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第1335回
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2019年9月13日(金)公表
※4 審議事項(1)「インターネット実施基準の改定の考え方について」は2019年11月1日(金)公表

日本放送協会第1335回経営委員会議事録
(2019年8月27日開催分)

第1335回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1335回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2019年8月27日(火)午後1時00分から午後5時30分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 森 下 俊 三 槍 田 松 瑩
    佐 藤 友美子   堰 八 義 博 高 橋 正 美
    中 島 尚 正   長谷川 三千子 村 田 晃 嗣
    渡 邊 博 美      
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  板 野 専務理事 児 野 専務理事・技師長 荒 木 専務理事
  松 原 理 事 黄 木 理 事 中 田 理 事
  鈴 木 理 事 松 坂 理 事 正 籬 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(横浜)の開催について

 

○ 2019年度役員ヒアリング

 

1 会長報告(資料1)(資料2)

 

2 議決事項

 (1) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)(資料3)

 

3 報告事項

 (1) 非現用不動産の売却について(資料)

 (2) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (3) 2019年度第1四半期業務報告(データ更新版)(資料)

 (4) BS右旋の帯域再編への対応について(資料)

 (5) 総務省「新たなCAS機能に関する検討分科会一次とりまとめ(案)についての意見募集」への対応について(資料)

 (6) 総務省「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」への対応について(資料)

 

4 審議事項

 (1) インターネット実施基準の改定の考え方について(資料1)(資料2)

 

○ 指名部会

 

 

<議事経過>

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(横浜)の開催について
 2019年度の「視聴者のみなさまと語る会」の第4回目を、2019年10月5日土曜日に横浜放送局で開催することを決定した。なお今回は、参加者を小・中学生のお子さまを持つ保護者に限定した会合とした。

 

 

○ 2019年度役員ヒアリング
 黄木理事、松原理事、児野専務理事・技師長に対して、2019年度役員ヒアリングを実施し、上田会長と意見交換を行った。

 

<会長、副会長、専務理事、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1334回(2019年7月23日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、2019年8月30日に公表することを決定した。

 

 

1 会長報告(資料1)(資料2)

 (上田会長)
 放送センターの停電について、児野専務理事・技師長と木田専務理事から報告します。
 (児野専務理事・技師長)
 停電が発生したのは、8月20日火曜日の午前11時29分です。
 放送センター本館のほか、北館や西館・東館などの一部で、部屋の照明が消え、空調、エレベーターが停止するなどの影響が発生しました。
 放送設備については無停電電源装置により救済され、放送自体には影響はありませんでした。
 影響のあった系統については、自家発電装置により順次電源を供給し、昼の12時前には、一部事務室の電源や空調等を除き、おおむね復旧することができました。
 停電の原因ですが、電力会社から受電する装置から主配電室までのケーブルの一系統が短絡したためです。原因の特定とともに予備ケーブルの確保に向けた作業を進め、当日の深夜、バックアップ系統への切り替えを行い、午前2時ごろに全面復旧しました。
 短絡したケーブルについては、このあと詳細に調査し原因を分析します。また、BCPの観点で今回の対応経緯を振り返り、非常事態においても的確に状況を判断し、放送・サービスを確実に守るとともに混乱なく各部門で対応できるように、今後に生かしていく予定です。
 (木田専務理事)
 放送総局での影響について説明します。
 インターネットサービスでは、国際放送「NHKワールド JAPAN」のライブストリーミングで、8分間、配信が停止しました。
 このほか、スタジオの収録が中断して、撮影終了時間に遅れが出るなどの影響が出ました。スタジオの照明や空調が復旧しても、居室の停電が続いていたため、パソコンやプリンターが使えず、番組制作業務に支障が出たケースもありました。
 また、連絡系統のホットラインや各種モニター画面が一時停止したことにより、特にフロアが別であったり、離れた居室で作業したりする部署では、情報の共有に支障が出ました。
 放送総局では、事故直後から、すべての部局を対象に緊急の電源調査を実施し、現在、詳細な分析を進めています。事業継続上、重要度の高い電源については、無停電電源装置への接続や保安電源への切り替えなど、必要な取り組みをすでに始めています。
 いずれにしましても、電源の確保は事業継続の根幹に関わる大きな問題ですので、今回の調査結果を精査したうえで、優先順位をしっかりとつけ、適切な対策につなげていきたいと考えています。

 (森下代行)

 ベースになっているインフラの部分だと、なかなか目が行き届かないと思いますが、今回いろいろと点検するとのことでしたので、それはそれでやってもらいたいと思います。
 先ほど情報共有の説明がありましたが、災害のときの情報共有では、基本的にいろいろな通信手段を使わなければいけないと思います。しかし社内用のシステムの中には使えなくなるものもあるでしょうし、携帯電話だけだとつながらないこともあります。どれかが使えないと連絡できないというのでは、だめだと思います。そういうときに、少なくとも、例えば制作現場といった情報共有が必要な場所との連絡には、そうしたローカルな通信手段に依存しない情報共有の手段を、二重、三重に考えておかないといけないと思います。今回は、皆さんがたいへん努力されて支障が出なかったと思いますが、それをするためにも見直しの準備は必要だと思います。

 (木田専務理事)

 確かに連絡系統のホットラインなどが使えませんでした。これは非常に深刻なことですので、そうした面からも適切な取り組みを進めたいと思います。

 (上田会長)
 受信料制度と公共放送の理解について、荒木専務理事から報告させていただきます。
 (荒木専務理事)
 このところ、テレビを設置していても「NHKを見なければ受信契約はしなくてもよい、受信料は支払わなくてもよい」など、受信料制度について正確な理解に基づかない発言が聞かれること、そして受信料制度についての視聴者の皆さまからのお問い合わせがあることから、公共放送の役割やそれを支える受信料制度の意義について、NHKとしての考えを説明する必要があると考え、さまざまな取り組みを進めています。
 資料を見ていただきたいのですが、この写真がついているところのNHKの公式ホームページのトップ画面、その一番上のところに、「受信料と公共放送についてご理解いただくために」というバナー、つまり情報のリンク先を示す画像を新たに設けました。その画像をクリックした先に現在、4つの文書を掲載しています。
 このうち、7月30日に掲載した文書では、NHKが放送法に基づき、「いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かで良い番組を全国津々浦々にあまねく伝えていく」という使命を果たすため、受信料を財源に公共放送ならではのさまざまな放送事業を行っていることを改めて説明しています。そのうえで、冒頭に述べたように、受信料制度や受信料の公平負担について誤った認識を広めるような行為や発言に対しては、NHKとしてきちんと対応していく考えを表明しています。
 また、8月9日から11日にかけて、「受信料と公共放送についてご理解いただくために」と題した経営広報スポット番組を計3回放送しました。このスポット番組では、松原理事が出演して、放送法で定められた受信契約締結義務と放送受信規約にのっとった受信契約に基づく受信料の支払い義務について、最高裁判決の内容も含めて説明しました。また、皆さまに広くご負担いただいている受信料で支えられている公共放送だからこそ実施できているさまざまな取り組み、例えば、確かな情報や多様な番組、防災・減災情報などを、離島や山間地を含めた全国にあまねくお届けしていること、国際放送の充実やスーパーハイビジョン・手話CGなど先導的な技術開発に取り組んでいること、また、放送と通信の融合が進む中にあって、正確な情報を提供して信頼される「情報の社会的基盤」の役割を果たし、健全な民主主義の発達や文化水準の向上に資するよう努めていることなどを説明しました。放送した内容については、文書と動画で、先程ご紹介したホームページに掲載しています。
 このほか、NHKの訪問を撃退するとのシールが貼られているかどうかにかかわらず、未契約や未納となっているお客さまのお宅を訪問し、受信料制度の理解促進と公平負担の徹底に取り組んでいることを説明した文書と、NHKが、暴力団関係者に対し、受信料の契約・収納業務を委託することはないことを説明した文書もあわせて掲載しています。
 今後も、視聴者・国民のみなさまに公共放送の役割や受信料制度の意義を丁寧にご説明し、公平に受信料をお支払いいただくよう努めてまいりたいと考えています。

 (村田委員)

 「NHKが、暴力団関係者に対し、受信料の契約・収納業務を委託することはない」という文書を掲載したということは、逆に言うと、そういうことがまことしやかにささやかれているということなのでしょうか。

 (荒木専務理事)

 一部にそういうことを言っている人もいて、どこかでそうしたことはないということを、きちんと説明する必要があったということです。

 (森下代行)

 これは、NHKと今の受信料制度について理解していただくために対応していただいていると思いますが、もうひとつ重要なのは、SNSなどインターネットへの対応です。特に最近は、インターネットでいろいろ情報を得られます。テレビを見ない若い人たちは、むしろインターネットを使うと思いますので、インターネットのほうでどんどん情報発信をしていく必要があると思います。そのときには、ぜひ映像を使っていただきたいと思います。文章で書いても、なかなか読んでもらえません。松原理事が出演して放送したようなものを、インターネットやユーチューブで配信するような形で、インターネットでの情報発信をもっと積極的に実施するべきではないかと思います。その場合に、先ほど最後のほうでも説明がありましたように、できるだけ一般論だけではなく具体的な形で、NHKの考えはこうだということをはっきり言えばよいと思います。そうしないと逆に、今度は実際に払っていただいている方々からの信用がなくなると思います。そういった意味でも、今回積極的にNHKの考えを示していくのがよいと思います。

 (荒木専務理事)

 受信料についてはさまざまな問い合わせが来ており、受信料制度の意義などについて、さらにご理解いただけるような方法を検討していきたいと思います。

 (石原委員長)

 今、具体的にインターネットでお伝えする計画はないのですか。積極的に発信をしたらよいと思います。

 (荒木専務理事)

 検討してみます。

 (石原委員長)

 それでは、大変大事なことですので、経営委員会から改めて申し上げます。
 受信料制度はNHKの経営の根幹であり、公共放送・公共メディアとしての使命を果たしていくために、公共放送の役割や受信料制度の意義を視聴者・国民の皆さまに丁寧に説明し、ご理解いただくことが何よりも重要です。そして、公平負担を徹底し、不公平感を解消することは、NHKの大事な責務です。執行部には、これらの取り組みに一層力を入れていただきたい。経営委員会としても、執行部の取り組み状況を引き続き注視するとともに、受信料制度の理解促進と公平負担の徹底に向けて、最大限努力してまいります。
 以上です。よろしくお願いいたします。

 (上田会長)
 民放との連携について、荒木専務理事から報告させていただきます。
 (荒木専務理事)
 NHKは、民放公式テレビポータル「TVer」を経由したNHK番組の配信を、きのう8月26日に開始しました。
 在京民放5社が運営し、多くの方々が利用されている「TVer」を通じて、すでに放送した番組、見逃し番組を配信することで、NHKの番組に触れていただく機会を増やすこと、放送の視聴と公共放送の理解増進につなげることを目的としています。
 こうした効果を確かめるため、5番組から10番組を、放送後1週間程度配信します。配信予定番組は、資料にありますように、総合テレビ、日曜日午後7時半からの「ダーウィンが来た!」、「チコちゃんに叱られる!チコっとだけスペシャル」、教育テレビの「みいつけた!」、「ハートネットTV」、「きょうの健康」などです。
 「TVer」のスマートフォンアプリとウェブサイト経由で、民放の番組と同様、どなたでも無料でご覧いただけます。受信契約の対象ではありません。
 参加にあたっていくつかの課題がありました。「TVer」は、2015年に民放各社が広告モデルとして開始されたものですので、それぞれの見逃し番組の冒頭や末尾などでコマーシャルが配信されています。一方、NHKは、放送法第83条第1項で、「協会は、他人の営業に関する広告の放送をしてはならない」とされています。従いまして、民放がコマーシャルを配信している部分では、公共放送についてご理解をいただくためのコンテンツを配信します。そして、「TVer」が行う広告の収入は、NHKには配分されません。「TVer」を経由した配信は、受信料を財源とするBtoC業務として、放送の視聴と公共放送の理解増進を目的として実施するサービスとして位置づけています。
 もう一点、個人情報の扱いについてです。NHKは、「TVer」を経由した配信にあたっても、個人情報の保護に係る法令等やNHKインターネットガイドラインを順守して、適切に対応します。視聴履歴の扱いもその一つです。NHKの番組を視聴したデータは民放の視聴データとは切り分けて管理されるシステムにするなど、NHKが他人の広告を禁じられていることを踏まえて取り扱うことなどについても、在京民放各社と合意しています。
 NHKが「TVer」経由で配信する番組については、いずれも公式ホームページ「NHKオンライン」でも視聴できます。一部はNHKオンデマンドの無料視聴番組となっています。
 「TVer」を経由したNHK番組の配信は、5月に成立した改正放送法を踏まえて、放送で培ってきた民放とNHKの「二元体制」のもとで、相互にメリットがある協調・連携を図るための重要な取り組みであると考えています。放送と通信の融合時代にあって、これからも、二元体制を堅持して、連携を深めていきたいと思います。

 

 

2 議決事項

 (1) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)(資料3)

 (木田専務理事)
 中央放送番組審議会委員について、次のとおり委嘱を行いたいと思います。つきましては、定款第66条第2項の規定により、経営委員会の同意を得ることとなっております。
 再委嘱がお一人で、日本航空株式会社特別理事の大川順子氏です。9月1日からの任期となります。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

3 報告事項

 (1) 非現用不動産の売却について(資料)

 (松坂理事)
 それでは、非現用不動産の売却について報告します。売却する物件は、廃寮となっている大阪の旧「北桜塚寮」の建物付き土地です。
 売却にあたっては、2019年6月3日に官報に公告したのちに、7月12日に一般競争入札を実施したところ、落札に至りましたので、売却手続きを進めています。
 2ページをご覧ください。売却する物件は、2017年3月に廃寮となった、大阪府豊中市にあります旧「北桜塚寮」の建物付き土地で、面積が463.5平方メートルの宅地です。16者による入札の結果、1億3,500万円で落札されました。
 売却先は、(3)に記載したとおり、大阪市西区に所在する松本林業株式会社で、林業や不動産業などを営む企業です。
 昨日8月26日に売買契約を締結しました。このあと、9月に売買代金の入金および引き渡しを行う予定です。
 なお、すでに廃寮となっております非現用不動産のNHKの寮は、昨年度末で27件ございました。今年度に、いま説明した旧北桜塚寮を含めて、5件売却しています。残る廃寮の不動産についても売却を進めており、売却額が1億円を超えるものについては、経営委員会にそのつど報告します。

 

 (2) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (3) 2019年度第1四半期業務報告(データ更新版)(資料)

 (石原委員長)
 報告事項(2)(3)について、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきます。

 

 (4) BS右旋の帯域再編への対応について(資料)

 (荒木専務理事)
 NHKのBS1、BSプレミアムおよびBS4Kを放送しているBS右旋の帯域再編について説明します。
 BS右旋については、昨年12月の4K・8K本放送の開始にあたり、周波数変更などの帯域再編作業を実施しました。今回、BS右旋に新たな放送事業者が参入することになり、再び、帯域再編を実施することになりましたので、経緯を含め説明します。
 資料1ページは経緯です。昨年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」で、電波の有効利用のため、衛星放送への新規事業者の参入を促進することが示されました。 11月にBS右旋を使用している放送事業者から合計42スロット分の帯域を自主的に返上したいとの申し出があり、帯域再編をすれば、新たに3社程度の新規事業者が参入できる見込みとなりました。ことし1月、総務省は、BS右旋のほか左旋、東経110度CSについて新規放送事業者を公募するための放送法関係審査基準を改正する省令案について意見募集を行いました。これに対して、NHKからは、「帯域再編を行う場合は、視聴者への影響を最小限にするための検討などを十分に行い、周知広報や視聴者対応のための体制構築が不可欠である」、それから「帯域再編のための体制や経費は、行政や新規参入事業者の責任、負担で実施されるべきである」という意見を提出しました。新規参入事業者の公募に対して、BS右旋について9社から申請がありました。新規参入を実現するためには、既存の衛星放送事業者の周波数変更作業が必要となりますが、先月、総務省よりNHKに対して協力要請がありました。要請は、BSプレミアムの周波数変更に協力してもらいたいというものです。今回は、BS1、BSプレミアムとも帯域の縮減はなく、画質への影響等はありません。
 資料2ページをご覧ください。この要請に対し、NHKとしては、規制改革実施計画の方針を踏まえ、周波数有効利用や視聴者サービス向上の観点からも意義あるものと考え、次の3点について改めて強く要望したうえで、国の要請に応ずることとしたいと思います。「①視聴者への影響を最小限にとどめるよう関係者を交えた技術検討を十分に行うこと」、「②周知広報や視聴者対応を確実に実施できる体制を作ること」、「③帯域再編に必要な体制や予算は国の責任で確保すること」です。このうち①、②については、総務省が放送事業者、受信機メーカー、ケーブル連盟など関係事業者により構成される検討部会を立ち上げ、技術検討や周知広報、受信機テストの体制構築を計画しています。
 当面の対応ですが、8月末までに周波数変更に関する指定事項変更申請を総務省へ提出します。9月ごろに総務省が立ち上げる関係事業者による検討体制に参画し、局内でも関係部局からなるプロジェクトを立ち上げる予定です。
 また、実際の帯域再編で想定されるNHKの対応としては、周波数変更作業では、衛星の同じトランスポンダを使う放送事業者は放送を一斉に休止する必要がありますので、休止日の調整が必要となります。スポットや広報番組などによる視聴者への入念な周知広報が必要です。また、前回の帯域再編では、視聴や予約録画の失敗などについて、視聴者からの問い合せが約1,500件ありました。今回も同様な対応が見込まれます。その他、首都直下地震などで放送センターが機能を喪失する事態になったとき、放送継続のため、大阪局または福岡局からBS1の放送をアップリンクして全国で受信してもらうことになっていますが、この時、BS1と同じトランスポンダを使う放送事業者は、放送を休止していただくことになるため、事業者間の調整が必要となります。
 NHKとしては、視聴者のみなさまへの影響が最小限に抑えられるよう、関係者による検討体制や協会内プロジェクトなどで、検討や技術検証、周知活動などが円滑に進むよう対応していきます。

 (長谷川委員)

 このBS右旋とは、新しくアンテナをつけないといけないほうではなく、今現在使っているほうですよね。

 (荒木専務理事)

 BS1、BSプレミアム、およびBS4Kで現在使っているものです。

 

 (5) 総務省「新たなCAS機能に関する検討分科会一次とりまとめ(案)についての意見募集」への対応について(資料)

 (荒木専務理事)
 総務省が実施しました「新たなCAS機能に関する検討分科会一次とりまとめ(案)についての意見募集」への対応について説明します。
 地上と衛星のデジタル放送では、放送番組の不正コピーや違法流通を防ぐための「コンテンツ権利保護機能」と、有料放送事業者が実施している顧客管理やNHKの衛星放送が実施している受信機の設置確認メッセージなどの「視聴制御機能」とが一体となったCAS方式が運用されています。地上・BSデジタル放送受信機で使用しているB−CASカードや新4K・8K放送用のACASチップがこれに当たります。
 2012年に不正改ざんしたB−CASカードが流通したことから、新4K・8K衛星放送に向けて、セキュリティーの高い新CAS方式を開発して、ICチップを実装した受信機が発売されましたが、一部の消費者団体やメーカーから、新CASチップの費用負担のあり方などについて異議が出されました。
 去年6月に閣議決定された規制改革実施計画をふまえ、「新たなCAS機能」の今後の在り方について検討する場として、総務省は昨年11月、「放送を巡る諸課題に関する検討会」のもとに「新たなCAS機能に関する検討分科会」を設置しました。
 その中では、故障時などにおける消費者負担の低減、コンテンツ権利保護機能と視聴制御機能の分離、新たなCAS機能の今後の在り方などについて放送事業者、受信機メーカー、有識者など関係者で検討が進められ、7月に第一次とりまとめ(案)を策定し、意見募集が行われました。
 これに対してNHKが提出した意見は「別紙」の通りです。
 「全体について」では、放送事業者が良質なコンテンツを提供し続けるために、放送番組の著作権、放送番組に含まれるさまざまな権利を適切に保護する必要があり、番組の違法流通を防ぐコンテンツ権利保護をしていること。NHKの衛星放送では、メッセージを表示して受信料の公平負担の徹底につなげていること。新たなCAS機能の検討に際しては、コンテンツ権利保護と視聴制御の2つの機能が実装されたテレビ受信機が広く普及し、視聴者が良質で多様なコンテンツを視聴できる環境を基本とすべき、という意見を述べています。
 各論のテーマとして、「故障時などにおける消費者負担の低減について」は、NHKは受信環境の維持・改善を図るため、受信相談に対して、原因の調査等の対応に取り組んでおり、今後も続けること。それから「コンテンツ権利保護機能と視聴者制御機能の分離について」は、2つの機能が一体化されていることで、有料、無料、NHKという選択肢から多様な番組を視聴いただけるので、新たなCAS機能においても、この2つの機能を一体化させることが、視聴者の利便性からも望ましいこと。それから「新たなCAS機能の在り方について」は、現在のCAS方式を適切に維持、運用し、良質で多様なコンテンツを視聴いただける環境整備に努めることが望ましいこと。将来の新たなCAS機能の検討にあたっても、現在と同様の環境を基本とすべきこと。「まとめについて」、今後も適切なコンテンツ権利保護と視聴制御の機能が一体化したテレビ受信機が普及することで、視聴者に良質で多様なコンテンツを視聴いただくことが維持できること。以上の意見を総務省へ提出しております。

 (石原委員長)

 初歩的な質問なのですが、CAS機能とはどういうものですか。

 (荒木専務理事)

 NHKが利用しているCAS機能は2つあり、1つ目はコンテンツ権利保護機能です。いわゆる不正コピーや違法流通を防ぐため、これを制御する機能で、一定程度以上はコピーができなくするものなどです。もう1つがBSなどで受信確認のメッセージが出ますが、この視聴制御機能です。CAS機能はこの2つを兼ね備えています。

 (石原委員長)

 B−CASとACASの違いは何でしょうか。機能はまったく同じなのですか。

 (児野専務理事・
  技師長)

 基本的な機能は同じですが、セキュリティーの強さが違います。セキュリティーが破られてしまうと不正視聴を許してしまいます。ACASは、それをかなり強化して、B−CASよりも破られにくい方式になっています。

 (石原委員長)

 機能強化がされたということですね。

 (児野専務理事・
  技師長)

 そうです。カードからチップにしたということもあるのですが、一番の大きな違いはセキュリティーの強化です。
 B−CASはセキュリティーが破られた事例があるのです。CASとは「コンディショナル・アクセス・システム」、つまり「条件つきアクセス・システム」です。その条件にかなった人だけがアクセスできるという仕組みで、本来その有料テレビに入ることのできるのはお金を払った人だけ、つまり契約した人だけ見られるという仕組みです。その仕組みを、無料で見られるように改ざんをして、それをネット上で公開した人がいるのです。このため、セキュリティー対策をより強化したのがACASです。

 (石原委員長)

 2Kのテレビには内蔵されていないのですか。

 (児野専務理事・
  技師長)

 方式が違うということです。テレビを買った場合、赤いB−CASカードがついてきますが、これをテレビに差さなければ民放も見られない仕組みになっています。カードを差すことで暗号が解かれるという仕組みになっています。4K・8K対応テレビから、いまはもう出荷の段階から部品として組み込まれているというのがACASです。

 

 (6) 総務省「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」への対応について(資料)

 (荒木専務理事)
 総務省「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」への対応について、説明します。
 総務省は改正放送法の施行に必要となる省令等の整備として、「放送法施行規則の一部を改正する省令案」、「日本放送協会のインターネット活用業務の実施基準の認可に関するガイドライン案」、「日本放送協会の子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン案」を作成し、意見募集を実施しました。
 内容は、NHKの「インターネット活用業務の対象の拡大」、「NHKグループの適正な経営を確保するための制度の充実」、「会計上の透明性の確保」「子会社等の事業運営の在り方」に関するものです。
 意見募集の締め切りは7月31日でした。提出した意見は「別紙」の通りです。
 意見は、ご覧のように3点です。
 1点目は、省令等の全体に共通するものとして、常時同時配信・見逃し配信サービスを実施するにあたっての執行部の意思の表明です。
 2点目と3点目は、子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン案への意見です。2点目は、監査委員会が子会社等の役職員の職務執行を直接監査対象とする趣旨ではないことを再確認したうえで、ガバナンス強化を含む放送法改正の趣旨を十分理解し、法令を遵守し、ガイドラインの趣旨も踏まえながら、監査委員会の職責を果たして、子会社等のガバナンス強化に寄与していくという監査委員会のお考えを記したものです。
 3点目は、当ガイドライン案で、放送法において、経営委員会が重要事項の議決と役員の職務執行の監督を担い、執行部が業務の執行を担うとされている、それぞれの役割を明確にすることを求めるものです。執行に係る、子会社の「運営基準」は、執行部で定めるべきであり、その執行の状況を監督するのが経営委員会であるという整理を踏まえて、ガイドラインの記述の明確化を希望するものです。
 意見募集案については、7月30日の理事会の審議を経て決定し、7月31日に総務省に提出させていただきました。
 なお、本日現在では総務省から意見募集結果は公表されておりませんが、近日中に公表される見通しです。

 

 

4 審議事項

 (1) インターネット実施基準の改定の考え方について(資料1)(資料2)

 (石原委員長)
 インターネット実施基準の改定の考え方について、荒木専務理事から説明を受け、審議をします。
 前回、インターネット実施基準の改定についての説明会を行いました。その際にありました経営委員の意見を踏まえて説明をお願いしたいと思います。
 (荒木専務理事)
 ことし5月に、NHKにテレビ番組の常時同時配信の実施を認めることなどを内容とする放送法改正が行われたことを受け、現在、インターネット活用業務の実施基準の改定に向けた検討を進めています。
 この実施基準については、放送法の定めにより、総務大臣の認可を得ることとされており、認可申請を行う際には、経営委員会の議決をいただく必要があります。認可申請の前に、NHKとして意見募集を実施して広く一般のご意見を伺うことを考えていますので、次回の経営委員会で、そのご意見に付する実施基準案について説明し、審議いただきたいと思います。
 きょうはその前に、現時点の検討内容について説明します。
 案の内容については今後さらに検討を重ねてまいります。また、まだこの案に書き込めていない要素もありますが、お手元の資料にお示しした「主な変更点」に沿って、実施基準案の内容をかいつまんで説明します。
 実施基準案を、資料の別紙として用意しています。現行の実施基準にない新しい要素には、下線を施しています。
 実施基準案の全体の構成としましては、まず用語の定義を含む「総則」、次にインターネット活用業務全体にかかわる「通則」のパートを設け、その後、2号受信料財源業務、2号有料業務というように、業務の種類ごとの規定を置いています。
 「主な変更点」の最初に挙げていますのは、インターネット活用業務の実施計画に関する規定です。
 現在でもNHKは、毎年度インターネットサービスの実施計画を自主的に定め、これに基づいて業務を実施していますが、放送法改正によって、実施計画を策定し総務大臣に届け出ることなどが定められましたので、これに対応した規定を設けています。別紙の3ページ、第7条に実施計画についての内容を規定しています。
 次のポイントは、インターネット活用業務審査・評価委員会に関する規定の整備です。
 現行の実施基準では、競合事業者からの苦情への対応にあたって「外部委員からなる審査委員会」に検討を求めることを書いているのみですが、別紙3ページの第9条で、まず、会長の諮問機関として委員会を設置することを規定し、実施計画の策定や実施状況の評価にあたって委員会の見解を求めること、議事概要等を公表することなどを定めることにしています。
 さらに、別紙15ページの一番下から始まる第35条では競合事業者の苦情への対応にあたって委員会の見解を求めることを規定しています。
 次に放送法改正では、インターネット活用業務に関して2つの努力義務がNHKに課されています。ひとつは地方向け放送番組を提供することと、もうひとつは民放が行うインターネット活用事業に協力することです。別紙の4ページ、第10条として、これに対応する規定を置いています。取り組みの具体的な内容については、毎年度の実施計画で明らかにしていく考えです。
 次は、別紙4ページの第11条から第14条ですが、今回実施基準に追加する大きな要素として、今後開始する常時同時配信と見逃し番組配信に関するものがあります。この第11条から第14条にかけて、地上テレビの常時同時配信・見逃し番組配信を実施すること、その際に、画面上にメッセージ表示を行って受信契約の確認を行い、IDを付与する手順などについて、詳細な規定を設けています。受信料制度との整合を保ちながら、適切に常時同時配信・見逃し番組配信を実施していくための規定です。
 次に、インターネット活用業務に要する費用については、常時同時配信などの新たな業務を開始するにあたって、受信料が協会の放送を受信できる設備の設置者に契約をいただいて、お支払いいただいていること、インターネット活用業務を放送の補完として実施することなどを踏まえ、引き続き抑制的に管理していくことを表明しているところです。
 こうした観点から、インターネット活用業務を適切な規模で管理していくため、別紙6ページの一番上にあります第12条第6項には、ウェブサイト等を少なくとも年1回点検し、社会的意義を勘案して必要性・有効性がないと判断したものは提供を終了する、という内容を定めようとしています。
 費用の上限自体については、適切な上限を設けて抑制的に管理をしていく方針で、別紙8ページの第16条に規定を置くことにしていますが、その内容についてはなお検討を続けており、現時点の案にはまだ内容が入っていません。次回の経営委員会でお示ししたいと考えています。
 インターネット活用業務の費用については、総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」で、会計上の透明性確保を求められており、現在その内容を反映した省令が整備されようとしているところですが、別紙16ページの「第8部インターネット活用業務に係る区分経理等」、第38条で、これに対応する規定を設けることにしています。
 そのほか、別紙18ページの附則の第5条では、常時同時配信の利用に関する事業所契約の扱いに関する規定を置こうとしています。
 常時同時配信については、「受信契約世帯の構成員」が追加負担なく利用できるようにするという説明をしてきましたが、いわゆる事業所契約については、一般世帯での利用方法とは大きく異なることが見込まれることなどから、受信料制度を毀損しないための仕組みを慎重に検討する必要があるため、当面は利用対象としない考えです。
 附則の最後、第7条には、この実施基準を令和5年度末までに見直す、ということを規定しています。
 今回改定する実施基準のもとで新たな業務を開始することになりますので、一定期間経過後に、業務の実施状況や社会情勢を勘案して実施基準を見直すことが必要だと考え、あらかじめその時期を定めようとしているものです。
 以上、インターネット実施基準について、現在検討中の内容を説明させていただきました。
 あらためて、今後のスケジュールについて、説明します。
 本日ご審議いただき、次回の経営委員会に、NHKとして意見募集を行う実施基準案について審議いただき、確認いただきたいと考えています。そして、広く視聴者・国民の皆さまの意見を募集し、それらも踏まえつつ、実施基準を確定し、経営委員会で議決をいただいて、総務大臣に認可の申請を行うこととなります。このような手続きで進めて参りたいと考えています。

 (堰八委員)

 「別紙」素案の第1条、「放送法第20条第2項第2号および第3号の業務」について、第2条以下にいろいろな定義がありますが、例えば、第2条の四の2号受信料財源業務、あるいは六の3号受信料財源業務について、最初の第1条で、(以下「2号業務」)、(以下「3号業務」)というようにかっこで書いたほうが、より鮮明になり、よいのではないかと思います。

 (荒木専務理事)

 わかりました。われわれは、2号業務、3号業務とふだん言い慣れていますので、ご指摘を踏まえて修正したいと思います。

 (佐藤委員)

 4ページの第10条についてです。「地方向けの番組を提供するよう努める」というのはよくわかるのですが、「他の放送事業者との連携・協調を深める観点から、他の放送事業者が行う当該業務に相当する業務の円滑な実施」というのは、これはどういうことをイメージしているのでしょうか。そのようなことがあり得るのかという気がします。

 (荒木専務理事)

 例えば、NHKは「TVer」に参加していますが、こういった民放が実施しているものに対して、NHKとして協調していくということをイメージしています。しかし、まだ具体的に決まっているわけではありません。これから検討することになります。

 (佐藤委員)

 対等な関係ではなくて、先方が実施することに協力するという関係でしょうか。

 (荒木専務理事)

 もちろん対等な関係です。相互に協調して、メディア環境の変化に対応していこうということになります。

 (佐藤委員)

 こちらが努力するという感じに読めたのですが。

 (荒木専務理事)

 放送法上はNHKの努力義務となっています。

 (佐藤委員)

 わかりました。ありがとうございます。

 (渡邊委員)

 8ページの第16条について、「業務実施に要する費用」が検討中となっていますが、新聞などでは「2.5%という数値を超えるのではないか」という懸念が、いろいろな形で指摘されています。一方で、インターネットは放送の補完であるとも思っています。いま、3か年経営計画のちょうど真ん中あたりですが、世の中の動きから言って、いまの経営計画の後くらいには、インターネットが、放送の補完という枠を超える形にならないと、おそらく世の中からも遅れるような気がします。「令和5年までに遅くとも見直す」とありましたが、そのようなイメージを含んだ考え方と受け取ってもよろしいのでしょうか。

 (荒木専務理事)

 NHKが常時同時配信の実現を含めた方向性につきましては、テレビ環境が大きく変化する中で、「NHKが公共放送から公共メディアへ進化して、情報の社会的基盤としての役割をしっかり果たす」ということを目標に掲げて、いろいろとやってきました。その中で、抑制的な管理をしつつ、きちんと実現できるような形を何とかつくり出したいということで、今ぎりぎりの検討をしているところです。ただご指摘のように、この常時同時配信を始めてみて、反響やニーズが、どのくらい、どういったものがあるのか。また、どのようなことが問題になってくるのかなど、未知数のところもあります。実施する中で、実施状況を踏まえて見直すところは見直していこうと考えています。実施基準についても、「令和5年度末までには見直す」という文言を入れて、そのような対応をしたいと考えています。

 (森下代行)

 第38条第5項の費用の整理ですが、「勘定科目の細目ごとの費用と業務との対応関係」や「勘定科目の細目ごとの直課または配賦の別」などについては、「実施計画で定める」となっています。基本的には実施計画に沿って進めることになるのでしょうが、第9項の「費用の整理方法や配賦基準の適正を確保するため、毎年度、有識者を交えた検証・見直しを行う」とあり、これとの関連についてお聞きします。これは、配賦基準など個々の細かいところについては、この有識者会議で整理をしてから費用を配賦するということなのでしょうか。考え方はあっていると思いますが、具体的に細かく実施する際にどのように進めるのかと思いました。

 (荒木専務理事)

 実施計画の中でNHKが配賦基準を定めるときに、その検証について外部の有識者から聴くということですが、あくまでも決定するのはNHKです。

 (森下代行)

 NHKで決めて、それを毎年度実施するということですね。毎年度実施するというのは、実施結果、つまり決算が出たときに、実際の配賦が現実とどうずれているかという分析も行うのですか。

 (荒木専務理事)

 はい。実施計画は、事業年度が始まる前に作り、実績は、年度が終わったときに検証ということになります。

 (松坂理事)

 若干つけ加えさせていただきますと、この17ページの第6項に、「毎事業年度の開始前および終了後に、当該年度に実施する、または実施したインターネット活用業務の費用を第1項から第5項までの規定により整理し、費用明細表を作成する」という条文もあります。ですので、毎年の事業計画をつくって、予算を出す段階で、どのような配分に従って費用を割り振っているかということはきちんと示す必要があり、また、決算の段階で、それはどういうものだったかということについても、きちんと示す必要があります。先ほどご質問がありました第9項、この「有識者を交えた検証・見直し」ですが、これについては、いま経理局の中でも検討していますが、例えば「経理制度検討委員会」という組織もあり、そこに区分会計の専門家の方々もいらっしゃいますので、そのような人たちをどう生かしていくかについては、今後さらに検討したいと思います。区分経理や費用明細は妥当なものか、配賦基準ときちんと合っているか。必要があれば毎年度でも変更していって対応するというようなことだと思っています。

 (石原委員長)

 大変な議論をして、最後のチェックをしているところだと思いますが、大体でき上がったと考えてよろしいですか。第16条を除けば、どうでしょうか。

 (荒木専務理事)

 焦点のひとつとなっているのは、東京オリンピック・パラリンピックの問題です。附則のほうに盛り込みましたが、今後どう扱うか、これから詰めていきたいと思います。

 (堰八委員)

 第14条2項の二の「利用申し込み」についてです。「地上テレビ常時同時配信等業務に係るサービスを利用しようとする者には、住所、氏名その他協会との受信契約を確認するために必要な情報を協会に提供することを求め」とあり、利用申し込みを行うということですが、これはその前にどのような手続きをするのでしょうか。この手続きをしないと受信契約をしているのに見ることができないということになりますよね。

 (荒木専務理事)

 常時同時配信用のアプリやホームページに、例えば住所や名前を入れていただいて申し込んでいただくと、メッセージ画面が消えるという仕組みです。

 (堰八委員)

 ということは、全員それを必ずやらなくてはいけないということですよね。

 (荒木専務理事)

 基本的に利用申し込みと認証が必要になります。

 (堰八委員)

 それをやるのはIDをつくっていただける方ですね。そのときはどのようにID番号が通知されるのですか。

 (荒木専務理事)

 その後、申し込みによりID番号が付与され認証を行いまして、この人はきちんと受信料契約をしていただいている方かどうか認証をしますので、その認証が終わった後にID登録が完了するということです。

 (堰八委員)

 どのぐらいそれに時間がかかりますか。

 (荒木専務理事)

 どの程度その手続きがかかるかですね。なりすましなどを防ぐためにどのような方法があるのかということを検討しており、その検討次第によっては、少し長くかかるかもしれません。

 (堰八委員)

 そもそもこのIDを付与した後の使わせる範囲というのが、第4項の不正をした場合などの停止がある一方で、一定の範囲内の世帯の構成員に利用させることができるということも、前から議論があって非常に難しいところです。例えばエアラインのマイレージでも、自分のマイレージを3親等で使えるというように条件を統一しています。そのようにしないと、結局は不正に使われるのではないかということです。少なくとも同時配信を見ている人の不正については、それこそ現行犯ではないですが、見ているところで「あなた、不正でしょう」と言わない限りわからないのですね。その意味では、抑止力を発揮させるために、何らかのプレッシャーというか、統一制にするとか、申告制にするとか、そのようなものも必要ではないかと思います。それについてはいかがでしょうか。

 (荒木専務理事)

 ID番号は受信契約世帯1世帯に1つです。1つのIDで同時に視聴できる人を何人にするかという問題があります。それについては今、まだ人数を検討中なのですが、例えば世帯で人数を決めて、この人たちは同時に見られますというような仕組みを考えています。

 (堰八委員)

 それは、基本的に同世帯でなければおかしいですよね。

 (荒木専務理事)

 はい。ですから世帯契約をしている契約者の構成員、世帯構成員と考えています。

 (堰八委員)

 少なくとも同居しているイメージですか。

 (荒木専務理事)

 生計をともにして同居しているということを考えています。受信契約との整合性をとっていきます。

 (森下代行)

 事前に登録して、IDをもらうときに自分のところは何人というのを先に登録しないといけないのですね。

 (荒木専務理事)

 一定程度制限は必要だということです。そのやり方ですが、上限だけを決めておくということを考えています。

 (森下代行)

 世帯構成員かどうかはどうやって判断するのですか。

 (荒木専務理事)

 それは世帯構成員、例えば、具体的な数字を決めて、各世帯で最大そこまでは視聴できるようにしようと考えています。

 (森下代行)

 IDを貸してもよいわけですね。自分の世帯で4人使えるのであれば、ほかの人が使ってもよいとなりますね。

 (荒木専務理事)

 それはやはり世帯構成員に限って使っていただくということだと思います。

 (長谷川委員)

 われわれは善意の使用者として、これが使えるかというイメージを持って伺っているのですが、今回は悪意の使用者も考えないといけないわけです。そうすると、例えば住民票を出さないといけないとなれば、これはもう絶対ですが、住民票を出すということはあり得ませんよね。そうすると、例えばNHKに敵対的な組織が、IDがこれだけ余っていますといって配布して、そのIDを使って、大体は1家族4人もいないところが多いですから、そういうことの対策も全部考えないといけません。だからこの人数問題だけでも結構大変だと思います。

 (荒木専務理事)

 そのような不正な使用をした場合には、サービスの利用を停止するという文言も入れる予定です。

 (長谷川委員)

 それでは「泥棒してはいけません」と玄関に貼り紙を貼ることと同じで、それをチェックする機能がまったくなかったら意味がないと思います。

 (石原委員長)

 そこはいま具体的にどのように考えているのですか。例えば上限を10とすれば、10の枠内であればそれでよいということですか。

 (荒木専務理事)

 IDで同時に視聴できる数の上限を規定するということです。

 (石原委員長)

 その中身については、チェックしないと考えているのですか。

 (堰八委員)

 それでは、受信料を払っていない人にまで開放する可能性があります。

 (森下代行)

 その契約世帯に配っても、そのIDを教えれば、全然違う人が使えるのですね。

 (荒木専務理事)

 教えてしまえば使えるのですが、そのようなことはしないでくださいと利用規約に定める予定です。

 (長谷川委員)

 設計するときに、「しないでください」、「善意を信用して」と言うのは、これまではそれでよかったと思うのですが、今このような状況の中でそうした設計をしてはまずいのではないかとは考えられませんか。

 (荒木専務理事)

 なりすましというか、不正に取得することをどうやって防ぐかですね。例えば、これは決まったわけではないのですが、ハガキを出してその世帯構成員に利用してもらうとかいったような、さまざまな方法を検討しているところです。

 (長谷川委員)

 アナログとデジタルの両方を活用したイメージで、どうやって実施するかですね。

 (荒木専務理事)

 常時同時配信によって受信料制度を毀損されないということが、一番話が通ると考えています。そういった制度設計を、原則として維持していくということです。

 (佐藤委員)

 いわゆる受信機があればお金を取るという設計はできると思います。しかしたぶん常時同時配信が実施されたら、学生はパソコンで放送を見るようになって、受信機は買わないと思います。そうなった場合、受信機はないが見ているという状態が起こりますが、それについてはどのように考えているのでしょうか。

 (荒木専務理事)

 親元にいる学生が家で見る分にはよいのだと思います。しかし、例えば親元を離れて生活している学生になると、別世帯となりますので、それは基本的には。

 (佐藤委員)

 しかし、家にいるときにIDを教えてもらったら、そうした事例が出てきますよね。例えば18歳までは家にいて、親元で一緒にテレビを見ていました。そしてIDを使って見ていました。それで下宿しました、となった場合、IDを返す人はいませんよね。

 (松原理事)

 単身赴任の場合とか、親元から離れてひとり暮らしをする人がテレビを持っていれば、そこで契約を結ぶわけですから、それでよいのです。ですから、テレビの設置がなく契約がない場合の取り扱いについて、今、最後の詰めをしているところです。

 (佐藤委員)

 そこが難しいところですね。

 (松原理事)

 世帯単位の契約になっていますから、別住所になると別世帯ということで契約をいただいています。原則は契約があるということだと思うのですが、そこをどう考えるかだと思います。

 (佐藤委員)

 しかし、そこに受信機はないのですよね。

 (松原理事)

 ないから契約対象ではないですね。受信料制度のほうから考えると「契約がないからあなたは見られません」ということになりますが、そこは今最後の詰めをやっています。

 (佐藤委員)

 でも、現実的にできてしまいますよね。

 (村田委員)

 学生の場合はほぼ住民票を移さないでしょう。住民票を移していなくても、世帯は別だと考えられるのですか。

 (松原理事)

 今でも学生の方からは契約をいただいています。住民票を移す、移さないに関係なく、そこに居住しているということですから、それは別世帯ということで契約をいただいています。

 (児野専務理事・
  技師長)

 その議論をしているのですが、例えばテレビを持っていた人が、今度IDさえあればスマートフォンで見ることができるようになった場合、本当にテレビを持たなくなるかというのは、わからないところがあるのです。今度の常時同時配信に使うレートはかなり低いのです。スマートフォンを前提としたような動画が送られるくらいのレートです。それを、例えば4Kのテレビで見るなど、その画面の大きさで見たらものすごく写りの悪い動画になります。だから、そこまでしてでも、スマートフォンの小さい画面でよいというようになってテレビをなくすかというのはわかりません。われわれが目指す方向として、先ほど4K・8Kの普及の話がありましたが、普及を目指すほうからすれば、きれいな動画できちんとした画面で見てくださいということです。その一方で、普及を図っていかないといけないのです。その価値をもっと皆さんにも宣伝しないといけないと思います。

 (佐藤委員)

 スマートフォン程度の大きさをイメージしているということですか。私たちはずっとパソコンのような大きさだと思っていましたが、そうではないのですね。

 (森下代行)

 512Kbpsでしょう。

 (児野専務理事・
  技師長)

 1.5Mbpsです。今、普通のオンデマンドでテレビデバイス向けに配信されているのは6Mbpsぐらいですので、相当画質は劣ります。さらに言うと地上波しか見ることができないので、衛星放送の4Kなどをご覧になる人は、テレビに慣れたとたんに見なくなってしまうと思われるのです。だから、本当にそうなりますか、ということなのです。

 (佐藤委員)

 そのように、みんなわかっているでしょうか。

 (児野専務理事・
  技師長)

 それはわからないかもしれません。けれども、私たちもやってみないとわからないところがあります。入り方として、今、認証を非常に厳しくするという戦略と、緩くして普及を図るという戦略とあると思うのです。われわれが今選択しているのは、緩い認証でまず入ってみようという議論です。ですから、世帯構成員の確認をすると、非常にきちっとした認証になるのですが、その分お金もかかりますし、システムも大変になり、手続きも大変になります。それよりは、もう少し入りやすいシステムで始めたほうがよいのではないかという考えに近いのです。

 (佐藤委員)

 私は同じようなものが見られると思っていたのですが、そうではないのですね。

 (児野専務理事・
  技師長)

 その辺の理解もまだ十分ではありません。
 

 (佐藤委員)

 わかりました。それであれば十分受信機を買うというメリットも出てくると思います。

 (児野専務理事・
  技師長)

 とはいえ、携帯で見ている人の中には、私はこれでもよいという人も出てくると思います。だからまったくないとは言えませんが、それがものすごく広がるかというと、そうはならないのではないかとも思います。

 (森下代行)

 入りやすくするのはよいのですが、不正に使われるようなことが蔓延してしまったらどうするのかという疑問があります。

 (児野専務理事・
  技師長)

 蔓延したらその時点で打てる手はあるわけです。
 

 (森下代行)

 しかし後から規制するというのは難しいと思います。

 (児野専務理事・
  技師長)

 まさにそのような議論をしているわけです。逆に言うと、入り口で厳しくすると、例えば今回のオリンピックを見るのに、すごく煩わしい手続きをしないと見ることができないといった話になってしまいます。

 (森下代行)

 オリンピックはまた別としてもよいと思います。

 (児野専務理事・
  技師長)

 オリンピックが終わってしまったら、またもとに戻ってしまうわけです。それでは普及しないですよね。

 (森下代行)

 緊急サービスや災害も別としてよいと思いますよね。

 (児野専務理事・
  技師長)

 そこはいろいろ考え方があると思います。
 

 (荒木専務理事)

 常時同時配信の目的は、情報の社会的基盤として、多くの人たちに、いつでもどこでも、さまざまな情報にアクセスして見ていただける、そのような基盤をつくりたいということですので、あくまでも放送の補完として、対価でお金をいただいてやるサービスではありません。われわれとしては、できるだけ多くの人が常時同時配信をご利用いただき、災害情報なども手軽に見ていただけるような基盤をつくっていきたいという趣旨です。

 (中島委員)

 第12条の第6項にあるのは、常時同時配信の対象となる番組をどれにするかは社会的意義等で判断するという意味でしょうか。つまり、すべての番組を常時同時配信する義務はないのでしょうか。

 (荒木専務理事)

 いまのところ、サービスは地上波の予定です。いわゆる総合テレビとEテレを配信します。

 (中島委員)

 それでは誰が社会的な意義等を判断するのでしょうか。すべての番組を常時同時配信の対象にすると義務付けられているわけではなく、やめることもできるのでしょうか。すべての番組のうち社会的な意義がある番組を選択することができると第6項では解釈できるように思うのですが、それは間違っていますか。2号受信料財源業務には一般の放送番組が含まれますか。常時同時配信はすべてこれが義務付けられるのでしょうか。それはどこかの条項に記載されていますか。

 (荒木専務理事)

 第11条第1号に、「放送番組のうち、次に掲げる放送のいずれかによるものをすべて連続的に提供するもの」で「提供に必要な権利を確保できないもの等を除いて行う」との内容が記載されています。

 (中島委員)

 第12条第6項には、2号受信料財源業務により提供するとあります。これは放送番組も含まれるわけでしょう。それを社会的な意義を考えてやめることができると解釈できると思うのですが、その大前提が少し違っているような気がします。

 (児野専務理事・
  技師長)

 本来は総合テレビ、Eテレ、そのまますべて権利さえクリアされれば、常時同時配信をするという考え方です。

 (荒木専務理事)

 2号受信料財源業務というのは、すべてが常時同時配信ではなくて、単発で提供している番組もあります。ですから、そのようなものを想定しています。

 (中島委員)

 この表現でそこまで読み取れますでしょうか。

 (荒木専務理事)

 ご指摘を踏まえて検討します。意味合いは、権利がとれないもの以外は全部放送と同じものを出していくということです。

 (長谷川委員)

 常時同時配信は、テレビの画面で見ているものと同じものがパソコンの画面でも見られるという性格のものではなく、むしろ想定しているのは、もっと小さな画面でスマートフォンのような画面であればよく、大画面にすると画質が悪くなるという性質のものなのですね。

 (児野専務理事・
  技師長)

 最初に始めようとしているサービスは、小さい画面を想定したレートで考えています。もっと大きな画面用のサービスをするには、例えば配信のパイプも太くしなくてはいけないでしょう。それはまた経費にはね返ってきます。ですから、それはいつごろどのようにという、このサービスの計画については、今は白紙です。今回今年度中に始めたいと言っているのはスマートフォンです。パソコンで見ても見られますが、今のテレビと比べるとかなり画質が悪い映像になりますので、スマートフォンで見るのが一番見やすいサイズの映像です。

 (堰八委員)

 今のNHKオンデマンドで配信している画質よりもかなり悪いですか。

 (児野専務理事・
  技師長)

 悪いです。ですから、逆に言うとNHKオンデマンドで見ている方は、今度見逃し配信も始めますが、NHKオンデマンドで見るのをやめて、見逃し配信を大きい画面で見ようとすると、相当悪い画質になります。ですから、そのようなことがないのであれば、みんながNHKオンデマンドをやめて、見逃し配信に移ってしまうおそれがあるのですが、たぶんそうはならないのではないかと思っているのは、大きい画面でよい画質の映像を見ているということがあるからです。

 (石原委員長)

 スマートフォンで動画を見られる民間のサービスもありますが、それと同じぐらいですか、あるいは、もっとよいものですか。

 (児野専務理事・
  技師長)

 民間はどれぐらいのレートを使っているかわかりませんが、少なくとも最低今度NHKがやろうとしている1.5Mbpsよりは、同じ画質でよいということかもしれないです。

 (石原委員長)

 その辺の考え方は、執行部のほうではこれでいくと決めたということですか。

 (荒木専務理事)

 きょう説明した範囲内の部分では、そうです。

 (石原委員長)

 あとは、利用規約で細かいことは決めて公表するのですか。

 (荒木専務理事)

 利用規約もそうですし、実施計画に書き込むものもあります。

 (森下代行)

 認証についてですが、入り口を広くするかどうかは大きな問題だと思います。最初は普及を図るためにまずやりますということですね。来年はオリンピックがあるので、そういったことを含めて認証については改めて考えるなどとしたほうがよい気がします。

 (児野専務理事・
  技師長)

 普及ももちろんありますが、今の受信料制度との整合性といいますか、受信料制度のもとでの補完サービスという位置づけを考えたときに、認証をあまり厳しくするというのはいかがなものかと思っています。

 (森下代行)

 それは両面あって、これだと何も規制がないから、結局誰でも使ってしまうのではないかということです。同一世帯ということをどのように証明するのかというのがあって、それが証明できないので、結局それを強化したら受信料制度はどんどん壊れていってしまうおそれがあるということです。だから両面あるのです。

 (児野専務理事・
  技師長)

 入り方としては、1つのIDの同時視聴上限を設定するということで、そこは抑えられるのではないかと思っています。

 (森下代行)

 個人の携帯についてとテレビの世帯については違うわけです。少なくともこれが受信料制度の根本的なところにつながっているので、今は結論出ないとしても、最初は普及、その次はしっかり見直すという考えに立っておかないと、これは非常に危険ではないかと思います。

 (長谷川委員)

 それともう一つ、悲観的なことを言いますと、例えば今度オリンピックで常時同時配信をすると、オリンピックの場合は、見ているほうは画質ではなく、結果がとても気になるわけです。よい受信機を買って、よい画を見るというのと、スマートフォンで結果を見て、「やった、勝った!」で終わればよいというのでは、方向は両極、逆であるわけです。そのように両極化した場合に、果たして本当に大画面でよい画質でよいドラマを鑑賞するという本来のNHK視聴者というのが、何人生き残るかという不安もあったりして、将来像を考えると、どんどん暗い気持ちになってしまいます。

 (荒木専務理事)

 繰り返しになりますが、私たちが常時同時配信を始めるきっかけというのは、いろいろなメディア環境が変わって、インターネットで若い人たちが見るという時代になり、さらに災害情報も、スマートフォンが身近になり、私たちが放送だけで届けられない部分というのがやはりあります。これはインターネットを使って必要な情報を流して社会的責任を果たしていきたいということです。ですから、私たちはできるだけ多くの人たちにNHKの常時同時配信を使っていただきたいと思っています。それはなぜかというと、これはさまざまな調査から明らかなのですが、いざというときに何をつけるかというのは、ふだん使っているものなのです。今の若い人たちにもふだん使いをしてもらえるような常時同時配信になって、そうすると、いざというときにもそれを見ていただけて、情報もきちんととってくることができるという趣旨で、常時同時配信を始めたいということなのです。ですから、そのような意味で言うとテレビ放送の補完ではありますが、車の両輪のように公共的な価値、NHKが持っている公共的な価値の実現に向けて進めていきたいという趣旨です。

 (長谷川委員)

 両輪になるとよいですよね、本当に。

 (石原委員長)

 執行部のほうでも、相当議論してここまで来たのだろうと思います。イギリスではテレビを持っていれば全員受信許可料を支払うことになっていて、支払わなければ最後は罰金ということにもなるとのことでした。ところが、テレビ持っていなければ、イギリスでも受信許可料を支払わないわけでしょう。

 (上田会長)

 今はインターネットでも支払うことになっています。

 (石原委員長)

 受信許可料を取れているかどうかですね。こういったデバイスはいくらでもあるわけで、インターネットですから、スマートフォンでも見られるわけですね。それが取れていないのではないかと思います。

 (上田会長)

 実態はよくわからないです。

 (石原委員長)

 要するに、うちにテレビがあるから支払っているというのと、うちにはテレビがなくてスマートフォンで見ているというのと、その人からちゃんと取れているかどうかというと、結びついてないのではないですか。同じことがNHKにおいても起こるのではないですか。

 (上田会長)

 イギリスの場合は刑事罰がありますから、その点は違います。

 (石原委員長)

 NHKは、将来テレビもなく、スマートフォンでばかり見るようになったときどうするのかということです。拡大すると画質の悪い映像しか映らない電波を流しておけば、それはテレビを買いたいと思うかもしれませんが、それもだんだんそうならなくなるでしょう。

 (児野専務理事・
  技師長)

 それはならなくなると思います。
 

 (上田会長)

 きょうは、本当に本質的な議論が出ました。常時同時配信は、物理的に置かれているテレビがあるということを確認しながらやっている今の受信料制度のもとで、放送を補完するものとして実施します。国民・視聴者の皆さまからパブリックコメントもすぐとりますので、そうすると多くの意見が寄せられる可能性があります。そういったところを見ながら、今のこの枠組みの中で、きちんとやっていくことを考えているところです。

 (石原委員長)

 きょうはいろいろな意見が出ましたが、相当理解が深まったのではないかと思います。

 (村田委員)

 今、イギリスのBBCの例がありましたが、例えばイギリスではどのようになっているのでしょうか。

 (上田会長)

 ドイツの場合には、インターネットで見ていようが、テレビを持っていようが、まったく無関係に「放送負担金」として世帯ごとに支払います。イギリスBBCの場合は、罰則が片側にあり、強制力がある仕組みになっています。

 (森下代行)

 今の認証の仕方、議論がいろいろありますが、認証の議論になった細かいことは、ここでは規定する必要はないわけですね。ここでは認証するということを書いてあればよいので。どのようにやるかというのは別途決めればよいということで、いろいろと議論がありましたが、それが全部煮詰まらないとこれが決まらないということではないと思います。

 (石原委員長)

 そうなのですか。

 (荒木専務理事)

 実施計画や利用規約で決めることもあります。

 (森下代行)

 基準には認証するということをはっきりしておけばよいということです。

 (石原委員長)

 実施計画は年内ぐらいですか。

 (荒木専務理事)

 実施基準についての総務大臣からの認可をいただいたのち、実施計画は、特に今年度で始める部分もあるかもしれないので、その部分はすぐ策定します。来年度分については、その後に策定するという段取りになると思っています。

 (石原委員長)

 これは受信料制度のあり方と密接に関連する重要な課題なので、改めてまた議論します。きょうは大変よい議論をさせていただきました。どうもありがとうございます。それでは、ここで本日の審議は終了いたします。

 

 

○ 指名部会
 会長任命に関する指名部会を開催した。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 2019年10月29日    

石 原  進  

 

 

高 橋 正 美