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第1343回
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2019年12月27日(金)公表
※2 その他事項(1)インターネット活用業務実施基準について は2020年1月17日(金)公表
※3 審議事項(1)令和2年度予算編成方針、同(2)2020年度(令和2年度)国内放送番組編集の基本計画について、同(3)2020年度(令和2年度)国際放送番組編集の基本計画について は2020年1月31日(金)公表

日本放送協会第1343回経営委員会議事録
(2019年12月10日開催分)

第1343回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1343回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2019年12月10日(火)午後1時から午後4時35分まで

 

<出  席  者>

〔経 営 委 員〕

  石 原  進 森 下 俊 三 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   佐 藤 友美子 堰 八 義 博
    高 橋 正 美   中 島 尚 正 長谷川 三千子
    村 田 晃 嗣   渡 邊 博 美  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  板 野 専務理事 児 野 専務理事・技師長 荒 木 専務理事
  松 原 理 事 黄 木 理 事 中 田 理 事
  鈴 木 理 事 松 坂 理 事 正 籬 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

○ 経営委員会の体制について

 

1 委員長報告

 

2 その他事項

 (1) インターネット活用業務実施基準について(資料1)(資料2)(資料3)

 

3 審議事項

 (1) 令和2年度予算編成方針(資料1)(資料2)

 (2) 2020年度(令和2年度)国内放送番組編集の基本計画について(資料)

 (3) 2020年度(令和2年度)国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 

4 報告事項

 (1) NHKエンタープライズとNHKプラネットの合併について(資料)

 (2) 「平成30年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について(資料1)(資料2)

 (3) 日本放送協会定款の一部変更の認可について(資料1)(資料2)

 (4) 2019年秋季交渉の結果について(資料)

 

○ 説明会「衛星放送の在り方について」

 

 

<議事経過>

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

 

○ 経営委員会体制について
 石原委員長の経営委員としての任期が12月10日までとなっていることに伴い、12月24日の経営委員会において、新たな経営委員長を互選することを決定した。また、12月11日から24日までの間は、森下代行を「経営委員長の職務を行う者」、「指名部会長の職務を行う者」とすることを決定した。

 

<会長、副会長、専務理事、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1341回(2019年11月26日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、2019年12月13日に公表することを決定した。

 

 

1 委員長報告

 (石原委員長)
 私が本日12月10日をもって退任することから、先ほど開いた経営委員による経営委員会において、新たな経営委員長の互選を次回12月24日の経営委員会で行うこととしました。あす11日以降、24日に委員長を決定するまでは森下代行に委員長の職務を行うものとして進行等を務めていただくことになりました。

 

 

2 その他事項

 (1) インターネット活用業務実施基準について(資料1)(資料2)(資料3)

 (石原委員長)
 前回の経営委員会で、総務省からの要請に対する回答について執行部から説明があり、経営委員会ではその内容について大筋で了承しました。その後、執行部が資料を取りまとめ、12月8日に総務省に提出したと伺っています。
 本日はその内容について、執行部より報告をいただきます。
 (荒木専務理事)
 10月15日に認可申請を行った「インターネット活用業務実施基準変更案」の「認可申請の取扱いに関する総務省の基本的考え方」についての検討要請を受けまして、11月26日の経営委員会では「回答の方向性・概要」をご説明し、大筋でご承認いただきました。これを踏まえまして、検討を重ね、12月8日に検討結果を取りまとめ、総務省に回答しました。その内容について報告します。では、資料の1ページをご覧ください。全体の「枠づけ」です。まず、検討結果は、2つに分けています。(1)は「総務省の基本的考え方」の前半部分、三位一体改革などについて言及している「協会の業務全体に関する総務省の基本的考え方」と「業務の実施に当たって留意すべき事項」についての検討結果。それから(2)は後半部分、改正放送法や「実施基準の認可に関するガイドライン」を踏まえて認可申請を行った「NHK案に対する総務省の基本的考え方」についての検討結果を記しています。
 そして、「総務省の基本的考え方」についての検討結果を記す前に、改めて、協会としてなぜ常時同時配信と見逃し番組配信を実施する必要があると考えているのかについて記しました。メディア環境の大きな変化の中にあって、信頼される「情報の社会的基盤」の役割を果たし続けていくためには、常時同時配信と見逃し番組配信の実施が必須であること。放送を太い幹としつつ、インターネットも適切に活用し、多様な伝送路で視聴者の皆さまに公共性の高い放送番組や情報などのコンテンツを「いつでも、どこでも」受け取っていただける環境を整え、視聴できる機会を拡大していくことが、公共メディアとしての存在意義にかかわる重要なミッションであること。インターネット活用業務を、放送を補完するサービスとして効率的・効果的に実施することで、受信料の価値を一層向上させていくことを明記しました。
 2ページをご覧ください。(1)として、「総務省の基本的考え方」の前半部分についての検討結果です。この中には経営委員会の権限、つまり議決事項にかかわる内容等も含まれておりますが、前回、大筋で了承いただいた範囲の中でのNHK全体としての検討結果の回答という趣旨をご了解いただきたいと思います。
 まず、「業務全体の見直し」についてです。①2020年度収支予算の策定にあたっては、値下げを実施した上で、既存業務を見直し、新規業務を効率的に実施することにより、現3か年経営計画の収支計画の赤字幅を削減する方向で真摯に検討しているとしました。「方向性・概要」から、若干の字句の修正はありますが、内容は基本的に変わっていません。②次期中期経営計画の初年度、2021年度以降、事業規模の見直しを加速させること。業務委託や施設・設備整備の在り方などを検証し、事業支出の削減を着実に進め、収支改善の取り組みを十分に反映させた計画とすることを目指すとしました。③4K・8K放送の普及段階を見据えた衛星放送の在り方については、視聴者保護の観点を堅持した上で、現在の4波を3波に整理・削減するとして、現時点での具体的な考え方を12月中に示すとしています。加えて、音声波の在り方について、非常災害時に果たす役割や民放の動向などを踏まえつつ、公共放送として求められる役割などを考慮し、引き続き検討することとしました。④関連団体の改革については、技術系子会社や制作系子会社の経営統合などの現状に触れた上で、引き続き、既存業務を見直すとともに、さらなる経営統合も視野に入れてグループ経営改革を推進することを次の経営計画に反映させることを目指すといたしました。
 続いて、「受信料の在り方の見直し」についてです。①受信料の値下げを確実かつ適切に実施し、支出の見直しを図ることにより、財政安定のための繰越金を適正な水準に管理していく考えは、「方向性・概要」から変更ありません。なお、繰越金の適正な水準についての補足を加えました。②「適正な受信料の在り方」については、中長期の事業計画や収支見通しを踏まえながら、引き続き検討するとしています。
 次に「ガバナンス改革」についてです。①監査委員会の強化やグループ経営に関する内部統制関係議決など、改正放送法を踏まえた対応を改正法施行日までに完了させること。②「グループガバナンス」については、近年着実に整備してきたグループ統制の仕組みを確実に運用し、さらに実効性を高める取り組みを強化すること、を記しました。③「業務委託」については、放送番組の質の確保や番組制作等のノウハウの維持発展の方針を堅持すると同時に、委託による費用の効率性や手続きの透明性を高めるためと、関連団体への番組制作委託の目的を明確にしたうえで、外部プロダクションなどを対象とした、番組企画競争を一定の目標を定めたうえで一層広げるなど、番組関係においても競争契約をさらに推進していくことを記しました。④「子会社の利益剰余金」については、「経営委員会による内部統制関係議決において利益剰余金の協会への還元の在り方の考え方を明らかにしたうえで関連団体運営基準に配当方針を明記し」という部分を加え、高率での通常配当、特例配当も含め、協会への還元を着実に実行するとしました。
 続いて、4ページ以降が(2)として後半部分、「NHK案に対する総務省の基本的に考え方」についての検討結果です。冒頭で2020年度のインターネット活用業務については、一時的に発生するオリンピック・パラリンピック東京大会の費用を除き、受信料収入の2.5%を費用の上限として実施するべく実施内容を再検討し、必要に応じて実施基準案を修正するとしました。そして、「既存業務をはじめ、想定される業務全てについて、聖域なく点検し費用を削減するが、社会的要請を踏まえて、『公益性の観点から積極的な実施が求められる業務』の中で、放送法上の努力義務に関する業務及び国際インターネット活用業務のうち、2020年度新規に行うものについて、円滑な実施を確保するため、予算執行上一定の配慮が可能となるような取扱いが必要と考える」としました。2.5%を費用の上限として実施するべく実施内容を再検討するものの、これとは別に上限を設けて抑制的に管理しつつ、実施したいとしていたもののうち、新規に行うものについては予算執行上、一定の配慮が可能となるような取り扱いが必要と明記することで、より柔軟な予算の執行を可能にすることが必要と考えたものであります。
 「地方向け放送番組の提供など、必要な業務であり、かつ直ちに実施することが費用の観点から難しい業務については、次期中期経営計画の中で具体化させる」という考えを記しました。「公益性の観点から積極的な実施が求められる業務」を含めて2.5%を費用の上限として実施するべく取り組むことで、「必要な業務」にも影響が出ざるを得ないことをうかがわせる表現としています。
 続いて、常時同時配信、受信料制度との関係についてです。
 ①では受信契約者の利用申し込みを促進するために、常時同時配信等の画面にメッセージを表示しない措置は、実施する場合は受信料制度を毀損しない範囲で抑制的に行うものと想定していましたが、「基本的考え方」を踏まえ、実施しないことといたしました。
 ②はオリンピック・パラリンピック東京大会の際のメッセージ非表示についてです。オリンピックについては民放とのコンソーシアムで、パラリンピックについてはNHKが単独で、配信権を含む放送権を独占的に取得していることを踏まえ、広く提供する責務があると考えることから、地上波で放送する競技とその関連番組に限定してメッセージを表示せず、同時配信を実施することとしたい、としています。
 次に、「放送法上の努力義務に関する業務」についてです。最初に放送法上の努力義務に関する業務については、新たに実施が求められているものであることから、「今後新規に行う業務について、円滑な実施を確保するために、予算執行上一定の配慮等が必要なものと考える」と記しました。
 努力義務は2つの内容があります。①は「民放との連携・協調に資する取り組み」です。すでに「TVer」を通じた番組配信等を実施していますが、その具体的な内容は毎年度の実施計画に記載することや、民放の求めに応じて意見交換の場を検討するなど、二元体制を維持しながら相互にメリットをもたらす連携・協調の実施を目指すとしました。②の「地方向け放送番組の提供」については、地域拠点局の設備整備の計画、サービスの内容、実施時期等は、次期中期経営計画の中で具体化させることとしました。2020年度の地方向け放送番組の配信については、協会が行った意見募集や放送を巡る諸課題に関する検討会で、地方向け放送番組の配信を求める意見があることや、地域情報の発信の重要性に鑑み、早期に地方向け放送番組の見逃し番組配信サービスの実施を想定しており、実施計画において内容や経費を具体化させるといたしました。この点について予算執行上、一定の配慮が可能となる取り扱いが必要と考え、これを求める内容となっています。
 続いて5ページ、「業務の実施に関する費用」についてです。①では、2020年度については、「受信料収入の2.5%を費用の上限(オリンピック・パラリンピックの費用を除く)」として実施するべく実施内容を再検討し、必要に応じて実施基準案を修正するとしました。4ページの冒頭で記したものの再掲です。既存の業務については、「利用状況などの分析に基づいて、サービスの統廃合を利用者に極力ご不便をかけないように留意しつつ一層推し進めるほか、効率的・効果的な運用を徹底し、費用を削減する」としました。2.5%を費用の上限として実施するべく見直しを行うことにより、利用者にご不便をおかけすることになる見直しをせざるを得ないことがあり得ると考えていますので、それを含ませた表現としています。②の常時同時配信・見逃し番組配信については、「2.5%の上限に収まるよう、常時同時配信のサービス提供時間等を限定するなど、実施内容・規模を見直した上で、2020年4月から開始することを実施計画で明記する」としました。実施基準案は、24時間実施することが可能な内容を維持する考えですが、費用上限への対応としての限定的な実施を2020年度の実施計画に書き込むということです。そして、認証の確実な実施のため、試行的に2019年度内に実施したいこと。そして、利活用の状況なども踏まえて、その後段階的に拡充することを示しています。③は、2.5%とは別枠で管理したいとしていた「国際インターネット活用業務」についてです。「公正競争確保の観点から市場の競争を阻害する業務とはならないが、既存業務の費用の見直しを行い、必要な取り組みを効率的・効果的に実施する」としました。その上で、「今後も訪日・在留外国人の増加が見込まれることに鑑み、2020年度の国際インターネット活用業務のうち、災害時などの情報提供にも有用な多言語対応の推進について、今後新規に行う業務の円滑な実施を確保するために、予算執行上一定の配慮が可能となるような取扱いが必要と考える」と記し、新たに実施する多言語サービスについては、より柔軟な予算の執行を可能にできるような取扱いが必要との考えを示し、それを求める内容となっております。
 ④の別枠で管理したいとしていた「ユニバーサルサービス」については、視覚・聴覚障害者や高齢者、訪日・在留外国人等が協会の放送番組を享受できるようにするもので、公益性の観点から積極的な実施が求められるものと考えます。2020年度に実施する業務は、東京オリンピック・パラリンピックにおけるロボット音声実況・字幕等の付与が主であることから、オリンピック・パラリンピックの取り組みにかかる費用として支出するよう整理しなおすことにしました。2020年度に必要なユニバーサルサービスの費用は、別枠での管理が認められる「オリンピック・パラリンピック経費」に計上することにしたいと思います。⑤費用の抑制的管理のための具体的な仕組みについてはIT関連の経費抑制に精通した専門家など外部の知見などを参考に、実現に向けて次期中期経営計画で示すことを目指すとしました。
 次に、「有料業務と見逃し番組配信に関する考え方」についてです。
 ①は「受信料財源業務として見逃し番組配信を実施する意義」についてまとめています。コンテンツへの接触のあり方の多様化、タイムシフト視聴の拡大、同時配信サービスの浸透などの視聴変化に言及した上で、6ページにNHKオンデマンドが始まった2008年度時点にはこのような環境がなかったため、受益者負担で提供することになった経緯に触れつつ、現在は民放でも1週間程度の見逃し番組配信を利用者負担なしとして提供するサービスが定着していることなどの環境変化について触れています。こうした中で、受信料を財源として、1週間程度の見逃し番組配信を「放送と一体のもの」として視聴できるようにすることが、受信料の価値を一層高めることになること。「放送の補完」として見逃し番組配信を提供することに視聴者のニーズがあることは、2017年度に実施した試験的提供でも確認されたこと。放送を巡る諸課題に関する検討会の第二次取りまとめでも、「一定の合理性がある」とされたことなどをあげました。
 続いて、見逃し番組配信の利用イメージを膨らませてもらえるような例示や、見逃し番組視聴がリアルタイムの放送視聴につながることへの期待などを説明しています。②は「NODのサービスの位置づけ」です。受信料を財源とする見逃し番組配信によって放送と一体のものとして提供する範囲を越える番組を、「協会の豊富な映像資産であるアーカイブスを享受していただくサービス」として、視聴者の求めに応じて有料で提供するサービスと位置づけること。そして、これまでの「見逃し見放題パック」と「特選見放題パック」を1つに統合して提供し、より魅力的なサービスとして利便性の向上を図ることを記しました。③は「NODの収支」です。受信料財源で新たに見逃し番組配信を実施することにより、契約者が減って収入が減少すると見込んでいます。その一方で、収入と連動する形で支払う変動的費用が減ることや、受信料による見逃し番組配信とNODの業務を共通化し効率化することで支出を抑制することが可能になります。提供する過去番組の本数の大幅拡大など、利用者を増やす取り組みによって、中期の収支改善を目指すとしました。そして毎年度、収支などを検証し、所要のサービス・運用体制の在り方などの見直しを行うことを実施基準案に明記するとしました。
 次に、「検証体制の整備」についてです。①は審査・評価委員会の委員の選任にあたって、現在も市場競争の評価等に必要な知見を有する、中立的な者を選定していますが、改めてその旨を実施基準案に明記すること。②では、競合事業者等からの意見や苦情については、適切かつ速やかにこれを受け付けて対応することとしていますが、加えて、審査・評価委員会が必要に応じて、競合事業者等に意見を聞くことができるよう、実施基準案に新たに記載すること。③では理解増進情報について、2020年度中に、協会がインターネット活用業務の適切性の観点から、競合事業者等の意見を聞き、審査・評価委員会に報告すること。④では、個々の番組や理解増進情報の提供について、年1回、必要性や有効性を点検し、その結果を公表し、審査評価委員会に報告することについて触れるとともに、翌年度の実施計画の策定の検討に活用することなどを記しています。
 最後に「業務を通じて得られた知見の共有」についてです。これまでも試験的提供の際などに、民放と知見の共有を進めてきましたが、改正放送法に盛り込まれた努力義務を踏まえ、可能な限りの知見の共有ができるよう検討を進めると記しました。
 資料の説明は以上です。今後の対応についてですが、総務省が8日まで行った意見募集に寄せられた意見と、今回協会が提出した検討結果を合わせて検討し、しかるべき時期に、総務省としての考え方が示されるものと承知しています。説明しましたように、再検討を踏まえて、実施基準案の所要の修正を行う考えを回答したところですので、総務省の対応を見つつ、必要な見直しを行い、改めて実施基準案を経営委員会にお諮りしたいと思います。来年度、令和2年度の予算・事業計画の議決に間に合うよう、作業を進めてまいります。

 (明石委員)

 短期間でまた、まとめ直していただいたようでご苦労さまでした。私の認識が違っていたらご指摘いただきたいのですが、常時同時配信に関しての見直しを迫られていて、結局この中でも、例えば5ページのところでも、同時配信をする内容や時間帯について見直すと記載されています。この「常時同時配信」ということばの使い方が適切なのか、同時配信というのは理解できるのですが、「常時」とつけることによって、すべての番組をインターネットでも配信すると受け取られかねないというのが1点です。それともう1点、これは個人的な感覚かもしれませんが、6ページの「2017年に実施した試験的提供の結果でも確かめられている」というところを見逃し番組配信の根拠として挙げられているのですが、ここでもやはり常時同時配信の必要性のことを書かれています。前段からの流れでいったら、それよりももう少し見逃し番組配信は、「良質なコンテンツをいろいろなライフスタイルに合わせて視聴できない方に対して提供する」というような理由のほうが、説得力があるのではないかと思います。2年前の2017年の試験結果、アンケート結果を根拠とするよりも、一般的ではないかという感覚を持ちました。

 (荒木専務理事)

 最初の質問ですが、放送法ではあくまでも「常時同時配信」が認められています。この原則に変更はありません。ただ、われわれは総務省の意見に基づいて、2020年度については、実施計画の中で、24時間ではなくて時間を短縮してやりたいということを考えました。あくまでも「常時同時配信」の中で、その改正放送法で認められた範囲でやっていくということで、「常時同時配信」ということばを使ったということです。この質問につきましては、今後いろいろなところで説明する機会がありますので、皆さんの意見を踏まえまして、検討させていただきたいと思います。

 (明石委員)

 そうすると、放送法の中で使われている用語としては「常時同時配信」ということばが使われているので、それに基づいて使用しているということですね。分かりました。

 (森下代行)

 短期間にいろいろ具体的に見直さないといけないということで、特にコスト面の見直しは大変だったと思いますが、本当によくやっていただいていると思います。その中でも、やはり2.5%の問題です。今回、本来であれば、いろいろなことを含めると当然業務が増えるわけですが、今回こういう状況になり、2.5%の枠の中でやらざるを得ないという情勢の中、ぜひ前向きにやってもらいたいのがコストの分析です。今まで2.5%でやっていた中身と、今回2.5%の中でやろうとすることが同じということではなく、今回コストを見直したことを後から検証できるようにして、どれだけNHKが努力をして、どういう部分でコスト削減して、これを実現してきたかということを見せるべきだと思います。ここには「費用の抑制的管理」ということばは出ているのですが、今回実施するにあたり、NHKがどれだけ汗を流してやってきたかを見えるようにしてもらえれば、それはある意味で、執行部の皆さんの努力も報われると思いますし、国民・視聴者の皆さんに理解してもらえる要素にもなると思います。被害者意識的に「カットされたからここしかできない」ということではなく、むしろ「カットされたけれども、この機会に別のやり方をすることで、その費用を生み出してやっている」という知恵を出されていると思います。そういったものが見えるようにしていただければよいのではないかと思います。

 (荒木専務理事)

 ありがとうございます。国際インターネット活用業務も、「必要な取り組みを効率的・効果的に実施する」と書きました。今回、「2.5%の枠を守るように」ということですが、われわれは、ただ単にそれをマイナスに捉えるだけではなく、予算の効率的な使い方、効果的な使い方、インターネットの費用のあり方という問題も含め、与えられた試練の中で、どういうことができるのかということをきちんと検討し、さらに今後に役に立つような知見を得て、それを世の中に、国民・視聴者の皆さまに示して、より理解を求めていきたいと思っています。

 (森下代行)

 よろしくお願いします。

 

 

3 審議事項

 (1) 令和2年度予算編成方針(資料1)(資料2)

 (石原委員長)
 令和2年度予算編成方針について、松坂理事から説明いただき、審議します。
 (松坂理事)
 令和2年度予算編成方針について説明します。これは令和2年度予算編成の具体的な考え方や収支の概要等をまとめたもので、10月29日の経営委員会での予算編成の考え方の審議や、11月8日の総務省からの要請を受け、協会で検討した内容を踏まえて作成したものです。
 2ページは予算編成方針として、予算編成の基本的な考え方をまとめたものです。まず、第1段落で、令和2年度は、56年ぶりに自国開催となる東京オリンピック・パラリンピックで「最高水準の放送・サービス」を提供するとともに、経営計画に基づいた事業運営を着実に実施して、公共メディアの実現に向けて取り組んでいくことを説明しています。
 2番目の段落では、来年度に取り組む放送・サービスについて説明しています。放送法に基づく公共放送の原点を堅持し、公平・公正で正確な情報を伝え、命と暮らしを守る防災・減災報道に全力で取り組むとともに、多彩で魅力的なコンテンツを届けます。積極的な国際発信により世界各国との相互理解を進めるとともに、地域の魅力や課題を広く発信し、地域社会に貢献します。東京オリンピック・パラリンピックを4K・8Kでの競技中継放送やインターネットを含めた新しい技術を駆使して、大会の魅力を余すところなく伝えるほか、常時同時配信・見逃し番組配信サービスによる視聴機会の拡大や、人にやさしい放送・サービスの拡充、サイバーセキュリティーの強化にも取り組みます。
 第3段落では、受信料の公平負担の徹底として、受信料制度の理解促進と営業改革を推進して支払率の向上を図るとともに、令和2年10月から受信料の値下げを実施することについて説明しています。
 第4段落では、NHKグループが一体となって効率的で透明性の高い組織運営を推進することと、働き方改革を進めることについて説明しています。また、東京・渋谷の放送センターの建て替えを着実に推進します。
 これらの考え方に基づき、令和2年度予算編成にあたっては、既存業務の見直しと経費削減により生み出した原資を重点事項に充てるとともに、受信料の値下げの実施を織り込んだ予算・事業計画を策定します。
 3ページ、4ページは、令和2年度の収支構造です。収入や支出などの金額の規模は、前回10月29日に示したものから変更しています。
 事業収入のうち受信料は、令和2年10月からの値下げ等を行うことにより、令和元年度に対して58億円の減となる6,974億円です。また、事業収入全体では令和元年度に対し48億円の減となる7,199億円となります。
 事業支出は、東京オリンピック・パラリンピックの放送実施等に取り組む一方で、既存業務の見直しや経費削減を行い、令和元年度に対して79億円の増となる7,357億円とします。
 以上により、事業収支差金は158億円の不足となります。この不足分は、財政安定のための繰越金で補てんします。事業収支の下の表には、建設積立資産と財政安定のための繰越金の見込みをまとめています。
 財政安定のための繰越金は、令和2年度末には825億円になる見込みです。建設積立資産ですが、放送センターの建て替えについては、来年度に大きな取り崩しがないため、令和2年度末には1,693億円となります。
 以上が、令和2年度予算の収支構造です。
 4ページは、来年度に重点的に取り組む事項と経費削減を示したものです。青色の表には、重点的に取り組む事項等をお示ししています。
 まず、東京オリンピック・パラリンピックの放送や特集番組などの実施に重点的に取り組みます。加えて、防災・減災報道の充実、地域放送・サービスの充実などに取り組むほか、電波利用料の増加や4K・8K等放送番組設備による減価償却費の増加に対応します。
 下の段、オレンジ色の表は、経費削減を示しています。交渉努力や契約の見直し、既存番組の整理などによる番組制作費の削減のほか、働き方改革や業務改革の推進等による職員給与の減、設備補修の見直しなどによる技術設備経費の削減などを行います。
 このように、来年度は東京オリンピック・パラリンピックの放送実施や防災・減災報道の充実などに予算を重点的に配分する一方で、業務全般にわたる経費削減を行い、事業支出全体では前年度比79億円の増加としています。
 5ページは、受信料の概要です。令和2年度の受信料収入は、令和元年度に対して58億円の減収となる6,974億円としています。
 今年度末の受信料収入の見込みは、予算に対して25億円増の7,057億円を見込んでいますが、これまでに行ってきた4つの負担軽減策や今年10月の消費税率引き上げの際に受信料額の改定を行わない実質2%の値下げに加え、来年10月からの受信料の2.5%の値下げにより、来年度は、今年度末の受信料収入見込みに比べて83億円の減収となる見込みです。
 来年度の営業目標につきましては、下の表に赤枠でお示ししたとおり、契約総数で39万件の増加、未収数で2万件の削減、衛星契約数で55万件の増加を計画しています。
 この結果、来年度末の支払率は84%、衛星契約割合は54%の達成を見込んでおり、支払率と衛星契約割合は、経営計画で掲げた目標を達成する計画です。
 6ページは、令和2年10月からの新しい受信料額について示しています。
 7ページからは、事業計画の重点事項の概要について説明します。まず、1つ目は東京オリンピック・パラリンピックの放送実施についてです。東京オリンピック・パラリンピックでは、4K・8K放送をはじめ、インターネット配信、新技術を活用したデジタルサービスを駆使して、大会の魅力を余すところなく伝えます。また、聖火リレーや全国のイベントを通じて、各地の盛り上がりや日本の魅力を内外に発信します。
 自動音声や多言語対応など、ユニバーサル放送も推進し、あらゆる人がともに楽しめる共生社会の実現に貢献します。
 東京オリンピック・パラリンピックの放送実施による予算は、オリンピックの競技中継やインターネット展開に100億円、パラリンピック放送の競技中継やユニバーサル放送の対応に40億円、ハイライト番組や聖火リレー特集番組などの制作に24億円、その他オリンピック・パラリンピックの大会を盛り上げる定時・特集番組に52億円、8Kパブリックビューイングなどのイベント展開やプロモーション、ロジスティック経費などに49億円を計上し、総額266億円の予算で実施します。なお、266億円のうち180億円は引当金を取り崩して充当します。
 8ページは、報道の強化です。超大型台風や局地を襲う豪雨などが頻発する中、既存の業務を見直しながら、防災・減災報道について充実を図っていきます。来年度は、航空取材体制の強化や、地域における映像取材、ニュース制作体制の強化を行うほか、全国ロボットカメラの整備・強化も進めていきます。
 来年度の報道取材費は、参議院選挙と統一地方選挙の終了等により今年度から14億円減の231億円となりますが、一方で、下記の表にあるとおり、防災・減災報道の充実への取り組みとして、平成29年度と比較して、航空取材体制の強化で5億円、地域における映像取材・ニュース制作体制の強化で12億円、外部ロボットカメラの活用・整備で5億円など、総額22億円規模の予算増を行うことで引き続き充実を図っています。来年度は今年度に比べ、こうした部分で12億円の増加です。
 また、建設費でも3か年計画で14億円を投資し、独自の火山監視カメラ等の整備や既存カメラの更新を行います。
 9ページの上の段は、インターネット活用業務についてです。インターネット活用業務については、ことし5月に成立した改正放送法に基づき、適切に実施していきます。
 実施基準で定める費用上限内で適正に管理し、効率的、効果的に行います。
 また、省令に基づく新ルールにより、来年度から「国内放送番組等配信費」「国際放送番組等配信費」に区分して計上するとともに、新たに共通経費を配賦します。あわせて、費用についての情報開示を積極的に行っていきます。
 なお、インターネットに関する経費については、今後引き続き検討を行っていきます。実施基準の変更などもありますが、次回にはインターネット業務の費用についてお示ししたいと考えています。
 続いて、地域放送・サービスの充実です。地域放送局の放送・サービスやマネジメントを支える、本部機能やNHKグループの体制の強化を行うとともに、引き続き、拠点放送局によるブロック経営を推進します。令和2年度は、8億円増の418億円の予算で実施します。
 10ページは、効率的な業務の推進です。働き方改革の取り組みを引き続き推進していきます。
 「いつでも、どこでも、スマホやパソコンで安全かつ快適に仕事ができる」環境を整備し、多様な働き方を支援します。地域放送局での遠隔試写システムの活用や定型業務のRPA化を拡大します。来年度は、9億円増の28億円で実施します。
 続いて、サイバーセキュリティー対策です。東京オリンピック・パラリンピック本番に向けて、放送の維持継続や情報漏えい防止のためのサイバーセキュリティー対策を拡充します。令和2年度は、3億円増の41億円で実施します。
 11ページは、契約収納活動の実施についてです。支払率向上への取り組みを着実に進める一方で、受信契約者の増加にともなう口座振替やクレジット等の手数料の増加等により、令和元年度から5億円増の641億円で実施します。内訳は、契約収納費のところにありますが、地域スタッフ等の手数料・給付金は、地域スタッフ体制の見直しにより令和元年度予算に対し5億円減の67億円、その下の法人委託手数料は、2億円減の252億円とします。一方で、3つ目の契約収納促進費等については、訪問によらない契約収納活動の推進や、受信契約者の増加に伴う口座振替やクレジット等の手数料の増などにより、令和元年度予算より13億円増の321億円で実施します。 参考1は営業経費についてです。この営業経費は、契約収納費に職員の人件費と減価償却費を合わせた総経費です。令和2年度は、令和元年度から8億円増の779億円としています。受信料収入に対する営業経費の割合である営業経費率は、令和元年度より0.2ポイント増加し、経営計画と同値の11.1%となります。参考2の表は、地域スタッフと法人委託の状況です。地域スタッフの体制縮小とともに、法人委託については、エリア型法人委託から公募型企画競争等による法人委託へシフトを図っています。
 12ページ上段は給与と退職手当・厚生費の人件費です。令和2年度の給与は、要員が育児休職などをとる職員の増加に対応するため10名増とするものの、働き方改革や業務改革の推進等による時間外の抑制等に努めることで、令和元年度から10億円の減となる1,144億円で実施します。退職手当・厚生費は、退職給付における数理計算上の差異による給付費の増などにより、令和元年度に対し27億円増の517億円です。
 下段の減価償却費は、東京オリンピック・パラリンピックの放送実施に向けた4K・8K等放送番組設備の整備などにより減価償却資産が増えることから、令和元年度に対し22億円増の868億円となります。
 以上が重点事項などの状況です。
 13ページは、建設費の概要です。令和2年度予算は952億円とし、令和元年度に対して79億円を減額します。
 来年度には、緊急報道や番組の送出・充実等のための放送番組設備の整備に重点的に取り組むとともに、安定的な放送・サービス継続に必要な放送網設備の整備および地域放送会館の整備を行います。また、放送センター建て替えの第Ⅰ期建物工事の実施設計を進めます。
 最後に、14ページ、今後の予算編成スケジュールです。本日、この予算編成方針をご了承いただきますと、これをもとに、さらに詳細な予算編成作業を進め、次回12月24日には、収支予算編成要綱として事業計画の詳細や予算科目別の内訳などをお示しし、ご審議いただく予定となっています。
 その後、1月15日の経営委員会で、放送法施行規則の記載事項にのっとって作成した「収支予算、事業計画及び資金計画」、いわゆる予算書を審議・議決していただきたいと考えています。

 (堰八委員)

 3ページで、令和2年度の最終的な事業収支差金が158億円の赤字になるところを、財政安定化の繰越金を取り崩すというところは分かりますが、一番下に「事業収支差金の不足の補てん158億、放送番組設備等の建設費に57億円」と書いてあります。これはなぜ建設費、いわゆる設備投資の中に入らずに外付けになっているのですか。

 (松坂理事)

 設備投資の費用、これは最後に説明した建設費ですが、減価償却費を超えてくる建設費、設備投資につきましては、財政安定の繰越金から補てんするというやり方をとっています。

 (石原委員長)

 オリンピックの放送権料は、この中には全然表れていないのですか。

 (松坂理事)

 オリンピックの放送権料については、IOCとJC(ジャパンコンソーシアム)で決めた額で、これは別枠で対応しています。オリンピックとサッカーのワールドカップについては、国際催事放送権料引当金として積み立てて、放送権料を賄うという仕組みです。

 (渡邊委員)

 2点、質問します。1つは、5ページの受信料の概要で、令和2年度の計画案が、支払率と衛星契約割合が1ポイントずつ増えて84%と54%という形になっていて、少し前の最高裁判決が出た後には、この数字は非常に堅調に推移していたと思いますが、最近の営業は、そう簡単ではなく、結構ご苦労なさっていると聞いている中で、来年度の84%、54%という数字は、3年間の目標ということはあるにしても、達成は実際可能なのかどうか。あわせて、11ページに、営業経費が11.1%とあり、その中身ですが、法人委託を増やすとなっています。私も仕事の中で営業という部分では、人手不足で、そのような仕事について今非常に苦労しているのが実態です。このような形で数字的に言うのはかなり厳しいのではないかと感じます。その辺の考えをお伺いしたいと思います。
 もう1点は、8ページで、報道・取材費が14億円減っていますが、そこには参議院選挙が終わったとあります。きのう、ニュースを見ていますと、オリンピックの後に衆議院の総選挙があるというようなことも言われています。例えば、そういう衆議院の総選挙がこの年度にあった時には、その費用はどのようにするのかお伺いします。

 (松坂理事)

 選挙については予備費で対応することにしています。普通、選挙ですとだいたい10億円ぐらいかかります。受信料の部分は松原理事にお願いします。

 (松原理事)

 今、営業の最大の課題は訪問要員の減に歯止めがかからず、募集してもなかなか集まらないことです。その最大の原因は処遇の問題です。本来であれば、もう少し経費を積み、処遇改善をし、世の中で人を採用する競争に勝てる工夫をしていかないといけません。しかし、昨今の支出の抑制があり、営業経費率を決められており、その中で、経営計画の最終年度に支払率84%と衛星契約割合54%という目標を達成しなければいけません。支払数でいうと、来年度の計画は41万件ですが、もともとの経営計画からは最終年度では4万件落としています。ただ3年間トータルでは、当初の計画を上回るというようにしています。何とかこれを達成していきたいです。
 それから、営業経費について、11ページを見ていただくと分かりますが、本来、法人委託の手数料は、拡大に伴ってこれまで毎年増えてきたのですが、昨今の要員状況を勘案して、来年度は2億円減です。要員状況を見ているということです。ただ、経営計画は達成しなければいけないので、契約・収納のところで訪問によらない対策の加重をして、トータルとして5億円増にして、最終的には経営計画で決めた11.1%を守ります。10.9%から11.1%に上がっているように見えますが、値下げを2.5%しますので、受信料収入の全体、つまり分母が減ると当然同じ額でも上がってきます。それを加味したら、ほぼ変わらないと認識しています。

 (森下代行)

 4ページです。この収支構造で、努力していただいているようです。今回いろいろと経費が話題になっていますので、経費削減のところは、特に項目が一応整理はされていますが、例えば、効率的な番組制作によって番組費用を削減するなど、この中で少しPR的に、どのようなところを本当に削減して効果を出しているか、説明できるようなものがあるでしょうか。今までのやり方に対し、このようなことをして制作費を下げているなど、具体的ないくつかの事例があると非常に説明しやすいと思います。かなり苦労して削減していると思いますので、具体的な内容を教えていただければと思います。

 (村田委員)

 8ページで、外部ロボットカメラの活用整備というのがあり、防災・減災報道に用いるということですが、外部ロボットカメラは防災減災に使われるのかということと、将来的にどれぐらいまで増やして整備していく考えなのかを教えていただければと思います。

 (松坂理事)

 ロボットカメラは、現在750台ぐらいあります。放送に使えるカメラを1,000台ぐらいまで増やす計画にしています。この3か年でも250台ぐらいを目標にしているのですが、現実的には、設置場所などの問題があり、160台ぐらいかと思っています。外部としているのは、NHKのカメラをこれまで整備してきたのですが、一方で、通信キャリアが持っている外部のカメラを利用できないかという検討を今やっていまして、自前のNHKのカメラの増強と、外部のカメラ活用ということで考えています。

 (正籬理事)

 追加で言いますと、自前のカメラより通信キャリアが運営しているカメラを利用させていただくと、コストは格段に安くなりますので、そのような経費節減で、それぞれ河川を見たり、原発も見たり、災害の重要なポイントに増やしていき、災害報道を充実させていこうという方針で臨んでいます。

 (明石委員)

 印象の問題かと思いますが、総務省から、経費削減を非常に強く求められている状況の中で、3ページだけを見ると158億円の赤字がとても強烈に残ってしまいます。書類の作成のしかたであると思いますが、本来、業務では受信料を下げ、事業支出に関しても努力をして下げたにも関わらず、ことしはオリンピック・パラリンピックの特別経費が加わっているために158億円のマイナスという立てつけにできたらよいのではないかと思います。

 (松坂理事)

 全体的には受信料の値下げ等による減収と、支出の部分については、来年度限りの支出として、56年ぶりの自国開催となる東京オリンピック・パラリンピックでさまざまな取り組みを行いたいということです。来年度については、減収と来年度限りの支出の増加で、このような収支構造になったと説明する必要があると思います。

 (堰八委員)

 インターネット活用業務実施基準の中で触れていた、経費を受信料の2.5%に基本的に抑える際、あくまでも実施計画というのは、東京オリンピック・パラリンピックの特別費用を抜いたものを2.5%に抑えた数字で組み立てていると考えてよろしいのでしょうか。

 (松坂理事)

 はい。東京オリンピック・パラリンピックについては、20億円弱を考えていますが、これは2.5%の枠外にして、そのほかのものについては、基本的には2.5%の中に収める方向で、細かいところを今後調整していくということです。

 (堰八委員)

 調整していくというのは、この数字には入っていないということで理解してよいのでしょうか。入っているのでしょうか。

 (松坂理事)

 今回の収支をつくるにあたっては、東京オリンピック・パラリンピックの費用を除いて、2.4%ぐらいを見込んで作っています。基本的には2.5%の枠に入れる経費を入れて組み立てているということです。

 (堰八委員)

 余裕は0.1%しかない状況ということでしょうか。

 (松坂理事)

 そうです。

 (堰八委員)

 常時同時配信に関わる部分が2.5%に本当に収まっているのかは、おそらく相当注目されて検証されるところだと思います。ましてや赤字決算ですから、その赤字幅をさらに広げてやりくりするものは通りにくいのです。今のぎりぎりの状況だと、本当はやりたいし、やるべきなのかもしれない国際放送や地域放送というのは、結果的に、それに縛られてできない、ということになる可能性はあると思います。その辺はどのように考えていますか。

 (松坂理事)

 一つには、予算執行上の配慮を求めていく部分があります。それから、今回新しいインターネットの活用業務については、予算の段階である程度詳細を説明しないといけませんし、決算についても非常に細かく見ることになっています。利用の量に応じて増えたりする部分が今後ある場合に、どのようにそれらに対応するのかという点は、課題になると思います。

 (堰八委員)

 ある程度財源の配慮が必要だという表現は、当初予算組む時に説明したほうがよいと思います。結果的には2.5%を若干超えるような数字になるかもしれないが、きちんと説明して実施をするということで、結果的にそうなるのではなく、事前に説明するということで進めたほうがよいと思います。

 (松坂理事)

 予算を決めた段階では、基本的に2.5%内におさめるということで組んでいると説明することになります。

 (堰八委員)

 それはかなり苦しいですよね。

 (松坂理事)

 それに関連して言いますと、デジタルサービスを担当している部署などでは、既存のデジタルサービスをどのように効果的に整理して、視聴者に対して届けていくかというようなところも含めて再整理をしていますので、デジタルサービスの質をできるだけ落とさずに、効果的な方法で、どのようにして展開していくかを、関係部局は常に検討していくということです。

 (堰八委員)

 やりながら削減できるものはしていき、そこで吸収するということですね。

 (佐藤委員)

 私も、印象論なのですが、全体にやります、やりますというのが前に出ていて、削減しますというのが隠れてしまっていると思います。明石委員がおっしゃったのも一緒だと思いますが、今回は整理して、削減しますという話になっていますので、それを見せないと、なかなか納得してもらえないと思います。予算というと、どうしてもやりたいというほうが表に出るのはよく分かりますが、立てつけとして、そこを少し考えないといけないのではと思います。この収納業務の営業経費率も11.1%になってしまうわけですが、なぜ、契約収納費はこのように出さなければいけないのか、ここも本当は削減できないのかということです。削減をする意図、意識のようなものがもう少し表れたほうが、納得性は高いのではないでしょうか。表現の仕方なのかもしれませんが、そこは少し気をつけて、意図的に表現したほうがよいのではないかと思いました。

 (森下代行)

 4ページの書き方ですが、さきほど明石委員から説明がありましたが、これは7,277億円という前年の数字に対して、皆さんが経費削減の努力をして、その中で既存のものを全部吸収して、実はマイナス7億円になっているというわけです。それに東京オリンピック・パラリンピックの86億円が上乗せになってしまっています。だから、この86億円分がなければ、経費削減の努力をして、本来は、新しいものを全部吸収したというグラフになるのです。ところがこの描き方だと、79億円増えているだけです。グラフの描き方をもう少し工夫して、7,277億円を経費削減で減らして、7,277億円が7,270億円になり、前年より7億円減らし、それにオリンピック関連の86億円が乗るという表現にすると、先ほどの佐藤委員の話にもありましたが、一生懸命努力して新しい費用を全部吸収しているように見えますので、そのようにしたほうがよいのではないかと思います。

 (松坂理事)

 参考にさせていただきます。

 (長谷川委員)

 オリンピックのところだけ、色を変えたらいかがでしょうか。そうすれば、これは特別費というのが色で分かるのではないかと思います。

 (高橋委員)

 4ページの「重点的に取り組む事項等」の一番上に、東京オリンピック・パラリンピック特集番組等でプラス86億円ということですが、当然それ以外にもオリンピック関係のコストはかかっているわけです。一方、オリンピック・パラリンピックを放送している間、われわれとしてはコストをセーブできている部分があるので、単純にこの86億だけぽんと乗せるのであれば簡単にできると思いますが、実際として、少し足しにくいのではないかと思います。

 (松坂理事)

 オリンピック番組を放送している時に既存の番組を放送していないということもあるので、確かにそういう面もあります。

 (森下代行)

 いろいろありますが、イメージとして、努力した分と、他動的な部分、やっぱり分けるほうがよいと思います。そのほうが理解されやすいです。

 (明石委員)

 今の高橋委員の発言を受けてですが、民放もオリンピック・パラリンピック特集番組等を組んで、それに対して予算を取っているはずです。その予算に対して、NHKの予算が高く見られることがよいのか、悪いのか、という議論があるのではないでしょうか。先ほどの高橋委員のご意見を入れると番組制作の削減費用を勘案すると、オリンピック・パラリンピックの特別経費の数字が変わってくるのではないかと思います。NHKが力を入れていることをアピールするために、予算金額を高く見せるのか、あるいは刺激的にならないように金額を抑えて見せるのか、そこも検討されてみてはどうかと思います。

 (石原委員長)

 検討してみていただきたいと思います。
 それでは、この方針を了承します。

 

 (2) 2020年度(令和2年度)国内放送番組編集の基本計画について(資料)

 (木田専務理事)
 2020年度国内放送番組の基本計画(案)について、説明します。
 本基本計画案については、定款第63条第1項の規定により、令和元年12月16日の「第665回中央放送番組審議会」に諮問し、答申を得たうえで、あらためて来年1月に開催される経営委員会に議決事項として提出する予定です。本日は議決に向けて、この基本計画の考え方や概要を説明したあと、審議をお願いします。
 編集の基本計画は、3か年経営計画に基づき、最新の社会情勢やメディア状況の変化を見据えたうえで、来年度の国内放送を組み立てるための方針です。現状のNHKの放送・サービスが抱える課題を再認識し、経営指標をはじめとするNHKの放送への評価、中央放送番組審議会での意見などを踏まえ、視聴者の皆さまの期待に応えるための重点事項をまとめました。なお、表紙に記載がある通り、現在、インターネット活用業務の実施基準は総務大臣に認可申請中であり、常時同時配信と見逃し番組配信の実施を含む部分については決定したものではありません。
 それでは、資料をご覧ください。1ページは、「編集の基本方針」です。
 来年度は、総合テレビと教育テレビの放送の「常時同時配信」、「見逃し番組配信」を計画しています。不確かな情報の拡散が社会問題となっている中で、NHKのニュースや番組・コンテンツを放送の補完としてインターネットを通じて広く還元したいとする、新しいサービスの意義を冒頭で示しました。一方で、これまでと変わることなく、放送法で定められた公共放送の基本姿勢は堅持して、自主自律と不偏不党を貫いて情報や番組を放送することも明記しました。
 後半には、2020年度の取り組みの大きな柱となる東京オリンピック・パラリンピック、そして東日本大震災から10年、などを具体的に挙げて、持続可能で心豊かに暮らすことができる社会の構築に向けて、さまざまな課題に向き合うことを述べました。
 最後に、「業務の見直しと改革を進めつつ、身近で信頼されるNHKへの進化を目指す」と締めくくりました。
 次に「編集の重点事項」です。全部で8つの項目があります。最初は「災害から命を守り、安心できる暮らしに全力で貢献」です。
 私たちの命と暮らしが自然の脅威にさらされる事態が発生した際は、全国の放送局と本部が連携して、テレビとラジオ、インターネットそれぞれの特性を生かし、全力で身を守るための報道に取り組みます。悪質な事件や事故、いじめや児童虐待などにも焦点を当て、「命と暮らしを守る」ことを最優先の使命として取り組みます。
 2つ目は、「持続可能な社会を見据え、日本と世界の課題を深く正確に発信」です。世界の潮流やグローバル経済の動向、地球規模の環境変化や日本における少子高齢化など、持続可能な社会の実現に向けて課題が山積しています。判断のよりどころとなる「情報の社会的基盤」の役割を果たし、国民の政治への関心も促し、健全な民主主義の発達に寄与します。
 3つ目は、「多彩で質の高い番組・コンテンツを幅広い視聴者に提供」です。正確で信頼できる情報と質の高い番組・コンテンツを開発し、視聴者の期待・関心に応えます。一度放送した番組の素材を、切り口を変えて提供するマルチユースも推進します。
 4つ目は「“東京2020”の機会を生かし、その先の文化創造に貢献」です。東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツを通じて多くの人達と感動を共にするだけでなく、世界の人たちに日本の魅力を深く知ってもらい、日本の人たちには世界の多様な文化や価値観を学ぶことができる絶好の機会です。NHKは、視聴者への「4つの約束」を掲げて、さまざまなテーマに取り組みます。
 5つ目は、「多様な価値を認め支えあう社会をめざした放送・サービスを充実」です。いわゆる「共生社会」の実現に貢献するために、放送・サービスを充実させます。多様な人たちが積極的に役割を担って生きることができる社会の実現に向けた課題などについて、番組で考えていきます。字幕・解説・手話放送を充実させるとともに、さらに見やすく聞きやすくするユニバーサル放送・サービスの充実に取り組みます。
 6つ目は、「地域放送局と本部が連携して、地域の活性化と暮らしに貢献」です。全国の放送局は、地域に暮らす人の視点から、役立つ情報や関心の高いテーマ、全国放送では、地域で制作した番組も積極的に活用して、豊かな自然・文化・人々の営みなど地域の魅力を全国に広く発信します。
 7つ目は、ことし新たに設けた項目です。「これからの社会を担う若年層や子どもの教育、健全な育成を支援」です。NHKは、「若年層や子どもの健全な育成への支援」を公共メディアの重要な使命と位置づけ、安心して視聴することができる多彩な番組・コンテンツを充実させ、インターネットも活用して提供します。
 8つ目は、「日本と世界の相互理解を促進する発信を強化」です。世界の情勢や生活の実情などを正確に国内に伝えるとともに、大自然や魅力的な文化などを4K・8Kも活用して紹介します。
 日本にいる外国人が災害情報や地域の情報を得られるように、国際放送と連携した編成や外国語によるニュースの発信を行います。
 6ページは、重点項目を実施するにあたって、勘案すべき点です。質的・量的評価の手法に加えて、公共放送として果たすべき役割の実現度を測る指標などを取り入れた評価体制を構築します。放送倫理やコンプライアンス意識を徹底します。働き方改革やダイバーシティー施策を推進します。2K・4K・8K番組の一体制作などにより番組のマルチユースを進め、経営資源を効果的・効率的に活用します。
 7ページからは、「各波の編集方針」です。総合テレビジョンは、基幹波として、安全と安心を守る報道、放送の自主自立と不偏不党を貫きます。東京オリンピック・パラリンピックでは、競技中継や関連番組を通じ、大会の盛り上げに寄与します。そして、これからのNHKの顔となる番組や若年層のインターネットでの接触を意識した新たなコンテンツの開発に取り組みます。「編集のポイント」は、5項目を立てました。
 8ページ、「教育テレビジョン」です。教育・福祉に加え、語学・教養・趣味・食・健康など多彩な番組を編成し、幅広い世代の「知りたい」、「学びたい」に応えます。番組とインターネットサービスとの連携を充実させ、子どもや若者の接触拡大を図ります。「編集のポイント」は、5項目です。
 BS1は、“ライブ感あふれる情報チャンネル”として「スポーツ」、「ドキュメンタリー」、「国際」、「地域」の各分野を充実させます。東京オリンピック・パラリンピックをさまざまな角度から伝える番組を編成します。地域関連番組にも力を入れ、豊かな日本の魅力と地域固有の課題を広く伝えます。「編集のポイント」は5項目を立てました。
 BSプレミアムは、個性と見応えを追求した知的エンターテインメント番組を提供します。「編集のポイント」は4項目を立てました。さまざまなジャンルの番組で、格別な満足感を得られるチャンネルを目指します。
 BS4Kは、4Kの機動力と高画質の魅力を生かした幅広いジャンルの番組を提供します。東京オリンピック・パラリンピックでは、競技中継などを通して4Kの魅力を伝え、さらなる普及を目指します。「編集のポイント」は3項目です。ポイントの1つ目に書きましたが、総合テレビやBS1、BSプレミアムの番組を4Kで制作して編成することで、BS4Kを日常的にご覧いただくきっかけも作っていきたいと考えます。
 BS8Kは、世界最先端メディアとして、未知なる映像文化を切り開く番組を提供します。東京オリンピック・パラリンピックでは、特性を生かした臨場感あふれる中継を行い、最高水準の放送・サービスの実現に寄与します。「編集のポイント」は、3項目です。
 11ページからは音声波です。「ラジオ第1放送」は、安全・安心を担う「音声基幹波」として、命と暮らしを守る情報を届けます。インターネットラジオ「らじる★らじる」のサービス向上や「読むらじる。」の充実など、デジタル展開を進めます。
 ラジオ第2放送は、語学番組の充実を図るとともに、多言語ニュースを強化し、加速する国際化に対応します。
 FM放送は、総合音楽波としてリスナーの関心に応えるとともに、災害などの緊急時には地域情報波として、ライフライン情報を中心にきめ細かな情報を提供します。

 (長谷川委員)

  2ページの「2. 持続可能な社会を見据え、日本と世界の課題を深く正確に発信」のところは、非常に大事だと思います。特に下から4行目、「意見が対立している問題については、多くの角度から論点を明らかにし、広く議論の場を設けます」とありますが、具体的にはどのように考えているのかを一つ聞きたいと思います。もう1点は、今回、「8. 日本と世界の相互理解を促進する発信の強化」とあり、従来、これは国際放送のほうに出ていたところですが、相互に連携することが大事として、国内放送番組の「編集の基本方針」にも挙げています。この「広く議論の場を設ける」という大原則は、このような「日本と世界の相互理解を促進」という「8.」に関しても当てはめるべしと考えてよいのでしょうか。お伺いしたいと思います。

 (木田専務理事)

 来年の番組の企画などは、まだ固まっているわけではありません。この重点方針で述べているのは、非常に大きな課題が山積して、さまざまな意見が国内にもありますので、多角的に明らかにするのはわれわれの放送法で定められているミッションの一つですので、そのことを踏まえ、例えば討論番組などの番組がこれから必要になるのではないかという思いで、この一文を入れています。具体的な番組の企画は未定です。
 それと同じように、国際的な相互理解についても、おそらく課題の一つとして取り上げられる可能性はあるのではないかと思います。

 (長谷川委員)

 これは本当に大事なところで、今、異なる意見の人たちが一つの場で議論するということが、世界的に見ても非常に難しくなっていて、それこそNHKならではの非常に重要な使命だと思います。ここは大いに期待しています。頑張っていただきたいと思います。

 (村田委員)

 この8つの重点事項がどのような順序で並んでいるのかを教えていただきたいです。何らかの指針に基づいて8つが並んでいるはずなので、どんな順番で並んでいるのかをお伺いしたいということと、今、長谷川委員が言われたことと似ていますが、「2.」と「8.」は具体的に何が違うのでしょうか。「日本と世界の課題を深く正確に発信」することと、「日本と世界の相互理解を促進する発信」をすることというのは、これは具体的に言うと何がどう違うのでしょうか。

 (木田専務理事)

 その順番につきましては、一つ一つが大変大事ではありますが、まず果たさなければならないのは、「命と暮らしを守るもの」であるという形で並べています。決して後ろであるから軽んじているわけではなく、まず取り組むべき課題を列挙しているとお考えください。
 それから、「2.」の場合は、世界にも日本にも課題山積の中で、一つ一つの課題を見てという意味が「2.」です。「8.」は、日本の情報を世界に、あるいは世界の情報を日本にという、発信、交流に重点を置いた番組づくり、取り組みを進めていきたいということです。世界の課題が日本にも影響してきますし、日本の課題は世界に必要な場合もあるでしょうから、重なる部分はあるのですが、捉え方として、「2.」は、課題をどのように解決していくか、そのためにわれわれの英知をいかに集めるかという形のものであり、「8.」は情報の発信、交流を課題としています。

 (村田委員)

 「2.」と「8.」の違いがはっきりした分け方にしていただいたほうがよいのではという印象を持ちます。

 (佐藤委員)

 今回は、「7.」で教育について入れていただいたのはとてもよいことだと思います。この分野に対する期待は大きいですし、NHKでなくてはできません。子育てをしているお母さんやお父さんにとっても非常に役立つと思いますので、ぜひしっかり充実させていただきたいと思います。
 もう一つ、「1.」の災害についてですが、これは刻々と変化するという災害が起こった時のことしか、ここにうたっていないのではないかと思います。防災・減災などについて最近もテレビで放送していましたが、全体の意識を日常的に防災に目を向けていくこともとても大事だと思いますので、少しその視点も入れていただいたほうが、今後のためにもなり、多くの方の関心にも応えられるのではないかと思います。東日本大震災後の復興に取り組む被災地に行きました。被災地の方々にも寄り添っていくという視点もあるとNHKらしいのではないかと思います。

 (明石委員)

 編集方針をよくまとめていただいていて、分かりやすいと思います。質問ですが、このような編集方針は、NHKが組織としてどのような姿勢で臨むかということを表しているものだと思います。今、民間企業では、SDGs(持続可能な開発目標)という国連がサステイナブルな社会を作るためにどのような活動をすべきかを定めたものを、事業方針に取り入れているところが、増えています。NHKはあまりそのようなことに対して関心がないのか、会議でそのような話を聞いたことがなく、またSDGsのバッジもご存じない方が多いという印象を持ちました。活動の指針として、賛同してもよいのではないかなと思うのでお伺いします。

 (木田専務理事)

 SDGsにつきましては、「2.」の持続可能な社会というところに、そのような思いで書いています。SDGsについては十分意識をしていますし、インクルーシブな社会ということについても、「5.」で一応下敷きにはしていますが、この編集の重点事項については、このようなまとめ方をしています。さまざまな番組でそのような啓発や、経済・社会でどのようにそのことが議論されているかについては、放送では伝えています。

 (明石委員)

 編集方針そのものは、SDGsに非常にインクルードしている内容だと思います。それにも関わらず組織としては、それに対して賛同の表明を出していないのではないかと思い、その点をおたずねしました。

 (板野専務理事)

 ちなみに、私どもの関連会社のNHKエンタープライズは、この間、SDGsの認定を取りました。マスコミのグループの中では先進的な取り組みをしています。

 (明石委員)

 職員の意識を活動に向けるという意味では、検討されてはどうかと思いました。

 (渡邊委員)

 3ページの、「多彩で質の高い番組・コンテンツを、幅広い視聴者に提供」について、質の高い番組がNHKにはたくさんあると思いますが、例えば歌番組や科学番組などについて、その素材のマルチユースをもう少し積極的にしたほうがよいのではないでしょうか。
 「ドラえもん」の藤子不二雄さんが、同時に同じ素材で、キャラクターやせりふを全部変えて4誌ぐらい書いていたということが、話題になっていました。たぶん同じストーリーや素材なのですが、切り口を変えることによって子どももよく理解できたり、子どもにとってはどぎついものを柔らかくしたり、お年寄りにはもう少しゆっくり目にするなど、そのような形にすれば、私はNHKの番組はもっと皆さんに見てもらえるし、コストは比較的あまりかからずにできるのではないかと思いましたので、チャレンジしていただければと思いました。

 (木田専務理事)

 今、われわれはよく「届け切る」という言葉をキーワードとして使っています。それは放送だと1回あるいは再放送を入れても数回で終わってしまいますので、それだともったいないだろうと、もっと違う形に変形させたり、加工したりして使い切ることはできないかということを、今いろいろな角度から検討しています。ご意見を参考にさせていただきたいと思います。

 (石原委員長)

 それでは、経営委員会としては本件を了承します。本件については、中央放送番組審議会の答申を踏まえ、改めて議決事項としての提出をお願いします。

 

 (3) 2020年度(令和2年度)国際放送番組編集の基本計画について(資料)

 (正籬理事)
 2020年度国際放送番組編集の基本計画(案)につきまして、説明します。この基本計画については、定款により、12月17日に開催される予定の「第664回国際放送番組審議会」に諮問し、答申を得た上で、あらためて来年1月に開催予定の経営委員会に議決事項として提出する予定です。
 本日は議決に向けて、この基本計画の考え方や概要を説明したあと、審議をお願いいたします。
 1ページの「編集の基本方針」では、最初のパラグラフで、「NHKワールド JAPAN」の目指すところについて述べていますので、この部分だけ読み上げさせていただきます。「東京オリンピック・パラリンピックの開催年となる2020年。日本に対する世界の関心が一気に高まります。オリンピック・パラリンピックの熱狂とそのレガシーやさまざまな変化も見込まれます。NHKの国際放送は、視聴者・聴取者のニーズを捉えながら、日本の公共メディアとして、公平・公正で多様な情報を世界に発信します。放送だけでなく、インターネットも活用してスマートフォンやパソコンなどの端末やソーシャルネットワークサービスへの展開も一層推進します。また、多言語化を積極的に進め、世界の人々に向けて質の高いサービスを届けます。」
 以降のパラグラフは、外国人向け国際放送「NHKワールド JAPAN」のテレビ、ラジオとインターネット、そして在外邦人向けのテレビ放送「NHKワールド・プレミアム」とラジオ放送の「NHKワールド・ラジオ日本」、それぞれについて書いており、各メディアの編集方針につきましては次のページ以降で説明させていただきます。
 2ページをご覧ください。「NHKワールド JAPAN」は、4つの重点事項を挙げています。1つ目は「“東京2020”の舞台 日本を紹介」です。東京オリンピック・パラリンピックの開催都市やホストタウンの情報を発信するほか、聖火リレーの模様などを紹介します。
 2つ目は「多彩な発信経路でニュースを強化」です。新設するニューヨークスタジオも活用して多彩なニュースを伝えるほか、災害時は総合テレビとの連携やSNSの活用をはかり、安全・安心情報の提供を強化します。
 3つ目、「新共生時代〜日本社会とレガシー〜」では、多文化の共生を目指す日本各地の外国人コミュニティに焦点をあてた番組や防災の工夫を伝える番組を充実させ、多言語化も強化します。
 最後は、「『国内・国際連携』で豊かなクオリティーコンテンツ」です。海外の視聴者にも関心の高い医療・健康やドキュメンタリーのほか、地域放送番組などNHKならではのコンテンツの英語化を進め、国内放送とのマルチユースを引き続き推進します。
 3ページは、「ラジオ」国際放送です。17の言語を通じて、世界のリスナーに最新のニュースや情報を伝えます。また、日本への関心に応えるため、日本への理解を深める情報や、日本滞在時に役立つ情報を発信します。
 4ページの「インターネット」では、「ユーザー視点にたったサービスの充実」として、テレビとラジオを統合した新しいアプリやウェブサイトの刷新により、ユーザーの使い勝手を考慮したサービスを展開します。
 5ページ目の在外邦人向けテレビ放送「NHKワールド・プレミアム」は、主要ニュースと情報番組などで“日本のいま”を伝えます。
 6ページの「NHKワールド・ラジオ日本」では、最新のニュースや番組、安全・安心情報を、日本語で伝えます。

 (長谷川委員)

 1ページの上から4行目に、「日本の公共メディアとして、公平・公正で多様な情報を世界に発信」とあります。これは、公平・公正で「正確な」情報ではなくて、「多様な」となっているというのは、どうしてなのでしょうか。公平・公正で正確ということがやはり必要ではないでしょうか。もちろん「多様」が入っていてもよいですが、ニュースの情報は当然多様な情報なので、このことばは入れても入れなくてもという感じがします。正確という言葉は非常に大事な言葉で、NHKのニュースだから正確というアピールが、非常に大事だと思います。

 (村田委員)

 「公平・公正」と言えば、ある程度それで「多様」はカバーされているのではないでしょうか。公正で公平であれば多様な意見が含まれているはずですから、やや冗長な感じがするということではないでしょうか。

 (正籬理事)

 われわれの気持ちとしては、正確というのは大前提なのであまり大前提過ぎる表現はしなかったということです。それも踏まえて検討したいと思います。

 (長谷川委員)

 大前提を表現するということが、基本方針としては非常に大事だと思います。

 (森下代行)

 「NHKワールド・プレミアム」は、これは在外邦人向けの放送ということであると同時に、海外出張中の人や旅行者に対しても必要な放送だと思います。その時に、安心・安全ということは非常に大事で、政治的な動きなど大きな動きを海外出張中でも知りたいという意見があると思います。放送を見ると教養番組などが多い印象で、もうちょっとニュース的なものが欲しいという感じがします。そのようなことについてはどのように評価しているのでしょうか。報道が80%以上とありますので、報道の充実を図るとは思うのですが。

 (正籬理事)

 「NHKワールド・プレミアム」は日本語放送で、ニュースなども放送していますが、地域によって編成も違います。おっしゃるように、大きな政治や経済の動きを在外邦人の方などにきちんと伝えていくというのは、当然のことだと思っています。

 (森下代行)

 特に地域によって違うと思いますが、朝晩、海外出張者や旅行者がそれをホテルで見る時に最新のニュースの状況が見られるような工夫をぜひお願いしたいと思います。

 (正籬理事)

 国によって時差があるので、難しいところがあるのですが、そこについては、よりよい編成のあり方も含めて不断に模索をしていきたいと思っています。

 (石原委員長)

 それでは、よろしければ、本件を了承します。本件につきまして、国際放送番組審議会の答申を踏まえて、あらためて議決事項としての提出をお願いします。

 

 

4 報告事項

 (1) NHKエンタープライズとNHKプラネットの合併について(資料)

 (板野専務理事)
 NHKエンタープライズとNHKプラネットの合併について報告させていただきます。
 NHKエンタープライズとNHKプラネットの合併につきましては、昨年12月に基本合意を締結し、その後、NHKエンタープライズ・プラネット統合推進委員会を立ち上げ、具体的な検討を重ねてきました。
 両社の取締役会を経て来週18日に合併契約を締結し、2020年4月1日に新会社NHKエンタープライズとしてスタートすることになります。
 この合併により、関連団体の数は24となります。
 まずは合併の目的です。1つ目は、これからのテレビ業界におけるNHKの存在理由の1つが、地域放送とそれを束ねているネットワークです。継続可能な体制をグループ一体で作る第一歩として、この2社を統合します。
 2つ目は、2020年以降の制作力、展開力をグループ一体で発展させるということです。受信料収入の減少、競争契約の拡大等の状況が想定される中で、コンテンツ制作力を維持・向上させ、放送やネット、イベントを通じたコンテンツの展開強化を進めるグループ全体の体制を構築します。
 3つ目は、経営の効率化、事業活性化につながる統合効果を目指すことです。統合による経営の効率化、コストの低減や両社のノウハウの連携による事業の活性化、新たな事業の開発など、プラスの統合効果を目指します。
 また、統合新会社は、会社法上の大会社となりますので、監査役会設置会社として監査役会、大会社として会計監査人を置くことになります。法令に基づき、より客観的なガバナンス体制を構築していくことになります。
 合併の形態は、合併に係る手続きの規模、費用などを勘案し、NHKエンタープライズを存続会社とする吸収合併で行います。
 新会社の概要です。商号、いわゆる社名は、株式会社NHKエンタープライズとし、ロゴもこれまでのNHKエンタープライズのものをそのまま活用します。
 本社所在地は、今、NHKエンタープライズが本社を置いているビルにそのまま置きます。資本金は16億円あまり、従業員数はおよそ800人となります。
 最後に今後の手続きですが、冒頭でも申し上げました通り、両社の取締役会を経て今月18日に合併契約を締結し、来年2月の株主総会など、所定の手続きを経て、2020年4月1日に合併し、新しいNHKエンタープライズとしてスタートする予定です。

 

 (2) 「平成30年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について(資料1)(資料2)

 (荒木専務理事)
 「平成30年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について報告します。
 今年6月に、財務諸表とあわせて総務大臣に提出した平成30年度の業務報告書について、総務大臣の意見が付され、12月3日の閣議を経て、国会に報告されました。
 協会の業務報告書は、いわば各年度の事業計画に対する結果報告ですが、これを総務大臣が国会に報告するにあたって、その年度の業務の妥当性などについて検討し、大臣の考えを国会に対して表明するのが、この大臣意見です。
 それでは、総務大臣意見の概要について、新たに記述された部分を中心に説明します。別紙の「大臣意見」をご覧ください。
冒頭では、総論として、受信料徴収の徹底等に努めた結果、予算を上回る収支差金を計上するなど、「おおむね所期の成果を収めたものと認められる」としています。
 そのうえで、繰越金の現状や事業収支差金が年度当初の計画を大幅に上回る状況が続いていることに触れ、「受信料額の適正な水準を含めた受信料の在り方について、既存業務の見直しとともに不断に検討していく必要がある」としています。また、経営計画では令和2年度に215億円の事業収支差金の赤字を見込んでいることに触れ、「既存業務の見直しに聖域なく徹底的に取り組むことを強く求める」としています。
 「記」以下の各論にあたる部分には、特記すべき具体的事項が挙げられています。
 「1 国内放送番組の充実」では、(1)で、災害報道について、大規模災害発生時に外国人に向けた情報提供に取り組んでいることなどに触れています。2ページの(3)では、引き続き、総務省が昨年2月に策定した普及目標を踏まえ、字幕放送等の拡充に努めることが求められることなどを記述しています。
 「2 国際放送の充実等による総合的な海外情報発信の強化」は、海外情報発信に関する項目で、テレビ国際放送については、インターネットでの「中国語ネットチャンネルの開始等多言語コンテンツの拡充等の取組を進めた」としています。一方、「依然、その認知度は高いとはいえない状況にある」として、「国際放送のより一層の充実・強化を図ることが必要」としています。
 「3 4K・8K放送の積極的推進及びインターネット活用業務に関する関係者間連携等」では、昨年12月に新4K8K衛星放送を開始したことを記述するとともに、東京オリンピック・パラリンピックの機会を捉え、早期かつ円滑な普及に向けて先導的役割を果たすことへの期待を示しています。また、インターネット活用業務については、「適正な規模の下、節度をもって事業を運営するとともに、会計上の透明性を確保することが求められる」としています。また、「民間放送事業者との連携・協力」について具体化を図ること、NHKオンデマンドを含む放送番組等有料配信業務勘定について、一層の収支の改善に努めることが求められる、などとしています。
 「4 経営改革の推進」では、(1)で、改正放送法に基づいて「NHKグループの業務の適正を確保するための体制整備を適切に図ること等により、グループ全体でのコンプライアンスの確保が強く求められる」などとしています。
 また(4)で、改正放送法において協会の組織、業務および財務に関する基礎的な情報等の提供が制度化されたことも踏まえ、情報公開の一層の推進を図ることにより、自ら説明責任を果たしていくことが求められる、などとしています。
 「5 受信料の公平負担の徹底に向けた取組等」では、受信料に関して、ふれあいセンターに寄せられた苦情等の件数について触れ、委託先の業務の実態を適切に把握し、受信契約の勧奨等の業務の適正を確保するための体制について、「早急に点検及び見直しを行うことが強く求められる」などとしています。

 

 (3) 日本放送協会定款の一部変更の認可について(資料1)(資料2)

 (荒木専務理事)
 11月12日に経営委員会で議決をし、総務大臣に認可申請を行った日本放送協会定款の一部変更については、11月29日に総務大臣の認可を受けました。変更後の定款は、別添のとおりです。変更の期日は、改正放送法の施行日としており、施行日をもって変更されます。

 

 (4) 2019年秋季交渉の結果について(資料)

 (松坂理事)
 労働組合「日放労」との秋季交渉が、11月26日に収束しました。結果について報告します。
 まず、専門業務型裁量労働制が適用される職員、これは一般職の記者のことですが、これについて、付加休日や祝日等に勤務した場合、1日8時間30分勤務したものとみなす取り扱いから、時間管理へ移行する見直しについて、組合と合意しました。これは、専門業務型裁量労働制の制度導入時に、3年後をめどに付加休日等の勤務の取り扱いを、時間管理に見直すとしていたことを踏まえて、協会から提案したものです。
 また、「外勤、出張時における勤務時間の取り扱いの見直し」に関する協会提案についても、労使合意が得られました。記者を除く一般職が外勤や出張する場合には、「事業場外みなし労働時間制」を適用していますが、スマートフォンやモバイルPCなどを使ったテレワーク環境の整備が進むなど、労働環境の変化に伴い、外勤、出張中の勤務を時間管理とし、労働時間のより適正な把握を行うために、提案したものです。
 この2ついずれも、健康確保の観点から、労働時間を把握し、適切な管理につなげていくため、協会のルールを見直すものです。
 次に職員制度の趣旨や仕組みを、改めて浸透させて欲しいという組合からの要求を踏まえて、今回の見直しに伴いまして、専門業務型裁量労働制の趣旨や仕組み、健康管理時間の位置づけ等について、制度の適用者や勤務管理者を対象に説明する場を設けます。あわせて、イントラ内にある記者勤務制度のホームページを充実させるなど、理解・浸透を図ります。
 健康に働き続ける環境の整備については、今日的な観点から保健事業の取り組みについて見直しを行い、意識改革を促し、より多くの職員の健康面にプラスとなる、新たな保健事業の取り組みについて労使議論を行いました。
 最後に、社会の変化に対応し、視聴者の信頼に応えるために、より自由な働き方を検討することが必要ではないか、との組合からの課題意識が示され、議論されました。具体的には、新たな専門的な知識の習得に向けたリカレント教育や、より納得感を高めるための人事制度や多面評価などについてです。
 現在、国内外の大学等への派遣や、複数の企業と共同で実施する異業種交流研修、職員のスキルアップを促す自己啓発援助の制度などは行っていますが、こうした現行制度を踏まえつつ、公共メディアを支えるより実践的な人材の育成や研修、人事施策について検討していきます。
 また、スタッフの働く環境の整備についても議論しました。スタッフがより安心してモチベーション高く働き続けることができるように、いくつかの休暇や日当等を認めることとしました。職員との役割差を踏まえつつ、同一労働同一賃金での制度的対応も見据えた内容としています。

 (長谷川委員)

 「保健事業について、今日的な観点から新たな施策を検討」という件は非常に大事だと思います。どのような新たな取り組みなのか具体的に教えてください。

 (松坂理事)

 今後さらに協議してから決めることになりますが、例えば歯科検診の充実や、人間ドックの受診率をさらに上げることなどを検討しています。

 (長谷川委員)

 新しい検査がどんどん出ていますので、頑張ってやっていただきたいと思います。

 (村田委員)

 人材育成のところですが、国内の大学にも職員を短期間勉強させるために派遣する制度を持っているということでしょうか。国内でも修士を取ったりする機会を設けているのですか。

 (松坂理事)

 はい、それはあります。また、海外の大学にもスタンフォード大学やMIT、マサチューセッツ工科大学などに派遣しています。規模に応じて期間はさまざまで、短期から中期の制度があります。
 ただ、今回、職員のほうから、そのようなものももちろん大事だけれども、ITなども含めてさまざまな技術の変化もあるので、もう少し実務的な研修や教育を受けやすい環境になるよう、新たな研修も検討してほしいという要望が出されていました。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 (石原委員長)
 最後に、本日の経営委員会が最後の出席となる中島委員、そして私から、経営委員退任のごあいさつをさせていただきます。まず中島委員からお願いします。

 (中島委員)

 気がついたら6年間、経営委員を拝命してからあっという間に過ぎたと思います。2期務めさせていただきましたけれども、後期、上田会長が就任されてからの執行部の皆さんの取り組み方、一丸となって課題に向き合っているということが非常に印象深く思っています。これはもちろん大変望まれることでありまして、これを今後も継続して、一丸となって執行部が取り組みを進めていただければと思います。
 一方、インターネットの常時同時配信に関連して、私にとっては非常に耳ざわりなのですが、NHKの肥大化ということばをよく聞きます。肥大化というのは、「天高く馬肥ゆる秋」の「肥ゆる」のような、望まれるような意味ではなく、望ましくないとか、がんの病変の肥大のように抑制が効かないとか、非常にネガティブな意味が背後にこめられている、皮肉のようなことばと感じています。ぜひこのようなことを言われないように、合理化や効率化なども進めていく必要はあるでしょうし、日本におけるNHKの存在意義の理解増進も深めていただければと願っています。明日からは後期高齢者の一視聴者として、NHKの発展を見守っていきたいと思います。

 (石原委員長)

 大変お世話になりました。2010年の12月から9年間、経営委員を務めさせていただきました。特に直近の3年間、委員長として皆さまに大変にご支援いただきありがとうございました。
 この9年間を振り返ってどんなことがあったか。まず、2回の受信料の値下げがありました。それから、今回のインターネットの常時同時配信と放送法の改正は画期的なことでした。女性の活躍もNHKはかなり進んでいます。私がかなり以前聞いた時は、女性管理職の比率が3.5%ぐらいだったのが、もう10%に届くというところまで来ています。それから放送センターの建替基本計画、これも長い間かかりましたが、よくまとめたと思います。また、4K・8K放送が開始されました。
 NHKはさまざまな事業や改革に取り組んできているところですが、先ほど中島委員からも話がありましたが、今回の常時同時配信に絡み、肥大化ということが強く言われております。ネットの進展に伴って放送が大きな変革期にあることは間違いないので、今回の放送法の改正は、大変立派な仕事をされたと思います。その中で、「三位一体の改革」については、もう一度しっかりと考えて取り組んでいくべきものだと思います。NHKが激動の中で改革していくには、言うまでもなく国民の信頼が必要です。そのためには、業務と受信料とガバナンスの「三位一体の改革」に不断の課題として取り組んでいく必要があると思います。業務の見直しは厳格なコスト管理を含めてさらに力を入れる必要がありますし、受信料についても、公平負担の徹底に努め、あわせてさらなる値下げを念頭に置いて経営をしていく必要があるのではないかと思います。ガバナンスとコンプライアンスの徹底も大事な事柄です。こうした努力をしっかりと続けていくことにより、国民の信頼をさらに勝ち得ていくということだと思います。
 きのう、上田会長の後任者として前田晃伸氏を選任しました。メガバンクの改革に取り組んだ経験をお持ちの方で、上田会長の進めたNHK改革を、上田会長同様、力強く推進していただけるものと期待しています。
 皆さまに改めてまたお礼申し上げ、あいさつとします。ありがとうございました。

 

 

<会長、副会長、専務理事、理事退室>

 

 

○ 説明会 衛星放送の在り方について
 担当理事より「衛星放送の在り方について」の説明を受け、意見交換を行った。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2020年1月28日    

森 下 俊 三 

 

 

高 橋 正 美