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2019年度 第5回
視聴者のみなさまと語る会in高松
(2019年10月26日(土))

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の2019年度第5回は、高松放送局で実施し、「公共放送の役割」などNHKの経営全般に関すること、「NHKの全国放送や地域放送のあり方」など放送に関すること、の2つのテーマについて、公募による38人の視聴者から意見を聴取した。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会in高松

 

<会 合 日 時>

2019年10月26日(土) 午後1時〜3時

 

<出  席  者>

〔参 加 者〕

視聴者の皆さま38人

〔経営委員会〕

明石 伸子  (委員)

 

高橋 正美  (委員)

 

長谷川 三千子  (委員)

〔執 行 部〕

松原 洋一  (理事)

 

黄木 紀之  (理事)

 

池田 信浩  (高松放送局長)

〔 司 会 〕

関口 泰雅   アナウンサー

 

< 会    場 >

 高松放送局 第1スタジオ

 

< 開 催 項 目>

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの経営全般について

 (2) NHKの放送について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「もっと知りたい『チコちゃんに叱られる!』」と題して、水高満プロデューサーによる講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、ホームページを通じて65人から参加の申し込みがあり、抽選で51人に参加案内を発送した。

  • 当日は38人が来場し、「公共放送の役割」などNHKの経営全般に関すること、「NHKの全国放送や地域放送のあり方」など放送に関すること、の2つのテーマについて意見や提言を募った。

  • 参加者からは、「受信料の公平負担」「見逃した番組を見られるサービス」「出演者のことばづかい」「地域放送の大切さ」などについて、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 語る会終了後に行ったアンケートには、37人から回答があった。主なアンケートの結果は次のとおり。

    <参加者の満足度>
     「大変満足」16人、「満足」11人、「普通」7人、「不満」1人、「大変不満」0人(記入無し 3人)

    <経営委員会の仕事について>
     「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「理解が深まった」との回答が26人からあった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

(明石委員)

 経営委員会について、ご紹介をさせていただきます。NHKの経営委員は、放送法という法律に基づき、国会の同意を得て、内閣総理大臣から任命され、さまざまな分野や地域から12人が選ばれています。
 経営委員会では、経営の基本方針や予算、事業計画などを議決するほか、NHK会長の任命も行います。会長や副会長、理事らが、決められた方針にのっとってNHKを運営できているかどうかをチェックすることも、私たち経営委員の仕事です。また、経営委員の中から監査委員が任命され、経営委員と会長以下の役員の職務の状況を確認しています。
 経営委員は、NHKの経営にあたり、視聴者のご意見も踏まえ、適切な判断や検討を行うことが求められています。そのため、放送法に基づいて、本日のように皆さまから直接お話を伺う会合を、各地で開催しています。
 NHKは皆さまからいただく受信料で運営されています。税金でも広告収入でもなく、皆さまに公平にご負担いただく受信料だからこそ、特定の利益や意向に左右されることなく、公共放送NHKとしての役割を果たすことができます。こうした考えから、テレビなどをお持ちの方は、NHKと受信契約を結んでいただくことが法律で定められています。NHKでは、受信料の公平負担の徹底に向けて、支払率の向上を目指した努力を続けています。
 受信料については、今月、消費税率が2%引き上げになりましたが、受信料は値上げをすることなく増税前の料額に据え置きました。さらに来年10月から、地上契約、衛星契約、それぞれ2.5%値下げをしますので、2020年度はトータルで2018年度の受信料収入見込額の4.5%程度の値下げとなる予定です。
 また、受信料のご負担を減らすため、経済的に厳しい状況にある学生への免除などを実施しています。さらに今月からは、新たにテレビなどを設置された方については、設置した月の受信料の支払いを無料にしました。ぜひNHKの活動についてより深く知っていただき、ご理解くださいますようお願いいたします。
 次に、経営計画についてです。NHKがどのような放送の未来を描き、皆さまにとってどんな存在でありたいと思っているのか、放送やインターネットでどのようなメディアを目指していくのか、それが書かれたものが「NHK経営計画」です。これは経営の基本方針であり、私たち経営委員と執行部が話し合いを重ねてまとめたものです。ことしは、3か年計画の2年目に当たります。計画を実行していくにあたって取り組む重点方針5つは、「“公共メディア”への進化」「多様な地域社会への貢献」「未来へのチャレンジ」「視聴者理解・公平負担を推進」「創造と効率、信頼を追求」です。
 NHKのさまざまな取り組みについてビデオにまとめていますので、ご覧ください。
 (ビデオ「“公共メディア”NHK」にてNHKの活動を紹介)

 このように、NHKは、視聴者の皆さまのそばで役に立ち、情報の社会的基盤としての役割を果たす「公共メディア」への進化を目指しています。テレビ、そして、インターネットの時代へと、メディアをめぐる環境は大きく変化しています。NHKは現在、スマートフォンのアプリなどで、ニュース・防災や、国際放送、ラジオなどのインターネットサービスを提供しています。
 また、来年行われる東京オリンピック・パラリンピックに向けては、総合テレビとEテレの放送を、パソコンやスマートフォンで、いつでもどこでもご覧いただけることを目指して取り組んでいます。
 本日、皆さまからいただく貴重なご意見は、今後の活動の参考にさせていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 

≪視聴者の皆さまからのご意見とNHK側からの回答≫

 

第1のテーマ:NHKの経営全般について

(司会)
 はじめに、事前アンケートで受信料の公平負担の徹底についてのご意見、ご要望をいただきましたので、経営委員、執行部よりお答えします。

(高橋委員)
 NHKは、受信料を財源として皆さまに支えていただいています。この体制を今後も踏襲するためには、皆さまからきちんと受信料をお支払いいただくことが基本になると考えています。そのために、NHKがいま、何をどのように行い、サービスとして還元しようとしているのかを、きちんと説明していく必要があると思います。皆さんにご理解いただき、お支払いいただけるよう、進めていきたいと考えています。

(松原理事)
 営業担当の松原です。受信料の公平負担は、NHKの経営にとって最も大切なことであり、それに向けて協会全体で努力をしてきました。
 毎年3月に、都道府県別の推計世帯支払率を公表しています。ことし3月の公表で見ると、全国平均は81.2%。香川県は、それよりはるかに高く、86.0%の人から受信料をいただいています。本当にありがとうございます。
 都道府県別に見ると、地域によっては支払率が低いところがありますが、特に大都市圏では、集合住宅率や単身率が高いこと、また、オートロックマンションやタワーマンション等が多くなかなか居住者にお会いできないことから、支払率が低くなっています。今後、重点的に取り組むことで、皆さんが不公平を感じることがないよう、最大限努めていきたいと思います。
 10年前は、世帯と事業所を足した支払率は70%でしたが、取り組みを続け、ことしの3月には82%まで上がってきています。今後も、引き続き支払率を伸ばしていきたいと思います。

【会場参加者】
 支払率80%という数字が出ましたが、その分母は何ですか。

【会場参加者】
 単身赴任をしている家族と、家を出て生活している娘たち全員が、受信料を支払っています。娘から、携帯電話のワンセグでの受信においても受信料が発生するのか聞いてほしいと言われました。もし分かればお答えください。

【会場参加者】
 事前アンケートにも書きましたが、スクランブルをかけてほしいと思います。友人で、受信料を支払っていないと自慢げに言う人や、衛星放送を見られるのに地上契約しかしていないと言う人が結構います。スクランブルをかければ、きちんと契約しなければNHKの放送は見られないことになります。地上波にスクランブルをかけるのはなかなか難しいと思いますので、まずは衛星放送からかけてほしいと思います。

(松原理事)
 支払率の分母についてですが、例えば世帯の場合は、都道府県別のテレビの保有率は約95%と出ていますので、全国の世帯数にその割合を掛けて、そこから公的扶助を受けている世帯などの免除の対象者を除いて、「本来、受信料をいただかないといけない契約対象の人」を割り出し、それを分母にしています。
 携帯電話は受信料の対象になるのか質問がありましたが、放送法第64条で、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置したものは、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定められています。
 テレビをお持ちでなくても、チューナー付きのパソコン、あるいは携帯のワンセグやカーナビでテレビが見られる場合は、すべて受信契約の対象となります。
 スクランブルの件については、いろいろなところでご意見をいただいています。ただ、NHKは、放送法第15条で、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組」を放送することが求められています。災害時には番組編成を大きく変えて災害報道を行い、命と暮らしを守る放送を行っていますが、その基盤は、受信料によって皆さんに支えられています。視聴率や特定の利益に左右されない放送をするためには、受信料が必要です。
 そのような公共放送の役割を果たすことと、スクランブル放送とは、相反するものです。先ほど、衛星放送を見ることができるのに地上契約の受信料しか支払っていない人がいて不公平だというお話がありましたが、NHKは、衛星放送にはCASメッセージを表示して衛星をご覧になっている人を把握し、一軒一軒訪ねて契約をいただいています。ぜひご理解をいただきたいと思います。

(長谷川委員)
 補足ですが、先ほどのワンセグの携帯電話をお持ちの場合は受信料が発生するというのは、テレビがなく携帯電話だけをお持ちの場合の話です。例えば、テレビをお持ちのご自宅でお嬢さまが携帯電話のワンセグでご覧になる場合は、テレビに加えて新たに携帯電話の受信料が発生するということはありませんので、安心してご覧になってください。

(松原理事)
 受信料の契約は世帯単位ですので、世帯の中にテレビやワンセグを見られる携帯が何台あっても、1契約でよいということです。ただ、学生の方などが1人暮らしをすると、別世帯となりますので、受信料の支払いが必要となります。

【会場参加者】
 光ケーブルなどのインターネット回線では、NHKの番組も見られるが受信料は支払わなくてもよいと聞いたことがあるのですが、本当でしょうか。

【会場参加者】
 先ほどスクランブル化についての話がありましたが、私は今、WOWOWの契約をしています。WOWOWは、自分が見たいからお金を支払っていますが、公共放送は勝手に電波を飛ばしているのに受信料を支払う必要があるのか、との考え方もあります。私は、公共放送として、国民全員が必要な情報は公共のものとして料金を無料にする一方、「大河ドラマ」や朝の「連続テレビ小説」などは別枠で有料化して、見たい人だけがお金を支払って見るという考え方もあるのではないかと思います。

【会場参加者】
 受信料は支払うのが当たり前と思っていますが、最近、「NHKをぶっ壊す」といった政党が出てきて、穏やかではないと感じています。受信料を支払っている私からも何かNHKに伝えたいと思い、参加させてもらいました。
 うちでは、朝、NHKのニュースを見ています。子どもたちは、Eテレを見せていればじっとしていますし、日曜日の朝はアニメなどの番組を見ずに「趣味の園芸 やさいの時間」などを見ているという感じで、結構、NHKには恩恵を受けています。
 一方で、1人暮らしの人など、朝、仕事に行って帰ってくるだけでテレビをほとんどつけない、土日ぐらいしか見ない人たちとは、視聴時間に格差があって、その人たちからすると受信料を取り過ぎではないかということもあると思うので、納得できるような取り組みを経営の中で考えてほしいと思います。

(松原理事)
 インターネットの光ケーブルの件は、NHKが同意して光ケーブルを通して再送信をしていますので、受信料の対象となり、受信料を支払っていただくことになります。
 ケーブルテレビも同じです。NHKはケーブルテレビ事業者と連携しており、ケーブルテレビ事業者が、ケーブルテレビの視聴料とNHKの受信料をセットで集金し、受信料をNHKに一括して支払っていただいています。そのために、「団体一括割引」という1か月200円の割引を行っていますが、光ケーブルも同じような仕組みです。

(長谷川委員)
 経営にも関わってくるご質問もあり、経営委員会でも議論すべきテーマではないかと思いながら伺いました。
 視聴時間の格差については、一日中テレビをつけっ放しの方と、帰ってから1時間だけつける方とでは、確かに格差があり、それで受信料が同じというのは公平負担と言えないのではないか、とのご意見もあると思います。一方で、その解決はとても難しいのでないかと思います。
 また、お笑い番組は公共放送に本当に必要なのかというご意見をいただくこともあります。放送番組の中身によってきめ細かく料金体系をつくるというのは、大変複雑なことになると思いますが、私自身も、このようなことを問題ではないかと考えたことがありますので、経営委員会でも問題提起をして、皆さんがどのような意見を持っているのか、聞いてみたいと思います。技術がさらに進むと可能になることもあるかもしれませんので、未来への課題として伺っておきたいと思います。

(松原理事)
 テレビを設置したものはNHKと受信契約をしなければいけないと放送法に規定されていて、支払い義務についても、総務大臣の認可を得た受信規約の中で決められています。NHKは、視聴者の皆さんからご理解、ご信頼をいただかないと成り立ちませんので、引き続き公共放送の役割や受信料制度の意義などをご理解いただく努力を続けていきたいと思います。
 視聴時間の格差と受信料の件については、受信料は、見た分に応じて支払う対価ではなく、公共放送のさまざまな事業を支えるためにあらゆる人に公平に負担をしていただくことが基本となっており、視聴時間に関係なく、テレビを設置すれば受信料をいただく仕組みになっていますので、ぜひご理解いただきたいと思います。

(黄木理事)
 生まれてから亡くなるまでのライフステージの中で、さまざまな立場の視聴者が、それぞれ、その時々に必要とする情報があります。NHKは、できるだけ多種多様な番組を放送し、その時々に役に立つよう、努力しなければならないと思います。
 これは、大勢が見たいものをつくるというビジネスモデルとは異なります。受信料で支えていただいている公共放送だからこそ、少数のための番組であっても、ライフステージの中でこの時には絶対に必要だという番組をできるだけ多種多様につくってご覧いただく努力をし、理解を深めていくべきだと考えています。

【会場参加者】
 例えば、民放で何か“やらせ”があったとしても、受信料を支払っている訳ではないので、「あ、そう」といった感じで受け止めますが、NHKの情報番組で“やらせ”や数字の間違いがあったり、健康番組の情報が作り事だったりといったことがあれば、当然、お金を支払ってこれはないだろう、お金を返せ、と思います。
 東日本大震災の何年か後に、どこかで地震があった時、朝8時ごろNHKのラジオを聴いていたら、原子力発電所の近くで、放射能が漏れるかもしれないというようなことを言った途端に、放送が消えたのです。それで、「ああ、これは流してはならないニュースだったのかな」と思いました。視聴者としては、今の世の中では「これは本当かな、どうかな」というのを、新聞でも週刊誌でも民放のテレビでも、吟味しながら見なければいけません。フェイクニュースで、うそのニュースもコンピューターでつくる世の中になって怖いと思うし、インターネットも含めてあまた情報がある中で、お金を支払って事実と全然違うニュースを見せられたとしたら、じゃあなぜお金を支払っているんだ、というふうに思います。

【会場参加者】
 私は、朝、ラジオを聴きながら目覚めて、それから台所仕事をしながらもラジオを聴いて、その後はずっとNHKのテレビを見て、また夜になると6時のニュースからほとんどラジオを聴いています。ですから、受信料はひとさまの倍か3倍くらい支払わないといけないかと思ったのですが、きょうの説明を伺って安心しました。
 私は、「NHKウィークリーステラ」を、タイトルが「グラフNHK」だった時からずっと50年間購入していて、通信販売も使っていましたが、終わってしまいました。ネットクラブも、最近終了しました。大変重宝していたのですが、復活はできないでしょうか。

【会場参加者】
 スクランブル化の問題について、立花さんが党首となって「NHKをぶっ壊せ」と活躍しています。あの方は元NHKの職員ですが、彼の最近の、国を変えるという意気込みをユーチューブで見ると、世の中がものすごく変わりそうです。彼の意見はインターネット上に見切れないほどたくさん出ていますが、それに対し、NHKの意見は一生懸命探しても見つかりません。
 先ほどから、公共と言われていますが、今、公共ということをどう捉えているのでしょうか。100年前と今のネット時代では同じなのでしょうか。
 また、「放送法に従って」と言いますが、いつの時代の放送法でしょうか。今の時代にマッチした放送法にしなければならないと思います。
 技術力が進み、がらっと変わる世の中で、NHKは依然として古い放送法を盾に、マンションにBSアンテナがついていたら、見ているかどうかに関わらず衛星契約が必要としています。高い衛星料金を支払ったうえで、実質2%値下げと言われても、ごまかしのような、目を反らされているだけのような感じがします。

(黄木理事)
 まず、事実と違う情報という話がありましたが、故意に違う情報を流そうというようなことがあれば、それは本当に責任をとらなければいけないと思います。私どもとしては、受信料をいただいて、きちんとした情報を視聴者の方々に届けるために、グループ全体で一生懸命つくっていますし、これからもきちんとした番組をつくっていきたいと思っています。
 地震があった後に、放射能が漏れる危険があるという話のあとに放送が切れたという話がありました。私どもは、受信料をいただいて仕事をしているので、誰かにとって都合の悪いことだからこれは言わないでおこうとか、そのようなことを考える必要はありません。これからも、視聴者の皆さまのために、必要な情報をきちんと出していきたいと思っています。私は、これまで報道や編成で仕事をしてきましたが、ラジオが放射能の話の後にプツンと切れてしまったという問題があったという記憶はありません。視聴者に伝えなければいけないことを、何かの関係の中で抑えるというようなことはありませんし、NHKとして、もしそんなことをしてしまったら、それこそ、受信料制度そのものを自分で破壊してしまうようなことだと思っています。
 NHK全体で、きちんとした情報を、これまでも、これからも、ずっとしっかりと流していきたいと思います。フェイクニュースといったものが世の中で出てきた時に、視聴者の皆さまにNHKの情報を信頼いただくことが、私どもが仕事を続けていくことの一番の基本だと肝に銘じています。

(高橋委員)
 先ほど、厳しいご指摘を受けましたが、われわれの業務は、放送法に決められた範囲内で、粛々とやっていくことが求められています。放送法は、ことし改正が行われ、NHKの常時同時配信が認められつつあります。放送は1つのものをあまねく皆さんに対して流していくというものですが、インターネットは、1対1という動きになるわけで、ある意味、根本が大きく異なりますが、それが、ようやく解禁されつつあるという状況です。
 ご指摘の点については、われわれも、皆さまにどのようにご理解をいただくのかを考えながら、テレビだけではなく、インターネットも使いながら対応をしていきたいと思います。
 NHKでできること、できないことが法律で決められていることも、ご理解いただければと思います。

(松原理事)
 先ほど、N国党がネットでいろいろと言っているのに、NHKの反論がどこにあるのかわからないというご指摘がありましたが、NHKホームページのトップページに、「受信料と公共放送についてご理解いただくために」として、NHKの考え方をしっかりと書いています。動画も含め、NHKの考え方を明らかにしていますので、ぜひ皆さんもご覧ください。

(黄木理事)
 ラジオについての話がありました。いつもラジオを聴いていただきありがとうございます。
 ネットクラブについては、確かに今のサービスは終了を考えています。今までのネットクラブは、番組広報の位置付けだったのですが、より放送やデジタルコンテンツと連動する形で、ネットクラブと同じように視聴者の方々とコミュニケーションがとれるようなものを続けていこうと思っていますので、ぜひ、そちらをお使いください。
 それから、ステラの通信販売については、NHKは、放送法でそのような営利活動はできないと決められていますので、関連団体のNHKサービスセンターという財団法人がつくっています。そちらで、その時々のいろいろな状況を考えながら、どのようにサービスを行っていくかを考えていますが、いただいたご意見は、帰って伝えたいと思います。ありがとうございます。

 

 

第2のテーマ:NHKの放送について

(司会)
 事前アンケートで、地域放送についてのご意見・ご要望もいただきましたので、地域放送の取り組みについて、経営委員、執行部よりお答えいたします。

(長谷川委員)
 地域放送を重視するということは、われわれが非常に心を砕いているところで、上田会長が就任されたときに、まず、第一に約束されたのが、地域放送の充実でした。私も、そこに非常に期待を寄せて応援してきましたが、振り返ってみると、この地域放送の重視には、大きく2つの意義があると思います。
 1つは、その地域の方々に密着した、身近で必要なニュースをお届けして、地域の方々のニーズにきめ細かに応えるということです。これが地域放送の特色で、NHKは、他の民放と比べても、特別にその地域放送のシステムが整っていると 言ってよいかと思います。
 2つ目の大切な役割は、各地域の魅力を、その地域以外にも届けるというもので、これがここ2、3年の新しい取り組みだと思います。
 皆さんは、「ザ・ディレクソン」という全国放送の番組をご覧になったことはあるでしょうか。これは、今はまだ少数の県がトライアルを行っているところですが、その県にお住まいの方に、地元の放送局に集まって自分たちで県の魅力を発信する番組をつくっていただくという試みです。これまでもいくつかの県の放送が全国ネットに載りましたが、非常におもしろい、魅力のある番組になっています。
 まだ香川県は行っていないということですが、このようなことは、各地域のお住まいの方々から声を上げていただくことによって活性化していきます。各地域の魅力を、ほかの県、あるいは大都市に発信することは、地域の振興にも役立つのではないかと思います。
 地域放送の活性化は、これからのNHKの取り組みの目玉と言ってよいのではないかと思っています。

(池田高松放送局長)
 高松放送局では、3つの取り組みを、皆さんへの貢献と考えて行っています。1つ目は、ラジオやテレビで地域のニュースや情報番組を放送していくこと。2つ目は、地域の話題や課題を掘り下げた番組を放送していくこと。そして3つ目は、放送とイベントをミックス、コラボさせた取り組みを行うことです。
 1つ目については、災害報道などで、地域の皆さんの命と暮らしを守る放送を第一に取り組んでいます。
 2つ目については、昨年度から、地域の話題や課題を掘り下げた番組として、金曜夜7時半から「さぬきドキっ!」という番組を放送しています。これまで、赤字が続いているJR四国の状況と今後の取り組み等について放送してきました。また、3年に一度開かれる瀬戸内国際芸術祭の楽しみ方について、こちらにお住まいの方は、この時期、外国人の方にお会いすることが多いと思うのですが、意外と地元の方が訪れていないということで、地元の人たちが楽しめる方法について放送しました。それから、ここにはすばらしい技術を持った人などがたくさんいらっしゃるのですが、「香川のすごい人たち」として取り上げ、地域を活性化して、地元を元気にする番組をつくっています。
 3つ目は、イベントと放送のミックスということで、香川県立ミュージアムで、大型連休の時期に1か月ほど「8Kが映す讃岐の秘宝“衆鱗図”」という催しを行いました。「衆鱗図」は、江戸時代に描かれた非常に緻密で精巧な魚の絵です。それを8Kカメラで撮り、7台のモニターを使って映し出し、実物だと近づいても見られないような精巧で立体的なものを4K・8Kの映像で見られるという試みを行いました。同時にBSや、4K・8Kで放送も行いました。4K・8Kはなかなかご家庭でご覧になれませんので、NHKのロビーにある8Kモニターでもご覧いただけるようにしました。
 以上、新鮮で必要な情報、地元の話題や課題をより深く掘り下げた番組を作成し、地元のすばらしさを地元へ、全国へ、そして世界へ、をモットーに、地域に貢献し、地元を盛り上げる取り組みを行っています。

【会場参加者】
 2つあるのですが、標準語と讃岐弁の違いとして、例えば、「観音寺市」は、地元だと「かんのんじ市」と言いそれが正しいと思うのですが、この辺では「かんおんじ市」と言うんです。標準語と方言では、どうしてもNHKも全国放送なので標準語が主になって、だんだんと子供たちが方言を忘れていってしまうのではないかと感じます。
 先ほどの「ザ・ディレクソン」という番組の話にも関係しますが、もっと方言を重視したニュースも流して、音として、子ども達に「こういうイントネーションを香川県ではするのだよ」という教育をしてほしいと思います。
 また、以前、テレビ番組を見ていたら、旅番組でリポーターが地元の女性に「お母さん」と呼びかけたのです。その人は「私はお母さんやないけどね」と言って、冷たい空気が流れました。この人は「私はあなたのお母さんではない」という意味で言ったのかもしれませんが、もしかすると「私はお母さんになりたくてもなれなかった」という意味だったのかもしれません。そうだとしたら、それはひどいことばだと思うのです。よく、人を追いかけて呼ぶときに、「お母さん」や「奥さん」、または、「ご主人」や「旦那」と言いますが、そうではない人もいるのに、何とも思わなくてよいものなのかと思います。「あなた」で統一するようにしたらよいと思います。

【会場参加者】
 リポーターが、最近よく「何をやられてるんですか」と言います。しかし、「やられる」というのは、あくまで「受け身」で、「尊敬語」ではありません。最も基本的なことで、なぜ、NHKのリポーターが平気で「やられてる、やられてる」と言うのか、聞くたびに不愉快に思っています。
 リポーターやタレントなどテレビに出る方に、基本的な丁寧語や教養について教えていただければと常々思っています。

【会場参加者】
 最近、「チコちゃんに叱られる!」で、よく「働き方改革」と言っています。再放送が増えてきたように思いますが、これも働き方改革の1つでしょうか。楽しみにして、時には録画して見たりもしているのですが、それが少し気になっています。

(長谷川委員)
 大変共感を持って三人のご意見を伺いました。まず、地域放送重視について、方言をもっと重視せよとのご意見がありました。実は、私も経営委員会で、個人的な意見として、どうしてもっと方言の放送をしないんですかとよく言っているのですが、なぜか実現していません。NHKは、標準語という文化が際立っているからのようですが、私は、地域放送だからこそ方言を大事にして、さらにそれを各地域に向けて「ここではこんな方言だよ」と発信することが、地域放送ならではの魅力になるのではないかと思っていますので、共感しつつお話を伺いました。
 それから、「何をやられてるんですか」ということばづかいについてですが、NHKにはコールセンターがありますので、そこへ「これは『何をやられてるんですか』ではなくて『何をなさっていらっしゃいますか』と聞いてください」といったご意見をお出しになると、まとめて現場のほうに送られ、改善されます。お手数ですが、お気づきのたびにそう言ってくださると、NHKのことばも少し向上するかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後の、「働き方改革」かもしれないが再放送が多い、とのご意見について、私も個人的にそう思います。経営委員会で「使い回しをしていませんか」と言ったら、すかさず「いえ、それは使い回しではなくて“マルチユース”と呼んでください」と言われてしまいましたが、確かに、そのように実感することがあります。
 コールセンターにどんどん言っていただけると、現場に必ず伝わります。そうすると、つくる側でもいろいろと配慮して、そのような感情を抱かせないような、上手な“マルチユース”を心がけてくれると思います。

(明石委員)
 私も、今の参加者や長谷川委員の意見に賛同します。NHKは、全国放送として、どなたにも分かりやすくきちんと情報を伝えるという使命があり、そのためには標準語が基本です。
 しかし一方で、地域放送をしっかり普及させていく、そして、地域の文化を守っていくのは大変重要なことです。方言は、過去から蓄積されてきたその地域の大切な文化なので、ぜひ残していってほしいと思います。地域放送では、方言を入れた番組名もありますが、もっと力を入れてほしいと私も思います。
 また、ことばづかいの間違いについてですが、NHKのアナウンサーやリポーターを育てるという意味でも、細かいご指摘も含めてコールセンターにご意見をお寄せください。ことばづかいを改めるきっかけになるので、ぜひお願いしたいです。
 再放送の件ですが、仕事で忙しくしていると、その時間帯に放送されたものが見られないことがあります。手前味噌で恐縮ですが、NHKはよい番組をたくさんつくっているので、時間帯を変えて再放送することによって、より多くの視聴者の方にお届けしたいという思いもあります。そういう点もご理解をいただければ幸いです。

(黄木理事)
 皆さんから貴重なご意見をいただきました。本当にありがとうございます。
 経営委員からも申し上げましたが、方言というのは、地域の文化の重要な1つの要素で、多様性ということも含めて、みんなが幸せに生きていくということの基盤の1つだと思っています。ローカル放送を充実していく中で、方言の価値をきちんと理解したうえで放送していくべきだと思っていますし、敬語の問題についても、NHKとしてきちんと取り組んでいかなければいけないと思います。

(司会)
 私も耳が痛いと言いますか、しっかり教育していきたいと思います。
 皆さんからのご指摘で勉強になることも本当にたくさんあります。私も、20年間いろいろとご指摘をいただいた経験があり、そのとおりだと思って直してきたというところもあります。今後また、いろいろなご意見をいただければ、これからの育成にも生かしていけると思いますので、よろしくお願いいたします。

(黄木理事)
 再放送が多いのは働き方改革のためかというご質問がありましたが、働き方改革を一番重要に考えているというわけではありません。ただ一方で、働き方改革もNHKとしてきちんと取り組んでいかなければいけない問題です。
 例えば、「チコちゃんに叱られる!」は、金曜日の夜の放送と土曜日の朝の再放送がありますが、実は、土曜日の朝の再放送のほうが視聴率が高くなっています。それぞれの生活時間の中で、テレビを見られる時間と見られない時間があるので、せっかく受信料を使ってつくっている、よい番組、価値があると思っている番組を、より多くの方に見ていただく1つの手段として、再放送をうまく使っていくべきだと思っています。
 例えば、「NHKスペシャル」といった、ディレクターが1年ぐらいかけていろいろな資料を探してつくり上げるような番組も、1回放送しただけで終わりというのは本当に残念だと思っていますが、例えば深夜帯に、ネットで反響の多かった番組を放送する枠を設けたりもしています。これからも、コンテンツをより多くの方に見ていただく手段として、再放送をうまく使っていきたいと思っています。

(池田高松放送局長)
 地域放送に携わる者として、方言に関して一言。「まんで香川きっきょん!?」という53分サイズのラジオを、月に1度放送しています。地元出身のアマチュア落語家に出演していただき、方言を交えて放送しています。
 以前、鹿児島局に勤務していた時に、九州の人間である私でもわからないぐらいの方言である鹿児島弁を使ったニュースを放送したところ、非常に好評をいただいたこともありました。
 方言を大事にすることは、文化を大事にすることにつながりますので、皆さんのご意見を参考にさせていただきます。

(高橋委員)
 先ほど、「お母さん」という呼びかけについてご意見がありました。ことばを大事にするNHKとしては、もっと深く、よくことばを選んで使っていかなければいけないと思います。本当に重いおことばだと思いますので、われわれもきちんと共有して、直していきたいと思います。本当にありがとうございました。

【会場参加者】
 私も、よくNHKを見たり聴いたりします。先ほどの「まんで香川きっきょん!?」も、「らじる★らじる」で聴いています。
 「NHKニュース・防災アプリ」や「NHKスクープBOX」など、いろいろなアプリがありますが、私は、「らじる★らじる」の聴き逃しサービスを利用して、毎日聴いています。6時からのニュースも10時以降に聴いたりしています。ラジオが近くになくても、テレビ中心でなくても、情報を得る、広がっていくということが可能です。これを見つけて、私の人生、暮らしは、豊かになりました。
 この「ラジオをスマホで聴く」ことについて、広報をされてはいますが、ラジオで行われているので、たぶんラジオを聴いている人にしか伝わりません。広報の度合いや、もう少し踏み込んで行うことも考えてもよいかもしれません。
 地方の放送局で、ラジオで「方言だけのニュース」を行うと、方言の枠がラジオから広がっていくのではないかな、と思います。

【会場参加者】
 夜遅く帰ってきてテレビを付けると、もう番組の終わりのところで、最初から見たかったな、と思うことがあります。
 画面の一番上に、これはNHKオンデマンドで見られます、というお知らせが出ますが、オンデマンドの見放題パックで見逃し番組を見ようとすると、990円かかります。アーカイブスから見たいものがあれば、特選ライブラリーの契約でまたさらに990円かかりますが、せめて見逃し番組は、受信料を支払っていたら放送後1週間ぐらいは見せていただきたいと思います。WOWOWは、見逃し番組はすべて無料で見られます。

【会場参加者】
 私も、いつもほとんどNHKを見ていますが、このごろは、もう見たくないと感じています。例えば、SNSのテロップが画面に流れることがありますが、目障りになるし、画面を見逃してしまうことがあります。また、画面の窓枠に顔が映されて、かわいい猫が出ると「まぁかわいい」と声を出し、料理が出ると「おいしそう」と口を開けたりします。この窓枠は、どのような意味があって出しているのでしょうか。目障りになり、見たくなくなります。
 NHKは、どのような経過で窓枠を出すような番組を始められたのかお聞きしたいと思います。窓枠は見たい人だけが見て、見たくない人はdボタンで消す、といったような処置はできないものでしょうか。

(黄木理事)
 「らじる★らじる」については、ご意見のとおりです。私は、広報の担当をしていますので、帰って早速「らじる★らじる」をもっと広報するようにしたいと思います。
 NHKの見逃し番組については、放送法が変わり、インターネットの活用業務を少し広げてできるようになります。総合とEテレについては、受信料を支払っていただいている方に、インターネットで放送と同時に見ていただくとともに、見逃し番組を一週間見ていただくというサービスを始めたいと思っていますので、ぜひご利用ください。
 それから、窓枠についてのご意見はよく分かります。私も、少し情報過多だと思う時もあります。番組制作者の気持ちを推察しますと、たぶん、そのVTRを流しているスタジオにいる出演者と視聴者が一緒にVTRを見る感じを出したり、出演者の反応を楽しんでもらったりするために、そのような窓枠をつける工夫をしているのだと思います。それで、共感してもらったり、一緒に悲しんでもらったりしたいと思っていると思うのですが、先ほど伺ったようなよくない効果を生んでしまっては意味がありません。いただいたご意見も含め、日々、放送の内容をよりよいものに工夫していきたいと思います。この件はきちんと持ち帰り、放送担当の役員に説明したいと思います。ありがとうございます。

【会場参加者】
 いわゆる徴用工問題ですが、原告側4人は、日本企業の募集にみずから応じた労働者であると、韓国の法廷では明らかになっています。安倍総理大臣は、衆議院予算委員会において「政府としては、徴用工という表現ではない、旧朝鮮半島出身労働者問題と言っている。当時、国家総動員法上、国家徴用令には、募集と官斡旋、徴用があったが、実際、今回の裁判の原告は、全部募集に応じたため『朝鮮半島出身労働者問題』と言いたい」と説明しています。また、佐藤正久参議院議員も、ネット番組において「当時、朝鮮半島から来た労働者は、1、自分の意思で日本に渡った人、2、日本が募集して応募してきた人、3、政府が採用活動を行って応募してきた人、4、徴用という形で命令として集めた人、という4種類いる。今回の裁判で訴えた原告4人は、2、募集に応募してきた人」と説明されています。しかし、NHKワールドJAPAN では、英語の放送で、10月30日に「韓国大法院は、第二次世界大戦中に日本企業の工場で強制労働させられたと言っている4人の韓国人に対して、日本の鉄鋼メーカーに補償するように命じた」と伝えているそうです。
 NHKワールドJAPANの公式ウェブサイトには、ミッションとして、最も信頼される選択肢となることを目標とします、とありますが、このように、NHKの視聴者である国民の利益を損ないかねない報道内容に対して、NHK内部で、調査・監督を行う仕組みはないのでしょうか。

【会場参加者】
 夕方6時10分からの「ゆう6かがわ」について、朝、出勤する前のニュースで、こういう地域特集が10分ぐらいの尺でありますと聞いて出かけるのですが、家に着くと終わってしまっていることがあります。データなどが生活の役に立つこともあり、見逃すと残念なのですが、再放送はどのようなタイミングでされているのでしょうか。

【会場参加者】
 県外から来たのですが、「まんで香川きっきょん!?」などをインターネットで聴かせていただいています。香川県に住んでいないと、なかなかこちらの番組を見たり聴いたりできないので、もっと、ホームページ等で配信したり、全国放送したりしていただけると、高松放送局のファンとしてはうれしいです。
 ほかの局の放送に関しても、どこにいても見られるような選択肢ができれば、もっと地域の宣伝にもなると思います。

(黄木理事)
 まず、報道内容に対して、NHK内部で調査・監督を行う仕組みはないのか、ということについてですが、NHKの中に、考査室というところを設けています。ここで、放送法やNHKの国内放送についての番組基準、国際放送についての番組基準、また、放送や取材をするときに守らなければいけないとことが書かれた放送ガイドラインなどのNHK内の決まり、ルールにのっとった形で番組がつくられているかをチェックし、もし何か間違ったことがあったら、きちんと直していくという仕組みをつくっています。また、例えば“やらせ”などの問題があったときには、NHKの中で特別に調査チームをつくることもあります。
 放送事業者の間では、BPOという、第三者の専門家の方や学者にチェックしていただく組織をつくっています。そこでは、NHKや民放の番組内容について、各放送局がどう考えようが、第三者的に問題があれば問題がある、訂正が必要なら訂正しなさいと言い、それに各放送局がきちんと従うという仕組みとなっています。
 それから、インターネットも含めてどこでも高松放送局の番組を見たり聴いたりできるようにしてほしいとのご意見は、まさにおっしゃるとおりです。放送では、県域放送の枠の中ではなかなか全国に放送できませんが、これからはインターネットを使って、NHKのコンテンツを広く見ていただくことができるようになっていくでしょう。
 「らじる★らじる」の聴き逃しサービスや、今後始めることができるようになる、常時同時配信の見逃し配信などを使うと、例えば、東京にいても香川の番組が見られるようになります。われわれも、それはとても重要なことだと思っています。インターネットでそのようなサービスを進めていきたいと思いますので、ぜひ楽しみに待っていていただきたいと思います。

(長谷川委員)
 先ほど「公共放送」とは何かという、非常に大事なご指摘がありました。「国際放送」は、基本的に海外にいらっしゃる方への放送なので、時々、なぜ皆さんの受信料を使って国際放送をするのか、というご質問をいただきますが、先ほどのご質問のように、例えば国際的に誤解が生じている問題について、正確な情報を日本人の手で、日本の放送局が発信することが、日本人の視聴者の方々全員の利益にもつながります。それが国際放送の大事な意義のひとつです。
 先ほどのご意見は、その国際放送の意義に背くような、誤解を招く放送があったのではないかという問題提起ですので、しっかり考査する必要もあるだろうと思います。貴重なご意見をありがとうございます。

(池田高松放送局長)
 「ゆう6かがわ」を毎日見ていただいて、ありがとうございます。
 ニュース・情報番組は、「ゆう6かがわ」をメインに力を入れて放送していますが、中でも特集は、記者やディレクター、時にはカメラマンが全力で取り組んでいるものです。宣伝を行い少しでも多くの人に見てもらいたいと思っていますが、それなりの長さがあるため、その後の8時45分のローカルニュース番組では放送しづらいという事情もあります。これから、インターネット、ホームページなども活用しながら、見逃し番組についてどのような対応ができるか考えていきたいと思います。貴重なご意見をどうもありがとうございます。

【会場参加者】
 そもそも論ですが、公共放送とは何ですか、国営放送ですか。また、予算は国会で承認が必要となっていますが、なぜでしょうか。国との関係についての質問です。それから、外国ではNHKのような公共放送がありますか。以上、3つをお聞きします。

【会場参加者】
 NHKはコマーシャルがないので視聴者としては安心しているのですが、最近は、NHKも番組のコマーシャルがとても長く、それだけで10分というときもあります。「2355」も「0655」も5分でこんなによい番組ができるのに、10分のコマーシャルというのは無駄ではないか、なくなればよいのに、といつも思っています。

【会場参加者】
 高松放送局のアナウンサーの皆さんのファンで、NHKの界わいを歩かれているのを見ると、手を振りたいぐらいです。
 高松局に勤務されていたアナウンサーが全国放送に出ることもあり、友だちとも、「今出ているね」と話をしています。高松放送局はすごいと思っています。期待しています。

(長谷川委員)
 先ほど、非常に基本的で大事なご質問をいただきました。おっしゃるとおり、NHKの予算は、国会での承認を必要としています。なぜかと言うと、国会は国民が選挙で選んだ国会議員で構成されていますので、国民の代表たちが、この予算でよいと言ってくれることが大事であるからです。本来は、視聴者の皆さん全員に了承いただくというのが筋でしょうが、日本は代表民主制ですので、国会で視聴者の代表としての国会が承認することが必要、ということになっています。
 しかし、国営放送ではありません。国営放送は政府の宣伝を行いますが、公共放送は、政権に対してもおかしいと言える自由を確保しつつ、国民の代表によって承認された 予算で経営されています。それがNHKの形です。
 国によって、放送の仕組みは異なりますが、どちらかというとイギリスのBBCが、NHKに一番近い形と言ってよいかと思います。

(松原理事)
 海外にもNHKと同じように「公共放送」があります。先ほど長谷川委員が言ったBBCが一番分かりやすいのですが、BBCは受信許可料として、国民が一定の負担をしています。ドイツは、放送の負担金という形で、テレビがあるかネットで見るかなどに一切関係なく、それぞれの世帯が負担をする形です。制度的に一番厳しいのはBBCで、許可料を払わなければ、最終的には最大28日間収監されます。
 制度はそれぞれ異なりますが、フランス、ドイツ、イタリア、韓国など、世界にも公共放送の仕組みがあります。

(黄木理事)
 先ほど、「2355」「0655」の番組についてのご発言がありましたが、ご覧になっていただきありがとうございます。
 また、番宣が多いということについては、こうした集まりのときによく指摘されますので、より効果的に、うまく宣伝できるよう、さらに工夫をしていきたいと思います。ご意見をありがとうございます。

(池田高松放送局長)
 アナウンサーのことを温かく見守っていただき、ありがとうございます。ここで育ったアナウンサーが全国で活躍していることは、私にとってもうれしい限りです。
 新人で来る者もいますので、アナウンスの副部長と育て上げて、ここ香川で貢献するとともに、次の勤務地で、また、東京に行った際には全国の皆さんに貢献していけるよう育成していきたいと思っています。今後とも、温かく見守っていただければと思います。よろしくお願いいたします。

(司会)
 アナウンサーへのエールを、ありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
 本日は、さまざまなご意見をありがとうございました。最後に、経営委員から、全体を通してひと言申し上げます。

(明石委員)
 初めて「視聴者のみなさまと語る会」に参加しました。多岐にわたるご意見やお考えをお聞かせいただき、ありがたく思っています。今後も、公共メディアNHKとして、新しい時代に即した情報を皆さまにきちんとお届けできる信頼される機関としての自覚を持って、より一層その役割を果たしていきたいと思います。
 ぜひ、温かく見守っていただくとともに、厳しいご意見などもコールセンターへお寄せください。ありがとうございました。

(高橋委員)
 非常に厳しいご意見と、また、温かい声援をいただいたことを、本当に感謝しています。
 経営委員としては、個別の番組に介入することはできないのですが、今回いただいた一つ一つのご指摘というのは、番組全体にかかわるポイントが大変多かったと感じています。皆さま方からいただいたご意見は、来週、経営委員会がありますので、すぐに全経営委員と共有して、問題点等々についても議論をしてまいります。また、引き続き、温かく、そして厳しく見守っていただけたらと思います。本日は、本当にありがとうございました。

(長谷川委員)
 これまで、何度か「視聴者のみなさまと語る会」に出席させていただきましたが、きょうほど多くの方々からいろいろなご意見を伺えた会は珍しかったような気がします。一つ一つ、本当に大事なご意見をいただけました。ありがとうございました。

(司会)
 皆さま、きょうは貴重なご意見をありがとうございました。

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in高松>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
18 18 1

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代
0 0 0 5 9 13 10 0

質問3:参加回数

はじめて 2回目 3回目 未回答
29 1 0 7

質問4:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

ホームページ 放送(テレビ) 放送(ラジオ) メール・
Twitter
チラシ 友人・知人 その他
11 2 0 20 3 1 0

質問5:今回のイベントに参加していかがでしたか(複数回答あり)

大変満足 満足 普通 不満 大変不満 未回答
16 11 7 1 0 3

質問6:印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答あり)

経営委員の説明 経営全般 放送 講演会 特になし 未回答
4 11 7 12 1 7

質問7:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他
1 14 21 1

質問6:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

深まった 変わらない わからない その他 未回答
26 9 0 0 2

 

 

<実施後のアンケートで寄せられた主なご意見> (高松)

 

経営全般について

  • 放送後1週間の見逃し配信を楽しみにしている。
  • 無料で行う見逃し番組のインターネット配信に期待している。
  • 一刻も早く、オンデマンドの無料化やインターネット配信を行ってほしい。
  • フェイクニュースが広まったり、片寄った報道になったりしないように、チェックする体制やシステムを構築してほしい。コールセンターなどだけでは十分に意見を吸い上げることはできない。
  • 少なくとも衛星放送はスクランブル化すべき。マンションにアンテナがついているからといって、見ていないのに高額な受信料を取ることは、あまりにも殿様稼業だ。
  • 受信料を税金から捻出したらよいと思う。
  • 訪問取次ぎにかかる人件費はとても高額だと思う。他の方法を取れないだろうか。
  • NHKとして未だに受信料を支払っていない方にどのような対応をしていくのか、また、どのように経営していくのかと思っていたが、いろいろな話を聞いて、理解できるところがあった。
  • 子どものテレビ離れも視野に入れて、対策を考えてほしい。NHKのよい番組を、これからの日本を作ってゆく子どもたちにも見てほしい。
  • 経営委員会やコールセンターが正常に機能することで、NHKの番組がよりよいものになることを期待している。

 

放送について

  • 高精細なカメラを使った映像や、最新の科学についての番組など、NHKならではの番組をつくってほしい。視聴率を上げることを目的とせず、いろいろな分野の番組を、民放ではできない切り口で提供してほしい。
  • 「NET BUZZ」で反響の多かった番組の再放送をしているが、朝の時間帯にもしてほしい。
  • 手仕事をしながら聴けるラジオは、とても便利だ。「らじる★らじる」の聴き逃しサービスをもっと周知して広めてほしい。
  • 他の地方のよい番組を、深夜でもよいので放送してほしい。また、世界の番組をもっと紹介してほしい。これからもグローバル化を感じられる番組を楽しみにしている。
  • 大河ドラマは、時代背景がしっかり作られているので、子どもと歴史について話すこともできてよい。
  • 「西郷どん」で、方言の意味がわからなくて困ったことがあったので、方言を使ったセリフには、字幕を出してもらえるとありがたい。
  • 放送に字幕やテロップが入ると、聴覚障害者にとっては有効な情報となる。また、老人性難聴などのため、的確なテロップがあると助かる人もいる。
  • 番組のセットがごちゃごちゃしていると、見ていて目が疲れる。視覚障害の方もいるので、検討してほしい。
  • テレビを全体的に楽しみたいので、災害などの怖い映像の使い回しはやめて、癒やしを与えるものなど、見やすく楽しい番組をつくってほしい。
  • 総合テレビで放送した番組を、衛星放送でも再放送してほしい。
  • 「あいちトリエンナーレ」のニュースで、市長が掲げるポスターの内容が見えない方向から撮影した映像を流したのは、明らかに偏向した報道だと感じた。放送法を厳格に守ってもらいたい。
  • 東日本大震災のあと、山陰地方で地震が発生した際に、ラジオで、地震により原発で放射能漏れがあるかもしれない、と注意を呼びかけたあと、放送が止まったことは事実か。
  • 「鶴瓶の家族に乾杯」が、最近わざとらしい。段取りができているようで、店のコマーシャルのようだ。
  • 「ぼやき川柳」が大好きで家族で聴いていた。同じような楽しい番組をお願いしたい。
  • よい番組をつくっていることにもっと自信を持って、改善点もしっかりとアピールをしてほしい。「ゆう6かがわ」のファンなので、現場へ足を運んで、住民参加型の番組を放送してほしい。いつも応援をしているので、がんばってもらいたい。
  • 「ゆう6かがわ」は、全国放送と比較しても非常に優秀で内容も充実している。また、ことばづかいや表現も的確だ。
  • 方言の放送については、県内でも各地で違うので、どこの方言を取り上げるかは、難しいと思う。
  • ローカル番組については、西に比べて東の話題が少なすぎる気がしている。
  • 「ゆう6かがわ」は、地方の情報はあるがバラエティ感があるので、民放を見ている。
  • 朝の「連続テレビ小説」は方言の宝庫だが、香川が舞台となったのは過去1回のみで、少ない。再度、ビデオ等で見ることはできないだろうか。
  • 地域のイベントや観光地を紹介する際には、高齢者やベビーカーを使う子ども連れが行くことに配慮した内容にしてほしい。80代の親を連れて行ったら、急で上れず残念な思いをしたこともある。
  • 県議会や市議会のライブ中継など、NHKでしかできないことをしてほしい。
  • 高松放送局の方には、もっと自分の足で稼いで取材をしてほしい。

 

運営・その他について

  • NHKと民放との違いは分かっていると思っていたが、今日改めて確認ができてよかった。コールセンターを利用することで、意見を伝えられることも知ることができてよかった。これからのテレビの見かたが楽しみになった。
  • このような意見交換の場は、放送の質の向上のためにとても大事なことだと思うのでこれからも続けてほしい。また、参加者から出た意見を尊重して、きちんと反映してほしい。
  • この会に参加することで、多方面からの意見を聞くことができ、大変勉強になった。また、関心を深めることができた。
  • 自分の意見をはっきり言える方々がこんなにいるということに驚いた。NHKに期待するものが大きいということだと思う。ぼーっと生きていてはいけないなぁと思った。
  • いろいろと勉強になった。受信料について、いろいろな人の意見を聞けてよかった。
  • レベルの高い意見や質問が多かった。
  • 多くの参加者から、予想より幅広く深い意見が出され、大変驚いた。経営委員や理事の回答は、やはり優等生的な内容だったが、国会議員よりはよかった。
  • 国会の代表質問のように、質問と回答が一方通行だった。一問一答で、継続した回答にしてほしかった。
  • ふだん民放をよく見ているが、参加してNHKの番組にもっと目を向けようと思った。
  • 年齢層が片寄っていたので、もっと若い世代からの意見を聞いてみたかった。
  • NHKの考え方がよく分かった。また機会があれば参加したい。
  • 思いがけず砂かぶりのような席だったので、登壇者の所作から人となりを感じる事ができた。
  • 参加者から多くの意見が出て、よい会だった。「もっと知りたい『チコちゃんに叱られる!』」の講演もすばらしかった。
  • 登壇者の回答に、さらに反論や再質問する時間もほしい。
  • 会場の設営に当たっては、いすだけでなく机も用意してほしい。
  • 今回のイベントで、休憩時にトイレに向かおうとした際、廊下を登壇者が通るときにトイレに向かう私の方が止められた。視聴者である当方を優先させるのが筋ではないか。こういう姿勢を変えない限り、視聴者に見限られるのではないか。
  • 女性の新人アナウンサーを高松局に配属してもらいたい。
  • イベントや公開番組に募集するために、往復はがきをたくさん書いているが、費用がかからない方法を考えてほしい。
  • ネットクラブが終了したのは残念。
  • ふれあいギャラリーを毎回楽しみにしている。どうか大切にしてほしい。