過去の議事録(過去の議事録を閲覧できます)
第1391回
一覧へ
2022年1月14日(金)公表
※「7 審議事項(1) 2022年度(令和4年度)収支予算編成要綱」は2022年1月28日(金)公表

日本放送協会第1391回経営委員会議事録
(2021年12月21日開催分)

第1391回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1391回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2021年12月21日(火)午後1時30分から午後5時まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 尾 崎   裕
    堰 八 義 博   高 橋 正 美 長谷川 三千子
    不 破   泰   水 尾 衣 里 渡 邊 博 美
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  前 田 会 長 正 籬 副会長 松 坂 専務理事
  板 野 専務理事 角   専務理事 若 泉 理 事
  松 崎 理 事 小 池 理 事 田 中 理 事
  林   理 事 児 玉 理事・技師長 伊 藤 理 事

 

 

<場   所>
○放送センター  22階経営委員会室 21階役員会議室

 

<議   題>

 

1 視聴者のみなさまと語る会(山口)登壇者報告

 

2 今後の議事運営について

 

3 議事録確認

 

4 監査委員会報告(資料1)(資料2)

 

5 会長報告

 

6 議決事項

 (1) 日本放送協会放送受信規約の一部変更について(資料)

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

7 審議事項

 (1) 2022年度(令和4年度)収支予算編成要綱(資料)

 

8 報告事項

 (1) 新和歌山放送会館の建設基本計画について(資料)

 (2) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

9 説明会 営業改革の進捗について

 

10 今後の議事運営について

 

11 今後の経営委員会運営について

 

 

<議事経過>

 

<経営委員 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 (森下委員長)
 本日の経営委員会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、皆さまにはマスクを着用のうえ、出席いただいています。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

 

1 視聴者のみなさまと語る会(山口)登壇者報告

 12月18日に開催された「視聴者のみなさまと語る会(山口)」に登壇した森下委員長、尾崎委員から報告を受けた。

 

<松崎理事 入室>

 

 

2 今後の議事運営について

 執行部より、日本放送協会放送受信規約の一部変更について説明を受け、意見交換を行った。

 

<前田会長、正籬副会長、専務理事、理事 入室>

 

 

3 議事録確認

 第1390回(2021年12月7日開催)の議事録を承認し、所定の手続きを経て、2021年12月24日に公表することを決定した。

 

 

4 監査委員会報告(資料1)(資料2)

 (高橋委員)

 監査委員会から、放送法第39条第6項に基づき、監査委員会の活動結果についてご報告します。
 対象期間は2021年9月1日から11月30日までです。この期間中の四半期業務報告に記載されました業務、および、監査委員が必要と認めた業務を対象に監査を行いました。
 報告書は、監査実施計画に従い、Ⅰ「業務監査」、Ⅱ「会計監査」、Ⅲ「監査委員会の活動」の3つのパートで構成しています。
 本日は、Ⅰ「業務監査」のうち「監査委員会の認識」の要旨を中心に説明します。
 重点監査項目の1つ目は、「内部統制の推進およびリスクマネジメントの取り組み」です。「監査委員会の認識」をご覧ください。
 協会が構造改革を進め、これまでとは異なる業務体制の構築や組織改正等を実施する中で、情報の管理、特に個人情報保護の重要性は一層高まっています。しかし、情報管理をめぐる同様の事案が繰り返されている現状を見ますと、その重要性の認識や対策の徹底が必ずしも十分ではありません。協会が視聴者の信頼を保ち続けるためには、グループ全体でシステムの整備とともにセキュリティ意識の醸成、ルールの周知徹底など、ハード面とソフト面の両面でより適切な対応が求められます。
 取材情報の目的外提供については、報道機関としての信頼を損ないかねない行為であり、報道倫理や放送ガイドラインの現場への浸透や徹底を図ることが急務です。
 また、「ハラスメント対策」についても、被害者と加害者の関係などの分析を深め、さらに実効性のある取り組みを進めることを期待しています。
 重点監査項目の2つ目は、「公共メディアとしての放送・サービスの取り組み」です。
 接触者率の長期にわたる低落傾向の中で、「新しいNHKらしさ」を追求するコンテンツ強化の取り組みを通じて、いかにNHKの価値を実感してもらう機会を増やしていくのか、監査委員会は期待をもって見ていきます。そのためにも、視聴者・国民のニーズの調査や分析を拡充し、視聴者起点の放送・サービスに生かす仕組みの確立を、強く求めます。
 また、社会実証により「テレビを日常的に利用していない人」などのニーズも的確にとらえ、インターネットの適切な活用を推進して、公共メディアとして「情報の社会的基盤」の役割を十分に果たしていくか、監査委員会は注視していきます。
 3つ目は、「スリムで強靱な新しいNHKに向けた取り組み」です。
 メディアの視聴環境の変化や、受信料収入の減少が予想される中、協会が公共メディアとして「情報の社会的基盤」の役割を果たしていくために、会長特命や直轄のプロジェクトを含む構造改革が確実に実行されるのか、監査委員会は強い関心をもって注視していきます。
 「役員と職員の対話活動」等により構造改革の全体像を繰り返し丁寧に説明することなどを通じて、全役職員が目的をしっかり共有し目指す方向を同じにすることは、改革を成功させるうえで不可欠です。
 役職員が一丸となって、新しいNHKへの転換を着実に図ることができるのか、監査委員会は期待をもって見ていきます。
 4つ目は、「NHKグループ経営改革の取り組み」です。
 グループ経営改革を進めるうえで、システム面での連携や人事施策などによって、グループガバナンスを強化するとともに、関連団体が主体的に改革を進める体制の整備が重要だと考えます。子会社で採用した社員が子会社の経営を担う人財に育つことや、グループ会社間での連携施策を通じて本体と関連団体の一体化が進み、グループ全体でも「スリムで強靱な体制」が構築されるか、監査委員会は関心を持って見ていきます。
 グループで起こった事案への対処については、当該の団体だけでなく、協会が果たすべき役割は大きいと考えます。同様の事案が繰り返されることがないよう協会と関連団体が一丸となり、グループガバナンスをより一層強化することを望みます。
 「その他の監査項目」として、「放送センター建替に向けた取り組み」を取り上げております。
 放送センター建替の抜本的な見直しの検討にあたっては、コスト削減だけではなく、長期的な視点を持って働き方改革や設備機器の更新等も視野に入れることが重要です。
 コンテンツ制作環境や放送機能が確実に維持されることを監査委員会は求めます。
 さらに、長期プロジェクトにおいて、「マネジメントの継続性」が担保されるため、適切な管理体制が構築され続けているかについても引き続き注視していきます。
 Ⅱ「会計監査」、Ⅲ「監査委員会の活動」については、報告書をご覧ください。
 以上が、活動結果報告書の主な内容です。
 続いて、もう1件報告します。
 12月20日、執行部より関連団体事業活動審査委員会の概要について報告がありました。関連団体の事業活動の適正性等に関する外部有識者の意見とそれを受けた対応策について、半年ごとに執行部から報告をいただき、監査委員会として役員の職務執行の適正性について監査することにしています。
 主な議題は、こちらの3つです。
 議題1つ目、2021年度上半期、関連団体の事業活動の適正性に関する苦情、意見の受け付けはなかったとのことです。
 議題2つ目、前回、有識者から出た助言・質問に対する執行部の対応は、資料のとおりです。このうち2つ紹介します。
 1段目「NHK外取引が多い会社では、どのような内容の事業を、どのような基準で選択しているのか」との質問に対しては、「NHK外取引の多い会社でも、NHK外取引は展覧会やコンサートといったNHKのコンテンツと関わりの深い事業が多いとのことです。また事業の選択にあたっては、個社の定款や関連団体運営基準が定める業務範囲に基づいて行っている」と回答されました。
 3段目の「関連団体のITセキュリティ対策への取り組み」については、「コンプライアンス推進強化月間にあわせて行われた『ITリスク診断』の中で実施されたeラーニングや、今後予定されている標的型メール訓練」について紹介されたとのとのことです。
 議題3つ目、今回、有識者から出された質問・助言です。
 公益通報者保護法の改正を見据えたグループ全体での取り組み、グループ社員のモチベーション向上施策、カーボンニュートラルへの取り組みについて助言・質問があり、次回の委員会でこれらについてNHKグループの取り組みが報告される予定です。
 執行部の報告に対し、監査委員からは次のような意見が出ました。
 関連団体間で組織の大きさや抱える要員が異なる中で、グループ全体のITセキュリティレベルを高く保つには、委託元部局のタテ管理ではなくグループ全体で横串を挿す取り組みが重要だ。本体が進める各種改革とあわせて、グループのIT統制やITセキュリティ体制について高度化してもらいたい。
 監査委員会としては、今後も役員の職務執行監査の一環として、関連団体の事業活動の適正性や、適正性を確保する取り組み等についてしっかりと監査し、経営委員会にご報告していきたいと思います。

 (明石委員)

 執行部に伺いたいのですが、以前、グループ企業に対してESG経営について質問したことがありますが、NHK本体ではESG経営に関して具体的なKPI等の指標や、カーボンニュートラルだけではなく、自然環境に対する配慮や地球温暖化に関してなどの取り組みはどのようになっていますか。

 (松坂専務理事)

 CO2排出量削減については、2025年度末に2018年度に比べて排出量を25%削減することを対外的に公表しています。

 (明石委員)

 それに準じて、関連団体についてもそのような目標を立てていることが、次回回答されると捉えてよいでしょうか。

 (松坂専務理事)

 関連団体については、それぞれがSDGsやカーボンニュートラルに取り組んでおりますが、各社によって差がありますので、グループ横断的にどのようになっているかについては、関連事業局でまとめて対応していきたいと思っております。

 

 

5 会長報告

 (前田会長)

 子会社のNHKグローバルメディアサービスの元社員の懲戒処分について松坂専務理事から報告します。

 (松坂専務理事)

 12月10日にNHKグローバルメディアサービスが懲戒解雇とし、外部公表した事案についてご報告します。
 NHKグローバルメディアサービスの元社員は、取引先の外部プロダクションが出張するように装って、旅行会社にJR新幹線のチケットを発行してもらい、受け取ったチケットをJRの窓口に持ち込んで払い戻しを受け、現金化していました。ことし7月から10月までの間に申し込んだ代金の約2,800万円を旅行会社に支払っておらず、自分のローンの返済などにあてていました。
 関連事業局は、発覚直後にNHKグローバルメディアサービスから報告を受け、リスク管理室とともに事実関係の調査を指示しました。その結果、旅行会社に対する未払金が約2,800万円あることなどを確認しました。元社員は旅行会社の窓口に自分で出向いてチケットを発券してもらい、請求書も本人がその場で受け取っていたことから、未払いが生じるまでグローバルメディアサービスも旅行会社も気付くことができませんでした。
 今回の事案を受け、NHKグローバルメディアサービスでは、再発防止のため次のような対策を行うこととし、取引先にも協力を求めます。
 一つは取引先との現金による支払いを原則禁止とすることです。次に、取引先から会社宛ての請求書は、担当者ではなく担当者の上司に送ってもらうようにすること。加えて、請求書で支払う場合は、現物が納入されているかチェックを改めて徹底すること、などです。
 関連事業局は今回の事案を受けて、他の関連団体でも同じような事案が起きないよう、今月15日に関連事業局長名の文書で注意喚起を行うとともに、特定の取引業者に対して現金払いが常態的に行われていないかなど、緊急点検を行うよう指示しました。
 また、各関連団体と関連事業局などとの間で定期的に行っているマネジメント連絡会などの場でも、再発防止を徹底していきます。

 (尾崎委員)

 世間にこのような事例はあるのですが、例えば、発注とその検収を必ず分けたり、請求書払いにすることを徹底して、自分の会社だけではなくて、取引先もそうでないと取り引きできなくすることをぜひやっていただきたいと思います。また、見える化にぜひ取り組んでもらいたいと思います。

 (松坂専務理事)

 わかりました。取引先も含めて、きちんとお話ししたいと思います。

 (井伊委員)

 1回の出張費が33万円ぐらいになるのですが、常識的に考えて、こんなに高価な出張が数か月間に85回もあるのでしょうか。海外出張でもありませんし、大型プロジェクトを任されていたのでしょうか。

 (松坂専務理事)

 取引先のプロダクションのチケットを手配していたということですが、複数人で行くような急な出張ということで発券を求めており、このような額になったということです。

 (井伊委員)

 複数人の出張旅費をまとめて手配していたということですか。

 (松坂専務理事)

 請求書払いを原則としておりますが、緊急のときには現金で対応するフローも一部例外的に認めておりました。旅行会社と本人との間でだけで行われていたので、それが続いてしまったということです。

 (森下委員長)

 本件では、帳簿を使って管理しているのですが、普通はシステムを使って発注や納品をチェックすると思います。上司が毎月システムでチェックすれば、もっと早く見つかったと思います。帳簿で管理しているからわからなかったということだと思います。さきほど見える化の話がありましたが、お金の管理はできるだけシステム化して、チェックできるようにしなければならないと思います。犯罪を起こす人も問題ですが、犯罪が起こる環境をつくっておくことも問題なので、ぜひ積極的に取り組んでもらいたいと思います。

 (松坂専務理事)

 システムの対応も含めて、対応したいと考えています。

 (森下委員長)

 関連団体で発生した事案ですが、本体としても責任があることを認識して、関連団体の管理について、しっかりと指導していただければと思います。

 

 

6 議決事項

 (1) 日本放送協会放送受信規約の一部変更について(資料)

 (森下委員長)

 次は議決事項であります。日本放送協会放送受信規約の一部変更について審議を行います。
 経営委員会では、10月26日の経営委員会で執行部から提出されました放送受信規約の変更案を大筋で了承し、その後、意見募集を行いました。
 本日は、意見募集の結果を踏まえた放送受信規約の変更案について、松崎理事から説明いただき、審議したいと思います。よろしくお願いします。

 (松崎理事)

 日本放送協会放送受信規約の一部変更について、ご説明します。
 前回の経営委員会でいただいた「執行部へ検討を求める事項等」について検討し、変更案をとりまとめましたので、ご審議のうえ、議決をいただきたいと思います。
 資料として、別添の受信規約の変更案がありますが、まず、「経営委員会から執行部へ検討を求める事項等」に対する執行部の考え方からご説明します。
 まず、電話番号や電子メールアドレスを契約時等に届け出いただく規定に関する事項からお答えします。
 受信契約について、契約内容を確認できるポータルサイトを設けるご要望をいただいていますが、今後、登録していただいた電子メールアドレス等の確認や変更をインターネット上で簡便に行っていただける受信契約者用のマイページ機能の新設を検討しています。
 次に、個人情報である電子メールアドレス等を届け出ることへの懸念については、電子メールアドレス等をお届けいただくことで、受信契約者のみなさまの利便性の向上につなげていきたいと考えています。また、利用目的の範囲内で適切に利用するとともに、個人情報の適切な管理を徹底してまいります。
 続いて、受信契約者への過度な番組の宣伝や受信料の督促を懸念するご意見や、事前に許諾を取るオプトイン方式にすべきというご意見についてですが、電話や電子メールの頻度に十分留意するなど、適切な対応を行います。また個人情報の利用目的によっては、オプトイン方式の導入等を検討してまいります。
 次に、電話番号や電子メールアドレスを届け出ていただくことの利用目的や利便性についてご意見をいただいていますが、受信契約者のみなさまの利便性向上につながるよう、電話や電子メールによる受信料等に関するお知らせやご案内を充実させていきたいと考えています。
 次に、電子メールアドレス等の届け出について、任意とすべきというご意見ですが、電話番号や電子メールアドレスをご利用されている場合は届け出いただくことを放送受信規約上の届け出事項として規定させていただくことで、より一層のお客さまサービスの向上につなげていきたいと考えています。
 電子メールアドレスの本人証明や届け出内容の確認方法などについてですが、電子メールアドレスについて、届け出いただいた後すみやかにその有効性を確認する仕組みを構築するとともに、届け出にあたっての留意事項等について丁寧に周知してまいります。
 続いて、情報セキュリティについてのご意見ですが、「NHK個人情報保護規程」などに基づき、受信契約者等の個人情報の適切な管理をさらに徹底するとともに、電話番号および電子メールアドレスが詐欺行為につながらないよう、視聴者のみなさまに広く注意喚起するなど、お客さまの安全な利用環境の確保に努めてまいります。
 次に、「受信機の数」を届け出事項から削除する規定に関する事項です。
 受信機の設置確認をせずに、受信料を徴収することの布石ではないかというご意見についてですが、受信機設置の有無の確認は引き続き実施してまいります。
 変更素案の内容や受信規約の条文がわかりにくいというご意見については、今後の参考にさせていただきます。
 「執行部に検討を求める事項」に対する執行部の考え方は以上です。
 以上の検討を踏まえ、今回は変更素案を修正せず、変更案としたいと考えています。
 なお、視聴者のみなさまからいただいたご意見や経営委員会からのご指摘を踏まえ、今回の放送受信規約の一部変更の目的や個人情報の取り扱い等について丁寧にご説明する資料として、意見募集の際に公表した説明資料の一部を追記修正するとともに、新たに2ページ追加した別冊の資料を公表することとします。
 具体的には1ページ目の意見募集時説明資料の枠内、アスタリスクの1つ目の文言を「電話番号や電子メールアドレスをお持ちでない場合や、お持ちであってもご利用でない場合は、お届けいただく必要はありません」と追加修正します。
 次に、アスタリスクを追加し「利用されている電子メールアドレスが所属される会社等のものである場合、所属されている会社等がそのメールアドレスを私用に利用する事を禁じている場合には届け出ないようご留意ください」と追記しています。
 また、4ページ目に「お客さまサービス向上に向けた利用イメージ」、5ページ目に「情報セキュリティに関する対応」に関する資料を追加しています。ご確認をいただきますようよろしくお願いします。
 別添としている「日本放送協会放送受信規約 変更案」は、今回の変更について新旧を対照する形で整理したものです。
 本日、議決をいただければ、すみやかに認可申請を行う予定です。
 説明は以上です。

 (水尾委員)

 受信料を支払っている人が、自分は電子メールアドレスを持っていないが、同居世帯の別の人の電子メールアドレスを届けてもよいというケースがあると思います。例えば、おじいさまが支払っていて、その子どもや孫の電子メールアドレスを書くケースです。NHKプラスのときによくわかったのですが、学生の家族の場合、ほとんどが祖父母が支払っているわけです。契約者が同居する別の人の電子メールアドレスを善意で書いてしまう場合があると趣旨が違ってきますし、いずれその子どもや孫が独立した世帯を持ったときにねじれが出てきてしまうことになってしまいます。あくまでも契約者ご本人の電子メールアドレスを届け出ることをわかりやすく書く必要があるのではないかと思います。

 (松崎理事)

 ご指摘のとおり、世帯でご契約いただきますが、あくまでもお届けいただくのは契約者の電子メールアドレスという点をわかるようにして運用していきたいと考えています。

 (不破委員)

 NHKが発行しているわけではない電子メールアドレスを、NHKが利用することに関するさまざまな懸念については、これまでいろいろと発言させていただきました。インターネットを活用して事務を合理化することには大いに賛成で、やらなければならないと思います。その方法はマイページを利用した、電子メールに代わる新たなサービスの充実だと思っておりますので、その提供をまず急ぎ進めていただきたいと思います。

 (松崎理事)

 マイページの活用は大事なことだと思いますので、多少時間はかかりますが、しっかりと進めて、視聴者サービスに資するようにしたいと思います。

 (礒山委員)

 インターネットで受信契約をする場合の手続きについて、今のシステムでは、任意で電子メールアドレスや電話番号を届けないという方がいた場合、手続き上、電子メールアドレスを入力しなかったら次に進めないなどといったことは起こらないのでしょうか。あるいは、ネット上で申込用紙や契約の確認書を後で郵送してほしい方もいらっしゃると思いますが、きちんと進めていけるのでしょうか。

 (松崎理事)

 電子メールアドレスをお持ちでない方はお届けいただかなくてもよいように対応してまいります。

 (礒山委員)

 最近では固定電話をお使いの方がずいぶん減ってきていますが、電話番号については携帯電話と固定電話のどちらの届け出を想定しているのでしょうか。

 (松崎理事)

 両方です。ただ、実態としては、固定電話は少なくなってきていると認識しています。
 なお、説明資料については一部もう少しわかりやすい表現にして、このあと修正をします。

 (森下委員長)

 のちほど一部修正があると思います。前向きに検討いただければと思います。それでは、本件について、その他ご意見がないようでしたら、議決したいと思います。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (森下委員長)

 議決にあたり、経営委員会としてひと言申し上げます。
 本件につきましては、経営委員会が実施した意見募集において89件のご意見をいただき、「みなさまからのご意見の結果」ならびに「経営委員会から執行部への検討を求める事項等」を執行部に提出し、検討を求めました。
 執行部の検討結果には、疑問や懸念が寄せられた放送受信規約の一部変更の目的や、個人情報の取扱い等について、視聴者・国民の皆さまへ丁寧に説明する観点から、説明資料が追加されました。マイページ機能の新設の検討など、受信契約者へのサービスをさらに充実させていく考えや、放送番組やイベントの案内は事前に許諾を取るオプトイン方式の導入の検討などの施策も示されました。こうしたことは、今回の意見募集でいただいたご意見やご要望を真摯に受け止めたものと認識しております。
 インターネット等を活用したお客さま対応には、国民・視聴者の皆さまのご理解が不可欠です。受信契約者に不安や懸念なくご利用いただき、利便性やサービスの向上を実感していただけるよう、引き続き丁寧な説明に努めるとともに、今回示された施策を着実に実行するよう求めます。

 

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (正籬副会長)

 中央放送番組審議会委員について、次のとおり委嘱を行いたいと思います。
 つきましては、定款第69条第2項の規定により、経営委員会の同意を得ることとなっております。
 再委嘱がおひとりで、株式会社松屋代表取締役社長執行役員の秋田正紀氏です。
 なお、委員の選定にあたっては、社会の各分野(学術、文学・芸術、経済・産業、農業・漁業、生活・福祉・労働、教育・青少年・スポーツ、マスコミ等)と男女、年令等の属性を総合的に勘案し、調和のある構成となるよう努めています。2022年1月1日からの任期となります。
 以上、よろしくお願いいたします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

7 審議事項

 (1) 2022年度(令和4年度)収支予算編成要綱(資料1)

 (伊藤理事)
 「2022年度(令和4年度)収支予算編成要綱」についてご説明します。
 前回、ご審議いただいた「予算編成方針」をもとに、事業計画の詳細や予算科目別の内訳、主要な事項の予算額をとりまとめたものです。
 1ページは、2022年度予算の基本的な考え方で、「予算編成方針」から大きな変更はありません。
 中期経営計画の2年目として「新しいNHKらしさの追求」と「スリムで強靱な新しいNHK」を目指した取り組みをさらに進めることなど、基本的な考え方を網羅的に示しています。
 特にコンテンツについては、NHKは変わったと感じていただけるように強化していくことや、日本を世界へ積極的に発信していくこと、地域の課題や情報を広く発信して地域の発展に一層貢献すること、ユニバーサルサービスの強化等について触れています。インターネット活用業務に関しては、社会実証の実施についても触れています。受信料については訪問によらない効率的な営業活動を一層推進し、営業経費を削減するとともに、運営に必要な収入を確保するとしています。その他、グループ経営改革や人事制度改革などの加速、地域放送会館の建て替え等について言及しています。
 2ページから3ページは、事業計画の重点事項として、中期経営計画の5つの重点項目と構造改革による経費削減、建設計画と要員計画を記載しています。要員計画については、要員数を10,343人として、今年度と同数の要員を想定しています。
 4ページは、2022年度の収支構造です。事業収支の全体構造は、予算編成方針でお示ししたものから変更ありません。放送法に基づき、科目別に整理した内訳を記しています。
 事業収入は、受信料の減収等により、2021年度に対して10億円減の6,890億円を見込みます。受信料については6,714億円から6,700億円と、小数点以下の計算の関係で少し数字がずれていますが、13億円の減を見込んでいます。
 一方、事業支出は、コンテンツの充実・強化や地域放送・サービスの充実に重点的に取り組む一方で、構造改革による支出見直しを行い、国内放送費でジャンル管理の強化等により121億円の減、契約収納費で68億円の減、また減価償却費については、建設費の抑制、設備投資の抑制により、50億円の減を見込んでいます。
 5ページの資本収支については、設備投資を抑制しながら運営していくことを示しています。
 建設積立資産は年度末で1,693億円を見込んでいます。また財政安定のための繰越金については、2022年度末で1,980億円を見込んでいます。
 6ページ、受信料についてです。受信料収入は、2021年度予算の6,714億円に対して、2022年度予算は6,700億円で、13億円の減収となります。
 7ページの受信契約件数については、支払数、契約総数、それぞれ減少を見込んでいます。
 8ページの受信料額については、本年度と同額としています。
 9ページは、その他収入についてです。大きな変更はありませんが、関連団体からの受取配当金は今年度より増額となっています。今年度についても上振れをしており、10億円を超える見込みとなっています。それと比べても来年度は若干増えると見込んでいます。
 10ページは、国内放送費および国内放送番組等配信費です。国内放送費は121.3億円の減で、ジャンル管理の徹底による削減を見込んでいます。
 一方、国内放送番組等配信費について、12億円の増を見込んでいます。
 11ページは、「新しいNHKらしさ」の実現に向けたコンテンツの強化についてです。一人ひとりの命を守り、安全で安心な暮らしに貢献、人生100年時代の学びを支援といったテーマを掲げています。
 次のページから、波ごとの特性を記載しています。
 総合テレビについては、公共メディアの基幹波という位置づけであり、信頼される「情報の社会的基盤」の役割を果たすために、正確・迅速かつ公平・公正で社会の指針となるニュースや、文化・娯楽、スポーツなどの多彩な番組を編成していくことを記載しています。
 また、教育テレビジョン(Eテレ)については、子どもから大人まで幅広い世代に見ていただくことを前提として、“人生100年時代”の教育放送として充実を図っていきます。Eテレについては、予算の増額を検討しています。
 次のページはラジオです。ラジオ第1放送は、安全・安心を担う音声の基幹波、ラジオ第2放送は、生涯学習波という位置づけであり、現状と大きな変わりはありません。
 FM放送についても、音楽、芸能を中心に文化・教養まで幅広く、リスナーの興味や関心に応える専門的な番組を編成するという位置づけです。FM放送では、災害時など緊急の場合にはラジオ第1放送とも連携して機動的な編成を行います。全国を見ると、ラジオ第1放送が届きにくいエリアをFM放送でカバーする形で相互補完し、緊急時には2つの波で同じ内容を放送する運用も行っています。
 それぞれの予算について、地上放送全体では増額としています。国内放送費全体では削減していますが、地上放送の充実を図っています。
 総合テレビジョンは13.6億円の増、Eテレは16.2億円の増です。このEテレの増額も含めて、NHKらしい番組に注力するということで、1本の単価を上げることも視野に入れ、メリハリのあるジャンル管理に取り組んでいきたいと思います。
 一方、14ページから記載した衛星放送は大きく削減傾向としています。2023年度の衛星1波削減を視野に入れ、コンテンツについてはジャンル管理を進めていること、また地上波とコンテンツの共用を進めていく方向性によるものです。
 BS1について、“ライブ感あふれる情報チャンネル”として、「スポーツ」、「国際」、「ドキュメンタリー」、「地域」の4分野を軸に伝えていきます。
 BSプレミアムについては、個性と見応えを追求した多彩な知的エンターテインメント番組の提供を軸にしていきます。
 BS4Kについては、4Kの機動力と高画質の魅力を生かした幅広いジャンルの番組の提供を掲げていますが、2Kと4Kの一体制作が肝になってくるかと思います。まだ4Kテレビをお持ちでない方もたくさんいらっしゃいますので、高画質なコンテンツが若干ダウングレードしますが、よい画質のコンテンツを2Kテレビでもご覧いただけるように進めていきたいと思っています。
 BS8Kについては、新しい視聴体験に挑戦する世界最先端のメディアという位置づけで、最高水準の放送サービスの実現に寄与します。これについても着々と進めていきたいと考えています。
 衛星放送の予算です。衛星放送全体で見ると、100億円を超える減です。BS1、BSプレミアム、BS4K、BS8Kそれぞれ削減しますが、全体としてジャンル管理での本数の見直しなどによる減です。
 また、8Kのコンテンツについては、4K、2Kで放送することも含めてかなり投資をしているコンテンツもありますので、多くのチャンネルで1人でも多くの方にご覧いただきたいと考えています。
 16ページ、報道取材です。「命と暮らしを守る」報道の強化に引き続き取り組んでいきます。
 全国のロボットカメラや地域の報道取材体制の整備を図るなど、地域の防災・減災報道に向けた体制を強化していきます。また、正確で公平・公正な情報を伝え、「情報の社会的基盤」の役割を果たすことも重要な役割と考えています。予算については、若干の減となります。今年度は衆議院選挙でお金がかかるなど、年によって変動がありますが、その変動の範囲内と考えています。
 17ページは地域放送・サービスの充実についてです。先ほど、地上放送で予算を増やすという説明をしましたが、地域放送についても予算を増額します。NHKにとって地域放送は非常に大切なものですので、6.6億円の増としています。増額の大半は地域放送に関わる経費であり、地域情報発信の強化に取り組んでいきたいと考えています。
 また、地域向け放送番組のインターネット配信の拡充についても取り組んでいきます。平日午後6時台のニュース番組の配信を広げていくことを考えています。
 18ページは、人にやさしい放送・サービスやユニバーサルサービスの関連です。これらについては、東京オリンピック・パラリンピックで得られた知見がありますので、高齢者や障害のある方など、誰もが快適に情報を入手できる放送・サービスの進化に努めていきます。
 19ページの共通制作費等とは、番組制作のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や、正確な放送を支えるシステムの開発・運用経費といった基盤に係る経費です。国内・海外素材回線料の契約交渉で引き下げなどを進めていますが、大きな変更はありません。
 また、放送・サービスの維持運用についても大きな変更はありません。
 20ページは、国際放送・国際放送番組等配信です。国際放送はNHKにとって非常に重要なものです。世界中で社会のあり方や価値観の変化が進んでいる時代において、世界の視聴者が求める公平・公正で確かな情報を、日本の見方やアジアの視点を交えて発信していくことを考えています。また、災害報道等では、インターネットも活用した多様な発信経路で、多言語による安全・安心情報を伝えていきます。
 NHKワールドJAPANについては、テレビ、ラジオ、インターネットで、在外邦人向けのサービスにも引き続き取り組んでいきます。
 予算の削減についてです。国内放送向けにつくった番組に字幕をつけて海外に展開するコンテンツを増やしています。国内放送向けに力を入れて制作したコンテンツの中で、海外向けにも放送できる番組を増やすことで効率的なコンテンツの運用をしており、そのような工夫を重ねることで若干の削減としています。
 国際放送番組等配信費について、海外への配信ではインターネットの活用の強化が重要だと考えており、若干の増額を行っています。
 21ページは、テレビジョン国際放送のNHKワールドJAPANの内容について記載しています。「ニューノーマル」の時代を迎える日本と世界を見つめる、多様なネットワークの活用で信頼されるニュースを発信して、世界の視聴者をひきつける新たなコンテンツの開発・発信を進めていきます。
 また、NHKワールド・プレミアムでは、日本語の在外邦人向けの放送においても、「ニューノーマル」時代を読み解く手がかりを提示したり、海外にいらっしゃる日本人の安全・安心を支えたりすることも役割であると考えています。
 次のページはラジオ国際放送のNHKワールドJAPANです。17言語で外国人向けの放送を行っていますが、これについてもさまざまなメディアの組み合せによる情報発信をすることを記載しています。短波放送や現地の再送信が有効なアジア・アフリカ地域や、インターネットが普及している欧米などでは、届け方の工夫について、いろいろなことができるのではないかと考えています。できるだけ低コストで、多くの方に届けるという観点で、メディアのベストミックスで全世界に情報を発信していきたいと考えています。
 ラジオ第2放送と連携した情報番組の充実について、海外の聴取者に加え、日本各地に住んでいる外国人のみなさまにも役に立つさまざまな情報も伝えていきたいと考えています。英語、中国語、ベトナム語、ポルトガル語で提供している番組の拡充を図っていきます。
 NHKワールド・ラジオ日本は、日本語の在外邦人向け放送で、安全・安心情報を中心にお届けしています。
 国際放送費全体では若干減となっていますが、先ほども説明したとおり、国内で放送した良質の番組に字幕をつけて海外の方に見ていただく取り組みなどによるものです。日本発の良質のコンテンツをできるだけ世界の方々に見ていただきたいこともあり、その取り組みを今後も進めていきたいと考えています。
 23ページのインターネット活用業務についてです。
 国内インターネット活用業務については、NHKプラスのサービス拡充を図っていきます。テレビ等でも地上テレビの見逃し番組配信をご利用いただけるようにしていきます。これは来年度の大きな取り組みだと考えています。インターネットのコンテンツをテレビ等でご家庭でご覧になる方が増えていますので、そのような方にNHKプラスを使ってNHKのコンテンツを見逃し配信サービスで見ていただきたいと考えています。
 地上テレビの常時同時配信については、2022年度から総合テレビとEテレで放送している番組をすべて提供することにしています。総合テレビが1日24時間、Eテレが1日19時間程度です。地域については、先ほど説明したとおり、平日午後6時台のニュース番組の配信も広げていきます。
 国内インターネット活用業務においては、防災・減災、新型コロナウイルス関連、あるいはコロナ禍における教育等々のコンテンツの強化を図っていきます。また、インターネット活用業務についての社会実証も進めます。社会実証の直接経費は、2億円程度を見込んでいます。
 次のページは、国際インターネット活用業務です。さらに迅速で便利なサービスへの向上を図ります。またSNSの活用、多言語コンテンツの一層の充実も進めていきます。
 国内および国際インターネット活用業務に係る費用について、2022年度は190.1億円で実施する計画を立てています。このうち国内が159.3億円、国際が30.8億円を見込んでいます。
 次のページは、契約収納費です。営業については、「巡回訪問営業」から「訪問によらない営業」を主軸とした業務モデルへの大きな転換を進めているところです。これにより受信料の公平負担と経費削減の両立を図っていきます。
 営業経費は2021年度予算の698.7億円に比べ74.2億円削減し、624.4億円の予算としており、1割以上の削減を考えています。これにより2022年度の営業経費率は、平成に入って以降初めて2桁を割り、9.3%となります。営業経費率は、平成元年から2年、3年と十数%で推移しており、その後も10%を下回ることはなかったのですが、2022年度に初めて10%を切るという形になります。契約収納費、関連する人件費等々含めて、すべての項目での削減となっています。
 「巡回訪問営業」から「訪問によらない営業」への業務モデルの転換では、地域スタッフを含めて削減を進め、今のところ、着々と進んでいると考えています。
 契約収納費については68.3億円の減となっています。地域スタッフ等の手数料や給付金、法人委託手数料は半分近くに落ちています。その分、新たな「訪問によらない営業」に係る経費は増額となっていますが、トータルでは68.3億円の減となっています。
 27ページは広報費です。広報についても、視聴者のみなさまとの結び付きを強化し、公共メディア・受信料制度への理解を促進することを進めていますが、予算的には今年度とほぼ同額となっています。
 28ページは調査研究費です。視聴者の信頼と期待に応えるための調査研究の推進、新たな放送・サービスの創造に資する研究開発の推進を行います。特に手話CGやAR・VRなどを用いていろいろな新しいサービスを研究開発しています。
 トータルで見ると、東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査終了による調査研究費の減等々、これまでオリンピックに向けた取り組みが終わった関係で、若干の減となっています。
 29ページは給与、退職手当・厚生費です。給与については、2021年度予算とほぼ同額です。先ほど説明したとおり、要員について今年度と来年度で同数を考えています。管理間接部門、営業業務、技術業務で見直しを進める一方で、コンテンツ制作では強化を進め、同数を見込んでいます。
 31ページは共通管理費、減価償却費等です。減価償却費が大きく減少していますが、これは設備投資の減少を示しています。これ以外は、大枠では本年度と来年度に大きな変更はありません。
 34ページは建設費です。設備投資については、2021年度予算と2022年度予算で比べ、100億円程度の減となっています。
 35ページは有料インターネット活用業務勘定で、これはNHKオンデマンドの業務に関するものです。NHKオンデマンドは長い間赤字が続き、累積で相応の額になっていましたが、ここのところ非常に好調です。
 2021年度予算の収入は36億円、支出は22億円で、事業収支差金が14億円の黒字となっています。来年度についても19億円の黒字を見込んでおり、増額傾向となっています。
 右側の参考に繰越欠損金を記載していますが、2020年度末で50.6億円でした。
 最後、36ページは受託業務等勘定です。NHKホールの貸し出し等々による収入ですが、金額的には大きな変更はありません。
 本日この収支予算編成要綱をご了承いただきましたら、放送法の定めに従って収支予算・事業計画および資金計画、いわゆる予算書を作成することにしています。そのうえで来年1月1回目の経営委員会で審議をお願いする予定です。ご説明は以上です。

 (長谷川委員)

 大きい枠組みで言うと、2022年度予算は、地上放送はやや増加で、衛星放送はやや減少になっていると思います。一方、契約から見ると、地上契約は約81%を堅持して、衛星契約は約53%で低迷が続いているようです。放送にかかる費用について、衛星放送を削減しながら、衛星契約を増やすのは難しいと思いますが、そのあたりはどのようなお考えですか。

 (伊藤理事)

 今回の衛星放送の削減は、2023年度の衛星1波削減に向けての取り組みですので、トータルの予算は削減していますが、数を絞って1本1本を丁寧につくり、価値を上げていくことが基本的な方針です。衛星放送全体で見ると予算が減っていますが、1波減ることを想定すると、1本あたりの単価に大きな影響は出ないと思います。2022年度、2023年度については、例えば4K番組と2K番組が同じ内容になっていくと思いますが、質という面ではしっかりと担保しながら進めたいと考えています。

 (長谷川委員)

 視聴者のご理解も得られて、契約が得られるということですね。

 (伊藤理事)

 NHKにとっては番組の質が何よりも大事であり、量を絞ることによって質を高めることが重要だと考えています。

 (村田代行)

 国際放送で17言語を使用しているという説明がありましたが、例えば、言語によってアクセスが増減するようなトレンドがあれば教えいただければと思います。
 また、インターネットでも多言語化するという説明がありましたが、英語以外にはどのような言語を考えていますか。

 (小池理事)

 今、17言語でサービスを行っていますが、在留外国人の中ではベトナム人が増えていることもあり、ベトナム語のアクセスが顕著に増えています。

 (村田代行)

 インターネットの多言語化では、英語以外は中国語などですか。

 (小池理事)

 インターネットの多言語化に関しては、ラジオでは17言語やっており、だんだん増やしています。インターネットでは、多言語で在留外国人向けに災害情報を提供したり、安全・安心を支えるためのいろいろな情報を提供したりするなど、展開を進めているところです。

 (村田代行)

 徐々に増やしているということですか。

 (小池理事)

 そうです。

 (森下委員長)

 そのほかいかがですか。よろしいですか。
 それでは、ただいまの審議をふまえて、「2022年度(令和4年度)収支予算編成要綱」を了承します。「令和4年度収支予算、事業計画及び資金計画」の策定に向けた準備をお願いします。

 

 

8 報告事項

 (1) 新和歌山放送会館の建設基本計画について(資料)

 (伊藤理事)

 和歌山県は、南海トラフ巨大地震で大きな被害を受けるリスクがあるため、なるべく早く建て替えたいと考えています。築53年を過ぎており、老朽化が著しい状況です。そのため、ここ10年ほど場所を探してきましたが、なかなかよい場所が見つからなかったという経緯があります。
 資料の最後のページの上の地図をご覧ください。和歌山市は、津波・洪水の浸水域が非常に広く、この2本の縦の青線の左側も右側も両方とも浸水域となっています。その間の浸水しない領域に、県庁をはじめいろいろな建物が建っており、和歌山放送局もこの狭く細いエリアの中にあります。浸水域以外のところで土地を探してきたのですが、浸水域以外のエリアが非常に狭く、私たちから見て適切な土地がなかなか見つからない状況でした。
 次に、下の地図をご覧ください。赤い場所が現放送会館の場所ですが、緑色で示した隣の土地を借用することとなりました。そこに仮の放送会館をつくり、その間に現在の放送会館を取り壊して新しいしっかりとした放送会館を建て、そこに戻すという方法が最良の手段と考えています。
 放送会館の上に鉄塔をつくる必要がありますが、ちょうど赤と緑の間の中間部分に鉄塔を建てて、新しい会館と仮の会館の両用で使えるようにすることでコスト削減を図っていきます。また、放送会館の全体のサイズも標準サイズの8割程度とし、コンパクト化して単価を下げる取り組みも進めたいと考えています。
 資料を説明します。
 2ページの整備方針については、先ほど説明したとおりです。
 基本コンセプトについてです。
 まず、現在地での建替えについては、仮の放送会館を3年間使用することを想定しています。BCPの観点で、非常に重要な拠点となります。紀伊半島豪雨もありますし、津波の懸念もあります。「命と暮らしを守る」ことが重要なポイントで、BCPの観点からしっかりとした会館をつくる必要があると考えています。
 一方、「コンパクト」と「汎用性」を両立した放送会館にしていくことも大切であると考えています。必要な機能に絞り込んでコストを削減しながらつくりたいと思います。
 場所的には県庁から近く、視聴者とのタッチポイントという意味でも、お客さまに来ていただきやすい場所であると思います。
 「環境にやさしい放送会館」について、すべての放送会館で同じ考え方で進めています。周辺環境への配慮したデザインということにしっかりと取り組みたいと考えています。
 3ページの新放送会館の概要についてです。
 仮放送会館については、延床面積を1,660平方メートルとし、新放送会館に比べて半分ぐらいの面積でつくることを想定しています。
 5ページの整備のスケジュールについてです。
 2021年度に建設基本計画を策定し、2022年度に基本設計、実施設計と進めます。2023年度から土地の借用を開始して着工し、2027年度に新しい放送会館の完成、2028年度に土地を返却するというスケジュールを想定しています。
 また、放送設備について、借りてつくる仮放送会館の設備が無駄とならないように、今後別の場所へ建てる新放送会館に転用するなど、合理的・効率的に進めたいと考えています。
 説明は以上です。

 (水尾委員)

 新放送会館の面積は、今の放送会館と比べると小さく、特にオフィススペースについては3分の1ぐらいです。オフィススペースを小ぶりにして、共用スペースを大きく取るのが、今の設計の潮流だと思いますが、その共用スペースも今よりも小さくなっています。
 これは、現放送会館が機能や使い勝手の面で大き過ぎたということなのでしょうか。これだけ面積を削減してしまうと、これから地方の発信を増やしていくといった質を上げていく取り組みに影響はないのでしょうか。

 (伊藤理事)

 現放送会館の延床面積が全体で3,963平方メートル、新放送会館が3,072平方メートルで、2割程度の削減です。基本的な機能は維持しており、放送を送出していくうえでは特に大きな問題はないと考えています。
 1つの理由として、スタジオ関係を整理し、コンパクト化していることが挙げられます。また、休憩室やロッカーや、玄関についても整理しているところです。放送会館としての基本機能はしっかりと担保しながら進めていこうと考えています。なお、仮の放送会館のほうは1,660平方メートルと、大変にコンパクトにしています。

 (水尾委員)

 これはしかたがないと思います。

 (伊藤理事)

 放送会館全体で必要な機能に絞り込んでいきます。最新の技術を使って、いくつかの放送局ではすでにバーチャルスタジオ等の機能も導入しており、コンパクトなスタジオでも多彩な演出ができる取り組みも進めています。新和歌山放送会館において、どのような工夫をしていくかという課題はありますが、コストを下げつつ機能を充実し、スリムで強靭なNHKの全国の体制をつくっていきたいというのが、今の基本的な考え方です。コンテンツを制作するうえでは、大きな問題はありません。

 (角専務理事)

 50年前の建設時に比べて、人数を集約し、少しずつ職員が減っているという状況もあります。大阪拠点放送局がカバーし、管中全体の体制を組むなどとしています。もちろん、BCP拠点としては重視していきます。

 (森下委員長)

 事務室や厚生関係などは、現在の要員数にあわせており、拠点放送局に集約しているので、事務室などのスペースがずいぶん減ったということですね。

 (伊藤理事)

 管理・間接部門や技術部門は、大阪拠点放送局にかなり集約しており、効率的な運用ができるように進めています。そのような意味では、トータルの人数は減っていますが、取材・制作機能はしっかりと担保しています。

 (尾崎委員)

 仮放送会館を建てて現在地建替えというのは、将来的に見てこのケースだけではないと思いますが、仮放送会館の耐震性などはどのように考えていますか。

 (伊藤理事)

 仮設とはいえ、NHKの放送会館は南海トラフ巨大地震を含めて、災害に耐えられるものにしなければなりませんので、耐震性についてはしっかりやっていきたいと考えています。

 (尾崎委員)

 ほかのところでも同様のケースではすべてそのような考え方でやるということですね。

 (伊藤理事)

 地域の安全・安心の要だと思っていますので、強度についてはしっかりと担保し、震度7の地震にも耐えられるようにすることが基本だと思っています。

 (堰八委員)

 最近の建替えのケースは、場所を移転して新築するケースが多かったので、久しぶりに現地で建替えをする案件だと思います。仮設の建物は基本的には壊してしまいますから、9億5,000万円と3年間分の賃借料7,500万円で10億円以上かかるわけですね。放送設備はほとんど使えるとして、なるべく適地をほかの場所に見つけて、そこに新しく建てるのが理想的だと思います。
 念のため確認ですが、今回の和歌山のケースは、相当探したが最適地が見つからず、やむを得ず現在地で仮放送会館をつくるという選択肢しかなかったということでよろしいですね。

 (伊藤理事)

 ご指摘のとおりです。私どもから見て、適切なエリアがとにかく狭く、そこにはすでに建物が建っているわけです。しかも、県庁をはじめとしてなかなか動かない建物が多く、10年探しても適地が見つからなかったという経緯があります。築53年を過ぎ、先の見通しが立たない状態で何年も経過していくという状態は黙認できないので、今回の選択を取らせていただいたと考えています。

 (長谷川委員)

 例えば、今後この新しい会館で「視聴者のみなさまと語る会」などのイベントを開催する場合には、どのようなイメージになりますか。スタジオを使うのでしょうか。

 (角専務理事)

 スタジオとその共用スペースなどを接合できる部分を最大限使いながらやるということだと思います。

 (長谷川委員)

 それはできるということですね。

 (伊藤理事)

 玄関付近には「オープンスタジオスペース」として80平方メートルのスペースがあります。これは、隣の事務室などほかの部屋との間仕切りが外せるようになっており、スペースを広く使えるように設計しているので、そこで実施させていただくことになるのではないかと思います。

 (長谷川委員)

 そのような工夫があるわけですね。

 (伊藤理事)

 柔軟性を持たせ、そのような大きなイベントがあるときにも運用できるように考えています。

 (長谷川委員)

 分かりました。

 

 (2) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 報告事項(2)について、特段の質問などがなければ、資料の確認のみで、報告に代えさせていただきます。

 

<前田会長、松坂専務理事、板野専務理事、角専務理事、若泉理事、小池理事、田中理事、児玉理事・技師長 退室>

 

 

[6 議決事項 (1) 日本放送協会放送受信規約の一部変更についての補足]

 (森下委員長)

 先ほどの「日本放送協会放送受信規約の一部変更について」で、説明資料の一部修正について、執行部から変更案について説明していただきたいと思います。

 (松崎理事)

 アスタリスクの1つ目です。まず「電話番号や電子メールアドレスをご利用の場合はお届けが必要です」と規定したうえで、「ただし、これらをお持ちでない場合や、お持ちであってもご利用でない場合はお届けは不要です」とします。
 もう一つアスタリスクを追記して「受信契約をされる方の電話番号や電子メールアドレスをお届けください」とします。この2点を加え、執行部として進めさせていただきたいと思います。
 なお、マイページ等を早急に立ち上げて、視聴者サービス、視聴者の利便性向上に貢献するように努めてまいります。
 以上でございます。

 (森下委員長)

 2つ目のアスタリスクについては、具体的にはさまざまなケースがあると思いますが、説明資料等をつくるのでしょうか。

 (松崎理事)

 実際に運用する際に、ここに何を入れるのかをしっかり説明できるものを作成します。手続きをされる方がわかるようにQ&Aも準備するなどして、説明を尽くしたいと思います。

 (堰八委員)

 これでかなりはっきりしたと思います。

 (森下委員長)

 いろいろとやってみて、お客さま対応で出てきたことに対して、できるだけ改善しながら取り組んでもらいたいと思います。委員の皆さまもよろしいですね。よろしくお願いします。

 

 

9 説明会 営業改革の進捗について

 執行部から「営業改革の進捗について」説明を受け、意見交換を行った。

 

<正籬副会長、松崎理事、伊藤理事 退室>

 

 

10 今後の議事運営について

 日本放送協会放送受信規約の一部変更に対する意見募集の結果の公表について、意見交換を行った。

 

 

11 今後の経営委員会運営について

 今後の経営委員会の日程について確認を行い、次回の経営委員会を1月12日に開催することを決定した。

 

 

 森下委員長が散会を宣言。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2021年1月25日     

森 下  俊 三 

 

 

高 橋  正 美