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第1416回
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2023年1月27日(金)公表

日本放送協会第1416回経営委員会議事録
(2023年1月10日開催分)

第1416回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1416回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2023年1月10日(火)午後1時00分から午後4時00分まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 大 草   透
    尾 崎   裕    原 一 夫 堰 八 義 博
    不 破   泰   前 田 香 織 水 尾 衣 里
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  前 田 会 長 正 籬 副会長 林   専務理事
  板 野 専務理事 小 池 専務理事 伊 藤 専務理事
  児 玉 理事・技師長 中 嶋 理 事 熊埜御堂  理事
  山 内 理 事 安 保 理 事 山 名 理 事

 

 

< 場   所 >
○放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

< 議   題 >

 

1 本日の付議事項について

 

2 議事録確認

 

3 報告事項

 (1) インターネット活用業務実施基準の認可について(資料)

 

4 議決事項

 (1) 2023年度(令和5年度)インターネット活用業務実施計画について
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 (2) NHK経営計画(2021-2023年度)の修正について
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (3) 令和5年度 収支予算、事業計画及び資金計画
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (4) 2023年度(令和5年度)国内放送番組編集の基本計画について(資料)

 (5) 2023年度(令和5年度)国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 

5 その他事項

 (1) 総務省 デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会「公共放送ワーキンググループ」について(資料)

 

6 説明会

 健康確保施策見直しの方針について

 

7 今後の経営委員会運営について

 

 

<議事経過>

 

<経営委員 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 (森下委員長)
 本日の経営委員会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、みなさまにはマスクを着用のうえ、出席いただいています。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

 

1 本日の付議事項について

 本日の付議事項について、情報共有と意見交換を行った。

 

<前田会長、正籬副会長、専務理事、理事 入室>

 

 

2 議事録確認

 第1415回(2022年12月20日開催)の議事録を承認し、所定の手続きを経て、2023年1月13日に公表することを決定した。

 

 

3 報告事項

 (1) インターネット活用業務実施基準の認可について(資料)

 (森下委員長)
 「インターネット活用業務実施基準の認可について」、伊藤専務理事から報告をお願いします。
 (伊藤専務理事)
 在外邦人向けの日本語テレビサービス「NHKワールド・プレミアム」を外国の動画配信事業者にも提供できるようにする「NHKインターネット活用業務実施基準」の変更について、総務大臣の認可を受けましたので、ご報告します。
 変更案は、昨年8月30日の第1406回経営委員会において、議決いただき、即日、総務大臣に認可申請したのち、11月8日の第1411回経営委員会で変更案の一部を修正する議決をいただいたものです。
 総務省による意見募集を経て、12月21日に開かれた電波監理審議会で、認可することを適当とする旨の答申が行われ、同日付で総務大臣の認可を受けました。
 認可にあたり認可条件が付されており、実施においては、実施基準に定めた基本原則から逸脱することのないよう、十分に配意することという趣旨でした。執行部としても、運用に当たって十分配意していきたいと考えています。
 実施基準の変更の施行は4月1日からで、このあと「2023年度(令和5年度)インターネット活用業務実施計画」についてご審議をいただくことになっていますが、新年度のインターネット活用業務は認可された実施基準に基づいて実施していきます。ご報告は以上です。

 

 

4 議決事項

 (1) 2023年度(令和5年度)インターネット活用業務実施計画について
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 (伊藤専務理事)
 2023年度のインターネット活用業務実施計画(案)についてご説明します。
 実施計画(案)は、昨年12月27日にインターネット活用業務審査・評価委員会に諮問し、1月5日の答申で「公共放送の業務としての適切性を確保する観点から検討した結果、概ね妥当であると考えられる」との見解を得ています。大枠は、今年度と大きく変わっていませんので、「主なポイント」の資料を中心に説明します。
 「NHKプラス」についてです。常時同時配信は、原則、総合テレビとEテレの放送番組すべてを提供します。提供時間は総合テレビ24時間、Eテレ19時間、として今年度と同程度です。
 見逃し番組配信では、地方向け放送番組の配信を拡大し、すべての放送局の18時台のニュース番組について実施します。
 「実施に要する費用」です。2号受信料財源業務の費用は197億円、2022年度予算に比べて約7億円の増となっています。増分のうち1億5,000万円、これは国内インターネット活用業務、NHKプラスが1億5,000万円の増額になっています。
 それ以外で見ると、報道番組関連サービスや教育番組・教養番組関連サービスなどのコンテンツ制作費の増、これが5億円程度増となっています。
 その下、「周知広報」について、今後、衛星波の再編ということを進めていますが、この周知・広報におきまして、インターネットの特性を生かして超高精細の映像など、新しいチャンネルの番組の魅力も伝えていきたいと考えています。
 一番下が「3号受信料財源業務による新サービス」です。在外邦人向けのテレビサービス、「NHKワールド・プレミアム」につきましては、動画配信事業者にも提供する予定であり、この費用を含み3号受信料財源業務で8,000万円を計上しています。
 NHKのインターネット活用業務が果たしうる社会的役割を検証する社会実証については、総務省の公共放送ワーキンググループの議論も踏まえて実施するかどうか、検討していきます。実施する場合の費用は、2号受信料財源業務の枠内で、国内放送番組等配信費の「企画費」の2億円を充てることにしています。
 以上が2023年度の実施計画(案)のポイントについてのご説明です。ご審議いただき、議決をいただきましたら、すみやかに総務大臣に届け出、公表することとします。ご説明は以上です。

 (森下委員長)

 3号受信料財源業務の費用は、現行どおり年1億円を超えないということですね。

 (伊藤専務理事)

 現状の枠内で足りるということで、0.8億円ということで計上しています。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (2) NHK経営計画(2021-2023年度)の修正について
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (伊藤専務理事)
 NHK経営計画(2021〜2023年度)の修正について、1枚にまとめた資料にもとづいて、ご説明します。
 これまで経営計画修正における新たな柱として、2023年度に予定している衛星波1波削減と値下げ後の受信料額などの修正案について、意見募集で寄せられたご意見に対する考え方について説明し、ご審議をいただきました。それを踏まえて当初計画を修正した内容について、ご説明します。
 まず、今回の修正のポイントは4点あり、これまで「5つの重点項目」と経営計画でご説明してきた中から、「安全・安心を支える」と「あまねく伝える」の2点について、内容を強化していくことが1つ目のポイントです。
 2点目が、衛星波1波削減の時期として、2023年度末と明示するところです。
 3点目が、構造改革や経営努力の成果を視聴者のみなさまに還元するための受信料の1割値下げになります。
 4点目が、値下げを踏まえた2023年度の収支見通しの修正です。この4点を主なポイントとして示させていただきました。その中身について、ご説明します。
 「5つの重点項目」のうち、「安全・安心を支える」が1つ目の強化ポイントです。災害のみならず、安全保障、感染症、地域課題など、暮らしの安全を支える「信頼できる情報」の発信を強化していきます。
 また、信頼されるメディアとしてコンテンツ強化に取り組むとともに、国内で流通するコンテンツの信頼性向上全体に対しても貢献していくとしています。
 強化ポイントの2つ目が「あまねく伝える」です。地域インフラへの投資を強化し、放送通信融合の時代に、世代や場所にかかわらず「放送の価値」を届け続けると記載しています。
 これらについては、これまでご議論、ご審議いただいてきた中でお示ししたものと同様の内容となっています。
 また、次のポイントとして、「スリムで強靭な『新しいNHK』を目指す構造改革」と掲げていまして、この中で保有するメディアの整理削減について記載しています。
 2024年3月末に衛星波は2Kのうち1波を削減します。「新BS4K(仮称)」と「新BS2K(仮称)」については、それぞれの特性を生かしたコンテンツを柔軟に編成し、地上波では味わえない新たな価値を創造していきます。「インターネット活用業務」については、在外邦人向けコンテンツについて、インターネット配信も活用し、きめ細かく、効率的に発信していきます。「受信料の価値を最大化」するためのマネジメント施策として、訪問によらない営業活動を進化させ、安定収入を確保する、こととしています。
 資料の裏側についてご説明します。こうした構造改革による支出削減に加えて、経営努力によって生み出した財政安定のための繰越金をもとに、受信料の値下げや視聴者のみなさまの将来負担の軽減につながる先行支出などを行っていくこととしています。
 受信料の値下げについても、2023年10月からの実施ということで値下げ後の金額と、学生への免除の拡大を記載しています。また、還元の規模として総額1,500億円を想定、ということについても記載しています。
 視聴者のみなさまの将来負担の軽減につながる先行支出等について、民間放送事業者との協力等も踏まえたネットワークコストの削減等に総額600億円を想定しています。また、日本のコンテンツ産業全体の視点から、公共的コンテンツの創造・展開の強化に係る支出として、総額100億円を想定しています。一方で、災害時等の持続可能性を担保する、財政安定のための繰越金が、少なくとも500億円程度必要と記しています。これらについても、これまでご審議いただいた内容と同様の内容となっています。
 「計画期間中の収支見通し」として、来年度は最終年度になることから、2023年度の収支の見通しについては、10月からの値下げを反映したことで収入は減っており、支出についても削減を進めていることから圧縮しています。そして事業収支差金のマイナスには、還元の原資として280億円を充当することについて記載しています。
 以上のような内容で経営計画の修正を行っていきたいと考えています。
 BS1とBSプレミアムの統合にあたっては、視聴者のみなさまのご意見を丁寧に伺いながら進めていく考えであり、これまでのご審議内容とBSプレミアムがなくなってしまうような印象を持たれたパブコメのご意見を踏まえ、その点についての周知を徹底することについて、しっかりと努めていきたいと思っています。
 ご説明は以上です。ご審議をよろしくお願いします。

 (井伊委員)

  5つの重点項目の中で「安全・安心を支える」、「あまねく伝える」について、ご説明いただきましたが、ここが経営委員会の行ったパブコメを受けて変わった部分という理解でよろしいでしょうか。具体的にパブコメのどのような意見をもとに修正されたのか、ご説明いただけますか。
 次に、衛星波の1波を削減することと、ラジオのAMを1つ削減することで、どの程度のコストが削減されるのか、お示しいただきたいです。
 また、「新しいNHKらしさの追求」という資料の6ページに、「2023年1月修正」と記載があり、「衛星波削減を踏まえた放送サービスのトータルプラン」ということで、図が3つに分かれていますが、それぞれどのような予算を想定しているのかについて、どこを見れば分かるのでしょうか。
 同じ冊子の5ページで、BS1とBSプレミアムが新BS2Kになり、新BS4Kと2つになるということですが、新BS4Kは、4Kの対応受信機がないと見られないということでしょうか。これまでの経営委員会でも何度かお話を伺ったと思いますが、本当に周知されているのか、視聴者に伝わっていないのではないかと思っています。
 最後に、8Kの話を最近聞かないのですが、どのようにこの予算の中で取り扱われているのでしょうか。文化財や、医療関係に使われるということは、これまでもご説明いただきましたが、遠隔医療などは民間企業も取り組んでおり、費用対効果の面でもいろいろと疑問が呈されている分野であることから、どのような扱いになっているのか教えていただきたいと思います。

 (伊藤専務理事)

 衛星波の削減影響等については、この後の2023年度予算でご説明する部分もありますので、ここでは、経営計画の修正に関わる部分について、ご回答します。
 まず、重点項目のところで、パブコメを受けて、どのような点が修正されたのかというご質問についてです。この修正部分については、当初経営計画の修正として、これまでご審議いただいてきた内容の中で、執行部として、この2点を強化したいとご説明してきました。それについて、パブコメでもおおむね賛同の意見が寄せられている部分であることから、この2点の強化については、当初経営計画からの修正ポイントということでご理解いただければと思います。
 また、衛星波については、2020年度から2023年度予算にかけて、衛星波のコストを徐々に切り下げてきています。この後の2023年度予算でご説明しますが、2020年度と比べて、2023年度は、衛星3波のコストの総額が190億円減になっています。これは、スポーツ権料や、外部のさまざまな会社との交渉等もあり、一度に減らすことができないことから、計画的に徐々に削減を進めています。これらの状況については、後ほどご説明します。
 説明資料6ページの放送サービスのトータルプランで、新BS4K、新BS2K、地上波のコストはどうなるのかというご質問についても、後ほど2023年度予算の中でご説明します。
 4K対応のテレビをお持ちでない方が新BS4Kをご覧いただけないことについては、われわれも非常に課題だと思っており、2023年度末までの間に、集中的に周知広報をしていく必要があると思っています。
 また一方で、4Kのコンテンツでも、新BS2Kや地上波など、さまざまな波でご覧いただけるようにしていく編成上の工夫も考えています。視聴者のみなさまにご理解いただけるように進めていきたいと思っています。
 8Kについても、2023年度予算について、後ほどご説明しますが、現実的には8Kテレビの普及がまだ大きくは進んでいない中で、8Kの技術の使い方を、文化財の展開や医療など、多角的に検討していくべき状況だと考えており、引き続き、さまざまな取り組みを進めていきたいと考えています。

 (森下委員長)

 説明資料の5ページ、6ページについて、視聴者のみなさまは、衛星波が1波削減されると、BSプレミアムのよい番組が見られなくなるのではないかといった心配を持たれると思うので、新BS2Kで、BS1、BSプレミアムで見ていた番組はきちんとやり、4K対応のテレビを買わないと見られなくなることではないと示すべきではないですか。

 (伊藤専務理事)

 ご指摘のとおりです。5ページの下部で、新BS2Kについて、「BS1・BSプレミアムのコンテンツを中心に、衛星放送の魅力を凝縮し、ライブ感を重視した機動的な編成を行います」と記載していますが、少なくともBSプレミアムで非常に多くの方々にご覧いただいている番組については、新BS2Kに動かし、新BS4Kで放送する番組についても、一部新BS2Kで扱っていくことを考えています。2Kテレビで視聴するみなさまの利便性を確保し、ご理解いただけるように進めていきたいと考えています。

 (明石委員)

 両面資料の裏面にある「視聴者のみなさまへの“還元”について」のところで、「値下げ等の方法」ということで、「等」が入っていますが、この「等」は具体的に、受信料体系の見直し以外の何を意味しているのか教えてください。
 また、その下の部分で、「視聴者のみなさまの将来負担の軽減につながる先行支出等について」と記載がありますが、これは、放送事業者が将来コスト増になるかもしれないところに関して、NHKが原資を出していくという内容と理解していますが、それが視聴者のみなさまに将来負担となる可能性があるということなのでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 1点目については、学生への免除は値下げではないので、これを含んでいるということです。
 2点目の視聴者のみなさまの将来負担の軽減については、民放のみなさまと一緒に全国のネットワークについてのコスト削減策を行っていくことで、将来的なNHKの支出が減ることになります。それが、最終的には視聴者のみなさまからいただく受信料を抑制することにつながっていくということで、視聴者のみなさまの将来負担の軽減につながる先行支出という捉え方をしています。

 (明石委員)

 還元という言葉は、これまでも使ってきており、お納めいただいたものを充当するというところでは、還元という表現そのものは不適切ではないとは思いますが、NHKが「こうしてあげる」という印象を少し持ってしまいます。
 視聴者のみなさまの将来負担の軽減という表現も、やはり少しそのような印象を持たれるのではないかと懸念しました。

 (伊藤専務理事)

 視聴者のみなさまからいただいた受信料の中で、これだけ大きな繰越金を持っていますので、それを還元させていただくということで、このような表現を使ってきています。

 (明石委員)

 経営努力によって値下げが実現できたことはすばらしい成果だと思いますが、パブコメではもっと安くてもよいのではないかという視聴者のご意見が多かったと記憶しています。そのようなことも配慮した上で、表現を検討されるとよいのではと感じました。

 (伊藤専務理事)

 承知しました。

 (原委員)

 衛星波1波削減のところで、視聴者のみなさまから見たときに心配な点として、いろいろと議論してきましたが、この書き方では、どうしてもNHKが内容を一方的に決めるような印象になることから、視聴者のみなさまからの意見も伺いながら決めていくと補足で説明していただいたことも十分に書き込んでおいたほうがよいのではないかと思います。
 ただ、印刷物も出来上がっていますので、説明の際に口頭で十分に補っていただければと思います。

 (伊藤専務理事)

 これまでさまざまな場で、視聴者のみなさまの利便性を確保することの重要性について、繰り返しご説明してきており、資料5ページの一番下の行にも、視聴者のみなさまの利便性を確保することについて記載しています。
 視聴者のみなさまに直接お話する際も、その点について十分ご説明をし、ご理解をいただく努力を続けていく必要があると思っています。

 (堰八委員)

 受信料値下げによる還元として、1,500億円規模を充当するということは、これまでも説明いただいていますが、そもそも、経営安定化のための積立金の残高が2022年度末で約2,200億円あるということが、資料のどこにも書いていません。
 例えば、説明資料の10ページ、11ページに出てくる金額を単純に足すと、1,500億円と700億円と500億円で2,700億円になります。11ページには、余剰が出れば「還元目的積立金」へ積み立てるということが記載されているので、今後事業収支差金が出れば、ここに積み立てていくことから、今資金が足りなくても、この700億円や、500億円について、将来カバーしていけるということは理解できます。しかし、現時点で2,200億円の残高があるということは、視聴者の方が分からないので、どこかに書いてあったほうがよいのではないかと思います。
 その残高から、差し当たって1,500億円を今回還元しますということの記載がないのでわからないと思います。

 (伊藤専務理事)

 この後でご説明する予定の2023年度の予算のところで明確に記載しています。2022年度末の見込みとして、今年度の事業収支差金と資本収支差金の総額350億円程度が出てくることが見込まれることから、それらを合わせると、繰越金が2,581億円となります。
 この数字を来年度予算で明確にして、この中から1,500億円を値下げ分に充当するということになります。

 (堰八委員)

 これは視聴者の方が見られる資料に入っているのでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 剰余金の残高を記載している予算の説明資料は、公表資料になります。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (3) 令和5年度 収支予算、事業計画及び資金計画
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (伊藤専務理事)
 令和5年度の収支予算、事業計画及び資金計画についてご説明します。
 NHKは、放送法第70条の規定により、年度ごとに「収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる「予算書」を作成し、経営委員会の議決をいただいた後に、総務大臣に提出することになっています。本日、議決をいただけましたら、即日提出したいと考えています。
 「収支予算と事業計画の説明資料」が対外的に説明するために作ったものです。また、この要約が、両面1枚の資料となります。これらが視聴者のみなさまに分かりやすくするために、今回の予算を整理したものとなります。
 一方で、議決をいただく本編は、「令和5年度収支予算、事業計画及び資金計画」になります。これだけでは、NHKが来年度どのようなことをやろうとしているのか分かりづらい面もあることから、整理した資料を例年作成しています。
 「収支予算と事業計画[要約]」の内容についてご説明します。この中で、“安全・安心を支える”、“あまねく伝える”の重点項目を強化し、スリムで強靱な「新しいNHK」を目指した構造改革を進めるとしており、先ほどご説明した経営計画の最終年度の修正分と、ほぼ同様の内容を記載しています。
 事業収入は6,440億円、事業支出は6,720億円です。事業支出を6,720億円に抑制しつつ、放送・サービスの質を向上させ、「新しいNHKらしさ」を追求していくとしています。
 また、事業収支差金が280億円のマイナスになっていることから、これについては、財政安定のための繰越金を活用し補てんしていくと記載しています。
 一般勘定のところは、その内容について示したものです。
 これについては、後ほど説明資料で詳細にご説明します。
 資料の一番下のところで、先ほど堰八委員からご質問のあった財政安定のための繰越金については、2022年度末見込みで2,581億円としています。このうち、2023年度当初においては、381億円をそのまま繰越金として残すとしています。これは、大規模災害等に備えて最大500億円程度必要だとしていた部分となります。今後においても、黒字が出てくれば、ここに積み増していき、500億円程度を確保していくことを想定しています。
 また、その下の段が、受信料値下げに伴う2023年度の事業収支差金の不足の補てんに使用する部分であり、これが280億円です。残った分が還元目的積立金となりますが、このうち1,500億円から280億を除いた1,220億円を値下げに直接充てていき、一方で、700億円をネットワークの維持やコンテンツの強化に充てていくことから、その総額を1,920億と記載しています。
 資料の裏側です。「新しいNHKらしさ」の追求のところで、4つの重点項目として、「デジタル時代に新たな公共性を確立」、「時代を超えるNHKならではのコンテンツを提供」、「地元密着と地域連携を強化」、「映像・音声資産の再構築と価値還元」を強化ポイントとして記載した上で、右側で「保有するメディアの整理・削減」についても記載しています。この整理・削減の記述については、経営計画の修正とほぼ同内容となっています。全てを貫くポイントとして、コンテンツの質の維持強化が根本にあることから、そこについて明確にしながら記載しています。
 その下の段は、「経費の削減と重点事項への投資」で、経費の削減420億円を行った上で、重点項目への投資を250億円行い、対前年度170億の削減になっています。
 その下の「建設費」のところは、放送センター建替えで情報棟の整備に重点的に取り組み、2023年度は241億円を建物に投入し、設備に102億円を投入すると想定しています。そのほか、高知、津、函館、和歌山の4つの放送会館について、整備を進めています。
 その右側が「受信料収入・営業経費」で、受信料の1割値下げによって、受信料収入は6,240億になります。営業経費率については、9.7%ということで、10%以下を維持することを想定しています。
 続いて、「収支予算と事業計画の説明資料」です。これは、12月20日の経営委員会でご説明した収支予算編成要綱をベースに作成したもので、内容に大きな変更はありませんが、追加修正を行った箇所がありますので、それを中心にご説明します。
 1ページです。2023年度予算の基本的な考え方については、これまでご説明してきたとおりであり、構造改革をさらに行うということと、衛星波1波削減、経営努力の成果を視聴者のみなさまに還元すること、放送の質の維持を前提に進めていくことについて記載しています。
 2ページ、3ページが事業計画の重点事項で、5つの重点項目のうち、2023年度においては、“安全・安心”の追求、“あまねく”の追求について強化していくことを記載しています。
 4ページ、5ページが、一般勘定です。これについて少し詳しくご説明します。
 事業収入のところで、2023年度予算が6,440億円で、受信料が6,240億円となっています。また支出については、国内放送費は、ほぼ同額を確保しています。しかし、その内容については、次の時代に向けた改革を進めていくこと、コンテンツのつくり方を変えていくこと、デジタルへの対応をしていくことにしっかりと取り組んでいく考えであり、従来の部分は抑えつつ、改革のコストを乗せていくことで進めていきます。
 国際放送費については、若干の減としています。国内放送番組等配信費、国際放送番組等配信費は若干の増となっています。
 契約収納費は営業の経費ですが、訪問営業から訪問によらない営業に転換しているところであり、コストは訪問によらない営業についてかかってきますので、ほぼ同額のコストを想定しています。
 退職手当・厚生費については、90億円の減、減価償却費は設備投資の抑制で60億円の減となります。これは前回ご説明した内容と同じになります。
 資本収支および建設積立資産についても同様です。
 財政安定のための繰越金と還元目的積立金については、先ほどご説明したとおりであり、今年度末で2,581億円、2023年度当初で1,920億円を還元目的積立金とすることで進めていきます。
 6ページ、受信料のところは変更点はありません。8ページも変更点はありません。
 9ページです。国際放送関係交付金について、政府予算案の決定に伴い、数字が確定しました。
 11ページです。新BS4Kと新BS2Kの性格づけについて記載しています。前回のご審議を踏まえ、修正をしたところです。
 12ページです。地上放送について、各波の性格を記載していますが、先ほどご質問がありました、総合テレビ、Eテレ、音声波、それぞれの予算がどうなっているのかについて、13ページの下に記載しています。今年度とほぼ同額の規模で想定しています。
 また、衛星放送の予算は15ページに記載しています。2022年度衛星放送全体で625.5億円だったところを、2023年度予算は599.1億円ということで、26.4億円の削減としています。計画的に落としているところですが、これについては後ほどご説明します。
 16ページ、17ページは前回ご説明した内容と同様です。
 18ページ、「人にやさしい放送・サービス」の推進について、前回ご説明したときには、まだ内容を精査中としていましたが、確定しましたので記載しています。総額で0.5億円の増で、字幕放送は、字幕付与番組の拡充等で4,000万円程度を増額します。また、手話の番組も増やしていくことで、放送番組それぞれを増として取り組んでいきます。
 19ページ、20ページ、21ページ、22ページは前回と同様です。
 23ページです。ジャンル別の番組制作費について、地上波、衛星波のテレビ全国放送の定時番組について、番組制作費の目安をジャンル別に示したものです。幅を持って示しており、「教育・次世代」、「福祉」、「ライフ・教養」などのジャンルごとに示しています。ここが追加で記載したところです。
 24ページからの契約収納費については変更ありません。
 26ページからの広報費、調査研究費も変更ありません。
 28ページ、29ページも変更ありませんが、29ページの給与の推移と要員数の推移のところで、時間軸が同じように見えるとご指摘をいただきましたので、いずれもピーク時に比べて減少しているということについて、明記をしています。給与については、1998年度予算がピークであり、そこに対して372億円の減となっています。要員数については、1979年度がピークであり、そこに対して6,652人の減となっています。
 30ページ、31ページ、32ページ、33ページも大きな変更はありません。
 34ページ、35ページも同様であり、36ページも変更はありません。
 37ページです。2023年度末の予定貸借対照表が確定したので、記載をしています。
 以上の内容で、説明資料を作成しています。
 先ほど、井伊委員からご質問がありました衛星放送について、2023年度末での1波削減に向けて、計画的にコストを下げてきていることについてご説明します。
 衛星波については、1波削減に向けて、2K番組と4K番組の一体化制作などに取り組み、2020年度から2022年度にかけてマイナス165億円(8K除く)の削減を行ってきました。来年度は12月から衛星放送を再編して、新しいBS4K・BS2Kをスタートさせていきますが、1波削減によって単純にBSプレミアムがなくなるということではなく、BS1・BSプレミアムで好評の番組についても多くをお届けできるように考えています。
 再編初年度の2023年度の予算規模は、衛星3波総額25億円の削減としています。合計で190億円の減ということになります。2020年度予算で775億円だった衛星3波の合計が、2023年度予算では584億円となりますが、2023年度についても3月末までは波がある状態であることから、2024年度に向けてはさらなる削減を進めていきます。より一層効率的な資源配分を目指します。
 以上のようなことを記載したのが、本日議決していただく「令和5年度収支予算、事業計画及び資金計画」です。
 これについては、内容、ポイントを絞ってご説明します。
 3ページ、予算総則ですが、これは、NHKの予算についての運用ルールを定めたものや、放送の受信について数多くのご契約をいただいている事業者等に対する割引等について示したもので、全体のルールを定めたものです。また、予算の執行上やむを得ない場合に限り、経営委員会の議決があれば、予算の各項の間において相互に流用することができるといったことについても記載しています。
 8ページ以降が予算の収支ですが、これについては、先ほど要約資料や説明資料でご説明した内容となります。
 13ページからは受信料額等について記載しています。これについては、9月30日までと10月1日以降で分けて記載しています。
 17ページです。ケーブルテレビ業者等に対する団体一括支払における割引額については、値下げとタイミングを合わせて割引額を圧縮し、月額200円を180円に変更するということです。
 19ページからが事業計画で、スリムで強靱な「新しいNHK」を目指した構造改革をさらに進めていくこと、1波削減と値下げを行うこと、番組の質を維持していくことなどについて記載しています。これらについては、先ほどの説明資料の中に記された内容と同内容ですので省略します。
 38ページからは、受信契約件数ということで、想定している件数見込みを記載しています。
 42ページは要員計画です。
 43ページからは資金計画で、入金と出金についての記載があります。
 今ご説明した資料は、一般の視聴者の方々には分かりにくいということがありますので、要約と説明資料を用意しているということです。
 ご説明は以上です。

 (不破委員)

 衛星波で、3つ波があるものを2つに減らすことでどの程度の経済的効果があるのかということについて、3波を2波にすることで、600億円かかっていたものが25億円の削減ということで、4%減ですね。ご説明では、来年度いっぱい、チャンネルは放送し続けるからそれほどの効果がないというお話だったと思いますが、そうであれば、本当に停波をする2024年度になると、もう少し大きな削減を見込めると思ってよいのでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 スポーツ権料などは複数年契約で続いてきており、2023年度が終わったから切るというわけにいかないということで、計画的にここ数年をかけて、いろいろなコンテンツを整理してきています。
 1波削減を意識して、2021年度、2022年度、2023年度と予算を削減してきているという経緯があり、ここまで190億円の減を行ってきたことから、ここからさらに大きく減少するということにはならないと考えています。
 現状、BSのコンテンツについては、さまざまな再放送番組なども含めて放送している状況です。コンテンツの総量を抑制してきており、スムーズに2波への凝縮・集約につなげていくための準備活動を進めてきておりますので、そのようにご理解いただければと思います。

 (不破委員)

 衛星放送の費用というのは、ほとんどはコンテンツ作成の費用ということでしょうか。1波停波するので、そのための放送設備や、衛星のトランスポンダ1つを使わなくなるなどといった、設備に対する経済的効果があるのではないかと思うのですが、それはあまりないのでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 トランスポンダなど、衛星そのものにかかるコストは、年間数億円程度であり、それほど大きなものではありません。
 また、設備もすでに存在するものであり、それがなくなるわけではありませんので、その費用が急に減るということにもならないということです。更新しなくてよくなるという点で、将来的な負担はかからないことになりますが、それでコストが急激に減るということではないという状況です。

 (不破委員)

 波を1波減らす本質的な意味は、コンテンツを減らすということに集約されるということですか。

 (伊藤専務理事)

 はい。これまでも、コンテンツの質をいかに維持するか、高めていくかについて、総量を抑制し、一本一本の質を高めていくということを現経営計画でお伝えしてきました。
 コンテンツを絞る一方で、質を維持する選択をしてきたということであり、その総量を抑えていくことの一つの象徴的な存在として1波削減があると考えています。

 (不破委員)

 そのあたり、まだ私も理解がうまくできていなかったのですが、国民のみなさまの理解も進んでいないと思います。丁寧な説明が必要だと思いますし、このような意味があるということをご説明いただく必要があると思いました。
 もう1点、受信料について、説明資料の6ページに、「新たな業務モデルの確立に向けて取り組み」という記載があり、訪問によらない営業で新たな業務モデルの確立に向けて取り組むということだと思います。これは一刻も早く確立してもらわないといけないと考えているところですが、その大きな柱の一つであるポスティングが、今止まってしまっている中で、どのような業務モデルの確立が見込めるのか、その見通しを教えていただきたいと思います。

 (伊藤専務理事)

 2023年度予算については、契約件数の減を想定している状況です。これをどのように止めるのか、底打ちさせるのかが、経営的に最重要な課題の一つということはご指摘のとおりだと思います。
 ポスティングについては、総務省からご指導いただくことになっており、今後どのようにしていくかについて、今検討しています。少なくとも違法性があるとご指摘をいただいたのは、過去に行っていたことであり、直近行っていたポスティングについては、そのようなご指摘を受けていません。今後どのように進めていくのかについて、現状、やれることはあるのではないかと思っていますので、それも含めて新しい業務モデルの確立に向けた検討を急ぎ、次の中期経営計画等の中でお示しできるようにしていきたいと思っています。

 (不破委員)

 一刻も早く、信頼性のある業務モデルをご提示いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 (伊藤専務理事)

 承知しました。

 (森下委員長)

 今の1波削減のご説明の中で、ハード面の削減もないわけではないが、設備の仕様の変更は少ないという理解でよかったでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 それほど大きいものではありません。

 (森下委員長)

 つまり、まったく無いということではないということですね。

 (伊藤専務理事)

 ご指摘のとおりです。

 (森下委員長)

 基本的にはコンテンツを作る量が減っており、ここ数年で段階的に整理してきたことから、1波削減によって190億円の削減にはなっているということですね。

 (伊藤専務理事)

 そのとおりです。

 (尾崎委員)

 要約版の資料の2022年度の予算で、事業支出が6,890億円と記載されていますが、2022年度は350億円余りそうだという説明だったので、実際の支出は6,540億円ぐらいになるという理解でよいですか。

 (伊藤専務理事)

 資本収支のところから90億円出てくる分がありますので、事業収支でいうと260億円ぐらいになります。

 (尾崎委員)

 260億円減るということは6,630億円規模になるということですね。

 (伊藤専務理事)

 はい。

 (尾崎委員)

 その6,630億円規模が今年の事業支出であるということですね。

 (伊藤専務理事)

 収入の増要素も見込まれますが、今のところそのくらいの規模を見込んでいます。

 (尾崎委員)

 そこから、年金の数理計算上の差異の処理や、減価償却などで、150億円は当然下がるということで、おおよそ6,500億円ぐらいになりますが、2022年度と同じことをやれば2023年度の事業支出は、実体的にはそれぐらいになるという理解でよいですか。

 (伊藤専務理事)

 2023年度においては、改革のためのコストをかなり想定しているところもあります。

 (尾崎委員)

 同じことをやるという前提ではいかがですか。

 (伊藤専務理事)

 物価上昇率の部分などを除けば、同じことをやれば、そうなります。

 (尾崎委員)

 同じことをやればそうなるところ、いろいろ新しいことを行い、インフレなどがどうなるかも踏まえて、2023年度の事業支出は6,720億円まで増えると考えているということですね。

 (伊藤専務理事)

 はい、そうです。

 (尾崎委員)

 増えるという要素がある中で、エネルギーなども値上がりしていますし、財界がそろって賃上げだといっている中で、コストの上昇が見込まれますが、人件費はどれぐらい上がると考えていますか。

 (伊藤専務理事)

 人件費については、今年度よりも来年度は減と考えています。

 (尾崎委員)

 単価でみるとどうなのですか。

 (伊藤専務理事)

 単価は基本的に現状維持です。

 (尾崎委員)

 人件費的な要素は、おおよそ1,000億円程度あると思いますが、そこも上がらないと考えているのでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 人件費というのは外部の費用のことでしょうか。

 (尾崎委員)

 決算では要員費と記載してありますね。あれがおそらく1,000億程度あったと思いますが、そこも上がらない、上げないという前提でやっているのでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 基本的には、経営努力でのみ込んでいくと考えています。

 (尾崎委員)

 そこは、ある程度リスクはあると思ってもよいわけですね。放送事業は労働集約型であり、NHK本体はNHKでコントロールできますが、建設コストも含めた外の費用にリスクがあると理解すればよいですか。

 (伊藤専務理事)

 はい。建設コストは確実に上昇していますし、人件費についても、この春の春闘がどのような決着となるのか分からない状況です。

 (尾崎委員)

 その辺りについて、コンティンジェンシープラン(緊急時の対応計画)を持ってやっていくということですね。

 (伊藤専務理事)

 はい。そこを飲み込めるように経営努力を進めていくと考えています。

 (大草委員)

 要約資料の一番下、還元目的積立金1,920億円のところで、注※3と記載されていますが、対外的に説明するときに、ぜひ誤解のないようにお願いしたいのは、1,920億円の内訳は、1,500億円から受信料値下げ分の280億円を使った残りの1,220億円に、民放とのインフラ共用等に関する700億円を足したものということを説明してもらいたいと思います。

 (伊藤専務理事)

 ご指摘のとおりです。

 (大草委員)

 この1,920億円全てが受信料値下げのための原資と取られないように、きちんと説明していただければと思います。

 (伊藤専務理事)

 はい。先ほどご説明した経営計画の修正とセットでご説明していく必要があると思っています。民放協力、ネットワークの維持などを含めて、経営計画で定めるべきものであり、経営計画のほうで明記しています。次の経営計画においてもしっかりと書いていくべきだと思っており、これを併せて、セットでご説明するようにしていきます。

 (大草委員)

 還元目的積立金ということばから、還元イコール値下げと受け取られないように、ぜひお願いしたいと思います。

 (伊藤専務理事)

 承知しました。

 (前田委員)

 経営計画の修正と、2023年度の収支予算の関係を教えていただきたいのですが、先ほどご説明のあった経営計画の説明資料9ページ、強化する重点項目の「あまねく伝える」の中に、地域インフラへの投資を強化ということが記載されており、それに関連するところで、12ページに、放送ネットワークインフラの維持について記載されています。これらの修正点は、2023年度の予算のどこかに反映されているのでしょうか。それとも、これは2023年度の予算には直接何も出てくるものではないということでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 これは、経営計画の修正の中に明記することによって、民放のみなさまとの本格的な議論に入るという段階です。2023年度の支出そのものに直接影響をあたえる部分は、まだそれほど大きくないと考えています。

 (前田委員)

 具体的には、来年度予算には出てくる項目ではないということですか。

 (伊藤専務理事)

 主には次の中期経営計画の中で、この支出について記載していくことになると考えています。

 (前田委員)

 この放送ネットワークのインフラは、基本的には、将来的にも電波を利用するインフラを想定しているのでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 はい。電波のほうが送信コストが安いということと、山あいの地域などは、電波でお届けする設備をつくるとコストが割高になるところが出てきますので、その分岐点を見極めた上で、山あいの地域においてはネットワークを使って、ブロードバンドによる代替ということも検討されているところです。

 (水尾委員)

 BSは受信料の値下げを機に契約しようという人も出てくるのではないかと当初思いましたが、説明資料7ページを見ると、2023年度予算では契約数が減と想定されています。これは、値下げが効果的に契約数を増やすことにはつながらない、または、1波減ることによって心が離れることのほうが強いという意味合いがあるのでしょうか。

 (伊藤専務理事)

 2023年度の契約数においては、営業の業務モデルの転換のさなかであり、若干減となるだろうと考えています。それを、先ほどもご指摘があったとおり、いかに早期に底打ちさせるかということが経営上の非常に大きな課題となる状況だと思っています。

 (森下委員長)

 それでは、議論も出尽くしたようですので、本日、NHK経営計画(2021−2023)の修正」と「令和5年度 収支予算、事業計画及び資金計画」を議決するにあたり、経営委員会から、ひとこと申し上げます。
 2023年度に受信料値下げの方針がうたわれている現経営計画の修正について、執行部から提案を受け、経営委員会は議論を重ねるとともに、意見募集を行い、視聴者・国民の皆さまから広く寄せられた声を考慮してまいりました。本日、執行部から提案のあった現経営計画の修正について議決することとします。あわせて、経営計画の最終年度となる令和5年度の「収支予算及び事業計画」を議決することとします。
 現経営計画の2年目は、引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大が予断を許さない中で事業継続に取り組みつつ、構造改革が一定の成果を上げました。また、選挙・災害・緊急報道などでは着実な成果を上げたと考えています。そして、最終年度となる「令和5年度 収支予算、事業計画及び資金計画」の審議にあたり、「スリムで強靱なNHK」を目指す構造改革をさらに強化する、経費削減の内容が具体的に示されたことで、受信料の値下げと衛星波の1波削減を実行することができると判断しました。
 ただし、事業運営にあたり以下の3点については、特に注意していただきたい。

  • 受信料収入の増減に影響を与える事象が発生した場合、および発生するおそれが生じた場合、すみやかに経営委員会に報告すること。
  • 視聴者・国民の皆さまが値下げの納得感を得られるよう、丁寧な説明に努めること。
  • 将来的な受信料制度の在り方について、研究を進めること。
  •  今回、受信料値下げの方針を認めましたが、構造改革をより一層進めるとともに、放送やサービスの質が低下することがないよう、評価と検証を行って、さらなる向上に努めてください。特に、衛星波の1波削減に際しては、視聴者の誤解を招かないよう、わかりやすい説明をお願いします。また、受信契約案内のポスティング文書の取り扱いには十分に注意しつつ、「訪問によらない営業」の新しいモデルを早期に確立し、受信料収入の安定的な確保に取り組んでください。そのためには、協会全体で組織の壁を越えて職員の間のコミュニケーションを十分はかりながら、新しい制度を定着させることが必要不可欠です。視聴者・国民の皆さまに納得と理解をいただくために、職員一丸となって推進していくようお願いいたします。
     また、インターネット活用業務では、「NHKプラス」をより多くの皆さまに使っていただけるよう、一層のサービス向上をお願いします。NHKインターネット活用業務が果たしうる社会的役割について視聴者・国民の皆さまに理解していただけるよう説明と広報に努めてください。
     NHKが国民から信頼を得ていくためには、働くひとりひとりが、公共メディアに携わる者として高い倫理観を持ち、重い社会的責任を負っていることを意識しなければなりません。執行部には、こうした基本的な姿勢に基づいて職員とのコミュニケーションと人材育成を行いながら、健康確保への取り組みを徹底していくことも強く求めます。
     経営委員会としても、引き続き執行部とともに議論し、真摯に取り組む所存です。

     

     採決の結果、原案どおり議決。

     

     (4) 2023年度(令和5年度)国内放送番組編集の基本計画について(資料)

     (林専務理事)
     2023年度(令和5年度)国内放送番組編集の基本計画について、定款第15条第1項第1号ケの規定により、議決をお願いします。
     この「編集の基本計画(案)」は、去年12月の第1414回経営委員会でご審議いただき、それを踏まえた上で、内容の一部を改めています。全体については、前回ご説明していますので、今回は変更のあった部分についてご説明します。
     最初に、前回の審議でご質問いただきましたので、「国内放送番組の編集に関する基本計画」の位置づけについて、ご説明します。これは放送法第6条で定められている「放送番組の編集に関する基本計画」にあたるものです。法律での名称は「基本計画」となっていますが、内容は一定の期間における放送番組の編集についての大綱で、来年度の国内放送を組み立てるための「方針」をお示しするものです。そのため、ここには具体的な番組名や内容を記載していませんが、来年度の具体的な編成の計画については、1月24日の経営委員会で「編成計画」としてご報告する予定です。
     次に、内容の一部変更についてご説明します。
     2ページです。重点事項2、「時代を超えるNHKならではのコンテンツを提供」について、「NHKならでは」とは具体的にどのようなことを意味するかという趣旨のご質問をいただきました。こうしたことも踏まえ、この2つ目の項目名を、「NHKの強みを発揮したコンテンツを制作」と改め、また、「複数年に渡って1つのテーマを多角的に掘り下げるシリーズや、新しい分析手法、最新技術を活用したドキュメンタリーなど、NHKの公共的役割に資する高品質なコンテンツ」という表現で、公共メディアとしてNHKが追求するコンテンツの例を示しました。
     以上が、前回の審議を受けてのご説明と変更点です。
     なお、この「2023年度(令和5年度)国内放送番組編集の基本計画(案)」は、去年12月19日に「中央放送番組審議会」に諮問し、同日、全員一致で「可」とする旨の答申をいただきました。
     また、1ページに戻りますが、編集の基本方針で「中期経営計画の修正案」となっている部分については、本日の経営委員会で経営計画の修正案について議決をいただきましたので、「案」を外して公表します。
     ご説明は以上です。

     

     採決の結果、原案どおり議決。

     

     (5) 2023年度(令和5年度)国際放送番組編集の基本計画について(資料)

     (林専務理事)
     2023年度(令和5年度)「国際放送番組編集の基本計画(案)」について、定款第15条第1項第1号ケの規定により、議決をお願いします。
     「国際放送番組編集の基本計画」の位置づけは、国内と同様、一定の期間における放送番組の編集についての大綱で、来年度の国際放送を組み立てるための「方針」をお示しするものです。来年度の具体的な編成の計画については、国内同様、1月24日の経営委員会で「編成計画」としてご報告する予定です。
     今回の「国際放送番組編集の基本計画(案)」については、去年12月の第1414回経営委員会でご審議いただいた際の内容から、レイアウトなどを一部微修正し、国内と統一しました。そのほかの変更はありません。
     去年12月20日に「国際放送番組審議会」に諮問し、全員一致で「可」とする旨の答申をいただきました。
     ご説明は以上です。

     

     採決の結果、原案どおり議決。

     

     

    5 その他事項

     (1) 総務省 デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会「公共放送ワーキンググループ」について(資料)

     (伊藤専務理事)
     総務省の「公共放送ワーキンググループ」(以下、公共放送WG)ですが、昨年12月22日の第4回会合で、これまでの議論の整理が行われました。この資料は、総務省の公共放送WG事務局が取りまとめたもので、総務省としての取りまとめとご理解いただければと思います。
     1ページからが、4つある検討項目の1つ目で、インターネット時代における公共放送の役割について、ここまでの議論を取りまとめたものになっています。上の黒字の部分が総務省の事務局で取りまとめた内容で、その具体的な中身が、構成員等の主な意見というところに記載されています。総務省の事務局で取りまとめた内容にポイントを絞ってご説明します。
     まず、インターネットを含めた情報空間全体の環境整備の観点から、公共放送の役割として何が求められていくかという視点で考えていくべきということでした。
     また、その下の行で、情報空間全体としてのメディアの多元性を確保する点を視野に入れて議論することが必要としています。この多元性というのは1つのキーワードで、NHKがしっかりと機能する一方で、NHKだけがあまりにも強くなり過ぎることに対しては、当然配慮が必要であり、そこのバランスのある状態、さまざまな信頼性の高いメディアがインターネットの世界でも十分に機能する状態を、多元性というワードにしており、そのような状態が望ましいのではないかという論点です。
     2ページです。上の黒字部分の一番下ですが、NHKも民放も「公共性」を備えているが、その中でNHKは、「市民の利益」を考えた場合、より一層公共性が高いレベルではないかとされています。先ほどの多元性の役割を果たしていくのは新聞や、テレビというところですが、その中におけるNHKのポジションについて、「市民の利益」というポジションにおける公共性というものを、NHKが果たしていくことが期待されるのではないかということで認識しています。
     4ページです。インターネット時代における公共放送の役割で、国民から見た役割という目線が非常に重要だという論点です。重要なのは、時代の変化の中で、メディアから情報を受ける国民にとって役に立つプログラムが提供されること。国民の受益の中身がよりリッチになるように必要なことは何かという視点から議論を尽くすべきと記載しています。
     また、公共放送のもたらす便益を、放送を見ない層にどのような形で提供していくかが重要で、テレビを持たない人がNHKのコンテンツに触れるための方策は早急に整備すべきであり、NHKプラスを前向きに契約したいがテレビを持たない人をどうするか、公共放送WGとして考えていくべきだという議論が行われてきています。
     6ページです。NHKのインターネット活用業務の在り方という検討項目の業務の在り方に関する基本的な考え方について、一番上の行で、マスメディアとしてのNHKにとって将来のインターネット展開は必然であり、本来やるべき業務ではないか、ということが記載されています。
     また、一番下のところで、まず「公共放送の役割」を検討し、そのための「業務」の在り方を検討し、それを支える「受信料」の在り方を検討するという順番で進めるべき、ということで、情報空間におけるNHKの役割をしっかりと押さえるべきであり、その上で、それを果たす業務の在り方、支える受信料の在り方という順番で、議論が進められるべきということでした。
     7ページです。そのようなことを考えていく上で、一番下のところに、必須業務化すべきか否かを公共放送の役割から導いた上で、公正競争上の懸念に対して、つまりNHKだけが必要以上に強くなるということではなく、多元性を確保された状態にするためには、別途、客観的・中立的に独立した検証を行うのが諸外国の趨勢である、ということが記載されています。これはイギリスBBCあるいはドイツZDFなどでいろいろな制度上の工夫が行われており、その点を念頭に置いた発言です。それについてこの後さらに深めていくことになります。
     8ページです。メディア間の競争環境確保の必要性で、公共放送の活動領域を広く認めることでメディア間の競争が阻害されることは避けなければならない。また、多元性により提供される価値を確保するためには、NHK以外のプレーヤーの業務に著しく支障を及ぼすことのない仕組みが必要だという意見が出ています。
     そこで重要になってくるのが、次の9ページです。ここが大事なところですが、メディア間の競争環境の確保のためには、NHKの活動を継続的に評価し、不断の改革ができるガバナンスを構築するための議論が必要であり、公共放送の独立性の観点からも、経営委員会の機能・役割の問題が極めて重要。個別の市場分析について経営委員会が自らチェックするようなガバナンスの仕組みが必要ではないかといった議論が出されています。
     これについて、具体的にどうしていくのかについては、今後議論が深まっていくと思いますが、この公共放送WGについては、今年の6月か7月に取りまとめが行われる予定です。その中で、このNHKのインターネット活用業務の在り方を、どのようなガバナンスの下に置くのかについて、これから議論が深まることが想定されるので、そこで経営委員会の在り方の議論も出てくる可能性があると認識しています。
     12ページです。競争ルールを検討するに当たっては、海外事例を参照することも重要で、公共放送WGでは、イギリスの「公共価値テスト」やドイツの「3段階テスト」のような仕組みを検討すべきではないかということです。これはまさに、この公共放送WGにおいても、イギリスとドイツでどのような仕組みが取り入れられているかについて、今年さらに掘り下げた議論が行われる見通しであり、その上で日本においてどうするかが議論されていくことが想定されます。
     13ページです。スマートフォン等で同時配信以外も見たいというのが時代の要請であり、インターネット配信において、アーカイブスの提供や教育利用、ニュース・防災情報の提供などをしっかり議論して進めていくべきという内容です。
     また、国際放送についても、インターネット配信について積極的に検討していくべきであり、現在の位置付けは、海外と比べると社会の実情に合わなくなっているのではないかというご指摘も出ています。
     16ページです。NHKがインターネット活用業務に先導的に取り組み、そこで得られた知見を民放と共有すべき。情報空間の健全性や知る権利の充実の点から、NHKと民放との協力はあり得るかどうか。NHKの地域ニュース配信は、民放のローカル局のニュース配信との関係で、先行投資か競争阻害か。動画配信サービスにおいて放送コンテンツに広告が付されることに伴う問題については、NHKと民放が軌を一にして対応すべき、など民放との協力関係についてもさまざまな議論が行われているところです。
     17ページは財源の問題です。インターネット活用業務の財源に関する基本的な考え方で、費用負担のあり方については今後丁寧な議論を尽くすべきであり、公共放送の便益を受ける者が平等な負担感を持つことが肝要。放送のための受信料でインターネット活用業務ができるのはなぜか、NHKのインターネットコンテンツを見たことで受信料を取ることができるとするとそれはなぜか、という基本的な問いから議論されていないのではないか。テレビ受信機に紐付く現行の受信料制度との整合性や負担の公平性の議論を先送りしてはならない、など受信料制度をどのようにしていくのかについても、しっかりとした議論が今後行われていくと思われます。
     18ページです。インターネットに接続する機器を保有しているだけで受信料を払うという制度をいきなり考えるのは難しいのではないか。自らNHKを受信できる環境を整えようとする視聴者については、負担のあり方について議論自体はしてもよいのではないか。インターネット配信だけの契約ができるようになるのであれば、海外でもインターネット経由でNHKのコンテンツを見る受信契約ができない理由はないのではないか。といった、単にスマホを持っただけで受信料の対象とするのではなく、受益者が何らかのアクションを起こした場合に、その対象としていくことが想定されている議論が進んでいると受け止めています。
     これらのような議論が、去年の12月22日の段階での取りまとめとして出てきていますが、これからその取りまとめを踏まえて、それぞれの項目の掘り下げが行われていきます。
     NHKのインターネット活用業務の在り方、そして経営委員会がそれにどのような形で関わるのか、受信料制度をどのようにしていくのかといった、かなり幅広い議論になっていくと想定されることから、さまざまなかたちでご報告させていただき、イギリス、ドイツの関係についても、またご説明する場も設けながら情報共有をさせていただきたいと思っています。
     ご説明は以上です。

     (森下委員長)

     いずれにしても検討をしないといけない項目であると思います。

     (村田代行)

     現在執行部に付随して評価を実施しているインターネット活用業務審査・評価委員会の4人のご専門の先生方の中で、座長はどなたでしょうか。

     (伊藤専務理事)

     白山真一先生です。

     (村田代行)

     白山先生が座長ということですね。

     (伊藤専務理事)

     はい。若干補足します。現状NHKのインターネット活用業務が市場において適正な形になっているかどうかについて、客観的かつ中立・公平な判断を行うことができる委員の方々にお集まりいただき、審査・評価委員会を設けています。メンバーは4人で、公会計がご専門の白山先生が座長で、計量経済学・情報通信政策、憲法、競争法などの先生にお集まりいただいています。
     インターネット活用業務においては、基本的にこの審査・評価委員会に諮問をして答申を頂戴しながら進めてきているのが現状です。この中で市場への過剰な影響がないかということについて確認をしながら、これまで進めてきており、今後どのようなかたちになるか分かりませんが、対外的な説明性という観点からも、こうした機能を何らかの形で充実させていく必要があるのではないかと思っています。

     (井伊委員)

     9ページで、経営委員会に機能を持たせるべきではないかという意見が出ており、経営委員会の機能・役割の問題が極めて重要で、経営委員会の新しい役割といったことを指摘されていたと思いますが、この取りまとめは今年の6月にされるということでしょうか。

     (伊藤専務理事)

     公共放送WGとしての取りまとめは、今年の6月か7月にされると想定しています。

     (井伊委員)

     それまでに経営委員会の役割や新しい役割を加えることについて、議論されるということですか。

     (伊藤専務理事)

     イギリス、ドイツの現状についての掘り下げを行った上で、日本においてはどのようにしていくのかといった議論は行われていくと思っています。

     (井伊委員)

     放送は、その国のいろいろな背景によることもあると思いますので、イギリスやドイツの研究をすることも大切ですが、日本のコンテクストの中で、どのように機能するかということがより重要だと思います。

     (伊藤専務理事)

     ご指摘のとおりだと思います。

     

    <前田会長、正籬副会長、専務理事、理事 退室>

     

     

    6 説明会

     健康確保施策見直しの方針について、意見交換を行った。

     

     

    7 今後の経営委員会運営について

     今後の経営委員会運営について、情報共有と意見交換を行った。

     

     

     森下委員長が散会を宣言。

     

     

     上記のとおり確認する。

     

    2023年1月24日       

    森 下  俊 三 

     

     

    大 草  透