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第1281回
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平成29年4月28日(金)公表

日本放送協会第1281回経営委員会議事録
(平成29年4月11日開催分)

第1281回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1281回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成29年4月11日(火)午後0時00分から午後5時20分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  石 原  進 本 田 勝 彦 井 伊 雅 子
    小 林 いずみ   堰 八 義 博 高 橋 正 美
    中 島 尚 正   長谷川 三千子 宮 原 秀 夫
    森 下 俊 三   渡 邊 博 美  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  上 田 会 長 堂 元 副会長 木 田 専務理事
  森 永 技師長 今 井 専務理事 坂 本 理 事
  安 齋 理 事 根 本 理 事 松 原 理 事
  荒 木 理 事 黄 木 理 事 大 橋 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

<議   題>

 

○ 今後の議事運営について

 (1) 国会対応の状況について

 

付議事項

 

1 議決事項

 (1) 平成29年度会計監査人の任命について

 (2) 平成29年度標準役員報酬について

 (3) 退任役員の退職金について

 (4) 理事の任命の同意について

 

2 委員長報告

 

3 会長報告(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)

 

4 議決事項

 (1) 平成29年度役員交際費の支出限度額について(資料)

 (2) ラジオ中継放送局の設置計画について(資料)

 

5 報告事項

 (1) ラジオ中継放送局の開局について(資料)

 (2) 平成28年度決算の日程について(資料)

 

6 その他事項

 (1) 会計検査院の検査結果について(資料)

 (2) 新放送会館候補地の協議に関する基本合意書締結について

 (3) 平成29年春季交渉の結果について(資料)

 

○ 平成28年度役員目標年間総括ヒアリング

 

○ 説明会「経営計画策定のスケジュール」

 

○ 説明会「受信料制度等検討委員会の検討状況」

 

 

議事経過

 

 石原委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

○ 今後の議事運営について

 (1) 国会対応の状況について
 平成29年度NHK予算に関連した、国会の審議の状況について情報を共有し、委員長コメントを確認した。

 

 

1 議決事項

 (1) 平成29年度会計監査人の任命について

 (歌川経営委員会事務局長)

 平成29年度の会計監査人の任命についてお諮りします。
 放送法により、NHKの財務諸表については、会計監査人による監査が義務付けられ、会計監査人は経営委員会が任命すること、任期はその年度の決算を総務大臣に提出するまで、と定められています。
 これにもとづき、経営委員会は、年度ごとに会計監査人任命の議決をおこなっています。
NHKの監査人には、放送法によって監査人の任命が義務づけられた平成20年度以降、9年間「新日本有限責任監査法人」を任命してきました。
 経営委員会では、監査人業務には一定の継続性と、かつ、選定の透明性が求められると考え、平成20年度、および25年度分の2回、複数の監査人による「技術審査付き競争」いわゆる「プロポーザル」を行い、それぞれ同法人を選定し、その後継続して監査人を任命してきております。
 昨年28年度の任命にあたっては、同法人が平成27年12月に金融庁の行政処分をうけた点についても監査委員会にもご検討をいただき、同法人の取り組みを踏まえた上で、引き続き任命することとしています。
 以上の経緯を踏まえ、平成29年度の会計監査人には、新日本会計監査法人を継続して任命することをご提案させていただきます。
 また、29年度をもって同法人への任命が10年となり、一定期間を経たと考えられることから、監査人の任命のあり方についての点検、検討が必要かと考えております。今後、監査委員会の協力もいただきながら検討を行い、平成30年度以降の監査人の任命の方向性について結論を出したいと考えております。
 (高橋監査委員)
 事務局から説明がありました会計監査人の任命について、監査委員会として意見を述べさせていただきます。
 監査委員会は、会計監査、財務諸表監査という職責を果たすために、会計監査人と定期的に「意見交換」を行っています。個別具体的な項目について質疑応答を行い、活発なコミュニケーションを通して財務上の課題などを共有し、それぞれの監査の有効性及び効率性を高めるとともに、年度末には、こうした「意見交換」を参考に、財務諸表に対する監査委員会の意見をとりまとめています。
 28年度の会計監査につきましては、現在、執行部が決算整理を行っているところであり、監査手続きとしては、放送法第78条の定めにしたがい、財務諸表を総務大臣に提出する6月下旬を目標に進めているところであります。
 監査委員会としては、新日本有限責任監査法人の職務遂行状況については、協会の会計監査において、会計監査人として、適正かつ誠実にその職務を遂行しているものと認識しております。
 また、監査委員会として、引き続き同監査法人の業務改善に向けた取り組みおよび協会の会計監査の実施状況について報告を求めるとともに、同監査法人の監査品質の向上に向けた取り組みの状況を注視していきます。
 監査委員会からは以上です。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

<会長入室>

 

 (2) 平成29年度標準役員報酬について

 (上田会長)
 平成29年度の標準役員報酬についてお諮りします。
 役員の報酬につきましては「会長、副会長および理事の報酬支給基準」に基づき、年度ごとに経営委員会の議決をいただくことになっており、毎年度、国会で予算の承認を受けたあと、経営委員会において審議していただいています。
 29年度につきましては、全役職とも「月額報酬」「期末報酬」「年間報酬額」を28年度と同額とします。
 また、注書きの「上期の期末報酬」にかかわる記述も28年度と同じ内容により提案いたします。
 報酬額の提案にあたりましては、職員の給与について、25年度以降、29年度までの5年で、基準賃金の10%を目安に引き下げている現在の状況に鑑みて、前年度と同額とすると判断しました。
 以上、ご審議のほど、よろしくお願いします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (3) 退任役員の退職金について

 (上田会長)

 平成29年1月24日をもちまして退任しました籾井勝人前会長への退職金についてお諮りいたします。
 退職金は、「会長、副会長および理事の退職金支給基準」に基づいて支給します。支給額につきましては、退職金支給基準第3条の規定に基づき会長の在任月数に、退任時の報酬月額の100分の28に相当する額を乗じて得た額としています。
 なお、退職金支給基準第5条に「退職金のほか、特別慰労金を支給することができる」とありますが、今回は支給しません。また、第6条に「減額することができる」とありますが、これも適用しません。
 3年の任期をまっとうされた福地元会長、松本元会長については、いずれも退職金支給基準に基づき、増額も減額もなく、標準額により退職金を支給しています。籾井前会長についても同様の考え方としています。なお、大きな不祥事のあった平成17年以降については、他の役員についても退職金支給基準第5条による特別慰労金は支給していません。
 以上、ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (4) 理事の任命の同意について

 (上田会長)

 定款第38条第3項の規定により、本年4月25日付で、理事に、坂本忠宣を再任し、新たに、児野昭彦、菅康弘、中田裕之の3名を任命したいのでご同意いただきたく、審議をお願い申し上げます。
 今回の人事にあたりまして、私の考えを申し上げます。経営委員会委員の皆さまのご理解・ご協力もいただき、NHK予算は4年ぶりに衆参両院を通じて全会一致で承認されました。私としては、これで、経営の舵取りのスタートラインに立てたという思いです。その舵取りのなかで、最優先に考えなければならないのは放送と通信の融合の時代にあって、公共放送NHKを公共メディアへとどのように進化させていくかということだと思います。そしてそのためにも、グループ経営改革を推し進め、ポスト「全体最適」の業務体制の構築、なかでも地域の放送・サービスのより一層の充実に取り組まなければならないと考えております。そして、これらの経営課題に取り組む中期の工程表とも言うべき、次期経営計画をこの1年で、急ぎまとめ上げなければなりません。
 今回の人事では、こうした観点から、より強力な経営陣を実現すべく適材適所を貫いて人選を行いました。
 一人ひとりについて説明させていただきます。
 坂本忠宣は、この2月より、コンプライアンス統括から転じて、経営企画統括を務め、国会での予算の全会一致承認に向けて、中心的な役割を果たしました。政治部出身で、長く報道局でスポーツも担当し、オリンピック放送をめぐって民放との調整にあたってきました。2月以降、民放との窓口の責任者として、相互理解の醸成に尽力しておりまして、経営企画統括、ネット展開統括として常時同時配信の実現、経営計画の取りまとめに力を発揮してくれるものと期待しています。
 児野昭彦は、現在、NHKメディアテクノロジーの社長を務めています。放送技術局長、技術局長を歴任し、退職後も関連団体でNHKの技術業務を支えてきました。インターネットサービスにしましても、4K・8Kにしましても、急速な技術の変化への対応が、経営判断にとって大きな比重を占める時期です。専門的な知見が豊富で、なおかつ4年間の社長業で磨いてきた経営センスも併せ持つ人材を経営陣に加えたいと思いました。NHK本体からではなく、関連子会社の側からの視点を持ってグループ経営改革に寄与してくれることも期待しています。関連団体のトップからの理事への起用は、昨年度の木田専務理事に続くものです。
 菅康弘は、制作局出身で大型ドラマのプロデューサーを務めたあと、編成局編成センター長、名古屋放送局長を経て、この1年は経営企画局長として、経営課題全般について計画・立案をする立場にありました。いまも次期経営計画の検討の中心になっています。そこで得た全局的な経営の視点を踏まえて、改めて、木田放送総局長を補佐して、制作局や大型企画開発センター、アナウンス室を中心に、放送番組の制作を統括してもらいたいと考えました。
 中田裕之は、報道番組のディレクター出身で、報道局社会番組部長、編成局編成主幹を経て、NHKスペシャル等の制作の責任者である大型企画開発センター長を務めました。その後、直近の3年間は、札幌放送局長として、域内6局の局長をリードし、札幌局に効率的に業務を集約する形での、北海道の業務体制の再編・構築の中心となってきました。番組制作だけでなく、地域放送局の現場の実情もよく知る拠点局長として、緩みの見られるコンプライアンスを統括するとともに、地域改革プロジェクトの責任者として、さきほど申し上げましたポスト全体最適の地域改革に腕をふるってほしいと考えました。地域改革の責任者を明示することは、私として、今回の役員人事で特に力点を置いたところです。
 以上が、同意をいただきたい4人の紹介です。いずれも、私が目指しますコンセンサス経営の趣旨をよく理解したメンバーだと思っています。ご審議をお願いいたします。

 (堰八委員)

 児野さんについて、子会社からの任命ですが、最初から専務理事となっています。一般的には、最初は役をつけずに任命し、徐々に役付きにするものだと思うのですが、いきなり専務理事に登用する理由は何でしょうか。

 (上田会長)

 児野さんは技師長にすることを考えていますが、技師長は専務理事が通例でした。児野さんはNHKで技術畑を歩み、全国に事業所をもつ技術系の子会社で業務を行っています。ご同意をいただいて任命されれば、理事の中でも最年長になるということもあります。

 (長谷川委員)

 昨年は、経営委員会としても役員の中に技術の専門家がいないことについては善処してほしいと願っていましたので、私は今回の人事を見て、これで安心と思いました。

 (石原委員長)

 中田さんの担当業務はどういうものになるのですか。

 (上田会長)

 中田さんにはコンプライアンス、広報担当をお願いし、それ以外に、新たに地域改革プロジェクト統括を担ってもらいます。地域改革の窓口であり、北海道で局長をしていた時の経験を生かして、地域を重視した改革を行ってもらおうと考えています。

 (小林委員)

 適材適所を考えたとのことでしたが、理事の中に女性がいないことは残念です。今後、女性理事の任用に向けては、どんな取り組みをしていくお考えでしょうか。

 (上田会長)

 それについては私も相当考えたのですが、まだこのポストになるまで育ってきている世代がいなかったということで、うまくあてはめられる人がいませんでした。今後、自分が3年務めさせていただくなかで、必ずやるとはお約束できないのですが、そのことは念頭において今後も検討していきたいと考えています。

 (森下委員)

 坂本理事がネット担当となっていますが、ネットへの取り組みには、局内で検討体制を作って臨むべきではないでしょうか。また、地域改革プロジェクトについては、これまでの「全体最適」の取り組みで行ってきたことを再点検する必要もあるのではないかと思いますが、どうお考えでしょうか。

 (上田会長)

 ネットは坂本理事が担当となっておりますが、これは全協会的な課題なので、他の理事も含めて一緒に取り組んでいきたいと考えています。インターネットについては、どのような進め方がよいのか、中期経営計画を考える中で検討していきます。いまNHKが抱えている課題は、役員のそれぞれの担務の範囲ではまかないきれない状況になっていると思っています。したがいまして、重要な課題については、役員が全部共有して、コンセンサスをとりながら考えていきたいと思います。地域改革プロジェクトはこれまで進めてきた「全体最適」をさらに最適化するためのプロジェクトで、これから新たに設置します。中田さんは札幌局長として、域内7局の業務の再編をすすめてきました。地域によって現状と課題は異なると思いますので、紋切り型ではない地域改革を検討してもらいたいと考えています。たとえば東京でできることは東京で支援し、地域局には、地域局にしかできないことをしてもらうというようなことを考えていきたいと思っています。

 (石原委員長)

 地域改革は一律ではないということですね。

 (上田会長)

 それぞれのブロックごとに、特色を生かした形で取り組んでいくつもりですので一律にはできないと考えています。先日も、私は名古屋放送局を訪れて、ブロックの局長たちと話をする機会を設けましたが、これからもこういう取り組みを続けていきたいと思います。

 (宮原委員)

 これはお願いですが、これから放送と通信の融合等を考えていくにあたっては、是非、放送技術研究所の職員も活用していただきたいと思います。

 (上田会長)

 はい、今度技師長への起用を提案している児野さんは技術の専門家ですので、技研の知見も生かしながら取り組んでいただけると思います。

 (本田代行)

 子会社から任命して専務理事にするというような例は、普通の会社にもある話だと思います。

 (渡邊委員)

 私は役職員のモチベーションが上がるような人事をすることが非常に大切だと思います。今回の人事に対する反応をどう考えていらっしゃるでしょうか。

 (上田会長)

 まだ発表していないので、どのような評価を受けるかはわかりませんが、フェアにやったなというメッセージが職員に伝わるということを念頭に人事をしてきたつもりです。

 

 採決の結果、理事の任命について原案どおり同意することを議決。

 

 (上田会長)
 ご同意いただきありがとうございました。
 ここで、ご報告いたします。専務理事についてです。定款第35条第2項に「理事のうち、会長の任命する若干人を専務理事とする」との規定があります。この規定に基づき、本年4月25日付で、引き続き木田幸紀を、また新たに坂本忠宣と児野昭彦を、それぞれ専務理事に指名します。
 次に役員の担当についてです。
 堂元副会長には、会長補佐により専念してもらうため、秘書業務統括のみとし、特命を私から指示します。
 木田専務理事は、引き続き放送総局長として、放送全般の統括をします。
 坂本専務理事は、先ほども説明いたしました、経営企画統括、ネット展開統括として、次期経営計画策定を進めます。
 児野専務理事は、技師長とし、技術を統括します。あわせて情報システム・セキュリティも統括します。
 根本理事は、引き続き総務統括、人事・労務統括です。
 松原理事には、視聴者業務の責任者として、視聴者総局長を務めてもらい、営業とターゲット80を統括します。
 荒木理事は、引き続き、放送総局副総局長として、報道と国際放送を統括します。
 黄木理事は、引き続き、関連事業統括として、グループ経営改革を推進します。
 大橋理事も、引き続き、新放送センター業務統括と財務・経理統括です。
 残る二人の新任の理事については先ほど説明いたしましたが、菅理事は、放送総局副総局長として、NHKスペシャルなど、番組制作を主に統括します。
 中田理事は、コンプライアンス統括、地域改革プロジェクト統括を務めるとともに、広報統括、視聴者総局副総局長として、視聴者業務を補佐します。
 以上の役員構成で、役員間の情報共有、さらには認識の共有を密に、一丸となって、山積する経営課題に取り組んでまいります。経営委員会委員のみなさまには、よろしくご理解をいただき、ご協力をお願いいたします。

 

 <副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1280回(平成29年3月28日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成29年4月14日に公表することを決定した。

 

 

2 委員長報告

 (石原委員長)
 最初に私から報告が3点あります。
 まず1点目ですが、本日、経営委員による経営委員会で、平成29年度会計監査人の任命について審議した結果、新日本有限責任監査法人に任命することとしましたので、お伝えします。なお、昨年申しあげたことの繰り返しになりますが、経営委員会としては、会計監査人の選定は、継続性、業務遂行能力、監査の独立性などを勘案しつつ競争の視点も適正に加えて行っていきたいと考えています。その際、候補者が監査以外の業務において、NHKとどのような契約にあるかということは、一つの重要な要素になります。執行部においては、コンサルティングなどの業務を外部に発注している例もあると思いますが、経営委員会のこうした考え方に基づく監査人選定が、今後も円滑におこなっていけるよう、監査法人への業務の発注については、その必要性を良く吟味していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 2点目は、本日、執行部との合同会議の前に開催した経営委員会で、上田会長同席のもとで、平成29年度標準役員報酬について審議し、本日提出された議案どおり、前年度と同額で議決しました。
 3点目は、本日、執行部との合同会議の前に開催した経営委員会で、4月25日付の理事の任命の同意について上田会長から提案があり、審議した結果、全会一致で任命の同意について議決しました。内容は、坂本忠宣氏の再任、児野昭彦氏の新任、菅康弘氏の新任、中田裕之氏の新任です。
 あわせて、坂本理事を専務理事とし、また児野氏を専務理事・技師長とする旨の報告がありました。

 

 

3 会長報告

 (上田会長)(資料1)(資料2)(資料3)
 国会でのNHK予算の審議についてご報告します。NHKの「平成29年度収支予算、事業計画及び資金計画」は、3月16日、21日の両日、衆議院総務委員会で計5時間の質疑ののち採決が行われ、全会一致で承認されました。翌々日の23日には衆議院本会議で、全会一致で承認され、参議院に送付されました。
 また、3月30日には参議院総務委員会で4時間にわたる質疑が行われ、全会一致で承認されました。そして、翌日の31日に開かれた参議院本会議でも全会一致で承認されました。NHK予算の全会一致での承認は、衆参両院通じて4年ぶりとなります。
 お手元の資料は、衆参両院の総務委員会での質問者と質疑の主な項目です。この審議には、執行部のほか、経営委員会から石原委員長も参考人として出席されました。
 ことしの審議では、新会長としての決意や経営姿勢、公共放送の理念、次期経営計画の考え方、放送番組や国際放送の充実強化、放送と通信の融合、受信料制度のあり方、放送センターの建替えなどについて質疑が行われました。
 私からは、放送法にのっとり、番組編集の自由を確保し、公平・公正、不偏不党、自主・自律を貫くことが公共放送の生命線であるという考えを示した上で、各方面との意思疎通を図るとともに、役職員との「コンセンサス経営」を心がけながら、「公共メディア」への進化を目指し、会長としての責任と覚悟をもって「挑戦と改革」にまい進したいと決意を述べました。
 29年度の事業運営では、30年度に予定されている実用放送の開始に向けたスーパーハイビジョンのコンテンツ制作力の強化を図るとともにインターネット活用業務を推進するなど、新たな放送・サービスの創造に積極的に取り組むほか、東京オリンピック、パラリンピックに向けて、視聴者の関心に最大限こたえる幅広い番組を届けることなどを説明しました。
 受信料制度については、メディア環境や社会環境などが変化していく中、2月に、会長の諮問機関として外部の有識者によるNHK受信料制度等検討委員会を設置したこと。そして、制度と運用のあり方について答申をいただき、その結果を踏まえながら、視聴者・国民の皆さまに納得いただける仕組みを検討していく考えを示しました。
 また、不祥事については、一つ一つの原因を究明し、再発防止のルールを徹底するとともに、組織の隅々にまでコンプライアンスの意識を根付かせ、公共放送の使命と役割をしっかりと果たしていくことを強調しました。
 なお、衆参両院の総務委員会では、それぞれの附帯決議が全会一致で採択されています。
 年度内に予算が全会一致で承認されました。経営委員会をはじめ、関係各位に改めて御礼申し上げます。29年度は、3か年経営計画の最終年度になります。一つひとつの施策を着実に実行し、公共放送として視聴者・国民の皆さまの期待にこたえてまいりたいと思います。
 衆参両院の総務委員会での審議の模様は、翌日の未明から早朝にかけて、総合テレビとラジオ第1でお伝えしました。
 (石原委員長)
 私から経営委員長としてのコメントを申し上げたいと思います。
 NHKは、受信料で成り立っている公共放送であり、放送法で定められた理念を実現するためにも、このたび、国民、視聴者の代表である国会で、全会一致でのご承認をいただいたことは大変意味のあることであり、これは、上田会長以下役職員の皆さまの努力の結果だと思います。ご苦労さまでした。今後、予算の執行に当たっては、衆議院・参議院総務委員会での附帯決議、また、総務大臣意見を真摯(しんし)に受けとめ、受信料の重みを自覚し、コスト削減や効率的な事業運営を心がけながら、予算、事業計画の着実な実行に努めていただきたいと思います。経営委員会といたしましても、経営の最高意思決定機関としての職責を再確認しながら業務に当たっていきたいと思います。
 (上田会長)(資料4)
 続きまして、役員報酬の一部自主返納の報告です。
 元記者が山形と山梨という複数の任地での重大な犯罪で逮捕・起訴されたことについて、会長と役員、合わせて4名の報酬を一部自主返納することとしました。会長である私が報酬の30%を3か月、また、副会長、放送全体を統括する放送総局長の木田専務理事、報道を統括する放送総局副総局長の荒木理事の3名、いずれも報酬の10%を3か月、自主返納いたします。
 今回の事件で、元記者は強姦(ごうかん)などの罪で、先週5日、甲府地方検察庁から起訴されました。元記者は、その翌日に、強姦致傷容疑などで再々逮捕される一方で、否認を続けているということです。
 捜査が継続中で、事件の全容が解明されていないことは承知しておりますが、NHKの報道に携わっていた元記者が複数の任地における重大な犯罪で相次いで逮捕・起訴され、公共放送や報道に対する信頼を損ない、地域の皆さまに不安を与えたことについて、社会的・経営的な責任を示す必要があると考え、報酬を一部自主返納することとしました。
 被害に遭われた方や関係者をはじめ、視聴者の皆さまに改めて深くおわびを申し上げます。
 引き続き、事案解明の状況を十分に見極めながら、再発防止策を講じるとともに、管理監督上の問題等がなかったかどうかについても、その内容を確かめ、適切に対応してまいりたいと考えております。

 

 

4 議決事項

 (1) 平成29年度役員交際費の支出限度額について(資料)

 (堂元副会長)

 平成29年度の役員交際費の支出限度額についてお諮りします。
 役員交際費につきましては、放送法第29条及び定款により、経営委員会の議決事項となっております。毎年度初めに経営委員会で支出限度額を議決していただき、その範囲内で有効に活用することとしております。
 平成29年度の役員交際費の支出限度額につきましては、28年度と同額の2,380万円でお諮りをいたします。
 なお、この金額はあくまで支出限度額で、これまでと同様に、効果的・効率的に使用していくということに変わりはございません。
 役員交際費の使途、使い道の範囲でございますけれども、下段に記載しておりますとおり、大きく分類しますと、4項目となります。1点目は、外部の方に贈る謝礼品でございます。各種イベントチケット等の謝礼品です。2点目が、外部の方との会食を伴う打ち合わせ費です。3点目が、香典・祝い金などの慶弔費です。4点目が、外部団体などが実施する祝賀会などの各種会費ということになっております。
 29年度は、3か年経営計画の最終年度という重要な年度です。また、2018年のスーパーハイビジョン実用放送開始、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さまざまな分野の関係者との交流をより一層広げていくことも大事な年度となっています。こうしたそれらの活動を通じて今後の協会運営に資するために、効果的に活用していきたいと考えております。
 なお、経営の透明性を高める観点から、平成16年度より決算書に役員交際費の実績額を記載しております。
 以上ご説明いたしましたとおり、今後も効果的・効率的な実施を心がけ、適切な使用に努めてまいりたいと考えております。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (2) ラジオ中継放送局の設置計画について(資料)

 (森永技師長)

 ラジオ中継放送局の設置計画について、ご審議をお願いいたします。
 設置に向けた技術的検討などが完了し、放送局免許の申請を行う段階となった中継放送局8局所の設置を提案します。
 今回の設置計画局所は、難聴地域6地区、津波対策地域2地区の改善を行うものです。いずれも総務省が平成26年度に制度整備を行った、FM波を利用したラジオ中継放送局開設の制度を活用しております。地区名等はお手元の表の通りです。いずれも平成30年度の開局を予定しています。
 難聴対策では、岩手県下閉伊郡岩泉町の一部で約450世帯、秋田県湯沢市皆瀬の一部で約400世帯、島根県鹿足郡津和野町の一部で約800世帯、高知県吾川郡仁淀川町の一部で約450世帯、高知県高岡郡津野町および須崎市の一部で約700世帯の受信状況の改善を行います。また、津波対策では、北海道の広尾ラジオ中継放送局、和歌山県のすさみラジオ中継放送局の2局に対して、FM波を利用した補完中継局を設置いたします。これは津波浸水被害が想定されているラジオ中継放送局を補完するためのものです。
 参考1の地図に、設置するラジオ中継放送局の位置と名称を記載しています。

 

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

5 報告事項

 (1) ラジオ中継放送局の開局について(資料)

 (森永技師長)

 ラジオ中継放送局の開局について報告します。
 平成28年度に、ラジオ中継放送局6局が開局しました。各局の送信出力や周波数、申請世帯数、開局日などはそれぞれ資料の通りです。
 開局した6局は、難聴対策や災害対策を目的としており、いずれもFM波を利用したラジオ中継放送局となっています。
 難聴対策の局は、北海道の川湯ラジオ放送局、屈斜路ラジオ放送局、長野県の木祖楢川ラジオ放送局、南木曽ラジオ放送局、岐阜県の奥飛騨温泉郷ラジオ放送局の5局です。以上の開局によって約5,100世帯で、夜間外国波混信による聞こえづらい状況を改善しました。
 災害対策の局は高知県の宿毛ラジオ放送局です。自治体のハザードマップでラジオ放送局への津波浸水被害が想定されているため、開局しました。
 平成29年3月末現在、ラジオ第1放送は251局、ラジオ第2放送は145局で放送しています。
 参考1の地図に、開局したラジオ中継放送局の位置と名称を記載しています。

 (長谷川委員)

 長野で開催された「視聴者のみなさまと語る会」に参加しました。難聴に悩む視聴者の方がいらして、本当にどうにかしてほしいという切実な声を伺いました。これで随分喜んでくださる方々がいらっしゃるのではないかと思います。ありがとうございます。

 

 (2) 平成28年度決算の日程について(資料)

 (大橋理事)

 平成28年度の決算は、現在取りまとめ作業を進めています。本日ご説明するのは、平成28年度決算の日程についてです。
 NHKの単体決算は、放送法第74条の規定により、当該事業年度経過後3か月以内、つまり6月末までに総務大臣に財務諸表を提出することとなっています。これを踏まえ、平成28年度決算については、6月27日の経営委員会で議決をお願いしたいと考え、それから遡る形でスケジュールを設定しています。
 まず、5月9日に単体と連結を合わせた決算の速報を経営委員会で報告します。昨年度から、グループ経営の視点で、連結・単体同時に報告することとしています。
 5月9日の報告の内容については、連結・単体それぞれの貸借対照表と損益計算書の概要、単体については収支決算の状況を予算と比較してお示ししたいと考えています。
 なお、民間企業も決算日から45日以内に単体・連結決算を発表するのがルールになっています。このため、決算速報についても、同日の経営委員会後にブリーフィングを単体、連結同時に行います。
 そして、放送法第75条に定める監査委員会や会計監査人の監査を経て、単体の財務諸表を6月27日の理事会で審議し、同日の経営委員会で議決頂けるよう、取り進めていきたいと考えています。
 また、連結財務諸表についてはNHKの連結決算規程に基づいて作成しており、6月27日の理事会で審議、決定し、同日の経営委員会に報告したいと考えています。

 

 

6 その他事項

 (1) 会計検査院の検査結果について(資料)

 (大橋理事)

 会計検査院の検査結果についてご報告します。資料は3点で、1点目は、NHKでまとめた検査報告のポイント。2点目は、会計検査院の作成した14ページの報告書の要旨。3点目は、151ページにわたる報告書です。本日は、1点目のポイントをまとめた資料でご説明します。
 1の「検査要請」ですが、昨年5月、参議院決算委員会において、国会法第105条に基づき、会計検査院に対し、日本放送協会における関連団体の事業運営の状況について検査を行い、その結果を報告することを求める決議がなされました。
 今般、会計検査院において報告書がまとまり、3月29日に参議院に報告されました。
 2の「検査の概要」の検査の内容です。検査項目は、(ア)関連団体との取引の状況、(イ)関連団体の剰余金及び日本放送協会に対する配当の状況、(ウ)関連団体の不適正経理の再発防止に向けた指導・監督の状況の3点です。なお、本部における実地検査は63人日で、このほか「資料収集」として本部での調査が行われました。
 2ページの、検査の結果に対する会計検査院の所見ですが、1つ目の「関連団体との取引の状況」のうち、競争契約については、「関連団体は協会の業務を補完・支援して効率的に業務を進める目的で設立されており、単純に競争性のある契約方式に移行するのは難しい業務も多い」としつつも「今後とも業務内容の勘案・検証を行った上で、競争性のある契約への移行をより積極的に進めていくこと」とされています。
 業務委託については、「実績原価の確認の結果を適切に反映し、業務委託額の削減等に努めること」や、「業務委託の算定に用いる管理費率については必要に応じて見直すこと」等としています。
 2つ目の「関連団体の剰余金及び日本放送協会に対する配当の状況」については、「利益剰余金全体(27年度末で948億円)の増加につながっている子会社の事業維持積立金の必要以上の増加を抑制」するとともに「目的積立金の必要性等を適切に検証できるように指導すること」、「普通配当の要請に加えて適切な特例配当の要請を行うことを検討すること」等とされています。
 3つ目の「関連団体の不適正経理の再発防止に向けた指導・監督の状況」については、「協会及び関連団体において、経理適正化策を共通して適用するなどして、関連団体に対する指導・監督を更に徹底していくこと」や「関連団体の内部監査機能の確保や活用の指導・監督に努めること」、「不適正経理の再発防止に向けた体制整備について、事業の規模や内容の違いを踏まえつつ可能な限り協会と同水準で実施されるよう、指導・監督を更に徹底していくこと」等とされています。
 これらの所見は、関連事業局を中心に現在取り組んでいるNHKグループ経営改革における子会社との取引の透明性や適正性の確保、剰余金からの大型配当、関連団体のコンプライアンス・不正防止策の徹底等の各施策としてすでに取り組んでいるものです。今後も、今回の検査結果を真摯に受け止め、グループ経営改革を積極的に進めていくことで、検査報告に応えることになると考えています。

 (石原委員長)

 管理費率は業種によって、あるいは年度によって変わるものなのですか。

 (黄木理事)

 例えば番組制作系の子会社にNHKが委託をする場合、管理費率は7%となっています。また財団法人は11%というように、業種によって変わっています。それから、年度によってその子会社の財政状況などを勘案して、例えば昨年度の株式会社日本国際放送については、それまで11%だったのを9%に減らすということをおこなっています。今年度も、一部の財団法人については、管理費率をより適切なものに変えようということを進めています。具体的には、一般財団法人NHKインターナショナルについて、これまで11%だったものを10%ということで、適宜状況を見ながら変えるという取り組みを進めているところです。

 (石原委員長)

 変える場合の基本的な考え方はどうなっているのでしょうか。管理費率を下げるというのは、NHKから見たら財政的にはよいのでしょうが、なぜそれを減らすのか、何が適正な管理費なのかということが基本になければ、受託する側のやる気がなくなるのではないでしょうか。

 (黄木理事)

 NHKからの委託に関しては、受信料を効率的に使ってNHKの業務を行うという意味で、基本的にはできる限り効率的に、しかも高品質な番組制作、あるいは業務を実施するということが目標です。その意味で、先ほど申し上げた株式会社日本国際放送や一般財団法人NHKインターナショナルについての見直しは、過去数年間の委託に関する利益率を見て、ある程度の利益率で数年にわたって受託できている、それからその会社の財務状況も安定してきているという判断のもとで下げたということです。逆に今後、NHKの業務をしっかり行うために、より管理費がかかるような業務を委託するということになれば、その部分の管理費率を上げることもあり得るということです。これは適宜、状況に応じて判断をしていきたいと考えています。

 (石原委員長)

 一律ではないのはわかりました。ただ、相手が納得しなくてはだめです。お互いによく話し合って、納得の上でやるということが大事だと思います。

 (森下委員)

 今回の会計検査院の指摘で、内部留保が過大になっているとありました。先ほど説明があった管理費について、原価の見積もりに少し甘さがあったのではないかという指摘があったのでしょうか。

 (黄木理事)

 いわゆる関連団体の取引の透明性、適正性の確保について所見が示されています。前回の会計検査院からの報告は平成19年で、その直後から始めた実績原価調査という、いわゆる委託の状況が適正であるかどうかをNHK側でサンプリングしながら調査をする取り組みを始めたのですが、それである程度いろいろな状況が分かってきているのに、それにきちんと対応できていないのではないかということを具体的に記載されている部分があります。こういったことについては、昨年度からのグループ経営改革の取り組みの中でもご説明しましたが、昨年度1年かけてNHKと関連団体との委託や調達などの取引についてすべてのデータを取り寄せて分析しました。これまでは実績原価調査はサンプリング調査だったのですが、今回の場合、昨年度はそれをすべて調べ、それで適正にする。その中では、例えば利益率が高いものは委託額を是正するということもありますが、一方で赤字になっても委託を受けてもらっているものについては、それは赤字にならないようにする。いわゆるでこぼこをちゃんと平準化して一定の利益率が出る形できちんと委託をしてもらう。しかも品質を上げてもらうという考え方で、契約内容を見直す取り組みをしております。昨年度からということで、まだ道半ばではありますけれども、そういった、受信料を適切に使う取り組みについては、これまでの実績原価調査をさらに網羅するような形で進めており、そうしたことを進めることによって、最終的に内部留保を適切にコントロールしていくという体制を整えるため、今、頑張っているという状況であると認識しています。

 (森下委員)

 前回の指摘から今回までの間に、内部留保がずっとどんどん増えていったわけではないですよね。その前からずっとたまっていたものではないでしょうか。そういう点では、前回の検査院以降は、割合適切に計算されている。ただ、ずっとたまっている内部留保の処分ができていないのではないでしょうか。

 (黄木理事)

 利益剰余金の総額は10年前に比べ増えており、その分についても今回、適切に特例配当するなどして、きちんと還元すべきであると報告されています。NHKとしてもそういった状況にあることは認識しており、昨年6月の配当の時点、つまり27年度の決算の時点で大型の特例配当を実施しました。昨年度も利益が出ていますので、これまで積み上がってきた利益剰余金のうち、配当可能な原資というのを適切に勘案して、その中から計画的に、ことしも特例配当をして、還元できるように準備を進めています。

 

 (2) 新放送会館候補地の協議に関する基本合意書締結について

 (大橋理事)

 新放送会館の移転候補地の協議に関する基本合意書締結についてご報告します。
 新しい富山放送会館の建設・移転を推進していくため、富山県とNHKの間で基本合意書を締結し、富山県が所有する土地と現富山放送会館土地を交換する方向で、今後、協議・検討を進めていきます。協議が成就した後の土地の借用や交換契約、新放送会館の整備方針については、各々の時期にあらためて理事会、経営委員会にお諮りします。
 現在の富山放送会館は、昭和40年度に建物が竣工し、現在で51年が経過しており老朽化が進んでいます。
 基本合意書の締結先は富山県で、対象の土地は、県が所有する旧富山中央警察署の土地3,651.9平方メートルと現富山放送会館の土地3,581.88平方メートルです。
 移転候補地は、現富山放送会館と道路を挟んだところにあり、駅や市役所・県庁なども程近い、業務上好適な環境にある商業地域です。
 基本合意書の主な内容は、交換の差金が生じた場合は金銭で精算することとし、鑑定評価は交換契約締結時点における価格を基本として協議していくこと。新会館の建設は旧警察署建物が解体・撤去された後に行われますが、工事着工から土地交換が完了するまでの期間を有償で借用すること。また、県が現富山放送会館建物の譲渡を希望することも想定されることから、残置物などの諸条件についても、あわせて協議を行っていきます。
 今後のスケジュールとしては、県との協議が順調に進めば、平成30年度中に県が旧警察署の解体・撤去を完了させます。32年度に新放送会館建設を着工し、34年度に運用開始の予定です。土地交換は、県が現放送会館建物の譲渡を希望した場合は34年度に、希望しない場合は建物を撤去し更地となる35年度を予定しています。
 以上が富山県との基本合意書締結についてのご報告となります。

 

 (3) 平成29年春季交渉の結果について(資料)

 (根本理事)

 労働組合「日放労」との春季交渉の結果についてご報告します。
 今回の交渉では、主に、資料に記載しております、「業務・要員」「処遇」「協会提案(住宅施策の抜本的見直し)」「記者の専門業務型裁量労働制の導入」に関する議論を行いました。
 議論の概要についてご説明します。業務・要員については、持続可能な業務体制を構築するため抜本的に業務・要員の最適配置を行う「全体最適」体制が29年度に整うことをふまえた今後の現場の業務量について、また「働き方改革」によって生産性を高めた働き方への評価のあり方等について議論しました。
 処遇については、給与制度改革を着実に実施していくことを確認したうえで、定昇については制度どおり実施することとしました。また、賞与についても、支給基準については前年度どおりと回答しました。
 協会提案として「住宅施策の抜本的見直し」を提示・説明し、議論を行いました。具体的には、福利厚生施策としての「転勤者用住宅」を廃止し、現行の「自己借上住宅」に一本化するとともに、転勤者に限らず業務上必要な職員が入居できる「業務用住宅」を拡充するといった内容の「住宅施策の抜本的見直し」を組合に提案し、議論しました。
 組合側は、「住宅施策を持続可能なものとしていくために、福利厚生として貸与していた転勤者用住宅の廃止はやむをえないと判断した」とした上で、「多様化が進む、職員の働き方や生活環境を踏まえた施策を検討すること。」といった内容の要求を行い、組織総討議で全国組合員からの意見集約が必要であるとし、経営に対して、要求を踏まえた具体的な見直し内容を提示することを求め、今次交渉における議論を終えています。
 今後は、要求に応える具体施策を検討し、8月を目途に組合に提示します。
 昨年秋の交渉で組合と基本合意に至った記者の勤務制度の見直しについては、組合と正式合意し、29年4月から専門業務型裁量労働制の運用を始めます。
 組合とは、毎年春と秋の交渉の他に、随時、様々な課題について意見交換を行っております。引き続き、労使の健全な関係の維持に努めてまいります。

 (石原委員長)

 転勤者用住宅の廃止というのは、借り上げをするということですか。

 (根本理事)

 はい。転勤者に対して住宅を与えているのですが、実質、自分で探して借り上げをするケースが増えておりますので、そちらのほうに移していこうということです。それから業務用住宅は業務上必要となる、例えば報道とか緊急報道を担当する技術職などを協会側が指定して、そこに住んでくださいという提示をするのですが、そうしたところを充実させていくということを考えています。

 (石原委員長)

 業務用住宅は、NHKが所有する場合と借り上げる場合と2つあるのですか。

 (根本理事)

 今後の業務用住宅は、NHKが所有しているものと借り上げるものとなります。今、NHKが所有しているもので転勤者用住宅としているものについては、徐々に自分で探して借り上げていただくという方向にもっていくということです。

 (石原委員長)

 所有している転勤者用住宅は売却するのですか。

 (根本理事)

 転用可能なものは転用します、ほかの建物に使用できるとか、小規模のものなどにつきましては、経理当局の判断になりますが、非現用不動産という扱いで売却するということになると思います。

 (石原委員長)

 それは相当、数はあるのですか。

 (根本理事)

 今、転勤者用住宅は約2,600戸です。自前のものは1,000戸ぐらいです。

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 (石原委員長)
 それでは、4月24日をもって退任される森永専務理事、今井専務理事、安齋理事からごあいさつをいただきたいと思います。
 (森永専務理事)
 森永でございます。長い間、お世話になりました。
 私は1980年入局で、37年間勤務しました。無事に卒業できるのも経営委員会の皆さま、それから外部取材先でいろいろお世話になった方々、それからNHK内部の先輩、後輩の皆さんにご指導、ご支援いただいたおかげだと思っております。
 振り返ってみますと、私は甲府、神戸、それから経済部とずっと報道の現場を歩いてきたのですけれども、2007年、経済部長のときにインサイダー事件に遭遇し、それで報道の業務改革をやれというようなところからマネジメントに入りまして、それから関連事業局長として関連団体改革とか、また報道に戻って北海道の効率化とか、理事になって以降も国際放送、それから報道、残念な「やらせ」の指摘がありましたけれども、それからデジタルとか地デジといろんなチャレンジをさせていただきました。反省といいますか、思えば、大きな改革というか変革をしなくてはいけないときに、本人としては一生懸命切り込んだつもりなんですけれども、やはりプラクカビリティとか諸事情を勘案して、これぐらいだろうと思ってやったのですが、振り返ってみるとやはり切り込みが足らなかった。改革ではなくて修正にとどまったというふうに思います。
 それから、一方でどうしても守らなくてはいけないものの守り方も足りなくて、本当に守らなくてはいけない価値を守り切れなかったということがあり、その点が悔いの残るところでございます。
 これからはOBとして、NHKの経営、また放送それぞれの現場を支え、また一緒に貢献させていただければと思います。今後ともよろしくお願いします。
 (今井専務理事)
 今井でございます。理事としての2年間、経営委員の皆さんには大変お世話になりました。
 この間、私は不祥事案への対応でございますとか、あるいはネット同時配信、4K・8Kの準備とか、目の前の対応にいろいろと追われてしまいまして、大したお役にも立たなかったのではないかという気がしております。それでも何とかやってまいりましたのは、経営委員の皆さんをはじめ、執行部の役職員の皆さんのご指導、それから温かくご協力いただいたおかげだと思って感謝しております。
 私は入局して甲府が初任地の記者でございますけれども、役員になる前、直近は経営企画局に14年間おりました。それで、それからの経営諸課題の変遷というものをずっと見てきたわけですが、その14年前と申しますと、BSデジタル放送もまだ始まって間もないころで、インターネットも確かにあって、通信と放送の融合が生じているような認識はございましたけれども、例えば総務省の当時の放送政策研究会では、まだNHKの関連団体の業務範囲が議論されているような段階だったと記憶しております。
 その後、ご案内のようにインターネットの非常に急速な普及と進化に伴って、ネット関連のNHK業務については対応を強く迫られましたので、その後、主にサービス面拡充のため、逐次、放送法を改正して制度整備を図っていって今日まで来ているということです。それでも、この2年間について見ますと、やはり考え方とかサービス面と申しますよりも、むしろ実態面でインターネットの経営への影響が大きく及んで来たことを痛感しております。特に実施財源の面で、NHKのネット業務とその財源制度が表裏一体、不可分だということが強く認識をされ、私ども自身、いろいろ議論してきたのですが、詰めれば詰めるほど、NHKの主業務というのは一体何なのかといったことを含め、強く意識させられてきたと思っています。それだけに経営環境としても難しくなってきているという気がいたしております。NHKは事業実施機関ですので、実施上の諸都合というものがあり、そういうことで対応してきたわけですが、場合によってはさらに大きな変革を求められる可能性があると、そういうふうな気もいたしております。こうした変化の激しい時代にありまして、引き続き社会の情報の基盤として、NHKが国民から信頼を得て、国民の負託に応えていかれますよう期待を申し上げて、ごあいさつとさせていただきたいと思います。お世話になり大変ありがとうございました。
 (安齋理事)
 安齋でございます。どうもありがとうございました。私は2月に60歳になりましたので、ちょうどよいころ合いかなと思っております。ただ、もっと若いころに戻ってみたいと思ったことは一度もございません。というのは、若いころのほうがよりひどい働き方をしておりまして、働き方改革の今、もう少し遅く生まれればよかったなというふうに思っております。
 実際やってきたことは「Nスペ」などのドキュメンタリーや歴史番組、それから「あさイチ」などの情報番組を作ってまいりました。「Nスペ」では事務局にもいて「社会主義の20世紀」など、年間100本×4年間で400本ぐらいの番組の試写をしてまいりました。最近この6年でいうと、制作局で制作の担当理事をしており、皆さんにいつも視聴率だけでよいのかと言われながらも、視聴者に向き合ってなんぼと、見ていただいて評価されることを目指してまいりました。われわれのところは高齢者の方には非常に評判がよいのですけれども、現役世代の方たちにはなかなか見ていただけないので、ぜひそういった方にも見ていただけるようなことを、今、考えております。ネットを使って、親しみを持って見ていただけるようなPRみたいなことをやっておりますので、ぜひその先を応援していただきたいと思います。BBCだと「My BBC」などというキャッチフレーズを使って頑張っていた時期もあったのですが、われわれも「私のNHK」と視聴者から言っていただけるような親しみを持って見ていただける放送局になりたいと思いますので、ぜひこれからもご支援をお願いいたします。
 (石原委員長)
 森永専務理事、今井専務理事、そして安齋理事、長い間、大変ご苦労さまでした。ありがとうございました。
 今、お話がございましたように、ネットの発達、あるいはテレビ離れ、また放送・通信の融合と、NHKは大変大きな転換点にあるという感じがします。ぜひ引き続きNHKグループの発展に向けてご支援いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。大変ご苦労さまでした。

 

○ 平成28年度役員目標年間総括ヒアリング

 上田会長同席のもと、安齋理事、坂本理事、今井専務理事、森永技師長に対して、平成28年度役員目標年間総括ヒアリングを実施した。

 

○ 説明会「経営計画策定のスケジュール」

 経営計画策定のスケジュールについて、担当理事より説明を受け、意見交換を行った。

 

○ 説明会「受信料制度等検討委員会の検討状況」

 受信料制度等検討委員会の検討状況について、担当理事より説明を受け、意見交換を行った。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成29年4月25日    

石 原  進

 

 

高 橋 正 美