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第1382回
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2021年9月3日(金)公表

日本放送協会第1382回経営委員会議事録
(2021年7月20日開催分)

第1382回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1382回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2021年7月20日(火)午後1時30分から午後4時5分まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 尾 崎   裕
    堰 八 義 博   高 橋 正 美 長谷川 三千子
    不 破   泰   水 尾 衣 里 渡 邊 博 美
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  前 田 会 長 正 籬 副会長 松 坂 専務理事
  田 中 理 事

 

 

<場   所>
○放送センター 22階経営委員会室
○大阪・名古屋 各拠点放送局および長野・福島 各放送局(※テレビ会議システムにより接続)

 

<議   題>

 

1 説明会

 東京オリンピック・パラリンピックの放送・サービスについて

 

2 議事録確認

 

3 視聴者のみなさまと語る会(金沢)開催報告(資料)

 

4 監査委員会報告(資料1)(資料2)

 

5 報告事項

 (1) 2021年度第1四半期業務報告(資料1)(資料2)

 (2) 視聴者対応報告(2021年4〜6月)について(資料1)(資料2)

 

6 今後の経営委員会運営について

 

 

<議事経過>

 

<経営委員 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 (森下委員長)
 本日の経営委員会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本部と大阪・名古屋の各拠点放送局および長野・福島の各放送局をテレビ会議システムで接続しての開催となります。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

<正籬副会長 入室>

 

 

1 説明会

 東京オリンピック・パラリンピックの放送・サービスについて

  執行部から「東京オリンピック・パラリンピックの放送・サービスについて」の説明を受けた。

 

<正籬副会長 退室、前田会長 入室>

 

 

2 議事録確認

 第1381回(2021年7月6日開催)の議事録に関して、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申への対応について議論した部分を除いて承認し、所定の手続きを経て、2021年7月23日に公表することを決定した。

 (※NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申について議論した部分は「6 今後の経営委員会運営について」で決定)

 

 

3 視聴者のみなさまと語る会(金沢)開催報告(資料)

 (経営委員会事務局長)

 石川県にお住まいの方を対象に、6月19日土曜日午後1時30分から、「視聴者のみなさまと語る会(金沢)」をオンラインで開催しました。
 ホームページを通じて26組33人から参加申し込みをいただき、当日はご自宅などから22組28人に参加いただきました。
 経営委員会から村田晃嗣委員長職務代行者、水尾衣里委員、執行部から正籬聡副会長、松崎和義理事、小原美和金沢放送局長が出席し、協会の基本方針や重要事項として、水尾委員から、経営委員会やNHKの役割、「NHK経営計画(2021−2023年度)」の概要などについて説明しました。
 ミーティングは、「今のNHKに足りないもの・望むこと」、「地域放送局に求めるもの」をテーマに、Teamsの手挙げ機能やチャット機能も活用して行いました。
 参加者からは、石川県の魅力を全国へ発信することや県内に向けて各地域の情報を伝えることに対して、NHKへの期待の声が数多く寄せられました。また、若者との対話や応援する機会を増やして番組で取りあげることや、若者のコミュニティーをつくり、そこから輪をひろげることで、NHKにアクセスしてもらうなどのアイデアが幅広く寄せられました。
 チャットでは、いわゆるL字画面を視聴者側でオン・オフの切り替えができないか、重要な記者会見を途中で打ち切らずにサブチャンネルで放送できないかといった質問が寄せられるなど、活発に意見が交わされました。
 ミーティング終了後には、「『チコちゃんに叱られる!』はこうしてできる!」をテーマに講演会を開催しました。
 参加者の皆さまには最後まで大変熱心に参加いただき、アンケート結果からも高い満足度がうかがえる会となりました。報告は以上です。

 

 

4 監査委員会報告(資料1)(資料2)

 (高橋監査委員)

 2021年度監査委員会監査実施計画について、7月19日の監査委員会で決定しましたので報告します。
 監査委員会では、例年、協会の業務報告書および財務諸表に添える意見書を6月下旬に総務大臣に提出したあと、意見書の内容を踏まえて監査実施計画を策定し、経営委員会に報告しています。今回も、6月22日に提出した令和2年度意見書の内容を踏まえ、2021年度の監査実施計画を定めました。
 監査委員会による監査には、業務監査と会計監査があります。
 Ⅰの「業務監査」の重点監査項目は、協会の「業務報告書に添える意見書」に記載した付記事項も踏まえて、次の4項目としました。いずれも、今年度から始まった新しい経営計画で重要課題と位置づけられているもので、経営計画に対する令和3年1月の経営委員会見解なども踏まえて決めています。
 重点監査項目の一つ目は、「内部統制の推進およびリスクマネジメントの取り組みの監査」です。内部統制の確認は、監査委員会監査の大前提となるものです。内部統制強化の取り組みや、リスクマネジメントおよび不正防止の取り組み、情報セキュリティ強化などIT統制の取り組みも含めて確認していきます。
 二つ目は、「公共メディアとしての放送・サービスの取り組みの監査」です。公共メディアとして「新しいNHKらしさ」を追求する放送・サービスの取り組みは、きわめて重要な経営課題です。安全・安心を支える取り組みや、視聴者コミュニケーション活動の取り組み、また、地域情報の発信強化に向けた取り組みなどを含め、重点監査項目とします。
 三つ目は、スリムで強靱な「新しいNHK」に向けた取り組みの監査です。スリムで強靱な「新しいNHK」を目指す構造改革は、喫緊の大きな経営課題です。コンテンツ制作改革および評価手法開発の取り組みや、訪問によらない営業活動への円滑な移行と公平負担徹底への取り組み、人事制度改革の取り組みなどを含め、重点監査項目とします。
 四つ目は、「NHKグループ経営改革の取り組みの監査」です。NHKグループにおける経営資源の最適配置は、より重要さを増している課題です。今年度は、多くの関連団体に現役の幹部が社長として出向し改革に取り組んでいます。グループの内部統制強化に係る体制をどう充実するのか、NHK本体と関連団体の業務体制をどのように再構築していくのか、などを重点的に確認します。
 以上が重点監査項目ですが、すべての重点監査項目を通して、新型コロナウイルスに対する影響などを注視していきます。
 また、今年度はこれに加え「その他の監査項目」を一つ掲げました。「放送センター建替に向けた取り組みの監査」です。これまでも継続的に監査を行ってきた項目ですが、引き続き、長期プロジェクトのマネジメントの継続性や、建て替えに関する公平性・透明性・客観性確保の取り組み、さらに建設計画の見直しや事業継続の検討状況について監査します。「その他の監査項目」は以上です。
 Ⅱの「会計監査」については、協会の財務諸表に関する監査を監査委員会監査実施要領に基づいて実施します。会計監査人の監査の方法および結果の相当性について審議を行い、監査意見を形成します。
 以上、ご説明した計画に基づいて監査活動を実施していきます。
 監査計画の内容は、監査の実施過程で必要に応じて見直されるものであり、重要な修正が必要になった場合には、そのつど報告します。
 続いて、「選定監査委員に対する子会社管理状況等の報告」について説明します。
 監査委員会は7月19日に協会による子会社管理の状況などについて、関連事業統括理事である松坂専務理事から報告を受けました。これは、「内部統制関係議決」の中の「会長は、監査委員会が選定する監査委員に対して、定期的に子会社の管理の状況等を報告する」との規定に基づくものです。2021年7月までのおもな取り組みについて、これまでと同様、「 ①ビジョン・価値観の共有促進」、「②グループガバナンス強化」、「③グループ全体での業務効率化・管理高度化」のそれぞれの項目ごとに報告がありました。ポイントを絞って報告します。
 まず、一つ目の「ビジョン・価値観の共有促進」です。「コミュニケーションの強化」では、グループ経営改革に貢献する取り組みに贈られる「NHKグループ会長賞」の2回目の授賞式を実施したとのことです。また、「人材育成の強化」では、出向者を子会社の経営者として配置したとのことです。次のページで詳細を説明します。
 今回受賞した4件のグループ会長賞の一覧です。NHKエデュケーショナルの「グループ連携強化を図る新入社員研修」では、プロパー社員の発案で新入社員研修を見直し、業務の関わりが深いグループ他社を巻き込んだ形で研修を設計し、実行されたとのことです。
 次に、出向者のNHKでの役職と社長として就任した子会社の一覧です。子会社11社のうち8社の社長を業務上関わりの深い現役幹部の出向者が務めることになり大幅に若返ったこと、また就任前に行われた「新任トップ育成プログラム」を通じて、前田会長から特命事項の通知をしたこと、また、株式会社のガバナンスやNHK関連団体の基礎的な知識を共有したとのことです。子会社社長は、会長からの特命事項を実現するためのアクションプランを作成するとのことです。
 次に、「②グループガバナンス強化」についてです。「連携」の項目では、関連団体への業務委託元となる新局長・新ポスト長、関連団体への出向者や非常勤役員になる方に対し、研修を通じてグループ経営の現状や取り組むべき課題について説明したほか、NHKと関連団体両方の新管理職が合同で参加する研修を開催し、両者で共通認識を持ちガバナンス上の連携を促すとのことです。
 「経営目標制度」では、2020年度経営目標に対し、財務面、事業面からみた達成度の評価を、会長の決裁後に各団体に通知したとのことです。なお、2021年度の経営目標は、グループガバナンス強化の観点から、NHKが設定する「グループ目標」と、それを踏まえて関連団体各社が設定する「事業目標」、「ガバナンスの評価」を柱とする新しい枠組みに見直されたとのことです。
 最後に「③グループ全体での業務効率化・管理高度化」についてです。子会社の2020年度決算について報告がありました。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、大変厳しいものになったことから、2021年度はコスト削減と新たな事業開発を進めることで、収支の改善を図っていくとしています。
 これについて、7月19日の監査委員会では「会長賞の受賞者は自分の持ち場だけでなく、関係するグループの特徴も理解されておりすばらしい。今後もさまざまなグループ連携の取り組みが評価されることを期待する。子会社の役員体制が、コンパクトで若返ったことはインパクトがある。今後の取り組みを楽しみにしたい」と言った意見が出ました。
 監査委員会としては、新型コロナウイルスによる関連団体経営への影響について、引き続き協会役員の職務執行監査の観点から注視していきます。
 「協会による子会社管理状況等」について、監査委員会は今後もおおむね四半期ごとに協会から報告を受け、経営委員会に報告していきます。報告は以上です。

 (堰八委員)

 NHKからの出向者が社長に就任した子会社が記載されていますが、この方たちは本体に戻ってくることを前提に、いろいろなキャリアや経験を積ませることを目的として社長に就任したという理解でよろしいですか。それとも、それを担保するものではなく、戻るかどうかわからないのですか。意識づけの問題とも絡んでくると思いますが、いかがですか。

 (前田会長)

 基本的には戻っていただきたいと考えていますが、年齢の問題もありますので、時間がたったら全員を戻すということではありません。

 (森下委員長)

 グループ会社全体のERP導入の検討状況はどこまで進んでいますか。

 (高橋委員)

 まずはNHK本体の開発が最初だと思います。それぞれの会社の仕事が異なるので、従来は全グループを一つにまとめようとしていたものを、必要に応じて各社の業務にあわせて開発する方向と聞いています。

 (前田会長)

 少し補足します。子会社ではNHKエンタープライズがいちばん進んでおり、ベースとなるシステムがありますが、それをすべての子会社に横展開するのは難しい状況です。また、NHKエンタープライズがやろうとしていることをNHK本体に取り込むと、NHK本体がうまく回らないという問題があります。今、2つに分解して、子会社は基本的にNHKエンタープライズのよいところを使おうと検討しています。本体は、すべての開発を一度にやろうとしましたが、結局受注する業者がいませんでした。システムがあまりに複雑で、大き過ぎて時間がかかってしまったので、パーツに分けました。例えば、経費精算と財務の改定など、いろいろなパーツに分割して、全体予算が100億円以上かかるところを、最大90億円でやり遂げることを目指して1つずつ詰めています。全部まとめてやろうとすると全滅するおそれがあるので、分解して1つずつ進めている最中です。

 (明石委員)

 ビジョン・価値観の共有促進で、NHKグループに対して会長賞を出しているということですが、会長賞はグループに出すだけではなくて、本体の業績が顕著な人にも出しているのでしょうか。

 (前田会長)

 出しています。今までも会長賞はありましたが、順番に渡していくやり方でした。それではインセンティブが効かないので抜本的に見直し、本当にNHKのためになったものを表彰するようにしました。自分の会社だけでは横に広がりませんので、グループ会長賞では、グループを超えて行ったよい仕事を表彰しています。このようにつくり変えましたので、名前は同じですが中身は大幅に変わりました。結果をご覧いただければ、何を表彰したか、経営は何をやりたいかがわかっていただけると思います。

 

<松坂専務理事 入室>

 

 

5 報告事項

 (1) 2021年度第1四半期業務報告(資料1)(資料2)

 (松坂専務理事)

 この報告は、放送法第39条第4項の「会長は3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を経営委員会に報告しなければならない」という規定に基づいて行うものです。
 今年度から新たな中期経営計画がスタートしましたので、四半期業務報告を経営計画の進捗管理のための報告としてより明確に位置づけ、計画に掲げた5つの重点項目と、スリムで強靱な「新しいNHKらしさ」を目指す構造改革の観点から整理しています。全体に簡素化をはかって、ポイントを絞ったわかりやすい内容を目指し、全職員が目を通すべきものとしても活用していきたいと考えています。
 2ページは「今期の概況」です。コロナ禍で事業活動の制約が続く中、業務改革や組織改革に着手したことや、緊急事態宣言が出される中で、正確な情報の発信を続けたことなどを記したのをはじめ、重点項目と構造改革に沿った取り組みのポイントをまとめています。
 3ページから「5つの重点項目の進捗」と題して、経営資源を重点投資する5つの項目ごとに、主な取り組みや課題、今後の取り組みを記しています。
 まず「1.安全・安心を支える」です。本部機能が停止した時に代替機能を担う大阪拠点放送局からの生放送番組を新設するなど、発信力の強化に努めました。その下、ことし5月から公共メディアキャンペーン「水害から命を守る」をスタートしました。写真は、AR(拡張現実)の技術を使い、想定される浸水を実際の風景に重ねて表示する「実感!ハザードマップ」プロジェクトで作成したポスターです。
 続いて「2.新時代へのチャレンジ」です。総合テレビのゴールデンタイムおよびプライムタイムを「新しいNHKらしさ」を追求する「番組開発ゾーン」と位置づけ、さまざまな番組を放送したほか、35歳以下の職員から斬新な提案を募る「次世代チャレンジ」も開始しました。その下、波を中心とした従来の編成の考え方を見直し、ジャンル別管理を開始しました。ジャンルごとに、評価(質)、視聴率(量)を把握するとともに、コストも加えて比較し、放送・サービスの価値を最大化していきます。
 4ページです。新型コロナウイルスの感染が続く中、「ブラタモリ」や大河ドラマなどで、工夫を凝らしたり技術を活用したりして、安全に配慮しながら、効率的な制作に取り組んでいます。
 続いて「3.あまねく伝える」です。「おはよう日本」で字幕付与の時間を増やすなど、字幕放送や解説放送を充実させています。
 続いて「4.社会への貢献」です。昨年度から地域情報の全国発信に力をいれてきましたが、今年度も「ニュース きん5時」「京コトはじめ」などの番組を新設し、地域情報のさらなる発信に取り組んでいます。その下は、放送以外で8Kの技術を社会に還元する取り組みとして始めた8K文化財プロジェクトで、門外不出といわれる法隆寺の国宝を8Kで撮影して3DCGを作成し、研究に活用してもらうだけでなく、一般の人々にも公開しています。
 5ページでは、NHK放送技術研究所のオンラインでのイベントで、未来のサービスにつながる可能性のある新技術を公開したことを記載しています。
 5ページの最後は「5.組織の力の最大化を図る改革を推進」です。タテ割りや年功序列といった人事課題の解決を図るため、若手管理職を放送局長などへ配置したことや、地域職員を本格採用スタートしたこと、幅広い分野で女性を管理職に登用したことなどを報告しています。
 6ページは、スリムで強靱な「新しいNHK」を目指す構造改革の取り組みです。まず保有するメディアの整理・削減です。2023年度中の衛星波の1波削減を視野に、BS4KとBSプレミアムの大半の定時番組を同時刻同内容としたほか、視聴者の意向調査を始めたこと、また音声波の整理・削減について検討を進めていることを記しています。インターネット活用業務については、NHKプラスで地方向け番組の見逃し配信を拡大したことなどを記載しています。「受信料の価値を最大化」するためのマネジメント施策については、効率的な業務体制の確立に向けて、一部の地域放送局でマネジメント改革のトライアルを始めたことや、営業改革で訪問営業からの転換を進め、契約収納費は前年度6月末時点と比べると14億円減少していることなどを記載しています。グループ経営改革では、関連団体の社長や役員に職員を出向させ、ガバナンス強化を進めたことを記しています。
 7ページは、6月に行った放送・サービスの質的指標の調査結果です。今期から、地域への貢献度を測るため、5つ目に「日本の各地域の多様さを伝えている」という指標を追加しました。質の評価では、これまで前回や前々回の結果と比較してきましたが、今回から調査対象を関東地方から全国に拡大し手法を変えたため、前期との比較は次回以降行います。
 8ページは量的指標です。接触者率と視聴率は放送に対するもので、視聴率は今期から個人視聴率を採用しました。これまでの世帯視聴率は括弧の中に参考として記載しています。総合テレビは、前年同期は新型コロナウイルスの影響でニュース番組を中心に非常によく見られていましたが、新型コロナウイルスの長期化でテレビの見られ方も落ち着いてきたためか、今期は前年より下がり、新型コロナウイルス前と比較しても減少しています。一方で、BS1はスポーツ中継がよく見られています。その下がインターネットへの接触者数で、NHKオンラインへの1週間の訪問数は、3,000万ユニークブラウザ(UB)あまりと前期と比べて増えています。放送への接触者率が伸び悩む中で、インターネットを通じた接触は年々増えており、インターネットでNHKのコンテンツや情報に触れていただくことも重要だと考えています。
 9ページの「中央放送番組審議会の意見」は、審議会の開催後、速やかにまとめ、改めてご説明します。
 10ページは受信契約の状況です。契約総数の年間目標は、新型コロナウイルスの影響なども踏まえて前年度から25万件の減少としていますが、今期は1.9万件の増加となりました。衛星契約は、年間10万件増加の目標に対し、今期は3万件の増加となりました。訪問によらない営業による取次数は速報値を掲載していますが、総取次数は年間計画の195万件に対し、今期は41万件です。衛星契約の訪問によらない取次数は、年間計画114万件に対し、28万件です。契約の状況は、例年引っ越しシーズンなどにあたる第1四半期は比較的好調です。今後、法人委託の削減に伴う訪問要員の減少や、訪問によらない営業施策の効果などが、契約状況にどのように影響していくのか、推移を注意して見ていきます。
 11ページと12ページは、6月末時点での予算の執行状況です。
 事業収入は、1,761億円で標準進捗を上回っていますが、前年度との比較では104億円の減少です。これは、受信料値下げの影響などによるものです。事業支出は1,602億円で、標準進捗をやや下回っていますが、新型コロナウイルスの影響で支出が大幅に減った前年度と比べると47億円上回っています。収支全体では黒字となっていますが、今後の受信料収入の状況や、第2四半期に開催されるオリンピック・パラリンピック関連の支出などを注視していきたいと考えています。
 最後の13ページでは、今期の主な課題に対する今後の取り組みをまとめました。総合テレビを中心として量的指標が低下傾向にあることに対して、「新しいNHKらしさ」を追求するさまざまな番組を開発し、後期改定などに活かしていくとともに、安全・安心を守る放送のさらなる強化、地域への貢献の充実、インターネットを活用し、いつでもどこでもコンテンツが活用できる環境の充実などに取り組んでいきます。また、訪問によらない営業の取次数は標準進捗をやや下回っていますが、契約収納費は減少しています。営業改革を着実に進めるとともに、受信料収入を確保する施策を実施していきます。報告は以上です。

 (礒山委員)

 訪問によらない営業に関して、契約収納費が14億円減少したという報告がありました。その中で中期経営計画の大きな施策でもある、日本郵便と連携した収納の新しい準備については、システムそのものについても批判があるようですが、どのような進捗状況ですか。

 (松坂専務理事)

 東京と千葉と茨城の一部で「特別あて所配達郵便」の配達を始めました。この効果は、今後検証したいと思います。SNSなどでは「郵便が届いた」などの投稿も見られますが、受信料制度などを丁寧にお知らせする内容になっているので、これが今後どのように進むのか、営業や関連部門とも協力して見ていきたいと思います。

 (井伊委員)

 若い人に限らず、テレビの前に座ってリアルタイムで見るという生活は少なくなってきていると思います。量的指標の低下傾向についての最後に「インターネットを活用し、いつでもどこでも、NHKのコンテンツが活用できる環境を充実させる」とありますが、これは具体的にNHKプラスとNHKオンデマンドのことを指しているのでしょうか。経営計画に掲げた取り組みとの関連もあると思うのですが、もう少し具体的に教えてください。また、スピード感を持って進めていくというあたりも詳しくお知らせください。

 (松坂専務理事)

 全体的に言うと、放送に対する接触は少しずつ減ってきています。一方で、NHKオンラインには、毎週3,000万UBの訪問者があります。4年前にはおよそ1,100万UBでしたので、かなり増えています。これらも含めてNHKのコンテンツや情報に接してもらうことが重要だと思います。例えば、前回の経営委員会での伊藤理事からの報告のとおり、NHKプラスをテレビの大画面で見たいというニーズに応えることや、NHKプラスにせっかくアクセスしていただいても登録手続きが面倒でやめたとか、もう少し簡素化できないかという意見もあります。また、東京オリンピック期間中は、同時配信については認証無しでも見られるようにしていますので、この機会にできるだけNHKプラスに接触していただきたいと考えています。
 また、オリンピック期間中には、おもしろい過去のドラマやいろいろな番組を総合テレビで夜間に編成することにしています。これらの番組はNHKプラスの見逃し配信でも見られます。ドラマに限らず若い人にも興味がありそうなものも配置し、NHKプラスの接触と加入につなげるなど、いろいろな分野で考えていくことが重要だと思います。番組については、このところゴールデンタイムや夜10時台に若手の提案も含めたいろいろなトライアルを行っています。新しい番組の開発についても、来年4月まで待たずに、できるものについてはしっかりやっていくことで、全局を挙げて取り組んでいます。

 (井伊委員)

 Eテレなどでも、放送後に評判がよくて見たいと思っても、1週間たってしまうとNHKプラスでも見られず、NHKオンデマンドでも見られないケースがありますので、NHKオンデマンドでお金を支払ってでも見られるようにしてほしいと思います。NHKプラスを見るためには、受信料を払わなければならないということで、受信料を支払うきっかけになると思いますし、活用していないものがあると思いますので、ぜひ検討をお願いします。

 (松坂専務理事)

 過去の番組や見逃し番組を今後どうするかは重要なところですので、関係部局で検討していきます。

 (森下委員長)

 接触者率が減少傾向にあるという問題意識がありました。コロナ禍や災害に対してNHKプラスでも対応してきて、テレビの強みとネットの強みがあったのではないかと思います。特にコロナ禍では、やはりテレビのよさもあったと思います。そのあたりをよく分析し、「新しいNHKらしさ」や、テレビがあるからこそ訴えられることと、ネットのほうがよいことを見極めていく必要があると思います。接触者率を向上させることも含めて検討してほしいと思います。

 (松坂専務理事)

 テレビには安全・安心の情報の一斉同報のよさがありますので、そのようなNHKに求められているところはしっかり強化し、また、地域情報も非常に重要ですので、それにも力点を置く必要があると思います。NHKの強みは放送でしっかりと押さえて、それ以外の新しい部分でインターネットを活用して接触する機会を増やしていく必要があります。この課題は長年継続して取り組むべき必要がある課題であり、今回の報告書に明確に書いていますが、若い職員を含めて再認識してもらうなどNHK内でも共有して、問題意識を持って取り組んでいきます。

 

<松坂専務理事 退室、田中理事 入室>

 

 (2) 視聴者対応報告(2021年4〜6月)について(資料1)(資料2)

 (田中理事)

 放送法第27条に定める視聴者対応の状況について、2021年4月から6月分を取りまとめました。放送法第39条第4項に基づき報告します。
 3ページです。はじめに、視聴者から寄せられた意見・要望への対応状況です。視聴者からの「意見・要望」、「問い合わせ」、「その他」をあわせた声の総数は、4月から6月までの3か月間で80万9,107件でした。これは新型コロナウイルスの感染防止のため、視聴者の声の受け入れ態勢を縮小していた前年の同じ時期に比べて、およそ18万2,000件多くなっています。図表の左側の黄色い部分の、放送、営業、受信相談の各ふれあいセンターと本部の各部局、全国の放送局が受け付けた「意見・要望」の数は、あわせて11万1,526件でした。このうち、矢印の右側の黄色い部分ですが、88%にあたるおよそ9万8,000件については、それぞれのふれあいセンターの「一次窓口」やそれぞれの部局・放送局でお客様に説明し理解を得ました。ふれあいセンターで受け付けた残りの1万2,900件は、「二次対応」として、放送の該当部局や担当地域の営業部や受信相談窓口で回答や説明など行いました。下のグラフは視聴者の声の「分野別」の内訳と件数です。
 それでは、分野別の内訳ごとに概要を説明します。
 4ページです。「放送番組」に寄せられた視聴者の声の概要です。放送番組に関して寄せられた意見や問い合わせの内訳は、放送内容に関するものが38%、放送予定に関するものが14%、出演者に関するものが12%などとなっています。また、番組のジャンル別では、ニュース・報道番組が33%で最も多く、ドキュメンタリー・教養番組が14%、情報番組が12%と続いています。次は、「受信料」に関係する声の概要と対応です。受信料に関しては、45万2,122件の意見や問い合わせが寄せられました。ふれあいセンターの営業担当窓口で受け付けた意見はおよそ6,300件、このうち59%は一次窓口で速やかに対応が完了し、残りは担当地域の営業部・営業センターが対応しました。事由別に見ると「訪問員等の応対や説明」「事務手続き」などへの声が多くなっています。
 5ページです。「技術・受信相談」に寄せられた意見の概要と対応です。9,673件の意見や問い合わせの内訳は、受信不良の申し出が6,288件、技術相談は3,385件でした。受信不良の申し出については、48%が一次窓口で対応を完了し、残りは訪問による二次対応で改善の指導や助言を行いました。
 次に「経営」への意見です。NHKの経営に関する意見や問い合わせは、471件でした。内訳は、職員の不祥事についてが94件、経営計画についてが52件、職員制度についてが22件などとなっています。このうち経営計画については、放送波の削減に関する意見・問合せが31件で最も多く、このほかに受信料制度のあり方などについての意見が寄せられました。職員制度については、職員の男女比率などについての意見や問合せなどがありました。
 このページの1番下は、インターネット活用業務に寄せられた声についてで、3万1,149件の問い合わせや意見が寄せられました。このうち74%が、NHKプラスに関するものでした。最も多かったのは、IDの登録方法などに関する問い合わせです。この登録方法などについては、ご利用案内ページの説明を充実させたり、登録しやすくするための機能を新たに追加したりするなど、随時、改善を重ねています。
 6ページです。視聴者から寄せられた意見・要望への具体的な対応事例です。一つ目は「NHK杯テレビ将棋トーナメント」と「NHK杯テレビ囲碁トーナメント」へのAIによる形勢判断の導入です。いずれも創設から70回前後を数える歴史ある大会の番組です。昨今のオンライン対戦の広がりでAIによる形勢判断への関心が高まっていること、また、初心者にもわかりやすい表示を求める声も増えていることから、今年度からAIによる形勢判断を放送に取り入れました。放送では、過去の膨大な対局データをもとにAIが判断した形勢を帯状のグラフで示し、一手ごとにわかりやすく表示する取り組みを始めました。
 7ページです。若い世代の声を番組に生かすため、全国の高校生・大学生と番組制作者がオンラインで交流する取り組みです。視聴者の皆さまの声を直接聞いて番組制作に生かす取り組みの一つとして、5月に渋谷駅前にある「NHKプラスクロスSHIBUYA」を拠点に、「環境問題」をテーマに、若い世代の視聴者と番組制作者が直接語り合うオンラインイベントを開催しました。イベントに参加したのは、岩手県から熊本県まで全国各地の200人を超える高校生・大学生の皆さんです。題材は、NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」で、地球環境が危機を迎える中、私たちができることを伝えるシリーズです。イベントでは、番組制作者が番組に込めた思いを紹介し、参加した若い世代との間で活発な意見交換が行われました。新型コロナウイルス感染防止の観点から、対面でイベントを開催することが非常に難しくなっていますが、一方で、どこでもつながることができるオンラインのイベントの利点を生かした取り組みで、参加者から番組の制作意図を聞けて貴重な機会だったという肯定的な意見が多数寄せられました。
 8ページです。ニュース番組のテロップの文字フォント(字体)の改善についてです。高齢者を中心に、テレビ画面の字幕の細かい文字がつぶれて読みにくいという声がしばしば寄せられていますが、日曜日夕方の「ニュース 地球まるわかり」では、年齢や視力に関わらず読みやすく、読み間違えにくいフォントを6月から導入しました。ユニバーサルデザイン(UD)フォントと呼ばれるもので、線の太さや濁点の大きさ、文字の中の余白などに工夫を凝らすことで、読み間違いをしにくいものとされています。放送現場では今後も、誰にでもわかりやすい「伝わる」番組づくりを目指して取り組みます。
 9ページです。誤記・誤読などの指摘への対応です。放送でのテロップのミスや誤読、事実関係の間違いの件数は、4月から6月はあわせて214件でした。前年の同じ時期に比べて67件増えました。ホームページ上のミスはあわせて102件で9件減りました。視聴者からのご指摘は、番組担当者に連絡し対応を求めました。再発防止のため、放送関係の各部局で構成する放送倫理連絡会などでも周知し、注意を促しました。報告は以上です。

 (明石委員)

 この報告は、視聴者に対して定期的に出すことが前提になっているので、毎回説明していただいていますが、報告書そのものがNHK内部でも十分に活用されているかが気になります。実際に視聴者対応をしている方がこの報告書をきちんと読んでいるとすれば、視聴者対応窓口がどのようなところに力を入れているのかなどの情報も、報告の中に含めてもよいのではないかと思います。また、毎回同じようなパターンで、昨年度の踏襲のような形で出していくのではなく、その年に力を入れることや強化したポイントを含めるような内容にすると、NHK内部の担当の方のモチベーション向上につながったり、外部向けにも定番ではない情報を出すことができるので、NHKの魅力やよさ、力を入れているところ、改善・改革の軌跡も理解していただけるのではないでしょうか。

 (田中理事)

 この報告は、放送法第27条で「協会は、その業務に関して申出のあった苦情その他の意見については、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない」とされていることについて、3か月分の報告を経営委員会に対して行うものとして、改善事項や取り組みについて報告しています。以前は、もう少し視聴者の皆さまの声を中心に報告する形でしたが、視聴者の皆さまによりよいものをお届けするという目的で、具体的な声を踏まえたNHKの取り組みを紹介するような報告に改善したところです。ご指摘のあった現場で生かす取り組みとしては、具体的な番組の考査報告や、放送ガイドラインについての学習会など、さまざまな形で学習や研修の機会も設けています。また、NHK放送文化研究所で研究・分析をしたものの報告会など、かなりの頻度で現場と調査・研究部門が交流しながら、改善につなげていく取り組みを行っています。これからは、さまざまな形でそのような取り組みも紹介させていただければと思います。

 (尾崎委員)

 物事がどのような方向に進んだら経営がうまくいっているかなどを示したほうがよいと思います。例えば、件数だけを出せばよいのかというと、そうではないと思いますし、NHKが視聴者の皆さんから評価されていることが、この報告書にどのように表れて、それは何が原因でこのように変わったということがわかるようにしてほしいと思います。一次対応ですべて満足して終わり、というのでは意味がない感じがします。そのあたりはどのように扱われるのでしょうか。

 (田中理事)

 一次対応でご説明を尽くし、疑問についてはご理解をいただき、もうわかりましたと言っていただける簡単な問い合わせが非常に多くあります。一方で、きちんと受け止めて改善につなげなければならない具体的な事例については、それぞれの担当部局としっかり共有し、今回のように視聴者の皆さまの声を踏まえて改善したり、新しいサービスにつなげたりすることを大事にしていきたいと考えています。電話やインターネットでいただく声を分析し対応していますが、これはいわゆる世論調査的なものとも異なるため、その声や数字の多寡で分析していくことは難しいと思います。しかし、その中にある大事なメッセージについてはしっかり受け止めて対応したいと考えています。

 (尾崎委員)

 クレームはビジネスの宝庫のような部分があるので、これをきちんと押さえていくと、NHKのあり方やNHKが新しいものに変わったことが見えてくるはずです。そのような観点で、アピールのような形で経営委員会に報告してもらうと、取り組んでよかったこと、悪かったことをわれわれとしても評価できます。放送法で決まっているから数字を集めて報告しましたというのは、あまりよくないと思います。

 (田中理事)

 今ご指摘があったことは、私どもも大切に受け止めて対応したいと思っています。そのような意見の中に、さまざまな大事な指摘があると思っていますので、適切に対応し報告したいと思います。

 (長谷川委員)

 今のお二人のご意見に関連して、クレームは本当に大事です。これまでは、好意的な意見と好意的ではない意見の両方を並べて、生の声が聞こえるような視聴者対応の報告でした。この前には、接触者率が減っているという報告もありました。これは外的な要因だけではなく、もしかすると番組の質が落ちているのではないかという切実な心配があります。そのような視聴者対応の辛口の意見の中には心に響くような大事なコメントもありますが、それがなくなっています。NHKが行った取り組みを整理して報告するよりも、やはり生の視聴者の皆さまの声を聞いたほうがよいと思います。この報告は、われわれ自身が一緒になって考えられる貴重なチャンスです。

 (田中理事)

 以前は、今の「月刊みなさまの声」のような形で、個別の番組に関わる肯定的な意見と批判的な意見を整理したものでご説明していました。経営委員会への報告では、個別の番組について報告をするという形ではないので、区別して現在のような形としています。

 (森下委員長)

 今後もいろいろと改善するパートはあるかもしれませんので、意見を参考にしていただきたいと思います。

 

<前田会長、田中理事 退室>

 

 

6 今後の経営委員会運営について

 (森下委員長)

 今後の経営委員会運営について、意見交換を行います。この場では、2月4日に出されたNHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申について、対応方針決定後に公表するとしていた議事録の確認を行います。

 

 第1372回(2021年2月24日開催)、第1373回(2021年3月9日開催)、第1374回(2021年3月23日開催)、第1375回(2021年4月6日開催)、第1376回(2021年4月20日開催)、第1377回(2021年5月11日開催)、第1378回(2021年5月25日開催)、第1379回(2021年6月8日開催)、第1380回(2021年6月22日開催)、第1381回(2021年7月6開催)の「今後の経営委員会運営について」に関する議事録を承認し、所定の手続きを経て、2021年7月23日に公表することを決定した。

 

 それでは、本件を終了します。

 

 

 森下委員長が散会を宣言。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2021年8月31日    

森 下  俊 三 

 

 

高 橋  正 美