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第1334回
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2019年8月30日(金)公表

日本放送協会第1334回経営委員会議事録
(2019年7月23日開催分)

第1334回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1334回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2019年7月23日(火)午後1時00分から午後5時45分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 森 下 俊 三 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   佐 藤 友美子 堰 八 義 博
    高 橋 正 美   中 島 尚 正 長谷川 三千子
    村 田 晃 嗣   渡 邊 博 美  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  板 野 専務理事 児 野 専務理事・技師長 荒 木 専務理事
  松 原 理 事 黄 木 理 事 中 田 理 事
  鈴 木 理 事 松 坂 理 事 正 籬 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

付議事項

 

○ 監査委員会報告

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(名古屋大学)登壇者報告

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(長崎)開催報告(資料)

 

1 監査委員会報告(資料1)(資料2)

 

2 会長報告

 

3 議決事項

 (1) ラジオ予備放送所の用地取得について(資料)

 

4 報告事項

 (1) 2019年度第1四半期業務報告(資料1)(資料2)

 (2) 視聴者対応報告(2019年4〜6月)について(資料1)(資料2)(資料3)

 (3) 2018年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について(資料1)(資料2)

 (4) 契約・収納活動の状況(2019年6月末)(資料)

 

○ 説明会「インターネット実施基準の改定など放送法改正に伴う対応について」

 

○ 指名部会

 

 

<議事経過>

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

 

○ 監査委員会報告
 平成30年度の監査委員会の活動報告について、監査委員会より説明を受け、意見交換を行った。

 

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(名古屋大学)登壇者報告
 7月12日金曜日に開催された「視聴者のみなさまと語る会(名古屋大学)」に登壇した森下代行、井伊委員、中島委員から感想の報告を受けた。

 

<会長、副会長、専務理事、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1333回(2019年7月9日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、2019年7月26日に公表することを決定した。

 

 

○ 視聴者のみなさまと語る会(長崎)開催報告(資料)

 (経営委員会事務局長)
 2019年度、2回目の実施となりました「語る会」は、5月18日土曜日にNHK長崎放送局で開催しました。時間は午後1時から3時10分までの2時間10分でした。
 登壇は、経営委員会から、石原委員長、堰八委員、高橋委員の3人。執行部から木田専務理事、鈴木理事、長崎放送局の遠藤局長の3人を加えた合計6人で、司会は富永禎彦アナウンサーでした。
 公募の結果、ホームページなどを通じて59人の方から参加の申し込みがあり、全員に参加案内をお送りしました。当日は、32人が「語る会」に参加されました。
 「語る会」終了後には、「連続テレビ小説『なつぞら』とっておきの楽しみ方」と題して、磯智明チーフ・プロデューサーによる講演会を開催しました。
 概要や反響等については、報告書の1〜2ページに記載しています。
 冒頭、堰八委員が経営委員会や経営計画、平成31年度の収支予算と事業計画などについて説明しました。その内容は3〜5ページに記載しています。
 意見聴取は「経営全般」と「放送」の2つのテーマで実施し、「インターネット時代における受信料制度」「受信料の公平負担」「公平・公正、信頼できる報道」「地域放送の充実」についてなど、多岐にわたる意見や提言が寄せられました。これらは6ページ以降に掲載しています。
 終了後の参加者への当日アンケートの結果とアンケートに記された具体的内容は24ページ以降に記載しています。

 

 

1 監査委員会報告(資料1)(資料2)

 (高橋委員)
 2019年度監査委員会監査実施計画につきまして、昨日の監査委員会で決定いたしましたので報告します。
 監査委員会では、例年、協会の「業務報告書」および「財務諸表」に添える「意見書」を6月下旬に総務大臣に提出した後、「意見書」の内容を踏まえて監査実施計画を策定し、経営委員会に報告しています。今回も、6月25日に提出した平成30年度「意見書」の内容を踏まえ、2019年度の監査実施計画を定めました。
 監査委員会による監査には、業務監査と会計監査があります。Ⅰの「業務監査」の重点監査項目は、協会の「業務報告書に添える意見書」に記載した付記事項も踏まえて、次に述べる7項目としました。いずれも、現経営計画で重要課題と位置づけられているもので、経営計画に対する平成30年1月の経営委員会見解なども踏まえて決めています。重点監査項目の柱立ては、平成30年度と変わっておりません。
 重点監査項目の1つ目は、「内部統制の推進およびリスクマネジメントの取り組みの監査」です。
 内部統制の確認は、監査委員会監査の大前提となるものです。放送法改正を受けた内部統制強化の取り組みや、2020年に向けて、さらに重要度を増すサイバー攻撃へのセキュリティー強化など、IT統制の取り組みも含めて確認してまいりたいと考えています。
 2つ目は、「『公共メディアへの進化』に向けた取り組みの監査」です。
 公共メディア時代のサービスのあり方は最重要の経営課題であり、常時同時配信の開始に向けた取り組みや、BS4K・BS8Kの普及に向けた取り組みなどを含め重点監査項目とします。
 3つ目は、「働き方改革の取り組みの監査」です。働き方改革については、平成29年度の年度途中から重点監査項目に追加しましたが、NHKグループ全体の喫緊の経営課題であることから、引き続き重点監査項目とします。改正労働基準法を踏まえた働き方改革の取り組みはもとより、組織運営や女性の活躍に向けた取り組み、人材育成との両立などを含め、確認してまいります。
 4つ目は、「NHKグループ経営改革の取り組みの監査」です。
 NHKグループにおける経営資源の最適配置は、引き続き重要な課題です。NHK本体と関連団体の業務体制をどのように再構築していくのか、また、放送法改正を受けてグループの内部統制強化に係る体制をどう充実するのか、なども含めてチェックします。
 5つ目は、「地域改革の取り組みの監査」です。重点監査項目として3年目の今年度は、地域の実情に合わせた放送・サービス、業務改革の実施状況をはじめ、拠点放送局によるブロック経営の進捗状況などを確認してまいります。
 6つ目は、「国際発信力の強化に向けた取り組みの監査」です。2020年に向けて海外からの関心がさらに高まる中、多言語化の推進や訪日・在留外国人に対する安全・安心情報を含む情報提供強化の取り組み、「NHKワールド JAPAN」の充実と認知度向上への取り組みなどを確認してまいります。
 7つ目は、「放送センター建替に向けた取り組みの監査」です。基本設計や放送機能、事業継続などの検討状況とともに、建て替えに関する公平性・透明性・客観性確保の取り組みなどを監査します。
 以上が重点監査項目です。これらはいずれも、継続的に監査を行ってきた項目ですが、今年度はこれに加え「その他の監査項目」を3つ掲げています。
 1つ目は、「命と暮らしを守る災害報道の取り組み」です。災害報道については、これまで大きな災害が起こると、そのつど、項目を立てて取り上げてまいりました。しかし、住民の避難に結びつく災害報道の高度化や南海トラフ巨大地震・首都直下地震などに備えた放送局機能・体制強化の取り組みは年間を通して行われていること、また、「命と暮らしを守る災害報道」は、公共メディアの最重要の使命であることから、通年の監査項目にしたものです。
 2つ目は、「東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組み」です。国内で行われるオリンピック・パラリンピック大会の前年度である本年、最高水準の放送・サービスの実現に向けた取り組みを監査項目としました。
 3つ目は、「事業規模の適正管理に向けた取り組み」です。今年度予定されている受信料値下げおよび負担軽減策の実施状況を確認し、2021年度以降も見据えた事業規模の適正管理に向けて、どのように取り組んでいくかを監査項目といたします。
 「その他の監査項目」は以上ですが、2019年度は次期会長の任命がございます。監査実施計画では、次期会長の任命プロセスが、放送法および経営委員会規程、経営委員会委員の服務に関する準則などを遵守したものとなっているかについて、監査委員会として監査することをこれまでの例にならって特別監査項目として明記しました。
 Ⅱの「会計監査」につきましては、協会の財務諸表に関する監査を監査委員会監査実施要領に基づいて実施します。会計監査人の監査の方法および結果の相当性について審議を行い、監査意見を形成します。
 以上、ご説明した計画に基づいて監査活動を実施していきます。
 監査計画の内容は、監査の実施過程で必要に応じて見直されるものであり、重要な修正が必要になった場合にはそのつど報告させていただきます。
 (石原委員長)
 子会社の管理の状況について、あわせてお願いいたします。
 (高橋委員)
 続きまして、「選定監査委員に対する子会社管理状況の報告」について説明します。
 監査委員会は昨日、協会による子会社管理の状況について、グループ経営改革統括の板野専務理事から報告を受けました。「内部統制関係議決」の中の「会長は、監査委員会が選定する監査委員に対して、定期的に子会社の管理の状況を報告する」という規定に基づき、報告を受けています。
 2019年7月までの主な取り組みについて、前回と同様、「ビジョン・価値観の共有促進」、「グループガバナンス強化」、「グループ全体での業務効率化・管理高度化」の3つの項目に分けて報告がありました。ポイントを絞って報告します。
 まず1つ目、「ビジョン・価値観の共有促進」についてです。
 お手元の資料の2ページをご覧ください。赤字で記載された部分を中心に説明がありました。
 コミュニケーションの強化については、NHK会長と各団体の社長・理事長の懇談会が1対1の形で順次実施されていること、また、4月11日に総務担当役員会議、5月14日に総務担当部長会議がそれぞれ開かれ、放送法改正の動き、NHKグループガバナンスの強化、業務委託を中心とした適正な外部パワーの活用などについて、説明および情報共有をしたとの報告を受けております。
 また、関連団体経営部門への出向管理職9人につきましては、このうち2人を6月の管理職異動で本体に復職させ、マネジメント力を発揮してもらうとともに、新たな管理職2人を出向させたとのことです。
 続いて、人材育成の強化につきましては、4月1日にNHKグループ合同入社・入局式を行ったこと、5月20日から関連団体の制作系新人向けに研修を実施したこと、6月5日にNHKから就任する関連団体非常勤役員への研修を行ったことなどが報告されました。関連団体経営幹部向けの研修も引き続き実施していくとのことです。
 事業運営制度の強化につきましては、団体ごとに定めている経営目標の2018年度の達成度について評価を行ったことが報告されました。ここでは、財務状況やガバナンス、団体ごとの重点事業を評価することに加え、グループへ大きな貢献をした場合はプラスの評価、内部統制の不備などはマイナスの評価を実施したとのことです。さらに、各団体の役割などに応じて、2019年度の経営目標を設定したとの報告がありました。
 続いて、3ページをご覧ください。「グループガバナンス強化」です。
 まず、4月1日に内部監査連絡会を開催し、NHK内部監査室による2018年度の指摘事項や、2019年度監査方針の情報共有を行ったことが報告されました。
 また、NBC・NHKビジネスクリエイトによる内部統制支援業務のサービスがスタートし、本年度はNHK学園、NHK交響楽団、NHK厚生文化事業団の3つの団体が対象となっているとの報告がありました。今後、他の団体への拡大も含め、検討を進めていくとのことです。
 続いて4ページは、「内部統制」についてです。
 NHK内部監査室による「関連団体調査」は、2019年度から3巡目に入ります。今年度は、9か所程度を予定していることが報告されました。
 続いて、このページの一番下をご覧ください。「システムリスク解消に向けた構成管理の実施」です。「構成管理」とは、外部回線やシステムなどの設備の構成を把握し、脆弱性を管理し、対策を実施していくことです。東京オリンピック・パラリンピックを前に、増加するであろう日本へのサイバー攻撃のリスクに備えるためのもので、年度内にリスクを評価したうえで、来年度初頭の体制整備を目指しており、これに向けて7月から8月に関連団体の個別ヒアリングを予定しているとの報告を受けました。
 続いて5ページをご覧ください。「グループ全体での業務効率化・管理高度化」です。
 まず、技術分野では、NHKメディアテクノロジーとNHKアイテックが4月1日付で合併し、NHKテクノロジーズが発足しましたが、合併後は統合検証委員会をスタートさせ、事業収支の検証と地域拠点の統合推進のタスクグループを立ち上げて、個別の検討に入っているとの報告がありました。
 また、番組制作分野では、引き続きNHKエンタープライズとNHKプラネットが経営統合に向けて個別の課題を掘り下げているとの報告がありました。具体的には給与、組織、内部統制、システム、経理など、それぞれの体制・仕組みについて議論を深め、統合推進委員会で進捗を確認しており、年内の合併契約調印を目指して検討を進めているとのことです。
 続いて、6ページは、「グループ経営・ガバナンス強化について」です。
 特に放送法の改正を見据えた取り組みとして、4月1日の公開ホームページの改善と5月24日の関連公益法人等改革トッププロジェクトについて、詳しい報告がありました。
 ホームページの改善については、NHK公開ホームページの関連団体に関する情報開示を改善したとのことです。さまざまなページに点在していた情報を集約し、関連団体の全体像と各団体の個別情報を簡便に知ることができるようになったとのことでした。今後は、情報開示すべき項目として総務省から示された項目をどのような表現で公表していくのかなど、関連団体と相談のうえ、対応を検討していくとのことです。
 また、関連公益法人等改革トッププロジェクトについてですが、一般財団法人4団体によるトッププロジェクトについてはいったん区切りをつけ、今後は放送法改正も見据え、関連公益法人等9団体全体のガバナンス強化に向けた第2フェーズに入ることとし、5月24日に最初のプロジェクト会議を開催したとの報告を受けました。
 今回の放送法改正を受けたグループガバナンスの強化については、関連団体とも必要な情報を共有しながら、今後の動きを注視しつつ、関係部局・関連団体と連携して取り組んでいきたいとのことでした。
 以上が、執行部から監査委員会への報告の概要です。
 協会による子会社管理の状況につきましては、監査委員会は、今後もおおむね四半期ごとに報告を受けたいと考えています。

 

 

2 会長報告

 (上田会長)
 おととい投開票が行われました第25回参議院議員通常選挙の選挙報道について、担当の正籬理事より説明します。
 (正籬理事)
 総合テレビの開票速報は、午後7時55分から開始し、大河ドラマも休止して、翌22日午前4時半まで放送しました。また、「おはよう日本」でも選挙情報を中心に伝え、すべての議席の確定までお伝えしました。
 当日は、全国およそ1,700か所の投票所で15万人あまりを対象に出口調査を行い、当確判定は、出口調査の結果や期日前投票を含めた事前の情勢取材の結果などを総合的に分析して、正確、迅速に行いました。
 その結果、投票が締め切られた午後8時の冒頭で「自民・公明両党が改選議席の過半数にあたる63議席を上回るのは確実」と、今回の選挙結果の全体像をお伝えしました。その後も、迅速、的確な当確判定で、激戦となった宮城選挙区や滋賀選挙区などについても、確信の持てるデータに基づいて、次々と当確を打ち出しました。そして、翌日午前8時半に打ち出した比例代表の最後の当確者まで、ミスなく正確にお伝えしました。
 このほか、開票速報では、従来よりもさらに見やすく、より情報性の高い画面づくりに力を注ぎました。バーチャル技術を使って、各党の議席予測や各地の出口調査の結果を分かりやすく、ダイナミックに紹介しました。また、注目区の開票の動きを解説委員が分析を交えて解説したり、SNSなどの情報を分析する専用コーナーを設けて各党の戦略や有権者の関心などを多角的に伝えたりしたほか、各党幹部のインタビューや当選・当確者の声を事務所などから中継で伝えました。政局をめぐる動きについても逐一放送し、選挙の全貌をお伝えできたと感じています。
 また、選挙の事前報道では、激戦区リポートや各党党首を追う企画などに加え、年金制度、消費税率引き上げの是非、憲法改正などの争点についても、各ニュースや番組で分かりやすく取り上げました。
 インターネット展開にも力を入れ、各党の党首が行った第一声や街頭演説の内容をテキスト化したうえで、どのようなことばを多く使ったかなどを詳細に分析したほか、選挙区の候補者の第一声や注目選挙区リポートの動画を45すべての選挙区で掲載するなど、多彩なコンテンツを提供しました。
 また、4月の統一地方選挙に続き、開票速報はインターネットでも同時提供を行ったほか、インターネット上の選挙サイトには非常に多くのアクセスがありました。データ放送でも開票速報をお伝えしました。
 ラジオの開票速報では、インターネット上で午後8時から午前0時までの毎正時ごとに「聞き逃し配信」を提供し、いつでも最新の開票状況をまとめて聞くことができるようにしたほか、いわゆる「AIスピーカー」にも配信しました。
 また、NHKの「らじる★らじる」や民放のラジオポータルサイトの「radiko」では、開票速報が始まって以降、利用者が大幅に増え、通常の2倍程度になりました。さらに、英語によるテレビ国際放送、「NHKワールド JAPAN」では、午後7時50分より開票速報番組を放送し、ウェブサイトでも参議院選挙に関する情報を伝えました。
 韓国・KBSやアメリカ・ブルームバーグ、カタール・アルジャジーラなど各国メディアが、NHKの放送内容を引用しつつ開票について伝えるとともに、アジアやヨーロッパの公共放送などが選挙情勢に関するNHKの映像の提供を受けました。
 テレビ、ラジオ、国際放送、インターネットとあらゆる伝送路を駆使し、開票速報では正確・迅速な当選確実で、視聴者・国民の知る権利に応え、事前の選挙報道でも、多彩なコンテンツで有権者の判断材料となる情報を分かりやすくお届けして、公共放送・公共メディアとしての使命を達成できたと考えています。
 公平・公正かつミスのない選挙報道ができたのは、職員・スタッフが緊張感を持って周到な準備を進め、投開票日もそれぞれの現場がしっかりと役割を果たすという全局体制で取り組んだ成果だと考えています。
 ちなみに、総合テレビの関東地区の視聴率は、午後8時台で14.7%、9時台12.8%、10時台10.0%、11時台7.7%、午前0時台でも5.3%と、多くの方にご覧いただきました。今後も、選挙結果を受けた政治の動きを丁寧かつ的確に伝え、引き続き視聴者の関心に応えていく考えです。
 6年前の参議院選挙の後、佐戸未和記者が亡くなり、過労死と認定されました。あすは佐戸さんの6回目のご命日です。NHKでは、佐戸さんの過労死を重く受け止め、公共放送をともに支える大切な仲間を失うようなことがあってはならないと考えています。働く人の健康を最優先にして、NHKグループが一体となって長時間労働に頼らない組織風土づくりや業務改革に取り組んでおり、選挙報道も決して聖域ではありません。
 今回の選挙報道でも、比例票の取りまとめを東京に一括するなど、事前の情勢取材や各種調査を含めて、業務の効率化、電子化、平準化を柱として抜本的な改革を進めました。特にことしは、4月の統一地方選挙と夏の参議院選挙が重なる12年に一度の年で、効率化、電子化を進めるため、統一地方選挙の前に選挙に関するシステム全般の抜本的な改修を行い、総労働時間の削減と休日の増加につなげました。参議院選挙でも、この流れをさらに進め、勤務管理に十全の措置をとりました。選挙後も、所属長を通じて休暇の取得を奨励するなど、メリハリのある働き方を心がけて職員の健康管理に努めていきます。

 (村田委員)

 15万人を対象に出口調査を行ったということでしたが、これは非常に大きな数だと思います。参議院選挙の時には、毎回そのくらいの規模で出口調査を行うのですか。
 また、衆議院の時にも同規模で行うのですか。参考までに教えてください。

 (正籬理事)

 正確な情報を得るために、大体この程度の規模の出口調査を行っています。衆議院はもう少し多くなるかもしれません。

 (石原委員長)

 15万人というのは、感触としてどのくらいの程度なのでしょうか。

 (正籬理事)

 今回は合区の選挙区もありますが、各都道府県の選挙区が、統計的にまんべんなく漏れなく捉えられるように、全国1,700か所の開票所全体で、朝から夕方までの間、投票を終えた方15万人を対象に出口調査を行ったということです。

 (森下代行)

 今回、システム対応での働き方改革や、終わった後の記者の健康状況の管理など、対応は非常によかったと思います。しかし、地域ごとに仕事の業務量のばらつきがあったのではないかと思います。東京から全体的な調整を行い支援するなど、何か対応はされたのですか。

 (正籬理事)

 今回、効率化で効果が大きかったのは、比例代表の票集め作業をなくしたことです。選挙区と比例代表がありますが、各開票所に行って比例代表の票を取得するのはすごく大変な作業です。県選管に集まった票を電子的に集めるのですが、比例代表の開票は選挙区の後ですので夜中の作業になります。その集票作業をなくしたのが、効率化という意味では非常に大きかったと思います。
 全国的に選挙を行っていますので、災害の時のように、どっと人を派遣することは難しいのですが、例えば、今説明した夜中の集票作業を効率化したり、これまで午前3時台に拠点局ごとに放送を出していたものを、全部東京で一括して放送する形にして、地方局の作業負担を軽くするなどの措置をとったりし、総合的に軽減を図りました。

 (森下代行)

 しっかりフォローアップしていただきたいと思います。

 (石原委員長)

 比例代表が特に遅れたわけではないのですね。

 (正籬理事)

 比例代表については、例えば市役所などに夜、人を派遣して票をとったほうが早いのですが、今回は、市役所から県の選管に票が行って、そのデータを入手するという形になりましたので、集票は従来より多少時間はかかりました。

 (上田会長)
 それでは、EBU(ヨーロッパ放送連合)総会の出席について報告します。
 私は現在、ABU(アジア太平洋放送連合)の会長職を担っておりますが、ノルウェーのオスロで6月27日と28日の2日間開かれたEBUの総会に出席しました。
 総会のハイライトは、アメリカの動画配信大手・ネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEOと、EBU会長でBBCのトニー・ホール会長との会談でした。ネットフリックスの登場によってテレビ視聴者の減少やコンテンツ制作費の高騰が進んでいるとして放送業界が危機感を抱く中、ヘイスティングスCEOは、「ネットフリックスの目的は、良質のコンテンツを世界につなぐ役割を果たすことだ」と述べ、今後も各国の放送局と共同制作や配信面でパートナーシップを展開する意欲を示しました。
 また、総会では、スペシャルセッションとして、「デジタル時代への対応」、「若者にどうリーチするか」、「ニュースへの信頼」、「男女の平等」という4つのテーマで、放送局の経営者や記者による討議が行われました。このうち、「デジタル時代への対応」のセッションでは、各国の放送局がノウハウを共有したり、共同のプロジェクトを強化したりする必要性とともに、パブリックサービスメディアとして、社会の現実を理解し、信頼されるコンテンツを制作していくことの重要性が指摘されました。
 このほか、私はトニー・ホール会長らEBU幹部と意見交換を行い、この中でホール会長に対し、ことし11月に開かれるABU東京総会への出席を要請したところ、快諾していただきました。ホール会長とは、去年10月に韓国のソウルで行われましたPBI(国際公共放送会議)で初めて会って以来、親交を深めております。
 ABU東京総会は、NHKがホストとなり、関連行事を含め、11月17日から22日の日程で開催されます。総会のテーマ「Building Trust:Enriching Audience Experience」、和訳で「多様な視聴体験への挑戦〜信頼されるメディアを目指して」です。デジタル時代への対応などをめぐって討議が行われるほか、NHKの技術や制作ノウハウを紹介する「NHKショーケース」や、各国を代表するアーティストが参加する「ABUテレビソングフェスティバル」などの催しも開かれます。ABU東京総会には、海外から500人規模の参加者が見込まれています。ご都合がよろしければ、経営委員の皆さんもぜひご参加いただきたいと思います。

 

 

3 議決事項

 (1) ラジオ予備放送所の用地取得について(資料)

 (松坂理事)
 それでは、ラジオ予備放送所の用地取得について説明します。
 中京地区の基幹放送所である鍋田ラジオ放送所については、南海トラフ地震による津波被害想定によると、周辺地域における浸水想定が2メートル以上5メートル未満とされたことから、津波による浸水や船舶やコンテナなどの漂流物による設備被害、液状化による放送所孤立の可能性などがあるため、2011年から津波対策の検討を開始しました。そして放送所被災時でも大規模エリアをカバーできるバックアップ設備として、予備放送所設備の検討を進めてきました。
 このラジオ予備放送所については、愛知県刈谷市に建設候補地を選び、2018年10月に地権者と用地取得に向けた基本合意書を締結し、検討を重ねてきましたが、このたび地権者と条件の合意に達しましたので、当該用地の取得についての審議をお願いします。
 2ページの「1 取得予定地の概要」をご覧ください。予定地は、愛知県刈谷市小垣江町東高根41番1など全13筆で、地目は田で、敷地面積は2万7,659平方メートルとなります。
 「2 契約条件」です。契約先はいずれも個人で、6人の方とそれぞれ契約を締結する予定です。契約額は合計で、約6.6億円となります。1平方メートルあたりの単価は、2万4,000円です。
 契約書締結は、経営委員会の議決後に取り進めてまいりますが、契約予定日を2019年7月25日、支払いおよび受け渡しは、2020年4月を予定しています。なお、当該地区の現状が農地であることから、農用地区からの除外、開発許可、農地転用許可、それぞれの申請許可を得られることを停止条件とした契約としております。
 3ページの「3 取得予定地 位置図」です。NHK名古屋放送局、弥富市の鍋田ラジオ放送所、それから今回取得を予定しています刈谷市の建設予定地の位置関係を示したものです。地図の右下に赤い丸で示しているのは予備放送所で、鍋田ラジオ放送所から東南東方向に約23キロメートルの位置に建設を予定しています。
 3ページ下段の「4 ラジオ予備放送所の整備概要」です。送信出力は、ラジオ第1放送が20キロワット、ラジオ第2放送は10キロワットでの出力を予定しています。用地取得の経営決定がされた後に、各種申請や設備設計などを進め、2024年に運用を開始する予定です。
 最後に、4ページですが、参考として、鍋田ラジオ放送所の概要と課題を記載しています。

 (長谷川委員)

 この新しい予備放送所は、海抜何メートルぐらいでしょうか。

 (松坂理事)

 海抜15メートルです。地図を見ていただくと分かると思うのですが、かなり内陸に入っており、津波の浸水のおそれはないところです。

 (長谷川委員)

 川のそばにありますが、かなり高いのですか。

 (松坂理事)

 河川の氾濫などによって放送ができなくなるような場所ではありません。

 (井伊委員)

 2ページの「(4) その他」に、「申請許可を受けられることを停止条件としている」とありますが、この停止条件とはどのようなものでしょうか。

 (松坂理事)

 農地転用許可などができなければ放送所の建設はできませんので、その時は契約を停止するという意味です。今のところ農地転用許可はできる見通しのもとで進めているのですが、契約においてはこのように書いています。

 (石原委員長)

 それぞれの許可が下りなければ、その時はやめるということですね。

 (上田会長)

 そういうことです。

 (明石委員)

 この用地の必要性と買収金額に関しては承知しましたが、建設費を含めた全体の概要はお示しいただいているのでしょうか。

 (松坂理事)

 建設費等については、もう少し詳細を出してからご提示する予定にしています。

 (明石委員)

 しかし用地の買収にあたっては、建設規模も想定してこの用地を取得しようという計画を立てていると思います。ある程度の概算はあると理解してよろしいですか。

 (経理局長)

 はい。ラジオ中継放送所の場合、概算で20億円規模です。鉄塔や局舎などを整備するのですが、具体的にはそれぞれ個別に見積書を作り、予算をつけて実施します。

 (明石委員)

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

4 報告事項

 (1) 2019年度第1四半期業務報告(資料1)(資料2)

 (荒木専務理事)
 それでは、2019年度第1四半期業務報告について報告します。これは、放送法第39条第3項の「会長は3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を経営委員会に報告しなければならない」という規定に基づき行うものです。
 3ページから8ページに、「今期の概況」をまとめています。3ページの冒頭の「総括」です。
 新元号の発表など、国内外が注目する大きな出来事を国際発信も含めて、放送やインターネットを通じて正確・迅速で役に立つ情報を提供したこと。連続テレビ小説100作目の「なつぞら」が幅広い世代によく見られていること。ラジオのインターネット配信プラットフォーム「radiko」で、NHKのラジオ番組の同時配信を4月から正式サービスとして開始したこと。NHKのテレビ放送のインターネットへの常時同時配信を認める改正放送法の国会審議の対応にあたり、法案が5月29日に成立したこと。技術部門の子会社2つが合併し、4月1日からNHKテクノロジーズとして業務を開始したこと。職員の逮捕や国際放送番組で出演者について事実と異なる内容を伝えるなどの不祥事が起きたことを受け、再発防止に全局で取り組んでいることなどを記しています。
 続けて、5つの重点方針ごとに取り組みと成果、それぞれの「今後の取り組み」について記述しています。
 まず、放送・サービスに関わる3つの重点方針についてです。
 「重点方針1. “公共メディア”への進化」です。主な取り組みとして、震度6強を記録した新潟・山形の地震では、即座に特設ニュースを開始し津波注意報の発表などを迅速に伝えたこと。第45回放送文化基金賞では、「チコちゃんに叱られる!」などが最優秀賞を受賞したこと。世界遺産マチュピチュからの4K中継の特別番組を、BS4KとBSプレミアムで同時放送したこと。本格的な出水期に備えて、ポータルサイト「あなたの天気・防災」と「NHKニュース・防災」アプリに、国土交通省の河川監視カメラ2,500か所の画像を6月から新たに掲載したこと、などを記述しています。「今後の取り組み」では、インターネットでの常時同時配信の実施に向けて、実施基準の策定やシステム、運用体制などの整備を加速させること、などを記しています。
 5ページの「重点方針2. 多様な地域社会への貢献」です。地域に寄り添う放送・サービスの強化の具体的な内容や、地域改革の具体的な取り組みについて記しています。地震や大雨などの災害報道では、特設ニュースだけでなく、L字放送、ライフライン放送、ホームページなども活用し、ローカル情報発信を多面的に展開し信頼に応えたこと。地域改革の取り組みとして、パイロット局の年間総括を行い、2年目に放送系は地域サービスの充実を持続可能なものにし、放送だけでなく視聴者コミュニケーションなど、地域社会への貢献を目指すこと、などを記述しています。「今後の取り組み」ですが、地域放送局間のネットワークを活用した全国放送向け番組の開発に向け、来年度の改定を見据えた議論を進めていくこと、などを記しています。
 続いて、「重点方針3. 未来へのチャレンジ」です。新たな技術として、英語によるテレビ国際放送のライブストリーミングに自動翻訳機能を利用して6言語の字幕をつける実験を開始したこと。Eテレの子ども向け番組を視聴できる「NHKキッズ」アプリをリリースし、開始1か月で3万以上のユーザーに利用されていること、などを記述しています。「今後の取り組み」ですが、障害の有無に関わらず東京オリンピック・パラリンピックの参加感を高めるユニバーサルサービスに資する新技術の開発を進めること、などが記されています。
 次は、マネジメントにかかわる2つの重点方針です。「重点方針4. 視聴者理解・公平負担を推進」です。前年度に比べ、新規契約の自主的な申し出の減少などにより、支払数増加は、年間目標47万件に対して12.6万件、衛星契約増加は年間目標58万件に対して21.0万件の増加となったこと、などが書いてあります。「今後の取り組み」ですが、10月予定の負担軽減策「設置月の無料化」と受信料の値下げの円滑な実施に向けて、事前準備や周知活動を進めていくこと、などが記されています。
 「重点方針5. 創造と効率、信頼を追求」です。今四半期の取り組みとしては、経営計画の重点項目への資源投資の結果や、既存業務の見直しの視点で決算を分析し、次の予算・事業計画の策定に反映させる「予算・決算のPDCAサイクル」を確立するため、全部局長による2018年度の決算点検報告を受け、検証を行ったこと。6月の管理職異動で、女性管理職割合が9.5%となったこと。NHKエンタープライズとNHKプラネットの来年4月の経営統合に向け、統合推進委員会を立ち上げ、具体的な検討に入ったこと、などを記述しています。「今後の取り組み」ですが、来年度の予算・事業計画、要員計画、組織改正の提案を一体で行い、業務の見直しと重点事項への重点配置など、限りある経営資源をより効率的・効果的に配分する取り組みを深化させること、などを記しています。
 続いて9ページをご覧ください。「今期の取り組みから」として、特筆すべき取り組みを写真つきで紹介しています。聖火リレートーチの展示、NHK・民放連の共同ラジオキャンペーンで行ったラジオ特番などについて紹介しています。
 10ページと11ページですが、経営計画の進捗などを測る「経営14指標」について説明していますが、14指標の世論調査は、7月と1月の実施ですので、11ページは参考として載せた前回の結果です。第2四半期に、7月に実施している調査結果を報告します。
 12ページからは、今期のその他の指標などの状況を参考で載せています。13ページと14ページについては、国内放送・インターネットの調査結果です。13ページは、6月に行った質的指標の調査結果ですが、いずれのチャンネルにおいても質的指標が有意に変動した項目はありませんでした。14ページは、接触者率と世帯視聴率などを載せています。このうち、「総合リーチ」、「総合視聴率」の今期のデータ、15ページの「中央放送番組審議会の意見」については空欄になっていますが、データなどがまとまりましたら、改めて説明させていただきます。なお、国際戦略調査につきましては、今年度から第2四半期、第4四半期に実施することとしておりまして、今期の報告はありません。16ページは受信契約の状況。17ページと18ページは、6月末時点での予算の執行状況を載せています。

 (中島委員)

 7月からだと思いますが、ラジオの同時配信「らじる★らじる」で、「今は聴けません」という表示が時々出ていました。これは参議院選挙の候補者の選挙広報に関係した時間帯だったのが理由でしょうか。

 (荒木専務理事)

 政見放送についてはテレビとラジオで放送すると定められており、「らじる★らじる」では配信していません。

 (中島委員)

 そのほかの制約は、原則としてないのでしょうか。

 (荒木専務理事)

 夏の高校野球の地方大会は配信していません。

 (石原委員長)

 6ページに、「テレビ国際放送のライブストリーミングに自動翻訳機を利用して6言語の字幕を付与する」とありますが、日本語から6言語に翻訳したのですか。

 (正籬理事)

 いいえ。AIでは、日本語からよりも、英語から他の言語に翻訳したほうが正確性が高いので、英語の放送を翻訳しています。

 (石原委員長)

 日本語も入っているのですか。

 (正籬理事)

 日本語は入っていません。

 (荒木専務理事)

 特に英語とフランス語は非常に親和性が高いので、割とよく翻訳ができています。言語によって少し違いますが、かなり満足度が高い結果が出ています。

 (石原委員長)

 9割が満足しているというのは、ほぼ機能としてはでき上がったと考えてもよいのでしょうか。

 (正籬理事)

 画面上の字幕で他の言語を選ぶと、聞き終わったときに、「満足しましたか」というアンケートが表示されるようになっています。その結果、「満足」という回答が9割だったということです。それぞれの言語がどの程度満足だったかという結果について、今すぐ手元にデータはないのですが、全体として9割の方は「満足」という回答をしてくださっているということです。

 (明石委員)

 11ページの「経営14指標の世論調査結果」についてですが、まず印象として感じるのは、調査の継続性を考慮したとしても、受信料をいただいている方の数に比べてサンプル数が非常に少ないということです。3,600人を対象に、有効回答率が52.2%ということは、回答は1,880件しかありません。しかも「訪問留置法」というやり方だけで実施しているということですが、これをもう少し拡大して、例えばインターネットを活用して意見を聴取するというやり方もあるのではないでしょうか。結果だけではなく、調査項目が知りたいです。受信料をいただいていて、受信者の満足度を推し量るものが、こうした調査結果であるとすると、これは非常に重要な調査だと思います。

 (荒木専務理事)

 統計的に有意な結果が出るということで、この調査においては、この母数を選んで実施しています。同じ方法でずっと継続的に実施していますので、四半期ごとに、定期的にチェックをしています。これ以外にも、例えば13ページの「放送・サービス(国内放送・インターネット)の状況」では、質的指標の評価について、ウェブ調査で実施しています。受信契約者の皆さまの満足度を測るということについて、さまざまな調査を実施しています。またこれ以外にも、11ページの下のほうですが、VFM(Value for Money)について記載しています。これは、受信料をどのくらいの額なら支払ってもよいかという額の総額をNHKの事業支出額で割ったもので、1.81という数値です。この指標も含め、視聴者の皆さまの満足度を測ることができる体制をつくっていますが、指標については不断の見直しも必要です。どのような指標でお客さまの満足度を測っていくのかということは、われわれにとりましても最大の課題のひとつです。新しい指標も含め、調査方法の検討を行っていきたいと思います。

 (明石委員)

 例え統計上は問題ない数字であったとしても、できるだけ母数が多いほうが、NHKとして多くの方々のご意見を聞いているという姿勢を見せることができるはずです。この調査は「訪問留置法」ということですが、受信料を徴収する訪問員がアンケートを持ってお願いしているのであれば、数をもっと多く、かつ広範囲に、しかも地域性にも配慮しながらお願いすることができるのではないでしょうか。ぜひ検討いただきたいと思います。

 (経営企画局長)

 この調査については、専門の調査会社に委託して実施しています。先ほど荒木専務理事から説明があったように、科学的な調査方法のルールにのっとって実施しているのですが、これを補完するさまざまな調査もしています。

 (明石委員)

 しかし視聴者の声という意味では、これは非常に有効なものとして、外部にも公表している調査結果ですよね。母数としては1,880件で問題ないと調査会社は言うかもしれませんが、皆さんはどのようにお感じになりますか。それで十分だと思われるのでしょうか。私はその辺が少し疑問に思います。

 (荒木専務理事)

 これ以外にも、例えば放送文化研究所が定期的に世論調査を実施しているのですが、その結果も含め、NHKがどのように見られているのか、あるいはNHKに何が求められているのかという調査も実施しています。そうした調査の結果についても定期的に報告を受けており、経営に生かしていると考えています。

 (明石委員)

 ぜひ広く意見を聞いてほしいと思います。

 (井伊委員)

 VFMは、これから結構重要な指標になると思いますが、これをどのように発展させていくのか、より信頼性のある数値にしていくのか、そのような議論は何かされていますでしょうか。

 (経営企画局長)

 今、このVFMの調査をする大学の先生と一緒に、どのような形がよいか研究しています。VFMは、実際に決算の額がまとまってから算出する形にしていますので、毎年度7月ごろ報告させていただくことになっています。これまでも継続的に算出しており、常に1以上を目指すことにしています。今回は1.81でして、大体1.8くらいの数値にはなっています。

 (井伊委員)

 数値を出すことだけに意義があるのではなく、この指標をどう解釈するのか、どのように受信料の議論に使うのかなど、責任ある数字ということで今後も吟味していただけるとよいと思います。

 

 (2) 視聴者対応報告(2019年4〜6月)について(資料1)(資料2)(資料3)

 (黄木理事)
 2019年4月から6月の視聴者対応の状況について、放送法の規定に基づき報告します。
 まず3ページをご覧ください。視聴者から寄せられた意見・要望への対応状況です。視聴者の声の総数は、上の表の水色のところで、4月から6月の3か月間で94万2,066件でした。
 左側の黄色い部分が意見・要望の件数です。総数は13万9,211件でした。
 次に、右側の黄色い部分です。意見・要望の87%にあたる12万1,734件は、各ふれあいセンターなどのコミュニケーターなどが対応する一次窓口で、お客さまに説明して理解をいただきました。残りの1万7,477件は、放送の該当部局や担当地域の営業部、あるいは受信相談窓口で回答したり説明したりするなどの二次対応を行いました。本部の各部局や全国の放送局に直接届く意見・要望については、原則一次窓口で完了しています。
 下の棒グラフをご覧ください。視聴者の声の分野別の内訳・件数です。
 オレンジ色の「受信料関係」が最も多く、黄緑色が「放送番組」に関するご意見など、それから黄色い部分が「技術・受信相談」の件数です。
 次に、4ページをご覧ください。放送番組に寄せられた声です。4月から6月で、26万6,655件の声をいただきました。
 左の円グラフにありますように、放送日や再放送の予定などの問い合わせが全体の58%と最も多く、好評意見が6%、番組に対する厳しいご意見が20%という内訳になっています。
 また、右の年代別のグラフをご覧になっていただきますと分かりますが、50代以上の方がおよそ82%を占めています。
 この苦情を含む意見や問い合わせにつきましては、事前に準備した説明資料や必要に応じて新たに作成する資料などを基に、ふれあいセンターや該当部局、全国の各放送局で丁寧に対応させています。また、寄せられた意見や要望は、「VOISシステム」を通じて、番組担当者や該当部局がその中身を直接知ることができるようになっています。
 このページの下の表には、再放送希望の多かった10の番組を挙げています。ご覧のように、4月から6月では「ガッテン!」に、大変多くの再放送希望が寄せられました。上位10番組のうち5本が「ガッテン!」になっています。それから、上から2つ目の「The Covers」や、4番目のNHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」などにも多くの再放送の要望がありました。
 このうち、右側のオレンジ色で示している6本については、すでに再放送をしています。さらに、6番の「ガッテン!」については今月中に、それから2番の「The Covers」のこの回については来月に、再放送する予定にしています。
 続いて5ページをご覧ください。受信料関係に寄せられた声の概要です。4月から6月で53万9,482件のご意見、問い合わせが寄せられました。大半は問い合わせですので、速やかに回答するなどの対応をしました。このうち苦情を含む意見については、ふれあいセンターの営業で受け付けたのが、3か月で1万5,022件ありました。内容について見ますと、訪問員等の対応や訪問日時などへのご意見、これらは「スタッフ関係」という形でまとめていますが、これが合わせて8,185件で最も多くなっています。これにつきましては、同じ時期、昨年度の4月から6月までと比べますと、3,600件あまり少なくなっています。また、ことしの1月から6月までの半年で見ましても、昨年同期に比べますと、5,600件あまりの減少となっています。
 寄せられた意見の52%は一次窓口で対応を完了し、残る48%は担当地域の営業部・営業センターが二次対応をしました。
 続いて、技術・受信相談に寄せられた意見です。4月から6月は、1万3,380件の意見を受けました。受信不良の申し出が8,349件、技術相談が5,031件でした。受信不良の申し出につきましては、49%が1次窓口で対応を完了し、残る51%は2次対応しました。
 このページの一番下、4月から6月にNHKの経営に関してのご意見が1,087件寄せられました。主な内訳は、「不祥事」関連が285件と最も多く、そのほかに「職員制度」関連、「公共放送」関連となっています。
 次に、6ページをご覧ください。これ以降は、視聴者から寄せられた意見・要望にどのように対応したか、具体的な例をいくつか報告します。
 初めは、観覧の希望の応募数が非常に多い公開収録番組の申し込み方法を見直す対応をしたということです。「ジャニーズJr.」などが出演する公開番組「ザ少年倶楽部」がございますが、これには毎回多くの観覧希望が寄せられます。同伴入場の権利がインターネットで高額で転売されるというケースが相次いでおり、視聴者から改善を求める声が上がっていました。このため、6月17日収録分の番組から、観覧申し込みの方法を見直しました。これまでは入場整理券1枚が当たりますと、2人まで入場できましたが、1枚1人にして不正な転売を防ぐとともに、入場していただく時に顔認証システムを導入して、来場者全員の本人確認を行うこととしました。ファンの方からは、不正転売に心を痛めていたので改善されてうれしい、などの声が寄せられています。
 次に、7ページです。視聴者の要望に応えた大相撲中継の取り組みです。最近は、しこ名の読み方が難しい力士が増えていて、視聴者からは、「しこ名にふりがなを振ってほしい」という要望が寄せられるようになっていました。この写真にありますように、「琴恵光(ことえこう)」とか「阿武咲(おうのしょう)」とかという名前が多くなってきていて、視聴者からは、「昔は何とか山とか何とか海などの簡単なしこ名が多かったが、最近は難しい名前も多いのでよい取り組みだ」という声がありましたので、5月の大相撲夏場所から、十両以上の力士の取り組みでしこ名にふりがなをつけるようにしました。「難しい名前の読み方がわかってよい試みだ」とか、「聴覚障害者や子どもたちも喜んでいると思う」というような声が相次いで寄せられました。
 続いて、8ページをご覧ください。去年の西日本豪雨を教訓にした取り組みです。西日本豪雨では、死者・行方不明者が、災害関連死と認定された方を含めて282人になりました。NHKはこの西日本豪雨をきっかけに、災害が切迫しているときには地域放送局での避難の呼びかけを最優先するという方針を打ち出しました。防災・減災の取り組みについて、その後も各地で進めており、広島放送局は、発災から1年の少し前、地元民放の広島テレビと共同で特別番組を制作し、6月5日に放送しました。事前に募集した視聴者の皆さまからのご意見や体験談をもとに、広島県内の各地を取材し、被災した当時、雨音にかき消されて防災無線が聞こえなかったという事実や、夜間避難するのに十分な備えがなかったことについて教訓となっていることなど、避難情報が十分生かされなかった原因などについて、この番組で伝えました。番組に出演していただいた方からは、「災害から1年が経過した被災地の現状をわかりやすく伝えてくれた」、「自分たちの被災体験が今後の防災に少しでも役立ってほしい」などの声が寄せられました。
 続いて、9ページです。誤記・誤読などについて、視聴者から指摘いただいたことへの対応です。放送でのテロップや誤読などのミス、事実関係の間違いについての指摘件数は、4月が90件、5月が78件、6月が93件、合わせて261件ありました。前の四半期と比べると、26件増えています。それから、下の段ですが、ホームページ上のミスは、3か月で合わせて110件で、これも前の四半期に比べると3件増えています。
 こうした視聴者の皆さまからのご指摘は、ふれあいセンターや広報局の視聴者部から番組担当者に連絡し、対応を求めました。また再発防止のため、放送関係の各部局で構成する放送倫理連絡会などで周知し、注意を促しています。
 なお個別の番組に寄せられた意見やその傾向などの分析につきましては、もうひとつの別の冊子「月刊みなさまの声」に、4月分から6月分までの3か月分をまとめて掲載していますので、ご参照いただければと思います。

 

 (3) 2018年度NHKと関連団体との取引の評価・公表について(資料1)(資料2)

 (松坂理事)
 2018年度におけるNHKと関連団体との取引の評価・公表について説明します。
 まず、公表の趣旨ですが、これはNHKが定めている「関連団体運営基準」の第26条に基づき、関連団体との一定規模以上の取引について、その取引が適正に行われているかNHK自身で評価し、毎年度取りまとめて公表しているものです。
 評価・公表の対象については、国と同一の公表基準を採用しています。例えば工事や製造の場合は、1件の契約金額が250万円を超えるもの、財産の買い入れの場合には1件160万円を超えるものなどの基準に沿って、評価、公表しているということです。
 以下、1枚ものの「ポイント」の資料に沿って説明しますが、2018年度の関連団体との取引については、件数が2,215件、金額は1,992億円となっています。全体の取引としては、前年度に対して111億円増加しています。これは、国内放送・国際放送の充実や、BS4K・8Kの本放送開始などによる番組制作の強化・推進等に伴って、番組制作関係の業務委託が増加したこと、放送・サービスの維持継続や情報漏えい防止を目的としたセキュリティー対策のさらなる強化に伴って、回線システム調査やシステム改修等の経費が増加したことなどによるものです。
 次に、取引の評価について説明します。関連団体との取引については、NHKの経理規程および業務委託基準に基づき、すべての取引が適正に行われているかをNHK自身で点検し、いずれの取引も適正であると評価しています。この評価にあたっては、外部有識者で構成する入札契約委員会の評価も踏まえています。
 一番下の表ですが、競争による関連団体との契約状況です。2018年度の実施件数は423件、金額は148億円となりました。主な実施例としては、NHK共同受信施設の大規模改修工事などがあります。
 本報告の内容につきましては、本資料の2ページから6ページまでの資料に、「個別の全契約情報の一覧表」、2018年度の件数で言うと約1万1千件の契約について、それも合わせてNHKの公開ホームページで、7月中に公表する予定です。
 続きまして、「2018年度 NHKと外部との契約の状況について」説明します。本資料7ページの別添資料をご覧ください。「2018年度 NHKと外部(関連団体を含む)との契約の状況について」という資料です。
 こちらは、NHKと関連団体を含む外部との契約について、2018年度の全体状況をまとめたものです。番組制作関係の取引は、競争入札になじまないために、集計の対象外としています。競争契約と随意契約の比率など、契約の全体状況を取りまとめて公表することで、競争性や透明性を高い水準で確保していくこととしています、
 「2 契約状況の推移」について説明します。2018年度の競争契約は2,740億円で、競争契約の割合は69.4%です。前年度に比べ、金額、割合とも大きく増えていますが、これは放送センター建替工事の大型案件、税込みで618億円が含まれていることによるものです。
 それから、一番下の「3 一般競争入札の推移」については、2018年度は1,997件、1,238億円となりました。この一般競争入札については、毎年、少しずつ着実に増加していますが、2018年度の金額につきましては、先ほど触れました放送センター建替工事の契約による影響が大きくなっています。
 こちらの資料につきましても、NHKの公開ホームページで7月末に公表する予定です。

 (石原委員長)

 公表についてはホームページで行うのですね。

 (松坂理事)

 全体状況と契約の一覧、これは1件ずつ契約の内容と金額、随意か入札か、また入札の場合は予定価格と落札額、そして随意契約の場合はその理由などが書かれたものですが、それを合わせてホームページで公表します。

 

 (4) 契約・収納活動の状況(2019年6月末)(資料)

 (石原委員長)
 報告事項(4)について、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきます。

 

 (石原委員長)
 議題は以上となりますが、全体を通して何かコメントはありますか。

 (中島委員)

 選挙開票速報の視聴率が10数%と、「なつぞら」やほかのニュース番組と比べてもずいぶん低い印象を持ちましたが、同じ時間帯で放送している民放のほうに流れたのでしょうか。テレビよりもインターネットのほうに流れたのではないかとも思うのですが、どうでしょうか。

 (正籬理事)

 確かにインターネットの同時配信で見ている方もいると思います。

 (中島委員)

 それは視聴率にはカウントされていないわけですね。

 (正籬理事)

 はい。視聴率はあくまでも放送で見ている方の数字を取っているものです。

 (中島委員)

 選挙では、毎回10数%という水準なのでしょうか。

 (木田専務理事)

 今回は14.7%でした。これは民放各局に比べて第1位です。

 (正籬理事)

 選挙区や関心などにもよります。例えば、小泉首相の郵政改革のときはものすごく上がりましたし、政権交代があるかないかなど、政治状況などによっても視聴率の数字は変わりますので、一概には比較できないと思います。

 (木田専務理事)

 3年前の参議院選挙と比べると少し下がっている感じですが、大体同じぐらいです。

 (中島委員)

 ありがとうございました。

 

 

○ 説明会「インターネット実施基準の改定など放送法改正に伴う対応について」
 担当理事より「インターネット実施基準の改定など放送法改正に伴う対応について」の説明を受け、意見交換を行った。
 「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」への対応について、経営委員会からの意見も盛り込むよう指示した。

 

 

○ 指名部会
 会長任命に関する指名部会を開催した。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 2019年8月27日    

石 原  進 

 

 

高 橋 正 美