申し上げさせていただきます。
【会場参加者】
不偏不党のことについては、経営委員長の話で少しわかった。でも、雰囲気としてはやはり問題があるのではないかと思う。写真週刊誌にも載ったが、週刊誌とかほかのマスコミに取り上げられないように最大の努力をしてほしい。
朝のラジオ番組で、原子力発電所関係の発言内容についてクレームがつき、違う発言をせざるを得なくなったということが雑誌に書かれていた。そういう雰囲気の中で番組がつくられているのではないか。平成20年のEテレの問題で、放送法改定になったはずだがそれがいまだに残っているのではでないかと懸念している。
【会場参加者】
2000年に政治家から番組に対する圧力があった。それは慰安婦問題の犯罪性を取り上げた「裁かれる戦時性暴力」では、当時の若い政治家が番組に圧力をかけてきた。ディレクターが内部告発をして、それで裁判になった。最終的に、最高裁ではそういった事実はなかったということで終わっている。そういった圧力に屈することなく、毅然として頑張っていただきたい。
【会場参加者】
地元の国立大学の教員をやっている。うちの学生が、受信料の取り立てが来て、「払っていないと国民の義務を果たしていない」というような、恫喝に近いようなことを言われて非常に怖かったと言っている。もう一つ、留学生が、テレビは持っているけどNHKを見ていないのに「みんな払え」と言われた。これは僕のほうで「払わんでよしと、見ていないのだからと言え」と言っている。
【会場参加者】
学生の受信料について。娘が東京にいるので、受信料2件分払っているが、1件分も払っていない方もいるのに2件分というのは割り切れない思いがある。子供を大学に行かせるというのは大変な負担だ。学生さんから取るのはちょっといかがかという思いがある。
【会場参加者】
受信料は、社会生活の参加料だと思っている。視聴率に影響なく、皆さんが、国民全体が欲しい情報をいただいていると思っている。
障害者社会参加支援のボランティアをやっているが、とても大事な情報を伝えてくれている。毎週日曜日の「聞いて聞かせて」など、わずか30分でもとてもこれは重要な情報で、視覚障害者に内容を伝えていることで、とても喜びを感じている。
(塚田専務理事)
学生さんが東京にいらっしゃっていて、家計が大変だというのはよくわかります。NHKでは、受信料の家族割引という仕組みを取り入れていて、同一生計で、例えば学生さんが別の場所で生活されているとか、単身赴任の方の場合、2契約目からは半額という制度を取り入れています。そういった割引もぜひご利用いただいて、受信料のお支払をお願いしたいと思います。
それから、留学生がNHKを見ないので受信料を払わなくてよいというお話がありましたが、NHKの受信料は、公共放送を支えていただく特殊な負担金という位置づけで、NHKの放送は視聴者の皆さんに支えていただいています。受信機をお持ちでしたら、契約をお願いしてお支払いいただくことになります。
【会場参加者】
日本語がわからない留学生についても、合意が済んでいると考えるか。
(塚田専務理事)
言葉のこともあると思いますので、必ずしもそこは、十分だと思ってはおりませんので、受信料についての説明を丁寧に行ってご理解いただくよう、これからも考えてまいります。
また、写真週刊誌のお話がありました。その中で官邸からの抗議があったという記事になっていますが、そういった事実はありません。
「ETV2001」については、最高裁判決があり、NHKが逆転勝訴という判決で確定しています。NHKとしましては、編集判断に基づいて、公平・公正な放送を進めていくということで取り組んでいます。
私、30年ほど報道番組のディレクターとして編集責任者もやってまいりました。やはり、一つ一つの番組を出すときには、多様な意見を取り上げながら、それをどういう形で伝えるかということに現場は苦労しながら、公平・公正な放送に努めています。ぜひそういった面で見ていただければと思っています。
(美馬委員)
放送の公平、不偏不党ということについては、半期に一度アンケート調査を実施して、NHKの番組にどういった放送を望むかという項目と、それを満たしているかどうかというのをずっと伺っていますよね。その結果についてお願いします。
(塚田専務理事)
経営計画に基づいて、NHKに対して視聴者の方々がどのように受け止めているのかということを、年に2回、世論調査の方式で14の指標を定めて期待度、実現度をお聞きしています。
その中で、公平・公正について、NHKに期待しているという方が、直近のことしの1月の調査でも82.4%、そしてNHKは、公平・公正を実現しているという方が80.0%という結果で、NHKについて8割の方々が公平・公正という受け止め方をしていただいています。このような世論調査も確認しながら放送を続けてきています。
【会場参加者】
東京都知事選において、百田委員の物議を醸す発言があった。それ以降も軍隊を持たない南太平洋の島国について、「くそ貧乏長屋で泥棒なんて入らない」とか「日教組は本当にがんだ」などと言っている。それは個人的な発言では済まされないのではないか。知性、理性、それから節度という点でどうなのか。
(浜田委員長)
経営委員が経営委員としての職務以外の場において、みずからの思想信条に基づいて行動すること自体は、妨げられるものではないと基本的には認識をしております。
しかし、そういう場であっても、どうしても経営委員という肩書は消えないわけで、そういう目で世間の方が見られるということも経営委員は自覚する必要があるだろうと思っております。いろいろな方々からご指摘を受けておりますので、経営委員会でも何度か議論をしました。服務準則というのがありますが、それを守る、それから、その行動においては一定の節度を持って行動していくということを経営委員会では申し合わせをしております。
基本的に、経営委員の行動は、その本人が自律的な判断でなされる行動だというふうには思っておりますが、皆さまからそういうご指摘を受けているのも事実でございますので、経営委員会では先ほど申し上げたようなことを議論し、申し合わせをし、確認をしたということでございます。
【会場参加者】
電気、水道、携帯電話のように支払わなかったらちゃんと止める、B−CASカードで放送を止めてしまえばいい。これが最終の改革だと思う。
(塚田専務理事)
B−CASカードで放送を止めるというご意見ですが、これはいわゆるスクランブルをかけて、見たくない人は見られないようにするということですよね。これについては、一見合理的のようにお考えかもしれませんが、やはり公共放送の役割として、例えば津波の情報や緊急災害時などに国民の安全・安心を守ることが一義的にありますし、それからNHKには、多様な番組を全国どこでも分け隔てなくお届けするという義務があります。
そのため、スクランブルをかけて見られなくするというのは、公共放送のあり方としてはとれないというのが、私たちの考え方です。
【会場参加者】
番組モニターについて。何年か前、はがきで番組モニターを応募していたが、その後、パソコンでないと受け付けていない。私はパソコン持っていないから参加することができない。同じ受信料を支払っているにもかかわらず、のけ者にするということは、NHKとしてあるまじき行為でないかと、心から憤慨している。
(塚田専務理事)
番組モニター制度は、あらかじめお願いした視聴者の方々に、NHKの番組を見ていただいて、意見を寄せていただき、それを番組の制作に反映するというものです。現在、全国で地上、衛星含めて1,000人の方にお願いしています。今のご意見のように、かつては郵便でお願いしていました。近年はインターネットに切り替えさせていただいています。
それはなぜかといいますと、やはりモニターでいただいた声を迅速に番組に反映させたいということです。インターネットですと番組を見た意見を短時間で寄せていただき、それによって番組に早く反映できるということが一つあります。
また、番組の編成がその都度変わることがあります。直近になって、放送予定だった番組がその時々のテーマによって変わることもあり、それをお知らせして見ていただくには、インターネットのほうが迅速にできるということもあって、モニターについてはそうさせていただいています。
NHKでご意見をいただくのは番組モニターだけではなく、例えばふれあいセンターにお電話やお手紙などでご意見をいただく等々も年間400万件近くあります。今回のような「語る会」でのご意見も含めて、さまざまな形でご意見をお聞きして放送に反映させていただいています。ですので、モニター制度についてはそういう形での運営をさせていただいています。
【会場参加者】
同じお金を払っていながら、「あんたは違う」ということはNHKとして許されないのではないか。本当に「みなさまのNHK」だというなら、人の手間がかかったり、多少時間がかかっても、一人でもそういう不公平感を抱かないようにさせるのがNHKの務めだと思う。
(塚田専務理事)
インターネットを利用されていない方にはそういうご意見があろうかと思います。申し訳ないのですが、番組に反映をするという形をできるだけ短時間で進めたいということもあって、今、モニター制度はこういう形で運用させていただいています。
そのほかにも、先ほど申し上げましたように、ふれあいセンターでご意見を伺ったり、お手紙でいただいたり、あるいは番組にご意見を寄せていただくということは、今までどおりやっております。こちらは書面でもいろいろな形でできますので、ぜひNHKに対して幅広い形でご意見をいただけないかというのが我々のお願いです。
【会場参加者】
放送法27条に「適切かつ迅速に」とある。しかしこれは適切な方法ではなく、放送法27条違反だと思う。
(塚田専務理事)
NHKでは、こういう「語る会」も含めて、さまざまな形で視聴者のご意見を伺わせていただいています。
【会場参加者】
テレビを見たからすぐ東京へはがきを出したにもかかわらず、それは放送されていませんというはがきが返ってきた。こちらの気持ちをちゃんと受け止めてくれていないのではないか。
今の答えもどうして「ひとつ検討してみます」とならないのか。私はモニターを10年以上前に1回応募した。そのときは、「ファックスがないとだめだ」ということだった。去年も応募したが「パソコンがないとだめだ」と。それではだめだと思い、それを言うために来ました。検討してみてください。
郵送でも、速達で出せば2日もあれば届くのではないか。本当に放送のことを考えているからモニターに応募したい。そういう気持ちをくみ取ってくれるべきではないか。NHKを思うからこそ、私はモニターになりたい。そして、よくしたい。でも、正直NHKも最近見ない。見るのはニュースとあとドキュメンタリーぐらい。その反面、ラジオを聞くようにはなった。
(塚田専務理事)
ご意見ありがとうございました。現在、先ほどご説明させていただいた方法でモニター制度を運用させていただいていますが、今回ご意見が出されたことは受け止めて、今後も検討させていただきたいと思います。
第2のテーマ:放送について
(司会)
そろそろ時間も後半になっていきますので、NHKの放送について、地域の放送も含めてご意見をいただければと思います。
【会場参加者】
最近どうも民放に近いようなコマーシャル、番組のPRがやたら多い。民放とは違う立場で、きちんとしたNHKらしい放送をこれからも努めていただきたい。
【会場参加者】
けさ地震があり、4時半頃からずっとラジオを聞いていたが、5時頃からニュースが入るはずが、きょうは津波ばかり言っている。関係のないといったら変だが、どうにかならないのか。
例えば、室蘭というより北海道の場合、本州の何かの放送を小さくしたりして、ローカルに切り替えるような方法を取ることはできないのか。
(塚田専務理事)
NHKの番組が最近民放に近くなっているとか、コマーシャルが多いというご意見をよく聞きます。我々は公共放送として、きちっとした放送をお届けするのが基本だと考えています。
先ほどNHKには年間400万件近いご意見やお問い合わせがあると申し上げました。その多くが放送時間についてのお問い合わせです。多くの方に見ていただくためにも番組の周知が必要だと考えています。ただ、周知の方法については、いろいろなやり方があると思いますので、引き続き検討していきたいと考えています。
それから、安全・安心の情報、緊急報道の話です。きょうも津波注意報が出ました。もしもということもありますので、注意喚起をし続けるということで、注意報が解除されるころまで、津波の情報を中心にお伝えしました。
では、全国でいつも同じ放送をするのかということなんですが、例えば台風ですと、先週の台風8号は沖縄方面から北上しました。全国の放送は節目節目の1時間ごとにお伝えしながら、沖縄や九州は、台風の情報を中心に伝えるなど、それは今でもやっておりますので、そういった地域放送との組み合わせの仕方を考えながらの報道が大事だと考えています。
ただ、やはり安全・安心にかかわっている部分については、私もニュースの編集責任者もやっていましたが、安全サイドで考えざるを得ないということです。けさは20センチ程度の海面上昇でしたが、これが大きかったときどうなるのか。2011年3月の東日本大震災のこともありますので、そういったことを考えながらどういう放送を皆さんにお伝えすべきか、これからもいろいろ研究していきたいと考えています。
【会場参加者】
おととい、全国に向けて台風情報をやっていた。北海道の人間のほとんどは「台風がこんな状況なんだな」というのがわかればよく、延々と台風情報を流されたら、もうNHK以外の番組を見ざるを得なくなる。また、東京まで台風が来たらそれ以降、全国放送ではなくなってしまう。全国放送で「ニュースウオッチ9」や「ニュース7」で台風に関して放送していた時間が、東京を過ぎたら10分、15分で終わる。北海道の人間はどうすればいいのか、台風がどういう状況なのか知りたいのに、となる。
北海道にいる人間からすると、北海道に近づいてももっと詳しく情報を知りたい。また、西のほうの親戚がどういう状況か知りたい場合もあるのではないか。その辺の判断の基準を伺いたい。
【会場参加者】
ボランティアで障害者支援をしているが、視覚障害者の方からの言葉を伝えたい。緊急放送のアナウンス、音について、その緊急放送が何を示しているのか、地震情報なのか、強風なのか、大雪なのか、道路が閉鎖したのか、電車が止まったのか、音が鳴った後、視覚障害者の方が非常に不安だという気持ちがある。何かうまい方法があればと思う。
(中川局長)
北海道の情報ということでありますので、私からお答えさせていただきます。
日頃からNHKのテレビ、それからラジオをご利用いただきまして、本当に感謝申し上げたいと思います。まず、本日の津波注意報につきまして、先ほど塚田専務理事からありましたとおり、やはり人命に関すること、これはNHKがやらなければならない一番の仕事だと思っております。ですので、やはり津波注意報、これは1メートルということであります。
皆さんも多分3月11日の記憶はまだ残っておられると思いますが、やはりこれは一人の方でもそれを聞き逃した、見逃したということで命を落とされることのないように、特に東北でありますので、北海道に非常にやはり影響ある場所で今回も地震が起きました。これにつきましては、最大限人命尊重ということで、注意報については続けさせていただいたということで、ご了解いただければと思います。
それから台風情報、これにつきまして、東京を過ぎたら「もう行ってしまった」と、「北海道に行ってしまった」というふうに言っているじゃないかと、よくご意見伺います。実は、私、沖縄にも勤務しておりまして、台風の怖さについては痛いほど知っております。風速50メートルというのはなかなか経験がないのですが、本当に家が簡単に吹き飛んでしまうぐらいの威力を持っています。
今回も台風は確かに北海道までかなりの距離がありました。ところが、室蘭地区は天気がそれほど崩れずに済みましたが、実は道東、一番雨が多く降ったのは日高です。胆振日高の、室蘭が担当している地域、えりも町で北海道の中で一番雨が降りました。それから、釧路、根室、これはきのうまで本当に多くの雨が降って、牧場が水浸しになるとか、多くの被害が出ています。
北海道に関する情報については、できるだけローカルで、今、テレビをご覧いただけるとわかるのですが、外枠にいろいろな情報が出るようになっております。それについても、番組を潰すことのないように、なおかつ、そういう災害情報をしっかり見ていただけるような工夫もやっておりますので、ぜひそちらのほうを見ていただければと思います。
それから、視覚障害の方につきましては、きょうも緊急地震速報が出ました。音が非常にやはり刺激的だということもご意見をいただいています。私たちもあれを聞くとどきっとします。何回も聞いて、それですぐ対応しなきゃいけないということもありまして、きょうも4時22分に出されました。その後に必ず緊急地震速報ですということで、必ず音声でも出てまいります。そのほかの、例えば電車が止まりましたというのは、文字だけの情報で出たりしますので、もし視覚障害の方がおられましたら、ラジオでも必ず同時にそういう情報は流れるようにしておりますので、ぜひそちらのほうもご利用いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【会場参加者】
ローカル番組について。全国番組の放送により飛ばされることがあるが、防災時もローカル番組をサブチャンネルで放送することはできないか。技術開発をしているという中、費用など大変かもしれないが、検討をお願いできないかなと思う。
【会場参加者】
台風の報道にかかわるスタッフの人は何人いてどのような苦労をしているのか。自分たちの危険についてどのように見ているのか。人の命だから、かなり気を使っているのだろうが、その苦労も報じてもいいのではないかと思う。
(塚田専務理事)
1点目でサブチャンネルが使えないかということですが、確かにデジタル化により、1つのチャンネルで2つの番組を同時に放送するマルチ編成が可能になりました。
ただし、実はこれは予定された番組でないと、なかなかマルチチャンネルの見方も含めて、利用がまだ難しい部分があります。
特に緊急報道、緊急ニュース、あるいは緊急記者会見も含めて、全国で見ていただく必要があると判断したものについては、全国同時で放送し、それが一段落したところで地域放送へという形での考え方をしています。
それから、台風の報道で、スタッフがその危険の中でどうやっているのかというお話がありました。かつては、アナウンサーや記者が顔出しして、風雨の中でこう大変ですという中継が多用された時期がありましたが、今はスタッフの安全のこともありますので、台風の最前線の映像をロボットカメラで伝えるということをしています。ロボットカメラは、この室蘭放送局の上にもありますが、各局で、海岸線や防災施設のところなどに、NHK全体で500台弱のロボットカメラを据え付けています。そういったカメラを使って状況を伝えています。その上で安全を意識した上で、やはりアナウンサーやリポーターが伝えたほうがいいという場面は、危険のないところで中継を行うなどで防災報道に取り組んでいます。
(美馬委員)
今後すぐに実現できるわけではないのですが、今努力して開発を進めていることとしては、4つの重点項目の3つ目の「創造・未来」という項目です。
私、情報通信が専門でございまして、唯一その専門の委員として入っています。今後、テレビの放送とインターネットのような通信が融合、あるいは連携していく社会というのを見据えて、どういったことができるのか、そのためにはどういう設備が必要なのか、どういう技術が必要かということで進めています。
例えば、今、放送技術研究所で進めている、自動的に音声を認識し、それを手話に変換するようなシステムを研究開発しているグループもございます。また、先ほど留学生の話が出ましたけれども、易しい日本語に変換するような、日本にせっかく来ていただいている、そこで勉強している、あるいはお仕事をなさっている方にも、広く日本のニュースや文化、芸術といったものを知っていただくようなサービスも考えています。
あとは「見逃してしまったけれど、あともうちょっと、5分早くつけていれば見たかった」なんていうこともあるでしょう。今の技術から何が可能かということを考えるだけではなく、私たちは、10年後、20年後、どういう生活スタイルをしているのか、そのときにどういった放送の仕組みが必要なのかという、まずは未来を想像して、理想的なところからそれに向けてどういった技術が必要だろうかということを考えることも必要だと思うのです。
もしかしたら20年後、一家団らんで、例えばお父さん、お母さん、子供2人がテレビに向かってみんなでテレビを見ているというのは、あまりないかもしれない。みんながそれぞれ仕事や通勤、通学のときに、携帯の中でテレビを見ているかもしれない。いろいろな見方とか、生活スタイルの変化が考えられると思います。そのときに、どういう技術が必要なのかということも含めて、研究開発を今進めているところです。
【会場参加者】
私はNHKの大ファンであり、子供のころは、「チロリン村とくるみの木」とか「ひょっこりひょうたん島」、「新日本紀行」やNHKのニュース、報道番組で日本のことや世界のことを知ってきたという、思いが非常に強くある。
それは今でも変わらないが、私はこのたび、40年間銀行振り込みで地道に払い続けてきた受信料の振り込みを停止した。籾井会長の発言以来、番組の偏向が目に余るものを感じるからである。
7月1日に集団的自衛権を認めるという閣議決定の案が通過したが、その日のニュースは、7時のニュースでそれを伝え、8時から9時まで演歌の歌謡ショー。9時からのニュースでは、最初にサッカーワールドカップの第1試合の審判が初めて日本人の審判になったというのから始まって、集団的自衛権の話題が出たのは9時25分ぐらい。ごくあっさり流してそれで終わりだった。本当にびっくりした。
その後3日に、公明党がそれに合意した。そのときもまた7時のニュースがあって、その後はいつもの定番ですけど、「クローズアップ現代」で失業者の話題があって、その後は「ためしてガッテン」で、ラッキョウの効用という番組を1時間やりました。その後の9時からのニュースは、ここでやるのかと思ったら、今度最初はパレスチナとイスラエルの間で子供の誘拐、それから殺害が起きているという報道があって、それでやっぱり9時25分ぐらいになって初めて集団的自衛権の話題になった。僕は、本当に驚き、同時に非常に落胆した。
籾井会長は反省していて、会長発言の影響はないということだが、なくてNHK独自の判断でこういう番組編成なのだとしたらさらに問題だ。本当に心の底からがっくりきている。それで、自動支払いも停止した。
サッカーの日本人初の審判のことなど、サッカーワールドカップはNHKの御用機関化、あるいは政府広報機関化に非常に役に立ってしまったと、それを利用してそういうふうになってしまったと感じている。
NHKの真面目なスタッフほど士気が非常に落ちているのではないか。真面目な意気盛んなジャーナリストを目指す人材が、NHKを敬遠して入ってこないというような事態が、目に見えるような感じがする。NHKを応援している者として、非常に危惧している。
【会場参加者】
本当にニュース報道の偏りを感じる。ニュースの中で賛否両論を並立して放送すればそれが公平・公正ということではなく、憲法に合っているのか、立憲主義、法治主義に合っているのかという観点から、それに外れているのであれば、政府なりを批判するということを明確にやっていただきたい。それでなければ、かつての大本営発表をうのみでそのまま流すことになる。
メディアというのは、権力のチェックをしなければならない。それで、民主主義が発達していくと思うが、どう考えているのか伺いたい。
再度聞くが、公正ではない、放送法に反した放送をしたものには、受信料を払う必要はないということを確認したい。
【会場参加者】
地域で起こったことをもうちょっと公平に報道してほしい。
私の住んでいる自治体は、町民2万人の人口に対して多額の税金を投入し、結局うまくいっていない。それについて、客観的分析も行われていない。なぜこうなったのか、反省番組というわけではないが、客観的にいろいろ情報のノウハウを持っていらっしゃるNHKに番組をつくっていただきたい。
東京都議会で人権問題、女性の人権を蔑視するような発言が出て問題になったが、地元においても人権というものが軽んじられている場合がある。いじめとか、ハラスメントに対しても、住民が当たり前のようにやっていることも問題があるならば、やはり公共放送として、こういうことはやってはいけないとか、小学生に話すようなことになってしまうが、そういう番組もつくっていただければありがたい。
【会場参加者】
佐賀の「語る会」で、美馬委員が非常にいいことをいっている。ジャーナリズム、機能は2つあって、一つは権力を監視・監督することである。もう一つは、社会が今取り組むべき課題論点など、いろいろ見方を明らかにして社会の中で議論できるようにすることである。これはすばらしい。
そうなっていない現状である気がするが、ぜひこのスタンスで頑張っていただきたい。
【会場参加者】
集団的自衛権の問題で、NHK以外は全部世論調査をやっている。NHKだけやっていない。そのほかのメディアの結果は、おおむね半数以上が反対多数という結果となっている。NHKは安倍政権の肩を持って、あえて調査をしていないのではないか。
定時のニュースにおいて、アクセントが違うとか、字幕の誤字脱字があまりにも多い。最後に謝って済むものではない。一例を挙げると、「あさイチ」でベテランのキャスターが幼心(おさなごころ)を「ようしん」と言っていた。このような素質の人間に対して、NHK職員の平均年収が公務員やサラリーマンに比べて、高いと言われている。NHKは、随分居心地のいいところだと思う。
(美馬委員)
私もNHKの経営委員になる前から北海道新聞の紙面委員などで、意見を書かせていただいております。それをお読みいただけたのだと思います。ありがとうございます。
これは2年前に「新聞に望む」ということで書かせていただきました。そのときの趣旨には、新聞報道には、これは今回のNHKと同じようなことが言えると思うんですけれども、ジャーナリズムというのは権力の監視・監督機能があると。もう一つ、アジェンダ機能というのもあるというふうに書かせていただきました。そのアジェンダというのは何かというと、今後、社会が視聴者の我々が実は気付いていない問題で、ここはもう議論していく必要があるんだということを知らせ、その情報を提供して、国民的な議論をしていくような場をつくっていくというのも新聞の役割だろうということで書かせていただきました。
北海道に住む者として、あるいは函館に住む者として、地域で起こっているさまざまな問題、あるいは課題があることを感じています。そういうことは、公共放送として、全国、あるいは世界のニュースを我々地域に知らせるだけではなくて、地域の問題を地域に知らせるだけでもなくて、地域で起こっている問題を全国に大きな課題を抱えていることを知らせる。例えば、北海道で起きていることを沖縄の方に知らせる。沖縄で起きていることを我々も知る。そういったことができるのは、公共放送であるNHKの大きな役割だと考えています。
そういう状況の中で、どういった枠組みが放送の今編成の中で使えるかと考えると一つは「北海道クローズアップ」というのがあります。時間をかけて丁寧に調査し、情報を集め、どういったことがそこで起こってきたのかという検証をしていくことによって、実はそれはその町だけの問題ではない。ほかでも起こっているのだというようなことも、もしかしたら浮かび上がってくるかもしれない。
「北海道クローズアップ」のようなところで取り上げられれば、またそれが全国にそのまま放送される場合もありますし、それがまた東京で再編されて、新たなもっと大きな番組になって出てくる場合もあると思います。そういったときに、室蘭局のような地域の局が、記者を抱え、皆さまから情報を集めて取材を時間をかけて番組をつくっていくということは、とても重要なことだと思っています。
最後にもう一つ。水曜日の夜の北海道のニュースだったと思いますが、伊達で小学校のリタイアした先生方が、地域にいる戦争体験をなさった方々の聞き取りをやりながら、紙芝居をつくっていくという活動を15年続けてこられた。私は、これはとっても大事なことでよくぞ取り上げていただいたと。その放送がなければ知らなかったことです。これから、戦争を知っている世代の方がどんどんいなくなっていく中で、こういう時代にあって、そういう方たちがいるということ、それを私、北海道にいながら知りませんでした。また、そういったことが皆さんの目に触れて、その活動が広がって、それがほかの全国のニュースになっていくということは、地域の力だと考えています。こういった地域の活動の課題解決の方法が、全国が抱えている課題の解決の糸口になるかもしれないという思いで、私は経営委員として微力ではありますけれども、今後も発言をさせていただきたいと思っております。
(塚田専務理事)
集団的自衛権についてのNHKの報道にご意見をいただきました。皆さんがさまざまな心配をお持ちだということを受け止め、きちっと応えていきたいと思っています。
NHKの基本的な立場ですが、集団的自衛権について、今、ある日のニュースのお話をされましたけれども、やはり大事なことは、日々どういう動きがあるかを伝えるとともに、これについて、国民的にさまざまなご意見がありますので、それをきちっと伝えるということが我々の責任だと思ってやってまいりました。多角的な意見について、あるいは対立した意見には、多くの角度から論点を明らかにするという放送法や国内番組基準などに基づき、公平・公正な報道に努めています。
具体的に言いますと、「日曜討論」をはじめ、「NHKスペシャル」でもさまざまな方に討論いただいて、論点を明らかにするとか、あるいはそれぞれのキーマンにインタビューをして、それとは違う立場の意見も伝えるというようなことに取り組んできています。これからも公共放送の原点をきちっと守りながら、力を尽くしていきたいと思います。
それから、集団的自衛権について、NHKは世論調査をしていないというお話がありましたが、そのようなことはありません。NHKでは、毎月定期的に、政党支持率や政権の支持率などの世論調査を実施しており、集団的自衛権についても、その時々に国民がどう考えているかということを世論調査をして、ニュースなどで伝えています。ご意見は誤解ですので、ぜひご理解をいただければと思います。
(司会)
皆さん、ありがとうございます。本当に真剣に多くの意見をいただきまして、私たちもしっかり受けとめなくてはと思っています。残り時間が少なくなってきているのですが、では、渡委員から。
(渡委員)
先ほど、私から受信料の公平負担について、少し異なる視点で申し上げさせていただきたいと思い、経験を通じて考えていることを申し上げましたが、それは、この会の席上で発言された方のご懸念を否定しているわけではなく、弁解がましくなるかもしれませんが、誤解がないようひと言申し上げさせていただきます。
受信料の問題については、いろいろな視点、考えがありますが、その一つとして、受信料は災害報道のような重要な役割を果たすうえでの支えにもなっているということをご理解いただきたいと思います。繰り返しになりますが、皆さまが言っておられるNHKに対して心配しておられること、感じておられること、考えておられることについて本日いただいたご意見、ご趣旨は、経営委員の間でも、また、本日理事が出席させていただいている執行部の間でも、十分に共有させていただくということを申し上げておきたいと思います。
【会場参加者】
「花子とアン」の中で、バックで音楽が流れるとせりふが聞こえない。室蘭の人口は4人に1人が65歳以上。周りの65歳以上に聞いても、同じ意見があった。大体において、せりふを言っているときに何であんな音楽を入れるのか疑問に思う。
(塚田専務理事)
確かに音楽でせりふが聞きにくいというご意見をいただいています。そのため、NHKでは、せりふと音楽をどうバランスよく伝えるかということをいろいろ研究しながら進めています。「花子とアン」では、最初のころは美輪明宏さんのナレーションが聞きづらいというご意見が寄せられましたが、その後、やはり美輪さんでなければという声のほうが多くなりました。我々が番組をつくる中でいろいろな努力をさせていただきながらお応えしていきたいと思います。
【会場参加者】
再放送がすごく多い。例えば「ラジオ深夜便」でアンカーが変わって期待していると、何回か再放送があり、「せっかく新しいアンカーの方がやってくれているのに残念だ」と思うときがある。
同じ再放送をするのであれば、その時間を例えば「北海道中ひざくりげ」のような、各放送局がつくっているドキュメンタリー的なものとか、報道番組を流していただいたら、ありがたい。千葉に住んでいたが、向こうで北海道の番組を見るととてもうれしくなった。
新聞で再放送の「再」と書いてある番組が10個以上ある。せっかく受信料を集めているのだから、立派な放送を期待したい。
(塚田専務理事)
ご意見ありがとうございます。
先ほども申しましたが、視聴者の方々から1年間に400万件近いお問い合わせなどをいただいています。番組を聞き逃したのだけれども、もう一回聞けないかという再放送希望の声もかなりあります。そういった声にも答えながら、進めているということで、ご理解いただけないかと思っています。
【会場参加者】
私のように勤めている者にとっては再放送はありがたい。室蘭放送局に電話していつ再放送か聞いて、再放送がないとがっかりするということもある。だからバランスの問題であって、再放送も私は歓迎。
不偏不党だけではなく、権力の監視もNHKの役割だということは、私も全くそのとおりだと思う。三権分立の中で、ジャーナリズムは第四の権力と言われている。第四の権力をNHKは誇りを持って、果たしてほしい。
(司会)
きょうは、本当に皆さん熱心にお話しいただいてありがとうございます。まだ話し足りない方ももちろんいらっしゃると思うのですが、アンケートも入れさせていただきました。必ず読ませていただきますので、どうぞお書きいただければと思います。
最後に浜田委員長からきょうの感想をひと言述べさせていただきます。
(浜田委員長)
きょう、受信料制度のあり方、公平で公正な放送とは何か、また、災害報道のあり方、地域放送のあり方など、いずれも公共放送NHKのあり方を考えるにあたり大変重要なご指摘をいろいろな観点からいただいたと思っています。
NHKでは、今後の経営計画を策定するところです。そういう中で、きょう、大変重要な観点から、さまざまなご意見をいただきました。持ち帰り、これから執行部と経営委員会で話す議論の中に生かしていきたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。
<視聴者のみなさまと語る会in室蘭>参加者当日アンケート
※全表の単位はすべて人数
質問1:性別
男 性 | 女 性 |
18 | 5 |
質問2:年齢
10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代以上 | 未回答 |
0 | 0 | 2 | 1 | 2 | 10 | 9 | 1 |
質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)
放送(テレビ) | 放送(ラジオ) | ホームページ | 新聞 | 知人 | その他 |
15 | 2 | 2 | 10 | 1 | 2 |
質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか
大変満足 | 満足 | ふつう | 不満 | 大変不満 | 未回答 |
2 | 10 | 5 | 3 | 1 | 4 |
質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)
経営重要事項 | 経営など全般 | 放送について | トークショー | 特になし | 未回答 |
0 | 9 | 12 | 4 | 0 | 0 |
質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか
よく知っていた | 知っていた | 知らなかった | 未回答 |
0 | 12 | 11 | 2 |
質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか
理解が深まった | 特に変わらない | わからない | その他 | 未回答 |
11 | 12 | 1 | 0 | 1 |
<アンケートに寄せられた主なご意見>
経営全般について
- 受信料の回収率はどの程度なのか、道内の市町村の収納率について調査しているのか。150億円もの増加を見込める根拠はあるのか。
- 学生の受信料については全額免除の方向で検討を。自宅生が自分の部屋にテレビを置いていても負担はないのに、一人暮らしをすると負担しなければならないのは不公平。電気や水道は使った分の負担なので子供が一人暮らしをすると親元の負担は減るが、受信料は割引があるとはいえ純増となる。番組では若年者の貧困の問題などを取り上げているが、受信料負担についても配慮を。未払いの方が多くいる中、取りやすいところから取るという姿勢は改めていただきたいと思う。
- 受信契約の解約時に多くのトラブルがある。また、営業活動の中で外部委託法人が問題を起こしている。
- 営業経費率が高いのではないか。
- 公共放送だからといって、今のように東京に何でも集中するのは問題ではないか。ドイツのように各地方に権限をもたすべきではないか。最近の会長や一部経営委員の問題発言も中央集中が根にあるのではないか。ドイツのように公共放送を地域毎に設立し、互いに、切磋琢磨、あるいは牽制させ、自主自律を保っていけるシステムをつくるべきと思う。
- 会長には頑張ってもらいたい。百田さんにも頑張ってほしい。
- 不祥事があまりにも多過ぎないだろうか。BBCやPBSと比べて信用がないのではないかと思う。
放送について
- 「みなさまのNHK」の姿勢を貫いてほしい。何を伝えるかを大切に、忘れないでほしい。地域放送をより充実したものにしてほしい。きょうの様子だと、NHKの信頼が薄くなってきているように思った。権力のチェック機関であり続けてほしい。
- 「室蘭発ラジオ深夜便」もぜひ開催していただきたい。
- 地元アナウンサーなどと地域の住民との交流の場をもっと増やし、住民の意見を聴取すべき。それにより地域に密着した情報を得られ、放送できるのでは?
- 集団的自衛権についての報道、議論が極めて弱い。ジャーナリズムは三権分立の外にある「第四の権力」であるはずだったし、今後もそうあるべきである。NHKは誇りを持って、いや回復して第四権力としての役割を果たしてほしい。いや果たすべきである。娯楽性を重視し過ぎている。硬派のジャーナリズムに徹してほしい。
- NHKのストロングポイントを十分に分析して民放との違いを鮮明にし、独自性を出して欲しい。
- 公共放送を壊さなければ言論の自由は尊重されるべきでNHKは断固とした態度をとるべきでは。言論の自由は報道の根源。
- モニターの件は、「PC時代」のひと言で終わらせず「PC」の無い人達にも、モニターとなる事を検討すべき。
- 古い世代の者にはなかなか困難な横文字言葉が多い。
- アナウンサーの発音などは地域のFMラジオ局の手本となるべき。
- 芸能人(特に女性)の衣装、肌を出しているような姿から冬季のNHKのスタジオの気温(室温)が気になる。地球温暖化などについて少し考えるべき。
- スポーツ放映権で高い買い物をしているのではないか。
- サブチャンネルの活用を。
- 放送の始めと終わりに流す君が代が少ないのではないか。国益を考えて。
- 南海などの地震の時、東京より西の放送局が全てつぶれた場合のバックアップはどうするのか。北海道全ての放送局が全てダメになった時はどうするのか。時間がなく、残りの質問として聞けなかったのが悔しかった。
- 福祉・健康の番組をもっと総合テレビで放送してほしい。
- 再放送の決め方はどのようになっているのか。
- 若い人達は日本の現代史を知らないと言われている。学校教育の補完的な形となるが、若い人に人気のある人に出てもらい事実を理解するような番組をつくったほうがいいのでは。
運営、その他について
- 司会者が「同じ方ではない人を」とあるのに同じ人が何回も発言するのは、結局文句を言いたいがために参加されたのではないかと思う。アンケートを集約したのだから選ぶべきことも必要かと思った。
- 事前アンケートが要約されていながら、同じ意見を求めていることに時間の無駄を感じた。一部委員の新聞記事を含め、発言の問題も気になっている折、公共放送の大切さを再度自覚され、「二度とこんな事は言われない語る会」を望み、公共放送として高品位な経営を望む。
- 皆さんよく勉強していて、知らなかったことなどに今後関心を持ち、理解できるように努力したいと思った。
- 受信料不払いの方々が意見を言うことにちょっと不満あり。受信料を払っているからこそ正々堂々と言えるのではないか。
- 会の独占化のような意見者が目に余る。
- 折角のイベントなのに、質問・意見を述べる時間が制約されては意味がない。
- 質疑の時間が短すぎる。
- 普段から問題意識を持って勉強されている方々の参加者の大きな声で、NHKの頑張っているたくさんの職員へ感謝の気持ちを伝えきれなかった。毎日毎日24時間電波を発信していることに、頭がさがる。視聴率の高低に影響されず、弱者でもある私たちが元気になる情報を届けてほしい。
- 皆さん勉強されて意見を出していることに感心した。室蘭放送局で年に一度でもよいので、意見交換会を開き、意見を届けてほしい。
- NHKが広く意見をとる場は、たくさん持っているので、皆さん感想や意見をどんどん出せばいいのにと実感した。
- 櫻井チーフ・プロデューサーの話が楽しく、時間が経つのがあっという間だった。
- 東京から函館に住み、北海道のことを強く意識している経営委員がいることをありがたく感じた。