NHK INFORMATION
経営委員会議事録

  第890回



  平成13年2月26日(月)公表


日本放送協会第898回経営委員会議事録
(平成13年1月23日・24日開催分)


第 898 回 経 営 委 員 会 議 事 録



<会 議 の 名 称>
 第898回経営委員会


<会 議 日 時>
 平成13年1月23日(火)午後3時から午後5時まで
          24日(水)午前11時から正午まで


<出  席  者>
  〔委  員〕
  ○櫻 井 孝 頴 鳥 井 信一郎
   大 下 龍 介   宮 崎   満 尚    弘 子
   八 島 俊 章   矢 野 征 男 中 村 桂 子
   平 岩 弓 枝   松 野 春 樹 堀 部 政 男
   
(◎委員長 ○委員長職務代行者)

  〔監  事〕
   武 者 監 事  梶 谷 監 事 内 川 監 事

  〔役  員〕
   海老沢 会 長    
   菅 野 副会長 中 村 技師長 松 尾 専務理事
   芳 賀 理 事 山 村 理 事 滋 野 理 事
   板 谷 理 事 笠 井 理 事 関 根 理 事
   山 田 理 事 吉 野 理 事  

< 場   所 >
 放送センター  21階役員会議室


< 議   事 >
 須田委員長から、本日の付議事項および日程について説明があった。
 続いて、第896回経営委員会(平成12年12月19日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て平成13年1月29日に公表することとした。
 これに続き、付議事項の審議に入った。

付議事項
1 議決事項
(1) 「新たな放送文化と公共性のさらなる追求をめざして〜IT時代のNHKビジョン〜」について
(2) 平成13年度国内放送番組編集の基本計画について
(3) 平成13年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について
(4) 平成13年度収支予算、事業計画及び資金計画について
(5) 財団法人放送番組センターへの出捐について
(6) 中央放送番組審議会委員の委嘱について
(7) テレビジョン中継放送局の新設等について

2 報告事項
(1) 平成13年度国内放送番組編成計画について
(2) 平成13年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編成計画について
(3) 「地上デジタル放送に関する共同検討委員会」の確認事項について
(4) 地方放送番組審議会委員の委嘱・解嘱について
(5) 財政の現況(平成12年12月末)について

3 その他
(1) モンゴルでのヘリコプター事故について
(2) NHKアーカイブスの起工式について
(3) 「エルサルバドル大地震災害たすけあい」の実施について

議事経過
1 議決事項
(1) 「新たな放送文化と公共性のさらなる追求をめざして 〜IT時代のNHKビジョン〜」について
 山田理事から概略以下のような説明があった。
 このビジョンは、NHKが、IT時代を迎え、これまでの75年という放送の歴史の上に、どのような新しい放送文化を創造していこうとしているのか、また、公共放送としてどのような新しい役割を果たそうとしているのか、その基本的な姿勢を示したものである。公共放送の新たな役割として、「新たな放送文化の創造」と「公共性のさらなる追求」を提起したうえで、事業運営の方針として、受信料については当面改定を行わないよう経営努力を続けること、スクランブル化については慎重な検討が必要であること、NHKの情報公開基準に基づき視聴者への説明責任を全うすることなどをあげている。このビジョンは、平成13年度から15年度までの事業運営の指針として、各年度の事業計画に反映させ、その具体化に努めていく。
 これに関する主な質疑および意見は、次の通りである。
・ コンパクトにまとめられており、わかりやすいものになったと思う。
・ 公共放送の新しい役割について、「公共性のさらなる追求」という理念がきわめて重要であり、むしろこれを先にもってくるという整理もあったと思う。外部への説明にあたってはこのことに十分意を尽くしてほしい。
・ NHKの肥大化を懸念し批判する声があがっているという状況を踏まえ、新たな媒体への取り組みは公共性の発揮のためであり、肥大化ではないという考え方に理解を得るための、よりいっそうの努力が必要である。
 これに対する関係役員の主な発言は、次の通りである。
・ 委員の発言の趣旨を踏まえ、このビジョンの考え方を国民・視聴者にわかりやすくていねいに説明していきたい。
 本件について採決した結果、原案通り議決した。
 なお、山田理事から、1月25日に平成13年度予算書を総務大臣に提出する予定であるが、その際本ビジョンをあわせて提出し、その後外部発表を行ったうえで、全文をインターネットのNHKホームページに掲載する旨の説明があった。

(2) 平成13年度国内放送番組編集の基本計画について
 松尾専務から、本基本計画は、前回の第897回経営委員会で説明したものと同一であること、また、これを1月15日の中央放送番組審議会に諮問し、可とする答申を得たとの報告があった。
 前回の経営委員会での審議を踏まえ、採決の結果、原案通り議決した。

(3) 平成13年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について
 松尾専務から、本基本計画は、前回の第897回経営委員会で説明したものと同一であること、また、これを1月12日の国際放送番組審議会に諮問し、可とする答申を得たとの報告があった。
 前回の経営委員会での審議を踏まえ、採決の結果、原案通り議決した。

(4) 平成13年度収支予算、事業計画及び資金計画について
 笠井理事から概略以下のような説明があった。
 事業収入は、6,630億円、12年度予算に対して71億円、1.1%の増加を見込んでいる。このうち、受信料収入は6,414億円、伸び率1.6%で、事業収入に占める割合は、96.7%である。事業支出は、6,502億円、12年度予算に対して139億円、2.2%の増としている。以上により、事業収支差金は127億円となるが、このうち89億円を債務償還に使用し、37億円を建設積立資産に繰り入れるので、収支過不足をきたさない均衡予算となる。なお、財政安定のための繰越金は、13年度末で533億円を見込んでいる。また、アナログ周波数変更対策経費として政府予算に計上された123億円のうち、23億円がNHKの送信設備にかかる経費として見込まれているため、アナログ周波数変更対策のための送信設備の整備を特別支出で実施し、それに見合う給付金を特別収入で受け入れることとした。事業運営計画の重点事項は、10の柱からなっている。1つ目は地上放送の充実、2つ目は衛星デジタル放送の普及促進と衛星放送の充実、3つ目は国際放送の充実、4つ目は参議院議員通常選挙放送の実施、5つ目はソルトレークシティー冬季オリンピック、パラリンピック放送の実施である。6つ目は視聴者との結びつきの強化、視聴者意向の把握と事業運営への反映、情報公開の推進、7つ目は効果的・効率的な営業活動の展開であり、契約総数37万件、衛星契約77万件の増加を見込んでいる。8つ目は放送の発展を図るための調査研究の推進、9つ目は業務改革による効率的な業務運営の徹底、10番目は地上放送のデジタル化に伴うアナログ周波数変更対策の実施である。また、建設計画の総額は777億円である。衛星デジタル放送設備やハイビジョン番組の充実のための設備の整備、緊急報道体制強化のための映像伝送設備の整備、番組制作設備などの老朽更新、外国電波混信等に対する放送局の建設や放送所施設の老朽更新などを行う。また、地上デジタル放送に向けての諸準備を行う。放送会館等については、大阪放送会館と放送技術研究所を完成させるとともに、NHKアーカイブスと北九州放送会館の建設を継続し、山口、福島など老朽の著しい放送会館の整備のための諸準備を行う。
 これに関する主な質疑は、次の通りである。
・ 13年度は衛星収支が94億円のマイナスとなるが、今後の見通しはどうか。
・ 退職給付会計の導入により一般企業では過去勤務債務の償却が課題となっているが、NHKではこれについてどのように対応しているのか。
 これに対する主な関係役員の発言は、次の通りである。
・ 昨年12月からBSデジタル放送が本放送としてはじまったが、平成13年度はBSデジタル放送の経費が1年分に増えるほか、番組充実や普及促進のための経費の増等により、単年度の衛星収支としてはマイナスとなったものである。今後衛星受信料の増を図ることにより、数年後には衛星収支もプラスに転ずると見込んでいる。
・ NHKとしては、これまでも退職年金の過去勤務債務の償却に取り組んできているが、平成13年度予算においても、12年度に引き続き要員効率化による給与予算削減も勘案のうえ、退職手当・厚生費予算を増額して退職年金拠出金を積み立てるなど、計画的な償却に向けて取り組んでいきたいと考えている。
 本件について採決した結果、原案通り議決した。
 なお、笠井理事から、1月25日に、予算書を海老沢会長から片山総務大臣に提出する予定である旨の説明があった。

(5) 財団法人放送番組センターへの出捐について
 山村理事から概略以下のような説明があった。
 財団法人放送番組センターは、一般放送事業者の教育・教養番組のいっそうの充実・向上を図る事業(一般事業)と、放送法上の指定法人としてわが国の放送番組を収集・保管し、これを一般に公開する事業(放送ライブラリー事業)を行っている。NHKは、設立当初から民間放送事業者とともに、同財団の円滑な運営に寄与するため出捐してきており、今回も、同財団の事業の円滑な推進を促し、わが国の放送およびその受信の進歩発達に寄与するため、平成12年度の一般事業の運用財産として1億円を平成13年3月に出捐することとしたい。
 これに関する主な質疑は、次の通りである。
・ NHKアーカイブスとの関係はどうなるのか。
・ 出捐金は予算上どのように位置づけているか。
 これに対する主な関係役員の発言は、次の通りである。
・ NHKアーカイブスはNHKが自ら制作・収集したニュース・番組、素材等を保管し、再活用するためのNHK独自の施設であり、あわせて著作権処理したものを一般に公開するものである。一方、放送番組ライブラリーはNHK、民放のそれぞれすぐれた番組を収集し、これを一般に公開するというものである。
・ 財団法人である放送番組センターへの出捐については、株式会社への出資とは異なり、その性格上、費用として当年度の事業支出の当該科目(国内放送費)に計上することとなる。
 本件について採決した結果、原案通り議決した。
 なお、山村理事から、本件については、放送法第9条第8項の規定に基づき、総務大臣あて認可申請を行う旨の説明があった。

(6) 中央放送番組審議会委員の委嘱について
 松尾専務理事から、任期満了により平成13年1月31日付で島脩氏(読売新聞社調査研究本部客員研究員)と坪井節子氏(弁護士)を解嘱し、朝倉敏夫氏(読売新聞社執行役員・論説委員長)を2月1日付で新規委嘱することについて同意を得たい旨の説明があり、採決の結果、原案通り議決した。

(7) テレビジョン中継放送局の新設等について
 吉野理事から概略以下のような説明があった。
 第884回経営委員会(平成12年5月23日開催)で議決された平成12年度のテレビジョン、ラジオ、FM中継放送局の新設等の追加計画として、来夏の外国電波による混信発生時期を考慮し、平成12年度着工、平成13年度早期完成として、テレビジョン中継放送局(総合テレビ)1局(富山県新川)を新設することとしたい。また、CATVへの全戸加入により受信者が皆無となったテレビジョン中継放送局19局(岩手県大迫岩脇、秋田県大内、秋田県大内上川、秋田県山内南郷、宮城県女川浦宿、栃木県上河内、群馬県川浦、群馬県吾妻萩生、長野県根羽、長野県平谷、愛知県春日井細野、福井県上中大鳥羽、京都府笠置、京都府笠置有市、兵庫県加美南、兵庫県加美北、兵庫県加美山野部、兵庫県関宮、島根県三刀屋鍋山)を平成13年3月に廃止することとしたい。
 本件について採決した結果、原案通り議決した。

2 報告事項
(1) 平成13年度国内放送番組編成計画について
 関根理事から概略以下のような説明があった。
 平成13年度国内放送番組編成計画は、前回の委員会で編集の基本計画にあわせ説明した通りである。総合テレビについては昨年、また教育テレビについては一昨年大幅な改定を行ったので、平成13年度の改編率は、総合テレビが11%、教育テレビが12%で、この20年間で最も低い数字になっている。平成13年度は、「食料」「宇宙」などをテーマにした企画番組、特集番組等を年間を通じて編成するほか、定時番組1本1本の内容を充実させ、視聴者によりいっそう親しんでもらえるよう全力を尽くしたい。
 これに関する主な意見は、次の通りである。
・ タイトルにかたかなを使う場合は、表記方法や意味を含め正確を期してほしい。
 これに対する関係役員の主な発言は、次の通りである。
・ 用語の使い方については、かたかな表記も含め放送文化研究所の用語委員会等で検証してもらいながら慎重に対応しているが、よりいっそう配慮していきたい。

(2) 平成13年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編成計画について
 松尾専務理事から概略以下のような説明があった。
 平成13年度国際放送番組編成計画は、前回の委員会で編集の基本計画とあわせ説明した通りである。なお、映像による海外発信については、テレビジョン国際放送とは別に、海外の放送事業者等へテレビジョンの番組配信を行っている。これは「NHKワールドプレミアム」という名称のもと、著作権処理をした番組等を中心に、スクランブルをかけて海外に送信しているもので、実務は関連団体に委託して実施している。現在、世界で80の国と地域を対象に82の放送機関等がこれを受けて自国内の放送で活用している。
 これに関する主な質疑は、次の通りである。
・ 「紅白歌合戦」は、なぜ海外では「NHKワールドプレミアム」のほうに入るのか。テレビ国際放送では放送できないのか。
 これに対する関係役員の主な発言は、次の通りである。
・ 番組の放送のためには著作権の処理が必要であるが、NHK自らが実施するテレビ国際放送は全世界での受信が可能なため、現在の著作権料では放送の許諾を得ることが困難である。このため、視聴者が限定される有料放送事業者に提供することで対応せざるを得ない。

(3) 「地上デジタル放送に関する共同検討委員会」の確認事項について
 山田理事から概略以下のような説明があった。
 1月16日に「地上デジタル放送に関する共同検討委員会」が開催され、総務省からアナログ周波数変更対策に要する経費予算案の査定結果について説明があった。アナログ周波数変更対策経費については、平成12年4月26日の共同検討委員会における共通認識に基づいて152億円の予算要求を行ったが、査定により東京の民放キー局(5局)と大阪の民放準キー局(4局)の送信設備が助成対象から外され、123億円が認められた。この中にはNHKの送信設備にかかる経費への給付金(約23億円)が含まれている。また、この予算案に基づき、総務省、NHK、民放の三者が協力してアナログ周波数変更対策を行うための「地上デジタル放送推進協議会」(仮称)の地域ごとの設置、大規模中継局のチャンネル素案、対策工事を円滑に行うための実施マニュアルなどを確認した。

(4) 地方放送番組審議会委員の委嘱・解嘱について
 松尾専務理事から概略以下のような説明があった。
 中部地方で、三谷雄皓氏(三谷不動産椛纒\取締役社長)を任期満了により平成13年1月31日付で解嘱し、勝木健俊氏(鰹泱リ書店代表取締役会長)を2月1日付で新規委嘱する。東北地方で、駒井満夫氏(青森県林業協会代表理事会長)を任期満了により平成13年1月31日付で解嘱し、三上伸氏(青森オフセット印刷椛纒\取締役社長)を2月1日付で新規委嘱する。

(5) 財政の現況(平成12年12月末)について
 笠井理事から概略以下のような説明があった。
 平成12年12月末の財政状況を見ると、事業収入は受信料収入、副次収入等を含め、4,923億円、予算に対する施行率75.0%で、順調に推移している。一方、事業支出は4,594億円、施行率72.2%で、抑制気味となっている。

3 その他
 海老沢会長から以下の項目について概要の説明があった。
(1) モンゴルでのヘリコプター事故について
 1月14日にモンゴル西部で、国連がチャーターした双発ヘリコプターが墜落、炎上し、モンゴルの雪の被害を調査していた国連の調査団に同行して取材にあたっていたNHK中国総局の加藤記者と正木カメラマンを含む9人が死亡した。事故の原因は調査中とのことである。遺体が帰国次第、両家とNHKとの合同葬を行い、2月26日にNHKホールで合同追悼式を行う予定である。

(2) NHKアーカイブスの起工式について
 NHKが制作・収集した映像・音声ソフトを一元的に管理・保存し、多角的に活用する施設として、埼玉県川口市のNHKラジオ放送所跡地に建設するNHKアーカイブスの起工式を、同じ敷地内に新たな映像産業拠点を整備する埼玉県と共同で、1月21日に実施した。平成14年9月に建物を竣工し、テレビ放送開始50年を迎える平成15年2月に運用を開始する予定である。

(3) 「エルサルバドル大地震災害たすけあい」の実施について
 1月13日(日本時間1月14日)、中米のエルサルバドルで大地震が発生し、大きな被害を引き起こしている。NHKでは、NHK厚生文化事業団、日本赤十字社とともに、1月19日から3月16日まで、義援金の募集を行っている。

 なお、これに関連して委員長から、経営委員1人あたり5,000円を義援金として拠出してはどうかとの提起があり、全員が賛同して義援金を拠出することとした。


 上記の通り確認する。

平成13年2月20日  
   櫻 井 孝 頴