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第1355回
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2020年6月26日(金)公表
※5 意見交換(1)今後の経営委員会運営について は2020年8月28日(金)公表

日本放送協会第1355回経営委員会議事録
(2020年6月9日開催分)

第1355回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1355回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2020年6月9日(火)午後1時30分から午後4時40分まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 槍 田 松 瑩
    佐 藤 友美子   堰 八 義 博 高 橋 正 美
    長谷川 三千子   水 尾 衣 里 渡 邊 博 美  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  前 田 会 長 松 坂 専務理事 田 中 理 事

 

 

<場   所>
○放送センター  21階役員会議室

 

<議   題>

 

1 議事録確認

 

2 議決事項

 (1) 川口施設(仮称)の基本計画について(資料)

 

3 報告事項

 (1) 令和元年度決算報告(資料)

 (2) 令和元年度年金基金の状況

 (3) 令和元年度業務報告書の構成および今後のスケジュールについて(資料)

 

4 集中討議

 (1) 新型コロナウイルス発生後の経営環境と次期経営計画のコンセプト

 (2) NHKグループ経営について

 

5 意見交換

 (1) 今後の経営委員会運営について

 

 

<議事経過>

 

<経営委員、会長、専務理事、理事 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 (森下委員長)
 緊急事態宣言が全国的に解除された状況になり、本日から皆さまには放送センターにお集まりいただき、経営委員会を開催します。なお、皆さまにはマスクを着用のうえ、座席の間隔をとって出席いただいています。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

 

1 議事録確認

 第1354回(2020年5月26日開催)の議事録を承認し、所定の手続きを経て、2020年6月12日に公表することを決定した。

 

 

2 議決事項

 (1) 川口施設(仮称)の基本計画について(資料)

 (田中理事)
 埼玉県川口市の「さいたま新産業拠点SKIPシティ」に整備する、川口施設(仮称)の整備方針を含む基本計画についてご説明します。
 1ページ、施設の「1.整備方針」です。SKIPシティのB街区に4K収録制作に対応する大型スタジオなどを整備します。この施設は、渋谷の放送センターの建て替えに伴って既存の大型スタジオが解体される2027年ごろから、新しいスタジオが入る制作事務棟(前期)が完成する2031年ごろまでの間、不足する大型スタジオの代替機能を確保する役割を担います。恒久的な施設として整備する川口施設(仮称)を新しい放送センターと一体として、効率的・効果的にNHKの番組制作体制を確保したいと考えています。また、NHKのラジオ放送所の跡地であったSKIPシティにNHKが所有する未利用地を有効に活用し、NHKの放送機能の地域への展開という重要な役割も担う施設とします。
 次に、これまでの「2.経緯」です。放送センターの建て替え期間中に番組を制作し続ける「事業継続」のための代替機能の確保、NHKの放送機能の地域への展開を期待する声、また、埼玉県、川口市からは「最先端の映像制作拠点の整備」への要望もありました。2018年12月には、NHKと埼玉県、川口市の三者がそれぞれ所有する土地を交換することで合意しました。施設整備に適したB街区での整備に道筋がついたことから、施設の機能や規模について検討を進めてきたものです。
 「3.施設概要」です。フロア面積が約820平米の大型スタジオを4つ整備します。いずれも4K収録に対応する施設として整備し、ドラマ番組や音楽番組など多様な番組を制作します。このうちの1つは公開番組やイベントにも対応可能なスタジオとします。あわせて、効果音の収録室、映像編集室、音声編集室などの番組制作設備、大道具倉庫や美術倉庫なども整備します。どのような番組を制作するかについては、今後の番組編成を踏まえながら検討します。
 2ページ、建物や敷地の概要です。敷地面積は約2万2,000平米、建物は地上4階、地下1階で、延べ床面積は約3万500平米の予定です。現時点での想定費用は建物の建設費が約214億円、放送設備費が約92億円です。
 NHKでは「大河ドラマ」、「朝の連続テレビ小説」、「ドラマ10」といったドラマ番組を制作するために、NHKのスタジオのほかに3つの外部スタジオを年間契約で借用しています。今回、川口施設(仮称)に3つのドラマスタジオを整備し、新しい放送センターに3つのドラマスタジオが完成すれば、放送センターと川口施設(仮称)を一体で活用し6つのスタジオを自前で確保でき、ドラマ番組の制作を効率的、効果的に実施していく体制が整います。これによって、外部スタジオの借用は解消できます。川口施設(仮称)にスタジオを恒久的な形で整備すれば、この費用を見直すことが可能となり、中長期の視点から川口施設(仮称)の整備は合理性があると考えています。
 施設の用地は、埼玉県がB街区に所有する土地を一度川口市が取得したうえで、2022年度に川口市のB街区の土地とあわせて、NHKが所有するC街区の土地と交換して取得する予定です。
 今後のスケジュールです。設計業者選定の準備作業に入り、今年度から来年度にかけて基本設計、実施設計を行い、2022年度に用地を取得した後に着工して、2025年度に建物の完成を予定しています。その後、放送設備の整備を行い、渋谷の放送センターの大型スタジオのある東館の解体が始まる前、2026年度に運用を開始する予定です。説明は以上です。

 (堰八委員)

 特に大河ドラマ等の制作で、川口施設(仮称)を有効利用し、3つの大型スタジオをつくる話は、今初めてお聞きしたと思います。川口施設(仮称)で代替すると、約300億円の投資になります。資金計画については、どのように見ていますか。

 (田中理事)

 放送センターの建て替え期間中には、放送センターにあるドラマスタジオがなくなります。その間は川口施設(仮称)に整備するドラマスタジオと外部の借用スタジオを引き続き使用して、業務確保していく形になると思います。新放送センターのスタジオの整備が完了すると川口施設(仮称)と新放送センターの設備をあわせて、自前でドラマ番組を制作することが可能になります。経費については、基本的には減価償却費で手当てすることで対処したいと建設投資については考えています。

 (堰八委員)

 当初から、このような計画だったのですか。

 (田中理事)

 現在の放送センターの東館には大きなスタジオが集中しており、これを一度取り壊して、現在地で制作事務棟を新築します。制作事務棟に新しいドラマスタジオができるまでの間は、川口施設(仮称)の3つのスタジオと外部のスタジオを使用して、業務を確保する形で検討を進めています。

 (森下委員長)

 土地の取得は2022年度を予定していますが、埼玉県や川口市との間で、土地交換の契約は済んでいますか。

 (田中理事)

 基本合意はできています。先ほど説明しましたように、埼玉県が所有する土地を川口市が一度取得したうえで、NHKが所有する土地と交換する手続きを取ります。

 (井伊委員)

 新型コロナウイルスの問題が出てきて、働き方もいろいろ変わってきたと思いますが、川口施設(仮称)の基本計画に変更が生じましたか。

 (田中理事)

 新型コロナウイルス感染拡大の中でリモートドラマの制作などいろいろな工夫をしていますが、どのような形で演出をしていくのか、引き続き現場でも検討しています。ただ、いずれの形でも、出演者の皆さまに演じていただく空間を用意することが必要です。大きなスタジオを確保することで、さまざまな対応がより効率的にできるようになると考えています。800平米を超えるスタジオを4つ用意することで収録の効率性やさまざまな対応が可能になりますが、必ずしも新型コロナウイルスがあったから変えたのではなく、当初の設計として効率的、効果的に制作できる大型のスタジオを用意することが合理的であるという観点から検討していました。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

3 報告事項

 (1) 令和元年度決算報告(資料)

 (田中理事)
 「令和元年度決算報告」について、まず、単体決算からご説明します。
 1ページ、一般勘定・事業収支の決算について、まず、予算との比較でご説明します。事業収入は7,384億円で、受信料の増収等により予算に対して136億円の増収となりました。事業支出は7,163億円で、国内放送の充実等に取り組む一方、効率的な事業運営や新型コロナウイルスの影響等により114億円の予算残です。以上により、事業収支差金は220億円となり、予算に対して250億円改善しました。この事業収支差金の220億円については、全額を翌年度以降の財政安定のための財源として繰り越します。続いて、平成30年度決算との比較です。事業収入は平成30年度に対して、51億円の増です。このうち受信料は還元等に伴い、6億円減収の7,115億円です。事業支出は番組・コンテンツの充実等により、102億円増加しました。以上により、事業収支差金は前年度から50億円の減となりました。
 2ページ、一般勘定の決算状況についてです。前年度決算との比較で科目別に示しています。事業収入では受信料が前年度より6億円の減収となったものの、特別収入が22億円の増、前々年度以前の受信料等の雑収入が18億円の増となっています。事業支出では国内放送費が67億円の増、減価償却費が33億円の増となっています。
 3ページ、予算との比較です。予算額は、予算総則を適用した後の最終予算案です。
 上段は、事業収支決算表です。事業収入は受信料の増および雑収入の増等により、136億円の増収です。事業支出については各費目ともおおむね予算の範囲内で、適切に実施しています。効率的な番組制作等による国内・国際放送費の残や効率的な業務運営による給与の残、予備費の未使用等により、114億円の予算残となっています。予算に対して支出が超過した科目については、予算総則第4条の適用により他の科目から予算を流用することで対応します。
 中段は、資本収支の決算表です。資本収入は前期繰越金受入れの減等により、67億円の減収です。資本支出は建設費の残等により、37億円の予算残です。なお、予算総則第5条の適用により、建設費の繰り越しを行います。これは、理事会の審議を経て適用します。資本収支差金は予算の30億円に対し、過不足なしとなっています。
 下段は、建設積立資産および財政安定のための繰越金の状況です。建設積立資産については、放送センター建て替え基本設計の実施に伴い、13億円を取り崩しました。財政安定のための繰越金は、平成30年度末の1,161億円に対し101億円を取り崩して建設費等に充当した一方、事業収支差金の220億円を繰り入れ、令和元年度末の残高は1,280億円となりました。
 4ページ、一般勘定の比較貸借対照表です。令和元年度末の資産総額は有形固定資産の増などにより、前年度から224億円増加し、1兆2,230億円となりました。自己資本比率は65.1%です。
 6ページ、受信料の状況についてです。視聴者への還元策を実施するとともに営業改革を推進し、支払率向上に全局体制で取り組んだ結果、前年度より6億円の減収となったものの、予算に対しては83億円の増収となりました。中段には、受信契約件数の増減をまとめています。支払率は83%、衛星契約割合は53%となりました。
 7ページの上段は、国内放送費の状況についてです。新型コロナウイルスの影響については、番組休止等により30億円の支出減となっています。下段は、国際放送費の状況についてです。
 8ページ、インターネット活用業務にかかる経費についてまとめています。令和元年度の決算額は145億円となり、ニュース・災害情報発信の強化、地上テレビ常時同時配信・見逃し番組配信「NHKプラス」の実施等により、前年度より6億円増加しました。なお、この金額は令和元年度の受信料収入の2.0%に相当します。右下には、ことし2年3月から試行的に実施した「NHKプラス」に係る物件費と内訳について、試算値を記載しています。
 9ページ、営業経費についてです。令和元年度の営業経費は平成30年度より、13億円減の759億円です。営業経費率は10.6%で、前年度より0.2ポイント低下しました。
 10ページ、放送番組等有料配信業務勘定の決算について、NHKオンデマンド等の勘定のことですが、3月から「NHKプラス」を試行開始したことに伴い、NHKオンデマンドのサービスの変更も行っています。前年度決算との比較では事業収入は24億円で、視聴料収入の増加により前年度と比べて2億円の増収となりました。事業支出は21億円で会員数の増加に伴う配信経費の増等により、2億円の増となりました。事業収支差金は3億円の黒字です。予算との比較では事業収支差金は3億円となり、予算に対して3億円改善しました。
 11ページ、比較貸借対照表に示しているとおり、令和元年度末の繰越欠損金は前年度から3億円改善の67億円となっています。
 12ページ、13ページは、「一般勘定」に「放送番組等有料配信業務勘定」と「受託業務等勘定」を合算した協会全体の決算の状況を記載しています。単体決算についての説明は以上です。
 続いて、連結決算について、ご説明します。
 14ページ、連結の範囲は連結子会社12社、持分法適用会社1社の合計13社で、昨年4月1日に株式会社NHKメディアテクノロジーと株式会社NHKアイテックが合併したことにより、前年度から1社減少しました。中段の損益の状況をご説明します。令和元年度の経常事業収入は子会社の受注工事の減等により、前年度に比べ47億円減の7,963億円です。経常事業支出は番組の充実等により、67億円増の7,785億円。この結果、経常事業収支差金は115億円減の177億円、当期事業収支差金は76億円減の227億円で減収減益となっています。下段は経常事業収入の内訳を示したものです。令和元年度決算報告についての説明は以上です。報告は以上です。

 (村田代行)

 営業経費が0.2ポイントほど下がっていますが、長いスパンでも微減が続いているのですか。

 (田中理事)

 9ページの「営業経費と営業経費率の推移」をご覧ください。令和元年度末は訪問等の対面での営業活動ができなかったことも影響しています。本来であれば、公平負担徹底ということでお客様とさまざまなコンタクトを取る時期に活動できませんでした。その結果、委託先への手数料のお支払いなどの経費が減ったこともあります。そのような数字として、受け止めていただければと思います。

 (森下委員長)

 当初計画では受信料の値下げ等もあり、事業収支差金はマイナス30億円の計画でしたが、皆さまがいろいろな努力をして、決算額はプラス220億円となりました。大きな要因はどのようなところにありますか。

 (田中理事)

 全体では、受信料の還元等で134億円の影響が出ましたが、収入確保に努めたことと、事業支出のうち国内放送費では新型コロナウイルスの影響が30億円ぐらいと申し上げましたが、国内放送費や国際放送費で番組制作経費の支出が行われなかったこともあります。また、給与では働き方改革等で、効率的な業務運営を行うことで抑制ができた部分があります。予備費についても大規模な自然災害に対する手当てを必要としなかったこともあります。そのような理由で事業収支差金の改善が行われたと受け止めています。

 (森下委員長)

 値下げ等の影響は今年度も大きく出る予定ですが、番組が制作できていない状況も続いています。見通しはいかがですか。

 (田中理事)

 収入確保の面では緊急事態宣言が発出されて以降、営業活動ができない状況が続いています。さまざまな困難な状況の中でお客様との関係をどのようにつくるか、工夫しながらやっていますが、営業業績に影響はかなりあると考えています。番組制作では直接取材に行かずに、例えば、リモート形式で取材をしたり、過去の番組やアーカイブスに付加価値をつけて放送したり、工夫をしながらお客様の期待に応えるようにしています。ただ、全体ではまだ収支のトレンドを読める状況ではなく、引き続き注視していきたいと思います。

 (堰八委員)

 受信料の減収に関して、消費増税2%分については実質値下げと言っていますが、対前年比ではニュートラルだと思います。学生向けや一部の公共施設に対する今年度の負担軽減策による減収額に関して、3月までの予測と実績を教えていただけますか。

 (田中理事)

 6ページの「受信料等の推移」をご覧ください。値下げの影響が67億円、4つの負担軽減策の影響が67億円で、あわせて134億円の影響があったと整理しています。

 (堰八委員)

 当初の見立てはどうでしたか。

 (田中理事)

 予算では139億円でした。

 (森下委員長)

 それでは、経営委員会としてのコメントを私から申し上げます。ただいま決算の報告をいただきましたが、大変評価できる決算だと思います。令和元年度の予算は、実質2%の値下げや4つの負担軽減策をすべて実施する影響により赤字を見込んでいましたが、黒字に改善できたことは、営業部門をはじめとする皆さまの努力のたまものです。令和元年度の活動、本当にお疲れさまでした。

 

 (2) 令和元年度年金基金の状況

 (田中理事)
 令和元年度の年金基金の状況についてご説明します。
 平成30年度末の時価総額3,960億円から、令和元年度の基金繰入が188.2億円のマイナスとなり、令和元年度末は3,771.8億円となりました。

 

 (3) 令和元年度業務報告書の構成および今後のスケジュールについて(資料)

 (松坂専務理事)
 令和元年度業務報告書の構成および今後のスケジュールについて、ご説明します。
 この業務報告書は放送法第72条に基づき、毎年度の事業の実施結果についてとりまとめるものです。NHKの業務の概要を対外的に明らかにする唯一の公式文書、法定の文書であり、放送法第29条で経営委員会の議決事項の1つとされています。事業年度経過後3か月以内つまり6月末までに、監査委員会の意見書を添付して、総務大臣に提出しなければならないことになっています。総務大臣への提出後は大臣が意見を付し、内閣を経由して財務諸表とともに国会に報告されることになっています。したがって、この業務報告書は総務大臣に提出しますが、国会提出資料としての性質を持っています。業務報告書は放送法で規定された業務について、その年度内に発生したその執行に関する事実をNHK自身の主観的な評価を加えることなく、正確に書き留めるべきものです。その点を踏まえて、現在編集作業を進めています。編集にあたっては記載事項に過不足のないよう留意しつつ、簡潔な記述に努めています。業務報告書に記載する事項は、放送法施行規則に定められています。
 今回の構成案の概略を別紙に示しています。第1章は事業の概況を記すもので、令和元年度の特記事項とともに、第2章以降の各章の要約を記載することとしています。第2章は放送番組についての概況、第3章は放送番組に関する調査研究、第4章は営業活動の諸施策や受信契約等についての章です。第5章は視聴者からのご意見への対応、広報・イベントなど視聴者関係の業務についてです。第6章は放送設備の整備・運用、第7章は放送技術の研究について、それぞれ記述します。第8章には経営委員会、監査委員会、執行部の構成や活動状況、組織・職員の状況について記述します。第9章で財政の状況、第10章で子会社等の概要、第11章にはその他の事項を記述します。本編の記述以外に年間の放送時間数、受信契約件数、子会社の状況など52点の資料を添付する予定です。
 今後のスケジュールとしては引き続き編集作業を進め、業務報告書の案について、6月23日の経営委員会にご提案する予定です。経営委員会で議決をいただけましたら、すみやかに財務諸表とともに総務大臣に提出し、公表します。ご説明は以上です。

 (森下委員長)

 従来からの変更点はありますか。

 (松坂専務理事)

 NHKプラスの試行や新型コロナウイルスへの対応についても記載しています。

 

<会長、理事 退室>

 

 

4 集中討議

 (1) 新型コロナウイルス発生後の経営環境と次期経営計画のコンセプト

 2021年度からの中期経営計画についての集中討議として、執行部から説明を受けた「新型コロナウイルス発生後の経営環境と次期経営計画のコンセプト」の内容を踏まえ、意見交換を行った。

 

 (2) NHKグループ経営について

 2021年度からの中期経営計画についての集中討議として、執行部から説明を受けた「NHKグループ経営について」の内容を踏まえ、意見交換を行った。

 

<専務理事 退室>

 

 この後、2021年度からの中期経営計画に関する意見募集の方法について、意見交換を行った。

 

 

5 意見交換

 (1) 今後の経営委員会運営について

 (森下委員長)
 前回の経営委員会で皆さまにご連絡したとおり、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会による再検討の求めに関して、「開示が妥当」との答申が出されました。一方で、経営委員会としては、もともとこの内容は非公表を前提として行った意見交換であることから公表すべきではないとの結論となっており、国会等でも説明を尽くしています。
 今回、情報公開の仕組みについて、改めて事務局から説明していただき、そのうえで皆さまと議論をして、対応を検討してまいりたいと思います。

 (事務局)
 情報公開の「再検討の求め」に対し、先月、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会から答申が出されました。
 本日は、答申を受けた対応について議論していただくこととなりますが、それに先立ち、情報公開制度の概要について説明します。
 まず、国の情報公開法制については、目的として、国民主権の理念にのっとり、行政文書・法人文書の開示を請求する権利につき定めること等により、政府・独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることで、法律としては、対象機関ごとに、行政機関情報公開法と、独立行政法人等情報公開法が定められています。
 行政機関情報公開法では、省庁や内閣などが対象となり、独立行政法人等情報公開法では、独立行政法人や特殊法人が対象となります。
 NHKは「政府の活動として放送を行っている法人ではない」という理由から、情報公開法の対象とはなっていません。独立行政法人等情報公開法の対象法人の一覧にNHKは入っていません。
 ただし、受信料によって運営されている公共放送であることから、事業活動や財務内容などについてみずから視聴者に説明する責任があると考え、視聴者一人ひとりの求めに応じて、NHKが保有している文書を開示する情報公開の取り組みに努めているところです。
 NHKの情報公開制度は、NHK情報公開基準、NHK情報公開規程に基づき、2001年7月から、NHKの自主的な取り組みとして行われています。視聴者は「開示の求め」の請求を行い、回答内容を不服とする場合は、「再検討の求め」の請求を行うことができます。
 有識者によるNHK情報公開・個人情報保護審議委員会が設置されており、委員は経営委員会の同意を受けて、会長が委嘱しています。
 「再検討の求め」の請求があった場合は、NHK情報公開規程の第21条により、NHKの見解を付して審議委員会に意見を求め、その意見を尊重して、開示・不開示等の判断を行うこととなります。

 (森下委員長)
 審議委員会の答申に対して、NHK情報公開規程の第21条に基づいて、開示とするか不開示とするか議論したいと思います。最終的に「再検討の求め」の対応終了後に、議事録を公表することにしたいと思います。
 まず、皆さまのご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

 (佐藤委員)

 この答申は会長宛てに来ていますが、会長はどのような意思を持っていらっしゃるのか、分かれば教えていただきたい。

 (森下委員長)

 会長宛てではなくてNHK宛てに来たもので、NHKの代表者が会長ということです。判断は経営委員会として行います。

 (村田代行)

 われわれの選択としては、開示・不開示の間に一部開示もあり得るわけですね。

 (長谷川委員)

 出来事の経緯が分かりやすい部分だけをピックアップして、ここが一連の出来事のポイントですという形で開示することは可能なわけです。

 (森下委員長)

 考え方としては、議事録全体を出せないのかということがまずあります。ここだけを出すというのは、なぜそうなるかの説明も必要です。

 (長谷川委員)

 いわゆる法律論ということだけではなく、新聞などで取り上げるときに、読者が読んで、何だこんな話だったのかと分かるような形でわれわれから答えを出すことが大切とも言えます。
 当時、郵政側から来た手紙をそのまま出せないということがあったわけですが、もうどのような手紙が来たのかということも、多くの人が知る事実になっている。要するに、ディレクターで地位のある人がこんな発言をしていた。これはガバナンスとして問題があるのではないか、ということがわれわれのディスカッションのポイントであって、それ以外のことは言ってみれば参考の話にすぎない。やはりこれはよくないという結論になって注意をした。その部分だけを分かりやすく切り取って開示するということは、今のこのような経緯からはよくないのでしょうか。

 (森下委員長)

 どこの部分を開示するかは難しいです。われわれが今までどうしてきたかと言うと、非公表として議論しているので、議事録は出せません。過去のものを今になって出すわけにいきません。その代わりに議事の経過が分かるものをということで出したわけです。ですから、それを見ていただくと、議事の経過を理解していただけると思います。

 (長谷川委員)

 議事経過を出すことは、全然構わないわけですね。

 (村田代行)

 公表していますので。

 (森下委員長)

 それは構わない。確かに、議事録の一部を出すという考えもある。でも、どこからどこまでを出して、どこは出さないかという切り方がまた難しいのではないでしょうか。
 なぜ会長を注意するのかはいろいろありましたが、会長を注意したときにどのような考えでどのような注意をしたか、そこについてだけを出すという案はあります。

 (長谷川委員)

 今回の注意のポイントはそれに尽きるわけで、それ以外のどのような議論があったかは、本当にバックグラウンドの話にすぎません。

 (森下委員長)

 開示するということは、今まで非公表の前提で議論していたものを出すという前例をつくってしまうことになるわけです。

 (長谷川委員)

 途中で変えてはいけない。

 (森下委員長)

 今までは、議事録を出す代わりに議事経過を出しますので、議事録を読まなくてもこれを見たら分かっていただけるでしょうという考えでした。
 議事録は非公表を前提にしたので、後になってひっくり返すというのは、今後を考えると自由な意見交換ができないということが起きてきます。

 (長谷川委員)

 それはそれとして、もう一つ、後々まで禍根を残さないための大事な原則ということもあります。

 (森下委員長)

 さっき長谷川委員がおっしゃった中で、この議論のポイントがなぜ会長を注意したのかということであれば、その注意したところだけを出すと。いろいろ議論があった部分は非公表前提の議論なので出せないけれど、最後の会長を注意したところは、われわれとしてはきちんと公表しているので、そこだけを出すという発想は案としてあります。

 (長谷川委員)

 それはあり得るのではないかと、個人的に思います。

 (佐藤委員)

 問題なのは、審議委員会の答申では、そもそもNHKの経営委員はもっと情報公開したほうがよいのではないか、非公表にすべきではなかったのではないかといったニュアンスが読めることです。結局、非公表での議論が否定されてしまっていると見たほうがよいのではないかと思います。

 (森下委員長)

 しかし、それを言い出したら非公表の議論は一切できません。非公表ということで議論している限り、どこまで公表するかはなかなか難しい。
 われわれは放送法の第41条に基づいて議事録をつくり、経営委員会で非公表にするところをきちんと決めなさいということで、決めて行っているわけです。

 (佐藤委員)

 私は、会長を注意したところだけでなく、会長がいらっしゃったところは、公共的な立場、空間だと思います。経営委員だけの場ではないということで、そこは公表してよいと思います。

 (森下委員長)

 長谷川委員は、注意のところだけ公表するという意見ですか。

 (長谷川委員)

 それよりも、なぜここだけを出すのか、どこをピックアップするのか。

 (佐藤委員)

 会長がいらっしゃるところを出すことにしたら分かりやすいのではないですか。

 (長谷川委員)

 われわれは、会長に注意を出すという、かなり大きな意味のある行為をしたわけです。その行為に関連した議事、関連した議論は出しましょう。

 (佐藤委員)

 そうしたら、全部出すことになります。

 (長谷川委員)

 いや、それは向こうから手紙が来て、これはガバナンスに問題がありませんかという問いかけがあって、われわれはその問いかけに対して話をして、やはり問題があると結論づけたという、そのような決定だったと考えたらどうかと思います。

 (森下委員長)

 私がまず一番思うのは、どう切ったとしても、非公表を前提にしたものを一度出すと、もう今後は非公表の議論ができないということを覚悟しないといけないということです。そのときはこのような理由で非公表にしましたといっても、後から状況が変わって公表するようにと言われると、どうしようもなくなります。
 どこかで切るということでは、佐藤委員がおっしゃったのは1つの考えです。会長がいたところだけというのは考えとしてあるのかもしれない。しかし、どこで切るかはなかなか難しいです。
 私は、今までのスタンスでいくと、非公表を前提にしたものを今さらひっくり返すというのはよくないと思います。その代わりに議事の経過を説明しているので、議事録に代わるものとして出しましょうと。議事録に代わるもの、開示を求められている議事録の内容として、今まで出しているもので。非公表の議事録そのものは、私は出せないと思うのです。

 (長谷川委員)

 おっしゃることは、非常によく分かります。一つは、非公表と決めたものを後からひっくり返して出すということは禍根を残すので、これはしてはいけないという、大きな原則論。もう一つは、これがどのような判断だったのかと国民に分かりやすく説明するということ。これまで説明してきたような、このような手紙が来たから、われわれはガバナンスの問題として捉えて問題ありとしたと。議事録を出すということではなく、われわれが説明して概要を語るという格好で行う。その二つを組み合わせるというのが今のお考えであり、これまでやってきたことでもあります。

 (村田代行)

 長谷川先生のお話で言うなら、例えば、石原前委員長が口頭で上田前会長に対して注意された文言の部分だけを出すというのは、もしかすると一つの切り方かもしれません。

 (礒山委員)

 私は、非公表は非公表のままでやらないと、ずっと後追いが来ると思います。ですから、先ほど言われた中身のダイジェスト版を説明して、ある程度説明をするのがよいのではないかと思います。ただ皆さまの多数決で決まるのであれば、それで賛成です。

 (堰八委員)

 われわれがダイジェスト版を出したのは、新聞社がその後いろいろなことを書いたということがあったからです。その時点に遡ると、これは公表しないという前提で行ったことなので、それはやはり貫かないと、おっしゃるように前提を崩すことになり、みずから矛盾をきたすことになるのではないかと思います。

 (森下委員長)

 分かりました。次回、もう一度議論をさせていただきます。

 (長谷川委員)

 基本的には、私もその大原則はとても大事だと思います。あとは、どう皆さまに分かりやすく説明するか、工夫をするということだと思います。

 (森下委員長)

 次回、もう一度議論をさせていただいて決めたいと思います。今日はいくつか意見が出ましたので、次回6月23日に、再度議論したいと思います。

 

 

 森下委員長が散会を宣言。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2020年8月25日    

森 下 俊 三

 

 

高 橋 正 美