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2022年度 第4回
視聴者のみなさまと語る会(仙台)開催報告書
(2022年10月22日(土)開催)

 

<名称>

視聴者のみなさまと語る会(仙台)

 

<日時>

2022年10月22日(土)午後1時30分〜3時15分

 

<実施方法>

参集開催

 

<出席者>

〔参 加 者〕

宮城県にお住まいのみなさまを対象に30人が参加

〔経営委員〕

堰八 義博 委員((株)北海道銀行特別顧問)

 

水尾 衣里 委員(名城大学人間学部教授)

〔執 行 部〕

林  理恵 専務理事

 

山名 啓雄 理事

 

辻村 和人 仙台放送局局長

〔 司 会 〕

大沼 ひろみ アナウンサー

 

<実施概要>

 冒頭、経営委員から協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について説明し、「NHKの放送・インターネット・イベント等のサービス、経営全般などについて」「地域放送・サービスについて」をテーマに意見や提言を募った。

 

 ミーティング終了後、「『おはよう日本』と『てれまさむね』から見るニュース情報番組の現場」と題して、仙台放送局の岩野吉樹アナウンサーによる講演会を開催した。

 

<内容詳細>

(司会)
 経営委員から、NHKや経営委員会の役割などについて簡単にご説明します。

 

 

◆協会の基本方針・重要事項の説明

(水尾委員)
 はじめに、NHKの経営委員会についてご説明します。
 NHKの経営委員は国会の同意を得て、内閣総理大臣から任命されています。経営委員会は、さまざまな分野や地域から選ばれた12人の委員で構成されています。
 経営委員会では、中期経営計画や予算・事業計画など経営の重要な事項について議決するほか、会長や副会長、理事らが決められた方針に沿ってNHKの運営ができているかどうかをチェックしています。私たち経営委員は、NHKの経営にあたって、視聴者のご意見を踏まえ適切な判断や検討を行うことが求められています。そこで今回のような「視聴者のみなさまと語る会」を毎年、数回開催しています。
 NHKの役割の一つは、災害や新型コロナウイルスなどから命や暮らしを守る「安全・安心」に関する情報をお届けすることです。また、“NHKだからできる放送”に力を注ぎ、多様で質の高い番組や情報をお届けしています。
 NHKが受信料で運営されていることはご存じの方が多いと思います。NHKは税金で成り立つ国営放送ではありません。受信料で成り立っている公共放送です。特定の利益や意向に左右されない、公正で質の高い番組をつくり、視聴率にとらわれずに社会に必要な教育・福祉番組などをお届けできるのは、受信料によって財政面での自主性が保障されているからです。
 続いて、NHKの「インターネットを活用した取り組み」についてご紹介します。放送を中心としながらインターネットも活用して、公共性の高いコンテンツや情報を「いつでも、どこでも」受け取れる環境を整え、視聴の機会を増やすことは重要な取り組みと考えています。
 その取り組みの一つが、スマホやタブレットなどで番組をご覧いただくNHKプラスです。NHKプラスには、総合テレビとEテレの番組をインターネットで放送と同時に配信する「常時同時配信」と、それらの番組を1週間程度いつでも見ることができる「見逃し番組配信」のサービスがあります。NHKと受信契約をしている方と、その方と生計を同一にする方は、追加のご負担なくご利用いただけます。さらにことし4月からはテレビ向けのアプリサービスが始まり、テレビの大きな画面で見逃し番組配信をお楽しみいただけるようになりました。
 続いて、「NHK経営計画」についてご説明します。この計画は2021年度から3か年のNHKの具体的な経営目標や重点方針を掲げています。経営委員会で視聴者の皆さまから広くご意見を募集して、議論し議決しました。
 NHKは、公共メディアとして皆さまの信頼に応え、合理的なコストでの運営に努めます。経営資源を多様で質の高いコンテンツに集中させ、正確、公平公正で豊かな放送・サービスを、いつでもどこでも最適な媒体を通じてお届けし続ける「新しいNHKらしさの追求」を進めます。そのために、経費を削減する一方、「安全・安心を支える」、「新時代へのチャレンジ」、「あまねく伝える」、「社会への貢献」、「人事制度改革」の5つの項目に重点的に取り組み、スリムで強靭な「新しいNHK」を目指します。
 衛星波については、BS1、BSプレミアム、BS4Kの見直しを行い、2023年度中にBS1、BSプレミアムの2波を1波に削減します。削減にあたっては番組の一部をほかの放送波に移すなど、編成上の工夫に努めます。
 また、ラジオ第1、ラジオ第2、FMの3波については、2025年度にAM、FMの2波へ整理・削減する方向で検討を進めます。放送波の整理・削減にあたっては、現在提供しているコンテンツに対するニーズを踏まえ、視聴者の皆さまの利便性を損なわないことに留意しながら進めます。
 そして、今月には、この経営計画の修正案をまとめました。来年10月から、地上契約、衛星契約ともに受信料を1割下げることや、親元などの扶養に入っている1人暮らしの学生を原則免除することなどを打ち出しています。
 経営委員会では、この修正案に対する意見募集を来月10日まで行い、いただいた意見を真摯に受け止め、執行部と議論を重ね、経営計画に適切に反映することを求めていきます。
 本日、皆さまからいただく貴重なご意見は、今後の経営委員会の活動の参考にさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

(司会)
 きょうは、大きく2つのテーマについて、皆さまからご意見を伺います。
 1つ目のテーマは、「NHKの放送・インターネット・イベント等のサービス、経営全般などについて」です。NHKのニュースや番組、新年度番組改定、NHKプラスなどのインターネットサービス、受信料制度、そのほかNHKへのご意見やご要望などについて伺います。2つ目のテーマ「地域放送・サービスについて」は後半で伺います。
 まず1つ目のテーマです。「NHKの番組やインターネット・イベントなどのサービス、経営全般」について、ご意見がある方はお願いします。

【参加者】
 NHKのニュースは、偽りのない公正な報道、貴重な情報源として、毎日視聴させていただき、ありがたく思っています。NHKの報道に関して、最近よく思うことがあります。激動する国内・国際情勢について、現在問題となっているウクライナ情勢や、急激な円安問題などは、毎日、5分、10分と短い時間でよいので、「ニュースウオッチ9」などでキャスターと専門家で視聴者に向けて本音の議論や解説を詳しくしていただきたいと思っています。昨晩は、ウクライナ情勢について、田中キャスターと専門家の東野先生による解説がありました。日本は今後どうあるべきか、国民はどうするべきか、生存戦略などについてもっと深く掘り下げていただきたく思っています。田中キャスターの非常に冷静な態度には好感が持てるのですが、少し安全運転というか、硬いところがあるので、たまには田中キャスターご自身の色も出していただきたいと思っています。
 BSの「国際報道2022」を見ると、油井キャスターの「油井's VIEW」では、結構色が出ていると思いますが、BSの夜遅い放送なので、どこまで視聴者にインパクトがあるかと思っています。「NHKニュース7」では時間がありませんが、「ニュースウオッチ9」では可能ではないかと思います。民放の話ですが、BS-TBSの「報道1930」、BSフジ「プライムニュース」、BS日テレ「深層NEWS」など、毎日深いホットな話題を、キャスターと専門家の方が議論を展開して報道しています。プーチン大統領の核の使用の可能性についても、ロシアは手段を選ばぬ超限戦国家として、何でもする、何をするか分からない国家であると言ったうえで、それぞれ専門家が見解を述べています。近い将来、もしどこかの国が日本にフェイクニュースなどを仕掛けると、公正で間違いないという情報源となるのはNHKしかないと思うのです。今までの「ニュース9」と違って「ニュースウオッチ9」ということは、時事やニュースを掘り下げるという意味でつけられているのではないかと思います。
 今後、NHKに期待するのは、内容の濃い報道、政府与党にそんたくせず野党におもねることのない、公正中立で、NHKとしての誇りや自信やきょうじを持った放送をしていただきたいということです。

【参加者】
 毎週土曜日午前10時5分から放送されている「被災地からの声 つぎの一歩」は、とてもすばらしい番組だと思っています。私も取材を受けたことがありますが、津田アナウンサーを含め、3名のスタッフで取材地に赴き、撮影、編集、放送を行っていますが、取材を受けた方々から多くのことを聞き出し、それを上手に編集し、取材を受けた方が何を思い、考え、訴えたいのかを、的確に放送しています。津田アナウンサーが補足説明することで、番組が理解しやすくなっています。
 東日本大震災から11年7か月が経過しています。その間、ほかにも災害や新型コロナウイルスの感染拡大がありました。ウクライナ侵攻や、国葬、旧統一教会の問題もあります。すべて難しい問題だとは思いますが、東日本大震災の被災地や被災者の声について、もっと放送すべきではないかと思います。きのう「東北ココから」という番組が放送されましたが、やはりまだ少ないと思います。このままだと、のど元過ぎれば、ということになりかねないと思います。亡くなられた方々の気持ちが、今の私たちに伝わらず、忘れられてしまうのではないかと危惧しています。
 福島原発や燃料デブリ、解体などの情報も、NHKからは放送されていないように思います。汚染水も大きな問題です。汚染水でカレイを育てているとのニュースもあるようですが、国や東京電力が漁師たちとの約束をたがえていることについてNHKはもっともっと声を拾うべきではないでしょうか。国側が決めたことだからもう変わらないとメディアは諦めているのでしょうか。原発については、国や福島県だけではなく、全国に確認してほしいことです。東北の住民の声をもっと拾ってほしいと考えています。視聴者は電力問題や原発問題を考えたいと思っています。行政任せではなく、全国民を巻き込んで、エネルギーについても考える番組制作をNHKにお願いしたいと思います。

【参加者】
 東日本大震災は、2011年3月11日に起こりました。あのような大きな災害では、必ず停電になります。自家発電のある行政機関などを除いて、宮城県民は一般家庭でテレビを見ることはできなかったと思います。頼りになるのはラジオでした。
 私は、仙台市西部の小学校に、産休の先生の代わりで講師として勤務していましたが、その小学校でもやはり停電になりました。小学校には、教室に1台ずつラジカセあったのですが、乾電池は1つもありませんでした。私は電車通勤をしていて、小さなラジオを持っていたので、当時500〜600人いた生徒の情報源がこのラジオ1台となりました。3時少し前に大津波警報が流れていました。3時前に校庭に子供たちを避難させたのは覚えています。職員室でラジオをつけた瞬間に、もうNHKのラジオで大津波警報が何度も流れていました。
 これから日本全国で、どのような災害が起こるか分かりませんが、ラジオは正確な情報を伝えていますので、スマホに頼るのではなく、ラジオを家庭で1台は絶対に持って、情報を誰かから教えてもらうのではなく自分から情報を取りにいく、自分の命は自分で守るのだという気構えで、3.11を教訓にしてほしいと思います。
 私は、昭和53年の宮城県沖地震も経験しています。そのときも停電になり、その際の教訓として、通勤で電車やバスに乗るときはラジオを持つようにというアドバイスを着実に守っていたので、学校で唯一この小さいラジオが情報源になったということなのです。ラジオの有効性を強く伝えていただいて、ラジオを持ちましょうという報道をしていただきたいと思います。

(司会)
 ありがとうございます。震災に関連して、ラジオの有効性についてや、被災地の声をもっと取り上げてほしいという意見をいただきました。また、ニュースでは、少し個性を出しながら、何か一つのことについて深く掘り下げるような時間を、というご意見も伺いました。

(林専務理事)
 皆さまから、本当に貴重なご意見をいただきました。「ニュースウオッチ9」をこよなく愛していただいているのだと思い、本当にありがたい気持ちでご意見を伺っていました。田中キャスターの持ち味として、非常にまじめで実直な記者でありキャスターだということをよく分かっていただけて、とてもうれしいです。番組をご覧いただいて、ここが足りないと思われたところについては、私も深くいろいろなことを考えて反省もしつつ、まだまだ皆さまにお届けすべきことがきちんと届けられていないこともあるかもしれないと思いました。
 NHKでは、世界の情勢も含めて、国内、国際のさまざまな課題を取り上げて、できるだけ幅広い視点で皆さまにお伝えすることを大事にしています。限られた番組の時間の中で、お伝えしきれないものについては、同じ番組の中で、また別の日に、別の視点でお伝えする工夫もしています。民放の報道番組もご覧いただいているのは、とても大事なことだと思います。民放もいろいろ工夫していらっしゃるので、私どもも皆さまにきちんとお伝えできるように、これからも頑張っていきたいと思います。
 おふたりから、東日本大震災を受けてのご意見をいただきました。東日本大震災については、辻村局長からも、地域の放送ということで答えてもらいたいと思いますが、NHKの使命として、これからもきちんと災害の教訓も含めてお伝えできるように頑張ってまいりたいと思います。
 ご提案いただいたラジオの有用性については、私も非常に同意します。自分の命は自分で守るということも、本当に大事なことです。自分の身を自分で守るためのさまざまな工夫を、ふだんから皆さまにしていただきたいという気持ちで、日常から防災・減災の報道にも力を入れています。ご提案いただいた内容も含めて、現場に持ち帰り、放送に生かしてまいります。

(辻村局長)
 「被災地からの声 つぎの一歩」へのご意見についてお答えします。私が以前、仙台にいた時から12年目になりますが、この番組がここまで続いているのは、取材を受けていただいた方がいたからです。どなたかがもうこの取材は必要ないと言ったら、この番組は続きません。そういった意味では、被災地の方がこの番組の主役で、続いているのは被災地の方のおかげということに尽きます。この番組のタイトルには「つぎの一歩」とあります。まだ「つぎの一歩」で、長い間続けていきたいと考えていますので、引き続きご協力のほどよろしくお願いします。震災、原発事故などさまざまな報道についても、ご指摘をいただきましたので、さらに力を入れて頑張って伝えてまいります。ありがとうございました。

【参加者】
 NHKの姿勢に対する批判と要望を申し上げますが、基本的に私はNHKを信頼しています。Eテレはよい番組をたくさん放送しています。何人か触れていましたが、私も、津田さんが担当している、仙台局の「被災地の声 つぎの一歩」をいつも楽しみにいています。きのうも、「東北ココから」というよい番組が放送されていました。東北人として、よい番組をつくってくれていると思いながら、拝見しています。
 東京から放送される、特に政治分野のニュース報道の姿勢について、経営委員の説明をかみしめながら聞きましたが、果たして公共放送を標ぼうしている放送局の番組としてどうなのかと思うことが増えました。以前は、最後の信頼する情報ソースはNHKの放送だと、特に災害関係で思っていましたが、どうも少し偏りが出てきているのではないかという印象を持っています。
 批判と要望は、国会中継についてです。現在、臨時国会が開催されています。所信表明があって、代表質問があって、衆参の予算委員会の審議が放送されていますが、私の印象では、国会中継は十分ではないと思います。税金で運営されている国営放送ではなく、受信料で運営されている公共放送で、視聴率を気にする放送局ではないというのであれば、国会中継の時間があまりにも少な過ぎると思っています。大相撲中継は2か月に一度、15日間、毎日約3時間、しっかり放送します。それに対して、国会中継の比率はどうなのかという気がします。
 通常国会で内閣不信任案、衆議院議長に対する不信任案が提出されました。それを審議する本会議、採決する本会議については、ニュース番組では触れられましたが、中継はされませんでした。社会科の教科書に書いてありますように、内閣が不信任案を国会に提出されれば、それが可決された場合は、衆議院を解散するか内閣総辞職するかという国の重大事です。それをどのような理由で提出したのか、それに対してどのような理由で反対しているのか、どのような審議がされたのかは、視聴率に関係なく、公共放送なら放送すべきだと思います。現在はその他の手段もあり、ネットなどでも視聴できますが、そのような手段を持たない方もいますし、公共放送を標ぼうするのであれば、放送してほしいと思います。
 私はホームページからNHKに問い合わせをしました。ふれあいセンターの答えを、ここに持っているのですが、「NHKは国権の最高機関である国会の議論を伝えることは、公共放送として国民の知る権利に応えるとともに、国民の政治参加を進める上で重要だと考えます」ここまではよいのですが、「NHKの独自の編集、編成判断に基づいて、国会中継には取り組んでいます」というこの回答を受け取って、内閣不信任案の審議の本会議は、NHKの国会中継をする基準には当てはまらないのだと思って、驚きました。いろいろな意見があるかと思いますが、やはり政治に関心を持っている人、持ってもらうためにも国会中継の充実を図っていただきたいと思います。

【参加者】
 新型コロナウイルスの報道に関してです。さきほど、安心・安全な情報、皆さんがNHKを信頼しているという話をお聞きしました。NHKの報道を見て、皆が学ぶわけです。年配の方も朝から晩まで見ていますが、そこで放送していることが本当に正しいのか、よく分からないところがあります。とてもちぐはぐなのです。政府が、外ではマスクを要らないと言っているのに、外で報道しているNHKの人たちはマスクをしています。台風のときも、風が吹いているときも、人が周りにいないときもマスクをしていますが、本当はどうなのかと思います。
 スタジオでも、アクリル板を使っていますが、そこまで要らないということを分かっているのに、手本のようにNHKが見せていたら、一般の人たちは、やはりやらなくてはいけない、外へ出たらマスクをしなくてはいけないとなり、いつまでたってもマスクは終わらなくなるわけです。手本となっているということを自覚して、統一してほしいと思います。海外で報道している人は外しているので、その部分でも一貫性はありません。そうした点をNHKはどのように考えているのでしょうか。
 いろいろなスポットで命を守る報道と伝えています。私も一応、専門家の端くれなのですが、違っていると思うことがあります。報道であれば、一つの報道をするときに裏を取ると思いますが、科学の報道は裏を取るのでしょうか。いろいろな考え方があって、今やっていることは本当に正しいのかと思います。
 見ていて笑ってしまったのは、歯磨きが危ないというスポットです。歯磨きで出るのはエアロゾルで、歯磨き粉を介して感染するとありました。専門家同士で話せば議論になるようなことを、あたかも正しいことのように放送しています。科学に対しても裏取りが必要だと思うのですが、そのあたりはどのように考えているのでしょうか。1人のプロデューサーの考えで決まってしまうのでしょうか。少し考えてほしいと思っています。

【参加者】
 最近の放送番組は、ことば足らずになっているところが非常に多いと思います。沖縄の朝ドラは、沖縄の方言が合っていてよかったのですが、われわれ東北の人は、沖縄の方言を聞いても分からないのです。字幕やdボタンをフルに活用できるやり方を考えていただけると楽しく見られると思います。
 報道番組においては、専門用語が多いと思います。特に英語交じりの専門用語は、年寄りが聞いても何を言っているのか分からないと思います。ここも字幕を出していただくと、楽しく見られるのではないか思います。その点を今後ご検討いただきたいと思います。

【参加者】
 私は、5、6年前に参加したNHKのイベントについて話をしたいと思います。
 宮城県名取市で行った公開録画の番組で、土井先生の料理番組など、いろいろな番組に地域の人も参加できて、番組も楽しむという企画がありました。放送の後にホームページを拝見したら、ここ数年は新型コロナの影響でやっていなかったようですが、岩手とか福島でも実施されていました。名取のイベントでは、世代をまたいで話題にできる番組に参加できるということで、小さいお子さまから、おじいちゃま、おばあちゃままで、たくさんの方たちが参加していました。NHKだからできるイベントだと思います。私も知らない方とも楽しみながら参加できました。ウィズコロナの時代に、このようなイベントをぜひ再開していただきたいと思います。いろいろな町の人たちも楽しみにしていると思います。
 復興関係では、東日本大震災では宮城、岩手、福島の3県での出来事がフィーチャーされますが、青森や秋田、山形などはいまひとつ被災地として取り上げられていません。私の友達は八戸にいますが、震災の影響はありましたし、東北のなかで何か自分事として少し参加できないかと、復興を応援したい気持ちがある方たちもいるので、3県以外の東北の地域でも、何かNHKならではのイベントができたらよいなと、青森や秋田の友達からも言われました。全国で忘れられたとしても、東北6県ではずっと忘れない東日本大震災について、イベントなどができたら、楽しんだり忘れないでいたりすることができるのかなと思います。山形でも、今年の夏に大雨災害がありました。日本海側の被災地なども、大震災とあわせてオール東北で、災害へのフォローなどNHKの共通のイベントができたらよいと思っています。

(司会)
 4人の方に伺いました。まず国会中継について、もっと放送すべきではないかということ。そして命を守る取り組みの中では、新型コロナへの情報の出し方についてのご意見をいただきました。また、皆が楽しく見るために、方言などをもっと活用できるツールを使っていったらよいのではないかとの提言をいただきました。放送だけでなく、イベントという方法を通しても、NHKにはまだできることがあるのではないかというご意見もいただきました。

(林専務理事)
 どれも本当に貴重なご意見です。国会中継についてのご意見、きっとNHKを愛していただいて、ご覧いただいていると思っています。

(参加者)
 今のところ愛しています。

(林専務理事)
 ありがとうございます。国会中継については、本当に皆さまの強いご関心があります。国会中継をご覧いただいているのは、総合テレビだと思いますが、総合テレビは、基本計画で番組や内容の種別の比率が決まっています。国会は、国の重要な案件について話し合う場ですので、皆さまにお伝えするのに中継が一番ふさわしい形であれば、中継を行いますし、ニュースできちんとお伝えする形が、国の重要な事項についてよりお分かりいただけるというものは、ニュースでお伝えしています。中継でご覧になりたいという方も多くいらっしゃいますし、その時間に違う番組を見たいという視聴者の方もいらっしゃいます。皆さまのお声を十分に伺いながら、番組の編成を考えていきたいと思います。お伺いしたご意見は、必ず現場に伝えて、引き続きどのような形がベストなのかを考えていきます。
 番組の内容について裏を取ることは、基本です。新型コロナウイルスについては、今となればさまざまな事実が分かってきましたが、感染が拡大したばかりの頃は、何が正しく、何が正しくないかが分からないなか、私どもも暗中模索でした。視聴者の皆さまにできるだけベストな情報、あるいは一緒に考えていただきたい情報も併せて放送しました。専門の方から見たらここは違うのではないかということも、もしかしたらお伝えしたことがあったかもしれません。ただ、これからも、新型コロナ対策にはこうした方法がよいのではないかといったようなことを、皆さまと一緒に考えていきたいですし、ご覧になるお年を召した方も含めて、皆さまに正確な情報をお届けできるように努力していきたいと思いますので、またご意見を賜れれば幸いです。

【参加者】
 間違いが分かっていったことに関して、あれは間違いだったという修正も報道してほしいと思います。

【参加者】
 ホテルのバイキングで手袋をさせられるのは、NHKが最初にウイルスがいろいろと広がって感染するという特集を放送したからです。あれで日本中がそうなっているわけです。これは間違いでしたとどこかで言わないと、いつまでも何年も続くわけです。無びゅう性というのはあり得ないわけで、間違っていたことは間違っていた、ここからは変えましょうという報道番組をつくらなければいけないと思います。

(林専務理事)
 必ず現場に持ち帰って伝えます。
 字幕についてご意見をいただきました。また、確かに最近さまざまなことばが使われ、カタカナのことばも多いとお感じになっているのではと思います。ことばは生きているものなので、使われることばも、どうしてもその時代ごとに変わってきます。私自身もよく分からないことばが放送で使われたりすることがありますので、お気持ちはよく分かります。
 字幕について。私どものルールに、多様な地域性はきちんとお伝えするということがあります。方言を標準語に直して字幕にしてしまうと、それ自体にNHKとして意味を持たせてしまうことになってしまうので、そのままお伝えすることがとても大事です。ただ、dボタンのフル活用ということまでは考えていませんでした。いただいたご提案を現場に持ち帰って、一度相談したいと思います。

【参加者】
 どこの放送局もdボタンがあまり活用されていません。NHKが行っている世論調査は1,500人だけの調査ですが、dボタンであれば、日本全国から多くの意見が把握できると思います。dボタンの活用を考えたほうがよいと思います。

(山名理事)
 イベントの件は、ご指摘のとおりここ2年は、新型コロナウイルスの感染拡大の関係で、あまり実施できませんでした。今回のようにリアルで皆さんとお会いするのも、本当に久しぶりのことです。今後、感染拡大がどうなるかは分かりませんが、状況を勘案しながら、イベントや、視聴者リレーションとして皆さんにご参加いただいて番組をつくったり、NHKのことをよく知っていただいたりと、NHKを十分に活用して価値を感じていただく取り組みを行ってまいります。
 大震災に限らず、さまざまな災害に遭われた地域をご支援できるように、元気づけられるイベントをこれからも行っていきたいと思っています。

【参加者】
 番組について、続けてほしい点と、改善してほしい点を申し上げます。続けてほしい番組は、「ブラタモリ」と「歴史秘話ヒストリア」です。あのように調査力を十分発揮して見せる番組はすごいと思います。実際に番組をつくっている方は大変だと思いますが、非常によい番組なので、継続してほしいと思います。「歴史秘話ヒストリア」は、学生時代にあのような放送があれば、もっと番組を参考に歴史を掘り下げていくなど、歴史に関心があったはずだというように、感心させられています。
 改善してほしいのは、大河ドラマです。皆さんはよくやって苦労もされていると思いますが、以前に比べると、少し視聴率は下がっていると聞いています。改善をしてほしいのは、今の大河ドラマもそうですが、誰が登場人物の親で、誰がおじいさんで、誰が子どもなのか、関係が分からないという点です。いろいろな人が出てくるので、名前も分かりづらく、かなり研究していないと理解できません。途中から見た人や、あまり知識のない人が見ると、誰がどうなっているのだろうという感じです。1週間後はまた忘れてしまうこともあるので、誰の父親とか、誰の子どもなど、字幕で長めに出してもらえると、理解して楽しめるのではないかと思います。そうすればより視聴されると思いますので、ご検討ください。

(林専務理事)
 歴史が大変お好きだと拝察します。歴史番組は調査力が必要だと言っていただけて、現場はとても喜ぶと思います。本当に苦労して、番組を制作しており、視聴者の皆さまのおことばが本当に励みになりますので、必ず現場に伝えます。
 大河のご提案についても、私も俳優さんの顔だけでは、年齢差がよく分からないこともありますので、そういった点で分かりにくくさせてしまっているのかもしれません。演出面のことですので、これは現場に伝えたいと思います。

(司会)
 1つ目のテーマは、一旦ここまでとさせていただきます。たくさんのご意見、ご要望をいただきました。続いて、2つ目のテーマ「地域放送・サービス」についてご意見を伺っていきます。
 まず、仙台放送局で行っている地域放送やサービスについて、辻村局長からご紹介をさせていただきます。

(辻村局長)
 NHK仙台放送局の取り組みをご紹介します。仙台放送局は、昭和3年にラジオ放送局として開局しました。昭和31年には、宮城県内でテレビ放送を開始し、その5年後に、愛宕上杉通り沿いに放送会館が完成しました。お話にあった宮城県沖地震や11年前の東日本大震災では、災害報道の拠点の役割を果たしています。それらの教訓も踏まえて、災害時の機能の強化などのために移転することになり、4年前にここに免震構造を備えた新会館が完成しました。
 仙台放送局の主な番組です。テレビでは、平日夕方のニュース情報番組「てれまさむね」をはじめ、金曜夜の「東北ココから」、土曜午前の東北ゆかりのゲストが生出演するトークショー「大好き♡東北 定禅寺しゃべり亭」、震災直後から続いている「被災地からの声 つぎの一歩」を放送しています。「てれまさむね」、「東北ココから」、「大好き♡東北 定禅寺しゃべり亭」は、NHKプラスで見逃し配信をしており、インターネットでもご覧いただけます。ラジオでは、平日夕方の「Nandary」や、今年で3,000回を迎える長寿番組「民謡をどうぞ」があります。
 今、力を入れていることを3つお話しします。1つが、「てれまさむね」などの番組の充実です。「てれまさむね」では、毎月最終週に県内の5つのエリアから1つを選んで、ニュースや話題を集中的に紹介する「○○地域に注目!」をお伝えしています。来週は仙台地域に注目というようなテーマでやっていきます。木曜日には、視聴者の皆さまから寄せられた疑問を基に調査する「みやぎUP-DATE」をお伝えしています。金曜夜の「東北ココから」では、若手ディレクターが限界集落とされる地区に1か月間住んで、地域の人たちの暮らしを取材する「限界集落住んでみた!」や、NHKが持つ膨大な映像資料から、地域の出来事や人々の営みを掘り起こして上映会を開催し、集まった人たちが思い出話に花を咲かせる「あなたの町の映像アルバム」などが人気を集めています。
 2つ目は、地域のイベントやスポーツと連動した特集番組を軸にして、共感を広げる取り組みです。今年8月、夏の甲子園で仙台育英高校が東北勢として初めて優勝した際には、仙台放送局1階の大型モニター前で、パブリックビューイングを行い、300人を超える人たちが喜びを分かち合いました。仙台の秋の風物詩、「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」では、俳優でサックス奏者の武田真治さんのステージを、総合テレビとFMで公開生放送し、2日間で1万人を超える来場者がありました。「大好き♡東北 定禅寺しゃべり亭」はきょうも午前中に生放送しましたが、毎週土曜日、仙台放送局から公開生放送をしています。
 3つ目は、東北を応援する取り組みです。最近、朝ドラのお昼の再放送の前や「NHKニュース7」の前、日曜夜の大河ドラマの前など、皆さまによくご覧いただいている時間帯に、「東北温泉地応援プロジェクト」の応援歌「とうほくであったまろう」を放送しています。純烈の皆さまにご協力いただいて、リーダーの酒井一圭さんの作詞、シンガーソングライターのイルカさんの作曲、パパイヤ鈴木さんの振り付けで、東北6県の観光をテーマにした歌を歌っていただいています。東北の観光地が元気になることで、地域全体の活性化につながることを願っています。

(司会)
 皆さま、うなずきながら聞いてくださいましたので、番組をご覧いただいているのだろうな、と思いながら聞いていました。それでは、2つ目のテーマについて、ご意見、ご要望のある方は、ぜひ手を挙げてお話しください。

【参加者】
 6時10分からの「てれまさむね」を週に何度か見ていますが、県内や仙台市内のニュースに力を入れていないのではないかと、個人的に思っています。いつもどこかのおいしい果物の情報やイベントの紹介などが多過ぎて、これはニュースなのか、社会情報番組なのかと疑問を持っています。民放のまねをする必要はないと思いますが、もう少しニュースというものを意識してつくっていただけないかなと思っています。

(司会)
 例えばどのような種類のニュースが欲しいと思いますか。

【参加者】
 宮城県のニュースは、新米の値段の話や、県議会議員の逮捕の話など、いろいろあると思います。記者やデスクが、もう少しそうした視点を持って課題を見つけて、ニュースを取材していただけないかなと思っています。

【参加者】
 「てれまさむね」は6時10分から約50分間放送していますが、少し短すぎると思います。「OH!バンデス」をよく見るのですが、3時50分から行楽地情報やおいしい物情報などローカルのことを、かなり長時間、細かく放送しています。「てれまさむね」もそれなりにやっていると思うのですが、突っ込みが短いというか、本当にこれで見て食べたくなるのか、行きたくなるのかというと、少し疑問を感じます。営利目的の民放であれだけ詳しくできるのであれば、資金力のあるNHKであれば、「OH!バンデス」のように3時50分からとは言いませんが、5時前から長い時間でローカルニュースを流してもらいたいと思います。

【参加者】
 30年くらい前から、もやもやと心に思っていることです。土日の夕方に放送している東北地方のニュースで、アナウンサーがエンディングのあいさつで「ありがとうございました」と言う時に、斜めに映るのです。東京の番組だと、アナウンサーを真正面に撮ってから、斜めにパンするのです。後で紙を差し上げますので、見ていただければ分かるのですが、これは単なる演出でしょうか。アナウンサーは悪くないのですが、演出でスイッチャーが切り替えをしないから、斜めになってしまうのです。アナウンサーは視聴者に対してあいさつをしているのに、斜めを向いているように見えているのです。家族に気にならないかと言っても、たいしたことはないでしょうと言われ、盛岡のこうした会合でも「ただの演出ですから、気にしないでください」と言われました。しかし、9月に宮アアナウンサーが、斜めになっているときに、正面に向きなおして「宮アが放送しました、ありがとうございました」と言ったのです。それを見て、この人は本質を見抜いているなと感動しました。
 大したことないように見えるかもしれませんが、アナウンサーは視聴者のほうを見ているけれども、スタッフは絵づくりばかり考えていると私は思っています。これではNHK全体がひとつになった放送づくりと言えないと思います。これは仙台に限ったことではなく、5時台の高瀬アナウンサーの番組でも、日曜日の「まるわかりニュース」でも真横を見ているのです。
 きょうは、スタッフに、真正面に視聴者にあいさつをする絵づくりをしてくださいと伝えたいと思って来ました。大沼アナウンサーも毎週土日に出てくれていますが、斜めに映ってしまうのが残念です。QRコードをつけた紙を持参しましたので、あとで見てください。

【参加者】
 私は「てれまさむね」が大好きで、毎日録画して見ています。幼稚園の芋掘りのニュースや新しい岩沼のポポーの話題など、地域のほっこりした話題や勉強になる話題も結構あります。民放は、事故やニュースのことばかりで、少し心が苦しくなり見られないのですが、「てれまさむね」は心を落ち着けて見ることができます。篠原さんとやっぺぇの天気予報も、大好きです。やっぺぇがNHKのキャラクターとして、皆さんに定着しているのも知っています。
 きょうのニュースで取り上げるものと取り上げないものとの違いは何なのかなと感じることはありますが、地域のことを掘り下げていておもしろいなと思います。旬の物や、新しいブランド米などは食べたくなりますし、実際に食べたこともあります。この番組が大好きです。

(司会)
 ありがとうございます。皆さんに「てれまさむね」を本当に愛していただいているのだと思います。もっとニュースの部分に力を入れてやっていってほしいというご意見もいただきました。放送時間をもっと長くできないかということも含めて、掘り下げていってほしいということですね。ほっとした話題で落ち着く、どのような基準で話題を取り上げているのだろうということも伺いました。また、番組のエンディングのカメラの演出についてなど、さまざまなご意見をいただきました。

(辻村局長)
 貴重なご意見で、心に刺さりました。取材者が一生懸命取材をして、議論して、課題を見つけて、深く掘り下げていくということは、本当に報道の基本です。現場に伝えて心がけていきたいと思います。ありがとうございます。
 ニュースの時間帯については、おっしゃるとおりで、できる限り長く放送したほうが、地域の話題もたくさん入れられます。放送時間はなかなか仙台局だけで決められるものではありませんが、今ある時間帯でしっかり伝えられるように、努力をしてまいりたいと思います。
 われわれにとっても、「OH!バンデス」は先輩となる、何とか背中を追いかけていきたい番組です。引き続きご意見をいただいて、少しでもよい番組をつくっていきたいと思います。
 エンディングでアナウンサーが斜めに映るという話は、目からうろこが落ちました。切り替えが必要なのか、最後に視聴者にニュースをご覧いただくことのお礼を申し上げて、お別れのあいさつをしているのであれば、ふさわしい画角があるのではないかということを、改めて気づかせていただきました。これも現場で議論して、すぐに改善できるかどうか、技術上の問題もあるかと思いますが、きょういただいたお声をしっかり伝えていきます。
 「てれまさむね」では、これからもいろいろな幅広いニュースを放送していきたいと思います。ぜひ機会があれば、どこかでニュースにも参加していただければと思います。引き続きよろしくお願いします。

【参加者】
 テレビとネットの融合についてです。「てれまさむね」は、仕事から帰ってくる時間帯なので、よく拝見しています。木曜日の「TOHOKU360」のコーナーは、インターネットのニュースや地元のトピックをテーマに番組をつくっているようですが、ネットの持つスピード感や幅広さと、NHKの世代を問わない分かりやすさがうまく融合されていると思います。地域のいろいろな話題や、お店、SNSで広がっているわずかな疑問なども取り上げて深く掘り下げているところもおもしろく、うまく融合されていると思います。ネットのいろいろな情報やスピード感といったものは、年を重ねるとだんだん疎くなり、ついていけなくなるのですが、マイルドに、世代を超えて分かりやすく伝えていると思います。
 一方で、きょうのテーマの一つ目にもつながりますが、ネットの情報はファクトチェックが大切だと思います。報道や命や生活に関わる情報は、SNSには情報が玉石混交、有象無象といった状態で混乱しているなか、NHKは本当に公平中立な立場で、事実を伝えていただいています。情報が猛スピードで氾濫していますが、きちんと裏を取って、極端なスピードにも流されないように、事実を検証して正しい報道をしていただきたいと思っています。地域のトピックや話題であっても、一番の基礎になると思います。

【参加者】
 地域の番組を充実させるために、この間、ニュースの全国中継を大阪から出していましたが、同じようなことを東北でもやったらよいのではないかと思っています。どうしても仙台放送局を中心にしているところがありますが、きょうは青森出しにしようか、山形出しにしようかなど、いろいろな地域でイニシアチブを持って放送するような試みも、技術的な問題もあるかもしれませんが、何かコンテンツに影響を及ぼすのではないかと思っています。

【参加者】
 10月20日放送の「てれまさむね」で、記者の内山さんという方が、折立団地などを取材して、地盤の問題を放送されていました。この記者は、震災後に数年仙台局にいて地盤に関心を持ったけれども、当時は放送できなくて、今回、異動で仙台に来て放送できることになったと話をしていました。同じような団地でも、数十メートル先は何でもないのに土台が崩れたところもあるという、切土と盛土という仙台特有の団地の問題です。仙台市は平地が少なく山が多いので、住宅を造るときに、山を切り崩して切土と盛土という土地で団地を造るほかなかったので、その影響が震災のときに起きたのだと思います。住んでいる方々の中には、放送をしてほしくない方もいると思いますが、今後起きるかもしれない地震のことを考えると、大変重要な問題なので、私は放送していただいてよかったと思います。このような大変重要な問題が、今まで震災に関しても放送されないことはあったと思います。
 震災後に知り合った四国の知人に、東日本大震災のことで知っていることを聞くと、津波、原発、大川小学校と言います。被災しなかった内陸部の人のことを知っているかと聞くと、2、3日後から普通の生活をしていたと思っていたと言います。都市ガスが1か月以上使えなかった、3週間水道が出ない人もいた、ガソリンも3月末になってやっと手に入ったという状態だったと言うと、そのようなことは全然知らなかったという話でした。
 あのときは、NHKも民放も、地震、津波、原発で手いっぱいだったと思います。1か月、2か月すると、私たちの生活も落ち着いてきましたが、内陸部の方たちの生活の困ったことや、地盤の問題、地震や津波だけではないいろいろな問題については取り上げられないこともありました。大きな災害でなければ、ガスが1か月以上止まってお風呂に入れないということは大ニュースですが、あのときはまったくニュースにもならなかったということです。
 これからも、震災が起きるとどういったことが起きるのか、都市部、東京などで地震が起きてガスが1か月止まったらどうなるのかといったことも考えて、いろいろな問題を取り上げていってほしいと思います。

(司会)
 ネットでの話題なども「てれまさむね」の中で取り上げて、きちんと事実を確認しながら放送してほしいというご意見をいただきました。また、地域発の番組での試みについての提案もいただきました。最後に、災害の起こった当時は報道できなかったさまざまな課題を、今掘り起こして放送していく大切さについて教えていただきました。

(辻村局長)
 ネット情報のファクトチェックの役割は大事だと思います。報道機関として、ネットの情報を早く伝えるということも当然あるのですが、それが事実であるか確認をしないで出すということはあってはなりません。いろいろな課題や情報が出ているときに、NHKを見れば、その情報が本当かどうか分かるということが基本だと思います。そうした取り組みを地域の放送局もしっかりとやっていきたいと思います。
 また、大阪放送局から出すのであれば、山形放送局から出すという取り組みもあると思いますし、共感される要素はきっとあると思います。地域の放送局は頑張って地域に向き合って放送していますが、全国に発信することや、東北管内に発信するということもあってもよいなと思いましたので、きょう承った発想は現場に投げかけてみて、ことしになるか来年になるか、新しいニュース番組の展開に生かせればと思います。
 内山記者のレポートですが、私も8年前まで仙台にいたときに、彼とは現場で一緒に仕事をした仲です。地盤災害という、今後考えなければならない災害の実相をよく伝えてくれたと思いました。過去に起こったことを伝えることも大切ですが、これから起こるであろうことを過去の教訓から引き出して、広く伝えるというのも大切なことです。ライフラインが途絶したときはどうなるのか、あるいは地盤災害について、地震が起こった後に地盤がどのように影響を受けるのかといったことは、課題先進地域である東北から、首都圏の方々にも分かってもらえるように発信していく役割はあるのだと、改めて認識しました。引き続き頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。

【参加者】
 放送技術の関係などで難しいのだとは思うのですが、たまに「一部地域を除く」ということで、こちらでは放送されない番組があります。NHKはかなり少ないほうなので助かっていますが、全国放送を見たい人も、地域放送を見たい人もいると思うので、どちらでも選べるようにならないかと思っています。高校野球などでは、副番組のように選べるときがありますが、そうしたことをふだんからできないかと思っています。

【参加者】
 NHKが公正中立な報道を心がけているのは非常に重要な点だと思うのですが、差別というものに対しては、中立であってはならないと感じることがあります。社会に差別はあってはならない、という立場に立って発信をしていただきたいと感じています。性的少数者や男女間の差別については、NHKではすでにたくさん取り組まれていると感じますが、一方で、世代間の差別ということについて、もう少し取り組んでいただけないかと思っています。
 若者は、意見を言うと、その時点で上の世代の方から「勉強不足ではないか」などと言われるため、それを恐れてしまうということがあります。そうした価値観が社会に流れているのは確かなことだと感じていて、差別解消にむけてアプローチしていただけないかと思っています。
 また、私はニュースアプリのヘビーユーザーで、先日「くじ引き民主主義」についての特集を拝見しましたが、非常に分かりやすいものでした。議会制民主主義ではなく、くじ引きで、あらゆる世代の人を実際の割合にそろえて議会をするというものです。NHKの経営に関しても、見ている人の世代が偏っていることで、その世代に向けた報道になっている可能性が高いように感じています。もし持ち帰って議論していただけるのであれば、くじ引き民主主義について取り上げてみてはいかがでしょうか。

【参加者】
 私は今、就活中で記者を目指しています。SNSでいろいろと怪しい情報があふれるなかで、NHKが果たす役割は大きいと思っています。
 私と同年代の人や、より若い方々は、一人暮らしの家にテレビがある人のほうが少ないですし、インターネットがあってもスマホでNHKは見ないと言う人も多く、NHKに触れるという意味で、NHKを見るためにNHKプラスやNHKオンデマンドなどのアプリを入れるという人は、少ないのではないかと思っています。
 聞いた話ですが、ネットフリックスやアマゾンプライムなどでNHKの長編で質の高い番組を放送することができれば、たくさんの人が見ていろいろな人に届くけれども、そうすると、ネットフリックス側などに利益が出てしまうので、公共放送としてはできないということでした。NHKを見ようとして、スマホを持つ人は少ないと思うので、少しでも目に入り、おもしろそうだと思ってもらえるように、もっといろいろなネット環境の中に、NHKをのぞける状況があれば、触れる機会も多くなると思います。
 この前、ウクライナの国営放送をNHKが取材した、とても感動した番組がありました。ウクライナ問題に関心がある人は私の周りにもたくさんいますが、関心があるといっても、NHKプラスを入れてウクライナの番組を見に行く人がどれだけいるかと考えると、おそらくグーグルやユーチューブなどで「ウクライナ」と調べて見るという人のほうが多いと思います。たくさん工夫をしているとは思うのですが、もう少し違う形が加われば、もっといろいろな人の目に届いてくれるのではないかと感じます。

【参加者】
 私はボランティアでNPO法人に入っていて、選挙啓発などの活動をしているのですが、私たちの世代、10代、20代というのは、社会から切り離されがちで、私たちも社会のことにあまり興味がないように感じます。私たちに対するニュースや保障などが少なくなってしまっているということを、選挙啓発に関わっているからこそ感じる部分があります。
 私たちももう少し、地域づくりや番組制作などに関わることができれば、同じ世代に向けて、私たちはこのようなことをしているよと巻き込んでいけると思います。あまり社会を知ろうとしない若者でも、何人かを味方につけて巻き込んで番組やニュースなどをつくっていければ、もっとみんなでつくる番組になっていくのかなと思います。

【参加者】
 受信料については、こつこつときちんと払っている方は多いと思いますが、これから人口減少社会に入っていきますし、NHKグループの方たちも減っていくと思います。NHKで発行しているテキストは出版社が作成していると思いますが、将来的には、サブスクリプションを考え、受信料の中にそうしたものを入れて、紙ではなくデジタル媒体で提供するといったことがあるとよいと思います。
 また、英語番組の日本語字幕や、「ワールドニュース」の日本語での放送がありますが、英語のニュースを英語の字幕で出してくれるとありがたいなと思っています。
 災害報道については、私は土木学会に所属していますが、最近、気象庁と国土交通省の発表を受けて、番組の中で国土交通省のカメラを引用しているのは、本当に適切だと思います。この何年間かで河川の安全に対する考え方はとても変わっていますので、あのように放送してくれるのは、リアルタイムでよいと思います。
 また、すぐに中継車が現場に向かい、その途中で車の中から放送しているのは、首都圏直下地震と南海トラフ地震のためにいろいろと準備や練習をしているのかなと思っています。土木のデータを使うということと、リアルタイムに放送するということを、このまま伸ばしていただけるとありがたいなと思います。
 最後に、放送と通信については、境目が分からなくなってきていますが、私の知り合いの娘さんが、学生の勉強はインターネットで知識を得るより図書館に行くのが一番よいと言っています。公正中立や正しい報道といったものを図書館だとすると、SNSや無料で見られる放送や個人の放送など通信は、どこかに図書館との境目があるように思います。図書館とインターネットで知識を得ることの境目と同じようなことが、NHKと民放や、ほかの通信にあると思います。どちらかといえば、図書館寄りのことを切磋琢磨してやっていただけるとありがたいと思っています。

(司会)
 皆さんから、NHKに触れる機会について、たくさんご提言をいただきました。サブチャンネルで工夫して接触する人を増やしてみてはといった意見や、ニュースアプリの中にヒントがあるのではないかという意見。番組づくりに一緒に関わるという形があるかもしれないという意見や、さまざまな情報との境目をきちんと見据えながら、NHKの放送をつくっていってほしいとの意見もいただきました。

(林専務理事)
 全国放送や地域に密着した放送など、いろいろとバリエーションを組み、サブチャンネルも使いながら放送していますが、それを補完する形として、NHKプラスのサービスも始めました。全国放送もそうですが、地域の番組も、徐々に見逃し配信でご覧いただけるようになっています。これは同じ時間帯の違う番組をお楽しみいただける一つの方法ではないかと思います。まだ、おっしゃっていたところまでは至っていないと思いますが、いろいろな形でさまざまなものを見ていただけるよう、工夫していきたいと思います。
 多様性については、私たちも力を入れています。私はメディアを担当する前に、ダイバーシティー推進を担当しており、かなり力を入れて取り組んだ分野です。多様性には、ジェンダーや年代以外にも、さまざまなものがあります。社会を映す鏡として、コンテンツを制作するうえで、若い方のご意見を取り上げたり、ご出演いただく方々の年齢層もできるだけ幅を持たせるようにしたりすることで、若い方々もご意見をより言いやすいようにする雰囲気を、社会全体でつくっていくことも、私たちの大事な役割だと思っています。
 若い皆さんにどうやって届けていくかは、本当に永遠の課題です。さきほどご指摘いただきましたが、日テレ系列の「OH!バンデス」について辻村局長が私たちの先輩だと申し上げたのは、本当にまんべんなく、あらゆる年齢層の方に届いているからです。一方、長年NHKを支えてくださっている方々の年齢層が偏ってきているということもあって、若い皆さまにどうやって私たちのコンテンツをお届けするかということが、永遠の課題です。例えば人気のある人に頼るといったことはできますが、そうではなく、私たちのコンテンツをしっかりとどうやって真正面からお届けできるかと、日々いろいろな分析をしながら、悩んでいます。耳が痛いお話をいただきました。きょうはそのご意見を持ち帰らせていただきたいと思います。
 社会との協業というご意見について。今、社会のいろいろなグループの方と一緒にコンテンツをつくる取り組みを行っています。若い方に特化した取り組みは、まだできる分野がたくさんあると思いますので、これからもいろいろ考えていきたいと思います。
 英語ニュース、あるいは番組の英語字幕の話については、放送はしていませんが、「NHK WORLD-JAPAN」というNHKの国際放送のサイトがあります。NHKのサイトからリンクされていますが、このサイトに番組やニュースをオンデマンドで見ることのできるページがあり、そこで字幕のオン、オフを選択することができます。ニュースにしても、番組にしても、英語で字幕を見たいと思ったら、クローズドキャプションというマークがありますので、そちらを選んでいただけると、ナレーションが英語の字幕で出ます。ご関心があれば、それを使っていただければと思います。
 少し専門的なことになってしまいますが、アメリカでは、番組を放送するときに、必ずクローズドキャプション、つまり字幕をつけなければいけないという法律があります。そのために作成している字幕を活用して出しています。国際放送の番組用ではありますが、英語に関心のある方にも使っていただけるものだと思います。ぜひ一度お試しください。
 また、河川情報をご評価いただき、ありがとうございます。いろいろな取り組みの1つですが、これからも災害報道については、きちんと取り組んでいきます。
 図書館に例えた役割にもご評価いただきました。生涯教育ということでは、学生さんはもちろん、すでに社会に出た方にとってもお役に立つ、「NHK for School」というサイトがあります。基本的には小学生、中学生の皆さん向けにつくっているものです。また高校講座のサイトもあり、私の年齢でも使える、かなりリッチな内容になっています。「NHK for School」というと小中学生向けと思われるかもしれませんが、お役立ち情報や教養系のものもあります。皆さまにいただいている受信料でつくっているものですので、ぜひフルに活用していただきたいです。
 本日は本当に貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

(司会)
 本当にさまざまなご意見や、ご要望、ご提言をいただきました。経営委員から全体を通して一言申し上げます。

(堰八委員)
 私たち経営委員は、個別の番組の編集、編成に対しては、口を出すことができないという法律上の決まりがあります。きょうは個別の番組に関わる質問が多かったので、そのような意味では、残念ながら私たちが発言する場面がなかったのですが、私たちはその分、経営全般・予算の管理、ガバナンスについてしっかり見ているつもりです。
 経営委員会はかねてから、地域を重視する姿勢は非常に重要であるということを、執行部に申し入れしています。今回の中期経営計画の中でも、地域を重視するという方針が入っており、さまざまな改革が取り組まれています。きょう皆さんからいただいた意見の中にもあったように、震災後の問題のような地域のいろいろな情報や課題を、その地域だけで持つのではなく、NHKが持っている全国ネットワークに乗せて発信して、課題があれば全国でさらに活発に議論を行い、地域の課題を解決していくといった役割も、NHKは持っているのではないかと思いました。経営委員会としては、各番組がこの地域重視という姿勢を維持しているか、引き続き注目をしていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。きょうはありがとうございました。

(水尾委員)
 経営委員としては、今、堰八委員が申し上げたとおりですが、私個人としましては、若い世代の方々の意見を大変貴重に感じていました。今、若い世代が、なかなかテレビに接触していただけないなかで、これからの日本を支えていく方々に、多くの良質な番組や報道に触れていただきたいと思います。カメラでも、昔流行したフィルムカメラを、若い人が新しい使い方で楽しみを見いだしていますし、レコードも、今、若い人たちがもう一度アナログのレコードのよさを見いだしているようです。
 これからのテレビとの新しい関係は、やはり20代、30代の方がつくっていくものと思っていますので、よいご意見をお聞かせいただけたらと思いますし、積極的にテレビを見ていただけるように、周りの皆さんにもお勧めいただければと思います。きょうは皆さま、本当にどうもありがとうございました。

(司会)
 ありがとうございました。最後に、仙台放送局の辻村局長からご挨拶を申し上げます。

(辻村局長)
 われわれNHKのために、休日のお忙しい時間を割いていただきまして、改めて感謝を申し上げます。
 ニュースの内容の充実に向けて取材を頑張れといったお話や、「てれまさむね」などの番組をいろいろとご覧いただいてのご意見は、本当に胸に刺さるものがございました。
 われわれ地域の放送局は、東北は仙台局だけでなく、5県の放送局もそれぞれいろいろな取り組みをしています。このような機会以外でも、引き続きご意見をお伝えいただければ、また1つずつよくなっていくと思います。
 きょうは若い方のご意見の中に、番組づくりに参画したいという、非常に勇気づけられるお話がありました。東北でも、福島局では、学生委員会といって、40人ぐらいの学生がグループをつくって、実際に番組づくりをしてもらっています。盛岡局でも同じような取り組みがあります。仙台局ではまだできていませんが、その取り組みをぜひ東北全体につなげて、それぞれの放送局の学生のメンバー同士が交流できるようになれば、東北全体の課題も見えてくるでしょうし、先ほどお話しいただいたような東日本大震災の教訓の継続や、教訓を受けた全国の防災対策の新たな前進などを、若者の視点も含めて発信していけると思います。それは東北の強みだと思っています。
 きょうは、ご指摘を受けて襟を正すとともに、勇気づけられたと思っています。きょう伺ったことは、それぞれの現場に伝えて、われわれも前に進んでいきたいと思います。引き続き、皆さまにはNHKの番組をご覧いただければと思います。本日は、本当にありがとうございました。

(司会)
 「視聴者のみなさまと語る会(仙台)」は、これで終了とさせていただきます。きょうは本当に貴重なご意見をありがとうございました。

 

 

 

<視聴者のみなさまと語る会(仙台)> 参加者事後アンケート

※単位は回答人数

質問1:性別

男性 女性 その他 無回答
15 8 0 0

質問2:年代

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代〜
0 2 2 1 6 10 2 0

質問3:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 無回答
7 9 5 0 0 2

質問4:NHKの放送・サービスについて理解や関心が深まりましたか

大変深まった 少し深まった 変わらない あまり
深まらなかった
ほとんど
深まらなかった
無回答
11 8 2 0 0 2

質問5:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 少し知っていた あまり知らなかった ほとんど知らなかった 無回答
1 8 4 8 2

質問6:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

大変深まった 少し深まった 変わらない あまり
深まらなかった
ほとんど
深まらなかった
無回答
4 15 2 0 0 2