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第1372回
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2021年3月12日(金)公表
※「11 今後の経営委員会運営について」 は2021年7月23日(金)公表

日本放送協会第1372回経営委員会議事録
(2021年2月24日開催分)

第1372回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1372回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2021年2月24日(水)午後1時30分から午後4時15分まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 井 伊 雅 子
    礒 山 誠 二   佐 藤 友美子 堰 八 義 博
    高 橋 正 美   長谷川 三千子 水 尾 衣 里
    渡 邊 博 美      
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  前 田 会 長 正 籬 副会長 児 野 専務理・技師長
  中 田 専務理事 角   理 事  

 

 

<場   所 >
○放送センター  22階経営委員会室
○札幌・名古屋・福岡 各拠点放送局および福島放送局
(※テレビ会議システムにより接続)

 

<議   題>

 

1 2020年度「視聴者のみなさまと語る会」総括

 

2 視聴者のみなさまと語る会(前橋)の開催について

 

3 今後の経営委員会体制について

 

4 議事録確認

 

5 委員長報告

 

6 監査委員会報告

 

7 会長報告

 

8 議決事項

 (1) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

9 報告事項

 (1) 「第72回日本放送協会放送文化賞」の贈呈について(資料)

 (2) 第96回放送記念日記念式典の実施について(資料)

 (3) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (4) 2020年度第3四半期業務報告(データ更新版)(資料)

 

10 説明会

 (1) 大阪拠点放送局 本部代替機能・西日本BCPの強化

 

11 今後の経営委員会運営について

 

 

<議事経過>

 

<経営委員 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 (森下委員長)
 本日の経営委員会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本部と札幌・名古屋・福岡の各拠点放送局および福島放送局をテレビ会議システムで接続しての開催となります。なお、皆さまには、マスクを着用のうえ、座席の間隔をとって出席いただいています。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

 

1 2020年度「視聴者のみなさまと語る会」総括

 2020年度「視聴者のみなさまと語る会」の総括を行い、若い世代も含め、幅広い層から多様な意見を聴けるよう、今後の開催に向けての意見交換を行った。

 

 

2 視聴者のみなさまと語る会(前橋)の開催について

 2021年度の「視聴者のみなさまと語る会」の第1回目を、群馬県にお住まいの方を対象に2021年4月17日土曜日にオンライン方式で開催することを決定した。

 

 

3 今後の経営委員会体制について

 森下委員長が2月28日に任期が切れることに伴い、新たな経営委員長を3月9日の経営委員会において互選することを決定した。また、3月1日から9日までの間は、森下委員長が「経営委員長の職務を行う者」とすることを決定した。
 また、経営委員会は、監査委員に水尾委員を本日付けで任命した。

 

<前田会長 入室>

 

 

4 議事録確認

 第1371回(2021年2月9日開催)の議事録を承認し、所定の手続きを経て、2021年2月26日に公表することを決定した。

 

 

5 委員長報告

 (森下委員長)
 私から経営委員会体制、監査委員会体制について報告します。
 本日の経営委員による経営委員会において、新たな経営委員長の互選は次回3月9日の経営委員会で行うこととしました。なお、私の任期が2月28日で終了するため、3月1日以降、3月9日に委員長を決定するまでの間は、私が「経営委員長の職務を行う者」を務めさせていただきます。
 また、2月28日をもって佐藤委員が退任されることになりましたので、3月1日以降、監査委員が欠員となるため、本日の経営委員による経営委員会において、新たに水尾委員にも監査委員を務めていただくことを決定しました。これにより監査委員会は、2月28日まで高橋委員、佐藤委員、渡邊委員、水尾委員の4人の体制となります。
 経営委員会体制、監査委員会体制についての報告は以上です。

 

 

6 監査委員会報告

 (高橋監査委員)
 森下委員長からのご説明にありましたとおり、水尾衣里氏が2月24日をもちまして監査委員に任命されたことを受け、先ほど臨時の監査委員会を開催し、水尾監査委員を選定監査委員に選定することを議決しました。
 選定監査委員は放送法第44条に定められており、放送法に規定されている調査権や報告徴収権を持つ監査委員であり、同じく第44条で監査委員会が選定することとなっています。これまでは監査委員全員が選定監査委員になっています。放送法も全員が選定監査委員になることを妨げていませんので、先ほどの監査委員会で水尾委員を選定監査委員として選定したことを報告します。報告は以上です。

 

<正籬副会長、児野専務理事・技師長 入室>

 

 

7 会長報告

 (前田会長)
 今月13日の震度6強の地震についてご報告します。放送・サービスでの対応を正籬副会長からご説明します。
 (正籬副会長)
 地震は2月13日の深夜に発生し、福島県と宮城県で震度6強を観測しました。
 総合テレビでは、地震の直後から夜を徹して報道し、被害や停電・交通影響などをきめ細かく伝えました。世帯視聴率は、地震直後には福島県と宮城県で45%を超え、関東でも42%に達しました。NHKで情報を得ようとする方が多かったことが分かります。
 本部だけでなく、福島放送局や仙台拠点放送局も、ほぼ毎時間、地域発の災害情報を発信し、両エリアの朝のニュースの視聴率は20%から30%に達しました。
 翌朝5時のニュース冒頭の、不安な夜を過ごした人たちに向けた糸井羊司アナウンサーの「安全な場所で少し目を閉じながら最新の情報をお聞きいただければと思います」という呼びかけが、「あたたかいことばに感動した」と、多くの方の共感を呼びました。
 ラジオも、毎時間10分から20分前後、独自の放送を出したほか、総合テレビの放送の同時送信などで朝まで災害報道を継続しました。ただ、テレビとの同時送信の際、映像を前提とした「ご覧のように」というコメントはラジオでは不適切だという指摘を、一部の視聴者からいただきました。関係部局では、ラジオとの同時送信を意識するよう周知・徹底しました。
 インターネットでは、放送の緊急時同時提供を実施したほか、NEWSWEBに特設サイトを設けました。WEBとアプリをあわせたNHKオンラインの訪問ユニークブラウザ数は、地震翌日の14日に797万に上り、去年7月の九州での豪雨災害並みのアクセス数となりました。
 スマートフォンなどでラジオを聴くことができる「らじる★らじる」も、広域停電の発生もあって広く利用されました。地震が発生した13日の夜11時台の訪問ユニークブラウザ数は、普段の2倍以上、10万4,000に上りました。
 NHKプラスでは、地震の直後から、未登録の方の画面に表示するメッセージを一時的に外す措置を実施しました。また、「見逃し配信」を視聴中の利用者に地震の情報を知らせるため、今回初めて、地震の最新情報を伝えている「同時配信」に案内する対応を取りました。NHKプラスの視聴ユニークブラウザ数は13日と14日の2日間で36万を超え、前週やその前の週のおよそ1.4倍となりました。
 今回の地震は、3月11日で10年の節目を迎える東日本大震災を思い起こさせるものでした。10年の節目に向けて、NHKでは、8本の「NHKスペシャル」など、大型番組やニュースでの特集の放送を予定しています。災害の緊急報道に加えて、災害の教訓を風化させない情報発信にも、全力で取り組んでまいります。
 続いて、放送所設備と放送会館への影響について、児野専務理事・技師長からご説明します。
 (児野専務理事・技師長)
 福島県、宮城県、関東地方で25か所の放送所が停電しましたが、放送所に設置している自家用発電機やバッテリーが動作し、放送を継続することができました。したがって停波はありませんでした。
 地震直後から、NHKはNHKテクノロジーズや民放と連携して、安全を確認しながら、すみやかに設備の点検を実施しています。点検の結果、アンテナ柱が変形するなど一部で破損がありましたが、放送への影響はありませんでした。
 つぎに、放送会館についてです。
 福島放送会館では、建物自体は免震構造になっていますので、被害はありませんでした。ただ、免震構造というのは、地面にゴムの土台を敷いて、その上に会館が建っていますので、地面の動き方と会館の揺れ方が違うわけです。それを吸収するために金属板を設置しているのですが、その金属板の一部が破損していることが分かりました。原因は現在調査中です。
 福島県内のいわき支局、郡山支局については、建物構造には大きな影響はありませんでしたが、壁や床への亀裂や天井の破損が確認されています。来月、現地調査を行い、今後の補修の方法などを決めていく予定です。

 (森下委員長)

 民放と連携した設備点検という説明がありましたが、具体的にはどういうことですか。

 (児野専務理事・技師長)

 地震や水害などが発生したときに、設備点検をそれぞれの地域で分担して行うということです。一つのところにいろいろな人が行かないように、NHKはNHKテクノロジーズや民放などと連携して、重複を避けて点検するという形にしています。
 停電の発生エリアは分かるのですが、設備は現地に行かないと分かりませんので、効率的に対応するため連携しています。

 

<児野専務理事・技師長 退室>

 

 

8 議決事項

 (1) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (正籬副会長)
 中央放送番組審議会委員について、次のとおり委嘱を行いたいと思います。定款第69条第2項の規定により、経営委員会の同意を得ることとなっています。
 新規委嘱がお一人で、キリンホールディングス株式会社代表取締役社長の磯崎功典氏です。
 資料に磯崎氏のご経歴がございます。キリンビール株式会社に入社以来、広報部担当部長、経営企画部長など要職を歴任され、2012年にキリンビール株式会社代表取締役社長に就任されました。2015年からはキリンホールディングス株式会社代表取締役社長を務めていらっしゃいます。
 なお、委員の選定にあたっては、社会の各分野(学術、文学・芸術、経済・産業、農業・漁業、生活・福祉・労働、教育・青少年・スポーツ、マスコミ等)と男女、年令等の属性を総合的に勘案し、調和のある構成となるよう努めています。
 3月1日からの任期となります。説明は以上です。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

<正籬副会長 退室、中田専務理事 入室>

 

 

9 報告事項

 (1) 「第72回日本放送協会放送文化賞」の贈呈について(資料)

 (中田専務理事)
 「第72回日本放送協会放送文化賞」について報告します。
 この賞は1949年度に創設し、放送事業の発展や放送文化の向上に功績のあった方々に贈呈しています。
 今年度の受賞者は7人です。お名前の五十音順に紹介します。
 脚本家の大石静さん。俳優の北大路欣也さん。NHK大相撲中継専属解説者の北の富士勝昭さん。シンガーソングライターで小説家のさだまさしさん。
 昭和女子大学客員教授の杉田敏さんは、国際ビジネスマンの経験を生かして、通算30年以上にわたり、ラジオ第2「ビジネス英語」の講師をつとめ、生きた英語と国際人としての教養を伝え続けてきました。
 国立研究開発法人情報通信研究機構耐災害ICT研究センター長の鈴木陽一さんは、音響研究の第一人者として、放送の音の大きさを揃えるための基礎となる研究を手がけるなど、放送技術の向上に貢献しています。
 俳人、エッセイストの夏井いつきさん。以上の7人です。
 受賞者の選考は、部内・部外あわせて12人の委員により行われ、前田会長が決定しました。
 受賞者にはブロンズ像「ふたば」と副賞を、3月19日に開催予定の第96回放送記念日記念式典で贈呈します。
 報告は以上です。

 

 (2) 第96回放送記念日記念式典の実施について(資料)

 (中田専務理事)
 第96回放送記念日記念式典の実施について報告します。
 2020年度の放送記念日記念式典は、3月19日金曜日に開催予定です。
 式典では、会長、経営委員長のあいさつに続いて、総務大臣をはじめ来賓の方々からご祝辞をいただき、その後、「第72回日本放送協会放送文化賞」の贈呈式等を行う予定です。
 新型コロナウイルスの感染防止の観点から、今回は無観客での開催とし、登壇者以外の役職員や経営委員の皆さま、来賓の皆さまには、お集まりいただくことはいたしません。
 またNHKホールが工事のため使用できませんので、放送センター内のスタジオでの開催となります。
 なお、式典の模様は、本部向けには共聴配信、地域放送局向けにはCS配信、在宅勤務者および関連団体向けにはTeams配信を行う予定です。
 新型コロナウイルスの感染拡大の状況によっては、今後、変更の可能性もございます。重大な変更が生じた際には、あらためて経営委員の皆さまへご報告するなど、必要な対応をさせていただきます。報告は以上です。

 

<中田専務理事 退室>

 

 

 (3) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (4) 2020年度第3四半期業務報告(データ更新版)(資料)

 (森下委員長)
 報告事項(3)(4)について、特段の質問等がなければ、資料の確認のみで、報告に代えさせていただきます。

 

 

 (森下委員長)
 本日の経営委員会が最後の出席となります佐藤委員から、ご退任にあたり、ごあいさつをお願いします。
 (佐藤委員)
 6年間、経営委員そして監査委員を務めさせていただいて本当にありがとうございました。
 公共放送NHKの経営委員とはどういうことかということをいつも考えながら参加させていただいて、大変よい勉強、よい経験をさせていただいたと思っています。
 その間に3人の会長、3人の経営委員長のリーダーシップを近くで見せていただいて、学ぶところもたくさんありました。今はまた前田会長が、新しいNHKらしさということで、馬車馬のようにおそらくやってくださっているのではないかなと思います。
 実は少し心配もしていまして、前田会長が外部から来られて今までの経営手腕で引っ張っていかれるので、みんながついていけるのだろうかと、そういう意味では少し心配もしていましたが、今、盛んに職員の方との意見交換会をしてくださっているようで、それはとても大事なことなのではないかなと思います。いくらよいビジョンがあっても職員の腹に落ちないと、NHKのような大きな組織はなかなか動かないだろうと思っています。お忙しい中で、きっちり意見交換の時間を取ってくださっているというのが、私はこれからのNHKのために大変なことではないかと思っています。そういう意味では、これからのNHKに対する期待が大きくなっており、スリムで強靭で、かつすばらしく公共放送として価値の高い組織に、ますますなっていくのではないかと期待する中で仕事が終わって、よかったと思います。本当にありがとうございました。

 

<前田会長 退室、角理事 入室>

 

 

10 説明会

 (1) 大阪拠点放送局 本部代替機能・西日本BCPの強化

 執行部から「大阪拠点放送局 本部代替機能・西日本BCPの強化」について説明を受けた。

 

<角理事 退室>

 

 

11 今後の経営委員会運営について

 (森下委員長)
 今後の経営委員会運営についてです。この場では、前回事務局から説明がありましたNHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申について皆さまのご意見を伺いたいと思います。
 まずは事務局から説明させます。
 (事務局)
 情報公開・個人情報保護審議委員会に出しました「経営委員会見解」の再確認をします。
 1点目は、放送法第41条に基づいて定めた内規では、「一部を非公表にすること」を規定しており、「毎回の議事録の公表にあたっては、全ての出席者が内容を確認したうえ、改めて経営委員会で正式な文書として決定し、ホームページに掲載する手続きをとって」いるとしています。
 2点目ですが、情報公開・個人情報保護審議委員会がインカメラ審議で閲覧した粗起こしの資料は、「非公表を前提とした経営委員会での審議・検討に関する内容であり、公表する形に整理・精査されたものでなく、議事の経過を記録した粗起こしの状態のもの」であるとしています。
 3点目です。再検討の求めの文書は、「いずれも非公表を前提とした経営委員会での審議・検討に関する内容であって、既に議論は終了しているものの、公表しないことを前提として発言された意見を公表することは、非公表の前提を覆すことになり、当時の経営委員会への出席者の信頼関係を損なううえ、今後の議論・検討にあたり、自由な意見交換、および多様な意見の表明を行うことの大きな妨げとなるおそれ」が考えられること、「さらにまた、再検討の求めの文書は、NHKの経営委員会の審議、検討または協議に関する情報であって、開示することにより、その審議、検討または協議が円滑に行われることを阻害するおそれがあり」、「これらは規定第8条1項1号及び2号に該当するため、いずれも開示することができません」としています。
 (森下委員長)
 答申では、インカメラ審議で見せたものが対象であり、そのほかは対象ではないと指摘されています。私どもとして説明用に作った資料は単なる資料という位置づけとなっており、われわれがこれからどう考えるかという点になります。
 また、われわれはルールに従ってやっていますが、内容によって非公表、公表を個々に決めなければならないのではないかと言われています。
 いろいろ意見の相違の部分があると思いますが、公共放送としてNHKは独自の情報公開制度を設定しており、情報公開の精神を生かすべきではないかとも指摘されています。
 非公表を前提にやってきた過去のものを今さら出すわけにいかないという従来のスタンスがあります。一方、説明責任を果たすために内容はきちんと説明しましょうということでしたが、今回の指摘を受けて、情報公開制度という面から見たときにどうなのか、もう一度皆さまと議論をしたいということです。
 皆さまから意見があれば、まず自由に出していただければと思います。

 (佐藤委員)

 今回の情報公開・個人情報保護審議委員会の答申をじっくり読んで、非常に納得できるところがありました。外から見たときにどう思われるかは、NHKの経営委員としては非常に大事なところだと思います。その点で、ご指摘があった部分は納得ができるし、私は前から公開したほうがよいのではないかと思っていましたが、それをしっかり裏づけている感じもしました。私は次回からいなくなりますが、ここでまた公開しない、ノーという選択は非常にハードルが高いと思います。やはり会長に対して注意をするということは、基本的にはオープンにすべき情報であったということもあると思うので、それも鑑みて、公開したらよいのではないかと思います。

 (森下委員長)
 答申で指摘されたことについて、しっかりともう一度議論をしていきたいと思います。そのほかございますか。

 (長谷川委員)

 私自身は、何一つ恥ずべきところのない決定だったと考えています。会長に注意といいますが、会長自身に注意したというよりも、きちんとした地位のある職員が非常に的外れな答えを外に向けて出したことから、会長がしっかりコントロールを利かせてくださいという以上でも以下でもなかったと私自身は当時も今も考えています。
 ただ、経営委員会で番組について議論が行われた、放送法違反だといった攻撃の的になりかねない。さらに、もともとこれがきちんと精査され、本人の修正を受けたものではないということも含めて、これを全部そのまま公表するのはまずいと判断したわけで、私は、その判断自体は正しいと思います。
 もしも、これを当時の出席者の了承を取って公開するようなことになった場合には、ただ「公表しないといけないと言われたら出します」ではなく、「われわれは、ここでこういう議論をして、こういう筋道にのっとって、こういう注意をした。そこで行われた放送や番組に関する議論は、あくまでもバックグラウンドを知るための説明会であり、それ以上でもそれ以下でもない。われわれとしては、何一つ恥ずべきことはない」という説明をつけたうえで出すべきではないか。もしわれわれが公開するという判断をした場合には絶対それが必要ではないかと考えます。

 (森下委員長)

 今までの国会の議論でも中身の話はしています。私どもとしては、内規で決めている基準に従って非公表にしたのであり、過去のもので今さらそれをやると、もう非公表の議論そのものが成り立たなくなってしまう。だから過去のものについては難しいのではないかというのがわれわれのスタンスでした。
 会長を注意したことが本来非公表で扱うべき案件だったのかどうかについては、もう少し配慮すべきだったということで、議事録に追加しました。そういった意味では、われわれ自身も反省するところはありますが、非公表のものはちゃんと基準をつくって非公表にしてきており、後から言われても、それは難しいのではないか。一方で、中身については説明責任があるので、それはきちんと説明するようにしましょうというのが今までのスタンスでした。

 (佐藤委員)

 それ自体が違うのではないかというのが今回の指摘です。非公表にすると決めたからといって、そのまま非公表が通るものではないと指摘されています。NHKは公共的な制度の中にあるので、自分たちが決めた内規がすべてではないということを言っています。
 もう一つ気になったのは、受け手である上田前会長は、長谷川委員が言われたようには受け取っていないことです。「非常に重要なことだ」とはっきり言っているわけです。経営委員会としてはそうだったとしても、受け手がそう思っていない。やはり相手があることであり、もっと言えば国民や視聴者がこれからこれを見るということなので、自分たちの正当性だけを言うのはあまりよくないと思います。

 (森下委員長)

 非公表は内規に基づくものだからと言い出すと、すべてを出さざるを得なくなる。

 (佐藤委員)

 答申では、ものによりますと書いてあります。NHK情報公開・個人情報保護審議委員会を信頼するかどうかという話だと思います。NHKとしてお願いしている情報公開・個人情報保護審議委員会が出した答申を、どう評価するかということにも関わってくるのではないでしょうか。

 (森下委員長)

 NHK情報公開規程第21条に、答申を尊重し公表・非公表を決めると書いてあり、きちんと答申は尊重しているわけです。

 (長谷川委員)

 佐藤委員が言われたことは、上田前会長は、注意は非常に重いことだと受け取っていた、あるいは、少なくとも世の中では非常に重大な決定をしたと考えられているというところを非常にしっかり見なければいけないのではないかということでした。
 まさにそういうふうに世の中全体に受け取られているということであればこそ、われわれは、もう一回、「あれはそういう趣旨のものではありません」ということをしっかり言っておくことも、もし公開する場合は必要ではなかろうかという意見を言ったつもりです。

 (高橋委員)

 議論の中では、例の「クローズアップ現代+」などについて、「われわれは関与するのではありません」ということを、まず確認しているわけです。
 中身については、少なくとも説明責任があるから出したという流れですが、「それはもうよい」という判断になるのか。そうなったときには、なぜ判断を変えたのか、なぜ前回は断ったのに今回は出したのかという理屈もわれわれは必要になります。したがって、すごく難しい問題です。出しても何の問題もありませんが、われわれが置かれていた状況はそうではありません。それで、あのような形で出しているわけです。ただ今回、それをどうしますか、ということです。

 (佐藤委員)

 それはそれとして審議委員会の答申があります。

 (高橋委員)

 出すのか、出さないのか。出しても何ら恥ずかしくはありませんが、そのとおり通るはずがないというのが当時の議論でした。私は、これが間違いだったというなら、どう判断するかということだと思いますが、今回2度目の答申が出てきたときに、NHK全体として、執行部と経営委員会が同じように断れますかというのは、当然、これからしっかりと考えなければいけない。ただ考えるけれども、前回われわれが断ったのに、なぜ今回は出したのか。出し方によっては、それだけで厳しい指摘を受けるわけです。したがって、皆さまのお知恵を拝借したいと委員長は言っているのだと思います。

 (森下委員長)
 本件については、引き続き慎重に議論を続けてまいります。本日の経営委員会はここで散会とします。

 

 

 森下委員長が散会を宣言。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2021年7月20日    

森 下 俊 三

 

 

高 橋 正 美