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第1209回
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平成26年3月28日(金)公表

日本放送協会第1209回経営委員会議事録
(平成26年3月11日開催分)

第1209回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1209回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成26年3月11日(火)午後1時30分から午後5時20分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎 上 村 達 男 石 原   進
    上 田 良 一   中 島 尚 正 長谷川 三千子
    本 田 勝 彦   美 馬 のゆり 宮 田 亮 平
    室 伏 きみ子   渡  惠理子  
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔役  員〕

  堂 元 副会長 塚 田 専務理事 吉 国 専務理事
  石 田 専務理事 木 田 理 事 久保田 技師長
  板 野 理 事 上 滝 理 事 福 井 理 事
  下 川 理 事 森 永 理 事  

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室 21階役員会議室

 

<議   題>

○「視聴者のみなさまと語る会」の開催について

○監査委員会の対応について

○今後の議事運営について

 

付議事項

1 議決事項

 (1) 退任役員の退職金について

 

2 会長報告

 

3 報告事項

 (1) 平成26年度各地方向け地域放送番組編集計画および編成計画について
(資料1)(資料2)(資料3)

 

4 その他事項

 (1) NHKワールドTVアメリカ展開の推進について(資料)

 (2) 平成26年度営業目標値・営業経費計画値について(資料)

 (3) 平成26年度「営業関係データ」報告について

 (4) 平成26年春季交渉について(資料)

 

 

 

議事経過

 

 浜田委員長が開会を宣言し、経営委員会を開催。

 

<副会長入室>

 

 

1 議決事項

 (1) 退任役員の退職金について
 (堂元副会長)
 平成26年1月24日付で退任した松本正之前会長および平成26年2月9日付で退任した小野直路前副会長の退職金についてお諮りします。退任役員の退職金は、「会長、副会長および理事の退職金支給基準」に基づき支給します。支給額は退職金支給基準第3条の規定に基づき算出しています。なお、同第5条に退職金のほか特別慰労金を支給することができるとありますが、今回は支給しません。また、同第6条に減額することができるとありますが、今回は適用しません。ご審議をお願いします。

 (浜田委員長)

 この件について、ご質問等はございますか。

 (上村代行)

 経営委員会としては、松本前会長の業績を高く評価していましたが、特別慰労金を支給しないことについて特別な理由はあるのでしょうか。

 (堂元副会長)

 特別な理由はありませんが、平成16年の不祥事発覚を踏まえ、それ以降は一度も特別慰労金を支給したことはありません。今回もその考えを踏襲したということです。

 (浜田委員長)

 この件について、ご異議等はございますか。

 −異議なし−

 

 (浜田委員長)

 本件につきましては、原案どおり議決されました。

 

<副会長退室>

 

 

○「視聴者のみなさまと語る会」の開催について
 平成26年度の「視聴者のみなさまと語る会」の第2回目は、青森放送局で平成26年5月24日に開催することを確認した。

 

○監査委員会の対応について
 (浜田委員長)
 NHKビジネスクリエイトの不正経理の件およびNHK出版社員による不適切な経理請求の件に関して、監査委員会の対応について、上田監査委員からご説明をいただきます。
 (上田委員)
 経営委員の皆さまはすでにご承知かと思いますが、先週NHKの子会社の不祥事が2件続けて報道されました。1件はNHKビジネスクリエイトでの不正経理、もう1件はNHK出版での校正料等の架空支払いです。これらに対する現時点での監査委員会の認識をご説明します。
 まず、「NHKビジネスクリエイ卜での不正経理」についてです。本件は、平成22年6月に不正経理が発覚したあと、NHKビジネスクリエイトみずからが第三者委員会を設置、調査し、調査結果については23年6月の株主総会で最終報告するとともに、22年度決算において2億7400万円あまりの特別損失を計上し、NHKビジネスクリエイトのホームページで公表 しています。この間執行部へは、NHKビジネスクリエイ卜から節目ごとに会長以下、関連する理事および部局長等に、調査の進捗状況等について報告がなされています。監査委員会としては、本件は3年程前のことで、すでに23年6月の株主総会に最終報告書が出されており、その時示された 「業務管理体制の整備及び運用」、「未入金債権および滞留債権の管理の強化」、「IT統制の強化」等の再発防止策が実行に移されています。ちなみに、当時の監査委員会の対応は、放送法において、監査委員会の監査の対象は、「役員の職務の執行」(放送法第43条)であり、子会社の調査は、「役員の職務の執行を監査するために必要があるとき」(放送法第44条第2項)に行うことになっており、子会社は監査委員会の監査対象でないこと、本件は第三者による調査委員会で調査し、子会社の自主事業で発生した事案であることが確認され、監査委員会が報告を受けたのも、それに基づき処分も行ったあとの段階だったことから、監査委員会としては動かなかったと聞いています。したがいまして、現時点では、監査委員会として特段の対応を取る予定はありません。ただし、執行部で改めて調査するとの話もありますので、この調査の動きを注視していく予定です。
 次に、NHK出版での校正料の架空支払いについてです。本件も、基本的には放送法において、子会社は監査委員会の監査対象でないこと、また、子会社の自主事業で発生したことですので、NHKビジネスクリエイトと同様ではありますが、監査委員会としてどのように対応するかは今後検討したいと思います。本件については、NHK出版において他に類似の不正がないか、あるいは経理システム全体の検証や、それらを踏まえた再発防止策の策定など、今後の執行部の取り組みを十分に見極めたうえで、改めて経営委員会に報告する方向で検討したいと考えています。

 

<副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1208回(平成26年2月25日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成25年3月14日に公表することを決定した。

 

 (浜田委員長)
 本日、東北地方を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災から3年を迎えました。各地では復興に向けたさまざまな取り組みがなされています。NHKとしても発災直後からの迅速な取材・報道、安否確認をはじめとするさまざまな情報提供、震災に伴うさまざまな問題を取り上げた数々の番組の放送、復興を支援するイベント等の開催など、国民の信頼を得ながら公共放送としてしっかりと責任を果たされてきたと思っています。皆さまのご尽力に感謝を申し上げたいと思います。引き続き公共放送としての使命を果たされることを、経営委員会として期待しています。
 あわせてこの震災により犠牲となられたすべての方々に対して、改めて深く哀悼の意を表し、黙とうを捧げたいと思いますので、ご協力をお願いします。ご起立ください。それでは、一同黙とう。
−黙とう−
 (浜田委員長)
 ありがとうございました。

 

 

2 会長報告

 (堂元副会長)

 会長が、政府主催の東日本大震災三周年追悼式に出席していることから、籾井会長に代わりご報告します。
 報告の前に一言申し上げたいと思います。NHK放送技術研究所の元職員の逮捕という事件に続き、先日、NHK出版の不祥事が発覚し、NHKビジネスクリエイトの不適切な経理処理が指摘されています。皆さまにご心配をおかけしています。籾井会長もコンプライアンスの強化に向けて強い決意を示されています。協会として、関連会社を含めコンプライアンスの徹底をいっそう図りたいと考えています。
 それでは、役員の担当業務の変更についてご報告します。今回の変更は、内部監査室担当を副会長から板野理事の担当とするもので、コンプライアンス担当理事のもとに内部監査室を位置づけることで、協会のコンプライアンス体制の強化を図るものです。変更日は3月3日です。なお、各役員の担当については、ホームページで公開します。
 次に、3月6日にNHK出版が公表した社員の懲戒免職の案件と、先日報道があったNHKビジネスクリエイトの不適切な業務処理の案件について、関連団体担当の吉国専務理事からご報告します。
 (吉国専務理事)
 それでは、関連団体での懲戒処分等についてご報告します。
 まず、先週3月6日にNHK出版が記者会見で発表した社員の懲戒免職の案件についてです。懲戒免職になったのは、編集局放送・学芸図書編集部の52歳の元編集長です。元編集長は編集局在籍中の平成15年1月から昨年12月にかけて、同社が独自に行っている業務であるドラマの関連本などの編集にあたり、架空の校正業務を発注し、27件340万円あまりを支払わせていました。また、本来必要ではない校正業務を発注し、36件560万円余りを支払わせていました。このほか不適切な経費の請求がおよそ350件450万円余りありました。金額はあわせて約1,350万円となります。この案件は、去年12月に内部通報があり、調査した結果、不適切な請求を行っていた事実が明らかになりました。NHK出版では、3月6日に元編集長を懲戒免職とするとともに、当時の上司および現在の上司4人に対して、減給や譴責の処分を行いました。警察には発表当日、弁護士が通報しており、今後、告訴状や被害届けの提出などを行うかどうかを検討します。また、元編集長は、全額を弁済するとしています。NHK出版では、今回の事案につながったと考えられる経理手続きの不十分な部分について、直ちに取れる対策については取り、今後の調査を待ち、抜本的な再発防止策や内部統制の態勢を構築することにしています。
 続いて、3月5日に新聞で報道された、NHKビジネスクリエイトでの不適切な業務処理についてです。4年前の平成22年6月に、NHKビジネスクリエイトの経理社員が、印刷事業で長期にわたり未回収となっている売掛金があることに気づき、社内調査を行った結果、NHKビジネスクリエイトの自主事業で、未回収の売掛金の他、見込み売上計上や二重売上計上などの不適切な経理処理が行われていることがわかりました。これを受けて、NHKビジネスクリエイトでは、平成22年12月に弁護士や公認会計士などの外部の専門家による調査委員会を設置して調査を行い、平成23年3月に本件の概要と再発防止策の提言が同社に対して報告されました。調査によると、当時の営業部長と、同社と顧問契約を結んだ者による不適切な業務処理がありました。見込みの売上計上や、取引の実在の可能性は高いものの、証ひょうの不備等により回収困難な売掛金が長期にわたり計上されており、本来売上として計上すべきでない債権の総額が2億7000万円余りにのぼりました。一方で、横領などの犯罪に問われるような事実や証拠は見つからず、警察に相談した結果、刑事事件としての立件は困難との見解が出されたため、告訴には至りませんでした。NHKビジネスクリエイトでは、当該社員を懲戒解雇するとともに役員・上司を処分し、平成22年度の決算で2億7000万円余りを特別損失として処理しました。一連の報告を受け、NHKでは、同委員会の結論について他の法律事務所による調査を実施し、その見解も確認したうえで、その後の再発防止へ向けた内部統制体制の構築などについて指導しました。NHKビジネスクリエイトでは、こうした結果を取締役会や株主総会などで説明し、決算処理について同社のホームページで公開しました。昨年11月以降、新聞社からNHKビジネスクリエイトならびにNHKの関係者等に取材があり、3月5日の記事になったものです。
 関連団体のこうした事案に対するNHKとしての対応ですが、NHK出版に対しては、緊急に会長特命による内部監査室の調査を行います。さらに、外部の弁護士などからなる会長直属の調査委員会を設置し、NHK出版・NHKビジネスクリエイトを含む関連団体を対象に、経理の適正化や再発防止策の策定に取り組むことにしています。またグループのコンプライアンスの観点から、NHK本体の課題についても調査・検討を行います。こうしたNHKの対応については、3月6日の会長会見で表明するとともに、同日会長名で、関連団体に対して改めてコンプライアンスの徹底を要請し、調査委員会の活動にも協力するよう求めました。

 (上村代行)

 この件については、いろいろ対応がなされたと思います。NHKビジネスクリエイトの不適切な業務処理については、調査委員会による調査がなされたこと、会長から関連団体に対してコンプライアンスの徹底を訴えることはよいことだと思います。また、監視・監督する組織として経営委員会があり、監査する組織として監査委員会もあります。例えば、監査委員会が関連団体を調査することについては、従来から限定的に解釈されていたようで、直接NHKに関連する事業と関連しない自主事業に対して異なる解釈があったと思います。一方で、関連団体の自主事業の比率を上昇させたいという考えも経営委員会で報告されています。基本的には、経営委員会による監視・監督やガバナンス、監査委員会の監査機能が十分に発揮されるような体制が必要だと思いますが、民間の関連会社とNHKではずいぶんギャップがあるように感じます。まず、そのことについて本格的に再検討し、グループ全体のガバナンスやコンプライアンスに職責を担う者が適切な権限を持つ体制に整理することが今後の課題だと思います。過去はどうだったということを申し上げるつもりはありません。そういう体制が整ったうえで、必要があれば外部の専門家に調査を依頼するということだと思います。つまり支配は一体であるにもかかわらず、責任と監査は別という関係がないとはいえない感じがしています。その辺を見直す中で、外部の専門家への調査依頼の位置づけについても整理すべきではないかと思います。

 (吉国専務理事)

 関連団体運営基準の中にコンプライアンスの徹底を明記しており、各団体には、それに沿った形での内部統制の体制構築を求めてきました。グループ全体では、NHKの総合リスク管理室が統括しているリスクマネジメント委員会がリスク管理を一元的に推進しています。また、昨年グループ通報制度を一本化し、総合リスク管理室が中心となってグループリスクに対応する体制ができました。監査については、ほとんどの団体は、外部監査法人の任意監査や法定監査を受けていますが、平成20年度からはNHKの内部監査部門が試行的に委託業務の監査を行っています。関連団体の自主事業については、受信料を財源にして関連団体の自主的な営利事業を監査することには議論があります。ただし、NHK出版の場合は、会社全体としての経理処理のあり方がきちんと点検できていなかったことが明確になっていますので、NHK本体としてチェックすることが必要だと考えています。当然のことながら監査委員会の調査も含めて必要があれば協力させていただきます。

 (浜田委員長)

 民間の関連会社の監査体制から見ると若干の違和感があるようですので、今後いろいろ話をさせていただきたいと思います。

 (吉国専務理事)

 いろいろご意見をいただき、調査委員会などの提言をもとに、関連事業局、総合リスク管理室、内部監査室で議論して整理していきたいと思います。

 

 

3 報告事項

 (1) 平成26年度各地方向け地域放送番組編集計画および編成計画について
(資料1)(資料2)(資料3)

 (石田専務理事)

 「平成26年度各地方向け地域放送番組編集計画および編成計画」について、別冊の通り定めましたのでご報告します。
 「平成26年度各地方向け地域放送番組編集計画」は、放送法第82条に基づき、2月の各地方放送番組審議会に諮問し、可とする旨の答申を得て決定したものです。なお、各計画とも、第1205回経営委員会で議決された「平成26年度国内放送番組編集の基本計画」に基づき、それぞれの地域実情にあわせたきめ細かな地域放送の実施と、地域からの積極的な全国発信を行うことを主な内容としています。
 地方向け地域放送番組編成計画については、それぞれの地域の編集計画に基づき作成し、2月28日の放送総局編集会議で決定したものです。
 平成26年度は、各地域とも共通して、大規模災害に備え、地域の安全・安心につながる情報を発信すること、地域社会が直面する問題と向き合いわかりやすく伝えること、地域の豊かな自然や文化などを、地域だけでなく全国に向けて発信し、地域活性化に貢献すること、正確・迅速、公平・公正な選挙報道などについて記載しています。
 次に、ブロックごとに基本方針をご説明します。まず、関東甲信越地方です。関東甲信越地方では、首都直下地震などに備え、取材・放送体制を強化します。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた課題や動きを取材し、人々の関心に応えます。新設番組としては、金曜午後7・8時台の特集番組のタイトルを「首都圏スペシャル」から「金曜eye」にあらため、甲信越各局の視聴者をより意識した内容とします。
 続いて近畿地方は、大規模災害に備え、「本部のバックアップ機能の整備」を推進します。また、阪神・淡路大震災から20年であり、震災の教訓を防災・減災に生かします。さらに、歴史に育まれた上方芸能など関西の魅力を、関西および全国に向けて発信します。阪神・淡路大震災発生後20年という大きな節目となりますので、今後の防災・減災に生かすニュース・番組を制作します。また、金曜午後8時台にヒューマンドキュメンタリー番組「ドラマチック関西」を新設し、月1本程度放送します。さらに「歌謡コンサート」を年10本程度生放送するなど、全国放送を増やし、関西の魅力を発信します。
 中部地方の編集計画は、南海トラフ巨大地震に備えることを掲げています。また、「ものづくり」「大自然」など中部地方の特色を発信します。編成としては、金曜午後8時台の「金とく」で、世界遺産に指定された富士山や、日本アルプスなど中部地方の雄大な自然を伝える大型シリーズを企画します。
 続いて、中国地方です。中国地方は、被爆・終戦から70年となる平成27年8月に向けて、被爆体験を次の世代に継承していく取り組みを進めます。福岡局・長崎局と連携して「被爆70年」プロジェクトを展開し、特集番組などを放送します。
 九州沖縄地方は、台風などの自然災害に備えるとともに、沖縄県の尖閣諸島や米軍普天間基地、諫早湾干拓事業をめぐる動きなど、九州・沖縄の課題に取り組みます。新設番組としては、土曜午前7時台に新番組「おはサタ!」を立ち上げ、地域の話題をより深く伝えます。
 東北地方は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故からの復興支援を引き続き最優先に掲げ、復興の道筋を検証し、解決策を提言していきます。金曜午後7時台は、地域情報を伝える時間帯として強化します。ブロックで「クローズアップ東北」を放送する他、盛岡局で新設される「シリーズいわて」など各放送局が県域放送を充実させ、県民の関心に応えます。また、災害時に有効な情報源となるラジオ放送の定着を目指し、東北域内すべての放送局で地域向けのラジオ番組を編成します。
 北海道地方は、道内7放送局の総力を結集して、北海道が直面する課題に向き合うとともに、広大な北海道においても、緊急報道に対応できる体制を整備します。道内7つの放送局のネットワークを生かし、平日午後6時台に新番組「ほっとニュース北海道」を立ち上げ、地域情報を多彩に伝えます。また、「I LOVE JIMOTO 北海道」を掲げたキャンペーンを実施します。
 四国地方は、南海トラフ巨大地震への備えを着実に進めます。また、平成26年は四国八十八か所が霊場と定められて1200年といわれており、遍路の魅力を広く発信します。編成としては、遍路文化の魅力を見つめ直す番組を年間シリーズで制作し、ニュース・情報番組や金曜午後7時台、8時台などで放送します。
 続いて、補完放送などの放送計画です。データ放送は、災害時に自治体の避難情報などを速やかに伝達するシステムへの対応を推進し、防災情報の充実に努めます。インターネットサービスについては、各放送局のニュースを動画で提供し、地域の活性化につなげます。地域での字幕放送は、26年度は広島局で生字幕放送を開始します。報告は以上です。

 (中島委員)

 北海道地域の特色に関して、ご説明いただいた内容は、あまり具体性が感じられないように思います。

 (石田専務理事)

 北海道の地域の特徴が出ていないということでしょうか。

 (中島委員)

 番組編集計画の基本方針においても、北海道については具体性を欠いていて、一般的な内容だという印象を持ちました。なにか理由があるのでしょうか。

 (石田専務理事)

 北海道では、農業・漁業や観光をはじめとする道内産業の活性化への貢献や、広い地域であることを踏まえての、新しいITを活用したさまざまな防災体制の強化、プロスポーツチームやウインタースポーツなどのよりきめ細かな情報発信などを特徴としています。北海道は、ほかの地域とは少し異なる部分があり、例えば東北や九州ブロックなどは、各県に1局ずつ放送局がありますので、それぞれが県域放送によりきめ細かな情報を提供していますが、北海道は道という大きな1つの固まりです。室蘭、北見、帯広などの地域放送局は、例えば県域放送を行っている放送局のように、午後6時10分から50分間、独自編成の番組を放送するような体制は取っていません。北海道ブロックは北海道一体となって情報発信していく体制ですので、地域放送の出し方がほかの地域とは少し違います。

 (中島委員)

 それは理解できます。しかし、安心・安全に関わることなどについては、北海道全土における特有の問題などもあり得るように思います。

 (石田専務理事)

 もちろん安全・安心に関わる課題もあります。例えば、昨年北見で大吹雪により多くの方がお亡くなりになられたことを受けて、北海道の地域放送で災害の特集番組を放送しました。また、北海道は農業に関する課題が大きく、帯広ではTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への関心が非常に高いため、帯広放送局の職員が取材後、札幌放送局と一緒にTPPの課題を取り扱う番組を制作しました。また、北海道は観光も大きな産業の1つですので、これも番組で取り上げています。25年度までは独自編成の地域番組を放送していましたが、要員的に限界があるため、26年度は実施しません。放送自体をコンパクトにし、中身の充実が図れるよう努めていきたいと思っています。番組編集計画の中に、北海道の特徴をより具体的に書き込んだほうがいいというご指摘があったということは、札幌局やほかの局にも伝えます。今申しあげたように、農業や災害などのそれぞれのテーマにきちんと取り組んでいきます。

 (石原委員)

 番組編集計画は、基本的には県域放送ですね。したがって、例えば中部地方の番組を九州で見たい場合、再放送されないと見られないのでしょうか。

 (石田専務理事)

 編集計画に記載しているのは、県域放送とブロック放送の両方です。地域放送局が制作した独自の番組は、基本的にほかの地域では見ることはできません。

 (石原委員)

 例えば、日本アルプスを取り上げた他局制作の番組を九州で見たいと思うと、再放送されないかぎり見られないということですか。ほかに見る方法はあるのですか。

 (石田専務理事)

 例えば、総合テレビの午後3時台に全国放送の「ろーかる直送便」という放送枠がありますので、そこで放送しています。

 (石原委員)

 制作した放送局がその地域へ放送するのと同時に放送するのですか。

 (石田専務理事)

 同時ではありません。

 (石原委員)

 再放送ですよね。

 (石田専務理事)

 地域放送局で制作した番組の中から全国の視聴者の方に見ていただきたい番組を選んで、「ろーかる直送便」の時間帯に放送しています。

 (石原委員)

 その枠は1週間にどれくらいあるのですか。

 (石田専務理事)

 「ろーかる直送便」は、月曜日から金曜日までの午後3時台で放送しています。他にも、例えば総合テレビでは、夜の「地方発ドキュメンタリー」で放送したり、BSプレミアムでも地域発ドラマを放送しています。

 (石原委員)

 分かりました。ありがとうございます。

 (美馬委員)

 今のご説明を伺っていて、ぜひ積極的に進めてほしいと思ったことがあります。それは、それぞれの地域実情にあわせたきめ細かな地域放送の実施だけでなく、地域からの積極的な全国発信を行うということです。地域での課題を、全国、あるいは特に首都圏の方に知っていただくことは、非常に大きな公共放送の使命だと思います。ぜひここについては積極的に進めていただくようお願いしたいと思います。加えて、私は北海道在住なので、先ほどご意見のあった北海道の特色に関して、課題が何であるのかの具体的な例が示されると納得できると思います。例えば農業、漁業、観光、地震、火山等のいろいろな問題を北海道は抱えているということが分かるような記載があればよりよいのではないかと思いました。

 (石田専務理事)

 地域の事情にあわせたきめ細かな地域放送を行うことと、地域の情報を全国に発信することは非常に重要なことです。NHKは全国ネットワークを持っていますので、地方の民放では難しい地域制作番組の全国放送ができます。例えば地域放送局で制作した30分の番組をリメークして「クローズアップ現代」などで発信することがあります。地域の方も全国に発信してもらいたいという気持ちを持っていらっしゃいます。この間、出雲大社に行った際、ことしの正月に出雲大社の遷宮を取り上げた「NHKスペシャル」に関して、地元の方から評価をいただき、観光的にもインパクトがあったというお話を伺いました。引き続き努力していきたいと思っています。北海道に関しては、番組編集計画に、「農業・漁業や観光をはじめとする道内産業の活性化に貢献します」と記載するとともに、北海道各局の重点事項で具体例を挙げています。ご意見を参考にさせていただき、さらに北海道特有の課題に力を入れていきます。

 

 

4 その他事項

 (1) NHKワールドTVアメリカ展開の推進について(資料)

 (森永理事)

 まず、お手元の資料の1ページをご覧ください。2月21日から、「NHKワールドTV」が、アメリカ最大手のIPTV事業者AT&Tにより、シカゴやアトランタなど、全米65都市・およそ270万世帯で視聴できるようになりました。これまで「NHKワールドTV」は、ニューヨークなど、地図のうち、枠で囲った地域の地上デジタル放送局等を通じて24時間ご覧いただけました。今回、AT&Tのサービスが始まったことで、視聴エリアは全米に広がり、24時間視聴可能な世帯数は合わせておよそ1,600万世帯になりました。アメリカは、「NHKワールドTV」の受信環境を整備するうえで最も重要な地域です。今回のAT&Tのサービスの開始は大きな前進と考えています。これで、一部視聴可能な8,600万世帯と併せると、全米での視聴可能世帯数は、多少の重複もありますが、およそ1億世帯となりました。このように重点地域のアメリカで視聴可能世帯数の拡大に力を入れてきましたが、もう1つ重要なことは、いかに実際に視聴していただくようにするか、つまりプロモーションです。
 まず、AT&Tでのサービス開始と時期を合わせて、3月からニューヨークで放送を始めた、「NHKワールドTV」をPRする30秒スポットをご覧ください。
−30秒スポット上映−
 このビデオのコンセプトは、伝統的な日本の美を象徴する舞妓が現代の女性に変身し、リアルな日本像を伝えるというものです。アメリカに本社を置く世界最大級のメディアエージェンシーと、日本の大手CM制作会社に制作を発注しました。これをニューヨークの大手放送局を通じ、現地時間の3月8日から4月いっぱい、比較的視聴率の高い夜間を中心に放送します。また、先ほどご覧いただいた30秒スポットに加えて、いわゆるビッグデータを活用した取り組みも始めました。URLに「.jp」が入っている日本発のサイトを訪れたユーザーなど、日本に関心を持っている方に対象を絞り、効率的にこのPRビデオを配信します。
 さらに、フェイスブックやユーチューブにもPRビデオを掲載しています。インターネットのSNS機能を活用して拡散を狙う取り組みです。いずれも、ターゲットはニューヨーク市に住んでいる方のうち、「日本が好き」と言っているユーザーです。この方たちのフェイスブック画面に「NHKワールドTV」の広告が表示されたり、動画を見ようとすると先ほどの30秒のPRビデオが流れたりするという新しい形の取り組みです。いずれも、フェイスブックの「NHKワールドTV」のアカウントに誘導し、「いいね!」の「Like!」を押してもらうことを狙います。「Like!」ボタンが押されれば、「NHKワールド」のニュースや番組情報が、ユーザーに自動的に配信されます。さらに、そのユーザーに気に入ってもらえれば、友達にもその情報が拡散していくことが期待できます。
 2020年夏のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まり、日本に対する世界の関心が一段と強まっています。NHKの国際放送においても、アメリカや東南アジア等を重点地域として、今後も日本の魅力や最新情報を伝える番組の充実や、より視聴者に見ていただけるような受信環境の整備、周知広報活動の強化に取り組んでいきたいと考えています。

 (美馬委員)

 先日、海外出張のために日本のある航空会社を利用した際、機内で映画を見ようとすると、「NHKワールドTV」の宣伝が流れていました。あれはとてもよいと思います。というのは、海外から出張で日本に来られる、あるいは現地に帰られる外国人の方が、機内で映画を見ようと思うと、まず「NHKワールドTV」の宣伝を見ることになるからです。あの宣伝はいくつかの航空会社で流しているのですか。

 (森永理事)

 最初は全日空で流してもらいました。その後、日本航空にも流してもらっています。搭乗旅客の方が、機内で映画をご覧になる際、映画が始まる前に、30秒スポットが流れるという仕組みになっています。2社での視聴結果を見ながら、日本発着の便が多い航空会社が中心になると思いますが、今後も機内を宣伝の場として有効に活用していきたいと考えています。

 (美馬委員)

 あの宣伝は非常に効果があると思いましたので、ぜひ続けていただければと思います。

 (石原委員)

 3月8日から4月30日まで先ほどのCMを放送するということですが、従来の番組の宣伝を行うためのもので、番組の中身まで作りかえているわけではないのですか。

 (森永理事)

 4月からは、番組数を強化し、34から43に増やしています。

 (石原委員)

 今後ぜひ視聴実績を教えていただきたいので、よろしくお願いします。

 (宮田委員)

 さきほど上映されたCMはあまりいい番組ではないと思います。なぜかというと、前半1人の人物で盛り上げておいて、最後は散らかしたままで終わっています。30秒の中で後半の7〜8秒は締めていかないといけません。散らかした状態で終わってしまうと、結局印象に残らないのです。最後はまた1人の人物に戻るような構成にしないと印象に残らないと思います。

 (森永理事)

 先ほどご覧いただいたCMは第2弾で、第1弾はイギリスで放送したプロモーションのCMです。次に作るときには、ご意見もいただきながら改善できればと思います。

 (宮田委員)

 皆さん、私の発言を聞いたあとにもう一度ご覧になってください。そういえばそうだなと思うと思います。

 (美馬委員)

 機内で流れているCMは、先ほど私たちが見たCMとは違うのですか。

 (森永理事)

 機内で流しているのは、イギリスで放送した第1弾です。

 (美馬委員)

 機内で流れている第1弾のほうが、知的な感じがありよかったです。

 (浜田委員長)

 先般、日本テレビが「Hulu」を買収したという記事が出ていました。国際展開に関係がある話ですので、執行部としての見解があればお聞きしたいと思います。

 (塚田専務理事)

 私からご説明します。「Hulu」はビデオ・オンデマンドのサービスで、日本テレビは、2月28日にアメリカの動画配信大手「Hulu」の日本市場向け事業の譲渡を受けて、定額制の動画配信事業に参入することを発表しました。これまで日本テレビは、「日テレオンデマンド」を配信しており、1本ごとにその都度課金する動画配信サービスを行っていました。今回新たに定額制の動画配信に参入するということです。「Hulu」の日本向けサービスは、2年半前にスタートし、テレビやパソコン、携帯やタブレット端末などで、約50社が提供する映画、アニメ、ドラマなどおよそ1万3,000本の番組を月額980円で見られるというサービスです。NHKをはじめTBSとテレビ東京が「Hulu」に番組を提供しています。NHKのコンテンツの中で、NHKとNHKエンタープライズが制作した、例えば「プロジェクトX」や「サラリーマンNEO」、アニメ「おじゃる丸」など、12タイトル90本余りの番組を提供しています。NHKは、直接利用者に提供している「NHKオンデマンド」、いわゆる「BtoCサービス」を提供しており、26年度の予算で単年度黒字を目指して進めています。「NHKオンデマンド」への影響等バランスを考えながら事業者向けの番組提供、いわゆる「BtoBサービス」も進めていきたいと考えています。NHK内の体制としては、夏の組織改正に向けて準備を進めています。「NHKオンデマンド」のサービスと事業者向けに番組提供するサービスは、今までは別々の部署で対応していましたが、それらを1つの組織に一元化し、機動的かつ効果的な判断ができやすいように見直す予定です。また、ビデオ・オンデマンドの世界は、例えばパソコンやモバイル端末、テレビなどのさまざまな利用形態があり、デバイスや配信事業者ごとに異なるフォーマットを使っています。これを、HTML5というブラウザを基本にした技術仕様に統合し、標準化に向けた作業を今始めています。今後、さらにVODにおける環境も整ってくると思っています。

 

 (2) 平成26年度営業目標値・営業経費計画値について(資料)

 (福井理事)

 まず、資料の1ページをご覧ください。ことし1月14日に議決いただいた「平成26年度収支予算・事業計画等」で策定した営業目標値「契約総数増加49万件、未収削減13万件、衛星契約増加68万件」を達成するために、全国の放送局・営業センターに配分するものです。次に、営業経費計画値は、その目標達成に必要な地域スタッフや法人委託などの訪問要員経費の予算312億円を、全国の放送局・営業センターに配分するものです。
 2ページをご覧ください。営業目標の各局・営業センターへの配分の考え方を示しています。受信契約の総数を増やす総数増加49万件と、未収削減13万件の合計62万件が、実際の受信料支払数の増加目標となります。この中には事業所契約の増加9万件が含まれており、世帯契約では53万件を増加させます。この53万件は、公表している都道府県別の推計世帯支払率に直接反映されるものです。配分にあたっての考え方として、まず1点目は、全都道府県の推計世帯支払率が向上するよう配分しているというということです。2点目は、今回、特に支払率で全国平均を下回る10の都道府県に対して、世帯支払数増加53万件の「1割」に相当する5万3千件を加重配分しました。
 3ページをご覧ください。左側の表が全国平均(25年度末見込みの74.2%)より低い10の都道府県に加重配分した目標数5万3千件の内訳です。この中でもより支払率が低い沖縄から北海道までには、より多く加重配分しています。右の表がその配分結果ですが、表の一番下に記載しているのが全国の率(25年度末見込みの74.2%から26年度末見込み75.1%)です。全国における1年間の向上値はプラス0.9ポイントのところ、沖縄はプラス1.9ポイント、大阪から大分は1.0ポイント向上させる目標値になっています。『支払率が低い地域にはもっと加重すべきでは』という意見もあると思いますが、現在の支払率は長い年月をかけて取り組んできた結果であり、地域の特性等もあるため、全国で1年間に向上が図れるのはプラス0.9ポイント前後だという実態を考慮し、全国平均よりも低い地域のプラス0.1ポイントは、目標設定としては非常に重いものと考えています。
 2ページに戻っていただき、衛星契約増加目標の68万件の各局・営業センターへの配分は、全都道府県において、契約総数に占める衛星契約の割合が向上するように配分します。
 続いて、営業経費の配分方法については、営業目標を達成するために必要となる取次数を算出したうえで、その取次数を確保するために必要な経費を算出します。
 具体的には、契約総数増加の取次の構造として、26年度の総数増加目標49万件の契約増加を図るためには、49万件の契約を取次げばよいということではありません。1年の中では、世帯移動にともなう住所変更や世帯合併などによる解約、有料契約からの全額免除など、契約の減少が発生します。その数は年間267万件にのぼります。このため、49万件の純増を確保するため、1年間で必要な取次数は316万件になります。このうち、フリーダイヤルやインターネットなどでの自主申出、また郵便局や不動産会社による取次・住民票除票の活用など訪問によらない取次が134万件ありますので、182万件を地域スタッフや法人委託等の訪問要員で取次ぐ必要があります。同様に、衛星契約を68万件増加させるためには94万件の取次が、未収数を13万件削減するには41万件の支払再開が必要となり、合わせると全国計で317万件の取次が必要になります。この訪問要員による取次数の合計317万件を各局・営業センターの目標値に合わせて算出したうえで、そのためにかかる訪問要員の経費312億円を配分します。25年度予算では318億円で、6億円の削減になっています。なお、現時点ではブロック別の経費計画値を算出していますが、25年度の決算値により、決算確定後に各局・営業センター別に配分していきます。
 26年度の営業目標は、全国で契約総数増加49万件、未収削減13万件、衛星契約増加68万件です。契約総数増加と未収削減の目標達成を前提に26年度末の推計世帯支払率の見込みを出すと、全国では、25年度末の74.2%に対して26年度末は75.1%の見込みで、0.9ポイント向上させます。続いて、衛星契約割合は、26年度の68万件増の目標達成を前提に、25年度末の契約総数に占める衛星契約の割合は46.0%でしたが、26年度末は47.2%と1.2ポイント向上する見込みになっています。
 今後、この営業目標値と営業経費計画値をもとに、各局・営業センターではさらに詳細な26年度の実効的な営業活動計画を作成し、全目標達成に向けて取り組んでいきます。

 (長谷川委員)

 大変な努力をされているときに、経営委員が支払拒否をしたという、まったく虚偽の見出しの新聞記事が出ました。皆さまは大変ご心痛だと思います。記事をよくお読みになれば分かるように、支払拒否あるいは不払いの事実はなかったことがきちんと書かれているのですが、見出しだけを見ると、あたかも私が現実に不払いをしたかのごとくに見えてしまうのです。しかしもちろん、不払いの事実はなくすべての期間支払っています。また、大切なことは、私は無知のゆえに支払いを保留したりする権利があると思い込んでいたこと、そして、放送法をよく知らない方は同じような思い違いをしている方がいらっしゃるに違いないということです。取材を受けた際、私は反省を込めて、同じような思い違いをする方が出ないように訴えたいという趣旨のメールを各新聞社に送りました。メールの文面は、支払いの事実と、経営委員も経営委員になる以前は素人で、思い違いをしていたという内容ですので、営業の方が視聴者から問い合わせを受けられた際、必要であれば活用していただけたればと思いますので、よろしくお願いします。

 (福井理事)

 分かりました。

 (美馬委員)

 営業目標値についての質問です。1月末からの一連の報道を踏まえ、目標値の修正はしなくていいのでしょうか。

 (福井理事)

 会長発言の件ですか。

 (美馬委員)

 そうです。

 (福井理事)

 問い合わせは3万件を超していますが、営業現場の実態の詳細の中身は分かりません。口座・クレジット払いを解約したからといってすぐに不払いになるわけではありません。まず、NHKからは、継続振込の請求書を送ります。その後1期2か月間払い込みがない場合は再度継続振込の請求書を送ります。それでも支払いがない場合は、個別訪問を開始します。そこでようやく視聴者と向き合い、口座・クレジット払いの解約理由を確認することができます。今、視聴者からいろいろなご意見をいただいていますが、契約への影響はなかなかつかみづらいのが実態です。25年度は、上半期に前倒しで業績を確保していますので、今のところ営業目標を相当数上回っています。

 (美馬委員)

 1点お願いがあります。営業の方々に対して、数値目標をもとにただ頑張れと言っても、かなり厳しい状況が予想されます。今までの実績をもとに、支払率の低い地域の要因を特定し、それを解消するための営業戦略があると思いますが、一方、今回の会長発言に関連して、支払率が低くなりそうな地域があった場合、その要因を想定した営業戦略も必要だと思います。ぜひそこはお願いしたいと思います。また、特に営業現場の声をすくい上げる仕組みを考えていただければと思います。営業の方々は営業実績の数値で評価されるとすれば、現場で把握している視聴者の声をわれわれも聞いておく必要があると思います。地域によって事情は異なると思いますので、特にそういう声を大事にしていただきたいと思います。

 (福井理事)

 今クレームは全部拾い上げているのですが、そういう声は拾い上げていませんので、今後検討していきます。

 (美馬委員)

 よろしくお願いします。

 (石原委員)

 営業関係の経費は今後減っていくと思いますが、訪問要員は毎年補充しなければいけません。312億円は大変大きな金額ですので、この投資について、BバイC(費用便益比)などはどう考えているのですか。

 (福井理事)

 一軒一軒訪問して受信料制度をご説明し、ご契約をいただくという、どちらかというと制度維持のためのコストがこの中には入っています。契約・収納に係る総経費は735億円ほどで、そのうち約420億円は制度維持のための経費です。残りは手数料など、いわゆるシステム経費になります。今営業経費率は約11.4%ぐらいですが、制度維持費を除くと約5%の営業経費率になると思います。これについては、毎年法人委託率を上げており、昨年は各局訪問要員にかかる経費は318億円でした。毎年若干ずつですが削減しており、効率的な営業を図っていくよう取り組んでいます。

 (石原委員)

 法人委託のほかにはなにがあるのですか。

 (福井理事)

 地域スタッフやNHKメイトなどにかかる費用です。

 (石原委員)

 営業経費全体は700億円ぐらいでしたよね。

 (福井理事)

 735億円です。

 (石原委員)

 それには、システム経費などいろいろなものが入っていると思いますが、昔から高過ぎないかという議論がありますよね。

 (福井理事)

 はい、毎年あります。今徐々に減らしており、24年度は過去最低の11.4%になっています。

 (石原委員)

 11.4%というのは高いですよね。

 (福井理事)

 受信料収入に対して11.4%です。以前は約18%でしたが、営業経費抑制のためにこれまでいろいろ改革を行ってきており、着実に下がっています。

 (石原委員)

 いろいろと努力してきた結果、下がってきているということですね。

 (福井理事)

 はい、そうです。

 (石原委員)

 さらに下げる努力をお願いしたいと思います。

 (福井理事)

 現在も引き続き取り組んでいます。

 

 (3) 平成26年度「営業関係データ」報告について

 (堂元副会長)

 「営業関係データ」については、現在の3か年経営計画が議決された平成23年10月25日の経営委員会で示された「経営委員会の意思決定」を受けて、経営委員会と執行部との間で定期的に情報を共有してきました。きょうで通算15回になります。この間、都道府県別の推計世帯支払率をはじめ、営業活動の高度化、「プロジェクト810」の活動状況も併せて報告してきました。平成26年度においても、これまでの報告の経緯等を十分に踏まえ、基本的には平成25年度の報告サイクルを踏襲します。
 25年度は「契約現在数と衛星契約割合」「年間支払数増加」を四半期ごとにまとめて年4回報告、「推計世帯支払率」「営業経費率」「訪問戦力等経費」「営業改革推進委員会の取り組み」を上半期と年度末の年2回報告しましたが、26年度についても、25年度と同様のスケジュールで報告したいと考えています。26年度の報告のスケジュールについては以上です。

 

 (4) 平成26年春季交渉について(資料)

 (吉国専務理事)
 労働組合「日放労」との春季交渉についてご報告します。組合とは、毎年「春」と「秋」に交渉を行っています。このうち「春」については、職員の処遇や業務・要員体制を中心に幅広く議論を交わしていますが、今回の交渉においては、これらの議題に加え、「公共放送の存在意義」に関する議論を行うこととしています。「公共放送の存在意義」に関して組合は、連日、国会でNHKのあり方に関する質疑が行われている現状などをふまえ、協会経営が、今後どのような公共放送のあり方を示すのか、放送法の趣旨をどのように捉えて放送事業にあたるのかといった点について議論していくこととしています。これに関して、組合は、先週7日(金)の中央委員会終了後、今春の交渉方針を協会経営に対し申し入れてくるとともに、取材や営業の現場で厳しい対応を受けている現状など、組合員が直面する現場の実情を訴え、社会の理解を回復する手だてを早急に講じることを、改めて求めてきました。組合からの訴えについては、協会経営として真摯に受け止めるとともに、23日からの中央交渉期間においても、これまで積み上げてきた視聴者の信頼に背くことなく、これまでどおり「公共放送の原点」たる放送法の趣旨に沿って、適切に運営していくことを示していきたいと思います。このほか組合は、今回の方針案の中で、新たな給与制度に関わる事項、働き方に関わる事項について議論することを打ち出しています。「働き方について」は、主に要員計画に関わる議論を行う中で、「今よりも良い労働環境になるために、一つでも“かたち”となる成果を勝ち取る」ことを方針とするとともに、要員計画と密接にかかわる組織改正についても検証することとしています。協会からは、「積立休暇制度の新設」について提案します。これは、昨年の秋季交渉において、「導入を検討する」としていたものを、制度として提案するものです。
 組合との交渉期間は、3月23日(日)から26日(水)までの予定です。交渉の結果については、改めて報告させていただきます。

 (室伏委員)

 今回の交渉においては、現場と執行部との双方向のコミュニケーションをしっかり取っていただき、現場の方々が元気で仕事ができ、当事者意識を持って公共放送を支えようという気持ちになれるような場にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 (吉国専務理事)

 これについては、各現場の管理職にも指示を出しています。交渉ということではありませんが、公共放送のあり方については全体で共有してなければいけないことですので、真摯に議論するよう伝えています。

 (美馬委員)

 交渉の結果については、改めてこの場でご報告いただけるのでしょうか。

 (吉国専務理事)

 交渉結果については、中央交渉終了後に、改めてご報告します。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 (浜田委員長)
 本日の議題は以上ですが、全体を通して何かご意見はありますか。
 (上村代行)
 今、現場に元気になってもらうことが大事だというお話がありましたが、現場が元気になるために一番大事なことはトップのあり方なのです。私は会長が就任会見であのような発言をされましたが、まだNHKのことを分かっていらっしゃらないので、分かっていただくためにできることはないかなと思ってきました。その後の状況を見ていると、どうも期待していたようにはなっていない印象です。私は、代行として経営委員長を支えるという立場に徹すると思ってやっていたのですが、一経営委員として、感想や意見を一言も言わないのは、私が今までやってきた仕事のことからすると本能に反することなので、やはり申し上げざるを得ないと思い、議事録に載ることを前提にして申し上げたいと思います。
 会長は、公の場で個人的見解を述べたということがよくない、よく分かっていなかったとおっしゃっています。5つの発言については取り消したとおっしゃいましたが、個人の見解に変わりはないということもおっしゃっています。そのことを国会の場で繰り返すことはしないけれどもそこは変わりないとおっしゃっているわけです。私から言わせると、国際放送について「右と言われたら左と言えない」という発言や、特定秘密保護法案について「通ちゃったのだから」など、この種の発言は、NHKのトップとして中身そのものが間違っているわけです。取り消そうが取り消せまいが、公の場であろうがなかろうが、個人の見解は変わっていないとおっしゃる中にそれらが入っているとすれば、とんでもないことだと思います。
 また、従軍慰安婦や総理大臣の靖国参拝について、いろいろな意見があることは確かです。しかし、会見という公の場で言ってはいけないのであれば、NHK内部その他であれば言ってもいいのかというと実はそれもいけないのです。こういう例を出すのは変かもしれませんが、例えば昭和天皇はひいきの相撲取りの名前すら言わなかったのです。小さなことかもしれませんが、言うといろいろな意味で利用する人が出たり、弊害が出たりするからです。会長は天皇陛下とは違いますが、公的立場というものはそれくらい重いものです。自分はこう思うという意見を持っていたとしても、それと正反対の意見もNHKは報道するわけです。報道しなければいけないのです。気に入らなくても気に入っても、韓国や中国はこういうふうに言っているということも報道するわけです。日本の国民がどう思っているか、あるいは政府の立場をおおかた支持している、支持していないなども報道するわけです。つまり、ありとあらゆる事実は、事実として報道しなければいけないときに、自分の信念はこうだということを公の場ではないから言っていいということにもなりません。事実をすべてありのままに報道しなくなるのではないかという疑念をいちいち払拭しつつ話すことは大変ですし、払拭できませんので、基本的に話さないほうがよいのです。そういう意味では考え方を根本的に改め、NHKの会長とはどういう立場なのかを理解するための勉強と努力をしていただきたいと思います。きょうは会長が欠席ですので、堂元副会長に私の意見については伝えていただき、もし私と話をしたいということであれば、いつでもお伺いします。
 加えて、さらに重大なことはガバナンスです。例えば、経営委員会に任命されたのだから、経営委員会は自分たちの味方であってほしいと思われているふしがないとはいえないのです。これは逆で、経営委員会はモニタリング機関として会長を選任しました。そのあとは明らかに、モニタリングされるものと、するものという関係になるわけです。自分を取り巻くガバナンスの仕組みが厳格であればあるほど、その人たちに信任されているということの重みは大きいのです。ある程度しっかりとしたガバナンスが会長を信任しているということになるのです。それによって会長の権威は非常に高まるわけです。ガバナンスとはそういうものなのです。自分がやりたいことにケチをつけている、あるいはチェックしようとしているというように理解してはいけないのです。もし必要であれば、私がご説明に行きます。ただ、経営委員会というものの意義や経営委員会そのものについてまだ少し誤解されているふしもなくはないという印象です。もっと会長を応援してほしいというような感覚だとしたら、違うのですね。正確かどうかは知りませんが、監査委員のヒアリングの際に「こんなものはなるべくやりたくない」というようなこともおっしゃっていたと聞いています。「放送法を順守する」とおっしゃるわりには、「放送法を変えなければならない」ともわりと言われる。全体として国会はもうすぐ終わり、今予算の審議がなされていますが、限界はあるものの比較的現場に近い立場で見ているものがガバナンス機能を発揮するということで成り立っている経営委員会制度です。私の個人的な印象ですが、事態はさらに厳しくなっているという印象です。この意見については、堂元副会長から会長にお伝えいただきたいと思います。必要であればいつでもご説明に伺いたいと思いますので、そのようにお伝えいただきたいと思います。今までも説明させていただきたいといつも思ってきましたので。
 (長谷川委員)
 一言、補足させていただきたいと思います。基本的には、今おっしゃったことは非常に大事なことだと思います。われわれ経営委員は、会長を選んだからには、会長に対して「もっと勉強してください」、あるいは「そのご意見は本当に正しいのでしょうか」というようなコミュニケーションを図る義務があると思います。これまで、会長とわれわれとの腹を割ったコミュニケーションはこれまで非常に少なかったという印象を持っています。もしかすると会長は、ご自分の考えていることを、まだ十分に表現していらっしゃらないのかもしれないと思っています。それについては、われわれなりにそれぞれ考えるところがあります。よいコミュニケーションの成り立つ関係でありたいと思っています。

 

 

<副会長、専務理事、技師長、理事退室>

 

○今後の議事運営について
 NHKを取り巻く状況の確認と今後のあり方等について、意見交換を行った。その結果として、経営委員会において、以下のとおり申し合わせを行った。

【申し合わせ内容】

  • 籾井会長に対して、経営委員長から二度にわたり注意を行わざるを得なかったことについては、誠に遺憾である。
  • 経営委員会は、一刻も早い事態の収拾に向けて、自らの責任を自覚したうえで、真摯な議論に基づく自律的な運営を引き続き行い、監視、監督機能を十分に果たしていく。
  • 来年度NHK予算について、協会が全力をあげて、国民・視聴者に対する説明責任を果たし、今年度内の国会承認を実現すべきである。

 

 なお、上記の申し合わせについては、経営委員会終了後の記者ブリーフィングにおいて公表することを確認した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成26年3月26日    

浜 田 健一郎

 

上 田 良 一